


亡くなった人の口座から引き出されたお金の使い道が分からないと、そのお金も相続税の対象になります。
引き出した本人が使っていた場合でも同じです。手元に残っていなくても課税されます。
税務署は法律にもとづいて金融機関を調べられます。通帳を出さなくても、出金の記録は把握されると考えてください。
分かれ目は相続財産に足されるのか、贈与だったとみなされるのかです。同じ金額でも税額が変わります。
使途不明金1,000万円なら、相続税として150万円、贈与とみなされると177万円です。
隠していたと判断されると、さらに重加算税35%が上乗せされます。この例では52.5万円です。
この記事では、なぜ税務署に分かるのか、誰の相続税になるのか、名義預金との関係、使い込んだ側の税金、調査での備え方までを解説します。
▼ この記事の3行まとめ

使い込みという言葉は、法律や税法で定義されたものではないのです。税務では使い道が説明できない出金があるかどうかで見ます。これを使途不明金と呼びます。
使途不明金が見つかると、そのお金がどう扱われるかで税額が変わります。相続財産に足されるのか、生前にもらっていた贈与とみるのかで、税の種類も納める人も変わります。
この章では4つの扱いを並べたうえで、誰がどの税を納めることになるのかを整理します。法的に取り戻す手続きは扱いません。
同じ出金でも、事実関係によって次の4つに分かれます。どれに当たるかは、引き出した人・使った相手・使途の記録で決まります。
| どう扱われるか | かかる税 | 誰が納めるか | この記事の例 |
|---|---|---|---|
| 亡くなった人の財産が残っていたとみる | 相続税 | 相続人全員(取り分に応じて) | +150万円 |
| 生前にもらっていたとみる | 贈与税 | もらった人 | 177万円 |
| 返してもらう権利が財産として残るとみる | 相続税 | 相続人全員 | +150万円 |
| 亡くなった人のために使っていた | かからない | — | 0円 |
表の見方:上3つはいずれも課税されますが、税の種類と納める人が違います。一番下だけが課税されない扱いです。
重要ポイント:贈与とみなされるほうが税負担は重くなります。この例では相続税150万円に対して贈与税177万円で、27万円の差が出ます。
亡くなる前の出金か、亡くなった後の出金かで話が変わります。税務でも法律でも扱いが別になります。
亡くなる前の出金は、使途が説明できなければ現金または贈与として相続財産に反映されます。本人が使ったのか、家族が使ったのかを問われます。
亡くなった後の出金は、そのお金が相続財産に含まれたままです。引き出した人が持っているだけなので、相続財産の総額は変わりません。
つまり亡くなった後の引き出しは、相続税の総額に影響しないことが多くなります。問題になるのは相続人どうしの取り分で、そちらは法的な話になります。
分け方が決まってから申告までの流れは、下記の記事で解説しています。

使い込みには税務の問題と法律の問題があります。この記事は税務だけを扱います。
具体的には、いくら課税されるか・誰が納めるか・調査でどう見られるかです。返してもらう手続き、証拠の集め方、時効は弁護士の領域なので深入りしません。
どちらの問題も同時に起きるため、税理士と弁護士の両方に関わってもらう場面があります。役割分担は後の章で整理します。
使い込みかどうかを判断する前に、事実を3つ押さえてください。この3つが決まらないと、税務上の扱いも決まりません。
| 確かめること | 調べ方 | 分かること |
|---|---|---|
| いつ引き出されたか | 通帳・取引明細の日付 | 亡くなる前か後かで扱いが変わる |
| 誰が引き出したか | ATMの場所と時間・窓口の記録 | 本人か家族かで贈与か無断かが分かれる |
| 何に使われたか | 領収書・請求書・支出の記録 | 本人のための支出なら課税されない |
表の見方:3つのうち最も重いのは3行目です。本人のために使っていたと示せれば、誰が引き出したかにかかわらず課税されません。
重要ポイント:通帳を先に集めてください。取引明細は金融機関に請求すれば10年分まで取れることが一般的で、記帳されていない期間も確認できます。
この段階では使い込みと決めつけないほうが進めやすくなります。本人が自分で引き出して使っていたケースも多く、疑いから入ると家族間の関係が先に壊れます。

