不整形地の相続税評価とは?補正率の計算方法と形別の早見表・旗竿地の評価例

不整形地_相続税評価

不整形地とは、旗竿地・三角地・台形の土地など、長方形や正方形ではない形の土地のことです。相続税の評価では、形が悪い分だけ評価額を下げる補正ができます。

形の悪い土地は、家を建てにくく、整った形の土地より安くしか売れません。そこで財産評価基本通達20は、不整形地補正率を掛けて評価額を下げると定めています。

補正率は、土地を囲む長方形に対して欠けている部分の割合(かげ地割合)で決まります。試算では、旗竿地の評価額が約28%下がり、相続税が約221万円少なくなりました。

ただし補正は自動では入りません。申告する人が土地の形を調べ、正しく当てはめて初めて評価額が下がります。補正を見落とすと、払わなくてよい相続税を払うことになります。

土地を囲む長方形の描き方や、間口が狭い土地の補正との組み合わせによっては、同じ土地でも評価額が変わります。申告した後で補正漏れに気づいた場合は、更正の請求で取り戻せます。

この記事では、不整形地補正率の求め方、4つの評価方法、間口が狭い土地などとの組み合わせ、形別の評価額の早見表、相続税への影響、補正漏れの取り戻し方を解説します。

▼ この記事の3行まとめ

  • 不整形地は、土地を囲む長方形に対する欠けている割合(かげ地割合)で補正率を決め、評価額を下げる。補正は路線価地域で使う
  • 試算では、旗竿地は約28%、三角地は約21%、台形は約8%評価額が下がった。旗竿地の相続税は約221万円少なくなる
  • 申告した後に補正漏れに気づいたら、申告期限から5年以内なら更正の請求で払いすぎた相続税を取り戻せる
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不整形地の相続税評価とは|形が悪い分だけ評価額が下がる

不整形地の相続税評価とは、土地の形が整っていないことを評価額に反映させる計算です。形の悪さに応じた補正率を掛けて、評価額を下げます。

この章では、不整形地の種類、評価が下がる理由、補正を使える地域を整理します。

不整形地の種類

不整形地は、長方形や正方形でない土地すべてを指します。住宅地でよく見かける旗竿地や、道路に斜めに接する土地も不整形地です。

形 特徴 評価の下がり方の目安
旗竿地 細い通路(竿)の奥に、家を建てる部分(旗)がある 大きい(間口の狭さも加わる)
三角地 三角形の土地。角の部分が使いにくい 大きい
台形・平行四辺形 辺が斜めになっている土地 中くらい
L字・一部が欠けた土地 長方形の一部が切り取られた土地 小さい〜中くらい

表の見方:どれだけ下がるかは、欠けている部分の大きさと、道路に接する長さ(間口)で決まります。形の名前だけでは決まりません。

評価が下がる理由

形の悪い土地は、同じ面積でも家を建てられる部分が少なく、使い道が限られます。そのため市場では、整った形の土地より安く取引されます。

相続税の土地の評価は、売れる値段(時価)に近づけるのが原則です。路線価は整った形の土地を前提にした価格なので、形が悪い土地にそのまま使うと、評価額が実際の価値より高くなります。

そこで財産評価基本通達20は、不整形地の価額を、整った形として計算した価額に不整形地補正率を掛けて評価すると定めています。

補正率は形の悪さの程度に応じて表で決まっているため、評価する人によって勝手に下げ幅を決めることはできません。表に当てはめるための長方形の描き方や面積の測り方が、評価の正確さを左右します。

参照元:国税庁 (不整形地の評価)

不整形地かどうかの見分け方

自分の土地が不整形地に当たるかは、法務局で取れる公図や地積測量図で形を見れば判断できます。土地を長方形で囲んだとき、1割以上の隙間ができれば補正の対象になります。

見た目は四角くても、奥に行くほど幅が広がっている、角が斜めに切れているといった土地は、図面で測ると不整形地に当たることがあります。逆に、少し角が欠けているだけの土地は、欠けている割合が10%未満で補正されないこともあります。

固定資産税の課税明細書には、土地の形は書かれていません。形は必ず図面で確かめ、図面がない場合は現地で辺の長さを測ってください。

補正は路線価地域で使う|倍率地域では掛けない

不整形地補正率を掛けるのは、路線価方式で評価する土地です。倍率地域の土地は、固定資産税評価額に倍率を掛けるだけで、不整形地補正率は掛けません。

倍率地域では、固定資産税評価額を決める段階で、市町村が土地の形を考慮しています。そこにさらに補正率を掛けると、形の悪さを二重に差し引くことになるためです。

自分の土地がどちらの地域かは、国税庁の路線価図・評価倍率表で確かめます。倍率方式の計算は、下記の記事で解説しています。

参照元:国税庁 No.4606 倍率方式による土地の評価

不整形地補正率の求め方|3つのステップ

不整形地補正率は、3つのステップで求めます。土地のある地区と面積で区分を決め、欠けている割合を出し、表に当てはめます。

この章では、住宅地で最も多い「普通住宅地区」を例に、3つのステップを順に解説します。

STEP1|地区と面積でA・B・Cの区分を決める

最初に、路線価図で土地のある地区を確かめ、面積からA・B・Cの区分(地積区分)を決めます。住宅地の多くは普通住宅地区で、500㎡未満ならAです。

地区 A B C
高度商業地区 1,000㎡未満 1,000㎡以上1,500㎡未満 1,500㎡以上
繁華街地区 450㎡未満 450㎡以上700㎡未満 700㎡以上
普通商業・併用住宅地区 650㎡未満 650㎡以上1,000㎡未満 1,000㎡以上
普通住宅地区 500㎡未満 500㎡以上750㎡未満 750㎡以上
中小工場地区 3,500㎡未満 3,500㎡以上5,000㎡未満 5,000㎡以上

