マンション相続税はかからない?無税になる3つのケースと相続人別の早見表

マンション_相続税_かからない

マンションを相続しても、相続税がかからない家庭のほうが多数派です。相続人2人なら、マンションの評価額と預貯金などの合計が4,200万円以下なら0円です。

マンションの評価額は、売却相場の6割前後が目安です。相場5,000万円の部屋でも評価額は3,000万円ほどで、預貯金が1,000万円あっても相続人2人なら無税に収まります。

相続税には基礎控除があり、遺産の総額がこの金額以下なら課税されません。自宅なら土地の評価額を8割減らせる制度もあります。

判定に必要なのは毎年届く固定資産税の課税明細書1枚です。そこに土地と建物の評価額が書かれています。

マンションには戸建てと違う特徴が2つあります。小規模宅地の330㎡という上限をまず気にしなくてよいこと、そして8割減の効き方が戸建てより小さいことです。

どちらも敷地の持分が小さいことから来ています。構造を知っておくと、自分のケースで判定を誤りません。

注意したいのは、税金が0円でも手続きが終わらない点です。名義変更には3年の期限があり、管理費と修繕積立金は毎月かかり続けます。

この記事では、無税になる3つの条件、いくらまでなら無税かの早見表、手元の書類で判定する手順、マンション特有の2つの注意点、0円でもやるべきことまでを解説します。

▼ この記事の3行まとめ

  • 判定に必要なのは固定資産税の課税明細書1枚。相続人2人なら遺産の合計4,200万円まで無税
  • マンションの敷地の持分は一般的な住戸で15〜40㎡程度なので、小規模宅地の330㎡という上限にはまず届かない
  • 一方で8割減の効きは戸建ての半分程度。建物の比率が高く、建物には減額がないため
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マンションの相続税がかからない3つの条件

マンションだから課税される、ということはありません。判定するのはマンション単体ではなく遺産の総額です。次の3つのどれかに当てはまれば税金は0円になります。

3つの条件を先に整理する

無税になる道筋は3つで、上から順に判定すれば、自分がどれに当たるかがわかります。

条件 内容 無税になる範囲 申告
①基礎控除以下 遺産の総額が基礎控除の枠に収まる 相続人2人なら4,200万円 不要
②自宅の土地を8割減らす 亡くなった人の自宅を一定の人が相続する 敷地の持分の評価額を80%減 必要
③配偶者が相続する 配偶者が取得した分の税額を軽くする 1億6,000万円か法定相続分まで 必要

表の見方:①だけが申告不要です。②と③は制度を使って0円にするため、申告書を出さないと制度が使えません。この違いを知らずに放置すると、後から税金を請求されます。

重要ポイント:①から順に判定してください。①で収まるなら、②や③を検討する必要はありません。マンションは評価額が低く出るため、①だけで終わる家庭が多くなります。

注意:②と③はどちらも申告書を出すことが適用の条件です。期限を過ぎてからの期限後申告でも使えますが、加算税と延滞税がかかります。分け方が決まらない場合は、期限までに「申告期限後3年以内の分割見込書」を添えて申告しておかないと、後から使えなくなります。

①基礎控除|3,000万円+600万円×相続人の数

もっとも基本的な条件がこれで、遺産の総額が基礎控除以下なら、マンションがあっても相続税は0円になり、申告書を出す必要もありません。

法定相続人の数 基礎控除 この金額以下なら
1人 3,600万円 相続税0円・申告不要
2人 4,200万円 同じ
3人 4,800万円 同じ
4人 5,400万円 同じ

表の見方:比べるのはマンションの評価額ではなく、預貯金や保険も含めた遺産の総額です。マンションが2,000万円でも、預金が2,500万円あれば相続人2人では超えます。

重要ポイント:比べるのは売買価格ではなく相続税の評価額です。相場3,000万円のマンションなら、評価額は1,800万円前後(相場の6割程度)になることがよくあります。

参照元:e-Gov法令検索 相続税法(第15条・遺産に係る基礎控除)

人数の数え方や控除額の計算でつまずきやすい点は、下記の記事で解説しています。

相続人の数え方を間違えると判定が狂う

基礎控除は相続人1人につき600万円変わります。数え方を間違えると、判定の結論そのものがひっくり返ります。

ケース 人数に入れるか 理由
相続を放棄した人 入れる 放棄がなかったものとして数える決まりがある
養子(実子がいる場合) 1人まで 養子を増やして基礎控除を膨らませるのを防ぐため
養子(実子がいない場合) 2人まで 同じ
先に亡くなった子の子(孫) 入れる 親に代わって相続人になる。人数が増えて基礎控除も増える
内縁の配偶者 入れない 法律上の相続人ではない

表の見方:薄赤の行が最も間違えやすいところです。放棄した人を人数から外すと、基礎控除が600万円少なくなります。マンションの評価額が2,000万円台なら、この600万円で結論が変わることがあります。

重要ポイント:黄色の行のように孫が親に代わって相続人になると、人数が増えて基礎控除も増えます。子2人のうち1人が先に亡くなり孫が2人いれば、相続人は3人で4,800万円です。

人数の判定は範囲と順位のルールで決まります。詳しい数え方は下記の記事で解説しています。

②自宅なら敷地の持分を8割減らせる

亡くなった人が住んでいた自宅なら、敷地の持分の評価額を80%減らせます。1,500万円の土地の持分が300万円になる計算です。

マンションでは土地の持分が小さいため金額の効果は限られますが、それでも数百万円単位で課税価格が下がります。

注意:この制度は申告書を出さないと使えません。税額が0円になる場合でも提出が必要です。期限後申告でも使えますが、遅れた分の加算税がかかります。

③配偶者が相続すれば1億6,000万円まで無税

配偶者が取得した財産は、1億6,000万円か法定相続分のどちらか大きい金額まで税額が0円になります。マンションを配偶者が相続すれば、ほとんどの家庭で税金は発生しません。

ただし次に配偶者が亡くなったときに、その財産へもう一度相続税がかかります。配偶者に寄せすぎると二次相続で負担が増えるため、目先の税額だけで決めないほうが安全です。

