


小規模宅地等の特例とは、被相続人が住んでいた土地や事業に使っていた土地について、相続税の評価額を最大80%減額できる制度です。
自宅の土地なら330㎡まで80%、賃貸アパートの土地なら200㎡まで50%が減額されます。
この特例は、相続税の負担を左右する制度のなかで最も効果が大きいものです。評価額5,000万円の自宅であれば、1,000万円まで下がります。
一方で、要件は相続する人の立場によって細かく分かれています。配偶者・同居していた親族・別居の親族で、満たすべき条件がまったく違います。
さらに見落とされやすいのが、要件を満たす人が複数いる場合です。誰がその土地を相続するかで、納める相続税の合計額が変わります。
配偶者は無条件で特例を使えますが、配偶者には別に税額軽減の枠があるため、配偶者に寄せることが必ず得になるとは限りません。
本記事では、4類型の要件と限度面積、誰が相続すると税負担が軽くなるかの判定、複数の土地がある場合の選び方、計算方法とケース別の試算、判断に迷うケースの結論、申告の実務までを解説します。
▼ この記事の3行まとめ

小規模宅地等の特例は、遺された家族が住む家や生活の糧である事業用の土地に相続税がそのままかかると、生活が続けられなくなることに配慮した制度です。対象になる土地は4つの類型に分かれ、それぞれ限度面積と減額割合が違います。
ここではまず全体像と、実際に税額がいくら変わるのかを確認します。
特例の対象になる土地は、被相続人がどう使っていたかで4つに分類されます。分類ごとに、減額できる面積の上限と割合が決まっています。
| 類型 | 対象になる土地 | 限度面積 | 減額割合 |
|---|---|---|---|
| 特定居住用宅地等 | 自宅の土地 | 330㎡ | 80% |
| 特定事業用宅地等 | 店舗・工場など事業用の土地 | 400㎡ | 80% |
| 特定同族会社事業用宅地等 | 同族会社に貸している事業用の土地 | 400㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地等 | 賃貸アパート・駐車場の土地 | 200㎡ | 50% |
表の見方:限度面積は「その面積までは減額できる」という上限です。限度面積を超えた部分は通常どおりの評価になり、減額されません。
重要ポイント:減額されるのは土地だけで、建物は対象外です。建物は固定資産税評価額でそのまま評価されます。
参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
類型ごとの要件に入る前に、すべての類型に共通する前提があります。ここを満たしていなければ、どの類型でも特例は使えません。
| 前提条件 | 内容 |
|---|---|
| 相続または遺贈で取得した宅地であること | 生前贈与で取得した土地は対象外 |
| 建物または構築物の敷地であること | 青空駐車場や更地は対象外 |
| 申告期限までに分割されていること | 未分割の場合は分割見込書で猶予できる |
見落とされやすいのは2つ目です。アスファルト舗装もない青空駐車場は構築物がないため、貸付事業用宅地等として認められません。
砂利敷きやフェンスなど、何らかの構築物があれば対象になり得ます。駐車場を相続する場合は、現況を写真で残しておくと判断の材料になります。
多くの解説は「評価額が8割下がる」で止まります。しかし読者が知りたいのは、納める相続税がいくら変わるかです。
自宅の土地330㎡が5,000万円、建物が500万円、預貯金が4,500万円。相続人は配偶者と子1人で、配偶者が2分の1を取得したケースで試算します。
| 項目 | 特例を使わない場合 | 特例を使う場合 |
|---|---|---|
| 土地の評価額 | 5,000万円 | 1,000万円 |
| 課税価格の合計 | 1億円 | 6,000万円 |
| 基礎控除 | 4,200万円 | 4,200万円 |
| 課税遺産総額 | 5,800万円 | 1,800万円 |
| 相続税の総額 | 770万円 | 180万円 |
| 実際の納税額 | 385万円 | 90万円 |
表の見方:特例を使うと土地の評価が4,000万円下がり、課税価格が1億円から6,000万円になります。その結果、実際の納税額は385万円から90万円へ295万円軽くなります。
計算ロジック:基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人2人=4,200万円です。相続税の総額は法定相続分で按分してから税率を掛け、合計して算出します。配偶者の税額軽減により、配偶者の負担分は0円になっています。
相続税の計算手順そのものは、下記の記事で解説しています。

特例の解説の多くは、要件を満たすかどうかの判定で終わります。ところが実務でつまずくのは、その次の段階です。
配偶者も同居している子も要件を満たす家庭は珍しくありません。そのとき、どちらがその土地を相続するかで、家族全体が納める相続税の合計は変わります。
配偶者には特例とは別に「配偶者の税額軽減」があり、1億6,000万円までは相続税がかかりません。この2つの枠をどう配分するかが、税額を決める分かれ目になります。
基礎控除で相続税がかかるかどうかの判定は、下記の記事で解説しています。


