


遺産が1億円あるとき、相続税は0円から1,680万円まで変わります。同じ1億円でも、相続人が誰で何人いるかによって結果がまったく違ってきます。
幅が生まれる理由は3つあります。基礎控除が相続人の数で増えること、配偶者には税額軽減があること、そして配偶者と子以外が相続すると2割が加算されることです。
1億円という金額は、相続税を考えるうえでひとつの節目になります。5,000万円までなら自宅があるだけで相続税が0円になることが多いのに対し、1億円では特例をすべて使っても0円にはなりません。
もうひとつ悩ましいのが、資料によって「最大いくら」の数字が違うことです。1,220万円と書いてあるものもあれば、1,464万円、2,300万円としているものもあります。
これは何を最大とするかの違いで、なかには基礎控除を引き忘れた数字も混ざっています。自分のケースの上限を知るには、この違いを整理しておく必要があります。
そして1億円帯では、税額そのものより「その現金をどう用意するか」が現実の問題になります。遺産の大半が不動産なら、数百万円の納税資金が手元にないという事態が起こります。
この記事では、上限が資料で割れる理由の整理から始めて、家族構成別の早見表、財産の構成で税額がどこまで下がるか、配偶者にいくら渡すと生涯の負担が最小になるか、そして納税資金の用意までを解説します。
▼ この記事の3行まとめ

遺産1億円の相続税を調べると、資料によって「最大1,220万円」「最大1,464万円」「最大2,300万円」と数字がばらつきます。これは何を最大と呼ぶかが違うためで、なかには明確な誤りも混ざっています。
この章では上限を3段階に整理したうえで、誤った数字の見分け方を示します。
まず結論から確認します。同じ1億円でも、誰が相続するかで納付額はここまで開きます。
| ケース | 納付額 | 理由 |
|---|---|---|
| 配偶者が全額を取得 | 0円 | 配偶者の税額軽減が1億6,000万円まで効く |
| 配偶者+子2人(法定相続分) | 315万円 | 相続税の総額630万円のうち配偶者分が軽減される |
| 配偶者+子1人(法定相続分) | 385万円 | 基礎控除が4,200万円と小さい |
| 子1人のみ | 1,220万円 | 税額軽減がなく基礎控除も3,600万円 |
| 兄弟姉妹1人のみ | 1,464万円 | 1,220万円に2割加算 |
| 法定相続人が0人(第三者へ遺贈) | 1,680万円 | 基礎控除が3,000万円しかなく、さらに2割加算 |
表の見方:上に行くほど負担が軽く、下に行くほど重くなります。配偶者がいるかどうかで結果が大きく変わり、配偶者と子以外が相続すると2割加算で重くなります。
重要ポイント:最も軽いケースと最も重いケースの差は1,680万円です。遺産額が同じでも、相続人の構成だけでこれだけ動きます。
上限の数字が資料によって違うのは、次の3つを区別せずに使っているためです。それぞれ意味が違うので、自分のケースに当てはまるものを選ぶ必要があります。
| 数字 | 何を指すか | 当てはまるケース |
|---|---|---|
| 1,220万円 | 相続税の総額の最大。2割加算を考えない場合 | 子1人のみ・父母1人のみが相続する |
| 1,464万円 | 納付額の最大。2割加算を含む | 兄弟姉妹1人が相続する |
| 1,680万円 | 法定相続人が0人で第三者へ遺贈した場合 | 相続人がおらず、遺言で友人や団体へ遺贈する |
表の見方:多くの記事は1,220万円か1,464万円までしか扱っていません。法定相続人が1人もいないケースが最も重くなります。
計算ロジック:法定相続人が0人なら基礎控除は3,000万円です。課税遺産総額7,000万円に税率30%を乗じて控除額700万円を引くと1,400万円。受遺者は2割加算の対象なので1,400万円×1.2=1,680万円になります。
「1億円の相続税は最大2,300万円」と書かれている資料がありますが、これは誤りです。基礎控除を差し引かずに計算した数字です。
1億円にそのまま税率30%を乗じて控除額700万円を引くと2,300万円になります。しかし相続税は必ず基礎控除を引いてから計算します。
注意:法定相続人が1人でも、基礎控除は3,600万円あります。課税遺産総額は1億円-3,600万円=6,400万円で、相続税は1,220万円です。2,300万円という数字を見たら、基礎控除が反映されているかを確認してください。
基礎控除の計算方法と課税されるかどうかの判定手順は、下記の記事で解説しています。


