


土地を相続すると相続税がかかると思われがちですが、実際には税金が1円もかからない家庭のほうが多数派です。
相続税には基礎控除があり、遺産の総額がこの金額以下なら課税されません。土地の評価額を8割減らせる制度もあります。
判定に必要な情報は多くありません。土地の広さと路線価、相続人の人数の3つでおおよその見当がつきます。
たとえば相続人が2人で土地しかない場合、4,200万円までなら無税です。自宅の土地で8割減が使えるなら2億1,000万円まで無税になります。
注意したいのは、税金が0円でも手続きが不要とは限らない点です。制度を使って0円にした場合は、申告書を出さないと制度そのものが使えません。
相続税がかからなくても、土地の名義変更には3年の期限があり、守らないと10万円以下の過料の対象になります。毎年の固定資産税も続きます。
この記事では、無税になる3つの条件、相続人の数と土地の広さから判定する方法、土地の種類ごとの違い、0円でも申告が必要になる場合、相続後にやるべき手続きまでを解説します。
▼ この記事の3行まとめ

土地に相続税がかかるかどうかは、土地単体では決まりません。遺産の総額と、使える制度の2つで決まります。次の3つのどれかに当てはまれば税金は0円です。
無税になる道筋は3つあります。上から順に判定すれば、自分がどれに当たるかがわかります。複数に当てはまることもありますが、①で収まるのが最も手間がかかりません。
| 条件 | 内容 | 無税になる範囲 | 申告 |
|---|---|---|---|
| ①基礎控除以下 | 遺産の総額が基礎控除の枠に収まる | 相続人2人なら4,200万円 | 不要 |
| ②自宅の土地を8割減らす | 亡くなった人の自宅の土地を一定の人が相続する | 330㎡まで評価額を80%減 | 必要 |
| ③配偶者が相続する | 配偶者が取得した分の税額を軽くする | 1億6,000万円か法定相続分まで | 必要 |
表の見方:①だけが申告不要です。②と③は制度を使って0円にするため、申告書を出さないと制度が使えません。この違いを知らずに放置すると、後から税金を請求されます。
重要ポイント:①から順に判定してください。①で収まるなら、②や③を検討する必要はありません。手続きの手間がまったく違います。
もっとも基本的な条件です。遺産の総額が基礎控除以下なら、土地があっても相続税は0円になり、申告書を出す必要もありません。ここで収まる家庭が最も多くなります。
| 法定相続人の数 | 基礎控除 | この金額以下なら |
|---|---|---|
| 1人 | 3,600万円 | 相続税0円・申告不要 |
| 2人 | 4,200万円 | 同じ |
| 3人 | 4,800万円 | 同じ |
| 4人 | 5,400万円 | 同じ |
| 5人 | 6,000万円 | 同じ |
表の見方:比べるのは土地の評価額ではなく、預貯金や保険も含めた遺産の総額です。土地が3,000万円でも、預金が2,000万円あれば相続人2人では超えます。
重要ポイント:人数の数え方に例外があります。相続を放棄した人も、放棄がなかったものとして人数に入れます。養子は実子がいれば1人まで、いなければ2人までです。
参照元:e-Gov法令検索 相続税法(第15条・遺産に係る基礎控除)
人数の数え方や控除額の計算でつまずきやすい点は、下記の記事で解説しています。

基礎控除は相続人1人につき600万円変わります。数え方を間違えると、判定の結論そのものがひっくり返ります。
| ケース | 人数に入れるか | 理由 |
|---|---|---|
| 相続を放棄した人 | 入れる | 放棄がなかったものとして数える決まりがある |
| 養子(実子がいる場合) | 1人まで | 養子を増やして基礎控除を膨らませるのを防ぐため |
| 養子(実子がいない場合) | 2人まで | 同じ |
| 特別養子・配偶者の連れ子 | 全員入れる | 実子として扱われるため人数の制限がない |
| 先に亡くなった子の子(孫) | 入れる | 親に代わって相続人になる。人数が増えて基礎控除も増える |
| 内縁の配偶者 | 入れない | 法律上の相続人ではない |
表の見方:薄赤の行が最も間違えやすいところです。放棄した人を人数から外すと、基礎控除が600万円少なくなります。判定が境界に近い家庭では、これだけで結論が変わります。
重要ポイント:黄色の行のように孫が親に代わって相続人になると、人数が増えて基礎控除も増えます。子2人のうち1人が先に亡くなり孫が2人いれば、相続人は3人で4,800万円です。
人数の判定は範囲と順位のルールで決まります。詳しい数え方は下記の記事で解説しています。

