


相続税の無料相談は、国税局電話相談センター・税務署・税理士会・市区町村の相談会・銀行・無料セミナー・税理士事務所の初回相談の7つの窓口で受けられます。
どの窓口も無料ですが、答えられる範囲ははっきり分かれています。制度の一般的な説明なら公的窓口で足り、自分の税額や節税の判断まで求めるなら税理士です。
誰に相談すればいいかは、何を聞きたいかで決まります。公的窓口は申告の手続きを案内してくれますが、節税の提案や土地の評価の判断はしてくれません。
相談先を間違えると、使えたはずの特例を逃して相続税を多く払うことになります。試算では、自宅の土地の特例を使い忘れただけで590万円の差が出ました。
また、相続税の申告期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。相談を先延ばしにすると、選べる手が減っていきます。
この記事では、悩み別の相談先、無料相談の7つの窓口ごとの使い方と申し込み方法、窓口の比較、相談先を間違えたときの税額の差、相談前の準備とタイミングを解説します。
▼ この記事の3行まとめ

相談先選びで大切なのは、窓口の名前より自分の悩みに答えられる窓口かどうかです。「一般的な考え方」を聞くなら無料の公的窓口、「自分の場合」を聞くなら税理士と覚えておけば、大きく外れません。
聞きたいことが決まっていれば、相談先はほぼ1つに絞れます。黄色の行だけが「あなたの場合」に答えられる相手です。
| 聞きたいこと | 相談すべき相手 | 費用 |
|---|---|---|
| 申告が必要かどうかの一般的な考え方 | 国税局電話相談センター(電話) | 無料 |
| 申告書の書き方・必要書類 | 税務署(予約制の面談) | 無料 |
| 税理士に一般的な考え方を聞きたい | 税理士会の相談会・市区町村の相談会 | 無料 |
| 自分の税額はいくらか・どう節税するか | 税理士(初回無料相談) | 初回無料が多い |
| 遺産の分け方でもめている | 弁護士 | 有料が多い |
| 不動産の名義を変えたい | 司法書士 | 有料 |
表の見方:上の3行は無料で使えますが、答えは制度の一般的な説明までです。税額の計算や節税の提案が必要になった時点で、黄色の行の税理士に進みます。
重要ポイント:迷ったら「税金の話かどうか」で切り分けてください。税金なら税理士、分け方の争いなら弁護士、名義変更なら司法書士です。
そもそも相続税がかかるかどうかの目安は、下記の記事で解説しています。

相続税の相談先は、税務署などの公的窓口と、税理士などの専門家に分かれます。基本の順番は「公的窓口で基礎を確認→税理士の無料相談で個別の判断」の2段階です。
公的窓口は無料で何度でも使えますが、答えてくれるのは制度の一般的な説明までです。「あなたの場合はこうすべき」という個別の判断はしてくれません。
一方、税理士は財産と家族構成に踏み込んで、税額の目安や節税の方向性まで示せます。初回相談を無料にしている事務所が多く、入口のハードルは高くありません。
ただし、土地があって税額が大きくなりそうな場合や、分け方をこれから決める場合は、最初から税理士の無料相談に行くほうが早く確実です。
| こんな場合 | 最初に行く先 |
|---|---|
| 預金だけで、基礎控除を超えるか微妙 | 国税局電話相談センター→必要なら税理士 |
| 自宅や土地がある | 税理士の初回無料相談 |
| 分け方をこれから決める | 税理士の初回無料相談 |
| 自分で申告すると決めている | 税務署の面接相談(予約) |
重要ポイント:2段階の順番は目安で、飛ばしてよい場面もあります。土地があるか、分け方が未定なら、最初から税理士と覚えておいてください。
同じ相続税の相談でも、生前と相続が起きたあとでは向いている窓口が変わります。生前対策の相談は、公的窓口では答えが出ません。
| 段階 | 主な悩み | 向いている相談先 |
|---|---|---|
| 相続が起きる前 | 将来いくらかかるか・贈与や保険をどう使うか | 税理士(公的窓口は対応しない) |
| 相続が起きた直後 | 申告が必要か・何から始めるか | 国税局電話相談センター→税理士 |
| 分け方を決める前 | どう分けると税金が少ないか | 税理士 |
| 申告の直前 | 書き方・必要書類 | 税務署(自分で申告する場合) |
重要ポイント:相続が起きたあとは、10か月の申告期限に向けて時間が限られます。手続きの確認は公的窓口で済ませ、分け方や特例の判断は早めに税理士へ持ち込んでください。
相続人同士で分け方がまとまらない、遺言の内容に納得できないといった争いの解決は、弁護士の仕事です。税理士は、相続人の代理として交渉することはできません。
一方、弁護士は税額の計算や申告を専門にしていません。分割がまとまっても、どの分け方なら税金が少ないかは税理士に確かめる必要があります。
もめている相続では、弁護士が交渉を進める一方で、税理士が分け方の案ごとの税額を出す、という分担が合理的です。代償金を払って不動産を1人が相続する場合などは、払い方で相続税の割り振りが変わるため、合意の前に税理士の試算を挟んでください。
不動産の相続登記(名義変更)は、司法書士の専門分野です。2024年4月から相続登記は義務になり、取得を知った日から3年以内に申請が必要です。
相続税がかからない場合でも、不動産があれば登記は必要です。「相続税はかからないから何もしなくてよい」ではない点に注意しましょう。
税理士・弁護士・司法書士・行政書士の守備範囲を一覧にしました。「相続税」の悩みに答えられるのは税理士だけです。
| 専門家 | 主な守備範囲 | 相談すべきケース | 相続税の計算・申告 |
|---|---|---|---|
| 税理士 | 相続税の申告・節税・財産評価 | 相続税がかかりそう・節税したい | ○ |
| 弁護士 | 遺産分割の争い・遺留分の請求 | 相続人同士でもめている・もめそう | ×(税理士登録がある場合を除く) |
| 司法書士 | 不動産の相続登記・名義変更 | 不動産の名義を変えたい | × |
| 行政書士 | 遺産分割協議書の作成・書類の収集 | 争いがなく書類作成を頼みたい | × |
表の見方:悩みが複数重なる場合は、悩みごとに窓口を分けるか、ほかの専門家と提携する税理士に一本化するかを選びます。金額の影響が大きい税金を軸にすると、判断を誤りにくくなります。
司法書士と税理士のどちらに先に相談するかは、下記の記事で解説しています。