参照元:国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減

いくらまでのマンションなら無税か|早見表

自分のマンションが無税に収まるかは、相続人の数と、8割減が使えるかどうかで決まります。早見表に当てはめれば計算しなくても見当がつきます。

相場3,000万〜1億円のマンションは無税か|相続人の数別の判定表

売却相場がわかれば、無税かどうかの見当がつきます。評価額を相場の6割として、相続人2人と3人で判定しました。相場6,000万円までなら、預貯金0円の相続人2人で無税です。

売却相場 評価額の目安(6割) 2人・預貯金0円 2人・預貯金1,000万円 3人・預貯金0円 3人・預貯金1,000万円
3,000万円 1,800万円 無税 無税 無税 無税
4,000万円 2,400万円 無税 無税 無税 無税
5,000万円 3,000万円 無税 無税 無税 無税
6,000万円 3,600万円 無税 8割減で無税 無税 無税
8,000万円 4,800万円 8割減で無税 課税 無税 8割減で無税
1億円 6,000万円 課税 課税 8割減で無税 課税

表の見方:「8割減で無税」は、亡くなった人の自宅を配偶者や同居の子などが相続して小規模宅地の特例を使えば0円になる、という意味です。この場合は申告が必要です。

重要ポイント:相続人1人なら基礎控除は3,600万円なので、相場6,000万円・預貯金0円が境目です。配偶者が相続する分は1億6,000万円まで税額が0円になるため、この表より無税の範囲は広がります。

計算ロジック:評価額=相場×0.6。8割減の後は土地1・建物2の物件として評価額×0.733で計算し、預貯金を足して基礎控除(2人4,200万円・3人4,800万円)と比べています。築年数や所在階で評価額が相場の7割前後になる物件は、1段階厳しく見てください。

参照元:国税庁 No.4667 居住用の区分所有財産の評価

マンションだけを相続する場合の無税ライン

預貯金がほとんどなく、マンションが遺産の中心という場合の目安です。8割減が使えるかどうかで上限が変わります。まず自分の相続人の人数の行を見てください。

法定相続人の数 基礎控除 8割減なしの上限 8割減ありの上限(土地1:建物2の物件)
1人 3,600万円 3,600万円 約4,900万円
2人 4,200万円 4,200万円 約5,700万円
3人 4,800万円 4,800万円 約6,500万円
4人 5,400万円 5,400万円 約7,400万円

表の見方:右端は評価額の内訳が土地1・建物2のマンションで8割減を使った場合です。土地の持分が大きい物件ほど上限は上がります。

重要ポイント:戸建てなら8割減で基礎控除の5倍まで耐えられますが、マンションでは1.3〜1.4倍程度にとどまります。建物の比率が高く、建物には減額が効かないためです。

計算ロジック:土地1・建物2の物件では、8割減の後の課税価格は「土地の3分の1×0.2+建物の3分の2」=評価額の約73%になります。基礎控除4,200万円÷0.733=約5,700万円が上限です。

預貯金がある場合|マンションに使える枠はいくら残るか

遺産はマンションだけとは限りません。基礎控除の枠は遺産全体で1つなので、預貯金や保険金が多いほどマンションに使える枠は減ります。

マンション以外の財産 マンションの無税ライン(8割減なし) 同(8割減あり)
0円 4,200万円 約5,700万円
500万円 3,700万円 約5,000万円
1,000万円 3,200万円 約4,400万円
2,000万円 2,200万円 約3,000万円
3,000万円 1,200万円 約1,600万円

表の見方:相続人2人・基礎控除4,200万円の場合です。薄赤の行のように預貯金が多いと、マンションに残る枠がほとんどありません。

重要ポイント:死亡保険金には500万円×法定相続人の数の非課税枠があります。相続人2人なら1,000万円までは遺産に含めずに計算できるので、その分を引いてから表に当てはめてください。

実際の物件で計算してみる

実際に3つのタイプで判定してみます。いずれも相続人2人・基礎控除4,200万円という前提です。

物件 土地(持分) 建物 評価額 預貯金1,000万円を足すと 判定
郊外の中古(築25年・70㎡) 600万円 500万円 1,100万円 2,100万円 無税・申告不要
都市部の中古(築15年・70㎡) 1,200万円 1,400万円 2,600万円 3,600万円 無税・申告不要
都心の築浅(築5年・75㎡) 2,000万円 2,600万円 4,600万円 5,600万円 課税される

表の見方:黄色の2つは8割減を使わなくても基礎控除に収まります。制度を使う必要がないので、申告書を出す必要もありません。

重要ポイント:薄赤の築浅の物件でも、8割減を使えば土地が400万円になり課税価格は4,000万円です。基礎控除に収まるので税額は0円になりますが、この場合は申告が必要です。

計算ロジック:8割減の後の課税価格=土地×0.2+建物+預貯金。2,000万円×0.2+2,600万円+1,000万円=4,000万円で、基礎控除4,200万円を下回ります。築浅の物件は2024年の新ルールで評価額が上振れする可能性があるため、確認が必要です。

土地や建物を含む不動産全体の相続税の計算は、下記の記事で解説しています。

売買価格との違いに注意

誤解がもっとも多いのがこの点です。判定に使うのは売買価格ではなく相続税の評価額で、一般に売買価格よりかなり低い金額になります。

目安 説明
売買価格(時価) 100% 実際に売れる金額
土地の相続税評価額 時価の約80% 路線価をもとに計算する
建物の相続税評価額 時価の50〜70%程度 固定資産税評価額をそのまま使う
2024年以後の区分マンション(土地+建物) おおむね相場の6割以上 評価水準が0.6を下回る物件は補正率で引き上げる