表の見方:Aほど面積が小さく、形の悪さの影響が大きいので、補正率も大きく下がります。地区は、路線価図で路線価を囲む記号で判定し、記号のない路線価は普通住宅地区です。

STEP2|土地を囲む長方形を描き、欠けている割合(かげ地割合)を出す

次に、土地全体を囲む長方形(想定整形地)を描きます。長方形は、正面の道路に面し、土地をすべて囲む最も小さいものにします。

【かげ地割合の計算式】

かげ地割合=(想定整形地の面積−土地の面積)÷想定整形地の面積

たとえば、間口15m・奥行30mの長方形で囲める旗竿地(面積262.5㎡)なら、想定整形地は450㎡です。(450㎡−262.5㎡)÷450㎡=約41.7%が、かげ地割合になります。

想定整形地は、隣の土地にはみ出して描いてかまいません。あくまで計算のための仮の長方形なので、実際に誰の土地かは関係ありません。

長方形の描き方で割合が変わるため、ここが評価額の差が出やすいところです。道路が曲がっている場合などの描き方は、後の章で整理します。

STEP3|不整形地補正率表に当てはめる

最後に、地区・区分・かげ地割合を不整形地補正率表に当てはめます。かげ地割合が10%未満なら補正はなく、65%以上で最も大きく下がります。

かげ地割合 普通住宅地区 A 普通住宅地区 B 普通住宅地区 C
10%以上 0.98 0.99 0.99
15%以上 0.96 0.98 0.99
20%以上 0.94 0.97 0.98
25%以上 0.92 0.95 0.97
30%以上 0.90 0.93 0.96
35%以上 0.88 0.91 0.94
40%以上 0.85 0.88 0.92
45%以上 0.82 0.85 0.90
50%以上 0.79 0.82 0.87
55%以上 0.75 0.78 0.83
60%以上 0.70 0.73 0.78
65%以上 0.60 0.65 0.70

表の見方:かげ地割合41.7%・普通住宅地区Aの旗竿地なら「40%以上・A」の0.85です。商業地区などは別の列(高度商業・繁華街・普通商業・中小工場)を使います。

計算ロジック:表は財産評価基本通達の付表5(平成19年分以降用)です。かげ地割合は、土地の面積と想定整形地の面積から計算します。

参照元:国税庁 奥行価格補正率表(昭45直資3-13・平3課評2-4外・平18課評2-27外改正)

商業地区などの不整形地補正率

普通住宅地区以外の地区(高度商業・繁華街・普通商業・併用住宅・中小工場)は、共通の別の列を使います。住宅地より補正率の下がり方は小さめです。

かげ地割合 A B C
10%以上 0.99 0.99 1.00
20%以上 0.97 0.98 0.99
30%以上 0.94 0.97 0.98
40%以上 0.90 0.93 0.97
50%以上 0.84 0.89 0.93
60%以上 0.76 0.84 0.86
65%以上 0.70 0.75 0.80

表の見方:高度商業・繁華街・普通商業・併用住宅・中小工場の各地区で共通の補正率です(抜粋)。かげ地割合が40%の土地なら、普通住宅地区Aの0.85に対し、こちらのAは0.90です。

不整形地の4つの評価方法

不整形地補正率を掛ける前の価額は、4つの方法のいずれかで計算します。どの方法も、土地を整った形に置き換えて計算し、最後に不整形地補正率を掛けます。

この章では、財産評価基本通達20に定められた4つの方法を、使う場面とともに整理します。

方法1|整った形に分けて計算する

不整形地を、いくつかの長方形に分けられる場合に使います。分けたそれぞれの長方形を路線価と奥行で評価し、合計します。

たとえばL字の土地なら、道路に面した長方形と、その奥の長方形の2つに分けて計算できます。奥の長方形は道路に直接面していないため、奥行の長さに応じた補正が入ります。

分けた合計に、土地全体のかげ地割合で求めた不整形地補正率を掛けて評価額を出します。

分け方は1通りとは限りません。縦に分けるか横に分けるかで奥行が変わり、評価額も変わるため、無理のない分け方をいくつか試して比べます。

方法2|面積÷間口で奥行を出して計算する

土地の面積を間口(道路に接する長さ)で割って、計算上の奥行を出す方法です。旗竿地や三角地など、多くの不整形地で使いやすい方法です。

計算上の奥行は、想定整形地の奥行を上限とします。たとえば面積262.5㎡・間口2.5mの旗竿地なら105mになりますが、想定整形地の奥行が30mなら30mを使います。