通帳を提出しなければ分からない、と考える人がいます。実際には提出しなくても把握されます。
法律が、相続税の調査のために金融機関のような取引先へも質問し、書類を検査できると定めているためです。本人の同意は要りません。
この章では、税務署が見ている情報、指摘されやすい出金の型、申告しなければ済むのかを順に見ていきます。
調査で見られるのは被相続人の口座だけではありません。家族名義の口座や、保険会社から届く記録も合わせて照合されます。
| 税務署が見ているもの | 分かること | 根拠 |
|---|---|---|
| 被相続人の口座の入出金 | いつ・いくら引き出されたか | 国税通則法74条の3 |
| 相続人・家族名義の口座の入出金 | そのお金がどこへ移ったか | 同上 |
| 生命保険金・退職金の支払い記録 | 申告されていない財産の有無 | 相続税法59条 |
| 不動産の登記・自動車の登録 | 大きな買い物の有無 | 各種の資料 |
| 過去の確定申告・源泉徴収の記録 | 生涯の収入と残高が釣り合うか | 税務署の保有資料 |
| 貸金庫の開扉記録 | 相続の前後に開けられたか | 金融機関への照会 |
表の見方:1行目と2行目が対になっています。被相続人の口座から出たお金が、家族名義の口座に入っていれば流れが見えます。
重要ポイント:法律は「債権や債務を有していた者」にも質問できると定めています。金融機関は預金者に対して債務を負っている立場なので、ここに含まれます。
すべての出金が問題になるわけではありません。次のような動きが記録に残っていると、使途を確認されます。
最後の項目が見落とされやすいところです。税務署は過去の申告から生涯の収入を推計できます。収入に対して残高が不自然に少なければ、どこかへ移ったと考えて調べます。
逆に言えば、使途の記録が残っていれば問題になりません。医療費や介護費の領収書、生活費として渡していた記録があれば説明できます。
相続税の申告をしなければ調べられない、というものでもありません。税務署は申告が必要かどうかを、保有している資料から独自に把握しています。
不動産の登記、保険金の支払い記録、過去の所得の記録から申告が必要そうな人には「お尋ね」が届きます。ここで回答しないと、そのまま調査に進むことがあります。
申告しなかった場合の上乗せは、期限内に申告して金額を間違えた場合より重くなります。無申告加算税は15%で、隠していたと判断されれば40%です。
重要ポイント:心当たりがあるなら、指摘される前に自分から申告するほうが軽く済みます。調査を予知しない修正申告なら上乗せは5%で、この記事の例では7.5万円です。
申告期限を過ぎてしまった場合に何が起きるかは、下記の記事で解説しています。


使途不明金が見つかったとき、まず確かめるのはいつ引き出されたかです。亡くなる前か後かで、相続税の総額が増えるかどうかが変わります。
次に確かめるのが使途です。亡くなった人のために使ったのであれば、そのお金は消えているので相続財産も減ります。家族が自分のために使っていた場合は減りません。
この章では、時期と使途の組み合わせで結論がどう変わるかを整理し、相続人それぞれがいくら納めることになるのかまで見ていきます。
4つの組み合わせがあります。相続税の総額が増えるのは2行目だけで、残りは総額に影響せず相続人の間の取り分の問題になります。
| 引き出した時期 | 相続財産はどうなるか | 相続税の総額 | 争いの中身 |
|---|---|---|---|
| 亡くなる前・本人のために使った | 減る(使った分だけ) | 変わらない | 使途を示せるかどうか |
| 亡くなる前・家族が自分のために使った | 減らない(現金または贈与として残る) | 増える | 贈与だったか、無断だったか |
| 亡くなった後・引き出しただけ | 減らない(そのまま相続財産) | 変わらない | 誰の取り分になるか |
| 亡くなった後・使ってしまった | 減らない(返す義務が残る) | 変わらない | 返してもらえるか |
表の見方:3列目に注目してください。相続税の総額が増えるのは「亡くなる前に家族が自分のために使った」場合だけです。
重要ポイント:亡くなった後の引き出しは相続税の総額を変えません。そのお金は相続財産に含まれたままで、誰かの手元にあるかどうかの違いしかないためです。この場合の問題は税務ではなく相続人どうしの分け方になります。
亡くなる前に引き出されたお金は、使途を示せなければ亡くなった時点で残っていたものとして扱われます。現金として手元にあった、という前提で課税されます。
自宅で保管していた現金(タンス預金)に相続税がかかるかと、隠して見つかった場合の負担は、下記の記事で解説しています。

引き出した家族が使ってしまっていても同じです。お金が手元にないことと、課税されないことは別だからです。亡くなった人の財産だったという事実が変わらない限り、相続税はかかります。
もう1つの扱いが贈与です。本人が承知のうえで渡していたのであれば、贈与になります。この場合は相続財産ではなく、もらった人に贈与税がかかります。
どちらになるかは、本人の意思を示す記録があるかで分かれます。贈与契約書があるか、本人が理解できる状態だったか、贈与税の申告をしていたかが判断材料になります。
生前贈与が相続税の計算に足し戻される仕組みは、下記の記事で解説しています。

亡くなった後に相続人の1人が引き出して使ってしまった場合、そのお金を返してもらう権利が他の相続人に生まれます。
この権利は財産としての価値があります。そのため返してもらう権利そのものを相続財産として申告するという扱いになることがあります。
実務では、引き出された金額をそのまま相続財産に計上し、引き出した相続人がその分を取得したものとして分けるのが一般的です。結果として相続税の総額は変わりません。
注意したいのは、返してもらえる見込みがない場合です。相手に返す資力がなくても、権利がある以上は財産として扱われます。この点は税務と実際の手取りがずれるところです。
税理士に頼めることと頼めないことの境界は、下記の記事で解説しています。

