


相続税申告を税理士に依頼すると、遺産総額の0.5〜1.0%程度の費用がかかります。この費用を誰が払うかについて、法律上の決まりはありません。相続人の話し合いで自由に決められます。
ただし「誰が払っても同じ」ではありません。配偶者が払うと、二次相続の税額が下がる場合があります。理由は、配偶者が負担するとその分だけ配偶者の財産が減り、次の相続で課税される財産が減るからです。
節税額は「税理士費用×二次相続の限界税率」で決まります。財産3億円の家庭なら、費用100万円で30万円が減ります。一方で、財産8,000万円の家庭では節税額が0円になります。配偶者が払っても得にならない境界があります。
この記事では、誰が払うのが有利かの判定、財産額別の節税額、負担割合の決め方、立て替えの精算、見積りの確認点までを解説します。
▼ この記事の3行まとめ

結論から言うと、相続税申告の税理士費用は誰が払っても問題ありません。相続税法にも民法にも、税理士費用の負担者を定めた規定はありません。相続人の合意で自由に決められます。ここでは実務で使われている負担方法と、決め方の原則を確認します。
税理士との契約は、相続人が自分の意思で結ぶものです。被相続人の債務ではありません。そのため「長男が払うべき」「均等に分けるべき」といったルールは存在しません。
相続人が1人なら迷う余地はありませんが、複数いる場合は誰がいくら負担するかを決める必要があります。自由に決められるからこそ、決めないまま進むと揉めます。
実際に使われているのは次の3つです。どれを選んでも構いません。
| 負担方法 | 内容 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 代表相続人が全額負担 | 1人がまとめて支払う | 取得額に大きな差がある/配偶者が払う |
| 相続人全員で等分 | 人数で割って負担 | 取得額がほぼ同じ |
| 取得した財産の割合に応じて按分 | 相続分に比例して負担 | 取得額に差がある場合の公平な方法 |
表の見方:公平性で選ぶなら3行目です。ただし税負担で選ぶなら、配偶者が全額負担する1行目が有利になる場合があります。
重要ポイント:請求書は代表相続人にまとめて届くのが一般的です。誰が払うかを決めていなくても、いったん代表者が立て替える形になります。
費用の相場と見積書の見方は、下記の記事で解説しています。

負担割合は、遺産分割の話し合いと同時に決めるのが実務的です。誰がどの財産を取得するかが決まらないと、按分の計算ができません。分け方と費用はセットで考えます。遺産分割協議書に費用の負担割合まで記載しておくと、後から争いになりません。
協議書に入れない場合も、合意した内容をメールや別紙で残しておくことをおすすめします。
最も多いトラブルは、申告が終わって請求書が届いてから負担の話を始めるケースです。この段階では遺産分割が終わっており、各相続人が受け取る額も確定しています。
そこで「自分は関係ない」「取り分が少ないのに同額は不公平だ」という主張が出ます。立て替えた代表者が回収できず、そのまま負担することになりがちです。
注意:費用の話は依頼する前に済ませてください。見積りを全員で見てから依頼を決めるのが、揉めない最短の道です。

「配偶者が払うと得になる」という説明をよく見かけますが、いくら得なのかはあまり書かれていません。節税額は「税理士費用×二次相続の限界税率」で決まります。財産額によって0円から40万円まで変わります。
ここでは仕組みと、財産額別の節税額を表で示します。他の相続人に説明できる形にしておきましょう。
まず押さえるべきは、税理士費用を誰が払っても一次相続の相続税は変わらないことです。税理士費用は債務控除の対象外なので、遺産から差し引けません。誰が払っても課税価格は同じです。
変わるのは二次相続です。配偶者が払うと配偶者の手元財産が減り、次の相続で課税される財産が減ります。子が払った場合、減るのは子の財産です。子の財産は二次相続の課税対象ではないため、税額に影響しません。
配偶者には1億6,000万円または法定相続分までの税額軽減があり、一次相続では税負担が軽くなります。その結果、配偶者の手元に財産が多く残りやすい構造があります。
重要ポイント:「配偶者が払うと一次相続の税金が減る」わけではありません。減るのは二次相続の税額です。ここを誤解すると説明が通りません。
仕組みが分かれば、節税額は簡単に計算できます。配偶者の財産が100万円減ると、二次相続の課税遺産総額も100万円減ります。減った分に対応する税率が節税額です。
二次相続の限界税率が30%なら、費用100万円で30万円の節税になります。実質負担は70万円です。限界税率は、二次相続の課税遺産総額を法定相続分で分けた金額に適用される税率です。財産額と相続人の数で決まります。
実際に財産額ごとの節税額を計算しました。自分の家庭に近い行を確認してください。
| 夫の財産 | 配偶者の取得額 | 二次相続の限界税率 | 節税額 | 実質負担 |
|---|---|---|---|---|
| 8,000万円 | 4,000万円 | 0% | 0円 | 100万円 |
| 1億円 | 5,000万円 | 10% | 10万円 | 90万円 |
| 1億5,000万円 | 7,500万円 | 15% | 15万円 | 85万円 |
| 2億円 | 1億円 | 15% | 15万円 | 85万円 |
| 2億5,000万円 | 1億2,500万円 | 20% | 20万円 | 80万円 |
| 3億円 | 1億5,000万円 | 30% | 30万円 | 70万円 |
| 4億円 | 2億円 | 30% | 30万円 | 70万円 |
| 5億円 | 2億5,000万円 | 40% | 40万円 | 60万円 |
表の見方:財産が大きいほど二次相続の税率が上がるため、節税額も大きくなります。5億円なら費用100万円のうち40万円が戻る計算です。
重要ポイント:一番上の行に注目してください。財産8,000万円では節税額が0円です。配偶者が払っても得になりません。
計算ロジック:【前提】税理士費用100万円・一次相続は配偶者と子2人・配偶者が財産の50%を取得・二次相続は子2人が相続。配偶者の取得額から100万円を引いて二次相続の相続税を再計算し、その差額を節税額としています。限界税率を掛けた概算値と全行で一致しました。
財産1億円の家庭の相続税は、下記の記事で解説しています。