亡くなった人が住んでいた自宅の土地は、330㎡まで評価額を80%減らせます。5,000万円の土地が1,000万円になる計算で、相続税額への影響が非常に大きい制度です。
この効果によって、基礎控除の5倍の土地まで無税に収まります。相続人2人なら2億1,000万円の土地が対象になります。
計算ロジック:評価額の20%だけが課税価格に入るため、基礎控除4,200万円÷0.2=2億1,000万円まで耐えられる計算になります。事業用は400㎡まで80%減、アパートなどの貸付用は200㎡まで50%減です。
配偶者が取得した財産は、1億6,000万円か法定相続分のどちらか大きい金額まで税額が0円になります。土地を配偶者が相続すれば、多くの家庭で税金は発生しません。
ただし次に配偶者が亡くなったときに、その財産へもう一度相続税がかかります。配偶者に寄せすぎると二次相続で負担が増えるため、目先の税額だけで決めないほうが安全です。
注意:この制度は申告書を出さないと適用されません。税額が0円でも申告が必要です。

自分の土地が無税に収まるかは、相続人の数と、8割減が使えるかどうかの組み合わせで決まります。次の3つの早見表に当てはめれば、計算しなくても見当がつきます。
預貯金などがほとんどなく、土地が遺産の中心という場合の目安です。8割減が使えるかどうかで、無税の上限が5倍変わります。まず自分の相続人の人数の行を見てください。
| 法定相続人の数 | 基礎控除 | 8割減なしで無税の上限 | 8割減ありで無税の上限 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 3,600万円 | 3,600万円 | 1億8,000万円 |
| 2人 | 4,200万円 | 4,200万円 | 2億1,000万円 |
| 3人 | 4,800万円 | 4,800万円 | 2億4,000万円 |
| 4人 | 5,400万円 | 5,400万円 | 2億7,000万円 |
| 5人 | 6,000万円 | 6,000万円 | 3億円 |
表の見方:右端の列は自宅の土地で8割減が使える場合です。評価額の2割だけが課税対象になるため、基礎控除の5倍まで耐えられます。
重要ポイント:8割減が使えるのは330㎡までの部分です。広い土地では超えた部分に減額が効かないため、この表の上限に届かないことがあります。
計算ロジック:基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数。8割減あり列は基礎控除÷0.2で算出しています。相続人2人なら4,200万円÷0.2=2億1,000万円です。
遺産は土地だけとは限りません。基礎控除の枠は遺産全体で1つなので、預貯金や保険金が多いほど、土地に使える枠は減ります。
| 土地以外の財産 | 土地の無税ライン(8割減なし) | 土地の無税ライン(8割減あり) |
|---|---|---|
| 0円 | 4,200万円 | 2億1,000万円 |
| 500万円 | 3,700万円 | 1億8,500万円 |
| 1,000万円 | 3,200万円 | 1億6,000万円 |
| 2,000万円 | 2,200万円 | 1億1,000万円 |
| 3,000万円 | 1,200万円 | 6,000万円 |
| 4,000万円 | 200万円 | 1,000万円 |
表の見方:相続人2人・基礎控除4,200万円の場合です。薄赤の行のように預貯金が多いと、土地に残る枠がほとんどありません。
重要ポイント:死亡保険金には500万円×法定相続人の数の非課税枠があります。相続人2人なら1,000万円までは遺産に含めずに計算できるので、保険金がある場合はこの枠を引いてから表に当てはめてください。
330㎡いっぱいの自宅で8割減が使える場合に、路線価がいくらまでなら無税に収まるかを計算しました。路線価は国税庁のサイトで誰でも調べられます。
| 法定相続人の数 | 無税に収まる路線価の上限(330㎡の自宅) | 330㎡での評価額 |
|---|---|---|
| 1人 | 54.5万円/㎡ | 1億8,000万円 |
| 2人 | 63.6万円/㎡ | 2億1,000万円 |
| 3人 | 72.7万円/㎡ | 2億4,000万円 |
| 4人 | 81.8万円/㎡ | 2億7,000万円 |
表の見方:路線価がこの金額以下なら、330㎡の自宅を相続しても相続税は0円です。地方はもちろん、都市部の住宅地でもこの範囲に収まる地域は多くあります。
計算ロジック:基礎控除÷0.2÷330㎡で算出しています。相続人2人なら4,200万円÷0.2=2億1,000万円、これを330㎡で割って63.6万円/㎡です。土地以外の財産がある場合は、その分だけ上限が下がります。
注意:8割減は誰が相続しても使えるわけではありません。配偶者以外は同居や持ち家なしなどの要件があります。要件を満たさない場合は左の「8割減なし」の列で判定してください。