国税局電話相談センターは、相続税の一般的な質問に電話で答える国の窓口です。名前を言わずに、予約なしで、その日のうちに聞ける唯一の窓口です。
この章では、電話のかけ方と受付時間、聞けることと聞けないこと、向いている人と上手な聞き方を整理します。
国税に関する一般的な質問に、国税局の職員などが電話で答える窓口です。国税相談専用ダイヤル(0570-00-5901)にかけ、音声案内で「3」を選ぶと、相続税・贈与税の担当につながります。
匿名で利用でき、予約も要りません。受付は8時30分から17時までで、土日祝日と12月29日から1月3日は休みです。通話料は利用者の負担になります。
聞けるのは、基礎控除の仕組みや申告が必要かどうかの考え方など、制度の一般的な説明です。資料を見せられないため、個別の財産評価や節税の相談には向きません。
| 聞けること | 聞けないこと |
|---|---|
| 基礎控除の計算のしかた | 自分の財産でいくら相続税がかかるか |
| 申告が必要かどうかの考え方 | 土地の評価額を下げられるか |
| 申告期限や必要書類の一般的な案内 | どの分け方なら税金が少ないか |
| 特例の名前と基本的な要件 | 自分の場合に特例が使えるかの判断 |
表の見方:左の列は制度の説明、右の列は「あなたの場合」の判断です。電話相談で聞けるのは左の列までと考えてください。
向いているのは、相続税がかかるかどうか見当がつかず、まず基本を知りたい人です。名前を出さずに聞けるので、家族に話す前の下調べにも使えます。
電話の前に、法定相続人の人数と財産のおおよその額をメモしておくと話が早く進みます。「相続人は3人で、財産は預金と自宅で合計5,000万円くらい。申告は必要ですか」のように数字を添えて聞くのがコツです。
担当者は毎回変わるため、続けて質問するときは前回の回答を自分で要約して伝えます。聞いた内容と日付はその場でメモしておきましょう。
重要ポイント:「そもそも何を聞けばいいか分からない」段階の最初の一歩に向いた窓口です。IP電話などでナビダイヤルが使えない場合は、所轄の税務署の代表番号から音声案内でつながります。

「税金のことは税務署に聞けば間違いない」と思われがちですが、税務署は申告の手続きを案内する役割です。節税の提案や、払いすぎを止めることは役割に入っていません。できることとできないことを先に知っておきましょう。
書類や事実関係を見ながら相談したい場合は、税務署の面接相談を使います。相続税の場合、相談先は亡くなった人の住所地を管轄する税務署で、電話での事前予約が必要です。
国税庁は、面接の時間を確保し、持参する書類を伝えるために事前予約をお願いしています。予約せずに行くと、署内の相談専用電話(電話相談センターにつながる電話)に案内されます。
予約は、所轄の税務署の代表番号に電話し、音声案内で「2」を選んで受付担当に用件を伝えます。申告書の提出や納付の手続きだけなら予約は要りません。
向いているのは、自分で申告する人が書き方や必要書類を確かめる使い方です。面談では、申告書の下書きや財産の資料を見せながら質問できます。
税務署では、相続税の制度の説明、申告が必要かどうかの一般的な基準、申告書の書き方や必要書類の案内を受けられます。自分で申告する人が、書き方の疑問をピンポイントで確かめる使い方に向いています。
申告書の様式と記載例は、国税庁のサイトで公開されています。事前に目を通してから相談すると、質問が具体的になり、短い時間で答えを引き出せます。
申告が必要かどうかの目安は、国税庁の「相続税の申告要否判定コーナー」でも確かめられます。財産の種類ごとに金額を入れると、基礎控除を超えるかどうかの目安が出るので、相談の前に一度使っておくと質問を絞れます。
ただし、判定コーナーで入れる土地の金額は、自分で計算した評価額です。評価そのものが正しいかは確かめてもらえないため、土地がある場合は結果を目安として扱ってください。
一方で、税務署に期待できないことがあります。どうすれば税金が安くなるかは、聞いても答えてもらえません。
税務署に期待できないこと
税務署は、使えたはずの特例を使わずに出された申告書もそのまま受け付けます。「税務署に確認しながら申告したのに、特例を使い損ねて払いすぎた」というケースは、この構造から生まれます。
相続税は、納税者が自分で税額を計算して申告する仕組みです。相談窓口の回答どおりに申告しても、誤りがあれば責任を負うのは申告した人です。
相談窓口での回答は一般的な案内という扱いで、職員の説明を信じた結果の申告が誤っていても、加算税などが免除されるのはごく限られた場合だけです。
相談した日時・担当者・回答をメモに残し、税額に大きく影響する判断は税理士にも確かめる。この二段構えが、公的窓口を使うときの自衛になります。
| メモに残すこと | 書き方の例 |
|---|---|
| 日時と窓口 | 10月3日 14時・○○税務署の面接相談 |
| 担当者 | 資産課税部門の○○さん |
| 伝えた前提 | 相続人3人・自宅と預金で約5,000万円 |
| 聞いたことと回答 | 第11表の書き方→財産ごとに1行で記入 |
| 答えてもらえなかったこと | 自宅の土地に特例が使えるか→税理士に確認するよう言われた |
重要ポイント:いちばん大切なのは最後の行です。答えてもらえなかったことが、税理士に持ち込むべき論点になります。
限界を理解したうえで使えば、公的窓口は十分に役立ちます。質問を手続きに絞り、資料を持って予約して行くのが基本です。
【コツ1】質問を「手続き」に絞る
「この欄には何を書くか」「この書類で足りるか」のように聞くと、的確な答えが返ってきます。「どうすれば安くなるか」は聞いても答えが出ません。
【コツ2】資料を持参して面接相談を予約する
電話より面談のほうが、資料を見せながら具体的に確かめられます。予約のときに持っていく書類を聞いておきましょう。
【コツ3】確定申告の時期を避ける
2月から3月の税務署は所得税の確定申告で混み合います。相続税の相談は、この時期を外して予約すると日時を取りやすくなります。

