


継子とは、配偶者の子で自分とは血のつながりがない子のことです。連れ子、義理の子と呼ばれることもありますが、法律上はどれも同じ立場を指しています。
継子と養子の違いは、養子縁組をしているかどうかの一点だけです。縁組をしていない継子に相続権はなく、縁組をした日から実子と同じ相続権を持ちます。
再婚した家庭では相続人が見えにくくなります。前妻は相続人になりませんが、前妻との間の子は相続人です。
この違いは税額にも表れます。遺産1億円で継子2人を養子にすると、相続税の総額は180.0万円下がります。
しかも継子の養子は他の養子と扱いが違い、基礎控除を計算するときの人数の上限を受けません。
孫を養子にすると相続税が2割増しになりますが、継子の養子は加算されません。
この記事では、継子と養子の違い、再婚後に相続人になる人とならない人、養子にすると税額がどう下がるか、2割加算の扱い、縁組をしない場合の渡し方、前妻の子がいる場合の申告、使える特例と控除、トラブルの防ぎ方、縁組をした後に起きることまでを解説します。
▼ この記事の3行まとめ

継子と養子を分けているのは養子縁組の届出をしたかどうかという一点です。一緒に暮らした年数や、実際に世話をしてきたかどうかは関係ありません。
法律は血のつながりと届出で相続人を決めています。感情の面では納得しにくい部分ですが、まずは誰が相続人になるのかを条文どおりに整理しておくことが、再婚家庭の相続では出発点になります。
民法725条は、六親等内の血族・配偶者・三親等内の姻族を親族と定めています。継子は配偶者の子なので一親等の姻族にあたり、親族ではあります。
しかし相続人になるのは血族と配偶者だけです。民法887条1項が「被相続人の子は、相続人となる」と定める「子」に、姻族である継子は含まれません。親族であることと相続人になることは別だという点が、再婚家庭でいちばん誤解されやすい部分です。
| 呼び方 | 意味 | 法律上の立場 | 相続権 |
|---|---|---|---|
| 継子(ままこ) | 配偶者の子で血のつながりがない子 | 一親等の姻族 | ない |
| 連れ子 | 再婚相手が前の家庭から連れてきた子 | 同じく一親等の姻族 | ない |
| 義理の子 | 継子・連れ子の口語的な呼び方 | 同じく一親等の姻族 | ない |
| 養子 | 養子縁組の届出をした子 | 一親等の血族(嫡出子) | ある |
| 前妻の子 | 離婚した相手との間に生まれた実の子 | 一親等の血族 | ある |
表の見方:継子・連れ子・義理の子は呼び方が違うだけで、法律上はすべて同じ一親等の姻族です。相続の場面ではどの言葉を使っても結論は変わりません。
重要ポイント:離婚しても、前妻との間の子との血のつながりは切れません。前妻の子は再婚後も変わらず相続人です。一方で継子は一緒に暮らしていても相続人にならないため、実態と法律上の扱いが逆転して見えることがあります。
参照元:e-Gov 法令検索 民法(第725条・第887条)
民法809条には「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する」と書かれています。届出をした日から実子と同じ相続権を持ちます。
民法727条により、養親の血族との間にも血族と同じ親族関係が生じます。養親の親の相続でも代襲相続の対象になりますが、縁組より前に生まれていた養子の子には、養親の血族との関係が生じません。
【養子縁組で変わること】
注意点:相続権が生じるのは縁組の届出をした日からです。長年一緒に暮らしていても、届出前に亡くなれば相続人になりません。手続きを先延ばしにすると間に合わなくなることがあります。
参照元:e-Gov 法令検索 民法(第727条・第809条・第810条)
養子縁組には2種類あります。継子を養子にする場合は通常は普通養子縁組です。
| 普通養子縁組 | 特別養子縁組 | |
|---|---|---|
| 実親との関係 | 残る | 終了する(民法817条の2) |
| 実親の相続人になるか | なる | ならない |
| 養親の相続人になるか | なる | なる |
| 手続き | 市区町村への届出 | 家庭裁判所の審判が必要 |
| 年齢の要件 | 養親より年下であればよい | 原則として15歳未満 |
| 継子を養子にする場合 | こちらが一般的 | 要件が厳しく例は少ない |
重要ポイント:普通養子縁組なら実親と養親の両方の相続人になれます。継子が前の親の相続権を失うことはないため、縁組をすると実の親から相続できなくなるという心配は不要です。
相続権がなくても、継子が財産を受け取る方法はあります。遺言による遺贈と、生命保険金の受取人指定の2つです。
ただしどちらも税金の扱いは相続人より不利になります。受け取った財産に2割加算がかかり、生命保険金の非課税枠も使えません。金額が同じでも手元に残る額が変わるため、渡し方を決める前に税額まで確認しておく必要があります。
【縁組をしていない継子に財産を渡す方法】
渡し方ごとの税額の違いは、この記事の後半で金額を挙げて比べます。

