継子と養子の違い|再婚後の相続で前妻の子・連れ子に相続権はあるか

再婚_相続税_継子

継子とは、配偶者の子で自分とは血のつながりがない子のことです。連れ子、義理の子と呼ばれることもありますが、法律上はどれも同じ立場を指しています。

継子と養子の違いは、養子縁組をしているかどうかの一点だけです。縁組をしていない継子に相続権はなく、縁組をした日から実子と同じ相続権を持ちます。

再婚した家庭では相続人が見えにくくなります。前妻は相続人になりませんが、前妻との間の子は相続人です。

この違いは税額にも表れます。遺産1億円で継子2人を養子にすると、相続税の総額は180.0万円下がります。

しかも継子の養子は他の養子と扱いが違い、基礎控除を計算するときの人数の上限を受けません。

孫を養子にすると相続税が2割増しになりますが、継子の養子は加算されません。

この記事では、継子と養子の違い、再婚後に相続人になる人とならない人、養子にすると税額がどう下がるか、2割加算の扱い、縁組をしない場合の渡し方、前妻の子がいる場合の申告、使える特例と控除、トラブルの防ぎ方、縁組をした後に起きることまでを解説します。

▼ この記事の3行まとめ

  • 継子に相続権はない。養子縁組をした日から実子と同じ相続権を持つ
  • 継子の養子は人数の制限を受けず、2割加算もされない。孫を養子にする場合より有利になる
  • 遺産1億円で継子2人を養子にすると相続税の総額が180.0万円下がる。生命保険の非課税枠も1,000万円分増える
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継子と養子の違いは養子縁組をしたかどうかだけ

継子と養子を分けているのは養子縁組の届出をしたかどうかという一点です。一緒に暮らした年数や、実際に世話をしてきたかどうかは関係ありません。

法律は血のつながりと届出で相続人を決めています。感情の面では納得しにくい部分ですが、まずは誰が相続人になるのかを条文どおりに整理しておくことが、再婚家庭の相続では出発点になります。

継子は親族だが血族ではない

民法725条は、六親等内の血族・配偶者・三親等内の姻族を親族と定めています。継子は配偶者の子なので一親等の姻族にあたり、親族ではあります。

しかし相続人になるのは血族と配偶者だけです。民法887条1項が「被相続人の子は、相続人となる」と定める「子」に、姻族である継子は含まれません。親族であることと相続人になることは別だという点が、再婚家庭でいちばん誤解されやすい部分です。

呼び方 意味 法律上の立場 相続権
継子(ままこ) 配偶者の子で血のつながりがない子 一親等の姻族 ない
連れ子 再婚相手が前の家庭から連れてきた子 同じく一親等の姻族 ない
義理の子 継子・連れ子の口語的な呼び方 同じく一親等の姻族 ない
養子 養子縁組の届出をした子 一親等の血族(嫡出子) ある
前妻の子 離婚した相手との間に生まれた実の子 一親等の血族 ある

表の見方:継子・連れ子・義理の子は呼び方が違うだけで、法律上はすべて同じ一親等の姻族です。相続の場面ではどの言葉を使っても結論は変わりません。

重要ポイント:離婚しても、前妻との間の子との血のつながりは切れません。前妻の子は再婚後も変わらず相続人です。一方で継子は一緒に暮らしていても相続人にならないため、実態と法律上の扱いが逆転して見えることがあります。

参照元:e-Gov 法令検索 民法(第725条・第887条)

養子縁組をすると縁組の日から嫡出子になる

民法809条には「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する」と書かれています。届出をした日から実子と同じ相続権を持ちます。

民法727条により、養親の血族との間にも血族と同じ親族関係が生じます。養親の親の相続でも代襲相続の対象になりますが、縁組より前に生まれていた養子の子には、養親の血族との関係が生じません。

【養子縁組で変わること】

  • 相続権|縁組の日から実子と同じ相続権を持つ(民法809条)
  • 法定相続分|実子と同じ。実子2人と養子1人なら3人で等分する
  • 扶養と親権|養親に扶養義務と親権が生じる
  • 実親との関係|普通養子縁組なら実親との親子関係も残るので、実親の相続人でもあり続ける
  • 氏|原則として養親の氏になる(民法810条)

注意点:相続権が生じるのは縁組の届出をした日からです。長年一緒に暮らしていても、届出前に亡くなれば相続人になりません。手続きを先延ばしにすると間に合わなくなることがあります。

参照元:e-Gov 法令検索 民法(第727条・第809条・第810条)

普通養子縁組と特別養子縁組の違い

養子縁組には2種類あります。継子を養子にする場合は通常は普通養子縁組です。

普通養子縁組 特別養子縁組
実親との関係 残る 終了する(民法817条の2)
実親の相続人になるか なる ならない
養親の相続人になるか なる なる
手続き 市区町村への届出 家庭裁判所の審判が必要
年齢の要件 養親より年下であればよい 原則として15歳未満
継子を養子にする場合 こちらが一般的 要件が厳しく例は少ない

重要ポイント:普通養子縁組なら実親と養親の両方の相続人になれます。継子が前の親の相続権を失うことはないため、縁組をすると実の親から相続できなくなるという心配は不要です。

参照元:e-Gov 法令検索 民法(第817条の2)

養子縁組をしていなくても財産が渡るケース

相続権がなくても、継子が財産を受け取る方法はあります。遺言による遺贈と、生命保険金の受取人指定の2つです。

ただしどちらも税金の扱いは相続人より不利になります。受け取った財産に2割加算がかかり、生命保険金の非課税枠も使えません。金額が同じでも手元に残る額が変わるため、渡し方を決める前に税額まで確認しておく必要があります。