表の見方:相場3,000万円のマンションの評価額が1,800万円前後になることは珍しくありません。売買価格で判定すると、かかると思い込んで無駄に不安になります。

注意:ただし2024年から一部のマンションは評価額が引き上げられるルールが始まっています。築が浅く階数の高い物件では、この目安より高く出ることがあります。

参照元:国税庁 No.4152 相続税の計算

概算で境界に近かった場合は、正確に計算する必要があります。評価額の計算手順と2024年の新しいルールは、下記の記事で解説しています。

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手元の書類で判定する|課税明細書と登記事項証明書

評価額がわからなくても判定はできます。毎年4〜6月に届く固定資産税の課税明細書に必要な数字が載っています。順番に確認していきましょう。

ステップ1|課税明細書で建物の評価額を確認する

建物の相続税評価額は計算が不要です。固定資産税評価額がそのまま相続税の評価額になります。マンションでは評価額の大半を建物が占めます。

確認する場所 書かれている数字 相続税での使い方
課税明細書の家屋の欄 価格(評価額) そのまま建物の評価額として使う
課税明細書の土地の欄 価格(評価額) そのままは使えない。相続税では路線価で計算し直す
課税明細書の課税標準額 軽減後の金額 固定資産税の計算用。相続税では使わない

表の見方:建物だけは明細書の数字をそのまま使えます。土地は固定資産税と相続税で評価の基準が違うため、計算し直しが必要です。

注意:「価格」と「課税標準額」を取り違えないでください。住宅用地の軽減が入った課税標準額を使うと、評価額を過小に見積もります。

ステップ2|登記事項証明書で敷地権の割合を確認する

土地は建物のように単純ではありません。マンション全体の敷地のうち、自分の持分がどれだけかを調べます。この持分のことを敷地権といいます。

【敷地権の割合の調べ方】

  • 登記事項証明書を取る|法務局またはオンラインで480〜600円
  • 表題部の「敷地権の割合」を見る|「100000分の1800」のように書かれている
  • マンション全体の敷地面積を確認する|同じ登記事項証明書の敷地権の目的欄に書かれている
  • 掛け算する|敷地面積×割合=自分の持分の面積

課税明細書にも土地の面積が載っていますが、持分換算後の数字か全体の数字かは自治体によって表記が異なります。

重要ポイント:敷地1,500㎡で割合が100,000分の1,800なら、自分の持分は27㎡です。この面積に路線価を掛けると土地の評価額の概算が出ます。

ステップ3|路線価を掛けて合計する

路線価は国税庁のサイトで誰でも無料で調べられます。マンションが面している道路の数字が1㎡あたりの価額で、単位は千円です。

計算の順番 内容 例
①敷地の持分の面積 敷地面積×敷地権の割合 1,500㎡×1,800/100,000=27㎡
②土地の評価額 ①×路線価 27㎡×50万円=1,350万円
③建物の評価額 課税明細書の家屋の価格 1,000万円
④マンションの評価額 ②+③ 2,350万円
⑤判定 ④+預貯金などと基礎控除を比べる 相続人2人なら4,200万円と比較

表の見方:この5ステップで概算が出ます。④が基礎控除より大きく下回っていれば、8割減を検討する必要もありません。

計算ロジック:路線価は千円単位で表示されます。「500C」なら1㎡あたり50万円です。アルファベットは借地権の割合なので、自分の所有なら気にしなくて構いません。

注意:実際の評価では土地の形状による補正や、2024年から始まった区分所有補正率が入ります。ここで出るのはあくまで概算です。

参照元:国税庁 財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)

判定チェックリスト|5つの質問で確かめる

ここまでの内容を質問の形にまとめました。上から順に答えていけば、自分がどの立場かがわかります。

# 質問 はいの場合 いいえの場合
Q1 遺産の総額(概算)は基礎控除以下ですか 相続税0円・申告不要 Q2へ
Q2 亡くなった人が住んでいたマンションですか Q3へ Q4へ
Q3 配偶者・同居していた親族・持ち家のない別居の親族が相続しますか 8割減が使える。Q3aへ Q4へ
Q3a 8割減の後の課税価格は基礎控除以下ですか 相続税0円・ただし申告が必要 Q4へ
Q4 配偶者が相続しますか Q5へ 課税される
Q5 配偶者の取得分は1億6,000万円か法定相続分以下ですか 配偶者の分は0円・ただし申告が必要 課税される

表の見方:Q1で終われば手続きは何もありません。マンションはQ1で終わる家庭が多数派です。Q3aとQ5で0円になった場合だけ、申告書の提出が必要になります。

重要ポイント:Q1の判定が境界に近い場合は、概算ではなく正確な評価額を出してください。2024年の新ルールで評価額が上振れすると、結論が変わることがあります。

マンションでは小規模宅地の330㎡をまず気にしなくていい

自宅の土地を8割減らせる制度には330㎡という上限があります。しかしマンションの敷地の持分は、一般的な住戸で15〜40㎡程度です。上限に届くことはまずありません。

持分の目安は「専有面積÷容積率」で、70㎡の住戸で容積率300%なら約23㎡です。共用部分の分だけ実際の数字は前後します。

敷地の持分は実際にどれくらいか

マンションの土地は住戸ごとの持分に分かれています。敷地全体の面積に敷地権の割合を掛けた分だけが自分の土地で、実際の物件で計算すると次のようになります。

マンション全体の敷地 敷地権の割合 自分の持分 330㎡の上限
1,500㎡ 100,000分の1,800 27㎡ 余裕で収まる
2,000㎡ 100,000分の1,500 30㎡ 余裕で収まる
800㎡ 100,000分の4,500 36㎡ 余裕で収まる
3,000㎡ 100,000分の800 24㎡ 余裕で収まる

表の見方:戸数が多いマンションほど1住戸あたりの割合は小さくなります。敷地が広くても、割合が小さいので持分は数十㎡に落ち着きます。

重要ポイント:戸建てでは330㎡を超えて超過部分に減額が効かないという問題が起きますが、マンションではこの心配がほぼありません。持分の全部に8割減が使えます。

計算ロジック:敷地面積×敷地権の割合=自分の持分の面積。1,500㎡×1,800/100,000=27㎡です。この面積が330㎡以下なら、土地の評価額の全額が8割減の対象になります。

