相続税に強い税理士の探し方と選び方|失敗しない8つのポイント

相続税申告_税理士_選び方

相続税に強い税理士とは、相続税の申告を数多く手がけ、土地の評価や特例の判断に慣れている税理士のことです。

税理士には専門分野があり、法人税が中心の税理士と相続税を多く扱う税理士では、同じ財産でも申告する税額が変わることがあります。

相続税の申告の対象になった被相続人は令和6年分で166,730人、税理士の登録者は82,343人です。単純に割ると、税理士1人あたり年に約2件しか経験していません。

つまり「税理士なら誰でも相続税に詳しい」という前提は成り立ちません。

ただ、選び方の情報は税理士事務所自身が発信しているものが多く、自社に有利な基準が並びがちです。候補の事務所が本当に信頼できるかを、自分で確かめる方法はほとんど書かれていません。

本記事では、見極める8つのポイント、探し方7つ、候補の税理士を公的な情報で確かめる方法、遺産のタイプ別の選び方、面談で聞く質問と避けるべきサインを解説します。

▼ この記事の3行まとめ

  • 税理士1人あたりの相続税の申告は年約2件。相談件数ではなく「申告件数÷税理士の人数」で経験を測る
  • 候補の登録は日税連の検索サイト、懲戒処分の有無は国税庁の公告で、誰でも無料で確かめられる
  • 遺産のタイプで選ぶ税理士は変わる。面談では6つの質問をぶつけ、危険サインが出たら比べ直す
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なぜ税理士選びで相続税額が変わるのか|1人あたり年約2件の現実

同じ財産でも、依頼する税理士によって申告する相続税額は変わります。原因は、税理士ごとの相続税の経験量の差です。まずその実態を数字で押さえます。

税理士1人あたりの相続税の申告は年約2件

相続税の申告は令和6年分で166,730人分あり、税理士の登録者は82,343人(令和8年8月末日現在)です。単純に割ると、税理士1人あたり年約2件になります。

年分 申告書の提出に係る被相続人の数 税理士1人あたり
令和2年分 120,372人 1.46件
令和3年分 134,275人 1.63件
令和4年分 150,858人 1.83件
令和5年分 155,740人 1.89件
令和6年分 166,730人 2.02件

表の見方:1人あたりの件数は年々増えていますが、それでも年2件ほどです。実際には相続税を多く扱う事務所に案件が集まるため、一度も経験がない税理士も少なくありません。

計算ロジック:分子は国税庁「相続税の申告事績の概要」の申告書提出に係る被相続人の数です。分母は日本税理士会連合会の税理士登録者数82,343人で、件数の増加だけを見るため全年分で共通にしています。

税理士の主な業務は、法人の顧問や決算、所得税の確定申告です。相続税は「たまに来る仕事」という事務所が多く、医師に内科と外科があるのと同じで、分野ごとの経験の差が大きい仕事です。

参照元:国税庁 令和6年分 相続税の申告事績の概要

参照元:日本税理士会連合会 税理士登録者数

一方で、相続税の申告はほとんどの家庭が税理士に頼んでいます。財務省の「令和6事務年度 国税庁実績評価書」によると、相続税の申告書の86.5%に税理士が関与しています(令和6年度)。所得税の20.4%と比べると、際立って高い割合です。

税目 税理士が関与した申告の割合(令和6年度)
相続税 86.5%
法人税 89.8%
所得税 20.4%

重要ポイント:相続税の申告は、ほとんどの家庭が税理士に頼んでいます。頼むかどうかより、どの税理士に頼むかで結果が分かれると考えてください。

一方で、1人あたりの経験は年約2件です。多くの家庭が頼む一方で、頼まれる側の経験は事務所によって大きく違う。この組み合わせが、税理士選びで差が出る理由です。

参照元:財務省 令和6事務年度 国税庁実績評価書

土地の評価と特例の判断で数百万円の差がつく

差が最も出るのは土地の評価です。相続税の土地の評価には多くの減額の要素があり、現地と役所を調べないと分からない要素がいくつもあります。

減額の要素 必要な調査 見落としたときの影響
形がいびつ・間口が狭い 現地の確認と図面の確認 形による減額(不整形地補正)を使えない
道幅4m未満で道路に下がる部分がある 役所での道路の種類の確認 下がる部分の7割減を逃す
都市計画道路の予定地に入っている 役所での都市計画の確認 建築制限に応じた減額を逃す
高低差・がけ地がある 現地での高低差の確認 がけ地の減額を使えない
三大都市圏で500平方メートル以上 地区区分と容積率の確認 広い土地の評価(地積規模の大きな宅地)を逃す

表の見方:黄色の行は、役所に行かないと分からない減額の要素です。資料だけで評価する事務所では、この調査が行われません。

計算ロジック:評価額5,000万円の土地で20%の減額を拾えた場合、課税価格は1,000万円下がります。その部分にかかる税率が20%なら、税額の差は200万円です。

特例の判断でも差が出ます。自宅の土地の評価を最大80%下げる小規模宅地等の特例は、どの土地に使うか、誰が相続するかで結果が変わり、申告書に書き忘れると原則として後から追加できません。

相続税に強い税理士を見極める8つのポイント

ここからが本題です。公開情報か面談で、どの事務所にも同じように確かめられる8つのポイントに絞りました。すべてを満たす必要はなく、自分の財産に応じて重視する点が変わります。

①相談件数ではなく申告件数を聞き、1人あたりに直す

まず確かめるのは実績の数字です。相談件数は問い合わせの数で、申告まで手がけた件数ではありません。見るべきは申告件数です。

さらに精度を上げるには、事務所全体の申告件数を所属する税理士の人数で割ります。「年間300件」でも税理士が50人いれば1人あたり6件、「年間80件」で税理士2人なら1人あたり40件です。

事務所 年間申告件数 税理士の数 1人あたり 見方
A事務所 300件 50人 6件 総数は多いが1人あたりは平均の3倍程度
B事務所 80件 2人 40件 1人あたりの経験がとても多い
C事務所 30件 10人 3件 全国平均(約2件)に近い