【縁組をしていない継子に財産を渡す方法】

  • 遺言で遺贈する|確実に渡せるが2割加算がかかる
  • 生命保険金の受取人にする|遺産分割の対象外だが非課税枠は使えない
  • 生前贈与する|年110万円までは贈与税がかからない
  • 養子縁組をする|相続人になるので2割加算も非課税枠の制限もない

渡し方ごとの税額の違いは、この記事の後半で金額を挙げて比べます。

再婚後の相続で相続人になる人とならない人

再婚家庭では相続人の顔ぶれが複雑になります。前妻・前妻の子・後妻・後妻の連れ子・再婚後の子が同時に登場するためです。

誰が相続人になるかを取り違えると、基礎控除の金額が変わり、遺産分割のやり直しにもつながります。立場ごとに結論を整理しておきます。

前妻は相続人にならないが、前妻の子は相続人になる

配偶者が相続人になるのは、亡くなった時点で婚姻関係にある人だけです。離婚した時点で前妻は相続人ではなくなります。

一方で親子関係は離婚しても切れません。前妻が引き取って何十年も会っていない場合でも、前妻との間の子は後妻の子とまったく同じ相続分を持ちます。養育費を払っていたかどうかや、交流があったかどうかも関係ありません。

立場 相続人になるか 法定相続分(配偶者と子がいる場合)
前妻(元配偶者) ならない なし
前妻との間の子 なる 後妻の子と同じ
後妻(現在の配偶者) なる 2分の1
後妻との間の子 なる 前妻の子と同じ
後妻の連れ子(縁組なし) ならない なし
後妻の連れ子(養子縁組あり) なる 実子と同じ

表の見方:血のつながりがある子は、親が離婚しても再婚しても相続人であり続けます。逆に血のつながりのない継子は、同居していても縁組がなければ相続人になりません。

重要ポイント:前妻の子を外して遺産分割協議をしてもその協議は無効です。相続人全員がそろっていない協議は成立しません。連絡が取りにくい相手でも、必ず参加してもらう必要があります。

参照元:国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分

相続人の範囲と人数の数え方は、下記の記事で詳しく解説しています。

自分のケースで誰が相続人になるかの判定表

よくある家族構成をあてはめて、法定相続人の数を確認します。この人数が基礎控除の金額を決めます。

家族構成 相続人 法定相続人の数 基礎控除
後妻+前妻の子2人(連れ子なし) 後妻・前妻の子2人 3人 4,800万円
後妻+前妻の子2人+連れ子1人(縁組なし) 後妻・前妻の子2人 3人 4,800万円
後妻+前妻の子2人+連れ子1人(養子) 後妻・前妻の子2人・養子1人 4人 5,400万円
後妻+前妻の子2人+連れ子2人(養子) 後妻・前妻の子2人・養子2人 5人 6,000万円
後妻+前妻の子2人+再婚後の子1人 後妻・子3人 4人 5,400万円
後妻のみ(子がいない) 後妻・被相続人の親または兄弟姉妹 親や兄弟姉妹の人数による 人数に応じて変わる

計算ロジック:基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。連れ子1人を養子にすると人数が1人増えるので基礎控除は600万円増えます。2人を養子にすれば1,200万円増えます。

重要ポイント:連れ子は縁組をしなければ人数に一切入りません。同居していても、家業を手伝っていても結果は同じです。再婚家庭の相続対策で最初に確認すべきなのがこの点です。

参照元:国税庁 No.4152 相続税の計算

内縁関係なら相続人にならない

婚姻届を出していない内縁のパートナーはどれだけ長く暮らしていても相続人になりません。その連れ子も同じです。

再婚したつもりでも届出をしていなければ、法律上は他人として扱われます。相続の場面で初めてその事実に直面することが多く、生活の実態と法律上の結論が大きく食い違う典型例です。

注意点:内縁のパートナーに財産を渡すには遺贈しかありません。2割加算がかかり、生命保険の非課税枠も使えません。配偶者の税額軽減も適用されないため、税負担は最も重くなります。

内縁・事実婚のパートナーに財産を残す方法は、下記の記事で解説しています。

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継子を養子にすると相続税が下がる|人数の制限を受けないため

養子縁組は相続税を下げる効果があります。法定相続人が1人増えるだけで、基礎控除は600万円・非課税枠は1,000万円広がります。

しかも継子の養子には、他の養子にはない有利さがあります。相続税法が定める養子の人数制限を受けないため、継子が3人いれば3人とも法定相続人の数に入ります。

養子は原則として1人か2人までしか数えられない

相続税法15条2項は、基礎控除を計算するときの養子の数に上限を設けています。実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人までです。

相続人を増やすためだけの養子縁組を防ぐための規定です。民法上は何人でも養子にできますが、税額の計算では人数が頭打ちになります。孫を3人養子にしても、実子がいれば基礎控除は600万円しか増えません。

実子の有無 数えられる養子の数 孫3人を養子にした場合
実子がいる 1人まで 1人しか数えられない
実子がいない 2人まで 2人まで数えられる

重要ポイント:この制限は基礎控除・生命保険の非課税枠・相続税の総額の計算に使う「法定相続人の数」だけの話です。民法上は全員が相続人なので、遺産分割では人数どおりに分けます。

参照元:国税庁 No.4170 相続人の中に養子がいるとき

継子の養子はこの制限を受けない

相続税法15条3項1号は、配偶者の実子で被相続人の養子となった者は実子とみなすと定めています。継子を養子にした場合がこれにあたります。

実子として扱われるため、15条2項の人数制限はかかりません。継子が3人いれば3人とも法定相続人の数に入り、基礎控除は1,800万円増えます。同じ人数の孫を養子にしても、実子がいれば600万円しか増えません。

