


タワーマンションの相続税は、同じ建物の中でも何階の部屋かで金額が変わります。2024年1月から評価額の出し方が変わったためです。
変わったのは税率や基礎控除ではなく、財産の値段の付け方です。土台になる評価額が上がったため相続税が増えました。
改正前は評価額が売買価格の2割から3割にとどまることがありました。現金より評価額が下がるため、相続税を抑える手段に使われていました。
改正後は売買価格の6割を下回らないように引き上げられます。40階建ての20階なら評価額は3,166.7万円から6,399.2万円です。
同じマンションでも3階なら5,817.8万円、40階なら7,083.2万円です。子2人が相続する例では相続税が528.6万円から781.7万円増えます。
改正前ならこの部屋1戸だけでは相続税がかからず、申告も不要でした。改正後は1戸だけで基礎控除を超えます。
この記事では、所在階別の相続税の早見表、引き上げ率の出し方、階数と築年数別の一覧、間違えやすい5つの点、改正後に残る節税、納税資金の作り方までを解説します。
▼ この記事の3行まとめ

タワマンの相続税は所在階で変わります。同じ建物の同じ広さでも、上の階のほうが評価額が高くなる仕組みになったためです。まず金額から確認します。
40階建て・築5年・専有70平方メートル・敷地5,000平方メートルを300戸で分けているマンションを例にします。ほかに財産が7,000万円あり、子2人が相続する前提です。
| 所在階 | 改正後の評価額 | 改正前の相続税 | 改正後の相続税 | 増える額 |
|---|---|---|---|---|
| 3階 | 5,817.8万円 | 795万円 | 1,323.6万円 | +528.6万円 |
| 10階 | 6,057.2万円 | 795万円 | 1,371.4万円 | +576.5万円 |
| 20階 | 6,399.2万円 | 795万円 | 1,439.8万円 | +644.9万円 |
| 30階 | 6,741.2万円 | 795万円 | 1,508.2万円 | +713.3万円 |
| 40階 | 7,083.2万円 | 795万円 | 1,576.6万円 | +781.7万円 |
表の見方:評価額だけが階によって変わり、ほかの条件は同じです。3階と40階で増える相続税の差は253.1万円です。
重要ポイント:改正前の相続税はどの階でも795万円でした。改正前は階の違いが評価額に反映されていなかったためです。階による差は改正で初めて生まれました。
計算ロジック:評価額は国税庁 No.4667の算式で出した引き上げ率を、家屋の固定資産税評価額と敷地の路線価評価額に掛けています。相続税は課税される財産から基礎控除4,200万円を引き、No.4155の速算表を法定相続分に当てて合計しました。

相続税は建物ごとに計算するのではなく、すべての財産を合計してから計算します。20階の部屋(6,399.2万円)にほかの財産を足した金額で並べます。
| タワマン以外の財産 | タワマンの評価額 | 課税される財産の合計 | 相続税 |
|---|---|---|---|
| 5,000万円 | 6,399.2万円 | 11,399.2万円 | 1,039.8万円 |
| 7,000万円 | 6,399.2万円 | 13,399.2万円 | 1,439.8万円 |
| 10,000万円 | 6,399.2万円 | 16,399.2万円 | 2,259.8万円 |
| 15,000万円 | 6,399.2万円 | 21,399.2万円 | 3,759.8万円 |
| 20,000万円 | 6,399.2万円 | 26,399.2万円 | 5,479.7万円 |
表の見方:黄色の行が前の表と同じ前提です。タワマンの評価額が同じでも、ほかの財産が多いほど税率が上がります。
重要ポイント:タワマンは金額が大きいため、1戸あるだけで税率の階段を1段か2段押し上げます。改正で評価額が2倍になった影響が、税率の上昇によってさらに拡大します。

基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、改正では変わっていません。ただし評価額が2倍になったことで基礎控除を超える人が出ました。
| 相続人の数 | 基礎控除 | 改正前(3,166.7万円) | 改正後(6,399.2万円) |
|---|---|---|---|
| 1人 | 3,600万円 | 0円 | 課税(2,799.2万円超え) |
| 2人 | 4,200万円 | 0円 | 課税(2,199.2万円超え) |
| 3人 | 4,800万円 | 0円 | 課税(1,599.2万円超え) |
| 4人 | 5,400万円 | 0円 | 課税(999.2万円超え) |
表の見方:この部屋以外に財産がない場合です。改正前は相続人が1人でも0円でしたが、改正後は4人いても課税されます。
重要ポイント:課税されると申告も必要になります。子2人なら相続税は229.9万円で、改正前は申告そのものが不要だった水準です。
自分が課税されるかどうかは、改正後の評価額を出さないと判定できません。改正前の評価額しか把握していない場合は、そこから2倍前後に増えると考えて基礎控除と比べることになります。