特定居住用宅地等の特例が使えるかどうかは、土地の条件ではなく「誰が相続するか」で決まります。判定は配偶者・同居していた親族・別居の親族の3区分で行い、それぞれ求められる条件がまったく違います。
ここでは3区分の条件と、自分がどれに当たるかの判定を整理します。
配偶者が自宅の土地を相続する場合、追加の条件は一切ありません。同居していたかどうかも問われません。
申告期限の前に売却しても特例は適用されます。これは同居親族には認められていない、配偶者だけの扱いです。
ただし、使えることと使うべきことは別です。配偶者の税額軽減と重なるため、配偶者に寄せた結果として二次相続の負担が膨らむ場合があります。
被相続人と同居していた親族が相続する場合は、2つの条件が加わります。相続税の申告期限まで、その家に住み続け、かつ土地を持ち続けることです。
申告期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月です。この10か月の途中で引っ越すか売却すると、特例は使えなくなります。
重要ポイント:住民票を移しただけの形式的な同居は認められません。生活の実態がどこにあったかで判断されるため、光熱費の使用状況や近隣の証言まで確認されることがあります。
特定居住用宅地等の対象は、被相続人が住んでいた宅地だけではありません。生計を一にする親族が住んでいた宅地も対象になります。
被相続人が所有する家に子が住み、生活費を共通にしていたケースが典型です。被相続人自身がそこに住んでいなくても、特例を使えます。
| 判定項目 | 内容 |
|---|---|
| 生計を一にするとは | 生活費や学費などを共通の財布から支出している状態 |
| 同居の要否 | 同居していなくてもよい |
| 対象になる人 | その宅地に住んでいた生計一の親族 |
| 相続後の要件 | 申告期限まで居住と保有を継続 |
重要ポイント:単に仕送りをしているだけでは生計を一にするとは認められにくく、家賃や生活費のやり取りの実態が問われます。逆に、その子が家賃を払っていると貸付とみなされる可能性があります。
同居親族として特例を使う場合、住民票の記載だけでは足りません。税務署は生活の実態を複数の資料から確認します。
| 確認される項目 | 見られる内容 |
|---|---|
| 電気・ガス・水道の使用量 | 実際に生活していた形跡があるか |
| 郵便物の届け先 | 日常的な連絡先がその家になっているか |
| 勤務先への通勤経路 | 通勤定期の区間がその家からになっているか |
| 家財道具の状況 | 生活に必要な家具・衣類がその家にあるか |
| 近隣への聞き取り | 実際に出入りしていたと認識されているか |
注意:住民票だけを移して同居を装うのは仮装行為に当たります。特例が否認されるだけでなく、重加算税の対象になります。
逆に、実態があれば同居の期間が短くても認められます。亡くなる直前からの同居でも、生活の本拠が移っていれば要件を満たします。
別居している親族でも特例を使える場合があります。通称「家なき子」と呼ばれる扱いです。
ただし前提として、配偶者も同居していた親族も存在しないことが条件です。配偶者が健在であれば、この区分は検討の余地がありません。
【家なき子の主な条件】
相続開始前3年以内に、自分または配偶者などが所有する家に住んでいないことが求められます。2018年の改正で、親名義の家に住み続ける形の抜け道は塞がれました。
家なき子の5要件と2018年改正の詳細は、下記の記事で解説しています。

どの区分に当たるかで、確認すべき条件が変わります。上から順に当てはめてください。
| 区分 | 追加の条件 | 申告期限前の売却 | 使いやすさ |
|---|---|---|---|
| 配偶者 | なし | 可 | ◎ |
| 同居していた親族 | 申告期限まで居住と保有を継続 | 不可 | ○ |
| 別居の親族(家なき子) | 配偶者と同居親族がいない・3年以内に持ち家に住んでいない | 不可 | △ |
重要ポイント:3区分は並列ではなく順番です。配偶者がいる時点で、別居の親族は特例を使えません。