重要ポイント:総数が少なくても、1人あたりでは経験が多い事務所があります。所属する税理士の人数は、このあと紹介する日本税理士会連合会の検索サイトで確かめられます。

②担当者が税理士本人か

見落としやすいのが担当者の資格です。初回の面談に出てくるのが税理士本人か、実務を担当するのは誰かを確かめてください。

面談は税理士でも、実際の作業は資格のない職員が担当する体制もあります。税務署とのやり取りや、書面添付を使った場合の意見の聴取には、税理士が対応する必要があります。

確認は簡単で、名刺に「税理士」と登録番号の記載があるかを見るだけです。あわせて「私の申告を担当するのはどなたですか」と聞いておきましょう。

職員が作業を分担すること自体は、大きな事務所では普通です。大切なのは、評価や特例の判断を税理士が確かめ、最終的に責任を持つ体制になっているかです。「作成した申告書は、どの税理士が確認しますか」と聞くと体制が分かります。

③土地を現地と役所で調べるか

不動産がある相続では、このポイントが最も税額に影響します。現地と役所を調べない事務所では、減額の要素を拾えません。

道路に下がる部分や都市計画道路は、役所でしか確かめられません。高低差や周辺の環境は、現地に行かないと分かりません。

面談では「土地の評価はどう進めますか」と聞いてください。答えに現地の確認と役所の調査が入っているかで判断できます。遠方の土地なら、何で代わりにするか(写真・地元の業者への照会など)も聞いておきます。

参照元:国税庁 No.4602 土地家屋の評価

④書面添付を使うか|全国平均の24.6%を目安にする

書面添付とは、税理士が「どこをどう確かめて申告書を作ったか」を書いた書面を申告書に付ける制度です(税理士法33条の2)。相続税の申告で書面添付がある割合は、全国で24.6%です(令和6年度)。

書面が付いていると、税務署は調査の前にまず税理士から意見を聴く手続きを取ります。依頼者に連絡が来る前に、税理士が説明する機会があるのが利点です。

年度 令和2 令和3 令和4 令和5 令和6
相続税の書面添付の割合 22.2% 23.1% 23.4% 24.3% 24.6%

表の見方:税理士が関与した相続税の申告のうち、書面添付があったものの割合です。4件に1件ほどしか使われていないため、「原則として全件に付ける」と答える事務所は少数派です。

重要ポイント:面談では「書面添付は使いますか。基本報酬に含まれますか」と聞いてください。使う方針と費用の扱いを即答できるかが見分けどころです。

書面添付の仕組みと費用、意見聴取の流れは、下記の記事で詳しく解説しています。

参照元:財務省 令和6事務年度 国税庁実績評価書

⑤次の相続まで見た分け方を出すか

父が亡くなったときの相続では、配偶者の税額軽減で相続税を0円にできることがあります。しかし母に多く寄せるほど、母が亡くなったときの相続税が重くなります。

次の相続(二次相続)では配偶者の税額軽減が使えず、相続人が1人減るため基礎控除も600万円下がります。今回と次の相続の合計で比べないと、家族全体で最も少ない分け方は決まりません。

面談では「次の相続まで含めた分け方の試算を出してもらえますか」と聞いてください。今回の税額だけの試算しか出さない事務所は、提案の範囲が狭いと考えられます。

配偶者にいくら渡すと家族全体の税額が最も少ないかは、下記の記事で解説しています。

⑥料金体系が明確か|成功報酬型の注意点

報酬の目安は遺産総額の0.5〜1%程度です。金額そのものより、加算の条件が数字で書かれているかが判断の材料になります。

土地1か所あたりの単価、相続人が増えたときの加算、書面添付の扱いが書かれていれば、総額が読めます。「別途見積り」が多い見積書は、あとから膨らみやすくなります。

「節税できた額の○%」のような成功報酬の記載がある場合は、計算の基礎と上限を必ず確かめてください。基本報酬を大きく上回る請求になることがあります。安すぎる報酬も、現地の調査や特例の比較が省かれていないかを確かめましょう。

報酬の相場と見積書の見方は、下記の記事で解説しています。

⑦ほかの専門家と連携しているか

相続では税金以外の手続きも発生します。相続登記は司法書士、遺産分割の争いは弁護士の領域です。連携している事務所なら、窓口が1つで済みます。

ただし「連携しています」と書いてあっても、実際は紹介するだけで、依頼者が自分で連絡する形の場合もあります。どこまで一緒に進めてくれるのかを確かめてください。

面談では「相続登記は誰が手配しますか。書類は税理士の事務所から司法書士に渡してもらえますか」と具体的に聞くと、連携の中身が分かります。戸籍などの書類を一度集めれば、相続税の申告と登記の両方に使えるため、窓口が1つだと集め直しの手間が減ります。

司法書士と税理士のどちらに先に相談するかは、下記の記事で解説しています。

⑧説明が分かりやすく、答えが具体的か

専門性と同じくらい大切なのが説明の分かりやすさです。相続税の申告は数か月かかり、財産や家族のことを何度も話し合います。専門用語をかみ砕いて説明してくれるかを見てください。

連絡の返しが早いかも大切です。申告期限は10か月と決まっており、やり取りの速さがそのまま進み具合に影響します。

質問に「後日調べてご連絡します」が何度も続くなら、その分野の経験が少ない可能性があります。制度の説明や進め方をその場で話せるかどうかで判断しましょう。

8つのポイントのチェックリスト

面談の前後で使えるチェックリストにまとめました。公開情報で確かめられるのは①⑥⑦、面談で確かめるのは②③④⑤⑧です。

  • □ ①申告件数を数字で公開しており、1人あたりに直すと全国平均(約2件)を大きく上回る
  • □ ②初回の面談に税理士本人が出て、実務の担当者も分かった
  • □ ③土地の現地と役所の調査を行うと明言した
  • □ ④書面添付を使う方針と、費用の扱いを確認できた
  • □ ⑤次の相続まで含めた分け方の試算を提案された
  • □ ⑥加算の条件が数字で書かれた見積書をもらえた
  • □ ⑦司法書士・弁護士との連携の範囲を確認できた
  • □ ⑧質問にその場で具体的に答えてくれた