評価額がわからなくても判定はできます。土地の広さと路線価がわかれば、おおよその評価額が出せます。必要な書類は毎年届く固定資産税の通知書だけです。
面積は登記や課税の書類に必ず書いてあります。毎年4〜6月に届く固定資産税の課税明細書が最も手軽で、費用もかかりません。
| 書類 | 入手方法 | 面積の記載 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 固定資産税の課税明細書 | 毎年4〜6月に自宅へ届く | 「地積」欄に㎡で記載 | 0円 |
| 登記事項証明書 | 法務局またはオンライン | 「地積」欄に㎡で記載 | 480〜600円 |
| 名寄帳 | 市区町村の役所 | 所有する土地をまとめて確認できる | 200〜400円 |
表の見方:手元に課税明細書があればそれだけで面積と評価額の両方がわかります。見当たらない場合は、市区町村で名寄帳を取ると所有地を一覧で確認できます。
重要ポイント:名寄帳は把握していない土地を見つけるのに役立ちます。亡くなった人が別の土地を持っていた場合、これを見落とすと判定が狂います。
路線価は国税庁のサイトで誰でも無料で確認できます。土地が面している道路に書かれた数字が1㎡あたりの価額で、単位は千円です。
【路線価の調べ方】
路線価が付いていない地域では、固定資産税評価額に国税庁が定めた倍率を掛けて計算します。
重要ポイント:路線価は亡くなった年のものを使います。毎年7月に新しい年分が公開されるため、年をまたぐと数字が変わります。
面積と路線価がわかれば概算が出ます。路線価×面積が土地のおおよその評価額なので、これを基礎控除と比べれば判定できます。
| 路線価 | 無税に収まる面積の上限(相続人2人・土地のみ) | 目安の地域 |
|---|---|---|
| 5万円/㎡ | 840㎡まで | 地方の郊外・農村部 |
| 10万円/㎡ | 420㎡まで | 地方都市の住宅地 |
| 15万円/㎡ | 280㎡まで | 県庁所在地の住宅地 |
| 20万円/㎡ | 210㎡まで | 政令市の住宅地 |
| 30万円/㎡ | 140㎡まで | 大都市近郊 |
| 50万円/㎡ | 84㎡まで | 都心部 |
表の見方:基礎控除4,200万円を路線価で割った面積です。この面積以下なら、土地だけを相続する限り相続税は0円です。
重要ポイント:これは8割減を使わない場合の数字です。自宅の土地で8割減が使えるなら、面積の上限は5倍になります(330㎡が限度)。
計算ロジック:4,200万円÷路線価=無税に収まる面積。路線価15万円なら4,200万円÷15万円=280㎡です。実際の評価額は土地の形や間口で補正されるため、この概算より下がることはあっても上がることはほとんどありません。
課税明細書には面積だけでなく評価額も書いてあります。この金額を1.14倍すると相続税の評価額の目安になります。
| 固定資産税評価額 | 相続税評価額の目安 | 相続人2人での判定 |
|---|---|---|
| 1,000万円 | 約1,143万円 | 無税に収まる |
| 2,000万円 | 約2,286万円 | 無税に収まる |
| 3,000万円 | 約3,429万円 | 無税に収まる(預貯金があると超える) |
| 5,000万円 | 約5,714万円 | 基礎控除4,200万円を超える |
計算ロジック:固定資産税評価額は公示価格の約70%、路線価は約80%を目安に決められています。固定資産税評価額÷0.7×0.8=約1.14倍で相続税評価額の概算が出ます。あくまで目安なので、境界に近い場合は正確に計算してください。
注意:薄赤の行のように基礎控除を超えそうなら、自己判断で「かからない」と決めないでください。土地の形状による減額で下がる余地もあるため、正確な評価が必要です。
概算で境界に近かった場合は、正確に計算する必要があります。路線価と倍率方式の手順、土地の形による減額は下記の記事で解説しています。

ここまでの内容を質問の形にまとめました。上から順に答えていけば、自分がどの立場かがわかります。
| # | 質問 | はいの場合 | いいえの場合 |
|---|---|---|---|
| Q1 | 遺産の総額は基礎控除以下ですか | 相続税0円・申告不要 | Q2へ |
| Q2 | 亡くなった人の自宅の土地ですか | Q3へ | Q5へ |
| Q3 | 配偶者・同居していた親族・持ち家のない別居の親族が相続しますか | Q4へ | Q5へ |
| Q4 | 8割減の後の課税価格は基礎控除以下ですか | 相続税0円・ただし申告が必要 | Q5へ |
| Q5 | 配偶者が相続しますか | Q6へ | 課税される |
| Q6 | 配偶者の取得分は1億6,000万円か法定相続分以下ですか | 配偶者の分は0円・ただし申告が必要 | 課税される |
表の見方:Q1で終われば手続きは何もありません。Q4とQ6で0円になった場合は、申告書を出さないと0円になりません。この2つが最も間違えやすい分岐です。
重要ポイント:Q5で「いいえ」に進んでも、土地の形による減額で評価が下がり、結果的に基礎控除に収まることがあります。境界に近い場合は正確な評価をしてから結論を出してください。
注意:このチェックリストは土地を前提にした簡易版です。農地の納税猶予や、事業用の土地を使う場合は別の判定が必要になります。