要件を満たす人が複数いる場合、誰が自宅を相続するかで家族全体の税負担は変わります。しかも一次相続だけを見て決めると、二次相続で逆転することがあります。
ここでは3つの分け方について、一次と二次を通した合計額を比較します。
配偶者には、小規模宅地等の特例とは別に配偶者の税額軽減があります。1億6,000万円か法定相続分のいずれか多い額までは、相続税がかかりません。
つまり配偶者が財産を多く取得しても、一次相続の税額はもともと小さく抑えられます。そこへ特例まで重ねると、2つの枠が同じ財産に重なって効きます。
ただし、配偶者が取得した財産は二次相続でもう一度課税されます。したがって判断は、二次相続まで通して見る必要があります。
次の条件で3パターンを比較します。自宅の土地330㎡が5,000万円、建物が500万円、預貯金が4,500万円、配偶者の固有財産が2,000万円。相続人は配偶者と子1人です。
まず、二次相続でも子が特例を使える場合、つまり子が同居を続けるケースです。
| 分け方 | 一次の納税額 | 二次の課税価格 | 二次の納税額 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| パターンA|配偶者が自宅を取得 | 135万円 | 3,500万円 | 0円 | 135万円 |
| パターンB|同居の子が自宅を取得 | 45万円 | 6,500万円 | 385万円 | 430万円 |
| パターンC|配偶者と子が2分の1ずつ共有 | 90万円 | 5,000万円 | 160万円 | 250万円 |
表の見方:一次だけを見るとパターンBが45万円で最も軽く見えます。ところが二次まで含めると、パターンAの135万円が最も軽く、Bとの差は295万円になります。
重要ポイント:配偶者に自宅を持たせると、二次相続でもその自宅に特例が効いて評価が5分の1になります。逆に配偶者に預貯金を持たせると、二次相続ではその預貯金が満額で課税されます。
計算ロジック:一次の基礎控除は4,200万円、二次は子1人で3,600万円です。二次の課税価格は、配偶者が一次で取得した財産に固有財産2,000万円を加えた額で計算しています。パターンAの二次は3,500万円で基礎控除を下回るため0円になります。
同じ3パターンを、二次相続で子が特例を使えない場合で計算し直します。子が別居していて持ち家がある、といったケースです。
| 分け方 | 一次の納税額 | 二次の課税価格 | 二次の納税額 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| パターンA|配偶者が自宅を取得 | 135万円 | 7,500万円 | 580万円 | 715万円 |
| パターンB|同居の子が自宅を取得 | 45万円 | 6,500万円 | 385万円 | 430万円 |
| パターンC|配偶者と子が2分の1ずつ共有 | 90万円 | 7,000万円 | 480万円 | 570万円 |
表の見方:最も軽い分け方がパターンAからパターンBへ入れ替わりました。同じ財産でも、二次で特例が使えるかどうかで最適解が逆転します。
計算ロジック:二次で特例が使えない場合、自宅の土地は5,000万円のまま課税されます。パターンAでは配偶者が自宅を持っているため、二次の課税価格が7,500万円まで膨らみます。
一次相続から10年以内に二次相続が起きた場合、相次相続控除で二次の税負担を軽くできます。ただしこの制度には前提があります。
控除額の計算の基礎になるのは、一次相続で配偶者が実際に納めた相続税額です。配偶者の税額軽減で納税が0円だった場合、控除できる額も0円になります。
つまり配偶者に寄せて一次の納税を0円にすると、二次相続で相次相続控除という緩和策も同時に失うことになります。
計算ロジック:相次相続控除は「一次で課された相続税額×一定の割合×(10-経過年数)÷10」で計算します。一次の納税額が0円なら、どの年数で計算しても控除額は0円です。
これまでの試算では、配偶者の固有財産を2,000万円としてきました。この額が大きいほど、配偶者に財産を寄せる不利は大きくなります。
配偶者がもともと3,000万円を超える財産を持っている場合、二次相続の基礎控除3,600万円をその時点で使い切ってしまいます。
| 配偶者の固有財産 | 二次相続への影響 | 向いている分け方 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 基礎控除の枠に余裕がある | 配偶者が自宅を取得しやすい |
| 2,000万円前後 | 枠の半分程度を使う | 二次で特例が使えるかで判断 |
| 3,600万円超 | 固有財産だけで枠を超える | 子が取得したほうが軽くなりやすい |
重要ポイント:判断に必要なのは相続財産の額だけではありません。配偶者名義の預貯金と自宅以外の不動産を、一次相続の段階で必ず洗い出してください。
遺言で自宅の取得者が指定されている場合でも、税負担の面で不利であれば変更できます。相続人全員が合意すれば、遺言と異なる分割が可能です。
ただし遺言執行者がいる場合や、受遺者に相続人以外が含まれる場合は、その人の同意も必要になります。
重要ポイント:遺言があるからと試算を省略すると、有利な選択肢を検討しないまま申告することになります。遺言の内容と、税額が最も軽くなる分け方の両方を並べて比較してください。
ここまでの結果を、読者が自分のケースに当てはめられる形に整理します。
| 二次相続で子は特例を使えるか | 配偶者の固有財産 | 有利になりやすい分け方 |
|---|---|---|
| 使える(同居を継続する) | 少ない | 配偶者が自宅を取得 |
| 使える(同居を継続する) | 多い | 共有または子が取得 |
| 使えない | 少ない | 子が自宅を取得 |
| 使えない | 多い | 子が自宅を取得 |
重要ポイント:判断の起点は「二次相続で子が特例を使えるか」です。ここを確かめずに配偶者へ寄せると、二次で数百万円の差が生じます。
配偶者の税額軽減と二次相続の設計は、下記の記事で解説しています。

