相続税申告の税理士費用・報酬の相場はいくら?遺産額別の早見表

相続_税理士_料金

相続税申告の税理士費用とは、相続税の申告を税理士に頼んだときに払う報酬のことです。相場は遺産総額の0.5〜1%程度で、遺産1億円なら50万〜100万円が目安です。

報酬は「基本報酬」と「加算報酬」に分かれ、遺産の額だけでなく、土地の数や相続人の人数でも変わります。

同じ遺産額でも、事務所によって報酬は違います。公開されている料金表を並べると、遺産9,000万〜1億円の区間で最も安い事務所と高い事務所の差は約1.7倍でした。

また、料金表の多くは税別で書かれています。消費税10%を足した総額で比べないと、見積りの差を読み違えます。

遺産が小さいほど、報酬が相続税に占める割合は大きくなります。報酬を払う価値があるかは、節税の効果と並べて判断する必要があります。

本記事では、遺産額別の相場、報酬が相続税の何%にあたるか、加算報酬の中身、事務所ごとの差、財産構成別の総額、見積書の見方と費用を抑える方法を解説します。

▼ この記事の3行まとめ

  • 相場は遺産総額の0.5〜1%。遺産1億円なら50万〜100万円(税込55万〜110万円)が目安
  • 遺産5,000万円では報酬が相続税の3〜7割にあたる。報酬と節税の効果を並べて判断する
  • 公開料金表でも同じ遺産額で1.6〜2.4倍の差。税込の総額と同じ条件で見積りを比べる
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結論|相続税の税理士費用は遺産総額の0.5〜1%が目安

相続税の税理士費用は、遺産総額の0.5〜1%程度が目安です。ただしこれは基本報酬だけの目安で、土地や自社株があれば加算報酬が上乗せされます。まず遺産額別の相場と、報酬が相続税に占める割合を押さえます。

基本報酬の相場|遺産総額別の早見表

基本報酬は遺産総額に応じて決まります。遺産1億円なら50万〜100万円(税込55万〜110万円)が目安です。

遺産総額 基本報酬の目安(税別) 税込の目安
5,000万円 25万〜50万円 27.5万〜55万円
1億円 50万〜100万円 55万〜110万円
2億円 100万〜200万円 110万〜220万円
3億円 150万〜300万円 165万〜330万円
5億円 250万〜500万円 275万〜550万円

表の見方:遺産総額に0.5〜1%を掛けた基本報酬の目安です。実際の料金は事務所ごとに設定されており、遺産の区間ごとの定額で決める事務所が多くあります。

計算ロジック:税別の目安に消費税10%を掛けて税込を出しています。税理士の報酬額に法律上の決まりはなく、かつての報酬規程は2002年に廃止されて、現在は各事務所が自由に決めています。

「遺産総額」の数え方も事務所で違います。特例で減らす前の額で数えるか、減らした後の額で数えるかで、報酬の区間が変わることがあります。

数え方の違い 例 報酬への影響
自宅の土地の特例で減らす前か後か 土地5,000万円が特例後1,000万円になる 減らす前で数えると区間が上がる
生命保険金の非課税枠を引く前か後か 保険金2,000万円のうち1,000万円が非課税 引く前で数えると区間が上がる
借金や葬式費用を引く前か後か 借入金1,500万円がある 引く前で数えると区間が上がる
生前の贈与を足すか 亡くなる前の贈与の足し戻しがある 足すと区間が上がる

重要ポイント:公開料金表でも、特例で減らした額を足し戻して「遺産の総額」とする事務所がありました。同じ財産でも数え方で区間が1〜2段変わるため、見積りでは基準の額を必ず確かめてください。

報酬は相続税の何%か|遺産が小さいほど割合が大きい

同じ0.5〜1%でも、相続税に対する重さは遺産額で大きく変わります。遺産5,000万円では、報酬が相続税の3〜7割にあたります。

遺産総額(子2人) 相続税の合計 報酬の目安(税込) 報酬÷相続税
5,000万円 80万円 27.5万円〜55万円 34%〜69%
1億円 770万円 55万円〜110万円 7%〜14%
2億円 3,340万円 110万円〜220万円 3%〜7%
3億円 6,920万円 165万円〜330万円 2%〜5%

表の見方:遺産5,000万円では相続税が80万円しかかからず、報酬がその34%〜69%にあたります。遺産3億円では2%〜5%にとどまります。

重要ポイント:遺産が基礎控除を少し超える程度の相続では、報酬が相続税そのものに近い額になることがあります。自分で申告できる財産構成か、報酬以上に税額を下げられる余地があるかで判断してください。

計算ロジック:相続人は子2人で、法定相続分どおりに取得した場合の相続税です(基礎控除4,200万円)。報酬は遺産総額の0.5〜1%に消費税10%を足した額で、事務所の実際の料金とは異なります。

料金表は税別が多い|消費税10%を足した総額で見る

税理士の料金表は、税別で書いているものと税込で書いているものが混在しています。税別の料金表どうしと税込の料金表を並べると、見かけの差が1割ずれます。

基本報酬50万円(税別)なら、実際に払うのは55万円です。加算報酬や実費にも消費税がかかるため、比べるときは必ず税込にそろえてください。

見積書に「税別」「税込」の表示がない場合は、どちらかを確かめます。総額の比較は、基本報酬・加算報酬・消費税・実費をすべて足した額で行います。

相続税の申告の86.5%は税理士が関与している

財務省の「令和6事務年度 国税庁実績評価書」によると、相続税の申告書の86.5%に税理士が関与しています(令和6年度)。10人のうち8〜9人が税理士に頼んでいる計算です。

頼む人が多いのは、財産の評価と特例の判断が難しいからです。土地の評価には多くの減額の要素があり、申告書も第1表から第15表まで、財産ごとの明細や評価の計算書を付けるため書類が多くなります。