相続税を0円にする力がもっとも強いのがこの制度です。330㎡までの自宅の土地の評価額を80%減らせます。ただし誰が相続するかで使えるかどうかが変わります。
対象になる土地は4種類あり、区分ごとに上限と割合が違います。自宅は330㎡まで80%減、アパートなどの貸付用は200㎡まで50%減です。
| 区分 | 対象になる土地 | 面積の上限 | 減額の割合 |
|---|---|---|---|
| 特定居住用宅地等 | 亡くなった人の自宅の土地 | 330㎡ | 80% |
| 特定事業用宅地等 | 個人商店・工場など事業に使っていた土地 | 400㎡ | 80% |
| 特定同族会社事業用宅地等 | 自分の会社に貸していた土地 | 400㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地等 | アパート・貸駐車場などの土地 | 200㎡ | 50% |
表の見方:同じ土地でも使い方で区分が変わります。自宅と事業用は併用して合計730㎡まで使えるのに対し、貸付用を併用する場合は面積を調整する計算が必要です。
参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例
自宅の土地でこの制度を使えるのは限られた人だけです。配偶者は無条件で使えますが、それ以外は住まいと保有の要件があります。
| 相続する人 | 主な要件 | 判定 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 要件なし | 必ず使える |
| 同居していた親族 | 申告期限まで住み続け、その土地を持ち続ける | 使える |
| 生計を一にしていた親族 | 申告期限まで住み続け、その土地を持ち続ける | 使える |
| 持ち家のない別居の親族 | 配偶者も同居親族もいない/3年間持ち家に住んでいない/申告期限まで持ち続ける | 使える |
| 持ち家がある別居の子 | 要件を満たさない | 使えない |
表の見方:薄赤の行が最も多い失敗です。すでに自分の家を持っている子が実家を相続すると、8割減は使えません。同じ土地でも誰が相続するかで税額が大きく変わります。
重要ポイント:黄色の行は持ち家のない別居の子でも使えるケースです。配偶者も同居していた親族もいないことが前提で、3年間借家に住んでいたなどの条件を満たす必要があります。
要件を満たすなら、評価額の2割だけを課税価格に入れて判定すればよいことになります。実際の金額で確かめます。
| 自宅の土地の評価額 | 8割減の後 | 他の財産1,000万円を足した課税価格 | 相続人2人での判定 |
|---|---|---|---|
| 5,000万円 | 1,000万円 | 2,000万円 | 無税 |
| 1億円 | 2,000万円 | 3,000万円 | 無税 |
| 1億6,000万円 | 3,200万円 | 4,200万円 | ちょうど無税の上限 |
| 2億円 | 4,000万円 | 5,000万円 | 課税される |
表の見方:330㎡以内という前提です。評価額1億6,000万円の自宅でも、他の財産が1,000万円までなら無税です。土地の金額の大きさに驚く必要はありません。
計算ロジック:基礎控除は3,000万円+600万円×2人=4,200万円。評価額×0.2+他の財産が4,200万円以下なら課税されません。1億6,000万円×0.2=3,200万円、+1,000万円=4,200万円でちょうど上限です。
自分がどの区分に当てはまるかで結果が変わります。区分ごとの細かい要件と、複数の土地がある場合の選び方は下記の記事で解説しています。

8割減で迷いやすいのが住まいの状況です。同居の有無と、亡くなる直前にどこに住んでいたかで判定が変わります。
| 状況 | 8割減 | 判定のポイント |
|---|---|---|
| 子が同居していた | 使える | 申告期限まで住み続け、土地を持ち続けること |
| 二世帯住宅で暮らしていた | 使える場合が多い | 建物の登記の仕方によって結論が変わる |
| 老人ホームに入居中に亡くなった | 使える場合がある | 要介護認定を受けていたことなどの要件を満たすこと |
| 子が持ち家に住んでいて別居 | 使えない | 持ち家がある時点で対象外 |
| 誰も住んでいない空き家だった | 使えない | 亡くなった人が住んでいたことが前提になる |
表の見方:老人ホームに移っていても自宅を貸し出したりしていなければ、8割減を使える余地があります。入居していたから使えない、と諦める必要はありません。
注意:二世帯住宅は建物を区分登記していると使えなくなることがあります。見た目が同じ建物でも、登記の仕方で結論が分かれます。
二世帯住宅と老人ホームの判定は、それぞれ下記の記事で解説しています。


この制度は自動では適用されません。申告期限までに申告書を出さないと、税額が0円でも使えません。税務署が気を利かせてくれることはありません。
申告期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。遺産分割がもめていても期限は延びません。期限までに分け方が決まらない場合は、いったん法定相続分で申告します。
注意:対象の土地を複数人で相続する場合は取得した全員の同意を証する書類が必要です。1人が全部取得している場合は、この書類は不要になります。