再婚家庭では相続人の顔ぶれが複雑になります。前妻・前妻の子・後妻・後妻の連れ子・再婚後の子が同時に登場するためです。
誰が相続人になるかを取り違えると、基礎控除の金額が変わり、遺産分割のやり直しにもつながります。立場ごとに結論を整理しておきます。
配偶者が相続人になるのは、亡くなった時点で婚姻関係にある人だけです。離婚した時点で前妻は相続人ではなくなります。
一方で親子関係は離婚しても切れません。前妻が引き取って何十年も会っていない場合でも、前妻との間の子は後妻の子とまったく同じ相続分を持ちます。養育費を払っていたかどうかや、交流があったかどうかも関係ありません。
| 立場 | 相続人になるか | 法定相続分(配偶者と子がいる場合) |
|---|---|---|
| 前妻(元配偶者) | ならない | なし |
| 前妻との間の子 | なる | 後妻の子と同じ |
| 後妻(現在の配偶者) | なる | 2分の1 |
| 後妻との間の子 | なる | 前妻の子と同じ |
| 後妻の連れ子(縁組なし) | ならない | なし |
| 後妻の連れ子(養子縁組あり) | なる | 実子と同じ |
表の見方:血のつながりがある子は、親が離婚しても再婚しても相続人であり続けます。逆に血のつながりのない継子は、同居していても縁組がなければ相続人になりません。
重要ポイント:前妻の子を外して遺産分割協議をしてもその協議は無効です。相続人全員がそろっていない協議は成立しません。連絡が取りにくい相手でも、必ず参加してもらう必要があります。
相続人の範囲と人数の数え方は、下記の記事で詳しく解説しています。

よくある家族構成をあてはめて、法定相続人の数を確認します。この人数が基礎控除の金額を決めます。
| 家族構成 | 相続人 | 法定相続人の数 | 基礎控除 |
|---|---|---|---|
| 後妻+前妻の子2人(連れ子なし) | 後妻・前妻の子2人 | 3人 | 4,800万円 |
| 後妻+前妻の子2人+連れ子1人(縁組なし) | 後妻・前妻の子2人 | 3人 | 4,800万円 |
| 後妻+前妻の子2人+連れ子1人(養子) | 後妻・前妻の子2人・養子1人 | 4人 | 5,400万円 |
| 後妻+前妻の子2人+連れ子2人(養子) | 後妻・前妻の子2人・養子2人 | 5人 | 6,000万円 |
| 後妻+前妻の子2人+再婚後の子1人 | 後妻・子3人 | 4人 | 5,400万円 |
| 後妻のみ(子がいない) | 後妻・被相続人の親または兄弟姉妹 | 親や兄弟姉妹の人数による | 人数に応じて変わる |
計算ロジック:基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。連れ子1人を養子にすると人数が1人増えるので基礎控除は600万円増えます。2人を養子にすれば1,200万円増えます。
重要ポイント:連れ子は縁組をしなければ人数に一切入りません。同居していても、家業を手伝っていても結果は同じです。再婚家庭の相続対策で最初に確認すべきなのがこの点です。
婚姻届を出していない内縁のパートナーはどれだけ長く暮らしていても相続人になりません。その連れ子も同じです。
再婚したつもりでも届出をしていなければ、法律上は他人として扱われます。相続の場面で初めてその事実に直面することが多く、生活の実態と法律上の結論が大きく食い違う典型例です。
注意点:内縁のパートナーに財産を渡すには遺贈しかありません。2割加算がかかり、生命保険の非課税枠も使えません。配偶者の税額軽減も適用されないため、税負担は最も重くなります。
内縁・事実婚のパートナーに財産を残す方法は、下記の記事で解説しています。