表の一番上の行が示すのは、配偶者が払っても効果がない領域です。夫の財産8,000万円で配偶者が50%を取得すると、配偶者の財産は4,000万円になります。
二次相続の相続人が子2人なら、基礎控除は3,000万円+600万円×2人=4,200万円です。4,000万円は基礎控除4,200万円を下回るため、二次相続の相続税は0円です。減らす税金がありません。
つまり配偶者が100万円払っても、二次相続の税額は0円のまま変わりません。実質負担は100万円です。
注意:「配偶者が払うと得」という説明は無条件ではありません。配偶者の財産が二次相続の基礎控除以下なら、節税効果はゼロです。
重要ポイント:この場合は税負担で決める理由がなくなります。取得した財産の割合に応じて按分するなど、公平性で決めるほうが納得を得やすくなります。
基礎控除の計算式と早見表は、下記の記事で解説しています。

節税効果が出るかどうかの境界は、二次相続の相続人の数で動きます。基礎控除は3,000万円+600万円×相続人の数で計算するため、子が多いほど控除額が大きくなります。
| 二次相続の相続人 | 基礎控除 | 節税効果が出る配偶者の財産 |
|---|---|---|
| 子1人 | 3,600万円 | 3,600万円超 |
| 子2人 | 4,200万円 | 4,200万円超 |
| 子3人 | 4,800万円 | 4,800万円超 |
| 子4人 | 5,400万円 | 5,400万円超 |
表の見方:子が1人増えるごとに境界が600万円上がります。子が多い家庭では、配偶者が払っても効果が出ない範囲が広くなります。
同じ配偶者の財産でも、子の人数によって節税額が変わります。費用100万円で計算しました。
| 配偶者の財産 | 子1人 | 子2人 | 子3人 |
|---|---|---|---|
| 3,000万円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 4,200万円 | 10万円 | 0円 | 0円 |
| 4,800万円 | 15万円 | 10万円 | 0円 |
| 7,000万円 | 20万円 | 15万円 | 10万円 |
| 1億円 | 30万円 | 15万円 | 15万円 |
| 1億5,000万円 | 40万円 | 30万円 | 20万円 |
| 2億円 | 40万円 | 30万円 | 30万円 |
表の見方:横に見ると、同じ財産でも子が多いほど節税額が小さくなります。配偶者の財産1億円なら、子1人で30万円、子3人で15万円と2倍の差が出ます。
重要ポイント:ここで使う「配偶者の財産」は、一次相続で取得する分と配偶者がもともと持っている財産の合計です。固有財産を足し忘れると判定を誤ります。
計算ロジック:【前提】税理士費用100万円・二次相続は子だけが法定相続分で相続・配偶者の財産は表の金額。配偶者の財産から100万円を引いて二次相続の相続税を再計算し、その差額を節税額としています。
子の人数が増えると基礎控除が上がり、適用される税率の帯も下がるため節税額が小さくなります。
配偶者の財産が基礎控除をわずかに超える場合、費用の全額が節税につながりません。子2人(基礎控除4,200万円)で、配偶者の財産が4,250万円のケースを見てください。
| 配偶者の財産 | 二次相続の相続税 | 費用100万円負担後の税額 | 節税額 |
|---|---|---|---|
| 4,200万円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 4,250万円 | 5万円 | 0円 | 5万円 |
| 4,300万円 | 10万円 | 0円 | 10万円 |
| 4,400万円 | 20万円 | 10万円 | 10万円 |
| 4,500万円 | 30万円 | 20万円 | 10万円 |
表の見方:財産4,250万円のときの節税額は5万円です。費用100万円のうち、基礎控除を超えている50万円分にしか効果が出ません。
重要ポイント:財産4,300万円以上になると節税額は10万円で一定です。費用の全額が課税財産の減額につながるのは、基礎控除を費用の額だけ超えてからです。
計算ロジック:【前提】二次相続の相続人は子2人・基礎控除4,200万円・税理士費用100万円。財産4,250万円なら課税遺産総額は50万円で、税率10%を適用して5万円です。費用を負担すると課税遺産総額が0円になるため、節税額は5万円にとどまります。
費用が高くなれば節税額も比例して増えます。財産3億円(限界税率30%)の家庭で計算しました。
| 税理士費用 | 節税額 | 実質負担 |
|---|---|---|
| 50万円 | 15万円 | 35万円 |
| 80万円 | 24万円 | 56万円 |
| 100万円 | 30万円 | 70万円 |
| 150万円 | 45万円 | 105万円 |
| 200万円 | 60万円 | 140万円 |
表の見方:節税額は費用の30%で一定です。費用が高い家庭ほど、配偶者が払う効果の絶対額は大きくなります。
重要ポイント:ただし節税額が費用を上回ることはありません。費用そのものは必ず出ていくお金です。安い税理士を選ぶ理由にはなりません。
計算ロジック:【前提】夫の財産3億円・配偶者が50%取得・二次相続は子2人。配偶者の財産1億5,000万円から費用を引いて二次相続の相続税を再計算しています。限界税率30%が適用される帯なので、節税額は費用の30%になります。