誰を養子にするか 人数の制限 3人を養子にしたときに数えられる人数
継子(配偶者の実子) 制限なし 3人
孫(実子がいる場合) 1人まで 1人
甥・姪など(実子がいる場合) 1人まで 1人
特別養子縁組による養子 制限なし 3人

計算ロジック:条文は特別養子縁組による養子と並べて「当該被相続人の配偶者の実子で当該被相続人の養子となつた者」を実子とみなしています。再婚相手の連れ子を養子にした場合がここに当てはまります。

注意点:実子とみなされるのは配偶者の実子である場合です。再婚相手が前の結婚で養子にしていた子を、さらに自分の養子にした場合は原則として制限の対象になります。

参照元:e-Gov 法令検索 相続税法(第15条)

遺産額別|継子2人を養子にした場合としない場合の相続税

後妻と前妻の子2人がいる家庭で、後妻の連れ子2人を養子にするかどうかで比べます。遺産1億円なら180.0万円下がります。

遺産の総額 縁組なし(相続人3人) 継子2人を養子(相続人5人) 差
6,000万円 120.0万円 0円 120.0万円
8,000万円 350.0万円 200.0万円 150.0万円
1億円 630.0万円 450.0万円 180.0万円
1億5,000万円 1,495.0万円 1,175.0万円 320.0万円
2億円 2,700.0万円 2,250.0万円 450.0万円

表の見方:いずれも相続税の総額です。実際に納める額は配偶者の税額軽減を使えばさらに下がりますが、総額そのものが下がる点がこの表の要点です。

計算ロジック:相続人3人の基礎控除は4,800万円、5人なら6,000万円です。差額1,200万円に加えて、相続税の総額を計算するときの1人あたりの取得金額が下がり、低い税率が適用される部分が増えるため差が広がります。

重要ポイント:遺産6,000万円なら継子2人を養子にすると相続税が0円になります。基礎控除が6,000万円になり、遺産の全額が控除されるためです。

参照元:国税庁 No.4152 相続税の計算

養子縁組で相続税がどこまで下がるかと、否認されるリスクは下記の記事で解説しています。

生命保険と死亡退職金の非課税枠も増える

養子縁組で増えるのは基礎控除だけではありません。生命保険金と死亡退職金の非課税枠も、法定相続人の数で決まります。

どちらも500万円に法定相続人の数を掛けた金額が非課税になります。2つの枠は別々に用意されているため、1人増えると合計で1,000万円分広がります。

状況 法定相続人の数 基礎控除 保険金の枠 退職金の枠 合計
縁組なし 3人 4,800万円 1,500万円 1,500万円 7,800万円
継子1人を養子 4人 5,400万円 2,000万円 2,000万円 9,400万円
継子2人を養子 5人 6,000万円 2,500万円 2,500万円 1億1,000万円

重要ポイント:継子2人を養子にすると、3つの枠を合わせて3,200万円分広がります。保険や退職金がある家庭では、基礎控除の増加より効果が大きくなることもあります。

注意点:非課税枠を使えるのは相続人が受け取った保険金だけです。縁組をしていない継子を受取人にしていると、枠を1円も使えません。受取人の指定と縁組の有無をセットで確認してください。

参照元:国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金

参照元:国税庁 No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金

継子を養子にしても2割加算はされない|孫を養子にした場合との違い

養子縁組で相続税が2割増しになる話を聞いたことがあるかもしれません。それは孫を養子にした場合の話で、継子には当てはまりません。

同じ養子でも扱いが分かれるのは、条文が「直系卑属」に限って加算しているためです。継子は直系卑属ではないので対象から外れます。

2割加算の対象になるのは誰か

相続税法18条1項は、一親等の血族と配偶者以外の人が財産を取得したときに、相続税を2割増しにすると定めています。

養子は民法809条により嫡出子の身分を持つため、一親等の血族です。そのため養子であること自体は加算の理由になりません。加算されるかどうかは、養子であるかではなく誰を養子にしたかで決まります。

財産を取得した人 2割加算
配偶者 かからない
実子 かからない
継子を養子にした場合 かからない
父母 かからない
孫を養子にした場合 かかる
兄弟姉妹・甥姪 かかる
縁組をしていない継子(遺贈で受け取った場合) かかる
代襲相続人になった孫 かからない

表の見方:加算されるかどうかは一親等の血族かどうかで決まります。養子は一親等の血族なので、原則として加算されません。

参照元:国税庁 No.4157 相続税額の2割加算

孫を養子にすると加算されるのに継子は加算されない理由

一親等の血族から除かれるのは、相続税法18条2項により直系卑属が養子となっている場合です。つまり孫やひ孫を養子にしたケースを指しています。

継子は配偶者の子であって、自分の直系卑属ではありません。血のつながりで下の世代へ降りていく関係ではないためです。そのため18条2項の除外に当たらず、一親等の血族のまま扱われます。孫養子が加算されるのは、親を飛ばして1世代分の相続税を回避できてしまうためです。

人数の制限 2割加算 根拠
継子の養子 なし(実子とみなす) されない 相続税法15条3項1号・18条
孫の養子 あり(実子がいれば1人) される 相続税法15条2項・18条2項
代襲相続人になった孫 なし されない 相続税法15条3項2号・18条1項の括弧書き
家附の継子 なし(相続人に含む) される 国税庁 質疑応答事例

重要ポイント:継子の養子は人数の制限を受けず、2割加算もされません。相続税の面では、養子縁組のなかで最も有利な組み合わせです。

計算ロジック:18条2項が除いているのは直系卑属の養子だけです。継子は配偶者の子で直系卑属ではないため、条文の除外規定にそもそも当てはまりません。

参照元:e-Gov 法令検索 相続税法(第18条)