配偶者に渡す割合そのものの決め方は、下記の記事で解説しています。


自宅と賃貸アパートの両方がある場合、特例をどちらに使うかを選べます。総額が大きい土地を選ぶのは誤りで、判断すべきは1㎡あたりの減額効果です。
ここでは選び方の基準と、併用できる組み合わせを整理します。
特例の効き方は、限度面積と減額割合の掛け算で決まります。同じ評価額の土地でも、類型が違えば減額できる金額は変わります。
1㎡あたり10万円の土地を例にすると、類型ごとの最大減額は次のとおりです。
| 類型 | 限度面積 | 減額割合 | 最大減額(㎡単価10万円) |
|---|---|---|---|
| 特定居住用宅地等 | 330㎡ | 80% | 2,640万円 |
| 特定事業用宅地等 | 400㎡ | 80% | 3,200万円 |
| 特定同族会社事業用宅地等 | 400㎡ | 80% | 3,200万円 |
| 貸付事業用宅地等 | 200㎡ | 50% | 1,000万円 |
表の見方:同じ㎡単価なら、貸付事業用の効果は特定事業用の3分の1以下です。貸付用を選ぶ価値があるのは、その土地の㎡単価がよほど高い場合に限られます。
どこまで㎡単価が高ければ貸付用を選ぶべきかは、計算で出せます。限度面積と減額割合の積を比べるだけです。
【特定事業用と比べる場合】
400㎡×80%÷(200㎡×50%)=3.2倍。貸付用の㎡単価が事業用の3.2倍を超えるなら、貸付用を優先します。
【特定居住用と比べる場合】
330㎡×80%÷(200㎡×50%)=2.64倍。貸付用の㎡単価が自宅の2.64倍を超えるなら、貸付用を優先します。
計算ロジック:限度面積いっぱいに使ったときの減額額を比べています。自宅の㎡単価が20万円なら、貸付用は52.8万円を超えて初めて有利になります。都心の一等地でなければ、自宅を優先するのが通常の結論です。
貸付事業用を含む限定併用では、200㎡の枠をどう割り振るかを自分で決められます。配分によって減額額が変わるため、機械的に決めないでください。
手順は3段階です。まず各土地の㎡単価を出し、次に1㎡あたりの減額効果を比べ、最後に効果が大きい土地から枠を埋めます。
特定居住用は1㎡使うごとに枠を200/330㎡だけ消費します。枠の消費量あたりの減額額で比べると、どちらを優先すべきかが一目で決まります。
計算ロジック:自宅の㎡単価が15万円なら、枠1㎡あたりの減額は15万円×80%÷(200/330)=19.8万円です。貸付用は㎡単価20万円なら20万円×50%÷1=10万円となり、自宅を優先すべきと分かります。
自宅が2か所ある場合、どちらにも特例を使えるとは限りません。被相続人の生活の本拠は1か所と判断されるためです。
【2か所を行き来していた場合】
生活の本拠と認められる1か所だけが対象です。滞在日数や住民票の所在で判断されます。
【片方に被相続人、片方に生計を一にする親族が住んでいた場合】
両方が対象になり得ます。ただし合計で330㎡が上限である点は変わりません。
【片方を人に貸していた場合】
貸していたほうは貸付事業用宅地等として、別の類型で判定します。
2か所目が別荘であれば対象外です。生活の実態がない土地には、居住用としての特例は使えません。
特例は1つの土地にしか使えないわけではありません。ただし組み合わせによって、使える面積の考え方が変わります。
貸付事業用を含まない組み合わせなら、それぞれの限度面積をフルに使えます。自宅330㎡と事業用400㎡で、合計730㎡まで減額できます。
一方、貸付事業用を含める場合は限定併用になり、次の式で200㎡以内に収める必要があります。
計算ロジック:特定居住用の面積×200/330+特定事業用等の面積×200/400+貸付事業用の面積 ≦ 200㎡。自宅330㎡をフルに使うとこの式で200㎡を使い切るため、貸付用には枠が残りません。
| 組み合わせ | 併用の扱い | 使える面積 |
|---|---|---|
| 特定居住用+特定事業用 | 完全併用 | 330㎡+400㎡=730㎡ |
| 特定居住用+特定同族会社事業用 | 完全併用 | 330㎡+400㎡=730㎡ |
| 特定居住用+貸付事業用 | 限定併用 | 調整計算で200㎡まで |
| 特定事業用+貸付事業用 | 限定併用 | 調整計算で200㎡まで |
重要ポイント:限定併用では、どの土地に何㎡ずつ割り振るかを自分で決められます。減額額が最大になる配分を選ぶことで、税額に差が出ます。
参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

自宅以外の土地にも特例は使えますが、条件は類型ごとに異なります。共通するのは、相続した人が申告期限までその事業を続けることです。
ここでは3つの類型の要件を確認します。
被相続人が個人で営んでいた事業に使っていた土地です。相続した親族が事業を引き継ぎ、申告期限まで続けることが条件になります。
相続開始前3年以内に事業用にした土地は、原則として対象外です。相続の直前に事業を始めて評価を下げる動きを封じるための規定です。
| 確認項目 | 条件 |
|---|---|
| 限度面積・減額割合 | 400㎡・80% |
| 事業の開始時期 | 相続開始前3年より前から |
| 相続後の事業 | 申告期限まで継続 |
| 土地の保有 | 申告期限まで保有 |
事業用宅地の要件と計算は、下記の記事で解説しています。