相続人の構成ごとに、相続税の総額と実際の納付額を一覧にしました。配偶者がいる場合は税額軽減が効くため、総額と納付額が大きく違ってきます。この章では配偶者ありとなしに分け、さらに法定相続人がいないケースまで示します。
配偶者と誰が相続人になるかで法定相続分が変わります。子なら2分の1、父母なら3分の1、兄弟姉妹なら4分の1です。
| 相続人の構成 | 基礎控除 | 課税遺産総額 | 相続税の総額 | 実際の納付額 |
|---|---|---|---|---|
| 配偶者+子1人 | 4,200万円 | 5,800万円 | 770万円 | 385万円 |
| 配偶者+子2人 | 4,800万円 | 5,200万円 | 630万円 | 315万円 |
| 配偶者+子3人 | 5,400万円 | 4,600万円 | 525万円 | 262万5,000円 |
| 配偶者+子4人 | 6,000万円 | 4,000万円 | 450万円 | 225万円 |
| 配偶者+父母1人 | 4,200万円 | 5,800万円 | 813万3,000円 | 約271万円 |
| 配偶者+兄弟姉妹1人 | 4,200万円 | 5,800万円 | 837万5,000円 | 約251万円(2割加算後) |
| 配偶者のみ | 3,600万円 | 6,400万円 | 1,220万円 | 0円 |
表の見方:「実際の納付額」は法定相続分どおりに取得し、配偶者が税額軽減を適用した場合の合計です。分け方を変えると納付額も変わります。
重要ポイント:子の人数が増えるほど負担は軽くなります。子1人の385万円に対し、子4人なら225万円で160万円の差です。基礎控除が増えることに加え、1人あたりの取得金額が下がって税率も下がるためです。
計算ロジック:課税遺産総額5,200万円を法定相続分で按分し、配偶者2,600万円と子各1,300万円にそれぞれ税率15%を乗じて控除額50万円を引くと、340万円+145万円+145万円=630万円になります。
配偶者がいないと税額軽減が使えないため、相続税の総額がそのまま納付額になります。
| 相続人の構成 | 基礎控除 | 課税遺産総額 | 相続税の総額(=納付額) |
|---|---|---|---|
| 子1人のみ | 3,600万円 | 6,400万円 | 1,220万円 |
| 子2人のみ | 4,200万円 | 5,800万円 | 770万円 |
| 子3人のみ | 4,800万円 | 5,200万円 | 630万円 |
| 子4人のみ | 5,400万円 | 4,600万円 | 490万円 |
| 父母1人のみ | 3,600万円 | 6,400万円 | 1,220万円 |
| 兄弟姉妹1人のみ | 3,600万円 | 6,400万円 | 1,464万円(2割加算後) |
| 兄弟姉妹2人のみ | 4,200万円 | 5,800万円 | 924万円(2割加算後) |
| 兄弟姉妹3人のみ | 4,800万円 | 5,200万円 | 756万円(2割加算後) |
重要ポイント:兄弟姉妹1人のみが相続する1,464万円が、法定相続人がいるケースでは最も重くなります。子1人の1,220万円に2割を加算した金額です。
兄弟姉妹が相続人になる場合の2割加算の仕組みは、下記の記事で解説しています。

相続人が誰もいない場合でも、遺言で財産を遺贈すれば相続税がかかります。この場合が最も重くなります。
基礎控除は3,000万円+600万円×0人で3,000万円しかありません。しかも受遺者は配偶者・父母・子のいずれにも当たらないため2割加算の対象です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 遺産 | 1億円 |
| 基礎控除 | 3,000万円 |
| 課税遺産総額 | 7,000万円 |
| 2割加算前の相続税 | 1,400万円 |
| 納付額 | 1,680万円 |
注意:子や孫がいない方が友人や知人に遺贈するケースがこれに当たります。遺贈を受けた人が1,680万円を納めることになるため、受け取る側に納税資金があるかを事前に確認しておく必要があります。
ここまでの数値は次の前提で計算しています。前提から外れると税額は変わります。
注意:自宅の土地がある場合は小規模宅地等の特例で評価額が最大80%下がるため、実際の税額は早見表よりかなり低くなります。ただし1億円帯では0円までは下がりません。

早見表で目安をつかんだら、自分のケースで計算します。相続税は遺産額に直接税率を掛けても求まりません。基礎控除を引き、法定相続分で按分してから税率を適用します。
この章では配偶者と子2人のケースで4ステップをたどり、控除と加算の適用順序、そして集計時の注意点まで確認します。
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相続税の計算方法の詳しい手順は、下記の記事で解説しています。