孫を養子にした場合の2割加算と、代襲相続人になった孫との違いは下記の記事で解説しています。

金額で見る2割加算の差

遺産1億円、後妻と前妻の子2人がいる家庭で、継子に2,500万円を渡す場合の税額を比べます。

渡し方 法定相続人の数 相続税の総額 継子の按分税額 2割加算 継子が納める額
養子縁組をして相続させる 4人 525.0万円 131.2万円 なし 131.2万円
縁組をせず遺言で渡す(遺贈) 3人 630.0万円 157.5万円 あり 189.0万円

計算ロジック:養子縁組をすると法定相続人が4人になり、基礎控除が5,400万円に増えて総額が525.0万円まで下がります。継子の取得割合4分の1に対する按分税額は131.2万円で、加算はありません。

計算ロジック(遺贈の場合):相続人は3人のままなので総額は630.0万円です。按分税額157.5万円に2割を加えて189.0万円になります。

重要ポイント:同じ2,500万円を渡すのに、縁組の有無だけで57.8万円の差が生まれます。しかも遺贈では生命保険金の非課税枠も使えないため、実際の差はこれより大きくなることがあります。

養子縁組をしない場合に継子へ財産を渡す方法と税額

養子縁組は相続税の面で有利ですが、実の親との関係や他の相続人の気持ちを考えて選ばない家庭もあります。

縁組をしない場合でも財産を渡す方法はあります。ただし税額は縁組をした場合より重くなるため、差額を知ったうえで選ぶことが大切です。相続税だけでなく贈与税の税率にも差が出るので、渡し方ごとに比べておきます。

遺贈すると2割加算がかかり非課税枠も使えない

遺言で継子に財産を渡すことはできます。ただし継子は相続人ではないため、受け取った財産に2割加算がかかります。

さらに相続人でないことによる不利がいくつも重なります。生命保険金と死亡退職金の非課税枠が使えず、未成年者控除や障害者控除も適用されません。

【縁組をしていない継子が受ける不利】

  • 2割加算がかかる|取得した財産に対する相続税が1.2倍になる
  • 生命保険金の非課税枠が使えない|相続人が受け取った保険金だけが対象のため
  • 死亡退職金の非課税枠も使えない|同じ理由
  • 未成年者控除・障害者控除が使えない|法定相続人であることが要件のため
  • 法定相続人の数に入らない|基礎控除も非課税枠も増えない
  • 相続時精算課税を選べない|推定相続人ではないため生前贈与でも不利になる

重要ポイント:不利になるのは2割加算だけではありません。非課税枠と控除が同時に使えなくなるため、同じ金額を渡しても手元に残る額の差は大きくなります。

参照元:国税庁 No.4157 相続税額の2割加算

遺贈と相続の違い、遺贈にかかる税金の計算は下記の記事で解説しています。

3つの渡し方の税額を比べる

遺産1億円、後妻と前妻の子2人がいる家庭で、継子に2,500万円を渡す場合を3つの方法で比べます。

養子縁組をする 遺言で遺贈する 生前贈与する
相続人になるか なる ならない ならない
法定相続人の数 4人 3人 3人
基礎控除 5,400万円 4,800万円 4,800万円
2割加算 なし あり -
生命保険の非課税枠 使える 使えない -
かかる税金 相続税 相続税 贈与税
2,500万円を渡したときの税額 131.2万円 189.0万円 年110万円までなら0円

表の見方:養子縁組と遺贈は同じ相続税ですが、縁組の有無で57.8万円変わります。生前贈与は税目が変わるため、渡す期間と金額で有利さが決まります。

計算ロジック:養子縁組をすると相続人が4人になり総額525.0万円、継子の按分税額131.2万円に加算はありません。遺贈では相続人が3人のままで総額630.0万円、按分税額157.5万円に2割を加えて189.0万円になります。

注意点:生前贈与は年110万円までなら贈与税がかかりませんが、2,500万円を渡すには20年以上かかります。一度に渡せば高い贈与税がかかるため、早い時期から始めないと効果が出ません。

継子への贈与は贈与税の税率も高くなる

生前贈与で渡す場合も差が出ます。継子への贈与には高いほうの税率が適用されます。

贈与税には一般税率と特例税率の2つがあります。特例税率を使えるのは18歳以上の子や孫など直系卑属への贈与に限られ、縁組をしていない継子は対象になりません。

1年間の贈与額 継子(一般税率) 養子にした継子(特例税率) 差
300万円 19.0万円 19.0万円 0円
500万円 53.0万円 48.5万円 4.5万円
700万円 112.0万円 88.0万円 24.0万円
1,000万円 231.0万円 177.0万円 54.0万円
1,500万円 450.5万円 366.0万円 84.5万円

計算ロジック:いずれも年110万円の基礎控除を引いた後の金額に税率をかけています。1,000万円の贈与なら課税対象は890万円で、一般税率は40%、特例税率は30%です。控除額の違いも加わって54.0万円の差になります。

重要ポイント:贈与額が小さいうちは差が出ませんが、700万円を超えたあたりから開きます。まとまった金額を一度に渡す予定があるなら、縁組をしてからのほうが税負担は軽くなります。

参照元:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

生前贈与の年110万円の使い方と持ち戻しのルールは、下記の記事で解説しています。

継子には相続時精算課税を使えない

生前贈与で2,500万円まで贈与税をかけずに渡せる相続時精算課税は、継子には使えません。

この制度を選べるのは、贈与を受けた年の1月1日に18歳以上で、贈与した人の推定相続人である直系卑属または孫に限られるためです。縁組をしていない継子はどれにも当てはまりません。

受け取る人 相続時精算課税 理由
実子 選べる 推定相続人である直系卑属
養子にした継子 選べる 縁組により推定相続人である直系卑属になる
縁組をしていない継子 選べない 推定相続人でも直系卑属でも孫でもない
孫 選べる 条文に孫が明記されている