配偶者が払うのが有利という話は、配偶者がいる前提です。配偶者がいない相続や、配偶者の財産が少ない場合は、別の基準で決める必要があります。ここでは配偶者負担が使えない4つのケースと、判定の手順を解説します。
子だけが相続人の場合や、兄弟姉妹が相続人の場合は、配偶者負担という選択肢がありません。この場合は税負担で決める理由がないため、公平性で決めます。取得した財産の割合に応じた按分が基本です。
多く受け取った人が多く負担するという考え方は、説明がしやすく納得を得やすいです。代表者が全額負担する形にすると、その人だけが損をします。取得額に差があるならなおさらです。
配偶者がいても、二次相続で相続税が発生しない見込みなら節税効果はありません。子2人が二次相続の相続人なら、基礎控除は4,200万円です。配偶者の財産がこれを下回るなら効果は0円です。
判定に使うのは、配偶者が一次相続で取得する財産と、配偶者がもともと持っている財産の合計です。配偶者に固有の財産が多い場合は、一次相続の取得額が少なくても二次相続で課税されます。両方を足して判定してください。
重要ポイント:二次相続の相続人が1人(子1人)なら基礎控除は3,600万円です。相続人が少ないほど境界は下がり、節税効果が出やすくなります。
二次相続で配偶者に渡す割合の決め方は、下記の記事で解説しています。

配偶者が払うには、配偶者本人が支払いの意思決定をできる必要があります。認知症などで判断能力が不十分な場合、本人の口座から自由に支出できません。成年後見人が必要になることもあります。
節税のために無理に配偶者名義で払う形にすると、手続きが止まるリスクがあります。この場合は子が払い、節税は他の手段で考えるほうが現実的です。
認知症になる前にやっておくべき対策は、下記の記事で解説しています。

配偶者が財産をほとんど相続しない分け方を選ぶ家庭もあります。二次相続の税負担を抑える設計です。この場合、配偶者の手元に減らせる財産がありません。費用を払う原資も限られます。
配偶者の取得額が少ない設計なら、費用は子が負担するほうが自然です。分け方と費用の負担者は連動します。分け方が決まってから費用を決める順序を守ってください。
ここまでの内容を、実際に当てはめる手順に落とし込みます。
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重要ポイント:STEP2で効果がないと分かれば、税負担の議論は不要になります。公平性だけで決めればよく、話し合いは簡単になります。

負担者が決まったら、次は割合です。相続人が複数いる場合はここで意見が分かれます。公平性を重視するなら、取得した財産の割合に応じた按分が最も説明しやすい方法です。ここでは3つの方法の中身と計算例、相続放棄した人の扱いを解説します。
1人がまとめて払う方法です。配偶者が払って節税を狙う場合もこの形になります。手続きが最も簡単で、振込も1回で済みます。税理士側の事務も減ります。問題は不公平感です。取得額が同じなのに1人だけ払うと、その人だけが損をします。
全額負担を選ぶなら、節税効果があるか、その人の取得額が明らかに多いかのどちらかが必要です。
人数で割る方法です。費用90万円で相続人3人なら、1人30万円です。計算が簡単で、話し合いも短く済みます。取得額がほぼ同じ家庭には向いています。
ただし取得額に差があると不満が出ます。1,000万円を受け取った人と5,000万円を受け取った人が同額というのは通りにくいです。
重要ポイント:等分は「手続きの手間」を分け合う考え方です。財産額に差がある家庭では、按分に切り替えたほうが揉めません。
最も公平とされる方法です。多く受け取った人が多く負担します。相続税自体も取得割合に応じて負担するため、考え方が一貫します。説明もしやすいです。
実際に計算してみます。税理士費用80万円、母が50%・長女が30%・長男が20%を取得したケースです。
| 相続人 | 取得割合 | 取得額(財産2億円) | 負担額 |
|---|---|---|---|
| 母(配偶者) | 50% | 1億円 | 40万円 |
| 長女 | 30% | 6,000万円 | 24万円 |
| 長男 | 20% | 4,000万円 | 16万円 |
| 合計 | 100% | 2億円 | 80万円 |
表の見方:取得割合をそのまま費用に掛けるだけです。財産1億円を受け取った母が40万円、4,000万円の長男が16万円と、負担が取得額に比例します。
重要ポイント:この例では母が最も多く負担するため、配偶者負担による二次相続の節税効果も同時に得られます。公平性と節税を両立できる形です。
計算ロジック:【前提】税理士費用80万円・遺産総額2億円・相続人は配偶者と子2人。負担額=費用80万円×各人の取得割合。母は80万円×50%=40万円、長女は80万円×30%=24万円、長男は80万円×20%=16万円です。
取得割合に応じた相続税の按分計算は、下記の記事で解説しています。