人に貸している土地は、限度面積200㎡・減額割合50%と、他の類型より条件が厳しくなっています。
注意:2018年の改正により、相続開始前3年以内に新たに貸付を始めた土地は原則として対象外になりました。相続が近づいてからアパートを建てる対策は、この規定で効かなくなります。
ただし、3年を超えて事業的規模で貸付を続けてきた場合は、この制限を受けません。
貸付事業用宅地の要件と駐車場の扱いは、下記の記事で解説しています。

相続開始前3年以内に事業用にした土地は原則として対象外ですが、例外があります。事業に使っている資産の価額が一定以上ある場合です。
その土地の上で使っている事業用資産の価額が、土地の評価額の15%以上であれば対象になります。設備投資を伴う本格的な事業を除外しないための規定です。
事業用資産には、建物・構築物・機械装置・器具備品などが含まれます。棚卸資産は含まれません。
重要ポイント:相続の直前に事業を始めた場合でも、工場や店舗を建てて設備を入れていれば15%の基準を満たすことがあります。除外されると決めつける前に、資産の価額を集計してください。
貸付事業用宅地等では、3年以内に始めた貸付が原則対象外になります。ただし事業的規模で貸付を続けてきた場合は、この制限を受けません。
事業的規模かどうかは、いわゆる5棟10室基準で判断されます。独立した家屋なら5棟以上、アパートなら10室以上が目安です。
| 貸付の形態 | 事業的規模の目安 |
|---|---|
| 戸建ての賃貸 | 5棟以上 |
| アパート・マンション | 10室以上 |
| 駐車場 | 5台分を1室として換算 |
| 土地の貸付 | 契約件数と収入で個別に判断 |
重要ポイント:この基準を満たしていれば、相続の直前に物件を増やしても3年の制限を受けません。もともと事業として続けてきた実績が判断の軸になります。
被相続人や親族が支配する会社に貸している事業用の土地です。400㎡まで80%減額できるため、貸付事業用として扱われるより有利になります。
被相続人と親族で発行済株式の50%超を持っていることと、相続した人が申告期限に役員であることが条件です。
重要ポイント:会社の事業が不動産貸付業の場合、この類型は使えません。貸付事業用宅地等として200㎡・50%の扱いになります。
同族会社が絡む場合の判定は、下記の記事で解説しています。


計算そのものは複雑ではありません。つまずくのは限度面積を超えるときと、複数人で共有取得するときの2か所だけです。
ここでは手順と、その2つの按分ルールを整理します。
特例を適用した後の評価額は、次の順番で求めます。
土地の相続税評価額を確認する
路線価方式または倍率方式で、特例を使う前の評価額を出します。
⬇
どの類型に当たるかを判定する
4類型のどれかを決め、限度面積と減額割合を確定させます。
⬇
限度面積の範囲で減額割合を掛ける
限度面積を超える場合は、超えた分を按分してから減額します。
⬇
減額後の金額を課税価格に反映する
この段階で基礎控除を下回れば相続税は0円になります。
土地の評価額そのものの出し方は、下記の記事で解説しています。

特例を使えば税額が0円になると分かっても、計算の確認を省略しないでください。0円になる根拠を示す必要があるためです。
申告書には、特例を適用する前の評価額と適用後の評価額を両方記載します。減額前の評価額が誤っていれば、0円という結論も変わります。
特に土地の評価は、路線価に各種の補正率を掛けて算出します。補正の適用漏れがあると評価額が過大になり、本来0円のはずが課税される事態になります。
面積が限度を超えても、超えた分だけが対象外になるだけです。特例そのものが使えなくなるわけではありません。
計算式は「評価額×(限度面積÷実際の面積)×減額割合」です。先に面積比を掛けてから減額割合を掛ける順番を間違えないでください。
計算ロジック:495㎡で7,500万円の自宅なら、7,500万円×(330㎡÷495㎡)×80%=4,000万円が減額されます。評価額は7,500万円から3,500万円になります。
特例を適用する宅地を選ぶとき、その宅地を取得した人が自分だけの判断で決めることはできません。
対象になり得る宅地を取得したすべての相続人の同意が必要です。同意がなければ、申告書の付表に選択の内容を記載できません。
自宅を取得した子と賃貸アパートを取得した子が別々にいる場合、どちらに特例を使うかで両者の税額が変わります。有利になる側と不利になる側が生じるため、分割協議の段階で決着させておく必要があります。
注意:同意が得られないまま申告期限を迎えると、特例そのものを使えません。誰の税額が下がるかは分割協議の論点になると考えて進めてください。
1つの土地を複数人で共有取得した場合、要件は持分ごとに判定します。全員が要件を満たす必要はありません。
配偶者と子が2分の1ずつ取得し、子が同居要件を満たさない場合は、配偶者の持分にだけ特例が適用されます。要件を満たさない人の持分は減額されません。
共有名義の不動産と相続税の関係は、下記の記事で解説しています。