税目 税理士が関与した申告の割合(令和6年度)
相続税 86.5%
法人税 89.8%
所得税 20.4%

一方で、財産が預貯金中心なら自分で申告する人もいます。頼むかどうかの判断は、このあとの「報酬は元が取れるか」の章で扱います。

参照元:財務省 令和6事務年度 国税庁実績評価書

税理士費用が高くなる7つのケース|加算報酬の相場

加算報酬は、評価や手続きに手間がかかる要素があるときに基本報酬へ上乗せされる費用です。総額を押し上げるのは、主に土地・自社株・相続人の数・期限の4つです。

加算報酬の早見表|何がいくら上乗せされるか

公開されている料金表を見ると、加算の項目と金額はおおむね共通しています。自分のケースで何が加算されるかを数えれば、総額の見当がつきます。

加算される要素 金額の目安(税込) ポイント
土地(1利用区分ごと) 5.5万円前後 使い方の単位で数える
非上場株式(1社ごと) 16.5万円前後〜 最も金額が大きい
相続人(2人目から1人ごと) 基本報酬の10% 上限の人数を設ける事務所もある
申告期限が迫っている 事務所ごとに設定 割増しや受付の停止がある
書面添付 5.5万円前後(含む事務所もある) 別料金かを確かめる
延納・物納・納税猶予の手続き 事務所ごとに設定 数十万円になることがある
上場株式・投資信託(銘柄ごと) 数千円程度 銘柄が多いと積み上がる

表の見方:土地・非上場株式・相続人の加算は、公開料金表を確認した2つの事務所で同じ水準でした。期限・延納などは事務所ごとの設定が大きく違うため、見積りで必ず確かめてください。

計算ロジック:2026年9月30日時点の公開料金表(税込)で、土地1利用区分5.5万円、非上場株式1社16.5万円、相続人が1人増えるごとに基本報酬の10%でした。

土地の数と評価の難しさで加算される

土地は「1利用区分」ごとに加算されるのが一般的です。登記の筆の数ではなく、使い方の単位で数えます。

たとえば自宅と隣の駐車場は、1筆の土地でも2区分になります。逆に、自宅の敷地が3筆に分かれていても、一体で使っていれば1区分です。見積りでは、土地の数え方を確かめてください。

土地の状況 区分の数え方の例 加算の目安(税込)
自宅の敷地(3筆だが一体で使用) 1区分 5.5万円
自宅+隣の月極駐車場 2区分 11万円
自宅+貸している土地+アパートの敷地 3区分 16.5万円
倍率地域の田畑が5筆 事務所により1筆ごとの少額加算 数千円×筆数のことも

表の見方:区分は使い方の単位で数えるため、筆の数より少なくなることも多くなります。倍率で評価する地域の土地は、1筆ごとに少額を加算する料金表もありました。

形がいびつな土地や道路に下がる部分がある土地は、現地と役所の調査が必要になります。この調査は評価を下げる要素を拾う工程なので、加算があっても費用対効果は高くなりやすい部分です。

土地の評価の手順と減額の種類は、下記の記事で解説しています。

非上場株式があると最も高くなる

親が会社を経営していた場合、自社株の評価が必要です。1社あたり16.5万円前後からの加算で、加算の中で最も金額が大きい項目です。

会社の規模の判定、類似業種と比べる方式と純資産で見る方式の使い分け、資産を相続税の評価に置き換える作業など、判断の分かれ目が多くあります。決算書と法人税の申告書を複数期分読み込むため、作業量が増えます。

この構成では、報酬の安さより評価方式を正しく選べるかが大切です。方式の選び方で税額が数百万円変わることがあります。

複数の会社の株を持っている場合は社数分の加算になるため、見積りの前に、亡くなった人が株を持っていた会社をすべて書き出しておきましょう。

非上場株式の評価方法と相続税の計算は、下記の記事で解説しています。

相続人が多い・申告期限が迫っている

相続人が増えると、書類の取得も署名の回収も人数分だけ発生します。2人目から1人ごとに基本報酬の10%を加算するのが一般的な設定です。

たとえば基本報酬60万円で相続人が3人なら、2人分の加算で12万円が上乗せされ、72万円になります。相続人が遠方や海外に住んでいると、書類のやり取りが増えるため、上限なしで数える事務所もあります。

申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月で、延ばせません。期限が近いほど、他の案件を止めて優先することになるため、割増しを設ける事務所や、そもそも受け付けない事務所が出てきます。

注意:期限直前の割増しは、依頼が遅れたことへの費用で、申告の質が上がるわけではありません。相続開始から7か月以内に依頼先を決めると、この加算を避けやすくなります。

書面添付・延納・物納・納税猶予の加算

書面添付とは、税理士が「どこをどう確かめて申告書を作ったか」を書いた書面を申告書に付ける制度です。基本報酬に含む事務所と、5.5万円前後の別料金にする事務所があります。

書面が付いていると、税務署は調査の前にまず税理士から意見を聴きます。相続税の申告で書面添付がある割合は全国で24.6%(令和6年度)なので、使うかどうかと費用の扱いは見積りで確かめてください。

書面添付の費用を事務所ごとに比べた表は、下記の記事にまとめています。

相続税を分割で払う延納や、土地などで納める物納、農地や自社株の納税猶予を使う場合は、申請書類と担保の手続きが増えるため、別の加算がかかります。金額は事務所ごとの差が大きい項目です。

納税猶予は、申告のあとも数年ごとに届出書を出し続ける必要があり、その手続きを継続して頼むと毎回費用がかかることがあります。使う予定があれば、申告のときの加算だけでなく、その後の手続きの費用も聞いておきましょう。

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報酬以外にかかる費用と支払いの時期

税理士の報酬とは別に、書類の取得や登記にかかる実費があります。資金計画は、報酬と実費を合わせた額で立ててください。支払いの時期と、費用の扱いもあわせて確認します。

実費|戸籍・残高証明・評価証明の手数料

書類の取得にかかる実費は、合計で数千〜数万円に収まるのが一般的です。金額が大きいのは相続登記の登録免許税と司法書士の報酬で、これは税理士の費用には含まれません。

実費の項目 金額の目安
戸籍謄本・除籍謄本 1通450〜750円
預金の残高証明書・取引履歴 1通数百〜1,000円程度
固定資産評価証明書・名寄帳 1通数百円
相続登記の登録免許税 固定資産税評価額の0.4%
司法書士の報酬(相続登記) 数万〜十数万円
不動産鑑定の費用 数十万円(必要な土地だけ)