養子縁組は相続税を下げる効果があります。法定相続人が1人増えるだけで、基礎控除は600万円・非課税枠は1,000万円広がります。
しかも継子の養子には、他の養子にはない有利さがあります。相続税法が定める養子の人数制限を受けないため、継子が3人いれば3人とも法定相続人の数に入ります。
相続税法15条2項は、基礎控除を計算するときの養子の数に上限を設けています。実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人までです。
相続人を増やすためだけの養子縁組を防ぐための規定です。民法上は何人でも養子にできますが、税額の計算では人数が頭打ちになります。孫を3人養子にしても、実子がいれば基礎控除は600万円しか増えません。
| 実子の有無 | 数えられる養子の数 | 孫3人を養子にした場合 |
|---|---|---|
| 実子がいる | 1人まで | 1人しか数えられない |
| 実子がいない | 2人まで | 2人まで数えられる |
重要ポイント:この制限は基礎控除・生命保険の非課税枠・相続税の総額の計算に使う「法定相続人の数」だけの話です。民法上は全員が相続人なので、遺産分割では人数どおりに分けます。
相続税法15条3項1号は、配偶者の実子で被相続人の養子となった者は実子とみなすと定めています。継子を養子にした場合がこれにあたります。
実子として扱われるため、15条2項の人数制限はかかりません。継子が3人いれば3人とも法定相続人の数に入り、基礎控除は1,800万円増えます。同じ人数の孫を養子にしても、実子がいれば600万円しか増えません。
| 誰を養子にするか | 人数の制限 | 3人を養子にしたときに数えられる人数 |
|---|---|---|
| 継子(配偶者の実子) | 制限なし | 3人 |
| 孫(実子がいる場合) | 1人まで | 1人 |
| 甥・姪など(実子がいる場合) | 1人まで | 1人 |
| 特別養子縁組による養子 | 制限なし | 3人 |
計算ロジック:条文は特別養子縁組による養子と並べて「当該被相続人の配偶者の実子で当該被相続人の養子となつた者」を実子とみなしています。再婚相手の連れ子を養子にした場合がここに当てはまります。
注意点:実子とみなされるのは配偶者の実子である場合です。再婚相手が前の結婚で養子にしていた子を、さらに自分の養子にした場合は原則として制限の対象になります。
後妻と前妻の子2人がいる家庭で、後妻の連れ子2人を養子にするかどうかで比べます。遺産1億円なら180.0万円下がります。
| 遺産の総額 | 縁組なし(相続人3人) | 継子2人を養子(相続人5人) | 差 |
|---|---|---|---|
| 6,000万円 | 120.0万円 | 0円 | 120.0万円 |
| 8,000万円 | 350.0万円 | 200.0万円 | 150.0万円 |
| 1億円 | 630.0万円 | 450.0万円 | 180.0万円 |
| 1億5,000万円 | 1,495.0万円 | 1,175.0万円 | 320.0万円 |
| 2億円 | 2,700.0万円 | 2,250.0万円 | 450.0万円 |
表の見方:いずれも相続税の総額です。実際に納める額は配偶者の税額軽減を使えばさらに下がりますが、総額そのものが下がる点がこの表の要点です。
計算ロジック:相続人3人の基礎控除は4,800万円、5人なら6,000万円です。差額1,200万円に加えて、相続税の総額を計算するときの1人あたりの取得金額が下がり、低い税率が適用される部分が増えるため差が広がります。
重要ポイント:遺産6,000万円なら継子2人を養子にすると相続税が0円になります。基礎控除が6,000万円になり、遺産の全額が控除されるためです。
養子縁組で相続税がどこまで下がるかと、否認されるリスクは下記の記事で解説しています。

養子縁組で増えるのは基礎控除だけではありません。生命保険金と死亡退職金の非課税枠も、法定相続人の数で決まります。
どちらも500万円に法定相続人の数を掛けた金額が非課税になります。2つの枠は別々に用意されているため、1人増えると合計で1,000万円分広がります。
| 状況 | 法定相続人の数 | 基礎控除 | 保険金の枠 | 退職金の枠 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 縁組なし | 3人 | 4,800万円 | 1,500万円 | 1,500万円 | 7,800万円 |
| 継子1人を養子 | 4人 | 5,400万円 | 2,000万円 | 2,000万円 | 9,400万円 |
| 継子2人を養子 | 5人 | 6,000万円 | 2,500万円 | 2,500万円 | 1億1,000万円 |
重要ポイント:継子2人を養子にすると、3つの枠を合わせて3,200万円分広がります。保険や退職金がある家庭では、基礎控除の増加より効果が大きくなることもあります。
注意点:非課税枠を使えるのは相続人が受け取った保険金だけです。縁組をしていない継子を受取人にしていると、枠を1円も使えません。受取人の指定と縁組の有無をセットで確認してください。
参照元:国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
参照元:国税庁 No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金