上限に届く可能性があるケース

ただし例外もあり、戸数が少なく敷地が広い物件では、持分が大きくなることがあります。自分の物件が当てはまるか確認してください。

物件のタイプ 持分の目安 330㎡に届くか
タワーマンション(数百戸) 5〜15㎡ 届かない
一般的な分譲マンション 15〜40㎡ 届かない
低層・少戸数の物件(容積率100〜150%) 50〜100㎡ 届かない
数戸だけの低層物件・地方の広い敷地 100㎡超もありうる まれに近づく。持分を計算して確認

表の見方:薄赤の行に当てはまる場合だけ、登記事項証明書で持分の面積を実際に計算してください。一般的な分譲マンションなら確認は不要です。

注意:複数の不動産を相続する場合は話が変わります。自宅のマンションと別の土地を合わせて330㎡を判定するため、どちらに適用するかを選ぶ必要が出てきます。

どの区分に当てはまるかで結果が変わります。要件と、複数の土地がある場合の選び方は下記の記事で解説しています。

参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例

8割減の効きは戸建てより小さい|構造の違い

マンションは評価額が低く出るので無税になりやすい一方、小規模宅地の8割減による上乗せ効果は戸建ての半分程度です。評価額に占める建物の比率が高いことが理由です。

建物には減額が効かない

8割減の対象は土地だけで、建物の評価額は1円も減りません。マンションは建物の比率が高いため、減額の効きが鈍くなります。

評価額に占める土地の割合 評価額に占める建物の割合 8割減が効く範囲
戸建て(郊外) 70〜80% 20〜30% 評価額の大半
マンション 30〜50% 50〜70% 評価額の一部だけ

表の見方:戸建ては土地が資産価値の中心なので、8割減がそのまま全体の評価額を大きく下げます。マンションは建物が中心なので、減額しても全体はあまり下がりません。

同じ地域で比べるとどれくらい違うか

同じ地域の戸建てとマンションを実際の数字で比べます。戸建ては6〜7割減るのに対し、マンションは3割前後にとどまります。

物件 土地 建物 評価額の合計 8割減の後 減少率
戸建て(郊外・土地150㎡) 2,250万円 800万円 3,050万円 1,250万円 59%減
マンション(同地域・70㎡) 600万円 1,000万円 1,600万円 1,120万円 30%減
戸建て(都市部・土地120㎡) 4,800万円 700万円 5,500万円 1,660万円 70%減
マンション(都市部・70㎡) 1,200万円 1,400万円 2,600万円 1,640万円 37%減

表の見方:黄色の2行がマンションです。もともとの評価額が低いので、8割減を使う前から基礎控除に収まっています。減少率が小さいことを心配する必要はありません。

重要ポイント:注目すべきは8割減の後の金額です。都市部では戸建て1,660万円・マンション1,640万円とほぼ並びます。同じ地域なら、最終的な課税価格は大きく変わりません。

計算ロジック:8割減の後の評価額=土地×0.2+建物。都市部の戸建てなら4,800万円×0.2+700万円=1,660万円、マンションなら1,200万円×0.2+1,400万円=1,640万円です。

賃貸に出していたマンションの場合

人に貸していたマンションは扱いが変わります。土地も建物も評価額が下がる一方、8割減は50%までしか使えません。

自宅として使っていた 人に貸していた
土地の評価 路線価×持分の面積 貸家建付地として2割前後下がる
建物の評価 固定資産税評価額 借家権の分だけ3割下がる
小規模宅地の減額 330㎡まで80%減 200㎡まで50%減
合計の効果 土地に強く効く 評価額そのものが下がる分、有利になることもある

表の見方:薄赤のとおり減額の割合は下がりますが、貸家建付地と借家権で評価額自体が下がるため、結果として不利になるとは限りません。

注意:令和9年(2027年)1月1日以後の相続では、取得や新築から5年以内の貸付用不動産の評価を見直す予定です。国税庁は通達案を公表した段階です。

注意:亡くなる直前に賃貸を始めた場合は使えません。原則として3年より前から貸していることが要件です。節税目的の駆け込みは通用しません。

賃貸に出している不動産の評価を下げる方法は、下記の記事で解説しています。

この違いが判定に与える影響

効きが小さいと聞くと不利に思えますが、実務上の結論は逆です。マンションは8割減を使う前の段階で基礎控除に収まることが多いです。

先ほどの例では、郊外のマンションは1,600万円、都市部でも2,600万円でした。相続人2人の基礎控除4,200万円を、どちらも下回っています。預貯金を足しても収まる家庭は多いはずです。

重要ポイント:この場合は8割減を使う必要がないので、申告も不要になります。制度を使わずに済むほうが、手続きの負担はずっと軽くなります。

土地が資産の中心になると判定の考え方が変わります。戸建てや広い土地の場合は、下記の記事で解説しています。

配偶者が相続すれば1億6,000万円まで無税

配偶者には手厚い制度があります。1億6,000万円か法定相続分のどちらか大きい金額まで税額が0円です。マンションであれば、この枠を超えることはまずありません。

いくらまで無税になるか

無税になる上限は、相続人の組み合わせによって変わります。1億6,000万円と法定相続分を比べて、大きいほうが上限になります。

相続人の組み合わせ 配偶者の法定相続分 無税になる上限
配偶者と子 2分の1 1億6,000万円か遺産の2分の1の大きいほう
配偶者と父母 3分の2 1億6,000万円か遺産の3分の2の大きいほう
配偶者ときょうだい 4分の3 1億6,000万円か遺産の4分の3の大きいほう
配偶者のみ 全部 遺産の全額

表の見方:マンションの評価額は多くの場合1,000万〜3,000万円台です。配偶者が相続すれば、預貯金を合わせても枠に収まる家庭がほとんどです。

注意:この制度は申告書を出さないと適用されません。税額が0円でも申告が必要です。

子が相続する場合の判定

配偶者がすでに亡くなっている場合や、子が住み続ける場合の判定です。8割減を使えるかどうかは、同居していたかと持ち家があるかで決まります。

相続する子の状況 8割減 主な要件
親と同居していた 使える 申告期限まで住み続け、そのマンションを持ち続ける
生計を一にしていた(仕送りなど) 使える 申告期限まで住み続け、持ち続ける
別居だが持ち家がない 使える 配偶者も同居親族もいない/3年間持ち家に住んでいない
別居で持ち家がある 使えない 持ち家がある時点で対象外