重要ポイント:相続登記は税理士の業務ではありません。見積書に登記が入っているか、別に司法書士へ頼むのかを確かめてください。

相続税の申告のほかにも、税理士に頼むと別料金になりやすい業務があります。見積りの対象に何が入っていて、何が入っていないかを先に確かめておきましょう。

別料金になりやすい業務 どんなときに必要か
亡くなった人の所得税の申告(準確定申告) 年金以外の収入や医療費控除があるとき
税務調査の立会い 申告後に調査の連絡が来たとき
延納・物納の申請 相続税を一度に払えないとき
修正申告・更正の請求 申告後に財産が見つかったとき・払いすぎに気づいたとき
相続した不動産の翌年以降の確定申告 賃貸物件を相続したとき

表の見方:どれも申告の本体とは別の作業のため、料金表で別項目にしている事務所が多くあります。必要になりそうなものは、最初の見積りの段階で費用を聞いておくと、あとで慌てずに済みます。

着手金と完了時払い|支払いの時期

支払いの時期は事務所によって違います。契約時に着手金を求める事務所と、申告が終わってから一括で払う事務所があります。

報酬の半額を着手金とし、残りを完了時に払う形の事務所もあります。途中で解約した場合の着手金の扱いは、契約書で確かめておきましょう。

支払いの型 払う時期 確かめること
完了時の一括払い 申告書の提出後 請求書の発行の時期と支払いの期限
着手金+残金 契約時に一部、完了時に残り 着手金の割合と、解約したときの扱い
分割払い 数回に分けて 分割の回数と手数料の有無

重要ポイント:どの型でも、申告書の提出前に全額を払う契約は避けるのが安全です。途中で変えたくなったときに、精算の話がしにくくなります。

亡くなった人の口座は、相続の手続きが終わるまで凍結されていることが多く、着手金は相続人の手元のお金から払うことになります。支払いの方法は振込が中心で、分割に応じる事務所もあります。

税理士費用は相続税から差し引けない

相続税の申告の税理士費用は、相続財産から差し引く債務には入りません。差し引けるのは、亡くなった時点であった借金などの債務と葬式費用です。

税理士費用は相続が始まったあとに生まれる費用なので、対象外になります。ただし、亡くなった人の所得税の申告(準確定申告)で納めることになった所得税は、債務として差し引けます。

税理士費用を経費や控除にできる例外は、下記の記事で解説しています。

税理士報酬のほか、相続でかかる費用のうち相続税から引けるもの・引けないものの一覧は、下記の記事で解説しています。

参照元:国税庁 No.4126 相続財産から控除できる債務

誰が払うか|法律上の決まりはない

税理士費用を誰が払うかに、法律上の決まりはありません。相続人の誰が払っても問題なく、取得した割合で分けるのが一般的です。

配偶者がいる場合、配偶者が払うと配偶者の手元のお金が減り、配偶者が亡くなったときの相続税が小さくなることがあります。後でもめないよう、負担の方法は書面で決めておくと安全です。

誰が払うと得になるかと、負担割合の決め方は、下記の記事で解説しています。

なぜ相続税の税理士費用は高いのか|作業量の実態

「数十万円は高すぎる」と感じる人は少なくありません。報酬が高いのは、評価と申告書の作成に手間がかかるからです。理由を知ると、見積書のどこが妥当でどこを交渉できるかが分かります。

土地の評価に現地と役所の調査が要る

相続税の土地の評価は、路線価に面積を掛けるだけでは終わりません。形・間口・奥行き・高低差・道路との関係など、減額の要素は数多くあります。

どこまで拾えるかは調査の量で決まります。現地に行き、役所で道路の種類や都市計画を確かめる作業が必要で、税法だけでなく建築や都市計画の知識も使います。報酬には、この専門性と現地の手間が含まれています。

減額の要素 必要な調査
形がいびつ・間口が狭い 現地の確認と図面の確認
道幅4m未満で道路に下がる部分がある 役所での道路の種類の確認
都市計画道路の予定地に入っている 役所での都市計画の確認
高低差・がけ地がある 現地での高低差の確認
三大都市圏で500平方メートル以上 地区の区分と容積率の確認

計算ロジック:評価額5,000万円の土地で20%の減額を拾えれば、課税価格は1,000万円下がります。その部分の税率が20%なら、税額は200万円下がり、土地の加算の数万円を大きく上回ります。

参照元:国税庁 No.4602 土地家屋の評価

申告書と書類の量|作業の全体像

相続税の申告書は、財産の種類ごとに明細を作るため、書類の量が多くなります。申告書の作成の前に、戸籍や残高証明を集める工程もあります。

工程 主な作業
書類の収集 戸籍・残高証明・課税明細書・保険の書類を集める
財産の評価 土地の現地・役所の調査、株式や保険の評価
分け方の試算 分け方の案ごとの税額、次の相続まで含めた比較
申告書の作成 第1表から第15表と、評価の計算書・明細の作成
提出と納税 申告書の提出、納付書の作成、書面添付

申告書を出して終わりではなく、申告後に税務署から質問や調査の連絡が来ることもあります。その対応まで含めて頼めるかで、同じ報酬でも受けられる支えの範囲が変わります。

重要ポイント:見積りを比べるときは、この工程のどこまでが報酬に含まれているかを確かめてください。書類の収集を自分で行えば、その分の手数料を削れることがあります。

遺産に連動する料金が定着している理由

かつて税理士の報酬には規程があり、遺産総額に応じて報酬が上がる体系でした。この規程は2002年に廃止されましたが、当時の体系に近い料金表を使う事務所が今も多くあります。

遺産に連動する料金では、預金が多いだけで作業が少ない相続でも報酬が上がります。作業量と必ずしも一致しないため、財産構成が単純な相続では交渉や、遺産額に連動しない料金の事務所を探す余地があります。