STEP4で複数の控除や2割加算が絡むとき、適用する順序が決まっています。2割加算は税額控除より先です。
| 順序 | 処理 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 各人の税額を算出 | 相続税の総額×各人の課税価格÷課税価格の合計額 |
| 2 | 2割加算 | 配偶者・父母・子以外が取得した場合、税額控除を差し引く前の相続税額に20%を加算 |
| 3 | 贈与税額控除 | 加算対象期間内の贈与で納めた贈与税を控除 |
| 4 | 配偶者の税額軽減 | 1億6,000万円または法定相続分相当額まで |
| 5 | 未成年者控除 | 18歳までの年数×10万円 |
| 6 | 障害者控除 | 85歳までの年数×10万円(特別障害者は20万円) |
| 7 | 相次相続控除 | 10年以内に相次いで相続があった場合 |
| 8 | 外国税額控除 | 国外財産に外国の相続税が課された場合 |
重要ポイント:国税庁は「税額控除を差し引く前の相続税額に20%相当額を加算した後、税額控除額を差し引く」と定めています。順序を逆にすると税額を少なく計算してしまいます。
計算ロジック:孫が200万円の税額で未成年者控除40万円を使う場合、正しくは200万円×1.2=240万円から40万円を引いて200万円です。順序を逆にすると(200万円-40万円)×1.2=192万円となり、8万円少なく計算してしまいます。
1億円という金額は、集計を1つ誤ると税額が数十万円動きます。加える財産と差し引ける費用を確認します。
暦年贈与の加算対象期間を「相続開始前7年以内」と説明する資料が多くありますが、相続の時期によって異なります。
| 被相続人の相続開始日 | 加算対象期間 |
|---|---|
| 〜令和8年(2026年)12月31日 | 相続開始前3年以内 |
| 令和9年1月1日〜令和12年12月31日 | 令和6年1月1日から死亡の日までの間 |
| 令和13年1月1日〜 | 相続開始前7年以内 |
表の見方:7年という数字が完全に適用されるのは令和13年(2031年)1月1日以後の相続からです。2026年中の相続なら3年以内の贈与だけを加算します。
重要ポイント:相続人の数え方も結果を左右します。相続放棄をした人がいても基礎控除の計算では人数に含め、養子は実子がいれば1人まで、いなければ2人までしか含められません。
参照元:国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
法定相続人の数え方と範囲・順位は、下記の記事で解説しています。


遺産の総額が同じでも、中身によって税額はまったく変わります。現金だけなら630万円かかりますが、自宅の土地が財産の65%以上を占めていれば0円になります。
この章では4つの構成で税額を計算し、0円になる境界を式で示します。5,000万円帯とは必要な条件がまったく違う点が要点です。
【前提】
評価減を一切適用しない場合の相続税の総額は630万円です。ここを基準に4つの構成を比べます。
| 財産 | 評価減前 | 適用できる評価減 | 課税価格 |
|---|---|---|---|
| 現金・預貯金 | 1億円 | なし | 1億円 |
| 相続税の総額 | — | — | 630万円 |
重要ポイント:現金は残高がそのまま評価額になるため、税理士が入っても税額は動きません。この構成で下げられるのは生前対策だけです。
| 財産 | 評価減前 | 適用できる評価減 | 課税価格 |
|---|---|---|---|
| 自宅の土地 | 6,000万円 | 小規模宅地等の特例(80%減) | 1,200万円 |
| 自宅の建物 | 1,000万円 | なし | 1,000万円 |
| 預貯金 | 3,000万円 | なし | 3,000万円 |
| 合計 | 1億円 | — | 5,200万円 |
| 相続税の総額 | — | — | 40万円 |
計算ロジック:4,800万円の減額により課税価格は5,200万円。基礎控除4,800万円を引いた課税遺産総額400万円を法定相続分で按分し、配偶者200万円・子各100万円に税率10%を乗じて合計40万円です。
重要ポイント:630万円から40万円まで下がりましたが、0円には届いていません。あと400万円分の圧縮が必要です。
小規模宅地等の特例の要件と適用の判定は、下記の記事で解説しています。

| 財産 | 評価減前 | 適用できる評価減 | 課税価格 |
|---|---|---|---|
| 賃貸物件の土地 | 5,000万円 | 貸家建付地の評価(18%減) | 4,100万円 |
| 賃貸物件の建物 | 3,000万円 | 貸家の評価(借家権割合30%減) | 2,100万円 |
| 預貯金 | 2,000万円 | なし | 2,000万円 |
| 合計 | 1億円 | — | 8,200万円 |
| 相続税の総額 | — | — | 375万円 |
重要ポイント:賃貸不動産の評価減は18%と30%で、小規模宅地等の特例の80%に比べると幅が小さいものです。1,800万円しか圧縮できず、税額は375万円残ります。
| 財産 | 評価減前 | 適用できる評価減 | 課税価格 |
|---|---|---|---|
| 自宅の土地 | 6,500万円 | 小規模宅地等の特例(80%減) | 1,300万円 |
| 自宅の建物 | 1,000万円 | なし | 1,000万円 |
| 預貯金 | 2,500万円 | なし | 2,500万円 |
| 合計 | 1億円 | — | 4,800万円 |
| 相続税の総額 | — | — | 0円 |
計算ロジック:課税価格4,800万円は基礎控除4,800万円とちょうど同額です。課税遺産総額が0円になるため相続税もかかりません。
注意:この特例を使って0円になった場合でも申告書の提出は必要です。申告しなければ特例そのものが適用されず、630万円が課税されます。
4つのパターンを並べると、0円になるかどうかは自宅の土地が財産に占める割合で決まることが分かります。
| 自宅の土地 | 財産に占める割合 | 課税価格 | 相続税の総額 |
|---|---|---|---|
| 0円(現金のみ) | 0% | 1億円 | 630万円 |
| 5,000万円 | 50% | 6,000万円 | 120万円 |
| 6,000万円 | 60% | 5,200万円 | 40万円 |
| 6,400万円 | 64% | 4,880万円 | 8万円 |
| 6,500万円 | 65% | 4,800万円 | 0円 |
| 7,000万円 | 70% | 4,400万円 | 0円 |
計算ロジック:課税価格は「自宅の土地×0.2+(1億円-自宅の土地)」です。これが基礎控除4,800万円以下になる条件を解くと、自宅の土地が6,500万円以上という結果になります。
重要ポイント:同じ計算を遺産5,000万円で行うと、必要な自宅の土地はわずか250万円(財産の5%)です。5,000万円帯は自宅があればほぼ0円になるのに対し、1億円帯では自宅が財産の3分の2近くを占めていないと0円になりません。
| 遺産総額 | 0円にするために必要な自宅の土地 | 財産に占める割合 |
|---|---|---|
| 5,000万円 | 250万円以上 | 5% |
| 1億円 | 6,500万円以上 | 65% |
表の見方:いずれも相続人が配偶者と子2人(基礎控除4,800万円)の場合です。遺産が増えても基礎控除は変わらないため、0円にするためのハードルが一気に上がります。
遺産5,000万円のケースは、下記の記事で解説しています。


