相続税のセカンドオピニオン|税務調査や申告後に頼むタイミング

相続税_セカンドオピニオン

相続税のセカンドオピニオンは、今の税理士とは別の税理士に申告内容を見てもらうことです。契約を切る必要はありません。

使う場面は3つあります。申告する前、申告した後、そして税務調査の連絡が来たときです。

申告した後に見てもらえば、払いすぎていた分を取り戻せます。課税価格1億円の相続で1,000万円の評価減が見つかれば150.0万円が戻ります。

税務調査の連絡が来た場合は、動く時期が結果を左右します。修正申告書を出してしまうと、後から争う手段が限られるためです。

国税庁の令和6事務年度の集計では、実地調査9,512件のうち7,826件(82.3%)で申告漏れが見つかり、1件あたりの追徴税額は867万円でした。

この記事では、2種類の使い方、見つかる申告ミス5パターン、依頼すべき人の判定、税務調査で頼むタイミング、費用と手取りの計算、更正の請求の手続き、税理士の選び方、依頼の流れまでを解説します。

▼ この記事の3行まとめ

  • 税務調査は修正申告書を出す前に相談する。出した後は争う手段が限られる。
  • 申告後なら5年以内に更正の請求で取り戻せる。課税価格1億円で1,000万円の評価減なら150.0万円が戻る。
  • 今の税理士に伝える義務はない。申告書の控えがあれば知られずに見てもらえる。
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相続税のセカンドオピニオンとは|3つの使い方

使う場面は申告前・申告後・税務調査の3つです。

医療のセカンドオピニオンと同じ考え方で、今の税理士との契約はそのままにして、別の税理士の見解を聞きます。相続税は一生に数回しか経験しない税金で、扱っている税理士の数も限られているため、判断が分かれることが珍しくありません。

同じ相続でも、依頼する税理士によって土地の評価額が変わり、どの特例をどの財産に使うかの提案も変わります。その差が納税額に直接あらわれるため、別の見解を聞く価値がある税金だといえます。

3つの場面と目的の違い

場面が違えば、目的も、動ける期限も違ってきます

場面 目的 期限 得られるもの
申告する前 申告内容が適切か確かめる 申告期限(10か月)まで 納めすぎを防ぐ・特例の適用を確認
申告した後 払いすぎていないか見直す 申告期限から5年 更正の請求で還付を受けられる
税務調査の連絡が来たとき 指摘への対応が適切か確かめる 修正申告書を出す前 追徴税額を抑えられる可能性

表の見方:もっとも急ぐのは3つめです。修正申告書を出してしまうと、後から争う手段が限られます。調査の連絡が来た段階で相談するかどうかで結果が変わります。

重要ポイント:申告した後の見直しには申告期限から5年という期限があります。相続開始から数えると5年10か月です。過ぎると払いすぎた分は戻りません。書類をそろえる時間も必要なので、残り1年を切ったら急いでください。

参照元:国税庁 B1-27 相続税及び贈与税の更正の請求手続

今の税理士に伝える義務はない

相談するのに今の税理士の同意も報告も必要ありません

申告書の控えが手元にあれば、それを持って別の税理士に相談できます。税理士には守秘義務があるため、相談した事実が今の税理士に伝わることもありません。契約を切るかどうかは、見解を聞いた後で決めればよいことです。

相談した結果、当初の申告に問題がないと分かることもあります。その場合は今の税理士との関係をそのまま続けるだけなので、伝えないまま確認できるほうが動きやすい場面が多くなります。

注意点:ただし更正の請求を実際に出す段階では税務署に書類が届きます。当初の申告を担当した税理士に税務署から連絡が行くことはありませんが、同じ地域で付き合いが続く場合は、事前に伝えておくほうが穏当なこともあります。

契約の形は2つある

依頼の形は1回だけのスポット契約と、継続して見てもらう顧問契約に分かれます。

契約の形 内容 費用の目安 向いている場面
スポット契約 1回だけ見てもらう 1時間あたり1万円〜3万円 申告書の見直し・調査への対応
成功報酬型 還付された金額に応じて払う 還付額の20〜45% 申告後の見直し(還付が目的)
顧問契約 継続して相談する 月額3万円〜10万円 事業承継など長期の相談

表の見方:相続税の見直しで多いのは成功報酬型です。還付されなければ報酬が発生しない形なので、払いすぎているか分からない段階でも頼めます。

注意点:成功報酬型でも着手金がかかる事務所と、かからない事務所があります。「完全成功報酬」と書かれていても、実費や調査費用が別途になることがあるため、契約前に確認してください。

重要ポイント:税務調査への対応を頼む場合は成功報酬型を選べません。還付ではなく追徴税額を抑えることが目的になるため、時間単価か固定額での契約になります。

セカンドオピニオンで見つかる申告ミス5パターン

見つかるのは土地の評価と特例の適用に集中しています。

相続税の計算そのものは手順が決まっているため、計算式を間違えることはほとんどありません。差が出るのは、土地をいくらで評価するかという判断と、どの特例を誰に使うかという選択です。どちらも税理士の経験によって結論が変わります。

以下の5パターンは、申告書の控えがあればどれに当たりそうかを自分でも見当をつけられます。該当しそうな項目があれば、見直しを検討する材料になります。

パターン1|土地の補正を使っていない

見直しで最初に確認するのがこの項目です。形や道路との関係による減額が使われていません

土地の評価額は路線価に面積を掛けて計算しますが、それだけでは終わりません。形がいびつな土地、間口が狭い土地、奥行きが長い土地は補正で評価額を下げられます。面積が大きい土地には地積規模の大きな宅地の評価という減額もあります。