その奥行で奥行価格補正率を決め、路線価×奥行価格補正率×面積を計算した後、不整形地補正率を掛けます。この記事の試算は、この方法で計算しています。

計算が単純で、土地の寸法が少なくても使えるのが利点です。間口が極端に狭い土地では計算上の奥行が長くなり、奥行の補正も大きくなります。

方法3|似た形の整った土地に置き換えて計算する

不整形地に近い形の長方形(近似整形地)を描いて計算する方法です。はみ出す部分と足りない部分の面積がほぼ同じになるように長方形を描きます。

台形や平行四辺形のように、辺が少し斜めになっている土地で使いやすい方法です。近似整形地は、できるだけ小さくなるように描くことが決められています。

近似整形地を路線価と奥行で評価し、その価額に不整形地補正率を掛けて評価額を出します。

長方形の取り方に判断が入るため、図面に近似整形地を描き、はみ出す部分と足りない部分の面積を示しておくと、税務署に説明しやすくなります。

方法4|大きな整った土地から隣の土地を差し引いて計算する

不整形地と隣の土地を合わせると整った形になる場合に使う方法です。合わせた全体を評価し、隣の土地の価額を差し引いて求めます。

道路から奥に入った部分が多い土地などで使われます。国税庁の質疑応答事例でも、差し引き計算で評価する例が示されています。

隣の土地を足した全体と、隣の土地のそれぞれで奥行価格補正率を出し、差額を求めます。計算は少し手間ですが、奥行の効果を正しく反映できる方法です。

4つの方法のどれを使うかは、土地の形に合わせて選びます。方法によって評価額が変わることがあるため、いくつかの方法で計算して比べるのが実務の基本です。

参照元:国税庁 不整形地の評価――差引き計算により評価する場合

形に合わせた方法の選び方

4つの方法は、どれを使っても通達に沿った評価です。形に合った方法を選び、可能なら複数の方法で計算して比べます。

土地の形 使いやすい方法
L字・いくつかの長方形に分けられる土地 方法1(分けて計算する)
旗竿地・三角地 方法2(面積÷間口で奥行を出す)
台形・平行四辺形など辺が斜めの土地 方法3(似た形の長方形に置き換える)
奥に入り込んだ部分が多い土地 方法4(大きな長方形から隣を差し引く)

表の見方:目安の組み合わせです。同じ土地でも、方法によって奥行価格補正率が変わり、評価額が違ってくることがあります。

参照元:国税庁 不整形地の評価――近似整形地を基として評価する場合

間口が狭い・奥行が長い土地との組み合わせ|下限は0.6

旗竿地のように間口が狭い土地や、細長い土地は、不整形地補正率のほかにも補正があります。組み合わせ方には決まりがあり、下がり方には下限があります。

この章では、組み合わせの決まりと、間口が狭い土地・奥行が長い土地の補正率表を整理します。

組み合わせの決まり

間口が狭い土地では、不整形地補正率に間口狭小補正率を掛けた数値を使います。掛けた数値の下限は0.60で、それより下がることはありません。

土地の状況 使う補正率
形が悪いだけ 不整形地補正率
形が悪く、間口も狭い 不整形地補正率×間口狭小補正率(下限0.60)
さらに奥行も長い 上の数値か、間口狭小補正率×奥行長大補正率のどちらかを選ぶ

表の見方:奥行が長い補正も当てはまる場合は、2つの組み合わせのどちらかを選べるので、低いほうを使うのが通常です。掛けた数値は小数点以下2位未満を切り捨てます。

計算ロジック:財産評価基本通達の付表5の注3によります。旗竿地の例では、0.85×0.90=0.765→0.76と、0.90×0.90=0.81のうち、低い0.76を使います。

間口が狭い土地の補正率(間口狭小補正率)

道路に接する長さ(間口)が短い土地は、出入りがしにくく使い道が限られます。普通住宅地区では、間口が8m未満になると補正が入ります。

間口 普通住宅地区の補正率
4m未満 0.90
4m以上6m未満 0.94
6m以上8m未満 0.97
8m以上 1.00(補正なし)

表の見方:旗竿地の竿の幅が2.5mなら0.90です。建築基準法で道路に2m以上接していることが求められるため、旗竿地の間口は2m〜4m程度のことが多くあります。

奥行が長い土地の補正率(奥行長大補正率)

間口に比べて奥行が長い、細長い土地にも補正があります。奥行が間口の2倍以上になると、普通住宅地区では補正が入ります。

奥行÷間口 普通住宅地区の補正率
2以上3未満 0.98
3以上4未満 0.96
4以上5未満 0.94
5以上6未満 0.92
6以上 0.90

表の見方:旗竿地では、奥行30m÷間口2.5m=12なので0.90です。奥行は、方法2で出した計算上の奥行を使います。

旗竿地の竿の部分の扱い

旗竿地の竿(通路)の部分は、私道ではなく宅地の一部として、旗の部分と合わせて1つの土地で評価します。竿の部分だけを私道として3割で評価することはできません。

自分の家に出入りするためだけの通路は、ほかの人が通る私道とは違い、宅地を使うための一部だからです。国税庁のタックスアンサーでも、専用の通路として使っている路地状の敷地は、奥の宅地とともに1画地として評価すると示されています。

参照元:国税庁 No.4622 私道の評価

竿の部分が自分の家だけの通路ではなく、何軒かで使う私道の場合は、特定路線価の申請と比べて評価方法を決めます。比べ方は、下記の記事で解説しています。

竿の幅が2m未満なら、さらに評価が下がる

建物を建てるには、原則として道路に2m以上接していなければなりません(接道義務)。竿の幅が2m未満の旗竿地は、道のない土地(無道路地)に準じて評価し、評価額がさらに下がります。

この場合は、通路を2mに広げるための費用に相当する額(正面の路線価×広げるのに必要な面積)を差し引いて評価します。国税庁の質疑応答事例で示されている扱いです。

竿の幅は、登記や図面の数字だけでなく、塀や境界の位置を現地で確かめます。2m前後の旗竿地は、測り方次第で評価方法そのものが変わるため、特に注意が必要です。

参照元:国税庁 接道義務を満たしていない宅地の評価

竿の幅が2m未満の旗竿地や、道路に接していない土地の計算例と、通路の長さ別の評価額は、下記の記事で解説しています。

形別の評価額の早見表|旗竿地・三角地・台形

不整形地の評価額がどれだけ下がるかを、よくある5つの形で計算しました。同じ路線価でも、形によって評価額の下がり方は4%から28%まで差があります。

この章では、試算の前提を示したうえで、5つの形ごとの計算例と比較表を示します。

試算の前提

すべての形で、同じ地区・同じ路線価として計算しています。比べやすいように、補正しない場合(路線価×面積)との差を下がる率で示します。

項目 前提
地区 普通住宅地区(面積はすべて500㎡未満なので区分A)
路線価 1㎡あたり20万円(路線価図の表示は200)
評価方法 方法2(面積÷間口で計算上の奥行を出す)
補正率 財産評価基本通達の付表(平成19年分以降用)