改正で入ったのは、評価額に掛ける引き上げ率です。売買価格の6割を下回っている分だけ引き上げる仕組みで、乖離が大きい高層階ほど率が大きくなります。
引き上げ率は3つの数字から決まります。売買価格と評価額のずれを表す「評価乖離率」、その逆数の「評価水準」、そこから求める引き上げ率です。
| 所在階 | 評価乖離率 | 評価水準 | 引き上げ率 | 改正前の評価額 | 改正後の評価額 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 3階 | 3.062 | 0.3266 | 1.8372 | 3,166.7万円 | 5,817.8万円 | 1.84倍 |
| 10階 | 3.188 | 0.3137 | 1.9128 | 3,166.7万円 | 6,057.2万円 | 1.91倍 |
| 20階 | 3.368 | 0.2969 | 2.0208 | 3,166.7万円 | 6,399.2万円 | 2.02倍 |
| 30階 | 3.548 | 0.2818 | 2.1288 | 3,166.7万円 | 6,741.2万円 | 2.13倍 |
| 40階 | 3.728 | 0.2682 | 2.2368 | 3,166.7万円 | 7,083.2万円 | 2.24倍 |
表の見方:評価水準はどの階も0.6を下回っています。0.6未満だと引き上げの対象で、率は評価乖離率×0.6です。改正前の評価額はどの階も同じ3,166.7万円でした。
重要ポイント:倍率は3階で1.84倍、40階で2.24倍です。タワマンでは階を問わず2倍前後になると見ておく必要があります。
計算ロジック:評価水準が0.6未満なら引き上げ率は「評価乖離率×0.6」、0.6以上1以下なら引き上げなし、1を超えるなら引き上げ率は評価乖離率そのままです。3番目の場合は率が1を下回るため評価額が下がります。
評価乖離率は4つの要素を足して求めます。このうち階によって変わるのは所在階の1つだけです。
| 要素 | 20階の部屋での値 | 階が上がると |
|---|---|---|
| 築年数(築5年) | -0.165 | 変わらない |
| 建物の高さ(40階建て) | +0.239 | 変わらない(33階で上限) |
| 部屋の所在階 | +0.360 | 1階ごとに0.018増える |
| 敷地の持ち分の狭さ | -0.286 | 変わらない |
| 固定値 | +3.220 | ― |
| 合計(評価乖離率) | 3.368 | 上がる |
表の見方:黄色の行が階で変わる部分です。1階上がるごとに評価乖離率が0.018増え、引き上げ率は0.0108増えます。
重要ポイント:敷地の持ち分の狭さは評価乖離率を下げる向きに働きます。ただしタワマンは戸数が多く1戸あたりの敷地が狭いため、この例では16.67平方メートルしかなく、下げる効果も小さくなります。
計算ロジック:国税庁の趣旨情報によると、4つの要素の係数と3.220という値は、平成30年分の譲渡所得の申告で把握された取引事例をもとにした重回帰分析の結果です。決定係数は0.587と示されています。
参照元:国税庁 「居住用の区分所有財産の評価について」(法令解釈通達)の趣旨について(情報)
改正前は、売買価格1億円の部屋の評価額が2,000万円台になることがありました。現金で持つより評価額が大幅に下がるため、節税の手段として使われました。
【改正に至った経緯】
国税庁の趣旨情報では、判決後に乖離への批判が高まったことと、取引の手控えによる市場への影響を懸念する声があったことが見直しの理由として挙げられています。
重要ポイント:国税庁の趣旨情報には「いわゆるタワーマンションなどの一部のものに限らず、広く一般的に評価方法を見直す必要性が認められた」と書かれています。改正の対象はタワマンだけではなく分譲マンション全体です。
ただし引き上げ率は乖離の大きさに応じて決まるため、結果として乖離の大きいタワマンの高層階がもっとも影響を受けます。低層の物件では引き上げがない場合もあります。
参照元:国税庁 居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通達)


引き上げ率は3つのステップで出します。必要な数字は4つだけで、すべて登記事項証明書に載っています。順番を守れば手計算でも出せますが、途中の端数処理だけは注意が必要です。ここでは数字の意味と計算の順序を確認します。
最初に評価乖離率を求めます。売買価格が評価額の何倍になっているかを4つの要素から統計的に推定した値で、実際の売買価格を調べる必要はありません。登記事項証明書の数字だけで機械的に決まります。
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| 記号 | 何の数字か | 掛ける係数 | どこで分かるか |
|---|---|---|---|
| A | 築年数(1年未満は1年に切り上げ) | △0.033 | 登記事項証明書の新築年月日 |
| B | 総階数指数(総階数÷33。1を超えたら1) | 0.239 | 登記事項証明書の建物の階数 |
| C | 部屋の所在階 | 0.018 | 登記事項証明書の家屋番号・階 |
| D | 敷地の持ち分の狭さ(敷地利用権の面積÷専有面積) | △1.195 | 登記事項証明書の敷地権の割合と床面積 |
| 固定値 | ― | +3.220 | ― |
表の見方:AとDはマイナスの係数なので、評価乖離率を下げる向きに働きます。築年数が古いほど、敷地の持ち分が広いほど引き上げは小さくなります。
重要ポイント:黄色のCが階で変わる唯一の要素です。タワマンではBが上限の1に張り付き、Dも小さいため、Cが率を決めます。
計算ロジック:20階の例では A -0.165/B +0.239/C +0.360/D -0.286 に3.220を足して評価乖離率 3.368です。4つのうち3つが動かないため、階だけで差が出ます。