ここまでの要件と計算方法を、実際の数値で確認します。特例が使えるかどうかで課税価格は4,000万円変わり、相続税の総額は1,220万円から310万円まで下がります。
5つのパターンを1つの表で比較します。
建物500万円と預貯金4,500万円を共通の前提とし、土地の条件と取得者を変えて比較します。相続人は原則として子1人、④のみ配偶者と子1人です。
| パターン | 特例前の課税価格 | 減額 | 特例後の課税価格 | 相続税の総額 |
|---|---|---|---|---|
| ① 自宅330㎡・同居の子が取得 | 1億円 | 4,000万円 | 6,000万円 | 310万円 |
| ② 自宅495㎡・限度面積を超える | 1億2,500万円 | 4,000万円 | 8,500万円 | 780万円 |
| ③ 自宅330㎡+賃貸アパート200㎡ | 1億3,450万円 | 3,960万円 | 9,490万円 | 1,067万円 |
| ④ 配偶者と子が2分の1ずつ共有 | 1億円 | 4,000万円 | 6,000万円 | 180万円 |
| ⑤ 特例が使えなかった場合 | 1億円 | 0円 | 1億円 | 1,220万円 |
表の見方:①と⑤を比べると、条件は同じで特例の適用だけが違います。その差は910万円です。④が最も軽いのは、法定相続人が2人で基礎控除が600万円多いためです。
重要ポイント:②は495㎡と面積が1.5倍ですが、減額額は①と同じ4,000万円です。限度面積を超えた部分には効果がないため、面積が広いほど得になるわけではありません。
計算ロジック:②の按分は7,500万円×(330㎡÷495㎡)×80%=4,000万円です。基礎控除は子1人で3,600万円、配偶者と子1人で4,200万円です。
③の前提:自宅の㎡単価15万円・アパートの㎡単価20万円としています。2.64倍の基準に届かないため自宅を優先しました。
③では自宅とアパートのどちらを優先するかで減額額が変わります。自宅を優先すると3,960万円、アパートを優先すると2,000万円です。
差は1,960万円で、選択を誤ると相続税で数百万円の損になります。アパートの㎡単価が自宅の2.64倍を超えていないため、この例では自宅が正解です。
この判断は、土地を取得する人が別々の場合にとくに重要になります。自宅を取得した人とアパートを取得した人で、どちらの税額が下がるかが変わるためです。
分割協議の前に両方の試算を出しておけば、誰がどれだけ有利になるかを示したうえで話し合えます。

要件そのものより判断が難しいのが、同居していたと言えるかどうかの境目です。住民票がどこにあるかではなく、生活の実態がどこにあったかで判定されます。
実務で迷いやすい4つのケースの結論を示します。
老人ホームに移った時点で、生活の本拠はホームに移ったと考えるのが原則です。ただし条件を満たせば、空き家になった自宅にも特例を使えます。
| 確認項目 | 結論 |
|---|---|
| 要介護・要支援の認定を受けていた | 必要 |
| 認定を受けたのが入居後だった | 相続開始時点で認定があればよい |
| 入居後に自宅を賃貸に出した | 使えない |
| 入居後も自宅を空き家のままにしていた | 使える |
| 住民票をホームに移した | 使える |
重要ポイント:判定を分けるのは自宅を他人に貸したかどうかです。空き家のままなら住民票を移していても問題ありません。
老人ホーム入居中に亡くなった場合の適用判定は、下記の記事で解説しています。

二世帯住宅は、建物の構造ではなく登記の形で結論が決まります。内部で行き来できるかどうかは、2014年以降は判定基準ではありません。
| 登記の形 | 構造 | 適用 |
|---|---|---|
| 区分所有登記なし | 内部で行き来できる | 使える |
| 区分所有登記なし | 完全分離型 | 使える |
| 区分所有登記あり | 完全分離型 | 使えない |
| 区分所有登記あり | 内部で行き来できる | 原則使えない |
注意:区分所有登記を解除すれば特例は使えるようになります。ただし解除の際に生じる贈与税が、減らせる相続税より高くつくことがあります。解除の前に必ず両方を試算してください。
二世帯住宅の登記と相続税の関係は、下記の記事で解説しています。