養子縁組で相続税が2割増しになる話を聞いたことがあるかもしれません。それは孫を養子にした場合の話で、継子には当てはまりません。
同じ養子でも扱いが分かれるのは、条文が「直系卑属」に限って加算しているためです。継子は直系卑属ではないので対象から外れます。
相続税法18条1項は、一親等の血族と配偶者以外の人が財産を取得したときに、相続税を2割増しにすると定めています。
養子は民法809条により嫡出子の身分を持つため、一親等の血族です。そのため養子であること自体は加算の理由になりません。加算されるかどうかは、養子であるかではなく誰を養子にしたかで決まります。
| 財産を取得した人 | 2割加算 |
|---|---|
| 配偶者 | かからない |
| 実子 | かからない |
| 継子を養子にした場合 | かからない |
| 父母 | かからない |
| 孫を養子にした場合 | かかる |
| 兄弟姉妹・甥姪 | かかる |
| 縁組をしていない継子(遺贈で受け取った場合) | かかる |
| 代襲相続人になった孫 | かからない |
表の見方:加算されるかどうかは一親等の血族かどうかで決まります。養子は一親等の血族なので、原則として加算されません。
一親等の血族から除かれるのは、相続税法18条2項により直系卑属が養子となっている場合です。つまり孫やひ孫を養子にしたケースを指しています。
継子は配偶者の子であって、自分の直系卑属ではありません。血のつながりで下の世代へ降りていく関係ではないためです。そのため18条2項の除外に当たらず、一親等の血族のまま扱われます。孫養子が加算されるのは、親を飛ばして1世代分の相続税を回避できてしまうためです。
| 人数の制限 | 2割加算 | 根拠 | |
|---|---|---|---|
| 継子の養子 | なし(実子とみなす) | されない | 相続税法15条3項1号・18条 |
| 孫の養子 | あり(実子がいれば1人) | される | 相続税法15条2項・18条2項 |
| 代襲相続人になった孫 | なし | されない | 相続税法15条3項2号・18条1項の括弧書き |
| 家附の継子 | なし(相続人に含む) | される | 国税庁 質疑応答事例 |
重要ポイント:継子の養子は人数の制限を受けず、2割加算もされません。相続税の面では、養子縁組のなかで最も有利な組み合わせです。
計算ロジック:18条2項が除いているのは直系卑属の養子だけです。継子は配偶者の子で直系卑属ではないため、条文の除外規定にそもそも当てはまりません。
孫を養子にした場合の2割加算と、代襲相続人になった孫との違いは下記の記事で解説しています。

遺産1億円、後妻と前妻の子2人がいる家庭で、継子に2,500万円を渡す場合の税額を比べます。
| 渡し方 | 法定相続人の数 | 相続税の総額 | 継子の按分税額 | 2割加算 | 継子が納める額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 養子縁組をして相続させる | 4人 | 525.0万円 | 131.2万円 | なし | 131.2万円 |
| 縁組をせず遺言で渡す(遺贈) | 3人 | 630.0万円 | 157.5万円 | あり | 189.0万円 |
計算ロジック:養子縁組をすると法定相続人が4人になり、基礎控除が5,400万円に増えて総額が525.0万円まで下がります。継子の取得割合4分の1に対する按分税額は131.2万円で、加算はありません。
計算ロジック(遺贈の場合):相続人は3人のままなので総額は630.0万円です。按分税額157.5万円に2割を加えて189.0万円になります。
重要ポイント:同じ2,500万円を渡すのに、縁組の有無だけで57.8万円の差が生まれます。しかも遺贈では生命保険金の非課税枠も使えないため、実際の差はこれより大きくなることがあります。

養子縁組は相続税の面で有利ですが、実の親との関係や他の相続人の気持ちを考えて選ばない家庭もあります。
縁組をしない場合でも財産を渡す方法はあります。ただし税額は縁組をした場合より重くなるため、差額を知ったうえで選ぶことが大切です。相続税だけでなく贈与税の税率にも差が出るので、渡し方ごとに比べておきます。
遺言で継子に財産を渡すことはできます。ただし継子は相続人ではないため、受け取った財産に2割加算がかかります。
さらに相続人でないことによる不利がいくつも重なります。生命保険金と死亡退職金の非課税枠が使えず、未成年者控除や障害者控除も適用されません。
【縁組をしていない継子が受ける不利】
重要ポイント:不利になるのは2割加算だけではありません。非課税枠と控除が同時に使えなくなるため、同じ金額を渡しても手元に残る額の差は大きくなります。
遺贈と相続の違い、遺贈にかかる税金の計算は下記の記事で解説しています。