評価水準は1を評価乖離率で割った値で、売買価格に対する評価額の割合の目安を表します。この値が0.6を下回っている分だけ引き上げるのが改正の考え方で、0.6以上なら改正前と同じ評価額のままです。
| 評価水準 | 引き上げ率 | 評価額はどうなるか |
|---|---|---|
| 0.6未満 | 評価乖離率 × 0.6 | 上がる(タワマンはほぼここ) |
| 0.6以上1以下 | 引き上げなし | 改正前と同じ |
| 1を超える | 評価乖離率(1未満になる) | 下がる |
表の見方:20階の例では評価水準が0.2969で0.6未満なので、引き上げ率は 3.368×0.6=2.0208です。
重要ポイント:黄色の行のように評価水準が1を超える場合は、引き上げ率が1を下回るため評価額が下がります。国税庁の趣旨情報にも「減額させる計算となる」と書かれています。
計算ロジック:通達では算式と0.6という値について「適時見直しを行うものとする」と定められています。将来この0.6が変わる可能性がある前提で見ておく必要があります。
参照元:国税庁 「居住用の区分所有財産の評価について」(法令解釈通達)の趣旨について(情報)
項目ごとに切り上げと切り捨てが違うため、まとめて処理すると合いません。とくにDはマイナスなので、切り上げると数字が大きくなる向きです。国税庁の計算例で実際にどう処理しているかを並べます。
| 項目 | 端数処理 | 国税庁の計算例での値 |
|---|---|---|
| 築年数 | 1年未満は切り上げ | 27年 |
| 総階数指数 | 第4位切り捨て・1超は1 | 11÷33=0.333 |
| B(総階数指数×0.239) | 第4位切り捨て | 0.333×0.239=0.079 |
| 敷地利用権の面積 | 第3位切り上げ | 21.00平方メートル |
| 敷地の持ち分の狭さ | 第4位切り上げ | 21.00÷60.00=0.350 |
| D(狭小度×△1.195) | 第4位切り上げ(マイナスなので数字が大きくなる向き) | 0.350×△1.195=△0.41825→△0.419 |
表の見方:薄赤のDだけが向きを取り違えやすい項目です。△0.41825を△0.418にすると引き上げ率が1.2264になり、正しい1.2258とずれます。
重要ポイント:引き上げ率のずれはそのまま評価額に乗ります。国税庁の計算例(家屋400万円+敷地1,050万円)では8,700円の差ですが、評価額が数千万円になるタワマンでは十万円単位で動きます。
自分で計算する場合は、国税庁が用意している計算明細書を使うと端数処理が自動的に反映されます。申告書に添付する書類でもあるため、手計算した場合も最後に照合しておきます。登記事項証明書と課税明細書のどこを見て数字を拾うかは下記の記事で解説しています。
参照元:国税庁 B2-6 居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書