重要ポイント:8つすべてを満たす必要はありません。不動産があるなら③、自社株があるなら①の実績の中身、もめているなら⑦を重く見てください。

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相続税に強い税理士の探し方7つ|メリットとデメリット

見極めるポイントが分かったら、次は候補を集める段階です。1つの方法に絞らず、2〜3の方法を組み合わせるのが現実的です。

探し方7つの比較表

精度が高い方法ほど、条件や手間が必要になる関係にあります。候補を集める方法と、人柄を見る方法を組み合わせるのがおすすめです。

探し方 メリット デメリット 向く人
紹介(知人・ほかの専門家) 対応の質を前もって聞ける 紹介者の状況が自分と違うことがある 身近に相続を経験した人がいる
インターネット検索 候補を多く集めて比べられる 誇大な表記を見極める必要がある 自分で判断材料を集められる
税理士会・市区町村の相談会 無料で税理士に相談できる 短時間で一般論にとどまりやすい まず方向性を知りたい
金融機関からの紹介 一定の実績がある事務所が多い 中間の費用と提案の偏りが出やすい 取引のある銀行に相談したい
一括見積り・紹介サービス 条件をそろえて複数を比べられる 絞り込む手間は自分に残る 報酬と提案を横並びで見たい
セミナー 人柄と説明の分かりやすさが分かる その場で契約を勧められることがある 相性を先に見たい
事務所を直接訪ねる 雰囲気と対応が分かる 時間と手間がかかる 近くで探したい

表の見方:黄色の行の紹介が最も精度が高い方法です。ネットや一括見積りで候補を集め、面談やセミナーで見極める流れにすると、精度と数の両方を取れます。

知人の紹介|精度は高いが、紹介者の相続の経験しだい

相続を経験した知人からの紹介は、公開情報では分からない対応の質を前もって聞けます。ただし紹介者の相続と自分の相続が同じとは限りません。

不動産が多い人の紹介が、預貯金中心の自分に合うとは限りません。紹介を受けたら、紹介者に次のことを聞いて、自分の財産と近いかを確かめてください。

  • どんな財産の相続だったか(土地・自社株・預貯金など)
  • 担当したのは税理士本人だったか
  • 分け方の提案や、次の相続の試算はあったか
  • 報酬は見積りどおりだったか
  • 税務調査があったか、そのときの対応はどうだったか

司法書士や弁護士などからの紹介も有力です。実務で一緒に仕事をした相手を紹介するため、質がある程度保たれています。

インターネット・口コミ|見るべき情報と口コミの読み方

候補を集めるには最も効率的な方法です。見るべきは、申告件数・所属の税理士の数・料金表が数字で載っているかです。

ホームページで見ること 信頼できる書き方 注意したい書き方
実績 年間の申告件数を数字で載せている 「相談実績○万件」だけ
体制 所属の税理士の名前と人数を載せている 屋号だけで法人名や代表者が見当たらない
料金 基本報酬と加算の単価を載せている 「お見積りします」だけ
専門分野 相続税の記事や事例が具体的 別のサイトで違う専門を掲げている

口コミは、相性や一度きりの出来事で評価が大きく振れます。星の数より「何を頼み、何が良かったか・悪かったか」が具体的に書かれているかを見てください。具体的な悪い口コミが繰り返し出ている点だけは、面談で確かめる価値があります。

税理士会・金融機関・セミナー経由

各地の税理士会や市区町村の無料相談会では、税理士に直接質問できます。ただし30分前後で担当を選べず、依頼先を決める場には向きません。

銀行や信託銀行に相談すると、提携の税理士を紹介してもらえます。取引のある金融機関なら相談しやすい一方、紹介の手数料が上乗せされたり、金融商品に寄った提案になったりすることがあります。

セミナーは説明の分かりやすさと人柄を見られる場です。その場で契約を強く勧められたら、持ち帰ってほかの候補と比べてください。

無料で使える相談窓口の違いと使い分けは、下記の記事で解説しています。

一括見積り・紹介サービス

複数の事務所へ、同じ条件で一度に相談や見積りを頼めるサービスです。条件をそろえて比べられるため、報酬と提案を横並びで見られます。

自分で1つずつ問い合わせると、伝える情報がぶれて比べにくくなります。同じ内容を同時に伝えられるのが最大の利点です。届いた提案から絞り込む作業は、8つのポイントを使って自分で行います。

そろえて伝える情報 見積りの何に効くか
相続が始まった日(亡くなった日) 期限までの残り=割増の有無
相続人の人数と続柄 基礎控除と相続人の数による加算
財産の概算と種類 基本報酬の区分
土地の数と所在地 土地の評価の加算
自社株・海外資産の有無 難しい財産の評価の加算

重要ポイント:すべての事務所に同じ情報を伝えないと、届いた見積りを比べられません。特に土地の数は加算に直結するため、分かる範囲で必ず書いてください。

税理士法人と個人事務所の違い

候補を並べると、大きな税理士法人と個人の事務所が混ざります。どちらが良いかではなく、自分の相続に合うかで選びます。

比べる点 大きな税理士法人 個人の事務所
経験の積み上げ 事務所全体の件数は多い。担当者ごとの差は聞いて確かめる 所長の経験がそのまま質になる
担当 担当者が替わることがある 所長が最後まで担当することが多い
難しい財産への対応 自社株・海外資産など専門の部署がある場合がある 得意分野以外は外部と連携する
報酬 料金表が整っていることが多い 柔軟に相談できることがある