一時的に離れているか、一時的に近づいているかで結論は逆になります。
【単身赴任で別居している】
仕事の都合による一時的な別居は、同居とみなされます。生活の本拠は家族が住む家にあると判断されるためです。
【介護のために通っている】
通いでの介護は同居に当たりません。生活の本拠が自分の家にある限り、同居親族としては認められません。
【亡くなる直前に同居を始めた】
期間の長さに決まりはありませんが、実態が伴う必要があります。加えて相続後10か月の居住継続も求められます。
1つの建物を自宅と店舗の両方に使っている場合、床面積の割合で土地を按分し、それぞれの類型で判定します。
自宅部分は特定居住用宅地等として330㎡まで80%、店舗部分は特定事業用宅地等として400㎡まで80%です。この2つは完全併用できるため、合計730㎡まで減額できます。
| 土地の使い方 | 適用される類型 | 限度面積 |
|---|---|---|
| 自宅部分 | 特定居住用宅地等 | 330㎡ |
| 自分の店舗部分 | 特定事業用宅地等 | 400㎡ |
| 人に貸している部分 | 貸付事業用宅地等 | 200㎡ |
| 耕作している農地 | 対象外(納税猶予は別制度) | - |
重要ポイント:農地は小規模宅地等の特例の対象外です。農地には別に相続税の納税猶予制度があり、そちらで検討します。
被相続人が亡くなった時点で自宅が空き家だった場合、原則として特例は使えません。生活の本拠がその家になかったと判断されるためです。
例外は、老人ホームへの入居や入院で一時的に離れていたケースです。帰る前提で空けていたのか、生活の本拠を移したのかで結論が分かれます。
マンションの場合、特例は敷地利用権に対して適用されます。特定居住用宅地等として330㎡まで80%減額できる点は戸建てと同じです。
| 住まいの種類 | 特例の対象 | 効果の大きさ |
|---|---|---|
| 戸建て | 土地全体 | 大きい |
| 低層マンション | 敷地利用権 | やや小さい |
| タワーマンション | 敷地利用権 | 小さい |
重要ポイント:マンションは戸数が多いほど1戸あたりの敷地の持分が小さくなります。財産に占める土地の割合が小さいため、特例による減額幅も限られます。
生前に贈与した土地には、小規模宅地等の特例を使えません。贈与した時点で被相続人の財産ではなくなるためです。
注意:相続時精算課税を選ぶと、その土地は相続税の計算に持ち戻されますが、特例による80%減額は受けられません。自宅を生前贈与する前に、どちらが有利かを必ず比較してください。

特例は、要件を満たすだけでは適用されません。相続税が0円になる場合でも、申告しなければ特例は使えないという点が最も多い失敗です。
ここでは申告の実務と、使えなかった場合の代替策を整理します。
特例を適用した結果、課税価格が基礎控除を下回って相続税が0円になることはよくあります。それでも申告書の提出は必要です。
注意:特例は申告することが適用の条件です。税額が0円だから申告不要と判断すると、特例そのものが使えず本来かからない相続税が発生します。
特例は、申告期限までに遺産分割が終わっていることが前提です。ただし分割がまとまらなくても、救済の手続きがあります。
未分割のまま申告する
法定相続分で仮に計算して申告と納税を行い、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付します。
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遺産分割を成立させる
申告期限の翌日から3年以内に分割が確定すれば、特例をさかのぼって適用できます。
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更正の請求をする
分割が決まった日の翌日から4か月以内に請求すれば、納めすぎた相続税が還付されます。
未分割のまま申告する場合のやり方は、下記の記事で解説しています。

参照元:国税庁 No.4208 相続財産が分割されていないときの申告
小規模宅地等の特例は減額幅が大きいため、税務調査で確認されやすい項目です。適用の根拠を残しておくことが、否認を防ぐ最も確実な方法になります。
重要ポイント:書面添付制度を使うと、税理士が申告内容の根拠を書面で説明します。調査の前に税理士への意見聴取が行われるため、いきなり調査になる可能性を下げられます。
申告期限の10か月を過ぎてしまった場合でも、特例を諦める必要はありません。期限後申告でも適用が認められます。
ただし無申告加算税と延滞税は別途かかります。税務署の調査を受ける前に自主的に申告すれば、加算税は軽減されます。
注意:同居親族として特例を使う場合、申告期限までの居住と保有の継続が要件です。期限を過ぎてから引っ越すと、期限後申告でも特例は使えません。
気づいた時点でできるだけ早く動くことが、選べる手段を減らさない唯一の方法です。
共通の書類に加えて、どの類型を使うかで追加の書類が変わります。集め始める前に確認してください。
| 区分 | 追加で必要になる書類 |
|---|---|
| 共通 | 戸籍謄本一式、遺産分割協議書の写し、相続人全員の印鑑証明書、課税価格の計算明細書 |
| 同居親族 | 被相続人と相続人の住民票の写し |
| 家なき子 | 相続開始前3年間の住所を示す書類、住んでいた家屋の登記事項証明書、賃貸借契約書 |
| 老人ホーム入居 | 戸籍の附票、介護保険の被保険者証の写し、施設の入所契約書 |
| 貸付事業用 | 賃貸借契約書または確定申告書 |
重要ポイント:特例の適用には「第11・11の2表の付表1」の提出が必要です。この付表を付け忘れると、要件を満たしていても適用されません。
要件を満たさず特例が使えない場合でも、土地の評価を下げる方法は他にもあります。
重要ポイント:これらの補正は特例と併用できます。特例を使ったうえで、さらに評価を下げられる余地が残っていることは珍しくありません。
路線価から評価額を出す手順は、下記の記事で解説しています。