表の見方:実際の評価では、角地の加算や道路の状況などで結果が変わります。この試算は、形による下がり方の目安として使ってください。

旗竿地の計算例

竿の部分が幅2.5m・長さ15m、旗の部分が15m×15mの旗竿地(262.5㎡)です。間口が狭く奥行も長いため、補正が重なって評価額は約28%下がります。

手順 数値
想定整形地 間口15m×奥行30m=450㎡
かげ地割合 (450−262.5)÷450=41.7%→不整形地補正率0.85
計算上の奥行 262.5÷2.5=105m→上限の30m→奥行価格補正率0.95
間口狭小補正率 間口2.5m→0.90
使う補正率 0.85×0.90=0.76(奥行長大との組み合わせ0.81より低い)
評価額 20万円×0.95×0.76×262.5㎡=3,790万5,000円

表の見方:補正しない場合は20万円×262.5㎡=5,250万円です。補正によって1,459万5,000円、約28%低くなります。

計算ロジック:1㎡あたりは20万円×0.95=19万円、19万円×0.76=14万4,400円で、これに262.5㎡を掛けます。不整形地補正率と間口狭小補正率の積は小数点以下2位未満を切り捨てて0.76です。

三角地の計算例

道路に接する底辺が20m、奥行が20mの三角形の土地(200㎡)です。欠けている割合が50%になるため、評価額は21%下がります。

想定整形地は20m×20m=400㎡なので、かげ地割合は(400−200)÷400=50%、不整形地補正率は0.79です。計算上の奥行は200÷20=10mで奥行価格補正率は1.00、間口は20mあるので間口の補正はありません。

評価額は20万円×1.00×0.79×200㎡=3,160万円です。補正しない場合の4,000万円より840万円低くなります。三角地は角の部分に家を建てにくいため、面積のわりに大きく下がります。

同じ三角形でも、底辺ではなく頂点が道路に接している土地は、間口が狭くなり、間口狭小補正も加わります。道路にどの辺が接しているかで、下がり方は大きく変わります。

台形・一部が欠けた土地の計算例

辺が斜めの台形や、長方形の角が欠けた土地は、旗竿地や三角地より下がり方は小さくなります。それでも数百万円単位で評価額が変わるため、補正を省いてはいけません。

【台形(間口10m・奥の幅20m・奥行20m、300㎡)】

想定整形地は20m×20m=400㎡で、かげ地割合25%、補正率0.92。評価額は20万円×1.00×0.92×300㎡=5,520万円で、補正しない場合より480万円(8%)低くなります。

【一部が欠けた土地(20m×20mから8m×8mが欠けた336㎡)】

想定整形地は400㎡で、かげ地割合16%、補正率0.96。評価額は20万円×1.00×0.96×336㎡=6,451万2,000円で、補正しない場合より268万8,000円(4%)低くなります。

台形は奥行÷間口が2なので奥行長大補正率0.98も当てはまりますが、不整形地補正率0.92のほうが低いため、0.92を使います。

L字の土地の計算例

道路に面する部分が幅8m・奥行10mで、その奥が幅20m・奥行10mに広がるL字の土地(280㎡)です。欠けている割合が30%になり、評価額は10%下がります。

想定整形地は幅20m×奥行20m=400㎡で、かげ地割合は(400−280)÷400=30%、不整形地補正率は0.90です。計算上の奥行は280÷8=35mですが、上限の20mを使い、奥行価格補正率は1.00です。

間口は8mあるので間口の補正はなく、奥行÷間口=2.5で奥行長大補正率0.98も当てはまりますが、0.90のほうが低いので0.90を使います。

評価額は20万円×1.00×0.90×280㎡=5,040万円で、補正しない場合の5,600万円より560万円低くなります。

5つの形の比較表

5つの形の結果を並べました。下がり方を決めるのは、欠けている割合と間口の狭さの2つです。

形 面積 かげ地割合 使う補正率 評価額 下がる率
旗竿地 262.5㎡ 41.7% 0.76(間口狭小込み) 3,790万5,000円 約28%
三角地 200㎡ 50% 0.79 3,160万円 21%
台形 300㎡ 25% 0.92 5,520万円 8%
L字の土地 280㎡ 30% 0.90 5,040万円 10%
一部が欠けた土地 336㎡ 16% 0.96 6,451万2,000円 4%

表の見方:旗竿地は、かげ地割合が三角地より小さくても、間口の狭さと奥行の補正が重なって最も大きく下がります。

重要ポイント:欠けている割合が10%未満の土地は、補正がありません。わずかな角の欠けなど、見た目では不整形でも評価額が変わらないことがあります。

計算ロジック:【前提】普通住宅地区・路線価20万円・方法2。計算は財産評価基本通達20と付表1・4・5・6・7に沿って行い、下がる率は補正しない場合(路線価×面積)との比較です。

自分の土地で概算する手順

早見表の形に近い土地なら、次の手順で評価額のおおよその値を出せます。申告に使う前に、必ず図面の寸法で計算し直してください。

  • 路線価図で、正面の道路の路線価と地区を確かめる
  • 公図か測量図で、土地を囲む長方形を描き、その面積を出す
  • かげ地割合を計算し、不整形地補正率表で補正率を読む
  • 間口が8m未満なら間口狭小補正率を掛ける(下限0.60)
  • 路線価×奥行価格補正率×補正率×面積で評価額を出す

この手順で出した値と、補正しない場合(路線価×面積)を比べれば、補正で下がるおおよその額がわかります。差が数百万円になるなら、税理士に正式な評価を頼む価値があります。