相続税は、相続財産の総額から計算した税額を各相続人が取得した割合で分けて納めます。使途不明金が加算されると、その分も割り振られます。
【シナリオ】相続人は子2人。申告した遺産が8,000万円で、あとから使途不明金1,000万円が加算されたとします。
| 当初の申告 | 使途不明金を加算した後 | |
|---|---|---|
| 課税価格 | 8,000万円 | 9,000万円 |
| 基礎控除 | △4,200万円 | △4,200万円 |
| 相続税の総額 | 470万円 | 620万円 |
| 増える税額 | — | +150万円 |
表の見方:使途不明金1,000万円が加わると相続税の総額が150万円増えます。税率の区分が上がるため、加算額に対する負担は一定ではありません。
重要ポイント:引き出した本人だけが納めるのではありません。増えた税額は相続人全員の取得割合に応じて割り振られるため、引き出していない相続人の負担も増えます。
計算ロジック:基礎控除は3,000万円+600万円×2人で4,200万円。課税価格から基礎控除を引いた額を法律で決まった割合(子2人なら2分の1ずつ)で分け、それぞれに税率をかけて合計しています。
相続税そのものの計算手順は、下記の記事で解説しています。

申告した遺産の額によって、増える税額は変わります。同じ1,000万円が加算されても、もともとの遺産が大きいほど負担も大きくなります。
| 申告した遺産 | 当初の相続税 | 加算後の相続税 | 増える税額 |
|---|---|---|---|
| 5,000万円 | 80万円 | 180万円 | +100万円 |
| 8,000万円 | 470万円 | 620万円 | +150万円 |
| 1億2,000万円 | 1,160万円 | 1,360万円 | +200万円 |
| 2億円 | 3,340万円 | 3,640万円 | +300万円 |
表の見方:加算される金額は1,000万円で共通ですが、増える税額は100万円から300万円まで開きます。もともとの課税価格が高いほど、上の税率の区分にかかるためです。
重要ポイント:遺産が大きい相続ほど、使途不明金の指摘は重く効きます。遺産2億円なら、同じ1,000万円の加算で300万円増えます。

使途不明金とよく似た場面で問題になるのが名義預金です。家族の名義になっているが、実質は亡くなった人の預金というものを指します。
使い込みは「引き出されて消えたお金」、名義預金は「別の名義で残っているお金」という違いがありますが、税務では同じ問いになります。もとは誰のお金だったのかという問いです。
この章では、2つの違い、名義預金と判定される要素、どちらであっても課税されるという結論を見ていきます。
親の口座から子の口座へお金が移っていた場合、2つの見方ができます。子が無断で引き出したのか、親が子の名義で貯めていたのかです。
前者なら使途不明金として扱われ、後者は名義預金です。どちらでも相続財産に含まれるという結論は同じです。税額も変わりません。
違いが出るのは相続人どうしの争いのほうです。無断で引き出されたのであれば返してもらう権利が生じますが、名義預金なら単に相続財産として分けるだけになります。
つまり税務上は区別する実益が小さく、大事なのは「相続財産に含めて申告したかどうか」だけです。
調査でもこの2つはまとめて見られます。被相続人の口座から出たお金が家族名義の口座に入っていれば、移した経緯を問われるという点では同じだからです。名義を分けたこと自体が説明を求められる理由になります。
名義が誰であるかは決め手になりません。実質的に誰のお金だったのかを、次の4点から判断します。
| 確かめること | 名義預金とみられる | 本人の預金とみられる |
|---|---|---|
| お金の出どころ | 亡くなった人の収入から出ている | 名義人自身の収入から出ている |
| 通帳と印鑑の管理 | 亡くなった人が持っていた | 名義人が持っていた |
| 名義人が口座を知っていたか | 知らなかった | 知っていて使っていた |
| 贈与の記録 | 契約書も申告もない | 契約書または贈与税の申告がある |
表の見方:4つとも左側に当てはまるなら名義預金と判定される可能性が高くなります。1つでも右側があれば、その根拠を示せるか確かめてください。
重要ポイント:贈与税の申告をしていたかどうかが強い材料になります。年110万円以内で申告不要だった場合は、贈与契約書と本人名義の口座からの送金記録で代わりにします。
名義預金と判定されたときに税額がどれだけ増えるかは、下記の記事で解説しています。

親が子の名義で口座を作り、そこに毎年お金を移していたという形はよくあります。贈与のつもりでも、要件を満たしていないと名義預金として相続財産に戻されます。
分かれ目は、子がその口座を自由に使える状態だったかです。通帳も印鑑も親が持っていて、子が存在を知らなかったなら、贈与は成立していないと判断されます。
逆に、子が口座を管理して自分の生活に使っていたのであれば、贈与が成立していたと言える余地があります。この場合は名義預金ではありません。
重要ポイント:親が亡くなった後にその口座から引き出すと、使い込みとして扱われる恐れがあります。名義が自分でも、実質が親の預金なら相続財産だからです。分け方が決まるまで動かさないでください。
名義預金と判定されないための贈与の残し方は、下記の記事で解説しています。