どれを選ぶか迷ったときの判断材料をまとめました。
| 方法 | 公平性 | 手続きの手間 | 揉めにくさ | 節税効果 |
|---|---|---|---|---|
| 代表者が全額負担 | 低い | 最も少ない | 取得額に差があれば低い | 配偶者なら有 |
| 全員で等分 | 中 | 少ない | 取得額が同じなら高い | 限定的 |
| 取得割合に応じて按分 | 高い | やや多い | 高い | 配偶者の割合次第 |
表の見方:按分は公平性と揉めにくさの両方で優れています。迷ったら按分を出発点にして、そこから調整するのが実務的です。
重要ポイント:配偶者の取得割合が大きい家庭では、按分がそのまま配偶者負担になります。節税効果を狙うために形を変える必要はありません。
計算ロジック:節税効果の欄は、配偶者が負担する割合に二次相続の限界税率を掛けた額で判定しています。配偶者の負担がゼロなら効果もゼロです。
按分で決める場合、実際にいくら払うことになるのかを先に把握しておくと話が進みます。税理士費用は遺産総額の0.5〜1.0%程度が相場です。0.8%で計算し、配偶者が50%・子2人が各25%を取得した場合の負担額を出しました。
| 遺産総額 | 税理士費用(0.8%) | 配偶者の負担(50%) | 子1人あたり(25%) |
|---|---|---|---|
| 5,000万円 | 40万円 | 20万円 | 10万円 |
| 8,000万円 | 64万円 | 32万円 | 16万円 |
| 1億円 | 80万円 | 40万円 | 20万円 |
| 2億円 | 160万円 | 80万円 | 40万円 |
| 3億円 | 240万円 | 120万円 | 60万円 |
| 5億円 | 400万円 | 200万円 | 100万円 |
表の見方:遺産1億円の家庭なら、子1人の負担は20万円です。話し合いの前にこの金額を共有しておけば、請求書を見てから揉めることはありません。
重要ポイント:遺産総額が大きくなると費用も比例して増えます。遺産3億円なら子1人でも60万円の負担になるため、按分か配偶者負担かの判断は金額的に重くなります。
計算ロジック:【前提】税理士費用=遺産総額×0.8%・相続人は配偶者と子2人・配偶者50%/子各25%を取得。負担額=費用×各人の取得割合です。実際の費用は相続人の人数加算や土地の評価などで変わるため、見積書の総額で計算し直してください。
2つの方法を、税負担と公平性の両面で比べます。遺産2億円・配偶者50%・子2人各25%・費用160万円のケースです。
| 項目 | 配偶者が全額負担 | 取得割合で按分 |
|---|---|---|
| 配偶者の負担 | 160万円 | 80万円 |
| 子1人あたりの負担 | 0円 | 40万円 |
| 二次相続の節税額 | 24万円 | 12万円 |
| 家族全体の実質支出 | 136万円 | 148万円 |
| 公平性 | 低い(配偶者に集中) | 高い |
表の見方:家族全体で見ると配偶者が全額負担する形が12万円有利です。ただし配偶者1人が160万円を出すため、公平性では按分が優れます。
重要ポイント:差は12万円です。この程度の差なら、揉めない決め方を優先したほうが結果的に得です。二次相続の限界税率が高い家庭ほど差は広がるので、財産3億円以上なら配偶者負担を検討する価値があります。
計算ロジック:【前提】遺産2億円・配偶者が1億円を取得・二次相続は子2人・費用160万円・配偶者の限界税率15%。配偶者が全額負担すると160万円×15%=24万円、按分なら配偶者の負担80万円×15%=12万円が節税額です。
家族全体の実質支出は「費用160万円-節税額」で計算しています。
相続放棄をした人は、初めから相続人でなかったものとみなされます。財産も債務も受け取らないため、税理士費用の負担義務もありません。申告書にも名前が載りません。
ただし放棄をしていない相続人の負担が増える点に注意してください。人数が減るので1人あたりの額は上がります。放棄を検討している人がいるなら、費用の話は放棄が確定してから始めるほうが確実です。
重要ポイント:放棄は相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。申告期限10か月より先に来るので、費用の話し合いより前に決まるのが通常です。
相続放棄と相続税の関係は、下記の記事で解説しています。