こうした補正は、現地を見ないと判断できないものが少なくありません。高低差や擁壁の状態、道路との接し方は図面には出てこないためです。現地調査をしていない申告では、この部分が抜けやすくなります

重要ポイント:補正が使われているかは土地の評価明細書を見れば分かります。補正率の欄が空欄か1.00になっていれば、見直しの余地がある可能性があります。

土地の評価額の計算手順と減額補正は、下記の記事で解説しています。

パターン2|小規模宅地等の特例が漏れている

金額への影響という点では、この特例の適用漏れがもっとも大きいといえます。

自宅の土地を配偶者や同居していた子が相続した場合、330平方メートルまでの評価額を80%減らせます。適用を受けるには申告期限までに分割が終わっていることなどの要件があり、満たしていないと判断されて使わないケースがあります。

土地が複数ある場合は、どの土地に使うかで減額される金額が変わります。1平方メートルあたりの単価が高い土地に優先して使うのが原則ですが、取得する人によって適用できるかどうかも変わるため、組み合わせを比較しないと最適な選択にはなりません

注意点:この特例は申告書に付表を付けて申告することが要件です。第11・11の2表の付表1に記載がなければ、適用していません。

参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

小規模宅地等の特例の要件と面積の枠は、下記の記事で解説しています。

パターン3|配偶者の税額軽減の使い方が最適でない

使いすぎると二次相続で高くつきます

配偶者が取得した財産のうち1億6,000万円までは相続税がかかりません。一次相続の税額をゼロにすることは簡単ですが、配偶者が受け取った財産は、配偶者が亡くなったときに子だけで相続します。そのときは軽減が使えず、法定相続人も減っています。

一次相続と二次相続の合計で見ると、配偶者に寄せたほうが不利になることは珍しくありません。子が自宅に同居していない場合は、二次相続で小規模宅地等の特例も使えないため、差がさらに開きます。

重要ポイント:これは間違いというより選択の問題です。一次相続だけを見て配偶者に寄せた申告は、二次相続まで含めると不利になっていることがあります。

参照元:国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減

配偶者の税額軽減の上限と申告後に適用する方法は、下記の記事で解説しています。

配偶者にどれだけ渡すかの判断は、下記の記事で解説しています。

パターン4|賃貸物件の減額が漏れている

人に貸している不動産は建物も土地も評価額が下がります

賃貸に出している建物は借家権の分だけ減額され、その敷地は貸家建付地として評価されます。どちらも適用を忘れると評価額がそのまま残ります。相続開始時に空室だった部分の扱いでも判断が分かれます。

空室があった場合、一時的な空室と認められれば賃貸されている部分として扱えます。募集を続けていた記録が残っているかどうかが分かれ目になるため、募集の資料を残しておくことが結果を左右します

注意点:申告書の第11表に自用地として計上されていないかを確認してください。賃貸物件なのに自用地で評価されていれば、見直しの余地があります。

参照元:国税庁 No.4614 貸家建付地の評価

パターン5|家族名義の預金の扱いを誤っている

納め足りない側の間違いもあります。名義が家族でも被相続人の財産として扱われる預金です。

配偶者や子の名義になっていても、被相続人が入金して管理していた預金は被相続人の財産です。税務調査でもっとも多く指摘される項目で、申告に含めていないと追徴の対象になります。

判定の材料は、そのお金を誰が入金したか、通帳や印鑑を誰が管理していたか、名義人が贈与を受けたと認識していたかの3つです。名義を変えただけでは、財産が移ったことになりません。

重要ポイント:セカンドオピニオンでは払いすぎだけでなく納め足りない部分も見つかります。調査で指摘される前に自分で修正申告すれば、過少申告加算税はかかりません。

名義預金と判定される基準は、下記の記事で解説しています。

5パターンの一覧

向きと金額の傾向をまとめて確認します

パターン 向き 金額の傾向 確認する場所
1 土地の補正を使っていない 払いすぎ 数十万〜数百万円 土地の評価明細書の補正率
2 小規模宅地等の特例の漏れ 払いすぎ 数百万〜数千万円 第11・11の2表の付表1
3 配偶者の税額軽減の使い方 二次相続で不利 数百万円 第5表
4 賃貸物件の減額漏れ 払いすぎ 数百万円 第11表の評価区分
5 家族名義の預金 納め足りない 追徴税額と加算税 第11表の預貯金

表の見方:1・2・4が払いすぎで、5は納め足りない側です。両方が同時に見つかることもあります。その場合は差引きして計算します。

重要ポイント:金額のけたを左右するのはパターン2の小規模宅地等の特例です。自宅の土地がある相続では、まずここを確認してください。

セカンドオピニオンを依頼すべき人の判定

当てはまる項目が多いほど見直しの余地があります

相続税を払いすぎているかどうかは、申告書を見直して初めて分かります。ただし依頼する前に、そもそも該当しそうかを自分で確かめることはできます。判断の材料は財産の内容と、当初の申告をどう進めたかの2つです。

土地があり、現地を見ていない申告なら見直しの余地は大きくなります。逆に現金と上場株式だけなら、見直しても金額はほとんど動きません。

7つのチェック項目

自分で確かめられるのは土地があるか、現地を見たか、誰が申告したかの3点です。

チェックリスト:見直しの余地があるか

  • □ 相続財産に土地・建物が含まれている
  • □ 相続した土地の形が正方形・長方形ではない(L字・旗竿・三角形など)
  • □ 土地が道路から奥まっている、または私道に面している
  • □ 土地に高低差・崖・傾斜がある
  • □ 申告を担当した税理士の主な業務が法人税・所得税だった
  • □ 申告のときに土地の現地調査が行われていない
  • □ 複数の土地を相続したが、小規模宅地等の特例をどこに使うかの検討が浅かった