遺産1億円、後妻と前妻の子2人がいる家庭で、継子に2,500万円を渡す場合を3つの方法で比べます。
| 養子縁組をする | 遺言で遺贈する | 生前贈与する | |
|---|---|---|---|
| 相続人になるか | なる | ならない | ならない |
| 法定相続人の数 | 4人 | 3人 | 3人 |
| 基礎控除 | 5,400万円 | 4,800万円 | 4,800万円 |
| 2割加算 | なし | あり | - |
| 生命保険の非課税枠 | 使える | 使えない | - |
| かかる税金 | 相続税 | 相続税 | 贈与税 |
| 2,500万円を渡したときの税額 | 131.2万円 | 189.0万円 | 年110万円までなら0円 |
表の見方:養子縁組と遺贈は同じ相続税ですが、縁組の有無で57.8万円変わります。生前贈与は税目が変わるため、渡す期間と金額で有利さが決まります。
計算ロジック:養子縁組をすると相続人が4人になり総額525.0万円、継子の按分税額131.2万円に加算はありません。遺贈では相続人が3人のままで総額630.0万円、按分税額157.5万円に2割を加えて189.0万円になります。
注意点:生前贈与は年110万円までなら贈与税がかかりませんが、2,500万円を渡すには20年以上かかります。一度に渡せば高い贈与税がかかるため、早い時期から始めないと効果が出ません。
生前贈与で渡す場合も差が出ます。継子への贈与には高いほうの税率が適用されます。
贈与税には一般税率と特例税率の2つがあります。特例税率を使えるのは18歳以上の子や孫など直系卑属への贈与に限られ、縁組をしていない継子は対象になりません。
| 1年間の贈与額 | 継子(一般税率) | 養子にした継子(特例税率) | 差 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 19.0万円 | 19.0万円 | 0円 |
| 500万円 | 53.0万円 | 48.5万円 | 4.5万円 |
| 700万円 | 112.0万円 | 88.0万円 | 24.0万円 |
| 1,000万円 | 231.0万円 | 177.0万円 | 54.0万円 |
| 1,500万円 | 450.5万円 | 366.0万円 | 84.5万円 |
計算ロジック:いずれも年110万円の基礎控除を引いた後の金額に税率をかけています。1,000万円の贈与なら課税対象は890万円で、一般税率は40%、特例税率は30%です。控除額の違いも加わって54.0万円の差になります。
重要ポイント:贈与額が小さいうちは差が出ませんが、700万円を超えたあたりから開きます。まとまった金額を一度に渡す予定があるなら、縁組をしてからのほうが税負担は軽くなります。
参照元:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
生前贈与の年110万円の使い方と持ち戻しのルールは、下記の記事で解説しています。

生前贈与で2,500万円まで贈与税をかけずに渡せる相続時精算課税は、継子には使えません。
この制度を選べるのは、贈与を受けた年の1月1日に18歳以上で、贈与した人の推定相続人である直系卑属または孫に限られるためです。縁組をしていない継子はどれにも当てはまりません。
| 受け取る人 | 相続時精算課税 | 理由 |
|---|---|---|
| 実子 | 選べる | 推定相続人である直系卑属 |
| 養子にした継子 | 選べる | 縁組により推定相続人である直系卑属になる |
| 縁組をしていない継子 | 選べない | 推定相続人でも直系卑属でも孫でもない |
| 孫 | 選べる | 条文に孫が明記されている |
重要ポイント:養子縁組をすればその日から相続時精算課税を選べるようになります。生前に大きな金額を渡したい場合、縁組の有無が使える制度を左右します。

再婚家庭の相続で実務がいちばん止まるのは、前妻の子と連絡が取れない場面です。
会ったこともない相手に連絡し、遺産分割に加わってもらう必要があります。それでも申告期限は延びないため、進め方を知っておくかどうかで結果が変わります。期限に間に合わないと、使えたはずの特例まで失うことになります。
前妻の子の存在を知らずに申告すると、法定相続人の数が少なくなり基礎控除が不足します。後から判明すれば修正申告になります。
戸籍を出生までさかのぼって取得すれば、前の結婚や認知した子は必ず記録されています。家族が知らなかった子が見つかることも珍しくありません。
重要ポイント:相続人の確定は被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍で行います。本籍を移していると複数の市区町村から取り寄せることになり、数週間から数か月かかることがあります。
相続税の申告書の書き方と提出までの流れは、下記の記事で解説しています。