逆に、土地が多い相続では遺産額に連動する料金のほうが、加算を含めて実態に合った見積りになりやすい面もあります。どちらが合うかは次の章で比べます。

報酬の決め方が自由になったため、事務所ごとの差も生まれました。料金表を公開している事務所は増えていますが、「遺産の総額」の数え方や加算の条件まで書いているかは事務所によって違います。

事務所によって費用はどれだけ違うか|公開料金表の比較

同じ遺産額でも、事務所によって報酬は違います。公開されている料金表を並べると、同じ遺産額の区間で1.6〜2.4倍の差がありました。

同じ遺産額での開き|4つの事務所の公開料金表

相続税を多く扱う4つの事務所の公開料金表(税込)で、基本報酬を並べました。遺産が小さいほど、最も安い事務所と高い事務所の差が大きくなります。

遺産総額 A事務所 B事務所 C事務所 D事務所 最高÷最安
4,500万円 18.37万円 25.3万円 33万円 44万円 2.4倍
7,500万円 31.57万円 41.8万円 60.5万円 55万円 1.9倍
9,500万円 38.17万円 52.8万円 60.5万円 66万円 1.7倍
1億4,000万円 54.67万円 69.3万円 77万円 88万円 1.6倍
1億9,000万円 66.77万円 85.8万円 93.5万円 110万円 1.6倍
2億8,000万円 77.77万円 121万円 143万円 132万円 1.8倍

表の見方:基本報酬だけの比較です。遺産4,500万円では最も安い事務所と高い事務所で2.4倍の差があり、遺産が大きくなると差はやや縮まります。

重要ポイント:加算報酬の設定も事務所ごとに違うため、総額での差は広がることも縮まることもあります。同じ条件を伝えて、総額の見積りで比べてください。

安い事務所がいつも手を抜いているわけではありません。遺産の小さい相続を効率よく扱う事務所もあれば、土地の多い相続や自社株を得意とする事務所もあり、得意な規模で料金を決めている面があります。

表の遺産7,500万円の行のように、事務所によって区間の区切り方が違うため、遺産額が少し変わるだけで順位が入れ替わることもあります。自分の遺産額の区間で比べることが大切です。料金表は改定されることがあるので、見積りの時点の額を確かめてください。

そのため、料金表の安さだけでなく、自分の財産の構成がその事務所の得意な範囲に入っているかを見ることが大切です。土地が多いなら現地の調査、自社株があるなら評価の実績を、料金と一緒に確かめてください。

計算ロジック:2026年9月30日時点で各事務所のサイトに公開されている基本報酬(税込)を、遺産総額の区間の中ほどの額に当てはめています。区間の境目の扱いは事務所で違うため、境目に近い額では結果が変わります。

遺産額に連動する料金と定額制の違い

料金の決め方は大きく2つあります。遺産総額の区間ごとに決める料金と、遺産額に関係なく一律の定額制です。

比べる点 遺産額に連動する料金 定額制
決め方 遺産総額の区間ごとに基本報酬が上がる 条件を満たせば遺産額にかかわらず同じ額
向く相続 土地が多い・財産の種類が多い 遺産は大きいが財産の構成が単純
注意点 預金が多いだけでも報酬が上がる 遺産の上限・不動産の数・自社株なしなどの条件が付く

定額制によく付く条件は次のとおりです。自分の相続がすべてに収まるかを確かめてから、見積りを頼みましょう。

  • 遺産総額が1億円または2億円までであること
  • 不動産が自宅など1〜2か所までであること
  • 非上場株式を含まないこと
  • 相続開始から一定の期間内(7か月以内など)の依頼であること
  • 相続人全員の分け方が決まっていること

重要ポイント:定額制は、条件から外れると通常の料金になります。「遺産の上限」「不動産の数」「依頼の時期」の条件を最初に確かめてください。

どちらが得かの判定の目安

どちらが有利かは、遺産額と財産の構成の組み合わせで決まります。定額制が効くのは「遺産は大きいが構成は単純」な相続です。

あなたの状況 向いている料金 理由
遺産1億円超・不動産は自宅だけ 定額制 連動型なら報酬が上がる層で、定額なら下がりやすい
遺産5,000万円以下・預貯金中心 連動型 連動型の安い区間のほうが定額より安いことが多い
土地が3か所以上ある 連動型 定額制の条件から外れやすい
非上場株式がある 連動型 多くの定額制で対象外になる

表の見方:黄色の行が、料金の決め方で最も差が出やすいパターンです。自分の状況に近い行を探して、候補の事務所の料金の決め方と照らし合わせてください。

財産構成別の税理士費用シミュレーション

相場と加算がわかったところで、実際の総額を見てみます。同じくらいの遺産額でも、土地や自社株があるかで総額は大きく変わります。

4つのケースの一覧表|財産構成で総額はこう変わる

公開料金表のうち、最も安いA事務所と2番目のB事務所の料金(税込)で、4つのケースの総額を計算しました。総額を押し上げているのは土地と自社株です。

ケース 遺産総額 相続人 土地 自社株 A事務所の総額 B事務所の総額
預貯金・上場株式が中心 4,500万円 2人 0区分 なし 20.21万円 27.83万円
自宅と預貯金 9,500万円 3人 2区分 なし 56.8万円 74.36万円
自宅・貸地・預貯金 1億4,000万円 3人 4区分 なし 87.6万円 105.16万円
自宅・預貯金・自社株 1億9,000万円 3人 2区分 1つの事務所 107.62万円 130.46万円

表の見方:どのケースも、同じ条件でA事務所とB事務所の総額に差があります。自社株があるケースでは、総額が100万円を超えます。

計算ロジック:総額=基本報酬+基本報酬×10%×(相続人の数−1)+土地5.5万円×区分数+自社株16.5万円×社数です。両事務所の公開料金表(2026年9月30日時点・税込)の加算の条件で計算し、実費と期限の割増しは含めていません。