補正で相続税はいくら減るか

評価額が下がれば、その分だけ相続税も少なくなります。旗竿地の例では、ほかの遺産が5,000万円の家庭で、相続税が約221万円少なくなりました。

この章では、遺産の大きさ別の影響と、自宅の土地の特例と組み合わせた場合を整理します。

遺産の規模別の相続税への影響

同じ旗竿地の補正でも、ほかの遺産が多い家庭ほど、相続税の減り方は大きくなります。ほかの遺産が1億円なら、補正だけで相続税が約397万円変わります。

旗竿地以外の遺産 補正しない場合の相続税 補正した場合の相続税 差
3,000万円 507万5,000円 288万5,600円 約219万円
5,000万円 810万円 588万5,400円 約221万円
1億円 1,915万円 1,518万800円 約397万円

表の見方:相続税の総額です。旗竿地の評価額が5,250万円から3,790万5,000円に下がった場合で、自宅の土地の特例は使わない前提です。

差が大きくなるのは、遺産が大きいほど高い税率がかかるためです。評価額が1,459万5,000円下がると、その分には主に家庭ごとの最も高い税率がかかるため、遺産が大きい家庭ほど相続税の減り方も大きくなります。

計算ロジック:【前提】相続人は子2人。ほかの遺産5,000万円なら、課税価格は1億250万円と8,790万5,000円です。基礎控除4,200万円を引き、法定相続分で分けて速算表の税率を当てています。

補正で相続税の申告が要らなくなることもある

遺産が基礎控除の前後にある家庭では、補正をするかどうかで、相続税がかかるかどうか自体が変わります。補正しなければ135万円かかる相続税が、補正すると0円になる例もあります。

項目 補正しない場合 補正した場合
旗竿地の評価額 5,250万円 3,790万5,000円
預貯金 300万円 300万円
遺産の合計 5,550万円 4,090万5,000円
相続税(子2人・基礎控除4,200万円) 135万円 0円

表の見方:補正した後の合計が基礎控除4,200万円を下回るため、相続税はかからず、自宅の土地の特例を使わないなら申告も要りません。

計算ロジック:補正しない場合は5,550万円−4,200万円=1,350万円を2人で分け、1人675万円×10%=67万5,000円、2人で135万円です。

自宅の土地の特例と組み合わせた場合

自宅の土地なら、小規模宅地等の特例で330㎡まで評価額を80%減らせます。特例は不整形地の補正をした後の評価額に掛けるため、補正の効果は小さくなりますが残ります。

旗竿地以外の遺産 補正なし+特例 補正あり+特例 差
5,000万円 185万円 155万8,000円 約29万円
1億円 970万円 911万6,000円 約58万円

表の見方:特例で土地の評価額が5分の1になるため、補正による差も5分の1程度になります。それでも数十万円の差が出るので、特例を使う土地でも補正は必要です。

土地の面積が330㎡を超える場合は、特例が使えない部分が残り、その部分には補正の効果がそのまま効きます。広い自宅の土地ほど、補正の影響は大きくなります。

計算ロジック:特例後の土地の評価額は、補正なしで5,250万円×20%=1,050万円、補正ありで3,790万5,000円×20%=758万1,000円です。相続人は子2人で計算しました。

特例の要件と計算方法は、下記の記事で解説しています。

広い不整形地は「地積規模の大きな宅地」とも組み合わせる

三大都市圏で500㎡以上など、広い土地は「地積規模の大きな宅地」の補正も使える場合があります。形が悪く広い土地では、不整形地補正率と規模格差補正率の両方を掛けます。

広い土地では、不整形地補正率表の区分がBやCになり、同じかげ地割合でも補正率は小さめになります。そのうえで規模格差補正率を掛けるので、2つを合わせた下がり方を計算します。

地積規模の大きな宅地は、三大都市圏以外では1,000㎡以上が対象です。地区や容積率の要件もあるため、広い土地を相続したら両方の補正が使えるかを確かめてください。

地積規模の大きな宅地の要件と計算は、下記の記事で解説しています。

同じ土地でも評価額が変わるポイント

不整形地の評価は、計算の途中に判断が入る部分が多くあります。同じ土地でも、長方形の描き方や面積の測り方で評価額が変わります。

この章では、評価額の差が出やすい4つのポイントを整理します。

土地を囲む長方形(想定整形地)の描き方

想定整形地は、正面の道路に面し、土地全体を囲む最も小さい長方形です。どの道路を正面にするか、長方形をどう置くかで、かげ地割合が変わります。

2つ以上の道路に面する土地では、路線価に奥行の補正をした価額が高いほうの道路を正面にします。正面が変わると、長方形の向きも大きさも変わるため、補正率がまったく違ってきます。

長方形を大きく描きすぎると、かげ地割合が過大になり、税務調査で指摘されることがあります。図面に長方形を描き、寸法の根拠を残しておくことが大切です。

逆に、長方形を必要以上に小さく描くと、補正率が上がって評価額が高くなります。どちらに外れても正しい評価ではないため、決まりどおりの描き方を守ることが大切です。

面積と間口を現地と測量図で確かめる

評価に使う面積は、登記の面積ではなく実際の面積が原則です。間口の長さも、公図だけでなく地積測量図や現地で確かめます。

  • 地積測量図(法務局で取得)で、各辺の長さと面積を確認する
  • 測量図がない場合は、公図と現地の計測で形を確かめる
  • 旗竿地の竿の幅は、現地で一番狭いところを測る
  • 登記の面積と実際の面積が違えば、実際の面積で評価する