申告期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。相続人の一部と連絡が取れないことは、期限が延びる理由になりません。
居場所が分からない場合は、戸籍の附票で住所をたどるのが最初の手順です。それでも所在が分からないときは、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立て、その管理人が代わりに遺産分割に参加します。
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注意点:相続人を1人でも欠いた遺産分割協議は無効です。後から見つかった相続人は、協議のやり直しを求められます。先に相続人を確定させてから協議に入ってください。
期限までに分割がまとまらない場合は、法定相続分で分けたものとして申告し、税金を納めます。これを未分割の申告といいます。
未分割のままだと配偶者の税額軽減も小規模宅地等の特例も使えません。ただし申告書と一緒に申告期限後3年以内の分割見込書を提出しておけば、3年以内に分割できた時点で特例を適用し、払いすぎた税金を取り戻せます。
【未分割で申告するときの手順】
重要ポイント:分割見込書は申告書と一緒に出さなければ意味がありません。後から出せるのは税務署長がやむを得ないと認めた場合だけで、原則として配偶者の税額軽減も小規模宅地等の特例も使えないまま確定してしまいます。
参照元:国税庁 No.4208 相続財産が分割されていないときの申告
前妻の子に財産を渡さない遺言を残しても、遺留分を請求する権利までは奪えません。
請求が認められて財産が移動すると、各人の取得額が変わります。払いすぎた側は更正の請求、不足する側は修正申告をして精算します。
| 立場 | 手続き | 期限 |
|---|---|---|
| 遺留分を渡した側(取得額が減る) | 更正の請求 | 和解や判決が確定した日の翌日から4か月以内 |
| 遺留分を受け取った側(取得額が増える) | 修正申告 | 同じ時期に行う |
注意点:遺留分の請求ができるのは相続の開始と侵害を知ったときから1年以内です。申告を終えたあとに請求されることもあるため、遺言を作る段階で遺留分に相当する現金を用意しておくと揉めにくくなります。

養子縁組をすれば相続人が使える特例と控除はすべて実子と同じように使えます。
逆に縁組をしていない継子は、相続人であることが条件の制度をひとつも使えません。どの制度に差が出るのかを確認します。金額が大きいのは小規模宅地等の特例で、自宅の評価額が8割下がるかどうかが分かれます。
自宅の土地の評価額を8割下げられる小規模宅地等の特例は、養子にした継子でも使えます。相続人であることが前提の特例だからです。
同居していた継子を養子にしていれば、同居親族として330平方メートルまで適用できます。縁組をしていなければ、同じ家に住んでいても対象になりません。
| 継子の状況 | 小規模宅地等の特例 | 配偶者の税額軽減 | 未成年者控除 |
|---|---|---|---|
| 養子縁組をして同居していた | 使える | - | 使える |
| 縁組なしで同居していた | 使えない | - | 使えない |
| 縁組なしで遺贈を受けた | 使えない | - | 使えない |
重要ポイント:同居していた継子に自宅を継がせたいなら、養子縁組が特例を使える唯一の道です。評価額1億円の自宅なら、8割減で課税価格が8,000万円下がります。
参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
小規模宅地等の特例の要件と適用できる人の範囲は、下記の記事で解説しています。

継子が未成年なら、養子にしていれば18歳になるまでの年数1年につき10万円を相続税から引けます。
障害がある場合は85歳になるまでの年数1年につき10万円、特別障害者なら20万円を引けます。いずれも法定相続人であることが要件なので、縁組をしていない継子は対象外です。
注意点:本人の相続税から引ききれない分は、扶養義務者の相続税から差し引けます。継子が幼くて取得額が少ない場合でも、控除が無駄になることはありません。
未成年者控除の年齢別の控除額と扶養義務者への振り替えは、下記の記事で解説しています。

障害者控除の対象になる範囲と2回目以降の制限は、下記の記事で解説しています。

後妻が取得した分は1億6,000万円まで相続税がかかりません。ただし再婚家庭では後妻に集めると前妻の子に財産が渡らなくなります。
後妻が亡くなったときの相続人は、後妻の実子や連れ子です。前妻の子は後妻と血のつながりがないため、後妻の相続では相続人になりません。
父の遺産1億円、相続人は後妻と前妻の子2人、後妻には連れ子1人(父とは縁組なし)というケースで比べます。
| 後妻の取得割合 | 一次相続の納税 | 二次相続の納税 | 合計 | 前妻の子2人が受け取る額 |
|---|---|---|---|---|
| 0% | 630.0万円 | 0円 | 630.0万円 | 1億円 |
| 25% | 472.5万円 | 0円 | 472.5万円 | 7,500万円 |
| 50% | 315.0万円 | 160.0万円 | 475.0万円 | 5,000万円 |
| 100% | 0円 | 1,220.0万円 | 1,220.0万円 | 0円 |
表の見方:一次相続だけを見ると、後妻に全部渡せば納税は0円です。しかし二次相続まで含めると合計1,220.0万円で最も重くなります。しかも前妻の子には1円も渡りません。
計算ロジック:後妻が取得した財産は、後妻が亡くなったときに後妻の相続人へ引き継がれます。このケースでは連れ子1人だけが相続人なので基礎控除は3,600万円です。1億円を引き継ぐと1,220.0万円の相続税がかかります。
重要ポイント:再婚家庭では配偶者の税額軽減を使い切る分け方が最も不利になりやすいです。税額が最大になるうえに、実の子に財産が残りません。通常の家庭とは判断が逆になる点に注意してください。
配偶者にいくら渡すのが有利かという判断は、下記の記事で解説しています。