使い込みの解説は、取り戻したい側に向けたものがほとんどです。引き出した側にどんな税がかかるのかを書いたものはほとんどありません。
しかし実務では、親の口座から引き出していた心当たりがある人からの相談が少なくありません。何がどう課税されるのかを知らないまま申告期限を迎えるのが一番まずい状態です。
この章では、引き出した側にかかる税の種類、贈与とみなされた場合の税額と時効、返した場合の扱いを順に見ていきます。
結論から言うと、贈与とみなされた場合だけ引き出した本人に税がかかります。無断で引き出していた場合は、相続税を相続人全員で負担する形になります。
| どう判断されるか | 引き出した人にかかる税 | この記事の例 | 時効 |
|---|---|---|---|
| 本人の承知のうえで受け取っていた(贈与) | 贈与税 | 177万円(子への贈与) | 申告期限から6年 |
| 無断で引き出して使った | なし(相続税は相続人全員で負担) | 相続税が150万円増える | 相続税は5年 |
| 本人のために使っていた | かからない | 0円 | — |
| 隠していたと判断された | 本税+重加算税35% | 52.5万円の上乗せ | 7年 |
表の見方:1行目と2行目で納める人が変わります。贈与なら引き出した本人だけが贈与税を納め、無断なら相続人全員で相続税を負担します。
重要ポイント:贈与だったと主張するほうが、自分の税負担は重くなります。この例では贈与税177万円に対し、相続財産に加算した場合の増分は150万円を全員で分けます。
贈与とみなされると、もらった年の贈与税がかかります。親から18歳以上の子への贈与なら特例の税率を使えます。
| もらった金額 | 特例税率(親から18歳以上の子へ) | 一般税率 |
|---|---|---|
| 1,000万円 | 177万円 | 231万円 |
計算ロジック:1,000万円から基礎控除110万円を引いた890万円に、特例税率30%をかけて控除額90万円を引くと177万円です。一般税率だと40%・控除125万円で231万円になります。
時効にあたる期間は申告期限から6年です。相続税の5年より長く設定されています。隠していたと判断される場合は7年になります。
つまり10年前の贈与であれば、贈与税を課されることはありません。ただしその場合、贈与が成立していたことを自分の側で示せなければ相続財産に戻されます。
参照元:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
贈与税の計算方法と税率表は、下記の記事で解説しています。

指摘を受けてから返した場合、課税がなくなるとは限りません。贈与があった事実そのものは消えないためです。
贈与税については、申告期限までに合意して返したのであれば課税されない扱いになる余地があります。期限を過ぎてからの返還は、原則として課税を取り消せません。
相続財産に加算される場合は話が別です。返したかどうかに関係なく、亡くなった時点の財産として課税されます。返還は相続人どうしの精算であって、課税の有無とは切り離されます。
重要ポイント:返すかどうかは法律の問題、課税されるかどうかは税務の問題で、別々に進みます。返す話し合いをしている間も申告期限は進むので、申告の準備は並行して進めてください。
引き出したお金を返す義務がある場合、それを相続財産から差し引けないかという相談があります。差し引けません。
相続財産から差し引ける債務は、亡くなった人が負っていた債務に限られるためです。相続人が他の相続人に対して負う返還の義務は、亡くなった人の債務ではありません。
逆に、亡くなった人が生前に誰かから借りていたお金は差し引けます。使い込みの調査をしていると借入れが見つかることがあるので、そちらは忘れずに計上してください。
差し引ける債務の範囲は、下記の記事で解説しています。


