


相続税の申告を税理士に依頼すると、遺産総額の0.5〜1.0%程度の報酬がかかります。遺産1億円なら50万〜100万円です。これだけ払うなら相続税の計算で差し引けないか、あるいは確定申告の経費にできないかと考えるのは当然でしょう。
結論から言うと、相続税申告の税理士費用は債務控除にも所得税の必要経費にもできません。どちらも認められていません。理由は相続税法13条と14条の2つの関門で落ちるからです。国税不服審判所の裁決でも同じ判断が出ています。
ただし例外が3つあります。賃貸不動産の相続登記費用、準確定申告で納める所得税、売却時の取得費です。特に賃貸不動産がある場合は、自宅部分と按分すれば登記費用を不動産所得の経費にできます。
この記事では、控除できない条文と裁決の根拠、専門家報酬ごとの3軸判定、経費にできる3つの例外、準確定申告の扱いまでを解説します。
▼ この記事の3行まとめ

まず答えを示します。相続税申告の税理士費用は、相続税の債務控除にも所得税の必要経費にもできません。払った金額がそのまま自己負担になります。税金が戻ってくる余地はありません。
ただし関連する費用のなかには例外が3つあります。ここでは結論と例外の全体像を先に整理します。
債務控除とは、被相続人が残した借入金や未払金を相続財産から差し引ける制度です。対象になるのは被相続人が死亡時に負っていた債務に限られます。税理士費用は相続人が自分の意思で契約した費用なので、対象になりません。
誰が払っても課税価格は変わりません。相続税の総額も変わりません。
次に所得税です。事業を営んでいる人や不動産を貸している人は、経費にできないかを考えます。しかし相続税の申告は個人の財産承継に伴う手続きです。収入を得るための活動と関係がありません。
税務上は家事費として扱われ、必要経費に算入できません。事業所得でも不動産所得でも同じです。そもそも相続税の計算には「経費」という概念がありません。課税価格から基礎控除を引いて税額を出す仕組みで、所得税とは構造が違います。
税理士費用そのものは控除できませんが、相続に伴う費用のなかには税務上の扱いが変わるものがあります。
| 例外 | 対象になる費用 | 使える制度 |
|---|---|---|
| 例外1 | 賃貸不動産の相続登記費用 | 不動産所得の必要経費 |
| 例外2 | 準確定申告で納める所得税 | 相続税の債務控除 |
| 例外3 | 売却する不動産の相続登記費用 | 譲渡所得の取得費 |
表の見方:3つとも税理士費用そのものではありません。登記費用と所得税が対象で、相続税申告の報酬はどの例外にも入りません。
重要ポイント:例外1と例外3が使えるのは、賃貸している不動産か売却する不動産がある場合だけです。自宅だけを相続したケースでは使えません。
相続でかかった費用全般の控除可否は、下記の記事で解説しています。

控除できないことの実害を金額で確認します。税理士費用100万円が仮に債務控除できたら、相続税はいくら減るのかを計算しました。
| 課税価格 | 相続税の総額 | 控除できた場合 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 5,000万円 | 20.0万円 | 10.0万円 | 10.0万円 |
| 8,000万円 | 350.0万円 | 337.5万円 | 12.5万円 |
| 1億円 | 630.0万円 | 615.0万円 | 15.0万円 |
| 2億円 | 2,700.0万円 | 2,675.0万円 | 25.0万円 |
| 3億円 | 5,720.0万円 | 5,685.0万円 | 35.0万円 |
| 5億円 | 13,110.0万円 | 13,067.5万円 | 42.5万円 |
表の見方:課税価格が大きいほど差額も大きくなります。5億円の家庭では、控除できないことで42.5万円を余分に払っている計算になります。
重要ポイント:差額は費用100万円に対する割合として10%から42.5%まで変わります。単純に「税率を掛けた額」にはなりません。理由は次の計算ロジックのとおりです。
計算ロジック:【前提】相続人は配偶者と子2人・法定相続分どおりに取得・配偶者の税額軽減は適用しない。相続税は課税遺産総額を法定相続分で分けてから税率を掛けるため、配偶者の取り分と子の取り分が別の税率帯に入ります。
計算ロジック(続き):課税価格3億円なら配偶者の帯は40%、子の帯は30%です。0.5×40%+0.25×30%+0.25×30%=35%となり、差額は100万円×35%=35万円になります。