配偶者には手厚い制度があります。1億6,000万円か法定相続分のどちらか大きい金額まで、税額が0円になります。ただし使い方を誤ると、次の相続で損をします。
無税になる上限は、相続人の組み合わせによって変わります。1億6,000万円と法定相続分を比べて、大きいほうが上限です。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者の法定相続分 | 無税になる上限 |
|---|---|---|
| 配偶者と子 | 2分の1 | 1億6,000万円か遺産の2分の1の大きいほう |
| 配偶者と父母 | 3分の2 | 1億6,000万円か遺産の3分の2の大きいほう |
| 配偶者ときょうだい | 4分の3 | 1億6,000万円か遺産の4分の3の大きいほう |
| 配偶者のみ | 全部 | 遺産の全額 |
表の見方:遺産が3億円で相続人が配偶者と子1人なら、法定相続分の1億5,000万円より1億6,000万円のほうが大きいため、配偶者が1億6,000万円まで取得しても税額は0円です。
重要ポイント:これは配偶者が実際に取得した分にだけ効く制度です。子が相続した分の税金は普通にかかります。
土地の評価額が大きくても、配偶者が相続すれば税額が0円になる家庭は多いです。8割減と組み合わせればさらに確実になります。
配偶者が自宅の土地を相続する場合、8割減は要件なしで使えるうえに税額軽減も重ねて効きます。二重に効くため、土地だけなら課税されるケースはまれです。
計算ロジック:評価額1億円の自宅を配偶者が相続する場合、8割減で2,000万円になり、そこから税額軽減が効きます。基礎控除4,200万円以下なのでそもそも課税されません。
目先の税額だけで決めると失敗します。配偶者が受け取った財産には、次の相続でもう一度課税されます。
| 配偶者に全部を寄せる | 子にも分ける | |
|---|---|---|
| 最初の相続の税額 | 0円 | 税額が出る |
| 次の相続の相続人 | 1人減る | 同じ |
| 次の相続の基礎控除 | 600万円減る | 同じ |
| 次の相続で使える配偶者の軽減 | 使えない | 同じ |
| 2回の合計 | 増えることが多い | 抑えられることが多い |
表の見方:最初の相続で0円にしても、次の相続では基礎控除が600万円減り、配偶者の軽減も使えません。2回の合計で見ると不利になることがよくあります。
重要ポイント:配偶者が高齢な場合ほど影響が大きくなります。最初の相続の時点で、次の相続まで含めた試算をしておいてください。

ここまでは自宅の土地を前提にしてきました。農地や人に貸している土地は、評価の方法も使える制度も違います。自分の土地がどれに当たるかで判定が変わります。
まず自分の土地がどれかを確認してください。種類によって評価額の出し方と、無税にできる制度が変わります。
| 土地の種類 | 評価の特徴 | 無税にできる主な制度 | 判定の難易度 |
|---|---|---|---|
| 自宅の土地 | 路線価×面積 | 330㎡まで80%減 | やさしい |
| 空き地・更地 | 減額の要素がなく評価が高くなりやすい | 基礎控除のみ | やさしい |
| 農地 | 区分で評価が大きく変わる | 納税猶予・農地評価 | 難しい |
| 人に貸している土地(底地) | 借地権の割合を引く | 貸付用として200㎡まで50%減 | 難しい |
| 借りている土地(借地権) | 路線価×借地権割合 | 自宅として使っていれば80%減 | 難しい |
| アパート・駐車場の敷地 | 貸家建付地として評価が下がる | 貸付用として200㎡まで50%減 | ふつう |
| 共有している土地 | 持分の割合で按分 | 持分に応じて適用 | ふつう |
表の見方:黄色の行が最も判定しやすいケースです。農地・底地・借地権は評価の段階で専門的な判断が必要になるため、自己判断で「かからない」と決めないでください。
重要ポイント:空き地や更地は減額の要素がなく、8割減も使えないことが多いです。同じ面積でも自宅より評価が高くなり、課税されやすくなります。
意外に見落とされるのが使っていない土地です。空き地や更地は評価を下げる要素がなく、8割減も使えません。同じ面積でも自宅より不利になります。
| 土地の状態 | 相続税の評価 | 8割減 | 固定資産税 |
|---|---|---|---|
| 自宅が建っている | 路線価×面積 | 330㎡まで80%減 | 200㎡まで6分の1に軽減 |
| アパートが建っている | 貸家建付地として下がる | 200㎡まで50%減 | 住宅用地として軽減 |
| 更地・空き地 | 減額の要素がない | 使えない | 軽減がない |
表の見方:薄赤の行が不利です。更地は相続税でも固定資産税でも軽減が効きません。空き家を取り壊して更地にした後で相続が起きると、両方の負担が増えます。
重要ポイント:使っていない土地でも駐車場として貸せば貸付用として200㎡まで50%減の対象になる場合があります。ただしアスファルト舗装などの設備が必要で、青空駐車場では認められません。
注意:相続の直前に急いで土地活用を始めても、3年以内に始めた貸付は原則として50%減の対象から外れます。節税だけを目的にした駆け込みは通用しません。
農地は市街化区域かどうかで評価が大きく変わります。市街地にある農地は宅地と同じ水準で評価されるため、広い農地では基礎控除を超えることがあります。
農業を継ぐ場合は納税を先送りできる制度があり、一定の要件を満たし続ければ最終的に納税が免除されます。ただし営農をやめると猶予されていた税金と利子税をまとめて払うことになります。
注意:納税猶予は申告期限までに申告書と担保の提供が必要です。後から気づいて申請することはできません。
農地の評価区分と納税猶予の要件は、下記の記事で解説しています。