相続人が同じでも、配偶者がいくら取得するかで生涯の負担は変わります。一次相続だけを見れば配偶者に全額寄せるのが最良ですが、二次相続まで含めると最も高くなります。
この章では1億円という金額での最適値を数値で示します。二次相続そのものの仕組みは下記の記事で解説しているので、あわせて確認してください。

遺産1億円を配偶者と子2人で相続し、配偶者が取得した財産をそのまま残して亡くなったときに子2人が相続する前提で計算します。二次相続の基礎控除は相続人2人なので4,200万円です。
| 配偶者の取得額 | 一次相続の納付額 | 二次相続の相続税 | 一次+二次の合計 |
|---|---|---|---|
| 0円 | 630万円 | 0円 | 630万円 |
| 2,000万円 | 504万円 | 0円 | 504万円 |
| 3,000万円 | 441万円 | 0円 | 441万円 |
| 4,200万円 | 365万4,000円 | 0円 | 365万4,000円(最小) |
| 4,300万円 | 359万1,000円 | 10万円 | 369万1,000円 |
| 5,000万円(法定相続分) | 315万円 | 80万円 | 395万円 |
| 7,000万円 | 189万円 | 320万円 | 509万円 |
| 1億円(全額) | 0円 | 770万円 | 770万円(最大) |
表の見方:一次相続の納付額だけを見れば全額を配偶者に寄せるのが最良ですが、合計では最悪になります。最小と最大の差は404万6,000円です。
計算ロジック:一次相続の総額630万円を実際の取得割合で按分します。配偶者が4,200万円(42%)なら子の取得分は58%で、630万円×58%=365万4,000円。二次相続は配偶者の財産4,200万円が基礎控除と同額なので0円です。
合計が最も小さくなるのは、配偶者の取得額を二次相続の基礎控除4,200万円ちょうどに合わせたときです。法定相続分どおりの5,000万円より29万6,000円有利になります。
理由は限界税率の比較にあります。配偶者に1円多く渡すと、一次相続の税額は6.3%ずつ減ります。相続税の総額630万円を遺産1億円で割った割合です。
一方、配偶者の取得額が二次相続の基礎控除4,200万円を超えると、超えた分に最低でも10%の税率がかかります。減る6.3%より増える10%のほうが大きいため、4,200万円を超えると不利に転じます。
注意:4,200万円を100万円超えて4,300万円にするだけで、合計は365万4,000円から369万1,000円へ増えます。境界を越えた瞬間から二次相続で課税が始まるためです。
ここまでの試算は配偶者自身の財産がゼロという前提でした。実際には配偶者にも預貯金や不動産があることが多く、その分だけ二次相続の課税対象が増えます。
考え方は変わりません。配偶者の固有の財産と相続する財産の合計を、二次相続の基礎控除4,200万円に収めます。固有財産が多いほど、一次相続で取得すべき額は小さくなります。
| 配偶者の固有財産 | 最適な取得額 | 一次相続の納付額 | 二次相続 | 一次+二次の合計 |
|---|---|---|---|---|
| 0円 | 4,200万円 | 365万4,000円 | 0円 | 365万4,000円 |
| 1,000万円 | 3,200万円 | 428万4,000円 | 0円 | 428万4,000円 |
| 2,000万円 | 2,200万円 | 491万4,000円 | 0円 | 491万4,000円 |
| 3,000万円 | 1,200万円 | 554万4,000円 | 0円 | 554万4,000円 |
| 4,200万円以上 | 0円 | 630万円 | 固有財産が4,200万円を超えた分に課税 | 630万円〜 |
表の見方:「最適な取得額」は「4,200万円-配偶者の固有財産」です。固有財産が1,000万円なら3,200万円までにとどめると、二次相続で課税されずに済みます。
重要ポイント:配偶者の固有財産が4,200万円を超えている場合、一次相続で配偶者が何も取得しないほうが合計は小さくなります。ただし配偶者の生活資金が確保できるかを先に確認する必要があります。
注意:配偶者の固有財産には、これから受け取る死亡保険金や遺族年金の蓄積も含めて考えます。二次相続は10年後、20年後に起こることもあるため、その間に増減する見込みも織り込んで判断します。
【前提の確認】配偶者に固有の財産があるか
上の試算は、配偶者自身の財産がゼロで、相続した財産をそのまま残して亡くなる前提です。配偶者にもともと3,000万円あれば、最適な取得額はその分だけ小さくなります。
【判断1】一次の税額をゼロにすることを目標にしない
一次と二次を足した金額で比べます。配偶者に全額寄せると一次は0円ですが、合計は770万円で最も高くなります。
【判断2】二次相続の基礎控除から逆算する
配偶者の固有の財産と相続する財産の合計が、二次相続の基礎控除に収まる範囲を目安にします。子2人ならその金額は4,200万円です。
【判断3】配偶者の生活資金と住まいを優先する
1億円帯での差は最大404万6,000円です。金額としては小さくありませんが、配偶者が生活に困る配分にしてまで追う額ではありません。
重要ポイント:配偶者居住権を使えば、住まいを確保しながら取得する財産の額を抑えられます。生活と税額の両立を図る手段として検討する価値があります。