親の口座から引き出していても、親のために使っていたのであれば課税されません。そのお金は消えているので、相続財産にも残りません。
問題になるのは、家族のために使っていた場合です。ここには線引きがあり、扶養義務の範囲で通常必要なものなら贈与税がかからない決まりがあります。
この章では、使い道ごとの判定、記録の残し方、判断が分かれる場面を見ていきます。
本人のための支出か、家族のための支出かがまず分かれ目です。家族のための支出でも、日常の生活費なら課税されません。
| 使い道 | 課税されるか | 理由 | 残すべき記録 |
|---|---|---|---|
| 本人の入院費・治療費 | されない | 本人のための支出 | 領収書・診療明細 |
| 本人の施設利用料・介護費 | されない | 同上 | 請求書・精算書 |
| 本人の生活費・光熱費 | されない | 同上 | 通帳の引き落とし記録 |
| 同居していた家族の生活費 | 原則されない | 扶養義務の範囲で通常必要なもの | 世帯の収支がわかる記録 |
| 家族の住宅の購入・ローン返済 | される | 通常必要な生活費を超える | — |
| 家族名義の口座への振替 | される | 贈与または名義預金 | — |
表の見方:上3つは本人のための支出なので説明できれば問題ありません。4行目は扶養の範囲かどうかで判断されます。
重要ポイント:国税庁は扶養義務者からの生活費や教育費で通常必要と認められるものは贈与税がかからないとしています。ただし預金にしたり株を買ったりした分は対象外です。
課税されないためには、使い道を示せることが前提になります。引き出した金額と支出が結びつく記録を残しておいてください。
特に重要なのが最後の2つです。現金で渡した分は記録がないと説明できません。本人が管理できない状態だったなら、毎月いくら渡したかを記録に残してください。
記録がない場合でも、施設の請求額と引き出し額が毎月おおむね一致していれば説明材料になります。通帳の出金と請求書を突き合わせて一覧にしておくと伝わります。
線引きが難しい場面を3つ挙げます。いずれも金額の大小ではなく、誰のための支出かで判断されます。
【場面1】同居して親の年金で家計をまかなっていた
【場面2】介護のために仕事を減らし、親のお金で生活していた
【場面3】親のお金で家族の車や住宅の頭金を出した
重要ポイント:同居していた相続人ほど説明を求められます。悪意がなくても記録がないと立証できないため、親の判断能力が落ちてきた時点から記録を始めてください。
親と同居していた場合の相続税の扱いは、下記の記事で解説しています。


相続税の調査は、申告してから1年から2年ほど経った頃に来ることが多くあります。調査に入られると8割以上で申告漏れが見つかっています。
国税庁の統計では、令和6事務年度の実地調査は9,512件で、そのうち申告漏れなどがあったのは82.3%にあたる7,826件でした。1件あたりの追徴税額は平均で867万円です。
この章では、調査で実際に聞かれること、答えられないとどうなるか、事前にそろえておくものを見ていきます。
調査官は事前に通帳の動きを把握したうえで来ます。聞かれるのは、記録では分からない部分です。
| 聞かれること | 調査官が確かめたいこと | 用意しておくもの |
|---|---|---|
| この出金は何に使いましたか | 本人のための支出だったか | 領収書・請求書・支出のメモ |
| 誰が手続きをしましたか | 本人が自分で引き出せる状態だったか | 診断書・介護認定の記録 |
| 通帳と印鑑は誰が持っていましたか | 名義預金にあたらないか | 保管状況の説明 |
| この口座のお金の出どころはどこですか | 実質的に誰の財産か | 入金の記録・収入の記録 |
| 亡くなる前の3年間の生活費はいくらでしたか | 出金額と生活実態が釣り合うか | 家計の記録 |
| 貸金庫はありますか | 申告されていない財産がないか | 開扉記録・中身の一覧 |
表の見方:2列目が質問の本当の意図です。「何に使いましたか」は使途を知りたいのではなく、本人のための支出だったかを確かめています。
重要ポイント:答えられない質問があること自体は問題になりません。分からないことは分からないと答え、後から調べて回答するほうが、その場で推測を述べるより安全です。
調査の流れと当日の対応は、下記の記事で解説しています。

使途を説明できない出金は、相続財産として残っていたものとして扱われます。調査官が証明するのではなく、説明できないほうが不利になる構造です。
ただし説明できないことと、隠したことは別です。記録がなくて説明できないだけなら、通常の修正申告で済みます。意図的に隠したと判断されたときだけ重い上乗せがつきます。
判断の材料になるのは、質問への答え方です。事実と違う説明をした、資料を隠した、口裏を合わせたといった事情があると評価が変わります。
分からないことを正直に伝え、後から資料を探して提出する姿勢であれば、隠したとは判断されにくくなります。
調査の連絡が来てから集めるのでは間に合いません。申告の段階でそろえておくと、そのまま説明材料になります。
1つ目が要です。通帳は5年分では足りないことがあります。調査官は10年分をさかのぼって見ることがあるため、古い通帳が残っていれば保管しておいてください。
金融機関に取引明細を請求すると、10年分まで取れることが一般的です。手数料はかかりますが、自分で先に確認しておくと指摘される前に手を打てます。
重要ポイント:申告前に自分で通帳を洗い出しておくのが最大の備えです。使途不明の出金が見つかったら、指摘される前に含めて申告するほうが上乗せは軽く済みます。