重要ポイント:どちらでも、担当する税理士本人の経験を聞くことが大切です。税理士法人では「担当者の方は年に何件くらい相続税を扱いますか」と聞いてみてください。

候補の税理士を自分で確かめる方法|登録・処分歴・実績

候補が決まったら、面談の前に公的な情報で確かめておきます。税理士として登録されているか、処分を受けていないかは、誰でも無料で調べられます。

税理士として登録されているか|日税連の税理士情報検索サイト

税理士は、日本税理士会連合会の名簿に登録しなければ仕事ができません。日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」で、名前や事務所の所在地から登録を確かめられます。

検索すると、登録番号・所属する税理士会・事務所の所在地が分かります。事務所名で検索すれば、その事務所に所属する税理士の人数も確かめられます。

  • 手順1:日本税理士会連合会のサイトから「税理士情報検索サイト」を開く
  • 手順2:税理士の名前、または事務所名・所在地を入れて検索する
  • 手順3:名刺やホームページの登録番号・事務所の所在地と一致するかを見る
  • 手順4:事務所名で検索し、所属する税理士の人数を数える

ホームページに載っている税理士の名前で検索して見つからない場合は、名前の表記や所属を面談で確かめてください。国税庁の「税理士をお探しの方へ」のページからも、この検索サイトに進めます。

参照元:国税庁 税理士をお探しの方へ

懲戒処分を受けていないか|国税庁の公告で確かめる

税理士法に違反した税理士は、財務大臣から戒告・業務の停止・業務の禁止といった懲戒処分を受けます。処分を受けた税理士の名前・登録番号・事務所・処分の内容は、国税庁のサイトで公告されています。

令和6年4月1日以後の処分は「懲戒処分等の公告」のページに、それより前の処分は官報に載った情報の一覧に、五十音順で掲載されています。候補の税理士の名前がないかを確かめておくと安心です。

処分の種類 内容
戒告 注意を受ける処分。税理士の仕事は続けられる
業務の停止 2年以内の期間、税理士の仕事ができない
業務の禁止 税理士の仕事ができなくなり、登録も抹消される

表の見方:処分は重い順に下へ並んでいます(税理士法44条)。公告のページでは、処分の日付と期間も一緒に確かめられます。

業務の停止の期間中は、その税理士は税理士の仕事ができません。処分の理由には脱税への加担や名義貸しなどがあり、相続税の実力とは別の話ですが、信頼して財産を預けられるかを判断する材料になります。

参照元:国税庁 税理士・税理士法人に対する懲戒処分等の公告

申告件数と所属の税理士の数|1人あたりに直して比べる

事務所が公表している申告件数と、検索サイトで確かめた税理士の人数を並べれば、1人あたりの経験を自分で計算できます。

確かめる数字 調べ方 例
年間の相続税の申告件数 事務所のホームページ・面談で聞く 年間120件
所属の税理士の人数 日税連の税理士情報検索サイトで事務所名を検索 6人
1人あたりの件数 件数÷人数 20件(全国平均の約10倍)

表の見方:例の事務所は1人あたり年20件で、全国平均の約2件の10倍です。公表の件数が「相談件数」なのか「申告件数」なのかは、面談で必ず確かめてください。

計算ロジック:全国平均は、申告の対象になった被相続人166,730人(令和6年分)を税理士登録者82,343人で割った約2.0件です。1人あたりで平均の数倍あれば、相続税を日常的に扱っていると考えられます。

確かめる項目の早見表

面談の前に、次の5つを確かめておきましょう。上の3つは公的な情報で、下の2つは面談で確かめます。

項目 どこで確かめるか 見るポイント
税理士として登録されているか 日税連の税理士情報検索サイト 名前・登録番号・事務所が一致するか
懲戒処分を受けていないか 国税庁の懲戒処分等の公告 名前が掲載されていないか
所属の税理士の人数 日税連の税理士情報検索サイト 申告件数と割って1人あたりを出す
申告件数(相談件数ではなく) 面談で聞く 数字で即答できるか
書面添付を使う方針 面談で聞く 全国平均24.6%より積極的に使うか

重要ポイント:これらは、どの事務所にも同じ条件で当てられる客観的な物差しです。面談の印象だけで決めず、数字と公的な情報で候補を比べてから依頼先を決めてください。

遺産のタイプ別|自分に合う税理士はどのタイプか

相続税を多く扱う税理士でも、得意分野は分かれます。土地の評価に強い税理士と、事業承継に詳しい税理士は別のタイプです。自分の財産に合うタイプを選ばないと、8つのポイントを満たしていても効果が出にくくなります。

タイプ別の早見表

自分の財産に近い行を探してください。複数に当てはまる場合は、金額が大きい財産のタイプを優先します。

あなたの財産 選ぶべき税理士 面談で確かめる質問
A:不動産が多い 土地の評価に強い税理士 現地と役所の調査は行いますか。不動産鑑定士と連携できますか
B:自社株(非上場株式)がある 事業承継に詳しい税理士 非上場株式の評価は年に何件扱いますか。納税猶予の実績はありますか
C:預貯金中心・基礎控除ぎりぎり 費用対効果を重視できる税理士 この財産で必要な作業はどこまでですか
D:相続人が多い・もめている 弁護士と連携できる税理士 分け方ごとの税額を試算してもらえますか
E:海外資産・海外在住の相続人がいる 国際相続に対応できる税理士 国外の財産の評価と外国税額控除の実績はありますか

重要ポイント:表の質問を、面談でそのまま聞いてください。答えの具体性で、その分野の経験の量が分かります。

不動産が多い→土地の評価に強い税理士

財産の中心が土地や建物なら、土地の評価の力量がそのまま税額に直結します。最も差が出るタイプです。

確かめるのは、現地と役所の調査の有無、そして路線価では実態に合わない土地で不動産鑑定士と連携できるかです。賃貸物件があれば、貸している土地の評価と、小規模宅地等の特例(貸付事業用)の扱いも聞いてください。