1億円帯では、税額が出てから「払えるか」が現実の問題になります。相続税は原則として申告期限までに現金で一括納付します。遺産の大半が不動産だと、数百万円の現金が手元にないという事態が起こります。この章では必要な現金を洗い出し、足りない場合の選択肢を整理します。
用意すべきなのは相続税だけではありません。手続き全体でかかる費用を並べます。
| 費目 | 目安 | 支払う時期 |
|---|---|---|
| 相続税 | 0〜1,680万円(配偶者+子2人なら315万円) | 相続開始から10か月以内 |
| 税理士報酬 | 50万〜100万円 | 申告前後 |
| 不動産の相続登記(登録免許税) | 固定資産税評価額の0.4% | 登記のとき |
| 司法書士報酬(登記を依頼する場合) | 5万〜15万円程度 | 登記のとき |
| 葬儀費用 | ケースによる | 相続開始直後 |
計算ロジック:自宅の固定資産税評価額が4,000万円なら登録免許税は4,000万円×0.4%=16万円です。相続税315万円のケースでも、報酬と登記費用を合わせると400万円前後の現金が必要になります。
重要ポイント:パターンB(自宅6,000万円+建物1,000万円+現金3,000万円)では、現金3,000万円のうち誰がいくら取得するかで納税できるかが決まります。遺産分割の段階で、誰がいくら納めるかも一緒に決めておく必要があります。
不足が起きやすいのは、遺産の大半が賃貸不動産で預貯金がわずかというケースです。実際に計算してみます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 賃貸物件の土地7,000万円(貸家建付地18%減) | 5,740万円 |
| 賃貸物件の建物2,800万円(貸家30%減) | 1,960万円 |
| 預貯金 | 200万円 |
| 課税価格の合計 | 7,900万円 |
| 相続税の総額 | 337万5,000円 |
| 税理士報酬 | 80万円 |
| 登録免許税(固定資産税評価額2,000万円×0.4%) | 8万円 |
| 必要な現金の合計 | 425万5,000円 |
| 手元の現金との差 | 225万5,000円の不足 |
表の見方:評価減が効いて課税価格は1億円から7,900万円に下がりましたが、評価が下がっても納めるのは現金です。手元の200万円では足りません。
重要ポイント:賃貸不動産は評価が下がる一方で、売って現金に換えるにも時間がかかります。入居者がいる物件は買い手が限られるため、申告期限の10か月では売り切れないことがあります。
現金が足りないときの手段は、税額の大きさによって現実性が変わります。1億円帯では延納が選択肢に入ってきます。
| 手段 | 内容 | 1億円帯での現実性 |
|---|---|---|
| 預貯金の仮払い制度 | 遺産分割前でも預貯金の一定額を単独で払い戻せる(1金融機関あたり150万円が上限) | ◎ ただし上限が低く、これだけでは足りない |
| 生命保険金を充てる | 受取人固有の財産なので分割協議を待たずに受け取れる | ◎ 契約があれば最も確実 |
| 不動産の売却 | 売却して納税資金を作る | ○ 申告期限までの時間を確保できれば有効 |
| 延納 | 年賦で分割納付する。相続税額10万円超・金銭で納付することが困難などの要件がある | △〜○ 税額が大きく担保も用意しやすいため、5,000万円帯より現実的 |
| 物納 | 相続財産そのもので納付する。延納でも困難な場合に限られる | △ 要件が厳しく、順位も定められている |
表の見方:遺産5,000万円の帯では税額が数十万円にとどまるため延納の要件を満たしにくいのですが、1億円帯では税額が数百万円になり、不動産を担保に提供できるため延納が使える場面が出てきます。
注意:延納には利子税がかかります。分割払いができる代わりに総負担は増えるため、売却や借入と比べてから選ぶ必要があります。
参照元:国税庁 No.4211 相続税の延納/国税庁 No.4214 相続税の物納
納税資金の問題は、相続が起きてからでは手が限られます。最も確実なのは生命保険です。
死亡保険金は受取人固有の財産なので、遺産分割協議がまとまっていなくても受け取れます。口座凍結の影響も受けません。
計算ロジック:相続人が3人なら非課税枠は500万円×3人=1,500万円です。現金1,500万円を保険に変えれば課税価格が1,500万円下がり、パターンBなら課税価格5,200万円が3,700万円となって相続税は0円になります。
参照元:国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
生命保険の非課税枠の使い方と契約形態ごとの注意点は、下記の記事で解説しています。