使途不明金が見つかると、不足していた本税に加えて上乗せがつきます。率は5%から40%まで、状況によって8倍の開きがあります。
分かれ目は2つです。指摘される前に自分から申告したかどうかと、隠していたと判断されるかどうかです。
この章では、率と金額の一覧、自分から申告した場合との差、重加算税と判断される基準を見ていきます。
【シナリオ】申告した遺産が8,000万円で相続人は子2人。あとから使途不明金1,000万円が加算され、不足していた本税が150万円だったとします。
| どういう状況か | 上乗せの率 | この記事の例 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 調査の連絡前に自分から修正申告した | 5% | 7.5万円 | 国税通則法65条1項 |
| 調査で指摘されて修正申告した | 10% | 15万円 | 同上 |
| 申告そのものをしていなかった | 15% | — | 国税通則法66条1項 |
| 隠していた・偽っていたと判断された | 35% | 52.5万円 | 国税通則法68条1項 |
| 申告せず、かつ隠していた | 40% | — | 国税通則法68条2項 |
表の見方:上2行の差が7.5万円です。調査の連絡が来る前に気づいて修正申告すれば、率が半分になります。
重要ポイント:自分から申告した場合と隠していた場合の差は45万円です。本税150万円に対して、合計の負担は165万円と202.5万円に分かれます。
計算ロジック:上乗せは不足していた本税に率をかけて計算します。本税150万円×35%で52.5万円、×10%で15万円、×5%で7.5万円です。これとは別に延滞税がかかります。
参照元:e-Gov法令検索 国税通則法(第65条・第66条・第68条)
加算税の種類と計算は、下記の記事で詳しく解説しています。

35%の重加算税は、単に申告を間違えただけではつきません。事実を隠したり、事実と違う外形を作ったりした場合に限られます。
【重加算税と判断されやすい行為】
逆に、記録がなくて説明できないだけ、評価の判断を誤っただけ、計上を忘れていただけであれば、通常の上乗せにとどまります。
重要ポイント:重加算税がつくと延滞税の計算で有利な扱いが受けられなくなります。通常なら一定期間は延滞税の計算から除かれますが、重加算税の場合はその除外がありません。
上乗せとは別に、納めるのが遅れた期間に応じて延滞税がかかります。本来の納期限の翌日から、実際に納めるまでの日数で計算します。
率は年ごとに変わります。納期限から2か月以内と、それを超える期間で率が変わる仕組みで、超えた後のほうが高くなります。
使途不明金の指摘は申告から1年から2年後に来ることが多いため、延滞税の対象になる期間もその分長くなります。本税が大きいほど金額も膨らみます。
率が決まる分かれ目は2つだけです。調査の連絡より前に動いたか、隠したと判断される事情がなかったかです。
どちらも申告した後からでも間に合います。調査の連絡が来る前に気づいて修正申告すれば5%で、連絡が来てからだと10%になります。
| いつ動くか | 率 | この記事の例 | 差 |
|---|---|---|---|
| 申告前に見つけて含める | 0% | 0円 | — |
| 申告後・調査の連絡前に修正申告 | 5% | 7.5万円 | +7.5万円 |
| 調査の連絡後に修正申告 | 10% | 15万円 | +15万円 |
| 隠していたと判断された | 35% | 52.5万円 | +52.5万円 |
表の見方:最上段が理想です。申告前に通帳を洗い出して含めてしまえば、上乗せは一切かかりません。下に行くほど負担が増えます。
重要ポイント:調査の連絡が来た後では、5%に戻せません。心当たりがあるなら、連絡を待たずに税理士へ相談してください。数日の差で率が倍になります。
上乗せを軽くするための実務は、下記の記事で解説しています。


使い込みの話し合いがついていなくても、相続税の申告期限は延びません。亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。
取り戻せるかどうかが決まるまで待っていると、期限を過ぎてしまいます。争いは争いとして進めつつ、申告は期限内に済ませるのが原則です。
この章では、10か月の時間軸、取り戻せていない状態での申告のしかた、誰に相談すべきかを見ていきます。
使い込みがある相続では、財産を確定させるだけで時間がかかります。通帳の取り寄せに数週間、話し合いがこじれると数か月から数年かかることもあります。
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重要ポイント:最初の2か月で通帳を集められるかが全体を左右します。金融機関の取引明細は請求から発行まで2週間から1か月かかることがあり、複数の金融機関があると並行して進める必要があります。
使い込まれたお金が戻ってきていなくても、それが相続財産であれば申告に含めます。手元にないことと、課税されないことは別だからです。
分け方が決まっていない場合は、法律で決まった割合で取得したものとして計算して申告します。この状態では配偶者の税額軽減も小規模宅地等の特例も使えません。
ここで重要なのが、申告書と一緒に出す1枚の書類です。「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておけば、3年以内に分け方が決まった時点で特例を適用し直せます。
出し忘れると、あとで話し合いがまとまっても特例を使えません。使い込みの争いは長引きやすいので、この書類を出すかどうかは必ず確認してください。
参照元:国税庁 No.4208 相続財産が分割されていないときの申告
参照元:国税庁 B1-5 相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出手続
分けられないまま申告する場合の進め方は、下記の記事で解説しています。