旗竿地の間口が4m未満か4m以上かで、間口狭小補正率は0.90と0.94に分かれます。数十センチの違いで評価額が変わることもあるため、測り方には注意が必要です。

道路が曲がっている場合・角が切り取られている場合

道路が途中で曲がっている(屈折路)場合は、長方形の置き方が複数考えられます。屈折路に面する土地では、想定整形地の面積が最も小さくなる置き方を選びます。

また、角地で交差点の見通しのために角が切り取られている(隅切り)場合、切り取られた部分をかげ地として扱えることがあります。

どちらも判断が分かれやすく、国税庁の質疑応答事例や過去の裁決を踏まえた判断が必要です。自信がない場合は、相続税の対応実績がある税理士に確認してください。

不整形地の補正をしない場合

形が不整形でも、補正をしない場合があります。代表的なのは、かげ地割合が10%未満の場合と、不自然な分け方をした場合です。

【かげ地割合が10%未満】

不整形地補正率表は10%以上から始まるため、10%未満なら補正率は1.00で、評価額は下がりません。

【不自然な分け方(不合理分割)】

評価を下げるためだけに、使えない形に土地を分けて相続した場合は、分ける前の形で評価されます。

【大工場地区】

大工場地区にある不整形地は、原則として補正をしません(おおむね9,000㎡程度までは補正できる扱いがあります)。

また、道路沿いに細い帯のような部分がついた土地も、不整形地として補正しない場合があります。帯の部分と残りを分けて評価したほうが実態に合うため、国税庁の質疑応答事例でも分けて評価する扱いが示されています。

参照元:国税庁 不整形地の評価――不整形地としての評価を行わない場合(1)

相続人ごとに土地を分けるときは、分けた後の形で評価額が変わることも考えて分け方を決めます。

形ごとの確認ポイント一覧

形によって、間違えやすいところは違います。自分の土地の形の行を見て、評価の前に確かめてください。

形 確かめること 使う補正
旗竿地 竿の幅(間口)を一番狭いところで測る。竿の部分も含めて1つの土地として評価する 不整形地補正と間口狭小補正(下限0.60)
旗竿地(竿の幅2m未満) 建築基準法の接道義務を満たしているか 道路に接していない土地(無道路地)に準じた評価
三角地 どの辺が道路に面しているかで、囲む長方形の大きさが変わる 不整形地補正(欠けている割合が大きくなりやすい)
台形 奥の幅が広いと、囲む長方形が大きくなる 不整形地補正(奥行長大補正と比べて低いほう)
L字の土地 道路に面する部分の幅を間口にする。長方形は奥の広い部分で決まる 不整形地補正(間口8m未満なら間口狭小も)
一部が欠けた土地 欠けている割合が10%以上あるか 10%未満なら補正なし
道路沿いに細い帯がある土地 帯の部分を分けたほうが実態に合うか 不整形地補正をせず、分けて評価

表の見方:同じ「不整形地」でも、形によって使う補正の組み合わせが違います。旗竿地は竿の幅で扱いが大きく変わるため、まず現地で幅を測ってください。

1つの土地に複数の形の特徴があるときは、当てはまる行をすべて確かめます。たとえば道路に面する部分の幅が8m未満のL字の土地なら、不整形地補正に間口狭小補正も重なります。

重要ポイント:竿の部分は私道として分けず、旗の部分と一体で評価します。竿の部分だけを私道として低く評価するのは誤りです。

参照元:国税庁 接道義務を満たしていない宅地の評価

申告後に補正漏れに気づいたら|更正の請求で取り戻す

申告した後で、不整形地の補正をしていなかったことに気づくことがあります。申告期限から5年以内なら、更正の請求をして払いすぎた相続税を取り戻せます。

この章では、更正の請求ができる期間、必要な資料、取り戻せる金額の目安を整理します。

申告期限から5年以内なら請求できる

更正の請求は、申告した税額が多すぎたときに、税務署に正しい税額への訂正を求める手続きです。相続税では、申告期限から5年以内に請求できます。

税務署は請求の内容を調べ、正しいと認めれば税額を減らし、払いすぎた分を還付します。還付金には、一定の期間に応じた還付加算金がつくこともあります。

5年を1日でも過ぎると請求できなくなります。補正漏れの可能性があれば、期限を確かめて早めに動いてください。更正の請求の手続きは、下記の記事で解説しています。

必要な資料と流れ

更正の請求では、評価額が下がる根拠を資料で示す必要があります。土地の形を示す図面と、補正を入れて計算し直した評価明細書が中心です。

  • 更正の請求書(税務署の様式)
  • 土地及び土地の上に存する権利の評価明細書(補正を入れて計算し直したもの)
  • 想定整形地を描いた図面と、かげ地割合の計算
  • 地積測量図・公図・路線価図の写し
  • 当初の申告書の控え

請求書を出してから還付まで、通常は数か月かかります。税務署から資料の追加を求められることもあるため、根拠の資料は丁寧にそろえておきます。

更正の請求をきっかけに、ほかの財産の申告漏れが見つかると、かえって税額が増えることもあります。請求の前に、申告全体に漏れがないかも確かめておくと安心です。

取り戻せる金額の目安

取り戻せる金額は、補正で下がる評価額と、その家庭の相続税の税率で決まります。試算の旗竿地なら、ほかの遺産が5,000万円の家庭で約221万円です。

同じ旗竿地でも、ほかの遺産が3,000万円なら約219万円、1億円なら約397万円と、遺産が大きいほど取り戻せる額も大きくなります。税率の高い家庭ほど、見直しの効果が出やすいということです。

一方、更正の請求を税理士に頼むと、取り戻した金額に応じた報酬がかかるのが一般的です。取り戻せる見込みの額と報酬を比べて、依頼するかを決めます。

土地の評価を見直すと、不整形地以外の補正(がけ地・道路の幅が狭い土地など)の漏れが見つかることもあります。見直しは土地全体について行うのが効率的です。

見直しで見つかりやすい補正漏れ

申告の見直しで見つかる土地の補正漏れには、よくある型があります。不整形地のほかにも、次の補正が抜けていないかを確かめてください。

  • 旗竿地で、間口狭小補正率を掛けていない
  • 台形や三角形の土地を、整った形として評価している
  • 道路より低い土地、がけのある土地の補正をしていない
  • 幅の狭い道路に面し、建て替えで後退が必要な部分(セットバック)を考慮していない
  • 三大都市圏で500㎡以上の土地に、地積規模の大きな宅地の補正をしていない