自宅の土地の特例をどの土地に使うかで、税額は数百万円変わることがあります。要件と、誰が相続すると得かは、下記の記事で解説しています。

自社株がある→事業承継に詳しい税理士

親が会社を経営していた場合、自社株の評価が必要です。会社の規模の判定や評価方式の選び方で、税額が数百万円変わることがあります。

あわせて、事業承継税制(納税猶予)の実績を聞いてください。特例措置を使うには都道府県に特例承継計画を出す必要があり、その提出期限は2026年3月31日で終わっています。計画を出していない会社でこれから使えるのは一般措置で、猶予の範囲が特例措置より狭くなります。

注意:納税猶予は、要件を満たさなくなると打ち切られ、利子税と一緒に納税が必要になります。長い期間の管理が伴うため、実績のある事務所を選んでください。

非上場株式の評価方法と相続税の計算は、下記の記事で解説しています。

預貯金中心・基礎控除ぎりぎり→費用対効果を重視

財産が預貯金と上場株式だけなら、評価で差がつく余地は小さくなります。このタイプでは、必要以上の作業を頼まないことが合理的です。

確かめるのは「この財産で必要な作業はどこまでか」です。現地の調査や難しい特例の判断が不要なら、その分の報酬はかからないはずです。

ただし、家族名義の口座に亡くなった人のお金が入っている場合は話が変わります。名義預金かどうかの判断は税務調査で最も指摘されやすい論点で、専門的な判断が必要です。自分で申告するかどうかの判断基準は、下記の記事で解説しています。

相続人が多い・もめている・海外資産がある→連携体制を重視

分け方が決まっていない相続では、分け方の案ごとに税額が変わるため、試算を出す力が大切になります。税理士は相続人の間の交渉を代理できないため、争いになったら弁護士の出番です。

弁護士と連携できる事務所を選んでおくと、状況が変わったときにすぐ動けます。分け方が決まらないと特例が使えないため、期限までにまとまらない場合の手当ても聞いておきましょう。

国外に財産がある、相続人が海外に住んでいる場合は、対応できる事務所が限られます。国外の財産の評価と円への換算、外国税額控除による二重課税の調整、海外在住の相続人の署名の証明や納税管理人の手続きなど、通常の申告とは作業が異なります。

面談で実力を見極める|聞くべき6つの質問と答えの良し悪し

候補が集まったら面談です。多くの事務所が初回の相談を無料にしており、依頼する義務もありません。聞くことを決めて臨み、その場で具体的に答えられるかを見てください。

6つの質問と、信頼できる答え・注意したい答え

そのまま使える形にまとめました。答えの中身より、その場で数字や手順を説明できるかが見分けどころです。

質問 信頼できる答え 注意したい答え
年間の相続税の申告件数と、税理士の人数を教えてください 数字で即答する 「たくさんやっています」だけ
私の申告を担当するのは誰ですか。税理士ですか 担当者の名前と資格を明言する 「チームで対応します」だけで担当が分からない
土地の評価はどう進めますか 現地と役所の調査を手順として説明する 「路線価に面積を掛けます」で終わる
書面添付は使いますか。基本報酬に含まれますか 使う方針と費用の扱いを示す 制度の説明ができない
次の相続まで含めた分け方の試算を出せますか 今回と次の相続の合計で比べると答える 「分け方が決まったら教えてください」
見積りの加算の条件を数字で示せますか 土地の単価や相続人の加算の率を示す 「財産の内容によります」だけ

表の見方:黄色の行から聞くのが効果的です。1人あたりの件数を即答できない事務所は、実績を把握していない可能性があります。

重要ポイント:6つすべてを聞く必要はありません。不動産があるなら3番目、自社株があるなら1番目と5番目を重点的に確かめてください。

土地の評価の質問をぶつける|最も差が出る論点

不動産がある相続では、この質問が最も有効です。「この土地で評価を下げられる可能性はありますか」と具体的に聞いてください。

経験がある税理士なら、形・道路との接し方・高低差・周辺の環境など、確かめるべき点を挙げます。そのうえで「現地を見ないと判断できない」とも言うはずです。

逆に、課税明細書を見ただけで「特に下がる要素はありません」と言い切る説明は注意が必要です。減額の要素を拾う前提がない可能性があります。

面談に固定資産税の課税明細書と、土地の地図(住宅地図のコピーやスマートフォンの地図の画面)を持っていくと、その場で「この土地は道路に下がる部分がありそうです」といった具体的な指摘を引き出しやすくなります。

分け方の提案があるか|「決まったら教えて」は要注意

遺産の分け方によって税額は変わります。自宅の土地の特例を誰が使うか、配偶者にどこまで寄せるかで結果が動きます。

それにもかかわらず「分け方が決まったら教えてください」と言う事務所は、申告書を作るだけの業務範囲だと考えられます。望ましいのは「分け方の案を複数出して、税額を比べましょう」という進め方です。

分け方の提案で差が出やすいのは、自宅の土地の特例を誰が使うかです。同居していた子が相続すれば80%減らせる一方、同居していない子が相続すると使えないことがあり、分け方しだいで税額が大きく動きます。

参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

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こんな税理士は要注意|避けるべき6つの危険サイン

選び方の情報の多くは税理士事務所が発信しているため、「この事務所はやめたほうがよい」という記述は出てきにくい構造があります。面談や見積りの段階で気づける危険なサインを知っておきましょう。

危険サイン6つと、その理由

次の6つのうち1つでも当てはまれば、ほかの候補と比べ直してください。

避けるべき6つの危険サイン

  • ①制度の基本の質問に「後で調べます」が繰り返される
  • ②分け方の提案がなく、税額の比較も出さない
  • ③土地の現地と役所の調査を行うと言わない
  • ④見積りに「別途」が多く、加算の単価が空欄のまま
  • ⑤担当者が税理士かどうかがあいまい
  • ⑥「税務署に指摘されない申告」ばかりを強調する

①は、自宅の土地の特例や書面添付といった基本の制度に答えられないケースです。個別の判断に調査が必要なのは当然ですが、制度の全体像が頭に入っていないのは経験の不足を示します。