使い込みには税務と法務の両方が絡みます。担当が分かれるので、何を誰に頼むかを整理しておいてください。
| やること | 担当 | いつまでに |
|---|---|---|
| 使途不明金を相続財産に含めるかの判断 | 税理士 | 申告期限まで |
| 相続税の申告と納税 | 税理士 | 申告期限まで |
| 贈与とみるか無断とみるかの税務判断 | 税理士 | 同上 |
| 返してもらう交渉・調停・訴訟 | 弁護士 | 時効まで |
| 証拠の収集(金融機関への照会) | 弁護士 | 早いほどよい |
| 分け方の設計と税額の試算 | 税理士(弁護士と連携) | 申告期限まで |
表の見方:期限が近いのは税理士側の作業です。弁護士側の手続きは時効まで時間がありますが、証拠は早く集めるほど残っています。
重要ポイント:先に弁護士だけに相談して、申告期限を過ぎてしまう例があります。取り戻す話と申告は別に進むので、税理士にも同時に相談してください。
専門家の選び方と役割分担は、下記の記事で解説しています。


申告を済ませた後で、取り戻せた、分け方が決まった、新たな出金が見つかったということが起こります。そのつど税額を計算し直す手続きがあります。
手続きは2つです。納めすぎていた場合は返してもらう更正の請求、足りなかった場合は修正申告になります。
この章では、それぞれの期限、取り戻せた場合の扱い、申告後に出金が見つかった場合を見ていきます。
期限は事情によって変わります。短いものは4か月しかないので、事情が動いたらすぐに税理士へ連絡してください。
| あとで起きたこと | 手続き | 期限 |
|---|---|---|
| 分け方が決まって取り分が変わった | 更正の請求または修正申告 | 分けられた日の翌日から4か月以内 |
| 申告した金額が多すぎたと分かった | 更正の請求 | 法定申告期限から5年以内 |
| 申告した金額が少なすぎたと分かった | 修正申告 | 期限の定めなし |
| 調査で使途不明金を指摘された | 修正申告(応じない場合は更正) | 指摘された後すみやかに |
表の見方:1行目の4か月が最も短い期限です。分け方が決まったことを知った日の翌日から数えます。過ぎると納めすぎた分が戻ってきません。
重要ポイント:納めすぎを取り戻す手続きには期限があり、足りない分にはありません。返してもらうほうだけ期限が切られているので、有利になる方向の手続きこそ急いでください。
参照元:国税庁 B1-27 相続税及び贈与税の更正の請求手続
戻る金額の目安と手続きの流れは、下記の記事で解説しています。

話し合いや裁判で使い込まれたお金が戻ってきた場合、相続税の総額は変わりません。もともと相続財産として申告していれば、計算し直す必要はないためです。
変わるのは相続人それぞれの取り分です。取り分が変われば、各人が納める税額も変わります。多く納めていた人は返してもらい、少なかった人は追加で納めます。
申告のときに使途不明金を含めていなかった場合は話が別です。その場合は相続財産が増えるので、総額そのものが増えて修正申告になります。
重要ポイント:最初の申告に含めておけば、後の手続きが軽く済みます。争っている最中でも財産として計上しておくほうが、結果的に手間も負担も小さくなります。
遺産分割の話し合いの中で、申告のときには気づかなかった出金が見つかることがあります。この場合は修正申告が必要です。
自分から修正申告すれば上乗せは本税の5%で済みます。この記事の例では7.5万円です。調査で指摘されてからだと10%、隠していたと判断されれば35%になります。
見つけた時点で放置すると、後から調査で指摘されたときに「知っていて申告しなかった」とみられる恐れがあります。差は45万円です。
重要ポイント:相続人の誰かが気づいた時点で、相続人全員の税額が変わります。1人だけで判断せず、税理士を通じて全員に共有してください。
取り分が変わると、各人の納める税額も変わります。多く納めていた人は返してもらい、少なかった人は追加で納めることになります。
注意したいのは、返してもらう手続きと追加で納める手続きが別々に進む点です。追加で納めるほうは期限がなく、返してもらうほうには4か月の期限があります。
相続人の1人が手続きを怠ると、その人だけが損をします。全員がそろって手続きするのではなく、それぞれが自分で判断して動く形です。
使い込みで関係が悪化していると、この連絡が回らないまま期限を過ぎることがあります。税理士を窓口にして、全員に同じ情報が届くようにしておいてください。
修正申告と更正の請求の使い分けは、下記の記事で解説しています。