重要ポイント:養子縁組をすればその日から相続時精算課税を選べるようになります。生前に大きな金額を渡したい場合、縁組の有無が使える制度を左右します。

参照元:国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択

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前妻の子がいる場合の申告で起きること

再婚家庭の相続で実務がいちばん止まるのは、前妻の子と連絡が取れない場面です。

会ったこともない相手に連絡し、遺産分割に加わってもらう必要があります。それでも申告期限は延びないため、進め方を知っておくかどうかで結果が変わります。期限に間に合わないと、使えたはずの特例まで失うことになります。

前妻の子を人数に入れないと基礎控除が足りなくなる

前妻の子の存在を知らずに申告すると、法定相続人の数が少なくなり基礎控除が不足します。後から判明すれば修正申告になります。

戸籍を出生までさかのぼって取得すれば、前の結婚や認知した子は必ず記録されています。家族が知らなかった子が見つかることも珍しくありません。

重要ポイント:相続人の確定は被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍で行います。本籍を移していると複数の市区町村から取り寄せることになり、数週間から数か月かかることがあります。

参照元:国税庁 No.4205 相続税の申告と納税

相続税の申告書の書き方と提出までの流れは、下記の記事で解説しています。

連絡が取れなくても申告期限は延びない

申告期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。相続人の一部と連絡が取れないことは、期限が延びる理由になりません。

居場所が分からない場合は、戸籍の附票で住所をたどるのが最初の手順です。それでも所在が分からないときは、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立て、その管理人が代わりに遺産分割に参加します。

STEP1
戸籍を出生までさかのぼる
前妻の子や認知した子がいないかを確認します。相続人が確定しないと基礎控除の金額も決まりません。

⬇

STEP2
戸籍の附票で住所を調べる
本籍地の市区町村で取得できます。転居を繰り返していても、住民票の移動が記録されています。

⬇

STEP3
手紙で連絡する
突然の電話や訪問は警戒されます。経緯と財産の内容を書いた手紙から始めるほうが応じてもらえます。

⬇

STEP4
それでも所在が分からなければ家庭裁判所へ
不在者財産管理人の選任を申し立てます。選任まで数か月かかるため、早めに動く必要があります。

注意点:相続人を1人でも欠いた遺産分割協議は無効です。後から見つかった相続人は、協議のやり直しを求められます。先に相続人を確定させてから協議に入ってください。

分けられないときは未分割で申告する

期限までに分割がまとまらない場合は、法定相続分で分けたものとして申告し、税金を納めます。これを未分割の申告といいます。

未分割のままだと配偶者の税額軽減も小規模宅地等の特例も使えません。ただし申告書と一緒に申告期限後3年以内の分割見込書を提出しておけば、3年以内に分割できた時点で特例を適用し、払いすぎた税金を取り戻せます。

【未分割で申告するときの手順】

  • 法定相続分で分けたものとして計算する|実際の分割とは関係なく、いったん納税する
  • 申告期限後3年以内の分割見込書を添付する|これを出さないと原則として後から特例を使えない
  • 分割がまとまったら更正の請求をする|分割の日の翌日から4か月以内
  • 3年を超えそうなときは承認申請をする|訴訟中などやむを得ない事情があれば期限を延ばせる

重要ポイント:分割見込書は申告書と一緒に出さなければ意味がありません。後から出せるのは税務署長がやむを得ないと認めた場合だけで、原則として配偶者の税額軽減も小規模宅地等の特例も使えないまま確定してしまいます。

参照元:国税庁 No.4208 相続財産が分割されていないときの申告

遺留分を請求されたら申告をやり直す

前妻の子に財産を渡さない遺言を残しても、遺留分を請求する権利までは奪えません。

請求が認められて財産が移動すると、各人の取得額が変わります。払いすぎた側は更正の請求、不足する側は修正申告をして精算します。

立場 手続き 期限
遺留分を渡した側(取得額が減る) 更正の請求 和解や判決が確定した日の翌日から4か月以内
遺留分を受け取った側(取得額が増える) 修正申告 同じ時期に行う

注意点:遺留分の請求ができるのは相続の開始と侵害を知ったときから1年以内です。申告を終えたあとに請求されることもあるため、遺言を作る段階で遺留分に相当する現金を用意しておくと揉めにくくなります。

継子や養子が使える特例と控除

養子縁組をすれば相続人が使える特例と控除はすべて実子と同じように使えます。

逆に縁組をしていない継子は、相続人であることが条件の制度をひとつも使えません。どの制度に差が出るのかを確認します。金額が大きいのは小規模宅地等の特例で、自宅の評価額が8割下がるかどうかが分かれます。

小規模宅地等の特例は養子でも使える

自宅の土地の評価額を8割下げられる小規模宅地等の特例は、養子にした継子でも使えます。相続人であることが前提の特例だからです。

同居していた継子を養子にしていれば、同居親族として330平方メートルまで適用できます。縁組をしていなければ、同じ家に住んでいても対象になりません。

継子の状況 小規模宅地等の特例 配偶者の税額軽減 未成年者控除
養子縁組をして同居していた 使える - 使える
縁組なしで同居していた 使えない - 使えない
縁組なしで遺贈を受けた 使えない - 使えない

重要ポイント:同居していた継子に自宅を継がせたいなら、養子縁組が特例を使える唯一の道です。評価額1億円の自宅なら、8割減で課税価格が8,000万円下がります。

参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

小規模宅地等の特例の要件と適用できる人の範囲は、下記の記事で解説しています。

未成年者控除と障害者控除は法定相続人だけ

継子が未成年なら、養子にしていれば18歳になるまでの年数1年につき10万円を相続税から引けます。

障害がある場合は85歳になるまでの年数1年につき10万円、特別障害者なら20万円を引けます。いずれも法定相続人であることが要件なので、縁組をしていない継子は対象外です。