「相続人の費用だから控除できない」という説明はよく見かけますが、根拠まで示した解説は少ないです。税理士費用は相続税法13条と14条という2つの関門で落ちます。どちらか一方ではなく、両方に当たりません。
ここでは条文の原文と国税不服審判所の裁決で、控除できない理由を確認します。
債務控除の根拠は相続税法13条です。1項1号に対象が明記されています。
相続税法13条1項1号:一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)
読むべきは「被相続人の債務」と「相続開始の際現に存するもの」の2点です。税理士との契約は、相続が起きた後に相続人が結びます。契約の当事者は相続人であって被相続人ではありません。
被相続人の債務ではないため、この時点で13条の対象から外れます。
参照元:e-Gov 法令検索(相続税法 昭和二十五年法律第七十三号)
仮に被相続人が生前に税理士と契約していた場合はどうなるか。ここで14条が働きます。
相続税法14条1項:前条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。
相続税申告という役務が提供されるのは死亡した後です。死亡時点では申告書はまだ作られていません。死亡時に債務として確定していないため、14条の「確実と認められるもの」にも当たりません。
つまり生前に契約していても控除できません。13条で外れ、14条でも外れる二重の構造です。
参照元:e-Gov 法令検索(相続税法 昭和二十五年法律第七十三号)
この考え方は条文の解釈にとどまりません。国税不服審判所の裁決でも同じ判断が示されています。
【裁決】平13.12.25裁決(裁決事例集No.62 412頁)
争点は「被相続人の債務に該当する遺言執行費用の範囲」でした。相続人が支払った遺言執行者報酬180万円について、債務控除できるかが争われました。
【判断】
遺言執行費用は相続人が弁護士との合意に基づいて支払うものであり、相続人の債務であって被相続人の債務ではないとして、相続税法13条1項の適用が否定されました。
【税理士費用への当てはめ】
税理士費用も相続人が税理士との契約に基づいて支払う費用です。構造が同じなので、同じ論理で控除が否定されます。
この裁決は遺言執行者報酬の事案ですが、「誰が契約したか」で判断するという考え方を示しています。専門家報酬に共通する基準です。
参照元:国税不服審判所(平13.12.25裁決、裁決事例集No.62 412頁)
実際にある費用が債務控除できるかは、次の順に確認すれば判定できます。
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重要ポイント:専門家報酬はSTEP1で落ちるため、STEP2以降を検討する必要がありません。「相続人が契約したか」だけを見れば判定できます。
ここで疑問が残ります。葬式費用も相続開始後の支出で、契約するのは相続人です。それでも控除できるのは、相続税法13条1項2号に「被相続人に係る葬式費用」と明記されているからです。
条文に例外として書かれているから控除できるだけで、理屈から導かれるものではありません。裏を返せば、条文に書かれていない専門家報酬は控除できないということです。香典返しや法要の費用も、葬式費用の範囲外として控除できません。
参照元:国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
債務控除の対象になる債務と葬式費用の○×は、下記の記事で解説しています。


相続では税理士だけでなく司法書士や弁護士にも費用を払います。扱いは同じではありません。同じ司法書士報酬でも、自宅の登記か賃貸物件の登記かで結論が変わります。3つの軸で判定してください。
ここでは専門家報酬を一覧にして、どの制度が使えるかを整理します。
判定に使う軸は次の3つです。それぞれ別の税金の話なので、混ぜて考えると答えが出ません。
軸1がすべて×になるのは、相続開始後に相続人が契約した費用だからです。軸2と軸3に○が付く余地があります。読者が最も混同するのは軸1と軸2です。相続税に「経費」の概念はないため、経費の話をするなら軸2か軸3に移る必要があります。
主な専門家報酬について、3つの軸で判定しました。自分が払った費用の行を確認してください。
| 専門家報酬 | 相続税の債務控除 | 所得税の必要経費 | 譲渡所得の取得費 |
|---|---|---|---|
| 税理士(相続税申告) | × | × | × |
| 税理士(準確定申告) | × | × | × |
| 税理士(相続後の賃貸の確定申告) | × | ○ | × |
| 司法書士(自宅の相続登記) | × | × | ○ |
| 司法書士(賃貸不動産の相続登記) | × | ○ | ○ |
| 弁護士(遺産分割の交渉) | × | × | × |
| 弁護士(遺言執行者報酬) | × | × | × |
| 土地家屋調査士(申告のための測量) | × | × | × |
| 土地家屋調査士(賃貸に必要な測量) | × | ○ | × |
| 不動産鑑定士(申告のための鑑定) | × | × | × |
表の見方:左の列はすべて×です。相続税の債務控除にできる専門家報酬は1つもありません。○が付くのは所得税と譲渡所得の列だけです。
重要ポイント:相続税申告の税理士費用は3軸すべて×です。この費用を取り戻す方法は存在しません。回収を検討できるのは登記費用と賃貸の確定申告報酬です。
計算ロジック:弁護士(遺言執行者報酬)の×は平13.12.25裁決に基づく判断です。土地家屋調査士の測量費は、目的が相続税申告のためか賃貸の維持のためかで結論が分かれます。請求書に目的を明記してもらってください。
表を縦に見ると規則性が見えます。○が付く行には共通点があります。所得税の必要経費に○が付くのは「賃貸」に関係する費用だけです。賃貸物件の登記、賃貸の確定申告、賃貸に必要な測量の3つです。
譲渡所得の取得費に○が付くのは「売却」する不動産の登記費用だけです。売らなければ使えません。
逆に言えば、自宅だけを相続して売却もしない場合、回収できる費用は1円もありません。この場合は費用の総額を抑えるほうに労力を向けたほうが合理的です。
重要ポイント:判定の合言葉は「賃貸か、売却か」です。このどちらにも当てはまらない費用は、税務上どこにも持っていけません。
どの専門家に何を頼むべきかは、下記の記事で解説しています。