どれも、図面と現地を確かめれば見つかる補正です。申告を自分でした場合や、土地の評価に詳しくない人に頼んだ場合は、一度見直す価値があります。

自分で評価する場合の手順と限界

不整形地の評価は、資料をそろえれば自分で計算することもできます。ただし判断が入る部分が多く、補正漏れや過大な補正のどちらも起きやすい分野です。

この章では、必要な資料、評価明細書の書き方、税理士に頼んだほうがよい目安を整理します。

必要な資料

不整形地の評価には、土地の形と道路の状況がわかる資料が必要です。法務局と国税庁のサイトでほとんどの資料が手に入ります。

資料 取得先 わかること
公図 法務局 土地の形と隣の土地との位置関係
地積測量図 法務局(ない土地もある) 各辺の長さと面積
登記事項証明書 法務局 登記の面積と持ち主
路線価図 国税庁のサイト 路線価と地区
住宅地図・現地の写真 現地・市販の地図 道路の状況と実際の形

表の見方:地積測量図がない古い土地は、公図だけでは正確な長さがわかりません。その場合は現地での計測や、測量が必要になることがあります。

公図は形のおおよその目安にはなりますが、古いものは寸法が正確でないことがあります。補正率が境目の値に近い場合は、測量した寸法で計算し直してください。

評価明細書の書き方

不整形地の評価は、国税庁の「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」に書き込んで計算します。明細書の「不整形地」の欄に、かげ地割合と補正率の計算を書き、図面を添付します。

明細書には、路線価に奥行価格補正率を掛けた1㎡あたりの価額を書き、その下に不整形地補正率を掛けた価額を書く欄があります。順番どおりに埋めれば計算できる作りになっています。

想定整形地の間口・奥行・面積や、かげ地割合の計算過程も書く欄があります。税務署が後から確かめられるよう、数字の根拠を明細書と図面に残してください。

評価明細書の記入例|旗竿地の場合

この記事の旗竿地を、評価明細書の流れで書くと次のようになります。1㎡あたりの価額を順に計算し、最後に面積を掛けるのが明細書の流れです。

明細書の欄 書く内容
1 一路線に面する宅地 路線価20万円×奥行価格補正率0.95=19万円
不整形地(想定整形地) 間口15m・奥行30m・面積450㎡
不整形地(かげ地割合) (450㎡−262.5㎡)÷450㎡=約41.7%
不整形地補正率 0.85×間口狭小0.90=0.76(奥行長大との組み合わせ0.81より低い)
1㎡あたりの価額 19万円×0.76=14万4,400円
自用地の評価額 14万4,400円×262.5㎡=3,790万5,000円

表の見方:かげ地割合40%以上・普通住宅地区Aで補正率0.85です。想定整形地を描いた図面を明細書に添付し、間口・奥行・面積の根拠を示します。

税理士に頼んだほうがよい目安

次のような土地は、自分で評価すると判断を誤りやすいので、相続税の対応実績がある税理士に頼むのが安全です。1つでも当てはまれば、相談を検討してください。

  • □ 2つ以上の道路に面している
  • □ 道路が曲がっている、または角が切り取られている
  • □ 地積測量図がなく、正確な形がわからない
  • □ 広い土地で、地積規模の大きな宅地にも当たりそう
  • □ がけや高低差など、ほかにも評価が下がりそうな事情がある
  • □ 土地を相続人で分けて相続する予定がある

重要ポイント:土地の評価は、相続税の申告で税理士による差が最も出やすい部分です。見積りの段階で、土地の評価をどこまで確認するかを聞いておきます。

税理士に頼む場合も、公図や測量図、固定資産税の課税明細書を先にそろえておくと、評価の作業が早く進み、見積りも正確になります。

不整形地の相続税評価の相談は相続税の対応実績がある税理士へ|一括相談・見積り

不整形地の評価は、補正を漏れなく当てはめられるかで、相続税が数百万円変わることがあります。相続税の対応実績がある税理士なら、現地と資料を確かめて、下げられる補正を拾い出せます。

税理士によって土地の評価の進め方や報酬が違うため、複数の事務所の見積りを比べるのが確実です。この章では、相談する意味と手順を整理します。

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

不整形地の評価は、計算そのものより、長方形の描き方や補正の当てはめ方の判断で差がつきます。土地の評価に慣れた税理士ほど、4つの方法を比べて有利な評価を選べます。

【実績がある税理士が必要な理由】

  • 補正の拾い出し — 不整形地・間口狭小・奥行長大・がけ地などを漏れなく当てはめる
  • 評価方法の比較 — 4つの方法で計算し、根拠を示せる範囲で有利なものを選ぶ
  • 現地の確認 — 図面と現地の食い違いや、測り方の違いに気づける
  • 特例との組み合わせ — 小規模宅地等の特例をどの土地に使うと有利かを判断する
  • 税務調査への備え — 図面と計算過程を、説明できる形で申告書に添付する

具体例で見ます。ほかの遺産が5,000万円の家庭で、旗竿地を補正せずに5,250万円で申告すると、相続税の総額は810万円です。

税理士が補正を当てはめて3,790万5,000円と評価すれば、相続税は588万5,400円になり、約221万円の差が出ます。

計算ロジック:【前提】この記事の旗竿地の試算と同じ(普通住宅地区・路線価20万円・262.5㎡)。相続人は子2人で、自宅の土地の特例は使わない前提です。

税理士を比較するときの3つの判定ポイント

見積りと初回相談の内容から、土地の評価の力は具体的に読み取れます。次の3点を同じ質問で比べます。

判定ポイント1:現地を確認するか/「土地の評価で現地を見に行きますか」と聞きます。
→ 現地と図面の両方を確認する事務所のほうが、補正の漏れが少ないと判定できます。