再婚家庭の相続は相続人どうしが初対面ということが珍しくありません。話し合いが進まず、申告期限だけが迫る展開になりやすいです。
起きやすい場面を先に知っておけば、生前に手を打てます。実際に起きている3つの事例と対策を挙げます。いずれも特別な事情があったわけではなく、確認を後回しにした結果として起きています。
いずれも生前に遺言と現金を用意していれば防げたケースです。
【事例1】連れ子に相続権があると思い込んでいた
【事例2】前妻の子と連絡が取れず申告が間に合わなかった
【事例3】後妻に全部相続させた結果、実の子に何も残らなかった
重要ポイント:3つに共通するのは生前に確認しておけば避けられたという点です。相続が始まってからでは、縁組も遺言も間に合いません。
自分のケースで継子が相続人になるかどうかは、4つの手順で判定できます。
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重要ポイント:判定に必要なのは戸籍だけです。同居年数や生活費を負担してきたかどうかは、相続権の有無に影響しません。
申告の前に、再婚家庭で落としやすい項目を確認します。
チェックリスト:再婚家庭の相続で確認すること
重要ポイント:最も金額に響くのは継子の養子を人数制限の対象にしていないかです。5人と数えるべきところを4人で申告すると、基礎控除が600万円不足します。
相続税に使える控除と特例の一覧、適用の順番は下記の記事にまとめています。


養子縁組は届出をして終わりではありません。縁組をした後の関係が続く限り、相続権も続きます。
離婚しても縁組は自動的に解消されず、実の子の取り分にも影響します。税額が下がる一方で相続分が動くため、縁組を決める前に、その後に起きることまで見ておく必要があります。
再婚相手と離婚しても、継子との養子縁組は自動的には解消されません。離縁の手続きをしない限り、相続権は残り続けます。
離縁するには当事者の協議によるか、家庭裁判所の調停や裁判が必要です。協議が調わないまま亡くなれば、別れた相手の子が相続人として遺産分割に加わることになります。
| 状況 | 養子縁組 | 相続権 |
|---|---|---|
| 再婚相手と離婚した(離縁なし) | 続いている | ある |
| 離婚して離縁もした | 終了 | ない |
| 再婚相手が先に亡くなった | 続いている | ある |
注意点:離縁をすると法定相続人の数も1人減ります。基礎控除は600万円、生命保険と死亡退職金の非課税枠は合わせて1,000万円減るため、相続税は増えます。
参照元:e-Gov 法令検索 民法(第811条・第814条)
相続人が1人増えれば1人あたりの法定相続分は必ず小さくなります。税額は下がっても、実の子の取り分は減ります。
後妻と前妻の子2人がいる家庭で連れ子1人を養子にすると、前妻の子の法定相続分は4分の1から6分の1に下がります。遺産1億円なら1人2,500万円から約1,667万円になります。
| 縁組なし | 継子1人を養子 | |
|---|---|---|
| 相続人 | 後妻・前妻の子2人 | 後妻・前妻の子2人・養子1人 |
| 後妻の相続分 | 2分の1 | 2分の1 |
| 前妻の子1人あたり | 4分の1 | 6分の1 |
| 遺産1億円での金額 | 2,500万円 | 約1,667万円 |
| 相続税の総額 | 630.0万円 | 525.0万円 |
表の見方:税額は105.0万円下がりますが、前妻の子1人あたりの取り分は約833万円減ります。節税額より取り分の減少のほうが大きくなる点が、再婚家庭で縁組が揉める原因です。
重要ポイント:前妻の子に事前に説明しないまま縁組をすると、相続が始まってから初めて知って争いになります。縁組は相手の同意なくできる手続きですが、説明しておくかどうかで揉め方が変わります。
相続税を減らす目的だけの養子縁組は、法定相続人の数に含めないと判断されることがあります。
相続税法63条は、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果になると認められる場合、その養子を人数に含めないと定めています。
注意点:実際に親子として生活してきた継子との縁組が否認される可能性は低いです。問題になりやすいのは、亡くなる直前に面識のない相手と縁組をした場合です。同居や扶養の実態を示せるようにしておくと安全です。
重要ポイント:否認されるとその養子は法定相続人の数から外されます。基礎控除も非課税枠も減るため、申告後に指摘されれば修正申告になります。縁組の時期と目的を説明できるようにしておいてください。