引き上げ率は所在階と築年数でほぼ決まります。自分の部屋がどのあたりに当たるかを一覧で確認できます。前提は40階建て・専有70平方メートル・敷地5,000平方メートルを300戸です。
築5年に固定して所在階だけを動かします。1階上がるごとに引き上げ率が0.0108増える一定のペースなので、表にない階でも間を按分すればおおよその値が分かります。
| 所在階 | 評価乖離率 | 引き上げ率 | 改正後の評価額 |
|---|---|---|---|
| 1階 | 3.026 | 1.8156 | 5,749.4万円 |
| 5階 | 3.098 | 1.8588 | 5,886.2万円 |
| 10階 | 3.188 | 1.9128 | 6,057.2万円 |
| 15階 | 3.278 | 1.9668 | 6,228.2万円 |
| 20階 | 3.368 | 2.0208 | 6,399.2万円 |
| 25階 | 3.458 | 2.0748 | 6,570.2万円 |
| 30階 | 3.548 | 2.1288 | 6,741.2万円 |
| 35階 | 3.638 | 2.1828 | 6,912.2万円 |
| 40階 | 3.728 | 2.2368 | 7,083.2万円 |
表の見方:1階でも引き上げ率は1.8156です。タワマンでは低層階でも引き上げを免れません。
重要ポイント:1階と40階の評価額の差は1,333.8万円です。同じ広さ・同じ建物でこれだけ変わります。
計算ロジック:所在階の係数は0.018で、引き上げ率は評価乖離率×0.6なので1階あたり0.018×0.6=0.0108ずつ増えます。メゾネットタイプで複数階にまたがる場合は低い方の階を使います。
築年数の係数はマイナスなので、古い建物ほど引き上げ率が下がります。20階に固定して築年数だけを動かすと、どこで引き上げが止まるかが見えます。
| 築年数 | 評価乖離率 | 引き上げ率 | 改正後の評価額 |
|---|---|---|---|
| 築1年 | 3.500 | 2.1000 | 6,650万円 |
| 築5年 | 3.368 | 2.0208 | 6,399.2万円 |
| 築10年 | 3.203 | 1.9218 | 6,085.7万円 |
| 築20年 | 2.873 | 1.7238 | 5,458.7万円 |
| 築30年 | 2.543 | 1.5258 | 4,831.7万円 |
| 築40年 | 2.213 | 1.3278 | 4,204.7万円 |
| 築50年 | 1.883 | 1.1298 | 3,577.7万円 |
| 築57年 | 1.652 | 引き上げなし | 3,166.7万円 |
| 築60年 | 1.553 | 引き上げなし | 3,166.7万円 |
表の見方:黄色の行で引き上げがなくなります。この条件では築57年で評価水準が0.6以上になり、改正前と同じ評価額に戻ります。
重要ポイント:築年数は1年ごとに評価乖離率が0.033、引き上げ率が0.0198下がります。10年で評価額が約300万円下がる計算になり、相続の時期によって税額が変わります。
| 建物と部屋 | 引き上げが止まる築年数 |
|---|---|
| 40階建ての40階 | 築68年 |
| 40階建ての20階 | 築57年 |
| 40階建ての3階 | 築48年 |
| 20階建ての20階 | 築54年 |
| 20階建ての3階 | 築45年 |
| 10階建ての5階 | 築44年 |
表の見方:同じ建物でも高い階のほうが引き上げが止まるまで長くかかります。40階建ての40階なら築68年必要です。
重要ポイント:日本で20階を超えるマンションが建ち始めたのは1970年代です。2026年時点で築50年台の物件しかなく、引き上げを免れる築年数に達したタワマンは実質ありません。
建物の高さを表す総階数指数は総階数÷33で求め、1を超えたら1として扱います。つまり33階建てで上限に達し、それ以上高くても指数は増えません。ただしこれは「超高層でも引き上げが同じ」という意味ではありません。
| 建物の高さと部屋 | 総階数指数 | 評価乖離率 | 引き上げ率 |
|---|---|---|---|
| 10階建ての最上階 | 0.303 | 3.021 | 1.8126 |
| 20階建ての最上階 | 0.606 | 3.273 | 1.9638 |
| 33階建ての最上階 | 1.000 | 3.602 | 2.1612 |
| 40階建ての最上階 | 1.000 | 3.728 | 2.2368 |
| 50階建ての最上階 | 1.000 | 3.908 | 2.3448 |
| 60階建ての最上階 | 1.000 | 4.088 | 2.4528 |
表の見方:黄色の33階建てで総階数指数が1.000になり、それ以上は増えません。それでも引き上げ率は上がり続けます。
重要ポイント:上がり続ける理由は所在階です。60階建ての最上階は総階数指数が33階建てと同じ1.000でも、所在階が27階分高いため評価乖離率が0.486大きくなります。
計算ロジック:総階数指数は小数点以下第4位を切り捨て、1を超える場合は1とします。地階は総階数に含めません。「33階で上限だから超高層でも同じ」という理解は所在階を見落としています。


引き上げ率の計算そのものは単純ですが、対象になるかどうかと数字の数え方で取り違えが起きます。実際に迷いやすい5つを整理します。
この評価方法は分譲マンション全体が対象ですが、5つの例外があります。黄色の3つは自宅として住んでいても対象外になるため、該当するかどうかを先に確認します。
| 対象にならない物件 | 具体例 |
|---|---|
| 主に住むための部屋ではないもの | 事業用のテナント |
| 部屋ごとの登記がされていないもの | 一棟をまるごと所有している賃貸マンション |
| 地階を除く総階数が2以下のもの | 2階建ての低層集合住宅 |
| 住むための部屋が3室以下で、そのすべてを本人か親族が使っているもの | いわゆる二世帯住宅 |
| 販売用の在庫として持っているもの | 不動産業者の売れ残り |
表の見方:一棟をまるごと持っている賃貸マンションは、部屋ごとの登記がないため対象外です。同じ建物でも部屋ごとに登記されていれば対象になります。
重要ポイント:住むための部屋が3室以下で、そのすべてを本人か親族が使っている場合も対象外です。親子で使っている二世帯住宅がここに当たります。1室でも第三者に貸していると対象になります。
タワマンでこれらに当たることはほとんどありません。総階数は3階以上あり、部屋ごとに登記されていて、住むための部屋も3室を大きく超えるためです。つまりタワマンは基本的にすべて対象になると考えて差し支えありません。