3軸の判定を自分の家庭に当てはめると、回収できる金額が見えます。5つのタイプで計算しました。
| 家庭のタイプ | 不動産所得の経費 | 譲渡所得の取得費 | 賃貸の申告報酬 | 減税額の目安 |
|---|---|---|---|---|
| ①自宅のみ・売却なし | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| ②自宅のみ・売却する | 0円 | 19.0万円 | 0円 | 約3.9万円 |
| ③自宅+賃貸・売却なし | 10.8万円 | 0円 | 10.0万円 | 約6.2万円 |
| ④自宅+賃貸・賃貸を売却 | 10.8万円 | 15.0万円 | 10.0万円 | 約9.3万円 |
| ⑤賃貸のみ・売却なし | 15.0万円 | 0円 | 10.0万円 | 約7.5万円 |
表の見方:自分の家庭に近い行を見てください。①のタイプは回収できる費用が1円もありません。この場合は費用の総額を抑えるほうに労力を向けてください。
重要ポイント:賃貸と売却の両方があるタイプ④が最大です。経費と取得費の両方を使えるため、約9.3万円が戻ります。売却を検討しているなら登記費用の記録を必ず残してください。
計算ロジック:【前提】自宅の固定資産税評価額3,000万円・賃貸2,000万円。登録免許税=評価額×0.4%で計20万円、司法書士報酬7万円、登記費用の総額27万円。賃貸割合40%なので経費計上は27万円×40%=10.8万円です。
計算ロジック(続き):減税額は不動産所得の経費と申告報酬に30%(所得税20%+住民税10%)、取得費に譲渡所得の税率20.315%を掛けて算出しています。所得税率が違えば減税額も変わります。
自宅だけを相続して売却もしない場合、税務上で回収できる費用はありません。この場合に効くのは、費用そのものを下げる交渉です。回収できないぶん、総額を抑えることが唯一の対策になります。
具体的には複数の事務所から見積りを取り、加算報酬の条件を比較します。相続人の人数加算や土地の利用区分ごとの加算は事務所によって差があります。
もう一つの手は、誰が払うかを工夫することです。配偶者が払えば二次相続の税額が下がる場合があります。
重要ポイント:①のタイプでも打つ手はあります。総額を下げる交渉と、負担者の選択の2つです。どちらも依頼前にしかできません。
控除できないなら領収書は捨ててよいと考える人がいますが、保管してください。理由は3つあります。第一に、後から賃貸部分の按分が必要になったとき、総額の根拠が必要になります。
第二に、相続人の間で費用を精算する場合、支払った事実を示す書類が求められます。第三に、経費にできる部分がある場合、税務調査で提示できなければ経費として認められません。
保管期間は確定申告の関係で7年を目安にしてください。相続税の申告書と一緒に保管しておくと探しやすくなります。

専門家報酬が控除できない一方で、控除できる債務もあります。境界を確認しておきましょう。見るべきは「被相続人の債務か」と「死亡時に確定していたか」の2点だけです。ここでは控除できるもの・できないものを一覧で整理します。
債務控除の対象になるのは、被相続人が死亡時に負っていた債務です。
| 債務 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 銀行からの借入金・住宅ローン | ○ | 被相続人の債務で死亡時に確定 |
| 個人からの借入金 | ○ | 借用書などで確認できる場合 |
| 未払いの医療費・入院費 | ○ | 被相続人の債務 |
| 未払いの固定資産税・住民税 | ○ | 公租公課として13条1項1号に含まれる |
| 未払いの公共料金 | ○ | 被相続人の債務 |
| 賃貸物件の預り敷金 | ○ | 将来返還する義務がある |
| 通夜・火葬・お布施 | ○ | 13条1項2号に葬式費用として明記 |
表の見方:上の6行は被相続人が死亡時に負っていた債務です。最下行の葬式費用だけが、条文に書かれた例外として認められています。
重要ポイント:団体信用生命保険が付いた住宅ローンは対象外です。死亡で完済されるため、死亡時に債務が消滅しています。
参照元:国税庁 第13条《債務控除》関係
借金がある遺産を相続すべきかの判断は、下記の記事で解説しています。