注意点:本人の相続税から引ききれない分は、扶養義務者の相続税から差し引けます。継子が幼くて取得額が少ない場合でも、控除が無駄になることはありません。

参照元:国税庁 No.4164 未成年者の税額控除

参照元:国税庁 No.4167 障害者の税額控除

未成年者控除の年齢別の控除額と扶養義務者への振り替えは、下記の記事で解説しています。

障害者控除の対象になる範囲と2回目以降の制限は、下記の記事で解説しています。

配偶者の税額軽減を使い切ると二次相続で跳ね返る

後妻が取得した分は1億6,000万円まで相続税がかかりません。ただし再婚家庭では後妻に集めると前妻の子に財産が渡らなくなります。

後妻が亡くなったときの相続人は、後妻の実子や連れ子です。前妻の子は後妻と血のつながりがないため、後妻の相続では相続人になりません。

父の遺産1億円、相続人は後妻と前妻の子2人、後妻には連れ子1人(父とは縁組なし)というケースで比べます。

後妻の取得割合 一次相続の納税 二次相続の納税 合計 前妻の子2人が受け取る額
0% 630.0万円 0円 630.0万円 1億円
25% 472.5万円 0円 472.5万円 7,500万円
50% 315.0万円 160.0万円 475.0万円 5,000万円
100% 0円 1,220.0万円 1,220.0万円 0円

表の見方:一次相続だけを見ると、後妻に全部渡せば納税は0円です。しかし二次相続まで含めると合計1,220.0万円で最も重くなります。しかも前妻の子には1円も渡りません。

計算ロジック:後妻が取得した財産は、後妻が亡くなったときに後妻の相続人へ引き継がれます。このケースでは連れ子1人だけが相続人なので基礎控除は3,600万円です。1億円を引き継ぐと1,220.0万円の相続税がかかります。

重要ポイント:再婚家庭では配偶者の税額軽減を使い切る分け方が最も不利になりやすいです。税額が最大になるうえに、実の子に財産が残りません。通常の家庭とは判断が逆になる点に注意してください。

参照元:国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減

配偶者にいくら渡すのが有利かという判断は、下記の記事で解説しています。

再婚家庭で起きやすいトラブルと防ぎ方

再婚家庭の相続は相続人どうしが初対面ということが珍しくありません。話し合いが進まず、申告期限だけが迫る展開になりやすいです。

起きやすい場面を先に知っておけば、生前に手を打てます。実際に起きている3つの事例と対策を挙げます。いずれも特別な事情があったわけではなく、確認を後回しにした結果として起きています。

起きやすい3つの事例と対策

いずれも生前に遺言と現金を用意していれば防げたケースです。

【事例1】連れ子に相続権があると思い込んでいた

  • 20年一緒に暮らした継子に自宅を継がせるつもりだったが、養子縁組をしていなかった
  • 継子は相続人でないため遺産分割協議に参加できず、自宅は前妻の子2人が相続することになった
  • 対策|養子縁組をするか、遺言で継子に自宅を遺贈すると書いておく

【事例2】前妻の子と連絡が取れず申告が間に合わなかった

  • 前妻の子の居場所が分からず、遺産分割がまとまらないまま10か月が過ぎた
  • 配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例を使えず、納税額が数百万円増えた
  • 対策|期限までに未分割で申告し、申告期限後3年以内の分割見込書を必ず添付する

【事例3】後妻に全部相続させた結果、実の子に何も残らなかった

  • 一次相続で配偶者の税額軽減を使い切るため、後妻に全財産を相続させた
  • 後妻の死後、その財産は後妻の連れ子が相続。前妻の子には1円も渡らず、二次相続の税額も最大になった
  • 対策|一次相続の税額だけで決めず、二次相続まで含めて分け方を決める

重要ポイント:3つに共通するのは生前に確認しておけば避けられたという点です。相続が始まってからでは、縁組も遺言も間に合いません。

継子が相続人になるかを判定する手順

自分のケースで継子が相続人になるかどうかは、4つの手順で判定できます。

STEP1
婚姻届を出しているか確認する
内縁のままなら配偶者もその連れ子も相続人になりません。まず戸籍で婚姻の記載を確認します。

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STEP2
養子縁組の届出をしているか確認する
継子の戸籍に養子縁組の記載があるかを見ます。記載がなければ、同居していても相続人ではありません。

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STEP3
縁組の日付を確認する
相続権が生じるのは届出の日からです。亡くなった日より後に届け出ていれば相続人になりません。

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STEP4
普通養子縁組か特別養子縁組かを確認する
普通養子縁組なら実の親の相続人でもあり続けます。特別養子縁組なら実の親の相続権は失われています。

重要ポイント:判定に必要なのは戸籍だけです。同居年数や生活費を負担してきたかどうかは、相続権の有無に影響しません。

提出前のチェックリスト

申告の前に、再婚家庭で落としやすい項目を確認します。

チェックリスト:再婚家庭の相続で確認すること

  • □ 被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて取得したか
  • □ 前妻との間の子や認知した子がいないか確認したか
  • □ 継子と養子縁組をしているかを戸籍で確認したか
  • □ 縁組の届出日が亡くなった日より前か確認したか
  • □ 継子の養子を人数制限の対象にしていないか(実子とみなす)
  • □ 継子の養子に2割加算をしていないか
  • □ 生命保険の受取人が相続人になっているか
  • □ 相続人全員が遺産分割協議に参加しているか
  • □ 分割がまとまらないなら分割見込書を添付したか
  • □ 二次相続まで含めて後妻の取得割合を決めたか