所在階と総階数の数え方には決まりがあります。地下は0階として扱うため、所在階の項目は0になります。この扱いを知らないと引き上げ率が過大になります。
| 数え方が迷う場合 | どう扱うか |
|---|---|
| 部屋が地下にある | 0階として扱い、所在階の項目は0になる |
| 部屋が2階分にまたがっている | 低いほうの階を使う |
| 建物に地下階がある | 総階数には地下階を含めない |
| 築年数に1年未満の端数がある | 切り上げて1年として数える |
| 総階数が33階を超える | 総階数指数は1として扱う |
表の見方:黄色の2つが迷いやすい項目です。2階分にまたがる部屋は低いほうの階を使うため、39階と40階にまたがるなら39階として計算します。
重要ポイント:総階数には地下階を含めません。地下2階・地上40階の建物なら総階数は40階として指数を出します。42階として計算すると誤りですが、33階を超えているため結果は変わりません。
4つの要素を足した値が0かマイナスになる場合があります。その場合は評価額を付けず、0円として扱います。敷地の持ち分が広い物件で理屈上こうなります。
【評価額を付けないことがある条件】
タワマンは1戸あたりの敷地が狭いのでこの条件には当たりません。該当しうるのは、広い敷地に少ない戸数が建っている郊外の団地型です。
| 敷地の広さと戸数 | 敷地の持ち分の狭さ | 4つの要素の合計 | どうなるか |
|---|---|---|---|
| タワマン(敷地5,000平方メートルを300戸) | 0.239 | 3.368 | 引き上げの対象 |
| 敷地10000平方メートルを50戸 | 2.858 | -1.096 | 評価額を付けない |
| 敷地10000平方メートルを30戸 | 4.762 | -3.371 | 評価額を付けない |
表の見方:タワマンは敷地の持ち分が狭いので引き上げの対象です。広い敷地に少ない戸数だと合計がマイナスになります。
重要ポイント:国税庁の趣旨情報は「このようなケースはほとんどないものと考えられる」としつつ、その場合でも評価通達6項の適用は否定されないと注意を促しています。0円になったとしてもそのまま通るとは限りません。
計算ロジック:敷地の持ち分の狭さは「敷地利用権の面積÷専有面積」です。係数が△1.195なので、この値が大きいほど合計を押し下げます。表の例では敷地10,000平方メートルを50戸で分けており、1戸あたり200平方メートルの持ち分になります。
参照元:国税庁 「居住用の区分所有財産の評価について」(法令解釈通達)の趣旨について(情報)
小規模宅地等の特例や貸家の評価と組み合わせる場合は順序が決まっています。先に引き上げ率を掛け、その価額を基に特例や減額を適用します。逆に計算すると税額がずれます。
| どんな部屋か | 評価の順序 |
|---|---|
| 自分が住んでいた部屋 | 引き上げ率を掛けた価額に、小規模宅地等の特例を適用する |
| 人に貸していた部屋 | 引き上げ率を掛けた価額を「自用」の価額とみなし、そこから貸家・貸家建付地の評価をする |
| 土地を借りて建っているマンション | 引き上げ率を掛けた価額を基に借地権を評価する(地主側の底地には引き上げを適用しない) |
表の見方:黄色の行が取り違えやすい部分です。引き上げ率を掛けた価額を「自用」の価額とみなしてから、貸家と貸家建付地の評価に進みます。
重要ポイント:一棟の部屋全部と敷地の両方を1人で持っている場合は例外があります。敷地については引き上げ率の下限が1になり、下がることはありません。家屋については下限がないため、こちらは1を下回ることがあります。
土地を借りて建っているマンションでは、引き上げ率を掛けた価額を基に借地権を評価します。ただし土地を貸している側の底地の評価にはこの引き上げを適用しません。


改正で節税効果が完全に消えたわけではありません。売買価格の6割までは下がった状態が残ります。できなくなったことと残っていることを分けて確認します。
売買価格と評価額の差を大きく取ることができなくなりました。評価額が売買価格の6割で下支えされるため、2割や3割まで下げる前提の対策は成り立ちません。
| 改正前 | 改正後 |
|---|---|
| 評価額が売買価格の2割から3割になることがあった | 売買価格の6割を下回らない |
| 高層階ほど評価額が相対的に低くなった | 高層階ほど引き上げ率が大きくなる |
| 1戸で基礎控除を下回り申告が不要だった | 1戸で基礎控除を超えることがある |
表の見方:薄赤の行が実務でもっとも影響が大きい変化です。申告そのものが必要になるため、相続人が手続きを知らずに期限を過ぎるおそれがあります。
重要ポイント:税率や基礎控除は改正されていません。変わったのは財産の値段の付け方だけです。それでも税率の階段を押し上げるため、税額の増え方は評価額の増え方より大きくなります。
引き上げ後でも評価額は売買価格の6割です。現金で同じ金額を持つより評価額は低いままで、ここが改正後も残っている部分です。
| 残っている効果 | この例での金額 | 相続税の減り方 |
|---|---|---|
| 現金より評価額が低い | 売買10,665.3万円が評価6,399.2万円=4,266.1万円低い | ― |
| 自分が住んでいた部屋の敷地は8割減 | 敷地3,368万円→673.6万円 | 1,439.8万円→900.9万円(538.9万円減) |
| 人に貸していた部屋は貸家として減額 | 合計6,399.2万円→4,883.6万円 | 1,439.8万円→1,136.7万円(303.1万円減) |
表の見方:黄色の2つが改正後も使える主な効果です。自分が住んでいた部屋なら敷地の8割減で538.9万円軽くなります。
重要ポイント:8割減と貸家の減額は同時には使えません。自分が住んでいたのか人に貸していたのかで、どちらか一方になります。貸していた場合の敷地の減額は200平方メートルまで5割です。
計算ロジック:売買価格は評価額÷0.6で逆算した推定値です。8割減は敷地利用権3,368万円の80パーセントを引いています。貸家の計算は借家権割合30パーセント、借地権割合60パーセントで置きました。
参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

評価額を下げる余地が縮んだ分、財産全体で課税価格を下げる手段に切り替える判断が出てきます。タワマンを手放さずに併用できるものもあります。
【タワマン以外に振り替える選択肢】
どれもタワマンの評価額を下げるものではなく、財産全体の課税価格を下げる手段です。タワマンを持ち続けたまま組み合わせることもできます。
重要ポイント:生命保険の非課税枠は法定相続人が受け取った保険金だけが対象です。相続人以外を受取人にすると枠は使えません。タワマンの相続人と保険の受取人を分ける場合は先に確認します。
賃貸に出せばタワマンでも貸家の減額が使えます。ただし空室があると減額の割合が下がり、家賃収入に所得税もかかるため、税額だけで判断できる話ではありません。