1億円帯では控除と特例の使い方で税額が数百万円変わります。ただし特例で0円になった場合は、申告しなければ特例そのものが使えません。この章では使える制度を一覧にしたうえで、申告が必要になるケースと期限を確認します。
| 制度 | 内容 | 1億円帯での効き方 |
|---|---|---|
| 配偶者の税額軽減 | 1億6,000万円または法定相続分相当額まで非課税 | 配偶者の取得分は実質0円。ただし二次相続に注意 |
| 小規模宅地等の特例 | 自宅の敷地330㎡まで評価額を80%減額 | 最も効果が大きい。自宅の土地が財産の65%以上なら0円も可能 |
| 生命保険金の非課税枠 | 500万円×法定相続人の数 | 相続人3人なら1,500万円を圧縮できる |
| 死亡退職金の非課税枠 | 500万円×法定相続人の数 | 保険と併用できる |
| 未成年者控除 | 18歳までの年数×10万円 | 子が未成年なら数十万円の控除 |
| 障害者控除 | 85歳までの年数×10万円(特別障害者は20万円) | 40歳の相続人なら450万円で、税額を0円にできる場合がある |
| 相次相続控除 | 10年以内に相次いで相続があった場合 | 二次相続で効く |
重要ポイント:1億円帯で結果を大きく動かすのは小規模宅地等の特例です。最大4,800万円以上の圧縮ができ、他の制度とは桁が違います。
配偶者の税額軽減でいくら減らせるかは、下記の記事で解説しています。

| 使った制度 | 申告 |
|---|---|
| 配偶者の税額軽減 | 必要 |
| 小規模宅地等の特例 | 必要 |
| 農地等の納税猶予の特例 | 必要 |
| 特定計画山林の特例 | 必要 |
| 相続財産を公益法人などに寄付した場合の非課税の特例 | 必要 |
| 基礎控除以下で0円 | 原則不要 |
| 生命保険金の非課税枠で0円 | 原則不要 |
重要ポイント:パターンDで0円になったのは小規模宅地等の特例を使ったからです。申告しなければ630万円が課税されます。1億円帯では申告漏れの代償が大きくなります。
申告が必要ないケースの判定手順は、下記の記事で解説しています。

申告と納付の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。遺産分割が終わっていなくても期限は延びません。
注意:期限までに分割が決まらない場合は、いったん法定相続分で申告しておきます。「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておけば、後で分割がまとまったときに配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用できます。提出を忘れると特例が使えなくなります。
参照元:国税庁 No.4208 相続財産が分割されていないときの申告

1億円帯は対策の効果が金額として見えやすい水準です。生命保険の非課税枠を使い切るだけで217万5,000円下がります。一方で、直前に始めても効かない対策や、近く規制が入る手法もあります。この章では効果を金額で示したうえで、効くものと効かないものを分けます。
現金1億円(配偶者と子2人・相続税の総額630万円)を基準に、対策ごとの効果を計算しました。
| 対策 | 仕組み | 対策後の税額 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 生命保険の非課税枠を使い切る | 現金1,500万円を保険に変える(500万円×3人) | 412万5,000円 | ▲217万5,000円 |
| 養子を1人迎える | 基礎控除が600万円増え、非課税枠も500万円増える | 525万円 | ▲105万円 |
| 両方を実行する | 保険2,000万円(500万円×4人)+養子1人 | 275万円 | ▲355万円 |
| 自宅を小規模宅地等の特例が使える状態にする | 同居や家なき子の要件を満たしておく | ケースによる | 最大4,800万円以上の圧縮 |
表の見方:いずれも遺産1億円・配偶者と子2人が前提です。養子を迎えると相続人が4人になるため、生命保険の非課税枠も2,000万円に増えます。
計算ロジック:生命保険の非課税枠は500万円×法定相続人の数です。現金1,500万円を保険に変えると課税価格が1億円から8,500万円に下がり、課税遺産総額3,700万円に対する相続税の総額は412万5,000円になります。
重要ポイント:自宅がある構成なら効果はさらに大きくなります。パターンB(税額40万円)で現金1,500万円を保険に変えると、課税価格が3,700万円に下がって0円になります。
参照元:国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
【直前に始めても効かない・リスクがある対策】
注意:賃貸不動産を買って評価を下げる手法は、令和9年(2027年)1月1日以後の相続から、課税時期前5年以内に対価を伴う取引で取得したものは通常の取引価額で評価されます。取得から5年を超えて生存していなければ、パターンCのような評価減は使えません。
財産評価を下げる手法が今も使えるかどうかの線引きは、下記の記事で解説しています。