次に控除できない費用です。専門家報酬はすべてこちらに入ります。
| 費用 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 税理士報酬(相続税申告) | × | 相続人が契約した費用 |
| 司法書士報酬(相続登記) | × | 相続人が契約した費用 |
| 弁護士費用(遺産分割) | × | 相続人が契約した費用 |
| 遺言執行者報酬 | × | 平13.12.25裁決で否定 |
| 戸籍謄本などの取得費用 | × | 相続手続きのための実費 |
| 香典返しの費用 | × | 葬式費用の範囲外 |
| 初七日・四十九日などの法要 | × | 葬式費用の範囲外 |
| 墓地・墓石の購入費 | × | 葬式費用の範囲外 |
| 保証債務(主債務者が弁済できる場合) | × | 14条の「確実」に当たらない |
表の見方:上4行は「相続人が契約した」という理由で落ちます。下5行は「葬式費用の範囲外」または「確実性がない」という別の理由です。
重要ポイント:墓地・墓石は生前に購入すれば非課税財産になります。死亡後に買うと控除できず、生前に買えば非課税という逆転が起きます。
迷ったときは次の2つを順に聞いてください。それだけで大半が判定できます。
【質問1】その契約をしたのは誰か
被相続人なら次へ進みます。相続人なら13条で落ちて控除できません。専門家報酬はここで終わります。
【質問2】死亡した時点で金額が確定していたか
確定していれば控除できます。役務がまだ提供されていない場合や、支払うかどうかが不確実な場合は14条で落ちます。
葬式費用だけはこの2つの質問を通らなくても控除できます。条文に例外として書かれているためです。相続放棄をした人は、そもそも債務控除を使えません。財産も債務も受け取らないためです。
相続放棄と相続税の関係は、下記の記事で解説しています。


ここから3つの例外を順に見ます。最も実益が大きいのが賃貸不動産のケースです。賃貸物件の相続登記費用は、不動産所得の必要経費に算入できます。自宅の分は算入できません。ここでは対象になる費用と、自宅が混在する場合の按分を解説します。
賃貸不動産を相続すると名義変更の登記が必要です。その費用が必要経費になります。
登録免許税は評価額で決まります。評価額3,000万円の物件なら12万円、5,000万円なら20万円です。これらは相続した年の不動産所得から差し引けます。所得税と住民税が減ります。
参照元:国税庁 No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)
賃貸不動産と債務控除の関係は、下記の記事で解説しています。

ここで勘違いが起きます。賃貸不動産があれば税理士費用も経費になると考える人がいます。しかし相続税申告は賃貸経営のための業務ではありません。賃貸に関連する費用ではないため、必要経費にできません。
一方で、相続した後の賃貸物件について確定申告を依頼する費用は必要経費になります。これは賃貸経営のための費用です。同じ税理士に両方を頼む場合は、請求書を分けてもらってください。区分がないと経費にできる部分も否認されるおそれがあります。
注意:「相続税申告」と「賃貸の確定申告」は別の契約として扱います。一括の請求書だと、経費にできる部分の金額を示せません。
自宅と賃貸アパートをまとめて相続し、登記も一括で依頼するケースが多くあります。この場合、経費にできるのは賃貸部分だけです。自宅部分は家事費として扱われます。請求書で費用が分かれていない場合は、不動産の評価額の割合で按分計算します。
按分の計算式は「登記費用の総額 × 賃貸物件の評価額 ÷ 全体の評価額」です。
実際に4つのパターンで計算しました。自分のケースに近い行を確認してください。
| 自宅の評価額 | 賃貸の評価額 | 登記費用の総額 | 経費にできる額 | 家事費(経費外) |
|---|---|---|---|---|
| 3,000万円 | 2,000万円 | 25万円 | 10.0万円 | 15.0万円 |
| 2,000万円 | 3,000万円 | 25万円 | 15.0万円 | 10.0万円 |
| 4,000万円 | 1,000万円 | 30万円 | 6.0万円 | 24.0万円 |
| 1,500万円 | 4,500万円 | 40万円 | 30.0万円 | 10.0万円 |
表の見方:賃貸の割合がそのまま経費の割合になります。1行目は賃貸が40%なので、25万円のうち10万円だけが経費です。
重要ポイント:4行目のように賃貸の比重が大きい家庭では、40万円のうち30万円が経費になります。按分を計算しないまま全額を家事費として処理すると、30万円を取りこぼします。
計算ロジック:【前提】登記費用の総額を不動産の評価額で按分。1行目は25万円×2,000万円÷5,000万円=10万円です。按分に使う評価額は固定資産税評価額を用いるのが実務上一般的で、根拠として評価証明書を保管します。
貸付事業用宅地の特例は、下記の記事で解説しています。