②は、申告書を作るだけの業務範囲だというサインです。配偶者がいる相続では、今回と次の相続の合計で比べないと最適な分け方が決まりません。

⑤と⑥は、税務調査のときに差が出ます。税務署とのやり取りは税理士が行う必要があり、調査を避けることばかり強調する事務所は、減額をあえて使わない申告になっていることがあります。

③と④は、見えにくい損につながります。現地を見ない評価では減額を拾えず、加算の条件がない見積りはあとから総額が膨らみます。遠方の土地で現地に行けない場合に、何で代わりにするかを説明できるかも確かめてください。

「元国税」「税務署に指摘されない」を売りにする事務所の見方

税務署の出身の税理士(いわゆる国税OB)は、税務調査の進め方に詳しいのが強みです。ただし、相続税の申告の経験が多いかどうかは別の話なので、ほかの税理士と同じく件数を聞いてください。

「税務調査ゼロ」「税務署に指摘されない申告」を強調する説明にも注意が必要です。調査を避けることだけを目的にすると、減額の要素をあえて使わず、多めに納める申告になり得ます。

望ましいのは「法律の範囲で納税者に有利な申告をし、そのうえで書面添付で根拠を説明する」という姿勢です。調査の少なさと申告の有利さは、別の物差しで見てください。

税理士選びの失敗事例3つ

実際に起きやすい失敗を3つ挙げます。いずれも、依頼した時点では気づけなかったという共通点があります。

【事例1】顧問税理士に頼み、土地の減額を逃した

会社の顧問税理士に相続税の申告も頼んだところ、広い貸地の減額が使われていませんでした。後に別の税理士が見直し、納めた相続税の一部が還付されました。

対策:土地がある相続では、申告件数と現地の調査の有無を確かめてから頼んでください。

【事例2】報酬の安さで選び、特例の比較がされなかった

相場より安い事務所に頼んだところ、自宅の土地の特例をどの土地に使うかの比較が行われず、報酬の差を大きく超える税額を納めていました。

対策:見積りでは、特例の有利・不利の比較が作業に含まれているかを確かめてください。

【事例3】担当者が税理士でなく、税務署とのやり取りが長引いた

面談は税理士でしたが、実務は資格のない職員が担当していました。税務署から確認の連絡が入ったときに対応できず、やり取りが長引きました。

対策:面談で「実務を担当するのは誰か、その人は税理士か」を聞いてください。

チェックリスト:依頼する前の確認項目

  • □ 申告件数を数字で聞き、1人あたりに直した
  • □ 税理士情報検索サイトで登録を確かめた
  • □ 国税庁の懲戒処分等の公告に名前がないことを確かめた
  • □ 土地の現地と役所の調査を行うと確認した
  • □ 実務を担当するのが税理士か確認した
  • □ 加算の条件が数字で書かれた見積書をもらった

重要ポイント:失敗の多くは悪意ではなく経験の差から生まれます。依頼する前に確かめていれば防げたものばかりなので、面談の前にこのチェックリストを使ってください。

依頼のタイミングと契約後にやること

申告の質は、選んだあとの進め方にも左右されます。依頼の時期で報酬が変わり、契約後の段取りで節税の検討に使える時間が変わります。

依頼が遅れると報酬が上がる|期限の3か月前が分かれ目

申告期限まで3か月を切ると、加算の報酬を設けている事務所が多くあります。相続開始から7か月以内に依頼先を決めるのが目安です。

申告期限までの残り 起きやすいこと
6か月以上 候補を比べる時間があり、分け方の試算にも時間を使える
3〜6か月 依頼はできるが、資料集めと評価を急ぐ必要がある
3か月未満 加算の報酬がかかりやすく、引き受けを断る事務所も出る

税理士に頼んでから申告書ができるまでには、資料が揃っていても一般に数か月かかります。土地の現地調査や、分け方の案ごとの試算には時間が要るため、依頼が遅れるほど検討を省く方向に進みやすくなります。

重要ポイント:期限が近いほど選べる候補が減ります。「まだ早い」と感じる時期に相談を始めるくらいがちょうどよいタイミングです。

依頼のタイミングと時期別の損得は、下記の記事で解説しています。

契約後に税理士とスムーズに進める5つのコツ

依頼する側の動き方しだいで、作業が止まることもあれば、節税の検討に時間を回せることもあります。最初にやるべきは書類をまとめて渡すことです。

【コツ1】必要な書類を早めにまとめて渡す

時間がかかるのは戸籍と金融機関の残高証明書です。戸籍は2024年3月から最寄りの市区町村でまとめて請求できるようになりましたが、兄弟姉妹の戸籍は対象外です。

【コツ2】財産と借金のリストを自分でも作る

口座ごと・土地ごと・保険ごとに概算で書き出すと、漏れに気づけます。家族名義の口座に亡くなった人のお金が入っている場合は、必ず伝えてください。

【コツ3】分け方の希望を家族で話し合っておく

分け方が決まらないと、自宅の土地の特例も配偶者の税額軽減も使えません。期限までにまとまらない場合は「申告期限後3年以内の分割見込書」を付けて申告します。

【コツ4】質問はまとめて、窓口は1人に決める

相続人が別々に連絡すると情報が食い違います。家族の窓口を1人に決め、質問はメモにためてまとめて送ります。

【コツ5】期限から逆算した予定を共有してもらう

資料集めに2〜3か月、評価に2〜3か月、分け方の協議と申告書の作成に2〜3か月が目安です。相続放棄の3か月と準確定申告の4か月の期限も並行して進みます。

参照元:国税庁 No.4208 相続財産が分割されていないときの申告

すでに依頼中で不安な場合の対処法

契約した後に「この税理士で大丈夫か」と不安になることもあります。選べる手は、変更する・別の税理士に見てもらう・申告後に取り戻す、の3つです。どれを選ぶかは申告期限までの残りの期間で決まります。