重要ポイント:とくに効くのは土地がある × 現地調査なし × 相続税の対応実績がない税理士の組み合わせです。3つそろえば見直しの価値が高くなります。

チェック数別に取るべき行動

当てはまった数で次にすることが変わります

当てはまった数 見直しの余地 次に取るべき行動
0〜2個 低い 現金・預貯金が中心の相続。非上場株式があれば念のため確認
3〜5個 中〜高い 申告書の無料チェックを依頼する。土地の補正の適用状況から確認
6〜7個 非常に高い 早急に相談。期限(5年)の残りを確認し、成功報酬型で依頼する

注意点:チェック数が少なくても納め足りない部分が見つかることがあります。家族名義の預金がある場合は、払いすぎとは逆の向きで確認が必要です。

依頼しなくてよい場合

財産が現金と上場株式だけなら見直しの余地はほとんどありません

上場株式は4つの価格のうち最も低いものを選ぶ決まりで、判断が分かれる部分がありません。預貯金も残高証明書のとおりです。評価に幅が生じるのは土地・非上場株式・賃貸物件などで、これらがなければ見直しても金額は動きません。

重要ポイント:ただし控除や特例の適用漏れは財産の種類に関係なく起こります。障害者控除や未成年者控除、生前贈与の加算の誤りは、現金だけの相続でも見つかることがあります。

注意点:非上場株式がある場合は財産の種類が少なくても確認する価値があります。会社規模の判定と評価方式の選び方で評価額が大きく変わり、相続税を扱い慣れていない事務所では判断が分かれる部分です。

税務調査でセカンドオピニオンを使うタイミング

分かれ目は修正申告書を出す前か、出した後かです。

相続税の税務調査で指摘を受けると、修正申告書を出すよう促されます。いったん出してしまうと、その内容を認めたことになり、後から争う手段が大きく限られます。指摘に納得できないまま出す前に、別の税理士の見解を聞く価値があります。

相続税の税務調査は、法人税や所得税の調査とは進み方が違います。税務署は事前に金融機関へ照会して入出金の流れを掴んでから来るため、当日その場で反論するのは難しくなります。

相続税の税務調査は申告から1〜2年後に来る

連絡が来るのは申告書を出してから1年から2年後です。

法人の税務調査と違い、相続税の調査は不定期に行われます。税務署は申告書を受け取ってから金融機関への照会などを進め、疑わしい点を整理してから連絡してきます。事前に調べたうえで来るため、指摘は具体的なものになります。

申告してから1年ほど何もなければ安心してしまいがちですが、調査の連絡はその後に来ることが多くなります。2年を過ぎるまでは対象になりうると考えて、資料を処分せずに保管しておいてください。

項目 令和5事務年度 令和6事務年度
実地調査の件数 8,556件 9,512件
申告漏れなどが見つかった件数 7,200件 7,826件
見つかった割合 84.2% 82.3%
重加算税を課された件数 971件 1,065件
1件あたりの申告漏れ課税価格 3,208万円 3,093万円
1件あたりの追徴税額 859万円 867万円

表の見方:調査を受けた9,512件のうち7,826件(82.3%)で申告漏れが見つかっています。調査に来るのは、事前の照会で疑わしい点を掴んでいるからです。

計算ロジック:見つかった割合は7,826件÷9,512件=82.3%、重加算税を課された割合は1,065件÷7,826件=13.6%です。1件あたりの申告漏れ課税価格3,093万円と追徴税額867万円は国税庁の公表値です。

参照元:国税庁 令和6事務年度における相続税の調査等の状況

修正申告書を出す前が分かれ目

出した後は不服申立てという限られた道しか残りません

修正申告書を提出すると、自分でその内容を認めたことになります。そのため後から「あの指摘は間違っていた」と主張することが難しくなります。一方、修正申告に応じずに税務署が更正処分をした場合は、再調査の請求や審査請求という不服申立ての手続きが使えます。

修正申告を促されるのは、税務署にとってもそのほうが早く終わるからです。納税者の側は、署名する前に一度立ち止まって指摘の根拠を確認する時間を取れます。

対応 後から争えるか 残る手段
修正申告書を出した 難しい 原則として争えない
修正申告に応じず更正処分を受けた 争える 再調査の請求・審査請求・訴訟

重要ポイント:指摘に納得できない部分があるなら、修正申告書に署名する前に別の税理士に見せてください。この順番を逆にすると、選べる道がなくなります。

注意点:ただし争うことが常に得とは限りません。更正処分を受けると延滞税の計算期間が長くなります。争う見込みと、時間と費用を天秤にかけて判断することになります。

調査の途中でも相談できる

調査が終わるまで待つ必要はありません。連絡が来た段階から相談できます

調査の日程が決まった時点で相談すれば、当日どんな質問が来るか、何を用意すべきかを整理できます。調査が始まってからでも、指摘を受けた項目について見解を聞くことは問題ありません。税理士を立ち会わせる人を変えることもできます。

連絡が来た直後
もっとも効果が大きい段階
申告書を見直して、指摘されそうな項目を先に把握します。準備した状態で調査を受けられます

調査の日程調整中
立会いを誰に頼むか決められる
当初の税理士とは別の税理士に立ち会ってもらうことも可能です。

調査の途中
指摘された項目について見解を聞ける
調査官の指摘が妥当かどうかを、その場で判断せずに持ち帰れます。

指摘を受けた後
まだ間に合う最後の段階
修正申告書に署名する前なら、内容を検討できます

修正申告書の提出後
手段が限られる
原則として争えません。払いすぎに気づいた場合のみ、更正の請求で対応します。

重要ポイント:相談が早いほど選べる手が多くなります。連絡が来た直後がもっとも効果的です。調査官の指摘を聞いてから慌てて探すより、日程が決まった段階で動いてください。