引き上げ率を掛けて出した評価額が、必ずそのまま通るわけではありません。著しく不適当と認められれば、別の方法で評価されます。国税庁自身がその可能性を明記しています。
財産評価基本通達には、通達の定めで評価することが難しい場合の規定があります。この規定は今回の改正でも残されました。改正で個別判断がなくなったと考えるのは誤りです。
【通達どおりに計算しても別に評価されることがある】
引き上げ率の計算は上限でも下限でもありません。通達どおりに出した価額が結論になるのは、それが著しく不適当でない場合だけです。
重要ポイント:国税庁の趣旨情報には「本通達を適用した価額よりも高い価額により評価することもある」と書かれています。引き上げ率の計算結果が上限になるわけではありません。
計算ロジック:逆方向も明記されています。市場価格が大幅に下落した場合など、この算式に反映されない事情があるときは、鑑定評価その他の合理的な方法で時価を出して評価できるとされています。納税者の側から使える余地も残されているということです。
参照元:国税庁 「居住用の区分所有財産の評価について」(法令解釈通達)の趣旨について(情報)
この改正は判決と大綱を受けて作られました。目的は個別判断を減らして予見できるようにすることで、個別判断そのものを封じるものではありません。
| 何が起きたか | 内容 |
|---|---|
| 令和4年4月19日の最高裁判決 | 不動産の評価額と市場価格に大きな差がある事例で、通達6項の適用が争われた |
| 令和5年度与党税制改正大綱(令和4年12月16日) | 「現状を放置すれば、マンションの相続税評価額が個別に判断されることもあり、納税者の予見可能性を確保する必要もある」と示された |
| 令和5年9月28日付の法令解釈通達 | 評価方法を定めた。令和6年1月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得したものに適用 |
| 通達ができた後も6項は残っている | 個別の判断がなくなったわけではない |
表の見方:黄色の行が今回の評価方法です。大綱が問題にしたのは「個別に判断されること」の予見しにくさでした。
重要ポイント:薄赤の行が実務上の結論です。通達で計算の型が決まったことで多くのケースは予見できるようになりましたが、極端な事例では引き続き個別に判断されます。
通達では算式と0.6という値について「適時見直しを行うものとする」と定められています。今の計算結果が将来も同じとは限らないため、相続が起きた時点の内容で計算し直すことになります。
参照元:国税庁 居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通達)
売却すると譲渡所得の申告が必要になります。その申告によって実際の売買価格が税務署に把握されます。評価額と大きく開いていれば個別判断の材料になります。
重要ポイント:国税庁がこの算式の係数を作るときに使ったのは平成30年分の譲渡所得の申告で把握された取引事例でした。売買価格が申告から把握できることは、算式の作り方そのものが示しています。
相続した不動産を売る場合、相続税の申告期限の翌日から3年以内であれば納めた相続税の一部を取得費に加算できる特例があります。売る時期の判断には、この特例と否認のおそれの両方が関わります。
計算ロジック:売却の時期そのものを禁じる規定はありません。問題になるのは、評価額と売買価格の差が著しく大きい場合です。売る前に評価額と想定売却額を並べて、差がどの程度かを確認しておきます。


タワマンの相続でつまずくのは評価額の計算より納税資金と分け方です。評価額が上がった分、10か月以内に用意する現金も増えました。
相続税の申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。評価額を出すのに必要な書類の取り寄せから始まります。書類がそろわないと計算に入れません。
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重要ポイント:引き上げ率を計算した場合は計算明細書を申告書に添付します。国税庁が様式を用意しているため、これを使えば端数処理も自動的に反映されます。
納税も同じ10か月が期限です。評価額が上がったのに手元の現金が変わっていない場合、売却の段取りか分割で納める手続きを期限内に決めることになります。

タワマン1戸の評価額はこの例で6,399.2万円です。相続人が複数いると、これを分ける方法で行き詰まります。
【タワマンは分けにくい】
共有は「とりあえず」の選択として選ばれがちですが、次の相続で持ち分がさらに細分化されます。代償金を払う方法や、売って現金で分ける方法と比べて決めます。
重要ポイント:共有名義にすると、売るにも建て替えるにも全員の同意が必要になります。次の相続で持ち分が細分化され、話し合う相手が増えていきます。
1人が相続して他の相続人に現金を渡す方法もあります。この場合は渡す側に現金が必要になるため、相続税とあわせていくら用意できるかを先に確認します。

納税資金が足りない場合の選択は3つです。どれも期限内に手続きを始める必要があります。期限を過ぎてから相談しても選べません。
| 払えないときの選択 | 概要 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 売って納税資金を作る | 売却代金から納める | 住む予定がなく、売れる見込みがある |
| 延納 | 年払いで分割して納める。利子税がかかる | 住み続けたいが現金がない |
| 物納 | 財産そのもので納める | 延納でも納められない事情がある |
表の見方:黄色の延納は住み続けたい場合の選択です。利子税がかかるため、総額は一括で納めるより増えます。
重要ポイント:改正でこの部屋1戸だけでも課税されるようになりました。ほかに財産がなければ納税資金はゼロです。住んでいる部屋を売らずに納める方法を早めに検討することになります。