表の見方:薄赤の行が最も多い失敗です。すでに自分の家を持っている子が実家のマンションを相続すると、8割減は使えません。同じ物件でも誰が相続するかで結論が変わります。

重要ポイント:ただしマンションは8割減を使わなくても基礎控除に収まることが多いです。使えないとわかっても、まず制度なしで判定してみてください。

親と同居していた場合の判定と、同居を始める前の注意点は下記の記事で解説しています。

配偶者に寄せすぎると次の相続で増える

目先の税額だけで決めると失敗することがあります。配偶者が受け取った財産には、次の相続でもう一度課税されます。

配偶者に全部を寄せる 子にも分ける
最初の相続の税額 0円 税額が出る
次の相続の相続人 1人減る 同じ
次の相続の基礎控除 600万円減る 同じ
次の相続で使える配偶者の軽減 使えない 同じ
2回の合計 増えることが多い 抑えられることが多い

表の見方:最初の相続で0円にしても、次の相続では基礎控除が600万円減り、配偶者の軽減も使えません。

重要ポイント:マンションではそもそも基礎控除に収まることが多いので、配偶者に寄せる必要がないケースも少なくありません。無理に配偶者へ集めず、住み続ける人が相続するのが自然です。

参照元:国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減

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2024年から評価額が上がるマンションがある

2024年1月以降の相続では、一部のマンションで評価額が引き上げられるルールが適用されています。判定に影響する可能性があるので、対象かどうかだけ確認してください。

どんなマンションが対象になるか

売買価格と評価額の開きが大きい物件が対象になります。築が浅く、階数が高く、敷地の持分が小さい物件ほど引き上げられます。

物件の特徴 評価額への影響 判定への影響
築浅・高層階のタワーマンション 大きく上がることがある 無税だと思っていたら課税されることがある
築浅の一般的な分譲マンション 多少上がることがある 境界にいる場合は再確認
築古のマンション ほぼ変わらない 従来どおりの判定でよい
一戸建て 対象外 影響なし
賃貸用のアパート一棟 対象外 影響なし

表の見方:薄赤の行がもっとも影響を受けます。高層階のタワーマンションでは評価額が数倍になる例もあります。黄色の築古物件なら、これまでどおりの判定で構いません。

重要ポイント:対象になるのは居住用の区分所有マンションです。一戸建てと、区分所有されていない賃貸アパート一棟は対象外です。

自分の物件が対象かを確かめる

国税庁が計算用のツールを公開しています。築年数・総階数・所在階・敷地の持分を入力すれば補正率が出ます。手計算をする必要はありません。

【確認に必要な4つの情報】

  • 築年数|登記事項証明書の新築年月日から数える
  • 総階数|建物全体の階数
  • 所在階|その住戸が何階にあるか
  • 敷地の持分の面積|敷地面積×敷地権の割合

いずれも登記事項証明書で確認できます。判定が境界に近い場合だけ確認すれば十分です。

注意:評価額が上がっても基礎控除を大きく下回っていれば結論は変わりません。ただし築浅・高層階の物件は評価額が数倍になることもあるため、基礎控除を下回っていても一度は補正率を確認してください。

対象に当てはまりそうな場合は、正確に計算する必要があります。新しいルールの計算方法とタワーマンションへの影響は、下記の記事で解説しています。

新ルールの対象外になるマンション

すべてのマンションが対象になるわけではありません。対象外なら従来どおりの評価なので、判定をやり直す必要はありません。

物件 新ルールの対象 理由
一戸建て 対象外 区分所有されていないため
二世帯住宅(区分登記なし) 対象外 同じ
賃貸アパート一棟 対象外 一棟をまるごと所有しているため
たな卸資産に当たるマンション 対象外 不動産業者が販売目的で保有しているもの
居住用の区分所有マンション 対象 1棟を複数人で区分して所有しているため

表の見方:黄色の2つは戸建てと同じ扱いです。親名義の一戸建てや区分登記していない二世帯住宅なら、この章は読み飛ばして構いません。

重要ポイント:判断の分かれ目は登記が区分所有になっているかどうかです。登記事項証明書の表題部を見れば、区分所有かどうかがわかります。

参照元:国税庁 No.4602 土地家屋の評価

参照元:国税庁 No.4667 居住用の区分所有財産の評価

相続税が0円でも申告が必要になる場合

0円になる理由は2つあります。もともと基礎控除以下だったのか、制度を使って0円にしたのかです。この違いで申告が必要かどうかが決まります。

申告が必要かどうかの判定表

自分がどの理由で0円になったかを確認してください。制度を使って0円にした場合は、申告しないと制度そのものが使えません。

0円になった理由 申告 申告しないとどうなるか
遺産の総額が基礎控除以下 不要 何も起きない
敷地の持分を8割減らして0円にした 必要 8割減が使えず、本来の評価額で課税される
配偶者の税額軽減で0円にした 必要 軽減が使えず、税額がそのまま発生する
未成年者控除・障害者控除で0円になった 不要 控除は申告なしで適用される

表の見方:薄赤の2つが要注意です。制度を使って0円にしたのに申告しないと、制度が適用されず税金が発生します。「0円だから何もしなくていい」という判断が最も危険です。

重要ポイント:マンションは8割減を使わなくても基礎控除に収まることが多いです。その場合は黄色の行に当たるので、申告は不要になります。

課税される場合の税額の目安

基礎控除を超えた場合、実際にいくら納めるのかを確認しておきます。超えた分だけに課税されるので、少し超えただけなら税額も小さくなります。

マンションの評価額 預貯金など 課税価格 相続税の総額
3,000万円 2,000万円 5,000万円 80万円
3,000万円 3,000万円 6,000万円 180万円
4,000万円 2,000万円 6,000万円 180万円
2,500万円 4,000万円 6,500万円 245万円
5,000万円 3,000万円 8,000万円 470万円