調査で実際に聞かれること

質問は被相続人の生活と、家族の口座に集中します

調査官は事前に金融機関へ照会して入出金の流れを掴んでいます。そのうえで、通帳に残った動きの説明を求めてきます。答えられない入出金があると、そこから申告漏れの指摘に進みます。

質問の狙いは、生涯の収入に比べて残った財産が少なすぎないかを見ることです。差があれば、どこかに申告していない財産があると考えます。

【相続税の調査でよく聞かれること】

  • 被相続人の職業と収入はどれくらいでしたか生涯の収入と残った財産が釣り合うかを見ています
  • この出金は何に使いましたか亡くなる前の大きな引き出しは必ず聞かれます
  • 奥様(お子様)の口座のお金はどうやって貯めましたか|名義預金かどうかの判定に直結します
  • 貸金庫はありますか。中身は確認しましたか|金地金や無記名の債券が入っていることがあります
  • 生前に贈与を受けたことはありますか|一定期間内の贈与は相続財産に加算します
  • この不動産は誰が使っていましたか|小規模宅地等の特例や貸家建付地の判定に関わります

重要ポイント:答えに困ったときはその場で推測を答えないでください。「確認して後日回答します」で構いません。事実と違う説明をすると、隠したと認定される材料になります。

注意点:調査は自宅で行われるのが原則です。通帳や印鑑の保管場所を見せるよう求められることもあります。拒めますが、拒んだ理由を尋ねられます。

立ち会う税理士を変えられる

調査に立ち会うのは当初の申告を担当した税理士でなくてもかまいません

税務代理権限証書を新しい税理士の名前で提出すれば、その税理士が調査に立ち会えます。当初の税理士の同意は必要ありません。申告内容に不安がある場合、この段階で変える選択があります。

当初の税理士に「変えたい」と伝える必要もありません。新しい税理士が権限証書を出した時点で代理人が交代します。ただし申告の経緯を一から説明する時間はかかるため、日程が決まった段階で動くのが現実的です。

立ち会う人 利点 注意点
当初の税理士 申告の経緯を把握している 自分の判断を否定しにくい立場にある
別の税理士 第三者の目で指摘の妥当性を判断できる 申告の経緯を一から把握する時間が必要
両方に立ち会ってもらう 経緯の説明と客観的な判断の両方が得られる 費用が二重にかかる

表の見方:当初の税理士は自分がした判断を守る立場になります。指摘が妥当かどうかを客観的に判断してもらうには、別の税理士の目が必要な場面があります。

注意点:調査の直前に変えると新しい税理士が内容を把握する時間がありません。日程が決まった段階で動くのが現実的です。

税理士のミスが疑われる場合の対処は、下記の記事で解説しています。

指摘されたらいくら払うことになるか

本税に加えて加算税と延滞税が上乗せされます。動く時期によって上乗せの率が変わるため、同じ申告漏れでも最終的な負担が変わります。

子2人が課税価格1億円で申告し、調査で3,000万円の申告漏れが判明したとします。正しい課税価格は1億3,000万円になり、相続税の総額は770.0万円から1,360.0万円へ、本税は590.0万円増えます。ここに加算税と延滞税が乗ります。

いつ修正申告するか 過少申告加算税 延滞税 本税とあわせた負担
調査の通知が来る前に自分から 0円(かかりません) 47.5万円 637.5万円
通知が来た後・調査を受ける前 29.5万円(5%) 47.5万円 667.0万円
調査を受けた後 59.0万円(10%) 47.5万円 696.5万円
隠したと認定された場合 206.5万円(重加算税35%) 47.5万円 844.0万円

計算ロジック:相続人は子2人、基礎控除は3,000万円+600万円×2人=4,200万円という前提です。延滞税は令和8年の割合(最初の2か月は年2.8%、その後は年9.1%)で計算し、期限内に申告していれば計算期間が1年で止まる決まりを反映しています。

表の見方:自分から先に修正申告した場合と、隠したと認定された場合では負担が206.5万円違います。本税590.0万円に対して3分の1を超える差です。

重要ポイント:もっとも軽いのは調査の通知が来る前に自分から修正申告することです。過少申告加算税がかかりません。申告漏れに心当たりがあるなら、通知を待たずに動いてください。

争点になるのは名義預金と土地の評価

相続税の調査で指摘されるのはこの2つがほとんどです。

法人の税務調査では売上の計上時期や経費の妥当性が争点になりますが、相続税は違います。財産をすべて申告したか、そして土地をいくらで評価したかに集中します。どちらも税理士の経験によって対応が変わる部分です。

【相続税の調査で指摘されやすい項目】

  • 家族名義の預金入金したのが被相続人なら、名義にかかわらず相続財産になります
  • 亡くなる直前に引き出した現金手元にあった分も申告が必要です
  • 生前贈与の加算漏れ|一定期間内の贈与は相続財産に加算します
  • 土地の評価が低すぎる|補正の適用が過大だと否認されることがあります
  • 被相続人が保険料を払っていた保険|契約者が家族でも課税されます

注意点:指摘された内容が事実なら争わずに修正申告するほうが有利です。調査の事前通知の後でも、実際の調査を受ける前に修正申告すれば過少申告加算税が10%から5%に下がります。