預貯金中心のケース|最も安く済む

財産が預貯金と上場株式だけなら、加算報酬はほとんどかかりません。評価がそのまま金額で決まるため、作業は集計と申告書の作成に絞られます。

上場株式には「4つの価格から最も低いものを選ぶ」決まりがありますが、株価は公表されているので作業量は限られます。遺産が基礎控除を少し超える程度なら、自分で申告することも現実的です。

不動産があるケース|土地の数で変わる

自宅の土地が入ると、土地の加算がかかります。自宅と隣の駐車場、貸している土地などは別の区分として数えられ、区分が増えるほど総額が上がります。

表の「自宅と預貯金」のケースでは、A事務所の基本報酬38.17万円に、相続人2人分の加算7.63万円と土地2区分の11万円が乗って、総額はおよそ57万円です。基本報酬だけで比べると見落とす差が、加算で積み上がります。

現地の調査を行う事務所では、交通費が別にかかることもあります。ただし土地がある相続は、評価を下げる要素と自宅の土地の特例の判断で税額が大きく動くため、加算を払ってでも調査を頼む価値がある構成です。

非上場株式がある・期限が迫っているケース

自社株がある相続は、報酬が最も高くなる構成です。複数の会社があれば社数分の加算になり、持株会社を通している場合はさらに複雑になります。

表の「自宅・預貯金・自社株」のケースでは、A事務所で基本報酬66.77万円に、相続人2人分の13.35万円、土地2区分の11万円、自社株1社の16.5万円が乗って、総額はおよそ108万円です。B事務所では約130万円でした。

期限が迫っているケースでは、ここに割増しが加わります。割増しの率や受け付けの条件は事務所ごとに違うため、残りの期間を伝えて見積りを取ってください。

どちらのケースも、報酬の安さより正確さが税額に効きます。自社株は評価方式の選び方で、期限直前は検討の時間で、結果が変わるためです。

期限まで時間がないときは、まず期限内に申告を出すことを優先し、評価の見直しは申告後の更正の請求で行う進め方もあります。ただし自宅の土地の特例は後から追加できないため、期限内の申告に必ず入れてください。

参照元:国税庁 No.4205 相続税の申告と納税

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報酬は元が取れるか|費用対効果の判断

報酬を払う価値があるかは、報酬と、税理士に頼むことで下がる税額を並べて判断します。遺産が小さく構成が単純なら自分で申告する選択肢もあり、土地があれば報酬以上に税額が下がることがあります。

報酬と節税額の比較|特例や評価の減額で報酬を上回るケース

税理士に頼んだ場合に下がる税額の例を、報酬の目安と並べました。土地がある相続では、1つの判断だけで報酬の数倍の差になることがあります。

ケース(遺産・家族) 税理士の判断で下がる税額 報酬の目安(税込) 差し引き
自宅の土地の特例を使う(遺産1億円・子2人) 590万円 110万円 +480万円
土地の形による減額を使う(遺産1億2,000万円・子2人) 240万円 132万円 +108万円
次の相続まで見て分ける(遺産1億円・母と子2人) 404.6万円 110万円 +294.6万円

表の見方:どのケースも、下がる税額が報酬を上回っています。特に自宅の土地の特例は、申告書に書いていないと原則として後から追加できないため、申告の前に確かめる価値が大きい判断です。

重要ポイント:逆に、預貯金だけで特例も使わない相続では、下がる税額がほとんどなく、報酬がそのまま負担になります。財産の構成で判断してください。

報酬の元を取りにくいケース 理由 考えられる選択
財産が預貯金と上場株式だけ 評価で差がつく余地が小さい 自分で申告するか、作業の少ない料金の事務所を選ぶ
遺産が基礎控除を少し超えるだけ 相続税そのものが少なく、報酬の割合が大きい 申告が要るかを先に確かめ、要るなら費用を比べる
配偶者がすべて相続し、次の相続も小さい 配偶者の税額軽減で今回は0円になりやすい 申告書の提出は必要なので、作業の範囲を絞って頼む

表の見方:このようなケースでも、土地が1つでもあると判断が変わります。自宅の土地の特例は申告書に書かないと使えないため、土地があるなら一度は税理士に確かめてください。

計算ロジック:下がる税額は相続税の速算表で総額を出した試算です。報酬は遺産総額の1%に消費税を足した上限寄りの目安で、差し引きは下がる税額から報酬を引いています。

相談先を間違えたときの税額の差の詳しい計算は、下記の記事で解説しています。

参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

自分で申告できるケース・危険なケース

次の条件がそろえば、自分で申告することも選択肢に入ります。1つでも欠けるなら、税理士への依頼を考えてください。

  • □ 相続財産に土地・非上場株式・海外資産が含まれていない
  • □ 家族名義の預金や生前の贈与の判断が要らない
  • □ 相続人全員が分け方に合意している
  • □ 申告期限まで6か月以上の余裕がある
  • □ 平日に役所や金融機関へ行く時間がある

自分で申告しても、費用がまったくかからないわけではありません。戸籍や残高証明などの実費は税理士に頼む場合と同じようにかかり、書類の収集と申告書の作成に多くの時間を使います。

国税庁のサイトでは、申告が必要かどうかの目安を確かめる「相続税の申告要否判定コーナー」や、申告書の様式と記載例が公開されています。税務署の面接相談(予約制)で、書き方を確かめながら進めることもできます。

最も判断を誤りやすいのは家族名義の預金です。家族名義でも実際は亡くなった人のお金なら相続財産になり、申告漏れは税務調査で最も指摘されやすい項目です。

自分で申告するか税理士に頼むかの判断基準は、下記の記事で解説しています。

安い事務所を選ぶリスク|追徴を受けた場合の試算

報酬を下げた結果、申告漏れや払いすぎが起きると、報酬の差以上に損をします。令和6事務年度の相続税の実地調査では、82.3%で申告漏れなどが見つかっています。

パターン 税理士の報酬 追徴・払いすぎ 負担の合計
A:相続税の対応実績がある事務所・問題なし 80万円 0円 80万円
B:安い事務所・問題なし 50万円 0円 50万円
C:安い事務所・調査で申告漏れを指摘 50万円 本税100万円+過少申告加算税10万円+延滞税 160万円超
D:安い事務所・土地の減額を逃した 50万円 払いすぎ80万円(気づかず確定) 130万円