重要ポイント:最も金額に響くのは継子の養子を人数制限の対象にしていないかです。5人と数えるべきところを4人で申告すると、基礎控除が600万円不足します。

相続税に使える控除と特例の一覧、適用の順番は下記の記事にまとめています。

養子縁組をした後に起きること

養子縁組は届出をして終わりではありません。縁組をした後の関係が続く限り、相続権も続きます。

離婚しても縁組は自動的に解消されず、実の子の取り分にも影響します。税額が下がる一方で相続分が動くため、縁組を決める前に、その後に起きることまで見ておく必要があります。

離婚しても養子縁組は解消されない

再婚相手と離婚しても、継子との養子縁組は自動的には解消されません。離縁の手続きをしない限り、相続権は残り続けます。

離縁するには当事者の協議によるか、家庭裁判所の調停や裁判が必要です。協議が調わないまま亡くなれば、別れた相手の子が相続人として遺産分割に加わることになります。

状況 養子縁組 相続権
再婚相手と離婚した(離縁なし) 続いている ある
離婚して離縁もした 終了 ない
再婚相手が先に亡くなった 続いている ある

注意点:離縁をすると法定相続人の数も1人減ります。基礎控除は600万円、生命保険と死亡退職金の非課税枠は合わせて1,000万円減るため、相続税は増えます。

参照元:e-Gov 法令検索 民法(第811条・第814条)

養子縁組をすると他の相続人の取り分が減る

相続人が1人増えれば1人あたりの法定相続分は必ず小さくなります。税額は下がっても、実の子の取り分は減ります。

後妻と前妻の子2人がいる家庭で連れ子1人を養子にすると、前妻の子の法定相続分は4分の1から6分の1に下がります。遺産1億円なら1人2,500万円から約1,667万円になります。

縁組なし 継子1人を養子
相続人 後妻・前妻の子2人 後妻・前妻の子2人・養子1人
後妻の相続分 2分の1 2分の1
前妻の子1人あたり 4分の1 6分の1
遺産1億円での金額 2,500万円 約1,667万円
相続税の総額 630.0万円 525.0万円

表の見方:税額は105.0万円下がりますが、前妻の子1人あたりの取り分は約833万円減ります。節税額より取り分の減少のほうが大きくなる点が、再婚家庭で縁組が揉める原因です。

重要ポイント:前妻の子に事前に説明しないまま縁組をすると、相続が始まってから初めて知って争いになります。縁組は相手の同意なくできる手続きですが、説明しておくかどうかで揉め方が変わります。

亡くなる直前の縁組は否認されることがある

相続税を減らす目的だけの養子縁組は、法定相続人の数に含めないと判断されることがあります。

相続税法63条は、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果になると認められる場合、その養子を人数に含めないと定めています。

注意点:実際に親子として生活してきた継子との縁組が否認される可能性は低いです。問題になりやすいのは、亡くなる直前に面識のない相手と縁組をした場合です。同居や扶養の実態を示せるようにしておくと安全です。

重要ポイント:否認されるとその養子は法定相続人の数から外されます。基礎控除も非課税枠も減るため、申告後に指摘されれば修正申告になります。縁組の時期と目的を説明できるようにしておいてください。

相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ
相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ

継子・前妻の子がいる相続は相続税の対応実績がある税理士へ|一括相談・見積り

再婚家庭の相続は相続人の確定と養子の数え方を誤ると税額が大きく変わります。複数の税理士から見積りを取り、提案の中身を比べてください。

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

継子が絡む相続では相続人の確定・実子とみなす判定・2割加算が同時に問われます。どれか1つを誤ると、納めすぎか修正申告のどちらかになります。

【相続税の対応実績がある税理士に相談すべき理由】

  • 継子の養子を実子として数えられる|相続税法15条3項の判定です。人数制限をかけると基礎控除が600万円単位で不足します
  • 2割加算の判定を誤らない|孫養子は加算され継子の養子は加算されません。条文の対象が直系卑属に限られるためです
  • 前妻の子を戸籍から確実に洗い出せる|出生までさかのぼる戸籍の収集を業務として引き受けます
  • 分割がまとまらない場合の道筋を示せる|未分割申告と分割見込書で特例を取り戻す準備ができます
  • 二次相続まで含めて分け方を提案できる|後妻に集めると前妻の子に財産が渡らない構造を踏まえた提案になります

たとえば遺産1億円・後妻と前妻の子2人・連れ子2人を養子にした家庭で、A税理士は養子の人数制限があると考えて4人で申告しました。基礎控除は5,400万円、相続税の総額は525.0万円になります。

B税理士は継子の養子を実子とみなして5人で申告しました。基礎控除は6,000万円になり、総額は450.0万円です。75.0万円の差が生まれています。

複数の税理士に相談するメリット

比べるべきなのは相続人の確定にどこまで踏み込むかです。人数を間違えたまま計算されると、金額の比較そのものが成り立ちません。

判定ポイント1:養子の数え方を最初に確認するか見積りの段階で「連れ子さんとは養子縁組をしていますか」と聞いてくるかどうかを見てください。→ 質問がないまま金額だけ出す事務所は、人数を仮置きしている可能性があります。

判定ポイント2:戸籍の収集を業務に含めているか「相続人の調査」「戸籍の取得代行」が見積りに入っているかを確認します。→ 含まれていないと、前妻の子を探す作業を自分で行うことになります。

判定ポイント3:二次相続の試算を出すか一次相続の税額だけを示す事務所と、後妻が亡くなったときまで試算する事務所があります。→ 再婚家庭では二次相続まで見ないと、実の子に財産が残らない分け方になります。