税理士会や市区町村の無料相談会では、税理士に無料で直接質問できます。ただし1回の時間が短く、担当の税理士は選べません。
この章では、開催の形と時間、申し込み方法、向いている人と向いていない人を整理します。
各地の税理士会や市区町村は、税理士による無料の税務相談会を開いています。相談時間は1回20〜30分程度で、担当の税理士を選べません。
| 窓口 | 開催 | 時間 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 税理士会の無料相談会 | 定期・不定期(各税理士会のサイトで告知) | 30分程度 | 担当が相続税に慣れているとは限らない |
| 税理士会の納税者支援センター | 常設(平日) | 電話が中心 | 税額の計算や申告書の確認はしない |
| 市区町村の税務相談 | 月数回など自治体ごと | 20〜30分程度 | 先着順で埋まりやすい・回数制限あり |
表の見方:どれも無料で税理士と話せますが、1回の時間が短く、担当は日によって変わります。深い個別の判断より、方向性の確認に向いた窓口です。
相談会は常に開いているわけではないため、開催日を調べて予約するところから始めます。人気の回は早く埋まります。
開催日と予約方法は、日本税理士会連合会のサイトから各地の税理士会のページをたどるか、自治体の広報誌で確認できます。死亡後の手続きをまとめて案内する「おくやみコーナー」を設ける自治体も増えています。
相談時間が短いので、聞きたいことを2〜3個に絞って紙に書いておくと、時間内に答えまでたどり着けます。
相談会は、税理士の意見を一度聞いて方向性を確かめたい人に向いています。担当が毎回変わるため、続けて相談する使い方には向きません。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 相続税がかかるかの見当を税理士に聞きたい | 土地の評価や特例の判断をしっかり受けたい |
| 自分で申告する方針で、進め方を確かめたい | 同じ税理士に続けて相談したい |
| 費用をかけずに一度話を聞いてみたい | 申告書の作成まで任せたい |
重要ポイント:相談会の担当税理士に、そのまま申告を依頼できるとは限りません。依頼先を決めるときは、税理士事務所の初回無料相談を別に使います。

銀行・信託銀行・不動産会社・保険会社も、相続の無料相談を受け付けています。ただし税理士ではないため、自分の税額や節税の判断は受けられません。
この章では、銀行と信託銀行の相談、遺産整理業務の費用の仕組み、セミナーと会社の相談、法テラスの使い方を整理します。
銀行や信託銀行も相続の相談窓口を設けています。口座の手続きのついでに相談でき身近ですが、銀行は税理士ではないため、税額の計算や申告書の作成はできません。
銀行で受けられるのは、口座の相続手続きの案内、遺言信託や遺産整理業務の紹介、相続対策の商品の提案などです。税額の計算が必要になると、提携する税理士に取り次がれます。
口座の名義変更や解約は、どのみち銀行で手続きします。手続きの窓口として使い、税金の判断は税理士に聞くと分けておくと迷いません。
銀行や信託銀行の遺産整理業務に申告まで頼むと、実際の申告は提携の税理士が行います。窓口が銀行でも、実務は外部の税理士という構造です。
| 頼み方 | 払う費用 | 税理士を選べるか |
|---|---|---|
| 信託銀行の遺産整理業務に申告まで頼む | 銀行の手数料(最低報酬100万円以上が多い)+提携税理士の報酬 | 選べないことが多い |
| 税理士に直接頼む | 税理士の報酬(遺産総額の0.5〜1%程度が目安) | 選べる |
重要ポイント:口座の手続きをまとめて任せられる便利さはありますが、総額は高くなりやすくなります。依頼する前に、税理士に直接頼んだ場合の見積りと並べて比べてください。
信託銀行が役に立つのは、金融資産が多く、口座の解約や名義変更を多数の金融機関でまとめて進めたい場合です。平日に動けない相続人が多い家庭では、手続きの代行に費用を払う価値があることもあります。
その場合でも、相続税の申告は提携の税理士ではなく、自分で選んだ税理士に頼むことができます。手続きと申告を分けて頼めば、申告の費用と中身を比べて選べます。
金融機関や不動産会社が開く無料セミナーは、相続税の基礎を学ぶ場として役立ちます。ただし主催者の商品への誘導が目的の場合もあるため、その場で契約せず持ち帰る姿勢が大切です。
アパート建築や一時払いの保険は、相続税対策として勧められることがよくあります。提案する側は商品を売る立場にあるため、その対策があなたの家族に最適かは別の問題です。
【事例】借入でアパートを建てたが、空室で手取りが減った
不動産会社の勧めで借入をしてアパートを建て、評価は下がりましたが、空室と修繕費で家賃収入が借入の返済に追いつかなくなりました。
対策:大きな契約の前に、商品を売る立場にない税理士に「本当に得か」を試算してもらってください。
相続税が減る額と、投資のリスクや手数料を比べて判断するのが基本です。節税額だけを見せる提案には、借入の返済や空室の前提が書かれているかを確かめましょう。
法テラス(日本司法支援センター)は、遺産分割の争いなど法律問題の案内窓口です。相続税の申告や節税の相談には対応していないため、税金の話は別の窓口で聞きます。
収入や資産が一定以下などの条件を満たせば、法テラスで弁護士・司法書士の無料法律相談を受けられます。遺産分割の争いや相続放棄の相談に使い、相続税の計算は税理士に聞きます。