変えるべきか、セカンドオピニオンで足りるかの判断

引き継ぎには時間がかかるため、期限が近いほど変更は難しくなります。まず残りの期間を確かめてください。

申告期限までの残り とれる選択 理由
6か月以上 変更を前向きに検討できる 引き継ぎと評価のやり直しに時間がある
3〜6か月 変更はできるが段取りを急ぐ 資料の回収と再評価を並行させる
3か月未満 別の税理士の意見で補強する 引き継ぎが間に合わないおそれがある
申告後 更正の請求で払いすぎを取り戻す 申告期限から5年以内が期限

重要ポイント:変更を考える前に、契約書の途中解約の条項を確かめてください。着手金の扱いと、進んだ作業分の精算の方法が書かれています。

いまの税理士の判断に納得できないときに、別の税理士に意見を求める進め方は、下記の記事で解説しています。

途中で変更する手順と費用

変更する場合、着手金や、すでに進んだ作業分の報酬は支払う必要があります。二重に払う部分が出ることを前提に考えてください。

税理士との契約は、依頼する側からいつでも解約できます。途中で終わった場合の報酬は、すでに終えた作業の割合に応じて払うのが原則です(民法648条3項)。着手金の全額が戻らないとは限らないため、精算の方法を契約書で確かめてください。

手順は、契約書の確認→新しい事務所への相談→前の事務所への解約の申し出と書類の回収→引き継ぎ、の順です。前の事務所から回収するのは、預けた書類の原本と作成済みの評価資料で、データで受け取れるかも確かめます。

税理士を途中で変えるときの手順と費用の精算は、下記の記事で解説しています。

申告後に払いすぎに気づいたら

すでに申告が終わっていても、払いすぎていれば申告期限から5年以内は更正の請求で取り戻せます。亡くなってからおよそ5年10か月が締め切りです。

見直しで還付につながりやすいのは土地の評価です。ただし、自宅の土地の特例のように、申告書に書いていないと後から追加できない特例もあります。

見直しを別の税理士に頼むときは、申告書の控えと、評価に使った資料一式を渡します。当初の税理士から評価の明細を受け取っておくと、見直しの精度と速さが上がります。

更正の請求の期限と、後から使える特例・使えない特例は、下記の記事で解説しています。

相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ
相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ

相続税の税理士選びは相続税の対応実績がある税理士へ|一括相談・見積り

ここまでのポイントを1つの事務所だけに当てても、比べる相手がいなければ判断できません。複数の税理士に同じ条件で相談し、横並びで比べるのが確実です。

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

相続税は、税理士1人あたり年約2件しか扱わない分野です。経験の量の差が、そのまま申告する税額の差になります。

相続税の対応実績がある税理士に相談する理由

  • 土地の減額の要素を現地と役所で調べ、評価を適正に下げられる
  • 自宅の土地の特例をどの土地に使うかを比べられる
  • 分け方ごとの税額を試算し、次の相続まで見た配分を提案できる
  • 書面添付を使い、税務調査のときに根拠を説明できる
  • 自社株・海外資産など評価が難しい財産にも対応できる

土地の評価で20%の減額を拾えるかどうかで、評価額5,000万円の土地なら税額に200万円の差が出ることがあります。この差は、税務署からは指摘されません。

一括相談・見積りのメリット|提案の中身で実務力が見える

見積りを並べると報酬額を比べられますが、差が大きいのは提案の中身です。次の3点を各事務所に同じ質問で聞き、答えを突き合わせてください。

判定ポイント1:1人あたりの申告件数

「年間の申告件数と税理士の人数を教えてください」と聞きます。A事務所は年300件で税理士50人(1人6件)、B事務所は年80件で税理士2人(1人40件)でした。

→ B事務所の方が、税理士1人あたりの相続税の実務経験が豊富と判定できます。

判定ポイント2:土地の現地調査をするか

「土地の評価で現地と役所を調べますか」と聞きます。A事務所は資料だけで評価、B事務所は現地の確認と役所の調査まで行うという答えでした。

→ B事務所の方が、道路や高低差による減額を拾える可能性が高いと判定できます。

判定ポイント3:次の相続まで試算するか

「次の相続まで含めた分け方の案を出せますか」と聞きます。A事務所は今回の税額だけ、B事務所は今回と次の相続の合計で3案を出すという答えでした。

→ B事務所の方が、家族全体で損をしない分け方を提案できると判定できます。

相談しないまま進めるリスク

1つの事務所だけで決めると、その事務所の水準が高いのか低いのか判断できません。比べる相手がないまま契約することになります。

相談しないまま進めると起きること

  • 顧問税理士にそのまま頼み、土地の減額を逃したまま申告する
  • 報酬の安さで選び、特例の比較がされないまま納税する
  • 担当者が税理士でないと気づかず、税務署とのやり取りで困る
  • 分け方の試算を受けられず、次の相続で税金が増える
  • 見積りの加算の条件を確かめず、あとから総額が膨らむ

これらの多くは、複数の事務所を比べるだけで防げます。相談は無料のことが多く、比べるだけなら費用はかかりません。

見積り比較シミュレーション|相続財産規模別の報酬差と節税効果

報酬の差より、提案の中身で動く税額のほうが桁が大きくなります。次の表は、2つの事務所から見積りを取った場合の例です。

相続財産規模 A税理士の見積り B税理士の見積り 見積り差 減額・分け方の検討
1億円 報酬60万円
相続税770万円
報酬75万円
相続税570万円
報酬+15万円
節税200万円
A:資料のみ
B:現地・役所を調査
2億円 報酬120万円
相続税2,100万円
報酬150万円
相続税1,700万円
報酬+30万円
節税400万円
A:1案
B:3案
3億円 報酬180万円
相続税4,200万円
報酬210万円
相続税3,500万円
報酬+30万円
節税700万円
A:1案
B:4案

表の見方:A税理士は報酬が安いものの、土地の調査や分け方の検討が限られています。B税理士は報酬がやや高いものの、減額と分け方の案を複数示し、相続税が少ない案を提案しています。