表の見方:AとBの報酬の差は30万円です。CやDになると、負担の合計はAを大きく上回ります。報酬の安さは、負担の一部にすぎません。

計算ロジック:遺産1億円・当初の相続税500万円の例です。Cの過少申告加算税は、増えた本税100万円が当初の税額500万円を超えないため10%です。調査の通知の前に自分で修正申告を出せば、加算税はかかりません。

参照元:国税庁 令和6事務年度における相続税の調査等の状況

見積書の見方と費用を抑える方法

届いた見積書のどこを見れば妥当と判断できるのかは、あまり説明されていません。項目の内訳と、要注意の項目と、総額の3点を押さえれば、見積りを比べられます。

見積書に書かれる項目と見るべき点

まず見積書に何が並ぶかを押さえます。次の項目が数字で書かれていない見積書は、比べる土台に乗りません。

見積書の項目 書かれているべき内容 目安(税込)
基本報酬 遺産総額の区間と金額・税別か税込か 遺産総額の0.55〜1.1%
土地の評価 利用区分の数と単価 1区分5.5万円前後
非上場株式の評価 社数と単価 1社16.5万円前後〜
相続人の加算 人数と加算率 1人あたり基本報酬の10%
書面添付 使うかどうかと金額 5.5万円前後(含む事務所もある)
実費 書類の取得の実費と手数料の区別 数千〜数万円

表の見方:黄色の行の基本報酬だけを見て比べるのが、最も多い失敗です。加算の単価と数、税別か税込かが書かれているかを必ず確かめてください。

要注意の項目|成功報酬・書類取得手数料・概算の見積り

見積書で特に確かめたいのは3つです。金額が読めない項目は、上限と計算の基礎を必ず聞いてください。

見積書で要注意の3項目

  • 成功報酬:「土地の評価を下げた分の○%」などの形。上限がないと、基本報酬を大きく上回ることがある
  • 書類取得手数料:実費(戸籍1通450〜750円など)と、代行の手数料が分けて書かれているか
  • 概算の見積り:「別途見積り」「財産の内容により変動」が多く、加算の単価が空欄のもの
見積りを頼むときに伝える情報 見積りの何に効くか
亡くなった日 期限までの残り=割増しの有無
相続人の人数と続柄 相続人の数による加算
財産の概算と種類 基本報酬の区間
土地の数と使い方 土地の加算(利用区分の数)
自社株・海外資産の有無 難しい財産の加算
生前の贈与・保険金の有無 遺産総額の数え方

すべての事務所に同じ情報を伝えれば、届いた見積りを横並びで比べられます。特に土地の数と使い方は加算に直結するため、分かる範囲で具体的に書いてください。

概算の見積りが悪いわけではありません。ただし概算どうしを金額で比べても意味がないため、「どこまで財産が動いたら再見積りになりますか」と一言聞いておくと、あとから総額が膨らむリスクを下げられます。

費用を抑える6つの方法

依頼の仕方を変えるだけで、数万〜数十万円は変わります。品質を落とさずに効くのは、早めに頼むことと書類を自分で集めることです。

【方法1】3つ以上の事務所に同じ条件で見積りを頼む

遺産の概算・土地の数・相続人の人数・亡くなった日の4点をすべての事務所に同じように伝えます。条件がそろわないと、届いた見積りを比べられません。

【方法2】早めに頼んで期限直前の割増しを避ける

相続開始から2〜3か月以内に最初の相談を済ませ、7か月以内に依頼先を決めます。交渉で数万円を削るより確実です。

【方法3】書類を自分で集める

戸籍は2024年3月から最寄りの市区町村でまとめて請求できるようになりました(兄弟姉妹の戸籍は対象外)。取得代行の手数料を削れます。

【方法4】不要な項目を見直す

相続登記や口座の名義変更は、司法書士や自分で直接行ったほうが安いことがあります。まとめて頼む場合は内訳を確かめます。

【方法5】面談をオンラインにする

出張の日当や交通費がかからなくなる事務所があります。遠方の事務所も候補に入れられます。

【方法6】根拠を示して相談する

「他の事務所では総額○万円でした」「書類は自分で集めるので、その分を差し引けますか」と事実と範囲で伝えます。料金表を公開している事務所は、値引きをしない方針のことも多くあります。

複数の税理士から見積りを取るときの選び方は、下記の記事で解説しています。

安く抑えたときの副作用

費用を下げると、その分どこかが削られます。何が削られるのかを知ってから選ぶことが大切です。

  • 作業の範囲が狭まる(土地の詳しい評価や現地の調査が対象外になる)
  • 節税の提案が薄くなる(特例の有利・不利の比較や、分け方の比較が省かれる)
  • 自分の作業が増える(書類の不備や取得漏れのリスク)
  • 確認が薄くなる(税務判断の検討が浅くなり、追徴のリスクが上がる)

6つの方法のうち、方法2と方法3は品質を落とさずに効きます。方法4〜6は範囲の調整なので、上の副作用が出ないかを確かめてから選んでください。

契約後に「高い」と気づいたら|断り方・変更・払いすぎの取り戻し

すでに契約した後でも、打てる手は残っています。見積りの段階なら断る、契約後なら変える、申告後なら払いすぎを取り戻す、の3つです。

見積りの段階での断り方|角が立たない伝え方

まだ契約していなければ、断るのに理由は要りません。無料相談を受けたからといって、依頼する義務はありません。

「ほかの事務所も含めて検討した結果、今回は別の事務所にお願いすることにしました」と事実だけを伝えれば十分です。複数の事務所を比べるのは普通の行動で、事務所の側も初回相談は比べてもらう場と考えています。

断ったあとに値下げを提示されることもあります。その場合も、下がった金額だけで決めず、作業の範囲が削られていないか(現地の調査・特例の比較・書面添付など)を確かめてから判断してください。