按分の金額が決まっても、どの年の経費にするかで迷うことがあります。相続登記費用は支出した年の必要経費です。相続が発生した年ではありません。登記を翌年に行えば、経費になるのも翌年の不動産所得です。
相続登記は2024年4月から義務化され、相続を知った日から3年以内に申請する必要があります。年をまたぐことは十分にあり得ます。
| 状況 | 経費計上する年 | 注意点 |
|---|---|---|
| 相続と同じ年に登記した | 相続した年 | 賃貸収入がある年と一致する |
| 翌年に登記した | 翌年 | 相続年の申告には入れられない |
| 分割協議が長引いて2年後に登記 | 2年後 | 3年の義務化期限に注意 |
| 司法書士報酬を分割で払った | それぞれ支払った年 | 領収書の日付で判定する |
表の見方:判定の基準は支払った日です。相続がいつ起きたかではなく、登記費用をいつ払ったかで年が決まります。
重要ポイント:賃貸収入が出るのは相続した年からです。登記を年内に済ませれば、同じ年の収入から差し引けます。年末が近いなら登記を急ぐ判断もあり得ます。
計算ロジック:不動産所得は現金の出入りではなく発生主義で計算しますが、登記費用のような一時の費用は支出した年に計上するのが実務です。判定に迷う場合は領収書の日付を基準にしてください。
遺産分割が終わらないうちに年をまたぐと、賃貸収入の扱いが変わります。分割が決まるまでの賃貸料は、各相続人が法定相続分に応じて取得したものとして申告します。この段階では登記もできないため、登記費用の経費計上は分割後になります。
分割が決まった後に登記し、その年の不動産所得から差し引く流れです。相続した年の申告には入りません。収入も費用も相続人ごとに分かれるため、按分の計算は人数分必要になります。
注意:未分割の期間が長引くと、登記費用の経費計上も後ろにずれます。相続登記の義務化で3年の期限があるため、放置はできません。
賃貸不動産を相続した場合の費用を、経費になるかどうかで整理しました。
| 費用 | 不動産所得の経費 | 条件 |
|---|---|---|
| 賃貸物件の登録免許税 | ○ | 賃貸部分のみ |
| 賃貸物件の司法書士報酬 | ○ | 賃貸部分のみ |
| 相続後の賃貸の確定申告報酬 | ○ | 相続税申告と区分すること |
| 賃貸に必要な測量費 | ○ | 賃貸の維持が目的の場合 |
| 賃貸物件の固定資産税 | ○ | 相続後に納付した分 |
| 相続税申告の税理士報酬 | × | 賃貸に関連しない |
| 自宅部分の登記費用 | × | 家事費 |
| 遺産分割の弁護士費用 | × | 賃貸に関連しない |
| 相続税申告のための測量費 | × | 申告が目的なら対象外 |
表の見方:測量費が2回出てきます。同じ測量でも、賃貸の維持が目的なら○、相続税申告が目的なら×です。
重要ポイント:目的で判定が分かれる費用は、請求書に目的を書いてもらってください。後から目的を主張しても、書類がなければ通りません。

2つ目の例外は準確定申告です。ここは読者が最も混同する領域です。準確定申告で納める所得税そのものは債務控除できますが、税理士報酬は控除できません。同じ準確定申告に関する支出なのに扱いが正反対です。ここでは境界を整理します。
準確定申告は、被相続人の1月1日から死亡日までの所得を相続人が代わりに申告する手続きです。期限は相続開始を知った日の翌日から4か月以内です。相続税の申告期限10か月より早く来ます。
被相続人が事業をしていた場合や不動産を貸していた場合は必須です。年金収入が400万円を超える場合も必要になります。相続人が全員で提出するため、書類の取りまとめに時間がかかります。相続税の準備と並行して進めることになります。
参照元:国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
相続税と確定申告・準確定申告の違いは、下記の記事で解説しています。

準確定申告で所得税を納める場合、その所得税は債務控除の対象です。根拠は相続税法13条1項1号の括弧書きです。「被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)」と書かれています。
所得税は被相続人が稼いだ所得に対する税金です。申告の手続き自体は死亡後でも、税金を負うべき人は被相続人です。そのため死亡時に成立していた公租公課として、債務控除できます。住民税や固定資産税も同じ扱いです。
一方で、準確定申告を税理士に依頼した報酬は控除できません。この契約を結ぶのは相続人です。死亡後に相続人が依頼して初めて発生する費用です。相続人の債務なので13条の「被相続人の債務」に当たらず、控除できません。
被相続人の事業所得の必要経費にもできません。死亡後に役務が提供されるため、生前の事業に要した費用ではないからです。
準確定申告をめぐる支出と入金を、扱いごとに整理しました。
| 項目 | 相続税での扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 準確定申告で納める所得税 | 債務控除できる | 13条1項1号の公租公課 |
| 未納だった前年分の所得税 | 債務控除できる | 死亡時に確定していた公租公課 |
| 未納だった住民税・固定資産税 | 債務控除できる | 死亡時に確定していた公租公課 |
| 準確定申告の税理士報酬 | 控除できない | 相続人が契約した費用 |
| 期限に遅れた場合の延滞税・加算税 | 控除できない | 相続人の責めによる負担 |
| 準確定申告で戻る所得税の還付金 | 相続財産に加算 | 被相続人の債権として扱う |
表の見方:上3行が控除できる公租公課、次の2行が控除できない費用です。最下行は逆で、還付金は相続財産を増やします。
重要ポイント:延滞税と加算税は控除できません。4か月の期限を守れば発生しない負担です。相続税の期限より先に来るので、最初に日付を確認してください。
計算ロジック:還付金が相続財産になるのは、被相続人が国に対して持つ債権と考えるためです。実際に受け取ったのが相続開始後であっても、権利は死亡時に発生していた扱いになります。
準確定申告は全員に必要な手続きではありません。不要なケースもあります。報酬を払う前に、そもそも必要かどうかを確認してください。
| 被相続人の状況 | 準確定申告 | 理由 |
|---|---|---|
| 事業を営んでいた | 必要 | 事業所得の申告義務がある |
| 不動産を貸していた | 必要 | 不動産所得の申告義務がある |
| 年金収入が400万円超 | 必要 | 公的年金等の申告不要制度を超える |
| 給与以外の所得が20万円超 | 必要 | 申告不要の範囲を超える |
| 給与のみで年末調整済み | 原則不要 | 所得税が精算されている |
| 年金400万円以下で他の所得なし | 原則不要 | 申告不要制度に該当する |
| 医療費が多く還付を受けたい | したほうが得 | 還付金は相続財産に加算 |
表の見方:上4行は義務があるケースです。下2行は原則不要なので、報酬を払う必要がありません。
重要ポイント:最下行は義務がなくても申告したほうが得なケースです。入院費が高額だった場合、医療費控除で所得税が戻ります。還付金は相続財産に加算されますが、手取りは増えます。
被相続人が給与所得だけで年末調整も済んでいた場合、準確定申告は不要です。この場合は見積りから外してもらってください。必要かどうかを確認せずに一式で依頼すると、不要な報酬5万〜10万円を払うことになります。
準確定申告は相続税申告とは別の業務です。報酬も別にかかります。相場は5万〜10万円程度です。相続税申告の加算報酬として見積書に載ることが一般的です。
見積書に準確定申告が含まれているかを必ず確認してください。含まれていないと後から追加請求になります。被相続人が不動産を貸していた場合や事業をしていた場合は、ほぼ必要になります。相談の時点で伝えておきましょう。
死亡後にかかる税金の全体像は、下記の記事で解説しています。