面積が大きい土地の評価減は、下記の記事で解説しています。

申告を終えた後に、特例を使えたと分かることがあります。その場合は更正の請求で取り戻せます。
期限は申告期限から5年以内です。土地の評価が絡む申告漏れは金額が大きくなりやすいため、心当たりがあれば早めに確認してください。
払いすぎた相続税を取り戻す手続きは、下記の記事で解説しています。


小規模宅地等の特例は、要件の判定だけでなく誰が取得するかの設計で税額が数百万円変わる制度です。判断には一次相続と二次相続を通した試算が要るため、依頼先によって結果に差が出ます。
ここでは相談先の選び方と手順を整理します。
税理士の主な業務は法人の顧問や所得税の申告で、相続税の申告は税理士1人あたり年に1〜2件という水準です。判断が分かれる制度では、経験の差がそのまま税額の差になります。
【相続税の対応実績がある税理士に依頼すべき理由】
たとえば自宅の土地と賃貸アパートの両方がある家庭で、適用先の選択を誤ると減額額が1,960万円変わり、相続税で数百万円の差になります。この判断は制度を知っているだけでは足りず、試算を並べて比較する必要があります。
複数の税理士から見積りを取ると、提案の中身で実務力を判定できます。確認すべきは次の3点です。
判定ポイント1:分割パターンの提案数。配偶者が取得する案しか出てこない事務所と、配偶者・子・共有の3案を試算して比較する事務所では、提案数がそのまま検討の深さを表します。
判定ポイント2:二次相続の試算が見積りに含まれているか。一次相続だけの提案では、取得者の最適解が二次で逆転する可能性を捉えられません。→ 二次まで試算する事務所のほうが、実務経験が豊富と判定できます。
判定ポイント3:土地の現地調査を行うかどうか。不整形地補正や地積規模の大きな宅地の評価は、現地を見なければ判断できません。→ 現地調査を標準に含む事務所のほうが、評価減の取りこぼしが少ないと判定できます。
特例の判断を自分だけで進めると、取り返しがつかない失敗につながることがあります。
相談しないまま進めた場合に起きること
これらはいずれも、複数の税理士から見積りを取って比較すれば避けられた失敗です。
複数の税理士を比較する手順は4段階です。相続開始から7か月以内に依頼先を決めれば、資料集めと分割協議に必要な時間を確保できます。
相続の概要を整理する
被相続人の資産内容と概算額、相続人の構成と年齢、遺言の有無を整理します。土地については所在地と面積を確認しておきます。
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一括見積り・相談サービスに依頼する
相続税申告・相続税の節税など希望内容を明記し、目安3〜5社へ同時に打診します。所有する不動産の所在地と広さを記載してください。
財産の種類と相続人の人数をできるだけ正確に伝えると、見積りの精度が上がります。フォームの記入は5分程度です。
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見積りと初回相談を受ける
各事務所から提案内容・試算相続税額・報酬額が届きます。気になる事務所と初回相談を行い、分割パターンをいくつ提示できるかを確認します。
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税理士を選定・正式依頼する
提案内容の質、説明の丁寧さ、報酬の納得性で選びます。相続開始から7か月以内の決定を目安にしてください。
必ずしも得とは限りません。二次相続で子が特例を使えるかどうかで結論が変わります。子が同居を続けるなら配偶者が取得したほうが有利ですが、子が別居で持ち家がある場合は、一次で子が取得したほうが合計税額は軽くなります。本記事の試算では、その差は約290万円でした。
1㎡あたりの減額効果で比べます。貸付事業用は200㎡で50%、特定居住用は330㎡で80%のため、貸付用の㎡単価が自宅の2.64倍を超えて初めて貸付用が有利になります。都心の一等地でなければ、自宅を優先するのが通常の結論です。
必要です。小規模宅地等の特例は申告することが適用の条件になっています。税額が0円だから申告不要と判断すると特例そのものが使えなくなり、本来かからないはずの相続税が発生します。申告期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月です。
区分所有登記がある場合、原則として使えません。建物の内部で行き来できるかどうかは判定基準ではなく、登記の形で決まります。登記を解除すれば適用できますが、解除の際に贈与税が生じ、減らせる相続税より高くつくことがあるため、事前に両方を試算してください。
諦める必要はありません。法定相続分で仮に計算して申告し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付します。3年以内に分割が確定すれば特例をさかのぼって適用でき、分割が決まった日の翌日から4か月以内に更正の請求をすることで、納めすぎた相続税が還付されます。
小規模宅地等の特例は「使えるかどうか」より「誰が取得するか」で結果が変わります。この記事で扱った内容を整理すると次のとおりです。
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年8月時点の法令・通達に基づいて作成しています。相続税法の改正により内容が変わる場合があります。最新の制度については国税庁のウェブサイトを確認するか、相続税の対応実績がある税理士にご相談ください。