見積りを受け取ってから返事をするまでの期間に決まりはありませんが、期限が近いと事務所の予定が埋まっていきます。比べる期間は1〜2週間を目安にすると、依頼が遅れすぎずに済みます。

途中で変える手順と費用の精算

税理士との契約は、依頼する側からいつでも解約できます。途中で終わった場合の報酬は、終えた作業の割合に応じて払うのが原則です(民法648条3項)。

STEP1

契約書を確かめる

途中解約の条項、着手金の扱い、終えた作業分の精算方法を読みます。

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STEP2

新しい事務所に相談する

残りの期間で引き受けられるか、引き継ぎの費用がかかるかを確かめます。

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STEP3

前の事務所に解約を伝える

終えた作業分の報酬を精算し、預けた書類と作成済みの資料を回収します。

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STEP4

引き継ぎをする

回収した書類を新しい事務所に渡し、残りの期間の予定を共有します。

注意:変更が現実的なのは、申告期限まで3か月以上ある場合です。残り3か月を切っていると、引き継ぎの時間が取れず期限に間に合わないおそれがあります。

税理士を途中で変えるときの手順と、報酬の精算の考え方は、下記の記事で解説しています。

申告後に払いすぎに気づいたら

すでに申告が終わっていても、払いすぎていれば申告期限から5年以内は更正の請求で取り戻せます。亡くなってからおよそ5年10か月が締め切りです。

見直しで還付につながりやすいのは土地の評価です。ただし、自宅の土地の特例のように、申告書に書いていないと後から追加できない特例もあります。

払いすぎの取り戻しを別の税理士に頼む場合は、戻った税額に応じた成功報酬にする事務所が多くあります。報酬の料率と、戻らなかった場合の扱いを確かめてから頼んでください。

申告後に税務調査の連絡が来た場合の立会いも、別料金のことが多い業務です。申告を頼む時点で、調査の立会いが報酬に含まれるか、含まれないならいくらかを聞いておくと安心です。

更正の請求の期限と、後から使える特例・使えない特例は、下記の記事で解説しています。

相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ
相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ

相続税の税理士費用の相談は相続税の対応実績がある税理士へ|一括相談・見積り

税理士費用は各事務所が自由に決めているため、同じ遺産額でも差が生まれます。複数の税理士に同じ条件で相談し、総額で比べて選ぶのがおすすめです。

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

報酬の安さだけで選ぶと、結果的に高くつくことがあります。土地の評価や特例の判断で、報酬の差を超える税額の差が生まれるためです。

相続税の対応実績がある税理士に相談する理由

  • 土地の減額の要素を現地と役所で調べ、評価を適正に下げられる
  • 自宅の土地の特例や配偶者の税額軽減を、どう使うと得かを比べられる
  • 加算の条件を数字で示し、あとからの追加請求を防げる
  • 書面添付を使い、税務調査のときに根拠を説明できる
  • 次の相続まで見た分け方を試算できる

本記事の試算では、自宅の土地の特例を使うかどうかだけで590万円の税額の差が出ました。報酬の差が数十万円でも、判断の差はその何倍にもなります。

一括相談・見積りのメリット|提案の中身で実務力が見える

見積りを並べると報酬額を比べられますが、差が大きいのは提案の中身です。次の3点を各事務所に同じ質問で聞き、答えを突き合わせてください。

判定ポイント1:総額を税込で出すか

「基本報酬・加算・消費税・実費を合わせた総額を出してもらえますか」と聞きます。A事務所は基本報酬だけ、B事務所は加算と実費まで含めた税込の総額を示しました。

→ B事務所の方が、あとから追加請求が出にくい見積りの実務経験が豊富と判定できます。

判定ポイント2:土地を現地で調べるか

「土地の評価で現地と役所を調べますか。その費用は含まれますか」と聞きます。A事務所は資料だけで評価、B事務所は現地と役所の調査を加算に含めていました。

→ B事務所の方が、減額の要素を拾える可能性が高いと判定できます。

判定ポイント3:節税の見込みを報酬と並べて示すか

「頼んだ場合に下がりそうな税額の見込みを教えてください」と聞きます。A事務所は答えがなく、B事務所は特例と評価の減額の見込みを報酬と並べて示しました。

→ B事務所の方が、費用対効果を説明できる実務経験が豊富と判定できます。

相談しないまま進めるリスク

1つの事務所だけで決めると、その金額が妥当かを判断する材料がありません。相場より高いのか安いのかを知らないまま契約することになります。

相談しないまま進めると起きること

  • 基本報酬だけを見て契約し、加算と消費税で総額が想定を超える
  • 成功報酬の上限を確かめず、基本報酬を上回る請求を受ける
  • 土地の減額を拾えない事務所に頼み、相続税を払いすぎる
  • 期限直前に動いて、割増しを払うか、引き受けを断られる
  • 相場を知らないまま契約し、交渉の余地を失う

これらの多くは、契約の前に複数の見積りを取るだけで防げます。相談は無料のことが多く、比べるだけなら費用はかかりません。

見積り比較シミュレーション|相続財産規模別の報酬差と節税効果

報酬の差より、提案の中身で動く税額のほうが桁が大きくなります。次の表は、2つの事務所から見積りを取った場合の例です。

相続財産規模 A税理士の見積り B税理士の見積り 見積り差 検討の範囲
1億円 報酬60万円
相続税770万円
報酬80万円
相続税180万円
報酬+20万円
節税590万円
A:特例の検討なし
B:自宅の土地の特例を適用
2億円 報酬120万円
相続税2,100万円
報酬150万円
相続税1,700万円
報酬+30万円
節税400万円
A:1案
B:3案
3億円 報酬180万円
相続税4,200万円
報酬210万円
相続税3,500万円
報酬+30万円
節税700万円
A:1案
B:4案

表の見方:A税理士は報酬が安いものの、特例や分け方の検討が限られています。B税理士は報酬がやや高いものの、特例の適用と複数の分け方を示し、相続税が少ない案を提案しています。