3つ目の例外は売却するケースです。相続した不動産を売るなら、登記費用を取得費に含められます。自宅であっても、売却するなら取得費に入れられます。賃貸に限られない点が例外1との違いです。
ここでは取得費の考え方と、生前に前払いした報酬の扱いを解説します。
不動産を売却したときの譲渡所得は次の式で計算します。
計算式:譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
取得費が大きいほど譲渡所得が減り、所得税と住民税が下がります。相続した不動産を売る場合、名義変更に要した登録免許税と司法書士報酬を取得費に含められます。賃貸でも自宅でも使えるので、例外1が使えない家庭でも回収の余地があります。
相続した不動産を売却した場合の税金は、下記の記事で解説しています。

ここでも税理士費用は対象外です。取得費は資産の取得に要した費用に限られます。相続税申告は税金の手続きであって、資産を手に入れるための支出ではありません。3つの例外すべてを見ても、相続税申告の税理士費用が入る枠は存在しません。
遺産分割で不動産の取得者を決めるための弁護士費用も同じです。取得費には含められません。
取得費に関連して、相続税そのものを取得費に加算できる特例があります。相続した財産を一定期間内に売却した場合、納めた相続税の一部を取得費に加算できる制度です。
期限は相続開始のあった日の翌日から3年10か月以内です。この期限を過ぎると使えません。加算できるのは相続税であって、税理士費用ではありません。混同しないでください。
参照元:国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
取得費加算の計算方法とシミュレーションは、下記の記事で解説しています。

「生前に払っておけば財産が減って相続税も減るのでは」と考える人がいます。結論は変わりません。被相続人が生前に相続税申告の報酬を前払いした場合、死亡時点で役務はまだ提供されていません。
この状態は、税理士に対して役務の提供を求める権利を持っている状態です。預け金として相続財産に計上されます。現金が減った分だけ預け金という資産が増えるため、課税価格は変わりません。節税効果は生じません。
注意:前払いしても相続税は減りません。14条の「確実と認められるもの」に当たらないため債務控除もできず、資産として計上されるだけです。

控除できないと分かったうえで、実質的な負担を下げる方法は3つあります。いずれも税理士に依頼する前に手を打つ必要があります。契約してからでは間に合いません。ここでは3つの方法と、それぞれの効果を整理します。
賃貸不動産を相続する場合、相続後の確定申告も税理士に依頼することになります。この2つを一括の契約にすると、経費にできる部分の金額を示せません。請求書を分けてもらってください。
確定申告の報酬が10万円なら、その全額が不動産所得の経費になります。依頼の時点で「相続税申告」と「賃貸の確定申告」を別の見積りにしてほしいと伝えるだけです。手間はかかりません。
司法書士への依頼も同じです。まとめて頼むと請求書が1通になり、按分計算が必要になります。賃貸物件と自宅を別の依頼にすれば、賃貸分の金額がそのまま経費になります。按分の根拠を作る手間も省けます。
按分でも経費にできますが、請求書が分かれていれば税務調査でも説明が簡単です。まとめて依頼したほうが報酬が安くなる場合は、按分で処理して構いません。評価証明書を保管しておいてください。
税理士費用は控除できませんが、誰が払うかで二次相続の税額は変わります。配偶者が払うとその分だけ配偶者の財産が減り、次の相続で課税される財産が減るためです。
節税額は「税理士費用×二次相続の限界税率」で決まります。財産3億円なら費用100万円で30万円です。ただし配偶者の財産が二次相続の基礎控除以下なら効果はありません。子2人なら4,200万円が境界です。
誰が払うのが有利かの判定と財産額別の試算は、下記の記事で解説しています。