「自分の場合どうなるか」を知りたいなら、税理士の初回無料相談が本命です。聞くことを決めて臨めば、1回の無料相談で税額の目安と次にやることまで見えます。
この章では、初回無料相談の流れ、無料でどこまで教えてくれるか、聞くべき質問、断り方、守秘義務を整理します。
税理士事務所の初回無料相談は、7つの窓口の中で最も踏み込んだ相談ができる窓口です。ほかの窓口と決定的に違うのは、「あなたの場合」の税額と節税の方向性まで無料で聞ける点です。
財産の概算と家族構成を伝えれば、相続税がかかりそうか、税額はおおよそいくらか、使えそうな特例は何かまで示してもらえるのが一般的です。初回を60分前後で無料にしている事務所が多くあります。
「営業されそう」と敬遠されがちですが、相談したあとに依頼する義務はありません。
| 段階 | やること |
|---|---|
| 予約 | 問い合わせフォームか電話で「相続税の相談」と伝え、初回が無料か・時間・オンライン対応を確かめる |
| 前日まで | 財産の概算と家族構成のメモ、固定資産税の課税明細書を用意する |
| 当日の前半 | 状況を伝え、相続税がかかりそうかを判定してもらう |
| 当日の後半 | 税額の目安・使えそうな特例・依頼した場合の費用を聞く |
| 相談のあと | その場で決めず、提案と見積りを持ち帰ってほかの事務所と比べる |
重要ポイント:予約のときに「相続税の相談」とはっきり伝えると、相続税を担当する税理士が対応してくれやすくなります。オンライン相談に対応する事務所なら、遠方の事務所も候補に入れられます。
初回の無料相談で聞けるのは、状況のヒアリング、税額の概算、節税の方向性、依頼した場合の見積りまでが一般的です。「見積りまでは無料」と考えておけば大きく外れません。
| 内容 | 無料の範囲か |
|---|---|
| 相続税がかかりそうかの判定 | 無料が一般的 |
| 税額の概算・使えそうな特例 | 無料が一般的 |
| 依頼した場合の見積り | 無料が一般的 |
| 2回目以降の相談・時間の延長 | 事務所による |
| 正確な財産評価・申告書の作成・提出 | 有料(正式な依頼後) |
重要ポイント:予約の時点で「初回は無料か」「時間は何分か」「オンラインでもよいか」を確かめておくと、当日に費用の心配をせずに済みます。
依頼した場合の報酬の相場と内訳は、下記の記事で解説しています。

限られた時間を活かすため、次の5つを聞くと決めて臨んでください。答え方で事務所の力量と誠実さも見えてきます。
あいまいな答えしか返らない場合や、費用の説明がはっきりしない場合は、ほかの事務所と比べてから決めるサインです。同じ5つの質問を複数の事務所に聞くと、違いがよく分かります。
| 質問 | 信頼できる答え方 | 注意したい答え方 |
|---|---|---|
| 相続税はかかりそうか | 基礎控除と財産の概算を並べて、かかる・かからないの見込みを示す | 「調べてみないと分からない」だけで終わる |
| 税額はいくらか | 幅を持たせた概算と、その前提を説明する | 前提を言わずに金額だけを断言する |
| 使える特例はあるか | 小規模宅地等の特例などの要件を、家族の状況に当てはめて説明する | 特例の名前を挙げるだけで要件に触れない |
| 費用はいくらか | 基本報酬と加算の条件を書面で出す | 「一般的には」で具体的な額を出さない |
| 今すぐやることは何か | 期限と一緒に、集める書類を具体的に挙げる | 「すべてお任せください」だけで中身がない |
表の見方:左の質問に対して、真ん中の答え方をする事務所ほど、相続税の実務に慣れていると考えられます。前提と根拠を説明できるかどうかが見分けどころです。
「無料相談に行ったら依頼しないと帰れないのでは」という不安をよく聞きます。無料相談のあとに依頼する義務はありません。
事務所の側にとっても、初回相談は相性や力量を見てもらう場です。説明が分かりにくい、費用が不明瞭と感じたら、断って構いません。
断るときは「ほかの事務所の話も聞いてから決めます」と伝えれば十分です。複数の事務所を比べるのは依頼する側として普通の行動で、まともな事務所ほど快く送り出してくれます。
「相談で話したことが税務署に知られないか」という心配も耳にします。税理士には、業務で知った秘密を漏らしてはならない義務があります(税理士法38条)。
この義務は税理士をやめたあとも続きます。家族名義の預金や過去の贈与など、話しにくいことほど正確に伝えたほうが、正しい申告と税務調査への備えにつながります。
税務署の職員にも守秘義務があり、相談窓口に相談したこと自体が税務調査のきっかけになるわけではありません。不安を理由に相談を避ける必要はありません。
相談の結果、自分で申告するか税理士に頼むかを決める基準は、下記の記事で解説しています。