表の見方:相続人が子2人・基礎控除4,200万円の場合です。基礎控除を800万円超えても税額は80万円にとどまります。超えた瞬間に大きな負担が発生するわけではありません。

計算ロジック:課税価格から基礎控除を引き、法定相続分で分けて税率を掛けて合計します。5,000万円−4,200万円=800万円を2人で400万円ずつに分け、税率10%で各40万円、合計80万円です。

重要ポイント:8割減を使えばこの表の税額が0円になることもあります。評価額3,000万円(土地1,200万・建物1,800万)で預貯金2,000万円なら、8割減で課税価格が4,040万円に下がり基礎控除以下になります。

申告期限は10か月

申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。分け方が決まらなくても期限は延びません。

期限までに分割が決まらない場合は、いったん法定相続分で申告します。その際は「申告期限後3年以内の分割見込書」を必ず添付してください。この書類がないと、原則として後から分割が決まっても8割減を使えなくなります。

注意:マンションを共有で相続すると後の売却や建て替えに全員の同意が必要になります。分割が難しいからと安易に共有にしないでください。

参照元:国税庁 No.4205 相続税の申告と納税

土地に限らず、申告が要る場合と要らない場合の判定手順は下記の記事で解説しています。

相続税が0円でもやるべきこと|名義変更と毎月の管理費

相続税がかからなくても手続きは終わりません。名義変更には3年の期限があり、管理費と修繕積立金は毎月かかり続けます。マンションならではの負担です。

名義変更は3年以内|怠ると10万円以下の過料

2024年4月から不動産の名義変更が義務になりました。相続で取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しなければなりません。

起算点
自分のために相続が始まったことを知り、かつそのマンションを取得したことを知った日から数える

⬇

期限
3年以内に所有権移転の登記を申請する(不動産登記法76条の2第1項)

⬇

怠った場合
正当な理由がないのに申請を怠ると10万円以下の過料(同法164条1項)

⬇

費用
登録免許税は固定資産税評価額の0.4%。評価額1,000万円なら4万円

重要ポイント:この義務は相続税がかかるかどうかとは無関係です。税金が0円の家庭にも同じように適用されます。

注意:すぐに分け方が決まらない場合は相続人申告登記という簡易な手続きで義務を果たせます。正式な登記は分割が決まってから行います。

参照元:e-Gov法令検索 不動産登記法(第76条の2・第164条)

管理費と修繕積立金は住まなくてもかかる

マンション特有の負担が管理費と修繕積立金で、誰も住んでいなくても、所有している限り毎月支払う義務があります。

費用 目安(月額) 住まなくてもかかるか 滞納した場合
管理費 1万〜2万円 かかる 管理組合から請求される
修繕積立金 1万〜2万円 かかる 同じ。年数とともに値上がりする
固定資産税・都市計画税 年5万〜15万円程度 かかる 延滞金がつく
合計 年40万〜60万円程度 かかる 次の買主に滞納分が引き継がれる

表の見方:薄赤の行のとおり、空き家のまま持ち続けると年40万〜60万円が出ていきます。相続税が0円でも、この負担は毎年発生します。

重要ポイント:管理費の滞納は売却したときに次の買主へ引き継がれます。そのぶん売買価格から差し引かれるため、放置すると手取りが減ります。

注意:修繕積立金は築年数が進むほど値上がりするのが一般的です。相続時の金額がそのまま続くとは考えないでください。

滞納していた管理費は債務として差し引ける

亡くなった時点で管理費や修繕積立金の未払いがあれば、債務として遺産から差し引けます。判定が境界にある家庭では結論が変わることがあります。

費用 債務として引けるか 説明
亡くなる前の未払い管理費 引ける 亡くなった時点で存在していた本人の債務
未払いの固定資産税 引ける 同じ
亡くなる前の入院費・治療費の未払い 引ける 同じ
亡くなった後の管理費 引けない 相続人が負担する費用になる
リフォーム費用・売却の仲介手数料 引けない 相続人が後から負担した費用

表の見方:境目は亡くなった時点で存在していた債務かどうかです。薄赤の2つは実際に出ていくお金ですが、相続税の計算には反映されません。

重要ポイント:管理組合に亡くなった日時点の未納額を証明する書類を発行してもらうと、申告のときに使えます。滞納が長期にわたる物件では金額が大きくなります。

参照元:国税庁 No.4126 相続財産から控除できる債務

債務を差し引く仕組みと、引けるもの・引けないものの区分は下記の記事で解説しています。

相続後にやることの時系列

マンションを相続したときに動くべき期限は複数あります。相続税の10か月と、名義変更の3年が中心です。

すぐ
管理組合に連絡する。管理費と修繕積立金の引落口座は凍結されるため、変更手続きが必要

⬇

3か月以内
相続を放棄するかどうかを決める。管理費の滞納が多額なら放棄も選択肢になる

⬇

10か月以内
相続税の申告と納税。8割減や配偶者の軽減を使うなら、0円でもここで申告する

⬇

3年以内
名義変更(相続登記)を申請する。怠ると10万円以下の過料

⬇

毎月・毎年
管理費・修繕積立金・固定資産税を払い続ける

重要ポイント:見落とされやすいのが最初の管理組合への連絡です。亡くなった人の口座が凍結されると管理費が引き落とせなくなります。気づかないうちに滞納が積み上がることがあります。

注意:相続税が0円だった家庭でも3年以内の名義変更と毎月の管理費は必ず発生します。「税金がかからないから終わり」ではありません。

住まないなら早めに方針を決める

相続したマンションに誰も住まない場合、選択肢は3つです。持ち続けるほど費用がかさむため、早めの判断が有利になります。

【住まない場合の3つの選択肢】

  • 売却する|申告期限の翌日から3年以内に売れば、納めた相続税の一部を取得費に加算できる
  • 賃貸に出す|管理費と修繕積立金を家賃でまかなえる。ただし入居者が決まるとは限らない
  • 持ち続ける|将来の値上がりを見込む場合。年40万〜60万円の負担が続く