方法1と方法2は要するに「契約を分けるかどうか」です。分けた場合の差を金額で示します。自宅3,000万円と賃貸アパート2,000万円を相続し、相続税申告70万円・賃貸の確定申告10万円・登記費用27万円がかかったケースです。
| 項目 | 一括契約(区分なし) | 分離契約(区分あり) |
|---|---|---|
| 税理士費用の総額 | 80万円 | 80万円 |
| 登記費用 | 27万円 | 27万円 |
| 経費に計上できる額 | 0円 | 20.8万円 |
| 減税額(税率30%) | 0円 | 約6.2万円 |
| 実質負担の合計 | 107.0万円 | 約100.8万円 |
表の見方:支払う総額は同じ107万円です。違いは経費に計上できる金額だけで、実質負担に約6.2万円の差が出ます。
重要ポイント:やることは見積りを分けてもらうだけです。追加のコストはゼロで6.2万円が戻ります。依頼前に伝えるかどうかだけの差です。
計算ロジック:【前提】自宅3,000万円・賃貸2,000万円(賃貸割合40%)・登記費用27万円・賃貸の確定申告報酬10万円・税率30%。
計算式:経費=登記費用27万円×40%=10.8万円+確定申告報酬10万円=20.8万円。減税額=20.8万円×30%=約6.2万円です。
計算ロジック(続き):賃貸の比重が大きい家庭や所得税率が高い人ほど差は広がります。所得税率33%の人なら減税額は約8.5万円になります。
3つの方法は実行できるタイミングが決まっています。順序を守らないと使えなくなります。
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重要ポイント:最初の見積り時が最も重要です。契約が一括で確定してしまうと、後の3段階で工夫しても取り戻せません。
どの方法が使えるかは家庭の状況で決まります。適用条件を確認してください。
| 方法 | 適用条件 | 効果の目安 | 必要な準備 |
|---|---|---|---|
| 確定申告と相続税申告を分ける | 賃貸不動産がある | 報酬10万円が経費に | 依頼時に見積りを分ける |
| 登記を賃貸と自宅で分ける | 賃貸と自宅の両方を相続 | 賃貸分の登記費用が経費に | 司法書士に依頼を分ける |
| 配偶者が費用を負担する | 配偶者の財産が基礎控除超 | 費用×二次相続の税率 | 負担割合を書面で合意 |
表の見方:上2つは賃貸不動産がある家庭だけが使えます。3つ目は配偶者がいて財産が一定以上ある家庭が対象です。
重要ポイント:3つとも依頼前にしか手を打てません。契約後に請求書を分けてほしいと頼んでも、対応できない事務所があります。
計算ロジック:方法1の効果は確定申告報酬の全額です。所得税率20%・住民税10%なら10万円×30%=3万円の減税になります。方法3の効果は二次相続の限界税率次第で、0円から40万円まで幅があります。

控除と経費の話は仕組みが複雑なため、思い込みで処理して失敗するケースがあります。最も多いのは、相続税と所得税を同じ「経費」の枠で考えてしまう誤解です。ここでは実際にある4つの誤解と対策を挙げます。
「相続でかかった費用は経費になる」と聞いて、税理士費用を含む全額を不動産所得の経費にしたケースです。経費になるのは賃貸物件の登記費用と賃貸の確定申告報酬だけです。相続税申告の報酬は入りません。
否認されると修正申告が必要になり、過少申告加算税と延滞税が上乗せされます。対策:経費に入れる前に「賃貸に関連する費用か」を1つずつ確認します。判断がつかない費用は入れないでおきます。
修正申告のやり方とペナルティは、下記の記事で解説しています。

自宅と賃貸をまとめて登記し、請求書1通のまま「だいたい半分くらい」で経費にしたケースです。按分は認められますが、根拠が必要です。評価額の割合という客観的な基準で計算してください。感覚で決めた割合は、税務調査で根拠を示せず否認されます。
対策:固定資産評価証明書を保管し、評価額の割合で按分します。計算過程をメモに残しておきます。
相続税対策として生前に税理士報酬を前払いしたケースです。現金が減るので財産も減ると考えたものです。しかし死亡時点で役務は提供されていないため、預け金という資産として計上されます。
現金が減った分だけ預け金が増えるので、課税価格は変わりません。対策:前払いを節税策として使わないことです。生前にできる対策は贈与や生命保険の非課税枠など別にあります。
「経費にできないなら控除で」「控除がダメなら経費で」と行き来してしまうケースです。相続税には経費の概念がありません。課税価格から基礎控除を引く仕組みで、収入から経費を引く所得税とは構造が別です。
相続税で使えるのは債務控除だけで、所得税で使えるのが必要経費です。用語を混ぜると判断を誤ります。対策:3軸判定表に戻り、どの税金の話をしているかを先に決めます。そのうえで該当する列だけを見ます。
重要ポイント:7項目のうち3番目は依頼前にしかできません。見積りを取る段階で分けてもらうのが唯一のタイミングです。