重要ポイント:隠したと認定されると重加算税35%になります。令和6事務年度は非違7,826件のうち1,065件(13.6%)が対象でした。通帳を隠す、事実と違う説明をするといった行為が該当します。

参照元:国税庁 No.9205 延滞税について

申告漏れに気づいたときの対処とペナルティの全体像は、下記の記事で解説しています。

修正申告のやり方と加算税の計算は、下記の記事で解説しています。

費用と手取り|還付額から報酬を引いていくら残るか

見るべきなのは還付額ではなく報酬を引いた後の手取りです。

申告後の見直しは成功報酬型が多く、還付された金額の20〜45%が報酬になります。料率の幅が大きいため、同じ還付額でも手元に残る金額が変わります。依頼する前に料率を確認してください。

料率は事務所が自由に決めているため、20%のところと45%のところが並存します。見積りを1社しか取らないと、その料率が高いのか安いのか分かりません。

還付額別の手取り

報酬の料率で手取りは1.5倍近く変わります

当初の課税価格 評価減 還付額 手取り(報酬45%) 手取り(報酬20%)
1億円 ▲1,000万円 150.0万円 82.5万円 120.0万円
1億5,000万円 ▲2,000万円 360.0万円 198.0万円 288.0万円
2億円 ▲3,000万円 750.0万円 412.5万円 600.0万円

計算ロジック:相続人は配偶者と子2人、基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万円という前提です。見直し後の課税価格で相続税の総額を計算し直し、当初の総額との差を還付額としています

表の見方:還付額360.0万円のケースでは、報酬45%だと198.0万円、20%だと288.0万円が手元に残ります。差は90.0万円です。

注意点:配偶者の税額軽減を使っている場合、実際に納めた額が総額より小さくなります。その場合、戻る金額もこの表より小さくなります。正確な金額は申告書をもとに計算する必要があります。

参照元:国税庁 No.4155 相続税の税率

契約の形別の費用

目的が違えば、選ぶべき契約の形も違ってきます

契約の形 費用 払うタイミング 向いている場面
成功報酬型 還付額の20〜45% 還付された後 申告後の見直し(払いすぎているか不明な段階)
スポット契約 1時間あたり1万円〜3万円 相談時 税務調査への対応・申告前の確認
申告書のチェックのみ 無料〜10万円 着手時 まず可能性だけ知りたい場合
顧問契約 月額3万円〜10万円 毎月 事業承継など継続的な相談

重要ポイント:税務調査への対応は成功報酬型になりません。還付ではなく追徴税額を抑えることが目的なので、時間単価か固定額での契約になります。

注意点:「完全成功報酬」と書かれていても、実費や不動産鑑定の費用が別途になることがあります。鑑定評価書を作る場合は数十万円かかるため、誰が負担するのかを契約前に確認してください。

費用倒れになる場合

還付額が小さいと手間に見合わないことがあります

成功報酬型なら還付されなければ報酬は発生しませんが、資料を集めて委任状を用意するといった作業は残ります。還付額が数十万円の見込みなら、その手間をかける価値があるかを考える段階です。

重要ポイント:判断の目安は当初の納税額が数百万円以上あったかです。納税額が小さい相続では、評価減が見つかっても還付額が限られます。

注意点:還付額が小さくても土地の評価を直しておく意味は残ります。同じ土地を次の相続でも評価するため、正しい評価額を資料として残しておけば、二次相続でそのまま使えます。

申告後のセカンドオピニオン|更正の請求で取り戻す

払いすぎていた分は申告期限から5年以内なら取り戻せます

更正の請求という手続きで、税務署に「申告した税額が多すぎた」と求めます。認められれば納めすぎた分が還付されます。税務署から払いすぎを知らせてくることはないため、自分から動かないと戻ってきません。

認められれば、還付される税額に加えて還付加算金という利息も付きます。納めすぎていた期間に応じて計算されるため、手続きが遅れても不利になるわけではありません。

期限は相続開始から5年10か月

申告期限が10か月なので相続開始から数えると5年10か月です。

この期限は法律で決まっており、例外は認められません。1日でも過ぎると、どれだけ払いすぎていても戻りません。書類の作成にも時間がかかるため、残り1年を切っている場合は急ぐ必要があります。

重要ポイント:期限を過ぎた場合、残された道は当初の税理士への損害賠償請求だけになります。請求できる金額も、税務署から戻るはずだった分に限られます。

参照元:国税庁 B1-27 相続税及び贈与税の更正の請求手続

払いすぎた相続税を取り戻す手続きの詳細は、下記の記事で解説しています。

手続きの流れ

見直しから入金まで4か月から6か月が目安です。

STEP1
申告書の控えを用意する
申告書一式と土地の評価明細書、公図や測量図をそろえます。控えがなければ税務署の閲覧サービスを使えます

STEP2
見直しの査定を受ける
相続税の対応実績がある税理士に見てもらいます。この段階で還付の見込みが分かります

STEP3
根拠となる資料をそろえる
土地の評価を直す場合は測量図や現地写真、必要なら不動産鑑定士の意見書を用意します。

STEP4
更正の請求書を提出する
当初の申告額と正しい税額、請求の理由を書いて提出します。

STEP5
審査を経て還付される
税務署の審査に数か月かかります。認められれば還付加算金が上乗せされて振り込まれます

注意点:更正の請求は請求すれば必ず認められるものではありません。根拠を客観的に示せるかどうかが分かれ目になります。測量図や写真といった第三者が確認できる資料が必要です。