負担割合を決めても、実際の支払いは1人がまとめて行うのが一般的です。立て替えたまま精算しないと、他の相続人の負担分を肩代わりした状態が残ります。贈与とみられるおそれがあります。ここでは精算の実務と、記録の残し方を解説します。
税理士事務所は請求書を1通しか発行しないことが多く、宛名は代表相続人になります。相続人ごとに請求書を分けてもらえる事務所もありますが、依頼時に伝えておく必要があります。
立て替えそのものに問題はありません。問題になるのは、立て替えた分を回収しないまま終わらせることです。
重要ポイント:請求書を分けてほしい場合は、契約前に依頼してください。申告後に分割を頼んでも対応できないことがあります。
負担割合を決めたうえで代表者が全額払い、他の相続人から回収しなかった場合を考えます。本来は各人が負担すべき費用を代表者が肩代わりした形です。他人の債務を無償で引き受けたとみられれば、贈与として扱われる可能性があります。
贈与税には年110万円の基礎控除があるため、少額なら申告は不要です。費用が数十万円なら実害は出にくいでしょう。ただし他の贈与と合算すると110万円を超える場合があります。同じ年に子や孫へ現金を渡しているなら注意が必要です。
注意:最初から「代表者が全額負担する」と合意していれば、肩代わりではありません。問題になるのは、按分で合意したのに精算しなかったケースです。
形を明確にしておけば、後から問題になることはありません。次の3つを残してください。
【記録1】負担割合の合意書
誰がいくら負担するかを書面にします。遺産分割協議書に条項として入れるのが最も確実です。
【記録2】精算の振込記録
各相続人から代表者へ振り込みます。現金の受け渡しは記録が残らないため避けてください。
【記録3】税理士の領収書
総額と支払日が分かる書類です。代表者が保管し、必要に応じて他の相続人にも写しを渡します。
合意書と振込記録の2つがそろっていれば、立て替えと精算の事実を説明できます。逆に、口約束だけで振込もない状態が最も説明しにくいパターンです。
贈与税の判定は1月1日から12月31日までの暦年単位で行われます。精算の時期も意識してください。申告期限が年末に近い場合、費用の支払いと精算が別の年に分かれることがあります。
立て替えたまま年を越すと、その年は肩代わりの状態が続いていたと見られる余地が残ります。実務上は、支払いと精算を同じ年のうちに済ませるのが安全です。
【ケース1】11月に支払い・12月に精算
同じ年に完結しています。立て替えと精算が一連の取引として説明できます。
【ケース2】11月に支払い・翌年3月に精算
年をまたぎますが、合意書に精算期限が書かれていれば債権債務として説明できます。合意書がないと不利になります。
【ケース3】支払い後に精算しないまま数年経過
最も説明が難しい状態です。請求する意思がなかったとみられ、贈与として扱われる可能性が高まります。
重要ポイント:ケース2でも合意書があれば問題になりにくいです。年をまたぐと決まった時点で、精算期限を書面に明記してください。
相続人が遠方に住んでいると、精算が後回しになりがちです。署名押印のやり取りに時間がかかり、そのまま立て替えが放置される流れが起きます。遺産分割協議書に費用の負担割合と精算期限を入れておけば、押印と同時に合意が確定します。
海外在住の相続人がいる場合、送金手数料が数千円かかります。誰が負担するかも決めておくと後で揉めません。相続した預金から精算する場合は、口座の名義変更が終わっているかを確認してください。分割前の口座からは動かせません。
重要ポイント:精算は口座の名義変更が終わってからになります。遺産分割から名義変更までに1〜2か月かかるため、精算期限は余裕を持って設定してください。
被相続人の預金から払いたいという相談もありますが、これは避けてください。遺産分割が終わる前の預金は相続人全員の共有です。1人の判断で使うと、後で精算が必要になります。
また被相続人の口座は死亡が知られると凍結されるため、実際には引き出せないのが通常です。支払いは、遺産分割で各人が取得した財産から行うのが原則です。相続税の納税資金と合わせて確保してください。
重要ポイント:精算は申告が終わってからでも構いませんが、年をまたがないほうが安全です。贈与税の判定は暦年単位で行われます。
相続税の納付方法と資金の準備は、下記の記事で解説しています。