無料の相談先は思った以上にあります。ただし個別の税額や節税に答えられるのは、7つのうち税理士の初回無料相談だけです。それぞれの得意分野と限界を知って使い分けましょう。
ここまでの7つの窓口を1つの表にまとめました。「税額の試算」と「申告書の作成」ができるのは税理士だけです。
| 窓口 | 匿名 | 予約 | 時間の目安 | 税額の試算 | 申告書の作成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 国税局電話相談センター | ○ | 不要 | 電話のみ | × | × |
| 税務署(面接相談) | × | 必要 | 30分程度 | ×(書き方の案内まで) | × |
| 税理士会の相談会 | △ | 会場による | 30分程度 | × | × |
| 市区町村の相談会 | △ | 必要な場合が多い | 20〜30分 | × | × |
| 銀行・信託銀行 | × | 必要 | 店舗による | △(提携税理士経由) | △(提携税理士経由) |
| 無料セミナー | △ | 必要 | 個別相談は短い | × | × |
| 税理士の初回無料相談 | × | 必要 | 60分前後 | ○ | ○(依頼後) |
表の見方:匿名で今すぐ聞けるのは国税局電話相談センターだけです。個別の税額まで聞けるのは、黄色の税理士の初回無料相談だけです。
重要ポイント:無料の窓口は「制度の説明」までと割り切り、税額や特例の答えが欲しくなったら税理士に進んでください。
参照元:国税庁 税についての相談窓口
税理士法は、税務代理・税務書類の作成・税務相談を税理士の業務と定め(2条)、税理士や税理士法人でない者は、この業務を行ってはならないとしています(52条)。
ここでいう税務相談は、個別の事情に当てはめて税額の計算などについて相談に応じることです。報酬を受け取らなくても、繰り返し行えば業務に当たるため、無料の相談でも銀行員や保険の営業担当は踏み込めません。
公的窓口の職員や金融機関の担当者が「一般論ですが」と前置きするのは、このためです。自分の場合の答えが必要なら、相談相手が税理士かどうかを確かめてください。
税理士の相談でできることとできないことの境界は、下記の記事で条文に沿って解説しています。

参照元:e-Gov 法令検索 税理士法(第2条・第38条・第52条)
税理士なら誰でもよいわけではありません。相続税の申告の対象になった被相続人は令和6年分で166,730人です。税理士の登録者数(約8.2万人)で割ると、1人あたり年約2件にとどまります。
税理士の多くは法人税や所得税の顧問業務が中心で、相続税の申告を毎年多く扱う事務所は限られます。土地の評価や特例の判断は経験の差が出やすく、同じ財産でも事務所によって税額が変わることは珍しくありません。
一方で、相続税の申告の86.5%に税理士が関与しています(令和6年度)。多くの家庭が税理士に頼んでいるからこそ、どの税理士に頼むかで結果が分かれます。
相続税の対応実績がある税理士の見分け方は、下記の記事で解説しています。


公的窓口だけで進めた場合と、税理士に相談した場合の差を、3つの典型的なケースで試算しました。3つのケースを合わせると、差は1,234.6万円になります。
【前提】相続人は子2人(母は先に死亡)で、同居していた長男が自宅を相続します。自宅の土地は330平方メートル以内で評価5,000万円、その他の財産が5,000万円です。書き方だけ公的窓口で確かめ、特例を検討しないまま申告したケースです。
| 項目 | 特例を使わない | 特例を使う |
|---|---|---|
| 自宅の土地の評価 | 5,000万円 | 1,000万円(80%減) |
| 課税価格の合計 | 1億円 | 6,000万円 |
| 子2人の相続税の合計 | 770万円 | 180万円 |
表の見方:小規模宅地等の特例を使うと、自宅の土地の評価が5,000万円から1,000万円になります。相続税は770万円から180万円に下がり、差は590万円です。
重要ポイント:この特例は申告書に書いていないと、あとから更正の請求で追加することが原則できません(租税特別措置法69条の4第7項)。申告の前に使えるかを確かめるしかない特例です。
計算ロジック:基礎控除は3,000万円+600万円×2人=4,200万円です。特例なしでは課税遺産5,800万円を2人で分けて2,900万円×15%−50万円=385万円が1人分、特例ありでは900万円×10%=90万円が1人分です。
小規模宅地等の特例の要件と、使い忘れたときに取り戻せない理由は、下記の記事で解説しています。