相続人が複数いる場合

請求は各相続人が自分の分について行います

相続税は相続人ごとに納めるため、更正の請求も各自で提出します。他の相続人の同意は必要ありません。ただし土地の評価を直すと全員の税額が変わるため、実務では全員でまとめて依頼するのが一般的です。

まとめて依頼すれば、資料の収集も1回で済みます。報酬も還付額の合計に対して計算されるため、1人ずつ別の事務所に頼むより手間が小さくなります。

重要ポイント:1人だけが請求してもその人の分は還付されます。他の相続人が動かないからといって、諦める必要はありません。

申告前のセカンドオピニオン|提出する前に確かめる

申告期限までに時間があるなら提出する前に見てもらうのが最も確実です。

提出した後で直すには更正の請求という手続きが必要になり、審査を通らなければ認められません。提出する前なら、内容を修正して出すだけで済みます。手間も費用も、後から直すより小さくなります。

とくに分け方をどうするかは、申告した後では変えられません。提出前でしか手を打てない論点があるのが、申告前に見てもらう最大の理由です。

見てもらうべき2つの場面

とくに効くのは土地がある相続と、分け方が決まっていない相続です。

場面 なぜ効くか 確認してもらうこと
土地がある相続 評価に幅が生じる部分だから 補正の適用・小規模宅地等の特例の配分
分け方が決まっていない相続 誰が取得するかで税額が変わるから 二次相続まで含めた配分の比較
非上場株式がある相続 会社規模の判定で評価額が変わるから 会社規模の判定根拠・特定の評価会社に当たらないか
申告期限が迫っている相続 未分割申告になると特例が使えないから 分割見込書を出すかどうかの判断

表の見方:上の2つは提出前でしか手を打てないものです。分け方は申告後に変えられませんし、特例をどの土地に使うかも申告時に決まります。

重要ポイント:とくに二次相続まで含めた配分の検討は、提出後に気づいても直せません。配偶者にどれだけ渡すかは、一度申告すると変更できないためです。

二次相続まで含めた分け方は、下記の記事で解説しています。

今の税理士に不安があるとき

聞くべきなのは土地の現地を見たかどうかです。

土地の補正は現地を見ないと判断できないものが多くあります。図面だけで評価している場合、不整形地補正や高低差による減額が見落とされる可能性があります。この1点を聞くだけで、対応の丁寧さが分かります。

現地に行かない理由が「路線価で足りるから」であれば、補正を検討していない可能性があります。減額できる要素があるかどうかを確認したかを聞いてみてください。

【注意したほうがよいサイン】

  • 土地の現地を見に行っていない補正の判断は図面だけではできません
  • 小規模宅地等の特例の話が出てこない自宅がある相続で触れないのは不自然です
  • 二次相続の話が出てこない|配偶者にどれだけ渡すかの提案がないということです
  • 質問への回答が遅い・要領を得ない|相続税を扱い慣れていない可能性があります
  • 書面添付制度の説明がない|税務調査への備えを検討していないことになります

注意点:1つ当てはまるだけですぐに変えるべきとは限りません。まず質問して、説明に納得できるかで判断してください。説明を求めても要領を得ない場合が、見直しを検討する段階です。

申告の途中で税理士を変更する手続きは、下記の記事で解説しています。

セカンドオピニオンを頼む税理士の選び方

見るべきなのは土地の評価をどう進めるかと、報酬の決め方の2つです。

相続税の申告件数は年間15万件ほどで、税理士は全国で8万人を超えます。単純に割ると1人あたり年に2件程度しか扱わない計算です。相続税を専門的に扱っている事務所とそうでない事務所の差が大きく、見直しの結果も依頼先によって変わります。

とくに見直しの依頼は、申告する仕事とは必要な経験が違います。当初の申告で見落とされた部分を探す仕事なので、還付の案件を年間何件扱っているかが判断の材料になります。

確認する5つのこと

依頼する前に聞いておけば、事務所ごとの経験の差が見えます

【依頼する前に確認すること】

  • 相続税の申告と見直しをそれぞれ何件扱っているか申告する仕事と見直す仕事は必要な視点が違います
  • 土地は現地を確認するか図面だけで判断する事務所では補正の見落としを見つけられません
  • 不動産鑑定士と連携しているか|鑑定評価が必要な案件では、連携の有無で結果が変わります
  • 報酬の料率と着手金|成功報酬20〜45%の幅があり、実費が別途かどうかも確認します
  • 還付されなかった場合の費用|完全成功報酬なら0円ですが、実費が残る契約もあります

重要ポイント:もっとも差が出るのは土地の現地を見るかどうかです。当初の申告で見落とされた補正を見つけるのが見直しの中心なので、図面だけで済ませる事務所では意味がありません。

税務調査への対応を頼む場合

見直しとは求められる経験が違います

申告の見直しは土地評価の専門戦ですが、税務調査への対応は調査官とのやり取りが中心になります。書面で根拠を示す力と、その場で判断する力の両方が必要です。調査の立会い経験がどれだけあるかを聞いてください。

このとき確認したいのは、法人税ではなく相続税の調査に何件立ち会ったかです。相続税の調査は名義預金と土地の評価が争点になるため、法人の調査の経験がそのまま活きるわけではありません。

依頼の内容 重視すべき経験 確認する質問
申告書の見直し 土地評価と還付の実績 「還付の案件は年に何件扱っていますか」
税務調査への対応 調査の立会い経験 「相続税の調査に何件立ち会いましたか」
申告前の確認 相続税の申告実績 「二次相続まで含めて提案できますか」