控除できるかどうかの判定は、費用ごとに目的を切り分ける作業です。同じ費用でも請求書が分かれているかどうかで、経費にできる金額が変わります。複数の税理士から見積りを取り、区分の方針まで確認してください。
控除・経費・取得費の3軸に振り分けられる税理士でなければ、回収できる部分を取りこぼします。
【理由1】3軸で費用を振り分けられる
相続税の債務控除・所得税の必要経費・譲渡所得の取得費のどれに当たるかを費用ごとに判定できます。
【理由2】按分の根拠を作れる
自宅と賃貸が混在する場合、評価額での按分計算と根拠書類の整え方を指示できます。
【理由3】請求書を分けて発行できる
相続税申告と賃貸の確定申告を別の契約として区分し、経費にできる金額を明示できます。
【理由4】準確定申告と相続税申告を区分できる
4か月の期限と10か月の期限を分けて管理し、延滞税や加算税が出ないように進められます。
【理由5】調査で示せる記録を整えられる
按分の計算過程・評価証明書・領収書を、税務調査で提示できる形で残せます。
実例で示します。自宅3,000万円と賃貸アパート2,000万円を相続し、登記費用が25万円かかったケースです。A税理士は「登記費用は経費になりません」と答えました。B税理士は評価額で按分し、10万円を不動産所得の経費に計上しました。
さらにB税理士は賃貸の確定申告報酬10万円を別契約にし、これも経費にしました。合わせて20万円の差が出ます。
見積書と初回相談で、次の3点を確認してください。
判定ポイント1:見積書で相続税申告と賃貸の確定申告が分かれているか。A税理士は「相続関連業務一式80万円」の1行、B税理士は「相続税申告70万円/賃貸の確定申告10万円」と分けた。→ B税理士のほうが、経費にできる部分を意識していると判定できます。
判定ポイント2:賃貸不動産がある場合に按分の方針を説明するか。A税理士は「登記費用は控除できません」で終わり、B税理士は「賃貸部分は評価額で按分して経費にします」と答えた。→ B税理士のほうが、所得税側での回収まで見ていると判定できます。
判定ポイント3:準確定申告を含むかどうかが明記されているか。A税理士は記載なし、B税理士は「準確定申告8万円(期限4か月)」と期限まで書いた。→ B税理士のほうが、後からの追加請求が起きにくいと判定できます。
3点を比較するには最低3社の見積りが必要です。1社では区分の良し悪しを判断できません。
区分を確認せずに依頼すると、次のような結果になります。
いずれも見積りの段階で区分を確認すれば防げます。
依頼までの流れは4段階です。
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費用の相場と見積書の見方は、下記の記事で解説しています。

できません。相続税法13条1項は債務控除の対象を「被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの」と定めており、相続開始後に相続人が契約した税理士費用は当たりません。
仮に被相続人が生前に契約していた場合も、死亡時点で申告という役務が提供されていないため、14条の「確実と認められるもの」に当たらず控除できません。
相続税申告の税理士費用は経費になりません。相続税の申告は個人の財産承継に伴う手続きで、収入を得るための活動と関係がないため家事費として扱われます。
ただし相続した賃貸不動産について、相続後の確定申告を依頼する費用は不動産所得の必要経費になります。同じ税理士に頼む場合は請求書を分けてもらってください。
控除できません。準確定申告を依頼する契約は相続人が死亡後に結ぶため、被相続人の債務に当たらないからです。被相続人の事業所得の必要経費にもできません。
一方で、準確定申告で納める所得税そのものは債務控除できます。13条1項1号の「公租公課を含む」に当たるためです。同じ準確定申告でも税金と報酬で扱いが逆になります。
減りません。死亡時点で申告という役務が提供されていないため、税理士に対する預け金として相続財産に計上されます。現金が減った分だけ預け金という資産が増えるので、課税価格は変わりません。前払いを節税策として使うことはできません。
控除できません。いずれも相続人が契約した費用だからです。遺言執行者報酬については、平13.12.25裁決(裁決事例集No.62 412頁)でも債務控除が否定されています。
ただし司法書士報酬は例外があります。賃貸不動産の相続登記なら不動産所得の必要経費に、売却する不動産の相続登記なら譲渡所得の取得費に含められます。
相続税申告の税理士費用は、相続税の債務控除にも所得税の必要経費にもできません。払った金額はそのまま自己負担になります。
理由は相続税法13条と14条の2つの関門です。相続人が契約した費用なので13条の「被相続人の債務」に当たらず、生前契約でも死亡時に確定していないため14条にも当たりません。
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年8月時点の法令・通達に基づいて作成しています。相続税法の改正により取扱いが変更される場合があります。最新の制度については国税庁の公表資料をご確認いただくか、相続税の対応実績がある税理士にご相談ください。