参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
【前提】相続人は子2人で、路線価で計算すると6,000万円の土地と、その他の財産6,000万円があります。土地が不整形で、形による減額(補正)を使えば評価が20%下がるケースです。
| 項目 | 路線価のまま | 減額を使う |
|---|---|---|
| 土地の評価 | 6,000万円 | 4,800万円 |
| 課税価格の合計 | 1億2,000万円 | 1億800万円 |
| 子2人の相続税の合計 | 1,160万円 | 920万円 |
表の見方:評価が1,200万円下がるだけで、相続税は240万円少なくなります。減額を使うかどうかは、税務署の相談窓口では判断してもらえません。
重要ポイント:形がいびつな土地、がけ地、道路に接する部分が狭い土地などは、補正で評価が下がることがあります。現地を見ないと分からない要素も多いため、土地がある相続は税理士に一度見てもらう価値があります。
計算ロジック:補正で評価が20%下がると仮定しています。路線価のままでは課税遺産7,800万円の半分3,900万円×20%−200万円=580万円が1人分、減額後は3,300万円×20%−200万円=460万円が1人分です。
土地の評価の手順と減額の種類は、下記の記事で解説しています。

【前提】相続人は母と子2人で、遺産は1億円、母自身の財産はほとんどありません。母が全部を相続すると今回の相続税は0円ですが、母が亡くなったときに子2人が1億円を相続します。
| 分け方 | 今回の相続税 | 母が亡くなったときの相続税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 母が全部相続する | 0円 | 770万円 | 770万円 |
| 母は4,200万円だけ相続する | 365.4万円 | 0円 | 365.4万円 |
表の見方:母に全部渡すと今回は0円ですが、母の相続で770万円かかります。母の取得を4,200万円にとどめると、2回の相続の合計は770万円から365.4万円に下がり、差は404.6万円です。
重要ポイント:「今回の相続税が0円になる分け方」が、家族全体で最も得とは限りません。公的窓口は次の相続まで見た比較をしないため、分け方を決める前に税理士に試算してもらってください。
計算ロジック:4,200万円は母の相続のときの基礎控除(子2人)と同じ額です。今回の相続税の総額630万円のうち、母の分は配偶者の税額軽減で0円になり、子の分365.4万円だけが残ります。
配偶者にいくら渡すと家族全体の税額が最も少ないかは、下記の記事で解説しています。

3つのケースを並べると、差が出るのはどれも「申告書を出す前」か「分け方を決める前」の判断だと分かります。
| ケース | 公的窓口だけで進めた場合 | 税理士に相談した場合 | 差 | あとから取り戻せるか |
|---|---|---|---|---|
| 1:自宅の土地の特例 | 770万円 | 180万円 | 590万円 | 原則できない |
| 2:土地の形による減額 | 1,160万円 | 920万円 | 240万円 | 5年以内なら更正の請求で可能 |
| 3:次の相続まで見た分け方 | 770万円 | 365.4万円 | 404.6万円 | できない(分け直しは贈与扱いになり得る) |
| 合計 | ― | ― | 1,234.6万円 | ― |
表の見方:ケース2だけは、申告から5年以内なら更正の請求で取り戻せる余地があります。ケース1と3は、判断のタイミングを逃すとほぼ取り戻せません。
重要ポイント:税理士の報酬は遺産総額の0.5〜1%程度が目安とされ、遺産1億円なら50万〜100万円です。差が数百万円になるケースでは、無料相談で一度確かめるだけで元が取れます。
計算ロジック:3つのケースの税額は、いずれも相続税の速算表で総額を出し、法定相続分や取得額で割り振っています。家族構成と財産額が違えば差の大きさも変わるため、目安として見てください。