負担割合を決めるには、総額がいくらになるかを先に知る必要があります。相続税の税理士報酬は相続人の人数で変わります。人数分の加算が見積りに入っているか確認してください。ここでは見積りを読むときの確認点を解説します。
相続税申告の報酬は、遺産総額に応じた基本報酬に加算を積み上げる形が多く使われています。相続人の人数による加算は、2人目以降1人につき基本報酬の10%が目安です。
相続人が増えると、遺産分割の調整や書類の収集、押印の取りまとめが増えるためです。
| 相続人の人数 | 加算率 | 基本報酬50万円の場合 |
|---|---|---|
| 1人 | なし | 50万円 |
| 2人 | 10% | 55万円 |
| 3人 | 20% | 60万円 |
| 4人 | 30% | 65万円 |
| 5人 | 40% | 70万円 |
表の見方:相続人4人なら基本報酬より15万円高くなります。按分するときはこの加算後の総額を分けます。
重要ポイント:加算率は事務所ごとに異なります。人数加算がない事務所も、20%の事務所もあります。見積書に加算の条件が書かれているかを必ず確認してください。
計算ロジック:【前提】基本報酬50万円・2人目以降1人につき10%加算。相続人3人なら50万円+50万円×10%×2人=60万円です。加算の基準が「基本報酬」か「総額」かで結果が変わるため、見積書の表記を確認してください。
遺産分割で意見が対立している場合、それぞれが別の税理士に頼みたいという話が出ます。結論としては可能です。相続税の申告書は相続人ごとに別々に提出できます。ただし2つの問題があります。
【問題1】財産評価額がずれる
土地の評価は税理士の判断で差が出ます。同じ土地の評価額が申告書ごとに違うと、税務署から問い合わせが来ます。
【問題2】費用が割高になる
基本報酬が人数分かかります。1人にまとめて依頼すれば1件分で済むところ、2件分・3件分になります。
対立していても、申告だけは1人の税理士にまとめるのが費用面でも有利です。分割の交渉は弁護士、申告は共通の税理士という分担が現実的です。
税理士の選び方は、下記の記事で解説しています。

人数以外にも加算があります。総額が見積りより増える要因を先に把握してください。
| 加算項目 | 目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 土地(利用区分ごと) | 1利用区分5〜10万円 | 宅地・貸家建付地などの区分ごとに評価が必要 |
| 非上場株式 | 1社15〜25万円 | 会社の決算書から株価を算定する |
| 書面添付 | 5〜10万円 | 税理士が確認内容を書面で添付し調査リスクを下げる |
| 申告期限が近い | 報酬の20〜50% | 残り3か月未満などの短期対応 |
表の見方:加算が積み重なると基本報酬の1.5倍を超えることもあります。最も高いのは期限直前の依頼で、報酬の20〜50%が上乗せされます。
重要ポイント:加算を避ける最善策は早く依頼することです。相続開始から7か月以内に税理士を決めれば、期限加算は避けられます。
支払い方は事務所によって異なります。負担割合を決めるときは時期も確認してください。
【パターン1】着手金+完了後の残額
契約時に3〜5割を払い、申告書の提出後に残額を払う形です。着手金は自己資金から出す必要があります。
【パターン2】完了後の一括
申告書の提出後にまとめて払います。相続した預金から払えるため、資金負担が軽くなります。
遺産分割が終わる前は各人の取得額が確定していないため、着手金は代表者が立て替える形になりがちです。この立て替え分も精算の対象です。合意書には着手金の扱いも書いておいてください。
自分で申告する選択肢との比較は、下記の記事で解説しています。


誰が払うかを考えるうえで、前提として押さえておくべき点があります。税理士費用は相続財産から控除できません。払っても相続税は減りません。だからこそ、誰が払うかで二次相続の税額だけが変わる構造になります。
債務控除の対象は、被相続人が死亡時に負っていた債務です。借入金や未払いの医療費が該当します。税理士費用は相続人が自分の意思で契約した費用です。被相続人の債務ではありません。相続開始後に発生した費用は、原則として債務控除できません。
例外は葬式費用です。相続開始後の支出ですが、政策的に控除が認められています。
混同しやすい項目を整理しました。
| 項目 | 債務控除 | 理由 |
|---|---|---|
| 借入金・住宅ローン | ○ | 被相続人の債務 |
| 未払いの医療費・入院費 | ○ | 被相続人の債務 |
| 未払いの固定資産税・住民税 | ○ | 被相続人の債務 |
| 通夜・火葬・お布施 | ○ | 葬式費用として控除できる |
| 税理士費用 | × | 相続人が契約した費用 |
| 相続登記の司法書士費用 | × | 相続人が契約した費用 |
| 遺産分割の弁護士費用 | × | 相続人が契約した費用 |
| 香典返し・初七日の費用 | × | 葬式費用に含まれない |
表の見方:境界は「誰の債務か」です。被相続人の債務なら控除でき、相続人が自分で契約した費用は控除できません。
重要ポイント:専門家費用はすべて控除できないと覚えておけば間違いありません。税理士・司法書士・弁護士・土地家屋調査士のいずれも対象外です。
参照元:国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
税理士費用が控除できない理由の詳細は、下記の記事で解説しています。

「事業の経費にできないか」という質問もありますが、これも認められません。相続税の申告は個人の税金の手続きです。事業活動と関係がないため、家事費として扱われます。相続税申告の報酬は、所得税の必要経費にも計上できません。
ただし相続した賃貸不動産について、相続後の確定申告を依頼する費用は不動産所得の経費になります。相続税申告とは別の契約として区分してください。
重要ポイント:同じ税理士に両方を依頼する場合は、請求書で報酬を分けてもらってください。区分がないと、経費にできる部分も否認されるおそれがあります。
相続でかかった費用の控除範囲は、下記の記事で解説しています。