相続税が0円だった家庭でも、売却して利益が出れば譲渡所得税がかかります。

重要ポイント:売却する可能性があるなら相続登記を先に済ませておく必要があります。名義が亡くなった人のままでは売却できません。

相続したマンションを売却する場合の税金と特例は、下記の記事で解説しています。

マンションの相続税の判定を間違えやすいポイント

「かからない」と思い込んで放置した結果、後から税金を請求されることがあります。実際に起きている4つの間違いと対策を確認してください。

評価額の見方でつまずくケース

判定に使う数字を取り違えるのが最も多い失敗です。売買価格でも課税標準額でもなく、相続税の評価額で判定します。

事例1:3,500万円で購入したマンションを見て「基礎控除4,200万円に近いから危ない」と考え、慌てて税理士に相談した。実際の評価額は2,100万円で、預貯金を足しても基礎控除以下だった。

対策:課税明細書の家屋の「価格」と、路線価×敷地の持分で概算を出す。売買価格で判断しない。

事例2:課税明細書の「課税標準額」を使って評価額を計算し、実際より低く見積もっていた。土地の課税標準額は住宅用地の特例で価格の6分の1以下に下がっているため、土地の評価を大きく見誤っていた。

対策:明細書では「価格」の欄を見る。「課税標準額」は固定資産税を計算するための数字で、相続税では使わない。

  • □ 課税明細書の家屋の「価格」を確認した
  • □ 登記事項証明書で敷地権の割合を確認した
  • □ 路線価を国税庁のサイトで調べた
  • □ 預貯金・保険金を含めて遺産の総額を出した
  • □ 保険金の非課税枠(500万円×人数)を引いた
  • □ 相続を放棄した人も人数に入れて基礎控除を計算した

重要ポイント:基礎控除の人数は相続を放棄した人も含めて数えます。放棄した人を除くと基礎控除が600万円少なくなり、判定を誤ります。

共有で相続したときのトラブル

マンションは物理的に分けられないため、共有にしてしまいがちです。共有は後々の身動きを取れなくします。

やりたいこと 共有の場合 単独名義の場合
売却する 共有者全員の同意が必要 1人で決められる
賃貸に出す 持分の過半数の同意が必要 1人で決められる
リフォームする 共有者の同意が必要 1人で決められる
共有者が亡くなった その持分がさらに分かれて人数が増える 影響なし

表の見方:薄赤の行のとおり、共有者が亡くなるたびに関係者が増えて収拾がつかなくなります。次の世代に持ち越すほど解決が難しくなります。

重要ポイント:分けにくい場合は1人が取得して他の相続人に金銭を渡す方法があります。共有にする前に、この選択肢を検討してください。

共有名義になった不動産の評価と、共有を解消する方法は下記の記事で解説しています。

制度の使い方でつまずくケース

制度は条件を満たしていても、手続きをしなければ使えません。0円になったから何もしなくてよい、という判断が最も危険です。

事例3:8割減を使えば0円になると計算し、申告書を出さなかった。後の税務調査で8割減が認められず、本来の評価額で課税された。

対策:制度を使って0円にした場合は必ず申告書を提出する。マンションでは8割減を使わずに済むことも多いので、まず使わない場合で判定する。

事例4:親が住んでいたマンションを、持ち家のある子が相続した。8割減を使えると思い込んでいたが要件を満たさず、評価額がそのまま課税価格になった。

対策:誰が相続すれば8割減を使えるかを、分け方を決める前に確認する。配偶者以外は同居や持ち家なしなどの要件がある。

重要ポイント:相続税がかからない判定と、手続きが不要という判断は別です。判定が「かからない」でも、名義変更の3年の期限は必ず来ます。

相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ
相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ

マンションの相続税の判定は相続税の対応実績がある税理士へ|一括相談・見積り

マンションの評価は、同じ物件でも人によって金額が変わります。評価額が変われば「かかる・かからない」の結論そのものが変わります。2024年の新しいルールが加わって、判断はさらに難しくなりました。

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

マンションの相続税は敷地の持分の計算と、新ルールの当てはめで差がつきます。税理士なら誰でも同じ結論になるわけではありません。

【相続税の対応実績がある税理士に依頼する理由】

  • 敷地の持分を正しく計算できる|登記事項証明書の敷地権の割合から、持分の面積と評価額を算出する
  • 2024年の新ルールを当てはめられる|築年数・総階数・所在階から補正率を計算し、評価額の上振れを見落とさない
  • 8割減を使える人を判定できる|誰が相続すれば使えるかを、分け方を決める前に示せる
  • 申告が必要かどうかを正確に判断できる|制度を使わずに基礎控除に収まるなら、申告不要と言い切れる
  • 共有を避ける分け方を提案できる|分けにくいマンションで、後のトラブルを防ぐ配分を設計する

具体例で見てみます。築8年・15階建ての10階にあるマンションで、A税理士は従来の方法で評価額2,800万円と算出しました。

B税理士は2024年の新ルールを当てはめて4,100万円と算出しました。預貯金500万円と合わせると、A税理士では申告不要、B税理士では基礎控除4,200万円を超えて課税という正反対の結論になります。

複数の税理士に相談するメリット

マンションの案件では、確認の仕方に差が出ます。次の3つを比べれば実務力が見えます。

判定ポイント1:登記事項証明書の提出を求めるか|課税明細書だけで評価する事務所と、登記事項証明書で敷地権の割合を確認する事務所があります。→ 後者のほうが、持分の計算を誤りません。

判定ポイント2:2024年の新ルールに触れるか|見積りや初回相談で、築年数や階数を聞いてくるかを見ます。→ 聞いてくる事務所のほうが、補正率の判定まで想定していると判断できます。

判定ポイント3:申告不要と言い切れるか|念のため申告しましょうと言う事務所と、基礎控除以下だから不要と示す事務所があります。→ 後者のほうが、根拠を持って判定していると判断できます。