再婚家庭の相続は相続人の確定と養子の数え方を誤ると税額が大きく変わります。複数の税理士から見積りを取り、提案の中身を比べてください。
継子が絡む相続では相続人の確定・実子とみなす判定・2割加算が同時に問われます。どれか1つを誤ると、納めすぎか修正申告のどちらかになります。
【相続税の対応実績がある税理士に相談すべき理由】
たとえば遺産1億円・後妻と前妻の子2人・連れ子2人を養子にした家庭で、A税理士は養子の人数制限があると考えて4人で申告しました。基礎控除は5,400万円、相続税の総額は525.0万円になります。
B税理士は継子の養子を実子とみなして5人で申告しました。基礎控除は6,000万円になり、総額は450.0万円です。75.0万円の差が生まれています。
比べるべきなのは相続人の確定にどこまで踏み込むかです。人数を間違えたまま計算されると、金額の比較そのものが成り立ちません。
判定ポイント1:養子の数え方を最初に確認するか見積りの段階で「連れ子さんとは養子縁組をしていますか」と聞いてくるかどうかを見てください。→ 質問がないまま金額だけ出す事務所は、人数を仮置きしている可能性があります。
判定ポイント2:戸籍の収集を業務に含めているか「相続人の調査」「戸籍の取得代行」が見積りに入っているかを確認します。→ 含まれていないと、前妻の子を探す作業を自分で行うことになります。
判定ポイント3:二次相続の試算を出すか一次相続の税額だけを示す事務所と、後妻が亡くなったときまで試算する事務所があります。→ 再婚家庭では二次相続まで見ないと、実の子に財産が残らない分け方になります。
継子の扱いを誤ったまま申告すると、納めすぎても税務署から教えてもらえません。
【相談しないまま進めた場合のリスク】
納めすぎた税金を取り戻すには更正の請求が必要で、申告期限から5年を過ぎると請求できなくなります。複数の事務所から見積りを取っていれば、判定の違いはその時点で見えます。
見積りはフォームの記入5分から始められます。
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重要ポイント:STEP1で養子縁組の有無を整理しておくことが、見積りの精度を大きく左右します。縁組の有無で法定相続人の数が変わり、税額が変わるためです。
養子縁組の届出をしているかどうかの違いです。継子は配偶者の子で一親等の姻族にあたり、相続権がありません。
養子縁組をすると縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得し、実子と同じ相続権を持ちます(民法809条)。一緒に暮らした年数や世話をしてきた事実は、相続権の有無に影響しません。
法定相続人が1人増えるごとに基礎控除が600万円、生命保険金と死亡退職金の非課税枠が合わせて1,000万円増えます。
後妻と前妻の子2人がいる家庭で連れ子2人を養子にすると、遺産1億円なら相続税の総額は630.0万円から450.0万円になり180.0万円下がります。遺産6,000万円なら基礎控除が6,000万円になり0円になります。
されません。2割加算の対象から外れるのは一親等の血族と配偶者で、養子は一親等の血族です。
相続税法18条2項が一親等の血族から除いているのは直系卑属が養子になっている場合、つまり孫養子などに限られます。継子は配偶者の子で直系卑属ではないため、この除外に当たりません。
旧民法の時代に「家」に生まれた子を指す言葉で、現在の継子とは別のものです。
国税庁の質疑応答事例では、家附の継子は相続税法15条2項の相続人に含まれる一方、法的な親族関係は姻族のままなので18条の2割加算が適用されると示されています。人数には入るが加算はされるという、継子の養子とは逆の扱いになります。
遺言で他の相続人に相続させると書くことはできますが、前妻の子の遺留分までは奪えません。遺留分は法定相続分の2分の1で、請求されれば金銭で支払う必要があります。請求されたときに備えて、遺留分に相当する現金や生命保険を用意しておくのが現実的な対策です。
継子と養子を分けているのは養子縁組の届出だけです。縁組をすれば相続権が生まれるだけでなく、税額の面でも他の養子より有利な扱いを受けられます。
この記事の要点をまとめます。
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年9月時点の法令等に基づいて作成しています。相続税法の改正により取り扱いが変わる場合があります。最新の制度については国税庁のホームページや税理士にご確認ください。