同じ30分の相談でも、準備があるかどうかで答えの精度は大きく変わります。財産の概算と家族構成のメモがあれば、一般論ではなく自分の場合の答えが返ってきます。
相続税の申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。財産の調査や遺産分割には数か月かかるため、最初の相談は早いほど有利です。
最初の相談は、相続人全員で行く必要はありません。財産のことをいちばん把握している相続人が、代表して1人で行けば十分です。
| 場面 | 誰が動くか | ポイント |
|---|---|---|
| 最初の相談 | 財産に詳しい相続人1人 | 家族構成と財産の概算を持っていく |
| 分け方を決めるとき | 相続人全員(オンライン参加も可) | 分け方ごとの税額を全員で見る |
| 遠方に住む相続人がいる | オンラインか電話で参加 | オンライン相談に対応する事務所を選ぶ |
| 相続人同士の関係がぎくしゃくしている | 代表者が相談し、結果を共有 | もめそうなら先に弁護士も検討する |
重要ポイント:分け方で税額が変わる相続では、最終的に相続人全員が同じ試算を見ることが大切です。代表者だけで決めて後から異論が出ると、協議がやり直しになります。
初回の相談に、ほかの相続人の委任状は要りません。正式に申告を依頼する段階では、税理士が相続人ごとに税務代理の書面を用意するため、依頼する人全員の署名が必要になります。
相続人が別々の税理士に頼むこともできますが、財産の評価がずれると申告内容が食い違います。争いがない限り、1つの事務所に全員分をまとめて頼むほうが、費用も手間も少なく済みます。
すべて揃っていなくても相談はできます。固定資産税の課税明細書は、不動産の評価の出発点になる最重要の書類です。
| 持っていくもの | 何が分かるか | ない場合 |
|---|---|---|
| 固定資産税の課税明細書 | 土地・建物の評価の目安 | 市区町村で固定資産評価証明書を取る |
| 通帳・残高証明書 | 預貯金の額 | 「○○銀行に約○万円」のメモでよい |
| 証券会社の取引残高報告書 | 株式・投資信託の額 | 証券会社名のメモでよい |
| 生命保険の証券 | 保険金の額と受取人 | 保険会社名のメモでよい |
| 家族関係のメモ(手書きの家系図) | 法定相続人の数=基礎控除の額 | 口頭で説明してもよい |
| 遺言書のコピー | 分け方の前提 | 有無だけ伝える |
重要ポイント:基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」なので、相続人が1人違うと600万円変わります。養子や前の配偶者との子がいる場合も、必ず書き出してください。
準備と同じくらい大切なのが、相談の場で事実を正直に伝えることです。言いにくいことほど、先に伝えたほうが結果的に損をしません。
家族名義の預金や生前の贈与は、税務調査で最も指摘されやすい項目です。相談の段階で伝えておけば、申告に正しく織り込んでもらえます。
家族名義の預金が亡くなった人の財産になるかは、名義ではなく「誰がお金を出したか」「誰が通帳と印鑑を管理していたか」で判断されます。自分で判断せず、通帳の入金の記録を持って相談してください。
10か月の前に、もっと短い期限が2つあります。相続放棄は3か月以内、亡くなった人の所得税の申告(準確定申告)は4か月以内です。
借金が多そうなら相続放棄を検討する必要があり、判断には財産の全体像が欠かせません。四十九日が過ぎて落ち着いたころ、遅くとも1〜2か月以内に一度相談しておけば、3か月の期限に間に合います。
財産の調査が3か月で終わりそうにないときは、家庭裁判所に申し立てて、相続放棄を考える期間を延ばしてもらえることがあります。申し立ては3か月以内にする必要があるため、この点でも早めの相談が効きます。
準確定申告は、亡くなった人のその年の1月1日から亡くなった日までの所得について行います。年金のほかに不動産収入などがあった人は対象になりやすく、相続税の相談と一緒に確かめておくと二度手間を防げます。
税理士に申告を頼む場合も、期限が近づくほど引き受けてもらえる事務所は減り、期限まで3か月を切ると割増の報酬を設定する事務所も少なくありません。
相談のタイミングをつかむため、相続が起きてから申告までの流れを押さえておきましょう。税理士に頼むなら、7か月目までに正式に依頼するのが目安です。
相続人と財産の全体をつかむ
死亡届などの手続き、遺言書の確認、相続人の確定、財産の把握を進めます。相続放棄は3か月以内で、この間に最初の相談を済ませます。
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亡くなった人の所得税を申告する
準確定申告の期限は4か月以内です。並行して財産の評価と書類の収集を進めます。
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分け方を決め、税理士に正式に依頼する
分け方で税額が変わるため、協議の前に税理士に試算してもらいます。依頼先はこの時期までに決めます。
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申告書を出して納税する
期限までに申告と納税を終えます。遅れると延滞税や加算税がかかります。
相続税の申告の5つのステップと、10か月からの逆算の方法は、下記の記事で解説しています。

期限まで時間がない場合や、すでに過ぎてしまった場合は、公的窓口を経由せず、すぐに税理士へ相談してください。
| 状況 | まずやること |
|---|---|
| 期限まで1〜3か月 | 期限直前の依頼に対応する事務所を探し、概算での期限内申告を検討する |
| 遺産分割がまとまらない | 法定相続分で期限内に申告し、「3年以内の分割見込書」を付ける |
| 期限を過ぎてしまった | できるだけ早く期限後申告をする(税務署の調査の前なら加算税が軽い) |
| 税務署から「お尋ね」が届いた | 放置せず、財産の概算を持って税理士に相談する |
重要ポイント:期限を過ぎても、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は期限後申告で使えます。遅れたことより、分割がまとまらないまま放置することのほうが不利になります。
期限が近い時期は、公的窓口に予約を入れて待つ時間も惜しくなります。この段階では、財産の資料が揃っていなくても税理士に連絡し、何を優先して集めるかを決めてもらうのが近道です。
税務署から「相続税についてのお尋ね」が届いた場合も同じです。お尋ねは税務調査ではありませんが、申告が必要な可能性があると税務署が見ているサインなので、回答する前に税理士に確かめてください。
お尋ねが届いたときの回答書の書き方と、放置したときのリスクは、下記の記事で解説しています。