使い込みが絡む相続では、申告に含めるかどうかの判断が税額を大きく動かします。同じ出金でも、相続財産に加算するか贈与とみるかで納める人も金額も変わります。
しかも調査で指摘されると上乗せがつきます。この記事の例では、自分から申告した場合と隠していたと判断された場合で45万円の差が出ます。
相続税の対応実績がある税理士に早い段階で相談し、複数の事務所から見積りを取って比べることをおすすめします。
この相続で差がつくのは計算ではありません。説明できない出金をどう扱うかの判断です。経験の少ない事務所では、通帳を精査しないまま申告してしまいます。
【実績のある税理士が押さえていること】
金額で見ると差は明確です。【シナリオ】相続人は子2人で、申告した遺産が8,000万円、あとから使途不明金1,000万円が見つかったケースです。
差は52.5万円です。同じ出金について、申告前に見つけたか後から指摘されたかだけで生まれます。
計算ロジック:使途不明金1,000万円が加算されると相続税の総額は470万円から620万円になり、不足していた本税は150万円です。これに重加算税35%をかけると52.5万円になります。
使い込みが絡む相続では、初回相談で何を求められるかに姿勢が表れます。3〜5の事務所から取れば、通帳まで見る事務所かどうかが分かります。
判定ポイント1:通帳の提出を求めてくるかA税理士は財産目録だけを求め、B税理士は亡くなる前5年分の通帳と、記帳漏れがあれば取引明細を求めてきた。→ B税理士の方が、指摘される前に自分で見つける前提で動いていると判定できます。
判定ポイント2:使途の分類まで踏み込むか出金を「本人のため」「家族への贈与」「説明できない」に分けて整理する作業が業務範囲に入っているかを見る。→ 入っている事務所の方が、調査で説明材料を出せます。
判定ポイント3:争いが続く前提で期限を管理するか分け方が決まらない場合に分割見込書を出すこと、決まった後の4か月の期限を説明できるかを確かめる。→ 説明できる事務所の方が、この類型の経験があると判定できます。
3つとも、専門知識がなくても答えのあるなしが分かります。同じ資料を渡したうえで比べてください。
見積りの比べ方は、下記の記事で詳しく解説しています。

1つの事務所だけで決めると、その判断が正しいかを確かめる材料がありません。「この出金は申告しなくてよい」と言われても、それが妥当なのか分からないまま申告することになります。
【相談しないまま進めたときに起きること】
金額で言えば、指摘されてから重加算税と判断されるだけで52.5万円の上乗せです。これに延滞税が加わります。
重要ポイント:申告前に自分で通帳を洗い出すことが最大の防御です。見つけて申告に含めれば上乗せはゼロ、見つけて自分から修正申告しても5%で済みます。
相談から依頼までの流れです。相続開始から7か月以内に依頼先を決めることを目安にしてください。
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重要ポイント:STEP2で説明できない出金があることを最初に伝えてください。隠して依頼しても、通帳を見れば分かります。伝えたほうが、返ってくる提案の中身が変わります。
課税されます。手元にないことと、課税されないことは別だからです。亡くなった人の財産だったという事実が変わらない限り、相続財産として申告する必要があります。
この記事の例では、使途不明金1,000万円が加算されると相続税の総額は470万円から620万円になり、150万円増えます。この増えた分は相続人全員で負担します。
分かります。国税通則法が、相続税の調査のために納税義務がある人だけでなく、その人に対して債権や債務を持つ相手にも質問し書類を検査できると定めているためです。
金融機関は預金者に対して債務を負う立場なので、ここに含まれます。保険金の支払い記録も、保険会社から税務署へ提出される決まりです。通帳を出さないことは、隠したと判断される材料になりかねません。
本人のために使っていたのであれば課税されません。そのお金は消えているので、相続財産にも残りません。領収書や請求書で使途を示せることが前提です。
家族の生活費に充てていた場合も、扶養義務の範囲で通常必要と認められるものなら贈与税はかかりません。ただし預金にしたり家族名義の口座に移したりした分は対象外です。
かかりません。贈与税について税務署が更正や決定をできるのは申告期限から6年以内で、隠していた場合でも7年です。10年前の贈与に贈与税が課されることはありません。
ただしその場合、贈与が成立していたことを自分の側で示せなければ、名義預金または使途不明金として相続財産に戻されます。贈与契約書や本人名義の口座からの送金記録を残しておいてください。
状況によって5%から40%まで変わります。調査の連絡前に自分から修正申告すれば5%、指摘されてからだと10%、隠していたと判断されると35%です。
この記事の例では、不足していた本税150万円に対して7.5万円から52.5万円まで差が出ます。これとは別に延滞税がかかります。
必要です。話し合いがついていなくても申告期限は延びません。分け方が決まっていない場合は、法律で決まった割合で取得したものとして計算して申告します。
このとき「申告期限後3年以内の分割見込書」を一緒に出しておけば、3年以内に分け方が決まった時点で特例を適用し直せます。出し忘れると、原則としてあとで決まっても特例を使えません。
最初の申告で相続財産として計上していれば、相続税の総額は変わりません。変わるのは相続人それぞれの取り分で、多く納めていた人は返してもらい、少なかった人は追加で納めます。
返してもらう手続きには期限があり、分けられたことを知った日の翌日から4か月以内です。追加で納めるほうに期限はないので、有利になる方向の手続きこそ急いでください。
使い込みが絡む相続でいちばん重いのは、指摘されてから対応することです。申告前に自分で見つけて含めてしまえば、上乗せは一切かかりません。
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年9月時点の法令・税率に基づいて作成しています。税制改正や個別の事情により取り扱いが異なる場合があります。具体的な手続きについては税理士または税務署にご相談ください。