判定ポイント2:使えそうな補正を具体的に挙げられるか/公図と路線価図を見せて、評価が下がる要素を聞きます。
→ 初回相談で補正の候補を挙げる事務所のほうが、土地の評価の経験が豊富と判定できます。

判定ポイント3:見積りに土地の評価の費用が明示されているか/形が複雑な土地の加算や、測量が必要な場合の費用を確かめます。
→ 先に示す事務所のほうが、後から総額が膨らむ心配が少ないと判定できます。

この3点は複数の事務所に同じ質問をすれば必ず差が出ます。1つの事務所だけでは、その回答が標準なのか判断できません。

相談しないまま進めるリスク

【相談しないまま進めるリスク】

  • 補正漏れ — 不整形地の補正をせず、払わなくてよい相続税を払う
  • 過大な補正 — 長方形を大きく描きすぎ、税務調査で指摘される
  • 組み合わせの誤り — 間口狭小や奥行長大との掛け方を誤る
  • 期限切れ — 補正漏れに気づいたときには、5年の請求期限を過ぎている
  • 分け方の失敗 — 土地を分けた後の形で評価が上がる分け方を選ぶ

土地の形は、相続が起きた後には変えられません。形の悪い土地がある相続は、申告の前に税理士に評価を確認してもらってください。

相続税申告の見積りを比べる手順は、下記の記事で解説しています。

一括相談・見積りの手順|STEP1〜STEP4

STEP1
相続の概要を整理する
被相続人の資産内容と資産額の概算、相続人の構成と年齢、遺言の有無を整理します。土地があれば、公図や測量図、固定資産税の課税明細書も用意します。

⬇

STEP2
一括見積り・相談サービスに依頼する
相続税申告・相続税の節税・確定申告・準確定申告など希望する内容を明記し、目安3〜5の税理士事務所へ同時に打診します。所有する不動産があれば所在地と広さを記載します。財産の種類と相続人の人数はできるだけ正確に伝えると見積りの精度が上がります。フォームの記入自体は5分程度です。

⬇

STEP3
見積りと初回相談を受ける
各税理士から提案内容・試算相続税額・報酬額が記載された見積りが届きます。気になる事務所と初回相談を行い、上記の3つの判定ポイントを同じ質問で必ず確認します。

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STEP4
税理士を選定・正式依頼する
提案内容の質、説明の丁寧さ、報酬の納得性で最適な事務所を選びます。相続開始から7か月以内に依頼先を決めると、土地の調査や測量にも時間を取れます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 不整形地補正率はどうやって求めますか?

土地のある地区と面積でA・B・Cの区分を決め、土地を囲む長方形(想定整形地)に対する欠けている割合(かげ地割合)を計算し、不整形地補正率表に当てはめて求めます。かげ地割合は(想定整形地の面積−土地の面積)÷想定整形地の面積です。

Q2. 旗竿地の相続税評価額はどのくらい下がりますか?

形と間口によりますが、試算(間口2.5mの旗竿地262.5㎡・普通住宅地区)では約28%下がりました。旗竿地は形の補正に加えて、間口が狭い土地の補正も重なるため、下がり方が大きくなりやすい土地です。

Q3. 倍率地域の不整形地も補正できますか?

倍率地域では、固定資産税評価額に倍率を掛けて評価し、不整形地補正率は掛けません。土地の形は、固定資産税評価額を決める段階で考慮されているためです。

Q4. 不整形地補正率と間口狭小補正率は両方使えますか?

使えます。不整形地補正率に間口狭小補正率を掛けた数値を使い、下限は0.60です。奥行長大補正率も当てはまる場合は、間口狭小補正率×奥行長大補正率を選ぶこともできます。

Q5. 申告した後に補正漏れに気づいたらどうすればいいですか?

申告期限から5年以内なら、更正の請求をして払いすぎた相続税を取り戻せます。補正を入れて計算し直した評価明細書と、土地の形がわかる図面を添えて請求します。

まとめ|不整形地は欠けている割合で補正する。漏れても5年以内なら取り戻せる

不整形地の相続税評価は、土地を囲む長方形に対する欠けている割合で補正率を決め、評価額を下げる計算です。旗竿地のように間口が狭い土地では、補正が重なって大きく下がります。

この記事で扱った内容を整理すると次のとおりです。

  • 補正率は、地積区分・かげ地割合・不整形地補正率表の3ステップで求める
  • 補正を掛けるのは路線価地域。倍率地域では掛けない
  • 評価方法は4つあり、どれも最後に不整形地補正率を掛ける
  • 間口が狭い土地は不整形地補正率×間口狭小補正率で、下限は0.60
  • 試算では旗竿地が約28%、三角地が21%、台形が8%、一部が欠けた土地が4%下がった
  • 旗竿地の補正で、相続税は約221万円少なくなった(ほかの遺産5,000万円・子2人)
  • 補正漏れは、申告期限から5年以内なら更正の請求で取り戻せる

今すぐ取るべき行動

  • 相続する土地の公図・地積測量図を法務局で取る
  • 路線価図で地区と路線価を確かめ、路線価地域か倍率地域かを確認する
  • 土地を囲む長方形を描き、かげ地割合のおおよその値を出してみる
  • 申告済みなら、不整形地の補正が入っているかを申告書の控えで確かめる
  • 相続税の対応実績がある税理士3〜5の事務所に一括で相談し、土地の評価と報酬を比べる

※本記事は2026年10月時点の法令等に基づいています。財産評価基本通達の改正や路線価の改定により内容が変わる場合があります。最新の制度については国税庁のウェブサイトまたは相続税の対応実績がある税理士にご確認ください。

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