注意点:調査への対応は時間との勝負になります。修正申告書を出す前という限られた期間で判断するため、すぐ動ける事務所を選ぶ必要があります。

税理士の選び方と依頼前の準備は、下記の記事で解説しています。

依頼の流れと注意点

進め方は申告書の控えを用意することから始まります

相談の前に資料をそろえておくと、初回で見込みが分かります。手元にない場合も税務署で内容を確認できるため、諦める必要はありません。

初回の相談で還付の見込みが分かる事務所も多いため、まず資料を持って話を聞いてみるのが早い進め方になります。

用意する資料

必要なのは申告書一式と土地の資料です。

チェックリスト:相談前にそろえるもの

  • □ 相続税申告書の控え一式(土地の評価明細書を含む)
  • □ 土地の登記事項証明書・公図・測量図
  • □ 固定資産税の課税明細書
  • □ 遺産分割協議書の写し
  • □ 被相続人の除籍謄本・相続人の戸籍謄本
  • □ 税務調査の連絡があった場合はその内容のメモ

重要ポイント:控えがない場合は税務署の申告書等閲覧サービスを使えます。本人確認書類を持参すれば閲覧でき、写真撮影も認められています。相続人なら他の相続人の同意は必要ありません。当初の申告を担当した税理士に頼まなくても取得できます。

今の税理士に伝えるべきか

伝える義務はありませんが関係が続くかどうかで判断が変わります

税理士には守秘義務があるため、相談した事実が伝わることはありません。申告書の控えがあれば、知られずに見てもらえます。一方で、今後も付き合いが続く相手なら、事前に伝えておくほうが穏当な場合もあります。

状況 伝えるか 理由
まず可能性だけ知りたい 伝えなくてよい 見直しの結果、間違いがないこともある
税務調査の対応を頼む ケースによる 立会いを変えるなら伝えることになる
更正の請求まで進める 伝えたほうがよい 当初の申告を直す手続きになるため
今後も顧問を続ける 伝えたほうがよい 関係を保つため

注意点:伝えたときの反応が今後も付き合うべきかの判断材料になります。説明を尽くしてくれるか、感情的になるかで、その税理士の姿勢が分かります。

意見が分かれたときの考え方

判断の基準はどちらが根拠を示せるかです。

2人の税理士の見解が違った場合、どちらを信じるか迷うことになります。基準は「なぜそう判断したか」を資料で説明できるかどうかです。測量図や通達を示して説明できる側と、経験や感覚で語る側では、税務署に対する説明力が違います。

更正の請求は、請求すれば必ず認められるものではありません。税務署の審査を通す必要があるため、第三者が確認できる資料を示せるかどうかが結論を分けます。

重要ポイント:見解が分かれる論点は税務の世界に実際に存在します。どちらかが間違っているとは限りません。その場合は、否認されたときのリスクをどう見るかという判断になります。

見直しても間違いがないことがある

結果として当初の申告が適切だったと分かることもあります

その場合は費用が無駄になったように感じられますが、正しく申告できていたという確認が得られます。税務調査に備える意味もあり、指摘されそうな項目を先に把握できます。

調査の連絡が来る前に把握しておけば、通知が来る前に自分から修正申告するという選択も取れます。その場合は過少申告加算税がかかりません。

注意点:成功報酬型なら還付されなければ報酬は発生しません。払いすぎているか分からない段階でも頼めるのは、この契約形態があるからです。

参照元:国税庁 No.4205 相続税の申告と納税

相続税のセカンドオピニオンは相続税の対応実績がある税理士へ|一括相談・見積り

見直しの結果は依頼する税理士によって変わります。複数の事務所から見積りを取り、方針と報酬を比べてください。

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

結果を左右するのは土地の現地を見るか、報酬の料率がいくらかの2つです。どちらも事務所によって大きく違います。

【相続税の対応実績がある税理士に相談すべき理由】

  • 土地の補正の見落としを見つけられる現地を確認して不整形地補正や高低差による減額を検討します
  • 小規模宅地等の特例の適用可否を判定できる金額のけたを左右するのはこの特例です
  • 更正の請求の期限から逆算して動ける|相続開始から5年10か月を過ぎると1円も戻りません
  • 税務調査では修正申告書を出す前に判断できる出した後は原則として争えません
  • 納め足りない部分も同時に確認できる|調査の通知が来る前に修正申告すれば加算税はかかりません

たとえば課税価格1億5,000万円で、土地の補正が使われていなかったという相続を考えます。

A税理士は申告書だけを見て「見直しの余地はない」と判断しました。還付は0円です。

B税理士は現地を確認し、不整形地補正と高低差による減額を適用しました。評価額が2,000万円下がり、360.0万円が還付されました。報酬20%なら手取りは288.0万円です。

複数の税理士に相談するメリット

比べるべきなのは現地を見るかどうかと報酬の料率です。同じ還付額でも手取りが1.5倍近く変わります。

判定ポイント1:土地の現地を確認するか「土地は現地を見ていただけますか」と聞いてみてください。→ 図面だけで判断する事務所では、補正の見落としを見つけられません。

判定ポイント2:報酬の料率と着手金成功報酬20〜45%の幅があり、実費が別途かどうかも違います。→ 還付額360.0万円なら、料率の差で90.0万円の違いになります。

判定ポイント3:還付の実績件数「還付の案件は年に何件扱っていますか」と聞きます。→ 申告する仕事と見直す仕事は必要な視点が違います。

相談しないまま進めるリスク

払いすぎた分は自分から動かないと戻ってきません。税務署が教えてくれることはないためです。

【相談しないまま進めた場合のリスク】

  • 5年10か月を過ぎて取り戻せなくなる期限は法律で決まっており、1日でも過ぎると戻りません
  • 税務調査で修正申告書を出してしまう出した後は原則として争えません
  • 納め足りない部分を調査で指摘される令和6事務年度は調査9,512件のうち82.3%で申告漏れが見つかりました
  • 報酬の料率を比べずに依頼する|20%と45%では手取りが1.5倍近く変わります
  • 次の相続でも同じ見落としが起きる|二次相続を同じ税理士に頼めば、同じ判断が繰り返されます