重要ポイント:報酬だけで選ぶと、特例を検討しないまま申告してしまうことがあります。報酬と相続税を足した総額で比べてください。

計算ロジック:1億円の行は、子2人・自宅の土地5,000万円のケースで、自宅の土地の特例を使うかどうかの税額(770万円と180万円)です。2億円・3億円の行は差を示すための例で、実際の差は財産と家族の構成で変わります。

一括相談・見積りの手順|STEP1~STEP4

STEP1

相続の概要を整理する

被相続人の資産内容・資産額概算・相続人構成・年齢・遺言の有無をメモにまとめます。土地の数と亡くなった日も書き出します。

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STEP2

一括見積り・相談サービスに依頼する

複数の税理士事務所に一括で見積りを依頼できるサービスを使います。希望内容を「相続税申告・相続税の節税・確定申告・準確定申告など」と明確に記し、複数の税理士(目安3~5の事務所)への同時打診を依頼します。

不動産がある場合は所在地・広さなども記載します。フォームでは「財産の種類」「相続人の人数」をできるだけ正確に伝えると見積りの精度が上がります。フォーム記入自体は5分程度です。

⬇

STEP3

見積りと初回相談を受ける

各事務所から「提案内容」「試算相続税額」「報酬額」が記載された見積りが届きます。税込の総額と、下がりそうな税額の見込みを並べて、気になる事務所と初回相談をします。

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STEP4

税理士を選定・正式依頼する

「提案内容の質」「説明の丁寧さ」「報酬の納得性」で事務所を選びます。相続開始から7ヶ月以内に税理士を決めて、期限直前の割増しを避けてください。

初回相談で確認すべきチェックリスト|税理士の専門性を見極める

聞く順番より、同じ質問をすべての事務所に投げて答えを並べることが大事です。

  • □ 年間の相続税の申告件数と、税理士の人数を数字で答えられるか
  • □ 報酬を税込の総額で示すか
  • □ 土地の現地と役所の調査を行い、その費用が含まれるか
  • □ 頼んだ場合に下がりそうな税額の見込みを説明できるか
  • □ 書面添付を使う方針か、費用は基本報酬に含まれるか
  • □ 次の相続まで含めた分け方の案を出すか
  • □ 報酬体系が明確で、追加報酬の条件が事前に説明されているか

重要ポイント:報酬の話だけで終わらせず、下がりそうな税額の見込みもあわせて聞いてください。費用対効果を説明できるかが、事務所を見極める目安になります。

見積りで確認すべきチェックリスト|報酬体系と対応範囲

見積書は基本報酬に何が含まれるかと税込の総額が書面で出ているかを先に確かめてください。

すでに依頼した税理士の見積りや申告の内容に納得できない場合の相談先は、下記の記事で解説しています。

  • □ 基本報酬の金額と、税別か税込かが明記されているか
  • □ 土地の数・相続人の数による加算の基準が書かれているか
  • □ 成功報酬がある場合、計算の基礎と上限が書かれているか
  • □ 実費と書類取得の手数料が分けて書かれているか
  • □ 期限が近い場合の割増しの有無が書かれているか
  • □ 報酬と節税効果を合わせた総額で比べられるか

重要ポイント:見積り比較では、報酬額の安さだけでなく、提案される特例や分け方の案と節税効果を合わせて判断してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 相続税の税理士費用の相場はいくらですか?

遺産総額の0.5〜1%程度が目安で、遺産1億円なら50万〜100万円(税込55万〜110万円)です。これは基本報酬の目安で、土地1区分あたり5.5万円前後、非上場株式1社あたり16.5万円前後などの加算が別にかかります。

Q2. 税理士費用は相続税から差し引けますか?

差し引けません。相続財産から差し引けるのは、亡くなった時点であった債務と葬式費用で、相続が始まったあとに生まれる税理士費用は対象外です。ただし準確定申告で納めることになった所得税は、債務として差し引けます。

Q3. 税理士費用は誰が払うのですか?

法律上の決まりはなく、相続人の誰が払っても問題ありません。取得した割合で分けるのが一般的です。配偶者が払うと、配偶者が亡くなったときの相続税が小さくなることがあります。

Q4. 報酬が安い事務所に頼んでも大丈夫ですか?

財産が預貯金中心で評価が難しい財産がないなら、選択肢になります。土地がある相続では、減額の見落としで報酬の差を超える税額の差が出ることがあるため、現地の調査の有無を確かめてから判断してください。

Q5. 契約した後でも税理士を変えられますか?

変えられます。途中で終わった場合の報酬は、終えた作業の割合に応じて払うのが原則です。申告期限まで3か月以上あるなら変更を検討でき、3か月を切っているなら別の税理士の意見で補強するほうが現実的です。

まとめ|税理士費用は「税込の総額」と「節税の効果」で判断する

相場は遺産総額の0.5〜1%

  • 遺産1億円なら基本報酬50万〜100万円(税込55万〜110万円)が目安
  • 土地・自社株・相続人の数で加算され、料金表は税別のことが多い
  • 同じ遺産額でも、公開料金表で1.6〜2.4倍の差がある

報酬は相続税と並べて考える

  • 遺産5,000万円では、報酬が相続税の3〜7割にあたる
  • 土地がある相続では、特例や評価の減額で報酬を上回る税額が下がることがある
  • 税理士費用は相続財産から差し引けない

見積りは同じ条件で、税込の総額で比べる

  • 基本報酬・加算・消費税・実費を足した総額で比べる
  • 成功報酬の上限と、再見積りになる条件を確かめる
  • 相続開始から7か月以内に依頼先を決めて、期限直前の割増しを避ける

今すぐ取るべき行動

  • 遺産の概算・土地の数・相続人の人数・亡くなった日の4点をメモにまとめる
  • 自分の遺産額で、報酬が相続税の何%になりそうかを確かめる
  • 複数の税理士に一括相談・見積りを頼み、税込の総額と節税の見込みで比べる

※本記事は2026年9月時点の法令・実務に基づいて作成しています。税理士の報酬額は各事務所が自由に設定しており、記載の金額は目安です。最新の制度や個別の判断については、国税庁の情報や相続税の対応実績がある税理士にご確認ください。

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