対策によって効果が出るまでの時間が違います。相続が近い段階で始めても間に合わないものがあります。
| 対策 | 効果が出るまでの期間 | 根拠 |
|---|---|---|
| 生命保険の非課税枠 | 契約後すぐ | 500万円×法定相続人の数 |
| 小規模宅地等の特例 | 相続後の申告で適用可能 | 申告期限までに要件を満たして選択すればよい |
| 賃貸不動産の取得による評価減 | 5年超 | 課税時期前5年以内の取得は通常の取引価額で評価(2027年以降) |
| 暦年贈与による圧縮 | 加算対象期間を超えてから | 令和8年12月31日以前の相続なら3年、令和13年以後は7年 |
| 養子縁組 | 縁組後すぐ | 基礎控除と非課税枠が増える |
重要ポイント:相続が既に発生している場合、使えるのは小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減、そして分け方の設計だけです。生前対策の選択肢はすべて消えています。
いつから何を始めるべきかの判定と、節税手段の全体像は、下記の記事で解説しています。


1億円帯は税額が数百万円になるため、判断を1つ誤ると損失も大きくなります。実際に起きやすい失敗は、この記事で扱った論点にそのまま対応しています。この章では3つの事例と対策を示し、最後に確認項目をまとめます。
【状況】
父が亡くなり、遺産1億円を「とりあえず母が全部相続する」と決めました。配偶者の税額軽減により一次相続の相続税は0円で済みました。
【結果】
10年後に母が亡くなり、子2人が1億円を相続。二次相続では税額軽減が使えず基礎控除も4,200万円に下がるため、相続税は770万円になりました。
対策:一次相続の税額をゼロにすることを目標にせず、一次と二次の合計で判断します。配偶者の取得額を二次相続の基礎控除4,200万円に合わせていれば、合計は365万4,000円で済みました。差は404万6,000円です。
【状況】
子や孫の名義で作った口座に、父が長年入金していました。名義が違うので相続財産ではないと考えて申告から外しました。
【結果】
通帳と印鑑を父が管理し、名義人が自由に出し入れできない状態だったため、実質的に父の財産と判定されました。申告漏れとして追徴課税を受けました。
対策:名義ではなく管理の実態で判定されます。通帳・印鑑の保管者、入金の原資、名義人が贈与を認識していたかを確認します。
名義預金の判定基準と対策は、下記の記事で解説しています。

【状況】
自宅の土地を路線価にそのまま面積を掛けて評価し、申告しました。現地は見ていません。
【結果】
形がいびつで間口が狭い土地でしたが、不整形地補正も間口狭小補正も適用していませんでした。評価額が下がらず、基礎控除を超えたまま課税されました。
対策:現地調査と役所調査を工程に入れます。1億円帯では土地の評価が数百万円の差になります。申告後でも、法定申告期限から5年以内なら更正の請求で取り戻せます。
土地の評価額の計算方法と減額補正は、下記の記事で解説しています。

【状況】
遺産1億円のうち9,000万円が不動産、預貯金は1,000万円でした。相続税は315万円と算定されましたが、預貯金は長男が取得し、不動産を取得した次男の手元に現金がありませんでした。
【結果】
申告期限が迫ってから売却を決めたため、買い手と交渉する時間がなく、相場より低い価格で手放すことになりました。税額を上回る損失が出ました。
対策:遺産分割の段階で、誰がいくら納めるかを一緒に決めます。不動産を取得する人に現金が回るよう配分するか、代償分割で調整します。売却が避けられないなら、申告期限の10か月から逆算して早めに動きます。
重要ポイント:この8項目のうち、相続が起きた後でも間に合うのは6項目です。生前でなければできないのは納税資金の準備と生前対策だけで、残りは申告の段階で取り返せます。