相談しないまま進めるリスク

継子の扱いを誤ったまま申告すると、納めすぎても税務署から教えてもらえません。

【相談しないまま進めた場合のリスク】

  • 養子の人数を少なく数えて納めすぎる|基礎控除が600万円不足し、気づかなければ戻ってきません
  • 継子の養子に2割加算をしてしまう|本来かからない加算を上乗せして申告することになります
  • 前妻の子を見落として修正申告になる|過少申告加算税と延滞税が上乗せされます
  • 遺産分割協議のやり直し|相続人を1人でも欠いた協議は無効です
  • 分割見込書を出し忘れて特例を失う|配偶者の税額軽減も小規模宅地等の特例も使えなくなります
  • 二次相続で実の子に財産が残らない|一次相続の税額だけで判断した結果として起きます

納めすぎた税金を取り戻すには更正の請求が必要で、申告期限から5年を過ぎると請求できなくなります。複数の事務所から見積りを取っていれば、判定の違いはその時点で見えます。

一括相談・見積りの手順|STEP1〜STEP4

見積りはフォームの記入5分から始められます。

STEP1
相続の概要を整理する
被相続人の資産の内容とおおよその金額、相続人の構成、それぞれの年齢、遺言の有無を書き出します。継子と養子縁組をしているかどうかも必ず整理してください。

⬇

STEP2
一括見積り・相談サービスに依頼する
相続税申告・相続税の節税・準確定申告など希望する内容を書き、3〜5の税理士事務所へ同時に打診します。不動産があれば所在地と広さを記載します。財産の種類と相続人の人数はできるだけ正確に伝えてください。フォームの記入は5分程度です。

⬇

STEP3
見積りと初回相談を受ける
各事務所から提案内容・試算した相続税額・報酬額が届きます。気になる事務所と初回相談を行い、養子の数え方と二次相続の考え方を確認します。

⬇

STEP4
税理士を選定して正式に依頼する
提案内容の質・説明の丁寧さ・報酬の納得性で選びます。相続開始から7か月以内に決めておくと申告に余裕が生まれます。

重要ポイント:STEP1で養子縁組の有無を整理しておくことが、見積りの精度を大きく左右します。縁組の有無で法定相続人の数が変わり、税額が変わるためです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 継子と養子の違いは何ですか?

養子縁組の届出をしているかどうかの違いです。継子は配偶者の子で一親等の姻族にあたり、相続権がありません。

養子縁組をすると縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得し、実子と同じ相続権を持ちます(民法809条)。一緒に暮らした年数や世話をしてきた事実は、相続権の有無に影響しません。

Q2. 連れ子を養子にすると相続税はいくら下がりますか?

法定相続人が1人増えるごとに基礎控除が600万円、生命保険金と死亡退職金の非課税枠が合わせて1,000万円増えます。

後妻と前妻の子2人がいる家庭で連れ子2人を養子にすると、遺産1億円なら相続税の総額は630.0万円から450.0万円になり180.0万円下がります。遺産6,000万円なら基礎控除が6,000万円になり0円になります。

Q3. 継子を養子にすると2割加算されますか?

されません。2割加算の対象から外れるのは一親等の血族と配偶者で、養子は一親等の血族です。

相続税法18条2項が一親等の血族から除いているのは直系卑属が養子になっている場合、つまり孫養子などに限られます。継子は配偶者の子で直系卑属ではないため、この除外に当たりません。

Q4. 家附の継子とは何ですか?

旧民法の時代に「家」に生まれた子を指す言葉で、現在の継子とは別のものです。

国税庁の質疑応答事例では、家附の継子は相続税法15条2項の相続人に含まれる一方、法的な親族関係は姻族のままなので18条の2割加算が適用されると示されています。人数には入るが加算はされるという、継子の養子とは逆の扱いになります。

Q5. 前妻の子に相続させない方法はありますか?

遺言で他の相続人に相続させると書くことはできますが、前妻の子の遺留分までは奪えません。遺留分は法定相続分の2分の1で、請求されれば金銭で支払う必要があります。請求されたときに備えて、遺留分に相当する現金や生命保険を用意しておくのが現実的な対策です。

まとめ|継子は縁組をした日から実子と同じ相続権を持つ

継子と養子を分けているのは養子縁組の届出だけです。縁組をすれば相続権が生まれるだけでなく、税額の面でも他の養子より有利な扱いを受けられます。

この記事の要点をまとめます。

  • 継子は一親等の姻族で相続人にならない。養子縁組をした日から実子と同じ相続権を持つ(民法809条)
  • 継子の養子は養子の人数制限を受けない。相続税法15条3項1号が実子とみなすため、何人でも法定相続人の数に入る
  • 継子の養子に2割加算はされない。18条2項が除いているのは直系卑属の養子だけで、継子は当てはまらない
  • 遺産1億円で継子2人を養子にすると総額が180.0万円下がる。生命保険と死亡退職金の非課税枠も1,000万円ずつ増える
  • 縁組をせず遺贈すると2割加算がかかり非課税枠も使えない。2,500万円を渡す場合で57.8万円の差になる
  • 前妻の子は再婚後も相続人であり続ける。外して行った遺産分割協議は無効になる
  • 後妻に集めると二次相続で跳ね返る。税額が最大になるうえ、前妻の子には財産が渡らない

今すぐ取るべき行動

  • 継子の戸籍を取り寄せ、養子縁組の記載があるか確認する
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍を集め、前妻の子や認知した子を洗い出す
  • 生命保険の受取人が相続人になっているかを確認する
  • 縁組をしない場合は、遺言で継子に遺贈すると書いておく
  • 後妻の取得割合を、二次相続まで含めて試算する
  • 複数の税理士に見積りを依頼し、養子の数え方と二次相続の提案を比べる

※本記事は2026年9月時点の法令等に基づいて作成しています。相続税法の改正により取り扱いが変わる場合があります。最新の制度については国税庁のホームページや税理士にご確認ください。

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