更正の請求ができるのは申告期限から5年以内で、相続開始から数えると5年10か月です。複数の事務所から見積りを取っていれば、判断の違いはその時点で見えます。

参照元:国税庁 令和6事務年度における相続税の調査等の状況

一括相談・見積りの手順|STEP1〜STEP4

見積りはフォームの記入5分から始められます

STEP1
相続の概要を整理する
被相続人の資産の内容とおおよその金額、相続人の構成、申告した時期を書き出します。申告書の控えと土地の資料を手元に用意してください

STEP2
一括見積り・相談サービスに依頼する
申告内容の見直し・更正の請求・税務調査への対応など希望する内容を書き、3〜5社の税理士へ同時に打診します。不動産があれば所在地と広さを記載します。財産の種類と相続人の人数はできるだけ正確に伝えてください。フォームの記入は5分程度です。

STEP3
見積りと初回相談を受ける
各事務所から見直しの方針・還付の見込み・報酬の料率が届きます。気になる事務所と初回相談を行い、土地の現地を確認するかどうかを聞いてください。

STEP4
税理士を選定して正式に依頼する
方針の質・説明の丁寧さ・報酬の納得性で選びます。税務調査の連絡が来ている場合は急いでください。修正申告書を出す前という限られた期間で動くことになります。

重要ポイント:申告してから何年経っているかを最初に確認してください。5年10か月まで残りわずかなら、見積りを待たずに1社に依頼するほうが確実です。

よくある質問(FAQ)

Q1. セカンドオピニオンを頼むと、今の税理士に知られますか?

知られません。税理士には守秘義務があるため、相談した事実が伝わることはありません。申告書の控えが手元にあれば、それだけで見てもらえます。

ただし更正の請求まで進める場合は、当初の申告を直す手続きになります。その段階では伝えたほうが穏当なこともあります。同意は必要ありません。

Q2. 税務調査の連絡が来ました。今から相談しても間に合いますか?

間に合います。むしろ連絡が来た直後がもっとも効果的な段階です。申告書を見直して、指摘されそうな項目を先に把握できます。

避けたいのは修正申告書を出してしまうことです。出した後は自分でその内容を認めたことになり、原則として争えなくなります。

Q3. 費用はいくらかかりますか?

申告後の見直しは成功報酬型が多く、還付額の20〜45%が目安です。還付されなければ報酬は発生しません。税務調査への対応は成功報酬にならず、1時間あたり1万円〜3万円が目安です。

還付額360.0万円のケースでは、報酬45%だと手取り198.0万円、20%だと288.0万円になります。料率の差で90.0万円変わるため、依頼前に確認してください。

Q4. 見直しても間違いがなかった場合はどうなりますか?

成功報酬型なら報酬は発生しません。正しく申告できていたという確認が得られます。

税務調査に備える意味もあります。指摘されそうな項目を先に把握できるためです。ただし実費が別途かかる契約もあるので、事前に確認してください。

Q5. 申告してから4年経っています。まだ間に合いますか?

間に合います。更正の請求ができるのは申告期限から5年以内で、相続開始から数えると5年10か月です。

ただし土地の測量や鑑定評価が必要な場合、書類の準備に数か月かかります。残り1年を切っているなら、見積りを待たずに1社に依頼するほうが確実です。

まとめ|使うタイミングで結果が変わる

相続税のセカンドオピニオンは、今の税理士との契約を切らずに別の税理士の見解を聞くことです。申告前・申告後・税務調査の3つの場面で使えますが、動ける期限がそれぞれ違います。

この記事の要点をまとめます。

  • 税務調査は修正申告書を出す前に相談する。出した後は自分で内容を認めたことになり、原則として争えない
  • 相続税の調査は申告から1〜2年後に来る。令和6事務年度は9,512件のうち7,826件(82.3%)で申告漏れが見つかった
  • 1件あたりの追徴税額は867万円。重加算税を課された割合は13.6%
  • 申告後なら申告期限から5年以内に更正の請求で取り戻せる。相続開始から数えると5年10か月
  • 課税価格1億5,000万円で2,000万円の評価減なら360.0万円が戻る。報酬20%なら手取り288.0万円、45%なら198.0万円
  • 今の税理士に伝える義務はない。守秘義務があるため、申告書の控えがあれば知られずに見てもらえる
  • 見つかるのは土地の補正と特例の適用漏れ。金額のけたを左右するのは小規模宅地等の特例

今すぐ取るべき行動

  • 相続開始からの経過期間を確認する(5年10か月まで何か月あるか)
  • 税務調査の連絡が来ている場合は、修正申告書に署名する前に相談する
  • 申告書の控えを用意する(なければ税務署の閲覧サービスを使う)
  • 土地の評価明細書に補正率が書かれているか確認する
  • 第11・11の2表の付表1に小規模宅地等の特例の記載があるか確認する
  • 当初の申告で土地の現地調査が行われたか思い出す
  • 複数の税理士に見積りを依頼し、現地を確認するかと報酬の料率を比べる

※本記事は2026年9月時点の法令等に基づいて作成しています。相続税法の改正により取り扱いが変わる場合があります。最新の制度については国税庁のホームページや税理士にご確認ください。

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