改正で評価額が上がったため「売ったほうがよいのか」という判断が出てきます。実際に計算すると、売ると負担は重くなります。打ち手を金額で並べて比べます。
20年前に8,000万円で買った部屋を10,665.3万円で売る前提で比べます。譲渡費用は売買価格の3パーセント、相続人は子2人でほかに財産が7,000万円とします。
| 生前に売って現金にする | そのまま相続する | |
|---|---|---|
| タワマンの扱い | 売買10,665.3万円で売却 | 評価額6,399.2万円で相続 |
| 譲渡所得税・住民税 | 476.5万円(長期・20.315%) | かからない |
| 相続する財産 | 現金9,868.9万円+ほかの財産7,000万円 | タワマン6,399.2万円+ほかの財産7,000万円 |
| 相続税 | 2,400.6万円 | 1,439.8万円 |
| 合計の負担 | 2,877.1万円 | 1,439.8万円 |
| 差 | 1,437.2万円重い | ― |
表の見方:薄赤の行が合計の負担です。売ると1,437.2万円重くなります。売却時に譲渡所得税がかかり、さらに現金は評価額が下がらないためです。
重要ポイント:改正後でも評価額は売買価格の6割です。現金に換えるとこの6割という下支えを失います。「改正で節税効果がなくなったから売る」という判断は逆に負担を増やします。
計算ロジック:譲渡所得は売買10,665.3万円から取得費8,000万円と譲渡費用320万円を引いた2,345.4万円です。所有5年超なので税率は20.315パーセントで476.5万円、手元に残る9,868.9万円を現金として相続する形で計算しました。
課税される財産が同じでも、法定相続人の数が多いほど相続税は下がります。基礎控除が増え、税率の階段も分散するためです。
| 相続人 | 基礎控除 | 相続税 |
|---|---|---|
| 子1人 | 3,600万円 | 2,239.8万円 |
| 子2人 | 4,200万円 | 1,439.8万円 |
| 子3人 | 4,800万円 | 1,139.9万円 |
| 子4人 | 5,400万円 | 999.8万円 |
表の見方:黄色の子1人が最も重くなります。子1人と子2人で799.9万円の差です。
重要ポイント:相続人の数は選べませんが、誰がタワマンを相続するかは選べます。同居していた親族が相続すれば敷地の8割減が使えるため、分け方の判断が税額に直結します。
計算ロジック:基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。課税される財産13,399.2万円から基礎控除を引き、法定相続分で分けたものとして速算表を当てて合計しています。
打ち手を金額の大きい順に並べます。もっとも効くのは敷地の8割減で538.9万円、次に「売らない」という判断です。
| 打ち手 | この例での効果 | 使える条件 |
|---|---|---|
| 自分が住んでいた部屋として8割減を使う | 538.9万円減 | 同居していた親族などが相続し、申告期限まで持ち続ける |
| そのまま相続する(売らない) | 売る場合と比べて1,437.2万円軽い | 納税資金がほかにある |
| 財産全体で課税価格を下げる | 生命保険の非課税枠は500万円×法定相続人の数 | 判断能力があるうちに手続きできる |
| 生前に売って現金にする | 1,437.2万円重くなる | 相続税より現金化を優先する事情がある |
表の見方:黄色が最も効果の大きい打ち手です。敷地利用権3,368万円の8割が減額されます。薄赤は逆に負担が増える選択です。
重要ポイント:8割減には相続する人の条件があります。誰が相続するかを決める前に、条件を満たす人がいるかを確認します。条件を満たさない人が相続すると、この538.9万円は使えません。
打ち手のうち生前にしかできないものは、判断能力があるうちに手続きします。一方で8割減と分け方の判断は相続が起きてから決めるものです。生前にできることと相続後に決めることを分けて整理しておきます。