見積りを取るだけなら費用はかかりません。3〜5の事務所に同時に打診して、評価額と提案内容を横に並べて比べてください。

相談しないまま進めるリスク

マンションの判定を自分だけで済ませると、気づかないまま損をしているか、後から請求されるかのどちらかになります。

【相談しないまま進めた場合に起きること】

  • 売買価格で判定して不安になる|実際の評価額は相場の6割前後なのに、課税されると思い込んで無駄な相談費用をかける
  • 新ルールを見落として申告しない|築浅・高層階の物件で評価額が上振れし、無申告加算税(15〜30%)の対象になる
  • 課税標準額を使って過小に見積もる|明細書の読み違いで、基礎控除を超えているのに気づかない
  • 8割減を使い損なう|使える人が相続していれば0円だったのに、分け方を決めた後では戻せない
  • 名義変更の3年を過ぎる|相続税とは別の義務を知らず、過料の対象になる

どれも分け方を決める前に相談していれば避けられるものです。分け方が確定してからでは戻せない判断があるため、早い段階で確認してください。

一括相談・見積りの手順|STEP1〜STEP4

見積りを集めて比べる流れは4段階です。フォームの記入は5分程度で終わります。

STEP1
相続の概要を整理する
亡くなった人の資産の内容と概算額、相続人の構成と年齢、遺言の有無を書き出す。固定資産税の課税明細書と登記事項証明書を手元に用意する

⬇

STEP2
一括見積り・相談サービスに依頼する
希望内容として「相続税申告・不動産の評価・準確定申告」などを明記し、3〜5の事務所への同時打診を依頼する。マンションの所在地・専有面積・築年数・階数を必ず記載する。財産の種類と相続人の人数はできるだけ正確に伝える

⬇

STEP3
見積りと初回相談を受ける
各事務所から提案内容・試算した相続税額・報酬額が届く。気になる事務所と初回相談を行い、2024年の新ルールをどう当てはめるかを確認する

⬇

STEP4
税理士を選定して正式に依頼する
提案内容の質・説明の丁寧さ・報酬の納得性で選ぶ。相続開始から7か月以内に決めれば、申告期限まで余裕を持って進められる

重要ポイント:築浅・高層階のマンションでは相続開始から7か月以内に依頼先を決めてください。新ルールの計算には登記情報の確認が必要で、時間がかかります。

よくある質問

Q1. マンションはいくらまでなら相続税がかかりませんか?

相続人が2人なら遺産の合計4,200万円まで、3人なら4,800万円までです。基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算します。判定に使うのはマンションだけでなく、預貯金や保険金を含めた総額です。

自宅で8割減が使える場合は、土地1・建物2の物件なら相続人2人で約5,700万円までが目安です。戸建てのように基礎控除の5倍まで耐えられるわけではありません。

Q2. 3,000万円で買ったマンションでも相続税はかかりますか?

多くの場合かかりません。判定に使うのは売買価格ではなく相続税の評価額で、売買価格より低くなるためです。相場3,000万円のマンションの評価額が1,800万円前後(相場の6割程度)ということは珍しくありません。

ただし2024年から一部のマンションで評価額が引き上げられています。築が浅く階数の高い物件では、この目安より高く出ることがあります。

Q3. マンションでも小規模宅地等の特例は使えますか?

使えます。敷地の持分が対象になり、評価額を80%減らせます。マンションの持分は一般的な住戸で15〜40㎡程度なので、330㎡という上限に届くことはまずありません。持分の全部に減額が適用されます。

ただし建物には減額が効きません。マンションは評価額に占める建物の比率が高いため、全体では3割前後しか下がらないのが一般的です。

Q4. 相続税が0円なら申告しなくてもいいですか?

理由によって変わります。もともと遺産の総額が基礎控除以下だった場合は申告不要です。一方で8割減や配偶者の税額軽減を使って0円にした場合は申告が必要です。

マンションは制度を使わなくても基礎控除に収まることが多いので、申告不要になる家庭が少なくありません。まず制度を使わない状態で判定してください。

Q5. 誰も住まないマンションを相続したらどうすればいいですか?

売却・賃貸・保有継続の3つから選びます。住まなくても管理費と修繕積立金は毎月かかり、固定資産税と合わせて年40万〜60万円程度の負担が続きます。

売却する場合は、相続税の申告期限の翌日から3年以内に売ると納めた相続税の一部を取得費に加算できます。いずれにせよ売却には相続登記が先に必要です。

まとめ

マンションを相続しても相続税がかからない家庭は多数派です。ただし「かからない」ことと「何もしなくてよい」ことは別です。

  • 判定に必要なのは固定資産税の課税明細書と登記事項証明書
  • 相続人2人なら遺産の合計4,200万円まで無税。8割減が使えれば土地1:建物2の物件で約5,700万円まで
  • 判定に使うのは売買価格ではなく相続税の評価額。一般に売買価格よりかなり低い
  • 敷地の持分は一般的な住戸で15〜40㎡程度なので、小規模宅地の330㎡という上限にはまず届かない
  • 一方で8割減の効きは戸建ての半分程度。建物の比率が高く建物には減額がないため
  • 2024年から一部のマンションは評価額が上がる。築浅・高層階の物件は要確認
  • 制度を使って0円にした場合は申告が必要。使わずに基礎控除以下なら申告は不要
  • 相続税が0円でも名義変更は3年以内。管理費と修繕積立金は毎月かかり続ける

もっとも多い失敗は、売買価格を見て「うちは課税される」と思い込むことです。実際の評価額は相場の6割前後で、多くの家庭は基礎控除に収まります。

今すぐ取るべき行動

  • 固定資産税の課税明細書を探し、家屋の「価格」を確認する
  • 登記事項証明書を取り、敷地権の割合と敷地面積を確認する
  • 国税庁のサイトで路線価を調べ、持分の面積を掛けて概算を出す
  • 預貯金や保険金を含めた遺産の総額を出し、基礎控除と比べる
  • 築浅・高層階の物件なら、2024年の新ルールの対象かを確認する
  • 判定が境界に近い場合は、相続税の対応実績がある税理士へ相談する
  • 相続税が0円でも、3年以内の名義変更を予定に入れる

※本記事は2026年10月時点の法令・情報に基づいて作成しています。税制改正により、内容が変更となる可能性があります。最新の制度については国税庁の公式サイトや相続税の対応実績がある税理士にご確認ください。

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