土地の権利が分かれている場合は、その割合の分だけ評価額が下がります。路線価図のアルファベットが借地権の割合を示しています。
| 立場 | 評価額の考え方 | 記号Cの地域(借地権70%)の例 |
|---|---|---|
| 土地を貸している(底地) | 路線価×面積×(1−借地権割合) | 評価額は30%まで下がる |
| 土地を借りている(借地権) | 路線価×面積×借地権割合 | 70%が課税対象になる |
| アパートを建てて貸している | 貸家建付地としてさらに下がる | おおむね評価額が2割前後下がる |
表の見方:貸している土地は評価が下がるので無税に収まりやすくなります。逆に借りている側は、建物だけでなく借地権も相続財産になります。
注意:借地権を相続していることに気づかず申告から漏らす失敗が多いです。建物の名義が亡くなった人なら、土地の権利も相続している可能性があります。
底地と借地権の評価方法は、下記の記事で解説しています。

土地を複数人で持っている場合は、自分の持分の割合だけが相続財産になります。2分の1の持分なら評価額も2分の1です。
持分が小さければ無税に収まりやすくなりますが、売却や活用に共有者全員の同意が必要になるという別の問題が生じます。
共有名義の土地の評価と、共有を解消する方法は下記の記事で解説しています。


相続税が0円になる理由は2つあります。もともと基礎控除以下だったのか、制度を使って0円にしたのかです。この違いで申告が必要かどうかが決まります。
自分がどの理由で0円になったかを確認してください。制度を使って0円にした場合は、申告しないと制度そのものが使えません。
| 0円になった理由 | 申告 | 申告しないとどうなるか |
|---|---|---|
| 遺産の総額が基礎控除以下 | 不要 | 何も起きない |
| 自宅の土地を8割減らして0円にした | 必要 | 8割減が使えず、本来の評価額で課税される |
| 配偶者の税額軽減で0円にした | 必要 | 軽減が使えず、税額がそのまま発生する |
| 農地の納税猶予を使った | 必要 | 猶予が受けられない |
| 未成年者控除・障害者控除で0円になった | 不要 | 控除は申告なしで適用される |
表の見方:薄赤の3つが要注意です。制度を使って0円にしたのに申告しないと、制度が適用されず税金が発生します。「0円だから何もしなくていい」という判断が最も危険です。
重要ポイント:未成年者控除と障害者控除は申告が要りません。同じ0円でも、制度によって扱いが分かれます。
法律の書き方が理由です。配偶者の税額軽減は、申告書に明細を書いて提出した場合に限り適用すると相続税法に明記されています。
申告義務の判定でも、配偶者の税額軽減は計算に含めない仕組みになっています。軽減を使う前に税額があれば、結果が0円でも申告義務が残るという構造です。
計算ロジック:相続税法27条1項は、申告義務を「課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合」かつ「15条から19条まで、19条の3から20条の2までの規定による相続税額があるとき」と定めています。
あてはめ:この列挙から19条の2(配偶者の税額軽減)だけが外れています。軽減を使う前の税額で判定するため、結果が0円でも申告義務が残ります。
参照元:e-Gov法令検索 相続税法(第27条・第19条の2)
土地に限らず、申告が要る場合と要らない場合の判定手順は下記の記事で解説しています。

申告期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。この期限を過ぎると、制度が使えなくなるのが原則です。
ただし配偶者の税額軽減には救済があります。やむを得ない事情があると税務署長が認めた場合は、後から書類を提出すれば適用を受けられます。
注意:救済はあくまで例外です。うっかり忘れたという理由では認められません。期限内に出すことを前提に動いてください。
遺産の分け方でもめていても申告期限は延びません。いったん法定相続分で分けたものとして申告し、納税します。
この段階では8割減も配偶者の税額軽減も使えません。申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を付けておくと、後で分け方が決まったときに制度を使ってやり直せます。
重要ポイント:この書類を出し忘れると後から分割が決まっても制度を使えません。もめている場合ほど、この1枚の有無が税額を左右します。
分け方が決まらないまま申告する方法は、下記の記事で解説しています。