1億円帯では、税理士の判断ひとつで税額が数百万円変わります。小規模宅地等の特例を適用できるかどうかだけで630万円が0円になり得ます。
しかも報酬は事務所によって2倍以上の開きがあり、1社だけでは比較のしようがありません。この章では複数の税理士に一括で相談する意味と手順を整理します。
相続税の申告は、税理士なら誰でも同じ結果になる手続きではありません。1億円帯は税額が数百万円あるため、判断の差がそのまま金額の差になります。
【実績がある税理士が必要な理由】
具体例で見ます。自宅の土地6,500万円・建物1,000万円・預貯金2,500万円を配偶者と子2人が相続するケースで、A税理士は小規模宅地等の特例を使わずに申告し、相続税の総額を630万円と算定しました。
B税理士は要件を確認したうえで特例を適用し、課税価格を4,800万円まで下げて0円としました。同じ財産で630万円の差です。報酬を80万円としても550万円が手元に残ります。
計算ロジック:基礎控除は4,800万円。特例なしなら課税価格1億円で課税遺産総額5,200万円、相続税の総額630万円。特例ありなら土地が1,300万円に下がって課税価格4,800万円となり、基礎控除と同額なので0円です。
見積りと初回相談の内容から、実務力は具体的に読み取れます。次の3点を同じ質問で比べます。
判定ポイント1:土地の評価をどう進めるか説明できるか/現地調査と役所調査を工程に入れているか、検討する補正を具体的に挙げられるかを確認します。
→ 工程に明記している事務所のほうが、評価額を下げる余地を取りこぼしにくいと判定できます。
判定ポイント2:二次相続まで含めた提案があるか/「配偶者の税額軽減を使えば0円です」で終わる事務所と、「二次相続まで含めると配偶者の取得額は◯◯万円が最小です」と示す事務所があります。
→ 後者のほうが生涯の負担で設計できていると判定できます。
判定ポイント3:見積りに加算条件が明示されているか/基本報酬だけを出す事務所と、土地の筆数・相続人の人数・書面添付の有無まで加算条件を書く事務所があります。
→ 先に示す事務所のほうが、後から総額が膨らむ心配が少ないと判定できます。
この3点は複数の事務所に同じ質問をすれば必ず差が出ます。1社だけでは、その回答が標準なのか判断できません。
【相談しないまま進めるリスク】
申告期限から5年以内なら更正の請求で取り戻せる場合もありますが、そもそも見落としに気づかなければ請求もできません。
税理士費用の相場と見積書の見方は、下記の記事で解説しています。

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法定相続人がいる場合の最大は、兄弟姉妹1人が相続するケースの1,464万円です。子1人のみなら1,220万円で、2割加算がない分だけ軽くなります。
最も重いのは法定相続人が1人もおらず、遺言で第三者に遺贈するケースです。基礎控除が3,000万円しかなく2割加算もあるため1,680万円になります。「最大2,300万円」と書かれた資料がありますが、基礎控除を引き忘れた数字です。
あります。配偶者が全額を取得すれば税額軽減により一次相続は0円です。また自宅の土地に小規模宅地等の特例を適用できる場合も0円になり得ます。
配偶者と子2人のケースでは、自宅の土地が6,500万円以上(財産の65%以上)を占めていれば課税価格が基礎控除4,800万円以下になり0円です。ただしいずれの場合も申告書の提出が必要で、申告しなければ特例は使えません。
一次相続は0円になりますが、二次相続まで含めると最も高くなります。配偶者が亡くなったときは税額軽減が使えず、相続人も減って基礎控除が小さくなるためです。
遺産1億円を配偶者が全額取得して子2人が二次相続すると合計770万円です。配偶者の取得額を二次相続の基礎控除4,200万円に合わせれば合計365万4,000円で済み、404万6,000円の差になります。
まず預貯金の仮払い制度と生命保険金を確認します。仮払いは1金融機関あたり150万円が上限ですが、遺産分割前でも引き出せます。生命保険金は受取人固有の財産なので分割協議を待たずに受け取れます。
それでも足りない場合は不動産の売却か延納を検討します。1億円帯は税額が数百万円になり不動産を担保に提供できるため、5,000万円帯より延納が使える場面があります。ただし利子税がかかるので、売却と比べてから選んでください。
相続税を0円にするための条件が大きく違います。5,000万円なら自宅の土地が250万円(財産の5%)あれば0円になりますが、1億円では6,500万円(財産の65%)が必要です。
また5,000万円帯は税額が最大160万円で税理士報酬と同水準になりますが、1億円帯は税額が数百万円になるため報酬の比重は小さくなります。納税資金の確保も1億円帯のほうが現実的な課題になります。
遺産1億円の相続税は、相続人の構成で0円から1,680万円まで開きます。同じ家族構成でも、財産の中身と分け方で結果は大きく変わります。
鍵は2つです。自宅の土地が財産のどれだけを占めるかと、配偶者にいくら渡すかです。前者は課税されるかどうかを決め、後者は生涯の負担額を決めます。
この記事で扱った内容を整理すると次のとおりです。
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年8月時点の法令等に基づいています。相続税法の改正により取扱いが変更される場合があります。最新の制度については国税庁のウェブサイトまたは相続税の対応実績がある税理士にご確認ください。