重要ポイント:報酬だけで選ぶと、減額や特例を検討しないまま申告してしまうことがあります。報酬と相続税を足した総額で比べてください。

計算ロジック:1億円の行は、評価額5,000万円の土地で20%の減額を拾えた場合に、その部分の税率20%で200万円の差が出る想定です。2億円・3億円の行は差を示すための例で、実際の差は財産の内容と家族構成で変わります。

一括相談・見積りの手順|STEP1~STEP4

STEP1

相続の概要を整理する

被相続人の資産内容・資産額概算・相続人構成・年齢・遺言の有無をメモにまとめます。不動産があれば土地の数と所在地も書き出します。

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STEP2

一括見積り・相談サービスに依頼する

複数の税理士事務所に一括で見積りを依頼できるサービスを使います。希望内容を「相続税申告・相続税の節税・確定申告・準確定申告など」と明確に記し、複数の税理士(目安3~5の事務所)への同時打診を依頼します。

不動産がある場合は所在地・広さなども記載します。フォームでは「財産の種類」「相続人の人数」をできるだけ正確に伝えると見積りの精度が上がります。フォーム記入自体は5分程度です。

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STEP3

見積りと初回相談を受ける

各事務所から「提案内容」「試算相続税額」「報酬額」が記載された見積りが届きます。本記事の6つの質問を同じように投げて、気になる事務所と初回相談をします。

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STEP4

税理士を選定・正式依頼する

「提案内容の質」「説明の丁寧さ」「報酬の納得性」で事務所を選びます。相続開始から7ヶ月以内に税理士を決めて、申告の準備を依頼してください。

初回相談で確認すべきチェックリスト|税理士の専門性を見極める

聞く順番より、同じ質問をすべての事務所に投げて答えを並べることが大事です。

  • □ 年間の相続税の申告件数と、税理士の人数を数字で答えられるか
  • □ 実務を担当する人が税理士か
  • □ 土地の現地と役所の調査を行うか
  • □ 書面添付を使う方針か、費用は基本報酬に含まれるか
  • □ 次の相続まで含めた分け方の案を出すか
  • □ 司法書士・弁護士との連携の範囲はどこまでか
  • □ 報酬体系が明確で、追加報酬の条件が事前に説明されているか

重要ポイント:面談の前に、税理士情報検索サイトでの登録と、国税庁の公告に名前がないことを確かめておくと、面談を実力の見極めに集中できます。

見積りで確認すべきチェックリスト|報酬体系と対応範囲

見積書は基本報酬に何が含まれるかと総額が書面で出ているかを先に確かめてください。

東京で相続税の相談先を探している場合の窓口と費用の比較は、下記の記事で解説しています。

  • □ 基本報酬の金額が明確に提示されているか
  • □ 土地の数・相続人の数による加算の基準が書かれているか
  • □ 現地の調査や特例の比較が基本報酬に含まれているか
  • □ 書面添付や税務調査の立会いの費用が明記されているか
  • □ 期限が近い場合の割増の有無が書かれているか
  • □ 報酬と節税効果を合わせた総額で比べられるか

重要ポイント:見積り比較では、報酬額の安さだけでなく、提案される減額や分け方の案と節税効果を合わせて判断してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 相続税に強い税理士かどうかは、どこで見分けますか?

最も確かなのは、年間の申告件数を所属の税理士の人数で割った「1人あたりの件数」です。全国平均は年約2件なので、その数倍あれば相続税を日常的に扱っていると考えられます。あわせて、土地の現地調査と書面添付の方針を面談で確かめてください。

Q2. 顧問税理士に相続税の申告も頼んでよいですか?

財産が預貯金中心で、評価が難しい財産がないなら選択肢になります。土地や自社株がある場合は、相続税の申告件数を聞いたうえで、相続税の対応実績がある税理士と比べてから決めてください。

Q3. 税理士が本当に登録されているかは、どう確かめますか?

日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」で、名前や事務所の所在地から検索できます。懲戒処分を受けていないかは、国税庁のサイトの「懲戒処分等の公告」で確かめられます。

Q4. 報酬が安い事務所を選んでも大丈夫ですか?

作業の範囲が限られ、土地の現地調査や特例の比較が省かれることがあります。報酬の差を超える税額の差が出るおそれがあるため、安さで選ぶ場合は作業の範囲を必ず確かめてください。

Q5. すでに依頼していますが不安です。変更できますか?

できます。ただし着手金や、すでに進んだ作業分の報酬は支払う必要があります。申告期限まで3か月以上あるなら変更を検討でき、3か月未満なら別の税理士の意見で補強するほうが現実的です。

まとめ|税理士選びは「1人あたりの件数」と「自分のタイプ」で決まる

経験の量は数字で確かめる

  • 税理士1人あたりの相続税の申告は年約2件。「税理士なら誰でも同じ」は成り立たない
  • 実績は相談件数ではなく、申告件数を税理士の人数で割って見る
  • 書面添付の全国平均は24.6%。使う方針かを面談で聞く

公的な情報で候補を確かめる

  • 登録と所属の人数は、日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで調べる
  • 懲戒処分の有無は、国税庁の懲戒処分等の公告で調べる
  • 遺産のタイプ(不動産・自社株・預貯金中心・もめている・海外資産)で選ぶ税理士が変わる

面談で見極め、複数を比べて決める

  • 6つの質問をぶつけ、その場で具体的に答えられるかを見る
  • 6つの危険サインが1つでも出たら、ほかの候補と比べ直す
  • 相続開始から7か月以内に依頼先を決める

今すぐ取るべき行動

  • 自分の遺産のタイプを確かめる
  • 候補の事務所の申告件数と税理士の人数を調べ、1人あたりを計算する
  • 税理士情報検索サイトと国税庁の公告で、候補の登録と処分歴を確かめる
  • 複数の税理士に一括相談・見積りを頼み、同じ質問で比べる

※本記事は2026年9月時点の法令・実務に基づいて作成しています。相続税法や関連制度の改正により取り扱いが変わる場合があります。最新の制度や個別の判断については、国税庁の情報や相続税の対応実績がある税理士にご確認ください。

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