相続税がかからなくても、土地には別の手続きと税金が続きます。名義変更には3年の期限があり、守らないと過料の対象です。毎年の固定資産税も引き継ぐことになります。
2024年4月から土地の名義変更が義務になりました。相続で土地を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しなければなりません。
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重要ポイント:この義務は相続税がかかるかどうかとは無関係です。税金が0円の家庭にも同じように適用されます。
注意:すぐに分け方が決まらない場合は相続人申告登記という簡易な手続きで義務を果たせます。正式な登記は分割が決まってから行います。
参照元:e-Gov法令検索 不動産登記法(第76条の2・第164条)
登記を申請するときに税金がかかります。相続による名義変更は固定資産税評価額の0.4%です。
| 固定資産税評価額 | 登録免許税(0.4%) | 備考 |
|---|---|---|
| 500万円 | 2万円 | |
| 1,000万円 | 4万円 | |
| 3,000万円 | 12万円 | |
| 5,000万円 | 20万円 | |
| 100万円以下の土地 | 0円 | 免税措置の対象になる場合がある |
表の見方:相続税と違って基礎控除のような枠がなく、評価額に応じて必ずかかります。司法書士に依頼する場合は、これとは別に報酬が5〜10万円ほど必要です。
相続にともなう税金の全体像は、下記の記事で解説しています。

土地を持ち続ける限り固定資産税がかかります。1月1日時点の所有者に、その年の1年分がまとめて課税されます。
| 税金 | 税率の目安 | 課税される人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 固定資産税 | 評価額の1.4% | 1月1日時点の所有者 | 住宅が建っていれば軽減がある |
| 都市計画税 | 評価額の0.3%まで | 同じ | 市街化区域内の土地のみ |
| 住宅を取り壊した場合 | 軽減がなくなる | 同じ | 負担が数倍になることがある |
表の見方:薄赤の行に注意してください。古い家を取り壊して更地にすると、固定資産税の軽減が外れます。空き家のまま置くか壊すかは、税額を確かめてから判断してください。
計算ロジック:住宅が建つ土地は200㎡までの部分が評価額の6分の1、それを超える部分が3分の1に軽減されます。評価額1,000万円・200㎡以内の土地なら、年間の固定資産税は約2万3,000円です(1,000万円÷6×1.4%)。
土地を相続したときに動くべき期限は2つあります。相続税の10か月と、名義変更の3年です。順番に確認してください。
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重要ポイント:相続税が0円だった家庭でも3年以内の名義変更と毎年の固定資産税は必ず発生します。「税金がかからないから終わり」ではありません。
注意:放置して次の世代に引き継がれると、相続人が増えて全員の同意が必要になり、名義変更が難しくなります。3年の期限は、この問題を防ぐために設けられたものです。
相続したものの使い道がない土地は、国が引き取る制度を利用できる場合があります。2023年4月に始まった制度です。
【申請できない土地】
引き取ってもらうには負担金の納付が必要です。国有地として10年間管理するのに必要な費用が基準になり、通知を受けた日から30日以内に納めないと承認は効力を失います。
重要ポイント:境界が不明な土地は申請できません。手放す可能性があるなら、境界の確定を先に済ませておく必要があります。
参照元:e-Gov法令検索 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律

「かからない」と思い込んで放置した結果、後から税金を請求されることがあります。実際に起きている5つの間違いと対策を確認してください。
判定に使うのは遺産の総額です。土地の評価額だけを見て判断すると、基礎控除の判定を誤ります。
事例1:土地3,000万円だけを見て「4,200万円以下だから無税」と判断した。実際には預貯金1,500万円と保険金1,000万円があり、合計5,500万円で基礎控除を超えていた。
対策:預貯金・保険金・株式・車まで含めて合計してから判定する。保険金は500万円×法定相続人の数の非課税枠を引いてから加える。
事例2:亡くなった人が地方に持っていた別の土地に気づかず、自宅だけで判定していた。数年後に名寄帳で発覚し、修正申告が必要になった。
対策:市区町村で名寄帳を取り、所有していた土地を一覧で確認する。固定資産税の課税明細書だけでは、非課税の土地が載らないことがある。
重要ポイント:基礎控除の人数は相続を放棄した人も含めて数えます。放棄した人を除いて計算すると、基礎控除が600万円少なくなり判定を誤ります。
相続税がかからないと判断していても、税務署から書類が届くことがあります。土地を持っていた人が亡くなると、税務署は登記情報から把握しています。
| 届く書類 | 意味 | 対応 |
|---|---|---|
| 相続税の申告等についてのご案内 | 申告が必要な可能性が高いと見ている | 申告要否を確認して回答する |
| 相続税についてのお知らせ | 申告が必要かもしれないという案内 | 判定して必要なら申告する |
| 無視した場合 | 税務調査に移行することがある | 加算税・延滞税の対象になる |
表の見方:どちらも届いた時点で税務署は財産をある程度把握しています。「うちは関係ない」と放置すると、調査で指摘を受けることになります。
重要ポイント:本当に基礎控除以下なら、同封の申告要否検討表に記入して返送すれば済みます。申告書を出す必要はありません。
届いた書類の意味と回答書の書き方は、下記の記事で解説しています。