相続では税理士以外の専門家にも依頼します。それぞれ負担者の考え方が異なります。税理士費用と違い、司法書士費用は他人が払うと贈与になる可能性があります。分けて考えてください。ここでは主な専門家費用の負担者を整理します。
相続登記の費用は、その不動産を相続する人が負担するのが一般的です。登記は特定の人の権利を確定させる手続きです。その人だけが利益を受けます。不動産を相続しない人が登記費用を払うと、贈与とみられる可能性があります。
登録免許税は不動産の固定資産税評価額の0.4%です。評価額3,000万円なら12万円で、司法書士報酬が別に5〜10万円程度かかります。
弁護士費用は、依頼した相続人が自分で負担します。弁護士は依頼者の利益のために動くため、相手方の相続人が費用を分担することはありません。対立している相手の弁護士費用を払う理由はなく、遺産から出すこともできません。
ただし相続人全員が同じ方向で動く場合(第三者への請求など)は、共同で依頼して分担することもあります。
土地の測量が必要になった場合、費用は測量を必要とする人が負担します。相続税の申告で評価のために測量するなら、税理士費用と同じ扱いで相続人全員の負担にできます。一方、分筆して分けるための測量は、その土地を取得する人の負担です。
目的が申告のためか、分割のためかで負担者が変わります。
ここまでの内容を一覧にしました。
| 費用 | 一般的な負担者 | 他人が払うと贈与か |
|---|---|---|
| 税理士(相続税申告) | 相続人全員または配偶者 | 合意があれば問題なし |
| 司法書士(相続登記) | 不動産を相続する人 | 可能性あり |
| 弁護士(遺産分割) | 依頼した本人 | 可能性あり |
| 測量(申告のため) | 相続人全員 | 合意があれば問題なし |
| 測量(分筆のため) | その土地を取得する人 | 可能性あり |
| 不動産鑑定士 | 鑑定を必要とする人 | 目的により異なる |
表の見方:相続人全員が利益を受ける費用は全員で負担でき、特定の人だけが利益を受ける費用はその人が負担します。この線引きが贈与かどうかの判断基準になります。
重要ポイント:税理士費用は相続人全員の申告のための費用なので、誰が払っても説明が立ちます。配偶者が全額負担しても問題にならないのはこのためです。
どの専門家に相談すべきかは、下記の記事で解説しています。


費用の負担は、金額の大きさよりも決め方の順序で揉めます。依頼する前に見積りを全員で共有し、負担割合を書面で合意してください。この2つでほぼ防げます。ここでは実際にあるトラブルと対処法を解説します。
費用の話を後回しにすると、分け方が確定した後に負担の議論が始まります。この段階では取り分が固まっているため、譲る余地がありません。話が硬直します。
分け方と費用はセットで話してください。取り分が多い人が多く負担するという流れが自然に作れます。実際のトラブル例を挙げます。
【事例1】申告後に請求書を見て負担を拒否された
長男が代表として依頼し、費用90万円を立て替えました。申告後に弟へ30万円を請求したところ「頼んだのは兄だから払わない」と拒否されました。対策:依頼前に見積書を全員に見せ、負担割合を書面で合意してから契約します。
【事例2】等分で合意したが取り分の差で不満が出た
相続人3人で等分と決めましたが、取得額が7,000万円・2,000万円・1,000万円と差がありました。取り分が少ない相続人から不公平だと申し出がありました。
対策:取得額に差があるなら按分で決めます。等分は取得額がほぼ同じ場合に限ります。
【事例3】配偶者負担にしたが節税効果がなかった
「母が払うと節税になる」と聞いて母が全額負担しましたが、母の財産が3,800万円で二次相続は無税でした。効果は0円で、母だけが100万円を負担する結果になりました。対策:配偶者の財産が二次相続の基礎控除を超えるかを先に確認します。
見積書は代表者だけが見て終わりにしないでください。総額と内訳を全員が見れば、金額の妥当性についての認識がそろいます。加算の条件も共有できます。複数の事務所から見積りを取り、全員で比較すると「なぜこの事務所か」の説明もできます。
1社だけの見積りで決めると、後から「もっと安いところがあった」と言われる余地が残ります。
合意は口約束にしないでください。相続の話し合いは数か月続くため、記憶が食い違います。最も確実なのは遺産分割協議書に条項として入れる方法です。全員の署名押印が付きます。
協議書に入れられない場合は、別紙の合意書やメールでも構いません。金額・割合・支払方法・精算期限の4点を書いてください。
当事者だけで解決できない場合は、第三者を入れてください。税理士は費用の按分方法について客観的な説明ができます。実務での一般的な決め方を示せば、感情的な議論から抜けられます。
分割そのものが争いになっている場合は弁護士が必要です。費用の負担だけが争点なら、税理士の説明で収まることが多いです。
重要ポイント:7項目のうち上の2つは依頼前にしかできません。契約してからでは見積り比較の余地がなくなります。
特別受益がある場合の調整は、下記の記事で解説しています。