タワマンの評価は判断が分かれる場面が多く、誰に頼むかで税額が変わります。この例では敷地の8割減を使えるかどうかだけで538.9万円違います。
タワマンの評価には通達を読んで判断する場面が5つあります。どれも金額に直結するため、扱った件数がそのまま結果に出ます。一般的な相続税の申告経験があっても、区分所有補正率を使った申告は別物です。
【タワマンの相続税で判断が分かれる場面】
どれも「調べれば分かる」ことですが、判断を1つ落とすだけで税額が数百万円変わります。実際にタワマンの申告を扱った件数があるかどうかで結果が分かれます。
たとえばこの例で、同居していた子が相続して敷地の8割減を使うと相続税は1,439.8万円から900.9万円になります。分け方の判定だけで538.9万円の差です。
重要ポイント:売るかどうかの判断でも差が出ます。生前に売って現金にすると、そのまま相続するより1,437.2万円重くなります。評価額が上がったことを理由に売却をすすめられた場合は総額で確認します。
報酬額だけを並べても実務力は分かりません。タワマンの評価をどう組むかで比べます。見積書に書かれている提案内容から、次の3点を確認します。
| 確認する項目 | 見積りで見るところ | 判定 |
|---|---|---|
| タワマンの申告実績 | 区分所有補正率を使った申告を何件扱ったか | 件数を答えられる事務所は計算の型を持っている |
| 分け方の提案数 | 誰が相続するかの案をいくつ出してくるか | 1案だけの事務所と3案以上出す事務所では8割減を使える形が見つかる確率が違う |
| 書面添付と調査の対応 | 計算明細書のほかに評価の根拠を添付するか | 添付する事務所は評価を説明できる前提で組んでいる |
表の見方:黄色の分け方の提案数がもっとも差が出る項目です。3案以上出してくる事務所のほうが実務経験が豊富と判定できます。
重要ポイント:見積りの段階で試算した相続税額が事務所によって違う場合、引き上げ率の計算か特例の判定のどちらかが違っています。どこが違うのかを聞けば、根拠を説明できるかどうかが分かります。
自分で計算して申告することもできますが、間違いは本税だけでは済みません。少なく申告していた場合は加算税と延滞税が乗り、多く申告していた場合は気づかなければ戻ってきません。
【相談しないまま進めたときに起きること】
払い過ぎに気づいた場合の更正の請求は期限があります。一方で少なく申告していた場合は、調査で指摘されると本税に加えて過少申告加算税と延滞税がかかります。
3階として申告したものが実際は20階だった場合、評価額は5,817.8万円から6,399.2万円に変わります。追加で納める本税は116.3万円です。
これに過少申告加算税が乗ります。調査で指摘された場合は10パーセントなので11.6万円で、合計127.9万円の追加負担になります。このほかに納付が遅れた日数分の延滞税もかかります。
計算ロジック:過少申告加算税は追加で納める税額に対してかかります。調査で指摘された後の税率は10パーセントです。
重要ポイント:期限内申告税額または50万円のいずれか多い額を超える部分は15パーセントです。この例では追加税額116.3万円が1,323.6万円を下回るため、全体が10パーセントで済んでいます。
重要ポイント:この追加負担は複数の税理士から見積りを取って比べることで避けられました。評価額の試算が事務所によって違えば、その時点で確認できたためです。

一括相談は4つのステップで進みます。タワマンの場合はSTEP1で登記事項証明書を用意しておくと、見積りの精度が上がります。所在階と敷地権の割合が分かれば、各事務所が評価額を試算できるためです。
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重要ポイント:相続税の申告期限は10か月ですが、評価と納税資金の検討で3〜4か月かかります。税理士を決めるのは相続開始から7ヶ月以内が目安です。
チェックリスト:依頼前に確認すること
重要ポイント:見積りは3〜5の事務所から取ります。1つの事務所だけでは試算額が妥当かどうかを比べられません。タワマンは評価額が大きいため、判定の違いがそのまま税額に出ます。

階に下限はありません。この記事の例では1階でも引き上げ率が1.8156で、40階の2.2368と比べて小さいだけです。タワマンは戸数が多く1戸あたりの敷地が狭いため、低層階でも引き上げの対象になります。
影響がないのは、この評価方法の対象外になる物件です。部屋ごとの登記がない一棟所有の賃貸マンション、地階を除く総階数が2以下の建物、住むための部屋が3室以下で本人か親族が使っているものなどが該当します。
築年数が古いほど引き上げ率は下がり、評価水準が0.6以上になると引き上げがなくなります。この記事の例では40階建ての20階で築57年、40階で築68年です。
ただし日本で20階を超えるマンションが建ち始めたのは1970年代です。2026年時点では築50年台の物件しかないため、引き上げを免れる築年数に達したタワマンは実質ありません。
現金で持つより評価額は低いままです。この例では売買価格10,665.3万円の部屋が6,399.2万円で評価されるため、現金より4,266.1万円低くなります。ただし改正前のように2割や3割まで下げることはできません。
注意点は2つあります。通達の定めで評価することが著しく不適当と認められる場合は個別に評価される規定が残っていること、算式と0.6という値は適時見直すと通達に書かれていることです。
売却の時期そのものを禁じる規定はありません。ただし売却すると譲渡所得の申告で実際の売買価格が税務署に把握されます。評価額と売買価格の差が著しく大きい場合は、個別に評価される材料になります。
生前に売る場合は税額が重くなります。この例では譲渡所得税476.5万円と相続税を合わせて2,877.1万円で、そのまま相続した場合の1,439.8万円より1,437.2万円重くなります。
掛ける順序が決まっています。先に引き上げ率を掛けた価額を「自用」の価額とみなし、そこから貸家と貸家建付地の評価に進みます。逆に計算すると税額がずれます。
この例で借家権割合30パーセント・借地権割合60パーセントとすると、評価額は6,399.2万円から4,883.6万円になり、相続税は1,439.8万円から1,136.7万円に下がります。自分が住んでいた場合の敷地8割減とは併用できません。
タワマンの相続税は、2024年1月からの評価方法の変更で所在階に左右されるようになりました。税率も基礎控除も変わっていませんが、評価額が売買価格の6割まで引き上げられたためです。
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年9月時点の法令・税率に基づいて作成しています。税制改正や個別の事情により取り扱いが異なる場合があります。具体的な手続きについては税理士または税務署にご相談ください。