期限を過ぎたときのペナルティと、今からでも使える特例は、下記の記事で解説しています。


無料の窓口で方向性が見えたら、次は個別の判断ができる税理士に相談する段階です。同じ財産でも、担当する税理士によって納税額は変わります。複数の税理士に一括で相談し、比べて選ぶのがおすすめです。
税理士1人あたりの相続税の申告は年約2件で、相続税を毎年多く扱う事務所は限られます。特例や評価の判断は、経験の差がそのまま税額の差になります。
相続税の対応実績がある税理士に相談する理由
ケース1では、自宅の土地の特例を使うかどうかで590万円の差が出ました。申告書を出したあとでは原則取り戻せないため、申告の前の判定が結果を分けます。
見積りを並べると報酬額を比べられますが、差が大きいのは提案の中身です。次の3点を各事務所に同じ質問で聞き、答えを突き合わせてください。
判定ポイント1:分け方の案をいくつ出すか
「分け方ごとの税額を比べてもらえますか」と聞きます。A事務所は法定相続分どおりの1案、B事務所は次の相続まで含めた3案を出すという答えでした。
→ B事務所の方が、家族全体の税額を下げる提案の実務経験が豊富と判定できます。
判定ポイント2:土地を現地で確認するか
「土地の評価で現地を見に行きますか」と聞きます。A事務所は資料だけで評価、B事務所は現地と役所の調査まで行うという答えでした。
→ B事務所の方が、形や道路の状況による減額を拾える可能性が高いと判定できます。
判定ポイント3:申告後の対応が見積りに入っているか
「申告後に税務調査が来た場合や、修正が必要になった場合の対応は含まれますか」と聞きます。A事務所は別料金、B事務所は申告後3年以内の対応を見積りに明記していました。
→ B事務所の方が、申告後まで責任を持つ体制があると判定できます。
公的窓口だけで完結させると、特例や評価の減額に気づかないまま申告してしまいます。
相談しないまま進めると起きること
3つのケースを合わせると、相談しないまま進めた場合の差は1,234.6万円でした。これらの多くは、申告前の無料相談1回で防げます。
計算ロジック:ケース1の590万円、ケース2の240万円、ケース3の404.6万円を足した額です。それぞれ別の家族構成で試算しているため、1つの相続で必ずこの額になるわけではありません。
報酬の差より、提案の中身で動く税額のほうが桁が大きくなります。次の表は、2つの事務所から見積りを取った場合の例です。
| 相続財産規模 | A税理士の見積り | B税理士の見積り | 見積り差 | 分け方の案 |
|---|---|---|---|---|
| 1億円 | 報酬70万円 相続税770万円 |
報酬80万円 相続税180万円 |
報酬+10万円 節税590万円 |
A:1案 B:3案 |
| 2億円 | 報酬130万円 相続税2,100万円 |
報酬150万円 相続税1,700万円 |
報酬+20万円 節税400万円 |
A:1案 B:4案 |
| 3億円 | 報酬180万円 相続税4,200万円 |
報酬210万円 相続税3,500万円 |
報酬+30万円 節税700万円 |
A:1案 B:5案 |
表の見方:A税理士は報酬が安いものの、特例や分け方の検討が1案だけです。B税理士は報酬がやや高いものの、特例の適用や複数の分け方を示し、相続税が少ない案を提案しています。
重要ポイント:報酬だけで選ぶと、特例を検討しないまま申告してしまうことがあります。提案の数と、特例をどう使うかの説明で比べてください。
計算ロジック:1億円の行はケース1(自宅の土地の特例の有無)の税額を使っています。2億円・3億円の行は報酬と税額の差を示すための例で、実際の差は財産の内容と家族構成で変わります。
相続の概要を整理する
被相続人の資産内容・資産額概算・相続人構成・年齢・遺言の有無をメモにまとめます。申告期限の日付も書き出します。
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一括見積り・相談サービスに依頼する
複数の税理士事務所に一括で見積りを依頼できるサービスを使います。希望内容を「相続税申告・相続税の節税・確定申告・準確定申告など」と明確に記し、複数の税理士(目安3~5の事務所)への同時打診を依頼します。
不動産がある場合は所在地・広さなども記載します。フォームでは「財産の種類」「相続人の人数」をできるだけ正確に伝えると見積りの精度が上がります。フォーム記入自体は5分程度です。
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見積りと初回相談を受ける
各事務所から「提案内容」「試算相続税額」「報酬額」が記載された見積りが届きます。特例と分け方の提案がいくつあるかを確認し、気になる事務所と初回相談をします。
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税理士を選定・正式依頼する
「提案内容の質」「説明の丁寧さ」「報酬の納得性」で事務所を選びます。相続開始から7ヶ月以内に税理士を決めて、申告の準備を依頼してください。
聞く順番より、同じ質問をすべての事務所に投げて答えを並べることが大事です。
重要ポイント:相続税の申告の実績を数字で答えられるかは、事務所を見極める最初の目安になります。「たくさんやっています」ではなく件数で聞いてください。
見積書は基本報酬に何が含まれるかと総額が書面で出ているかを先に確かめてください。
すでに依頼した税理士の提案に納得できない場合の相談先は、下記の記事で解説しています。

重要ポイント:見積り比較では、報酬額の安さだけでなく、提案される分け方の案と節税効果を合わせて判断してください。
あります。国税局電話相談センター(0570-00-5901、音声案内で「3」)は匿名・予約不要で利用できます。名前や財産の詳細を伝えなくても、制度の一般的な質問には答えてもらえます。受付は平日の8時30分から17時までです。
相談したこと自体が調査のきっかけになることは、基本的にありません。むしろ相談せずに誤った申告をするほうが、後日の指摘や調査につながりやすくなります。税理士にも守秘義務があるため、相談の内容が外に漏れることもありません。
財産が預貯金中心で、基礎控除を少し超える程度なら、税務署の相談を使いながら自分で申告することもできます。土地や非上場株式がある場合は、評価や特例の判断が難しく、無料相談の範囲では対応しきれません。
最初の相談は、財産に詳しい相続人が1人で行けば十分です。分け方を決める段階では、相続人全員が同じ試算を見ることが大切なので、遠方の人はオンラインで参加してもらうとよいでしょう。
断って問題ありません。初回の無料相談は、事務所の側も相性や提案を見てもらう場として設けています。「ほかの事務所と比べてから決めます」と伝えるのが自然な断り方です。
相談先は「何を聞きたいか」で決まる
相談先を間違えると税額が変わる
準備とタイミングで相談の質が変わる
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年10月時点の法令・制度に基づいて作成しています。相続税法の改正や運用の変更により、内容が変わる可能性があります。最新の制度については国税庁の公表資料をご確認いただくか、相続税の対応実績がある税理士にご相談ください。