誰が払うのが有利かは、二次相続まで試算しないと判断できません。同じ費用100万円でも、財産3億円なら30万円の節税、8,000万円なら0円です。前提が違えば答えも変わります。複数の税理士から見積りを取り、試算まで含めて比較してください。
誰が払うかの助言は、二次相続の税額を計算できる税理士でなければできません。
【理由1】二次相続まで見て有利な負担者を試算できる
配偶者の財産と相続人の数から限界税率を出し、節税額を金額で示せます。効果がない場合もその場で分かります。
【理由2】相続人の人数分の加算を事前に示せる
2人目以降の加算を含めた総額を出せます。按分の計算はこの総額が確定してから行います。
【理由3】按分の計算を客観的に示せる
取得割合に応じた負担額を計算し、相続人全員に説明できます。第三者の計算なら納得を得やすくなります。
【理由4】精算方法まで助言できる
立て替えた分をいつどう精算すれば贈与とみられないか、記録の残し方まで指示できます。
【理由5】負担割合の合意を書面化できる
遺産分割協議書に費用の条項を入れる形を提案できます。後の争いを防ぐ実務です。
実例で示します。財産3億円・相続人が配偶者と子2人・税理士費用100万円のケースです。A税理士は「誰が払っても同じです」と答え、長男が全額負担しました。B税理士は二次相続を試算し、配偶者が負担する形を提案しました。
結果、B税理士のケースでは二次相続の税額が30万円減りました。同じ費用を払っているのに、30万円の差が出ます。
見積書と初回相談で、次の3点を確認してください。
判定ポイント1:見積書に相続人の人数による加算が明記されているか。A税理士は「基本報酬50万円」だけ、B税理士は「基本報酬50万円+相続人2人目以降10%=60万円」と内訳を出した。→ B税理士のほうが、総額の変動要因を把握していると判定できます。
判定ポイント2:誰が払うのが有利かを二次相続まで含めて試算するか。A税理士は「一般的には配偶者です」と答え、B税理士は配偶者の財産を聞いてから「この規模なら効果は0円です」と答えた。→ B税理士のほうが、実際の家庭に当てはめて判断していると判定できます。
判定ポイント3:総額と加算条件を契約前に書面で示すか。A税理士は「土地の状況を見てから」と口頭のみ、B税理士は加算項目と単価を一覧にした書面を渡した。→ B税理士のほうが、後から総額が膨らむリスクが低いと判定できます。
3点すべてを比較するには、最低3社の見積りが必要です。1社だけでは判断材料がありません。
試算せずに負担者を決めると、次のような結果になります。
これらはすべて、複数の税理士から見積りを取って比較すれば回避できます。
依頼までの流れは4段階です。
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法律上の決まりはなく、相続人の合意で自由に決められます。公平性を重視するなら取得した財産の割合に応じた按分が説明しやすく、税負担を重視するなら配偶者が払う形が有利になる場合があります。
ただし配偶者負担の節税効果は財産額によって0円から40万円まで変わります。試算してから決めてください。
常に得になるわけではありません。節税額は「税理士費用×二次相続の限界税率」で決まります。財産3億円の家庭なら費用100万円で30万円の節税になります。
一方、財産8,000万円で配偶者の取得分が4,000万円なら、二次相続の基礎控除4,200万円を下回るため節税額は0円です。配偶者の財産が基礎控除を超えるかを先に確認してください。
最初から代表者が全額負担すると合意していれば贈与にはなりません。問題になるのは、按分で負担割合を決めたのに精算しなかった場合です。他の相続人の負担分を肩代わりした状態が残るため、贈与とみられる可能性があります。
負担割合の合意書と精算の振込記録を残してください。年110万円の基礎控除があるため少額なら実害は出にくいものの、同じ年の他の贈与と合算する点に注意が必要です。
負担する義務はありません。相続放棄をすると初めから相続人でなかったものとみなされ、財産も債務も受け取らないためです。申告書にも名前が載りません。
ただし放棄をしていない相続人の負担は増えます。人数が減るぶん1人あたりの額は上がるため、放棄を検討している人がいる場合は放棄が確定してから費用の話し合いを始めてください。
可能です。相続税の申告書は相続人ごとに別々に提出できます。ただし土地の評価額が申告書ごとに違うと税務署から問い合わせが来ますし、基本報酬が人数分かかって費用が割高になります。
遺産分割で対立している場合も、交渉は弁護士に任せ、申告は共通の税理士にまとめるほうが費用面でも有利です。
相続税申告の税理士費用は、誰が払っても法律上の問題はありません。相続人の合意で自由に決められます。ただし配偶者が払うと、その分だけ配偶者の財産が減り、二次相続の課税財産が減ります。誰が払うかで二次相続の税額だけが変わる構造です。
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年8月時点の法令・通達に基づいて作成しています。相続税法の改正により取扱いが変更される場合があります。最新の制度については国税庁の公表資料をご確認いただくか、相続税の対応実績がある税理士にご相談ください。