制度は条件を満たしていても、手続きをしなければ使えません。0円になったから何もしなくてよい、という判断が最も危険です。
事例3:8割減を使えば0円になると計算し、申告書を出さなかった。後日の税務調査で8割減が認められず、本来の評価額で課税された。
対策:制度を使って0円にした場合は必ず申告書を提出する。税額が0円でも提出が適用の条件になっている。
事例4:持ち家のある子が実家を相続し、8割減が使えると思い込んでいた。別居で持ち家があるため要件を満たさず、評価額がそのまま課税価格になった。
対策:誰が相続すれば8割減を使えるかを、分け方を決める前に確認する。同じ土地でも取得者によって税額が変わる。
事例5:分け方が決まらないまま申告し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を付け忘れた。後で分割が決まっても8割減を使えなくなった。
対策:分け方が未定でも、申告書に分割見込書を必ず添付する。1枚の書類の有無が数百万円の差になる。
重要ポイント:相続税がかからない判定と、手続きが不要という判断は別です。判定が「かからない」でも、名義変更の3年の期限は必ず来ます。

土地の評価は、同じ土地でも人によって金額が変わります。評価額が変われば「かかる・かからない」の結論そのものが変わります。境界に近い場合ほど、判定を任せる相手で結果が違います。
土地の相続税は財産の洗い出しと評価の2段階で差がつきます。税理士なら誰でも同じ結論になるわけではありません。
【相続税の対応実績がある税理士に依頼する理由】
具体例で見てみます。同じ土地でA税理士は路線価×面積で3,600万円と評価し、B税理士は形が悪いことによる減額を反映して3,000万円と評価しました。
基礎控除が3,600万円(相続人1人)の家庭なら、A税理士では課税、B税理士では申告すら不要という結論の差になります。評価額600万円の差が、手続きの有無まで変えます。
土地の案件では、税理士の経験差が評価額に直結します。次の3つを比べれば実務力の差が見えます。
判定ポイント1:現地を見るかどうか|図面だけで評価する事務所と、現地で高低差や道路の状況を確認する事務所があります。→ 現地を見る事務所のほうが、減額の要素を拾えると判定できます。
判定ポイント2:分け方の提案があるか|評価額を出すだけの見積りか、「誰が相続すれば8割減を使えるか」まで提案する見積りか。→ 後者のほうが、土地の案件を数多く処理していると判定できます。
判定ポイント3:書面添付に対応しているか|評価の根拠を書面で税務署に示す制度に対応しているかを確認します。→ 対応している事務所のほうが、評価に自信があり調査のリスクも下がります。
見積りを取るだけなら費用はかかりません。3〜5社に同時に打診して、評価額と提案内容を横に並べて比べてください。
土地の判定を自分だけで済ませると、気づかないまま損をしているか、後から請求されるかのどちらかになります。
【相談しないまま進めた場合に起きること】
どれも分け方を決める前に相談していれば避けられるものです。分け方が確定してからでは戻せない判断があるため、早い段階で確認してください。
見積りを集めて比べる流れは4段階です。フォームの記入は5分程度で終わります。
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重要ポイント:土地がある相続では相続開始から7か月以内に依頼先を決めてください。評価には現地確認や役所での調査が必要で、時間がかかります。
相続人が2人なら4,200万円まで、3人なら4,800万円までです。基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算します。判定に使うのは土地だけでなく、預貯金や保険金を含めた遺産の総額です。
亡くなった人の自宅の土地で8割減が使える場合は、上限が5倍になります。相続人2人なら2億1,000万円までの土地が無税に収まります。
理由によって変わります。もともと遺産の総額が基礎控除以下だった場合は申告不要です。一方で自宅の土地を8割減らして0円にした場合や、配偶者の税額軽減で0円にした場合は申告が必要です。
これらの制度は申告書を提出した場合に限り適用されると法律で定められています。出さなければ制度が使えず、本来の評価額で課税されます。
毎年届く固定資産税の課税明細書で面積を確認し、国税庁のサイトで路線価を調べて掛け算すれば概算が出ます。路線価の数字は千円単位で、「300」なら1㎡あたり30万円です。
課税明細書の評価額を1.14倍しても目安になります。固定資産税評価額は公示価格の約70%、路線価は約80%を基準にしているためです。
必要です。2024年4月から相続による名義変更が義務化されました。土地を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。
相続税がかかるかどうかとは無関係の義務です。分け方が決まらない場合は、相続人申告登記という簡易な手続きで義務を果たせます。
国が引き取る制度があります。2023年4月に始まった仕組みで、相続で取得した土地を国庫に帰属させることを法務大臣に申請できます。
ただし建物が建っている土地、担保権が設定されている土地、境界が明らかでない土地などは申請できません。承認された場合は、10年分の管理費用を基準にした負担金の納付が必要です。
土地を相続しても相続税がかからない家庭は多数派です。ただし「かからない」ことと「何もしなくてよい」ことは別です。
もっとも損をしやすいのは、判定が境界に近いのに自己判断で「かからない」と決めてしまうケースです。土地の評価は見る人によって金額が変わります。
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年8月時点の法令に基づいて作成しています。相続税法・不動産登記法の改正により内容が変わる場合があります。最新の制度については国税庁のウェブサイトまたは税理士にご確認ください。