


特定路線価とは、路線価が付いていない道路にしか接していない土地を評価するために、税務署が申出を受けて個別に設定する路線価です。行き止まりの私道の奥にある家などで必要になります。
相続税の土地の評価は、道路ごとに国税庁が決めた路線価をもとに計算します。しかし私道の多くには路線価が付いていないため、そのままでは評価の出発点となる価格がありません。
特定路線価の申出は任意です。申請しない場合は、私道を通路とみなして公道の路線価から旗竿地のように評価する方法もあり、こちらのほうが評価額が低くなることがあります。
どちらが有利かは、宅地が私道のどの位置にあるかで変わります。試算では、私道の入口付近では申請したほうが低く、奥に行くほど申請しないほうが低くなりました。
ただし旗竿地としての評価が低すぎると、税務署に評価の妥当性を問われやすくなります。設定には1〜2か月かかるため、申告期限から逆算した判断も必要です。
この記事では、特定路線価の設定条件、申請の手続きと期間、申請しない場合の評価方法、私道の入口からの距離別の有利・不利の早見表、私道そのものの評価、注意点を解説します。
▼ この記事の3行まとめ

特定路線価は、財産評価基本通達14-3に定められた、路線価のない道路のための路線価です。納税者などの申出に基づいて、税務署長が道路の状況や付近の路線価をもとに評定します。
この章では、通常の路線価との違いと、特定路線価が必要になる土地、申請が任意であることを整理します。
通常の路線価は、国税庁が毎年7月に公表する、主な道路に面した土地の1㎡あたりの価格です。特定路線価は、申出があった道路だけに、その都度税務署が設定する点が違います。
| 項目 | 通常の路線価 | 特定路線価 |
|---|---|---|
| 決める人 | 国税局長 | 税務署長 |
| 設定のきっかけ | 毎年まとめて設定 | 納税者などの申出 |
| 対象の道路 | 主な公道など | 路線価のない私道など |
| 使える目的 | 相続税・贈与税の評価全般 | 相続税・贈与税の申告で必要な場合 |
| 知らされ方 | 路線価図で公表 | 申出者に回答される |
表の見方:特定路線価は、相続税や贈与税の申告のためだけに設定される価格です。売買の目安など、他の目的で設定してもらうことはできません。
参照元:国税庁 第2節 宅地及び宅地の上に存する権利(財産評価基本通達14-3を掲載)
通常の路線価の調べ方と路線価図の見方は、下記の記事で解説しています。

特定路線価が必要になるのは、路線価のある道路に一切接していない土地です。典型は、公道から入った行き止まりの私道に面した家です。
反対に、角地などで1本でも路線価のある道路に接していれば、特定路線価は申請できません。その場合は、路線価のある道路だけに接しているものとして評価します。
国税庁は、特定路線価の設定について「申出をすることができる」と説明しています。申請しなければ相続税の申告ができないわけではありません。
申請しない場合は、近くの公道の路線価をもとに、私道を通路とみなして評価する方法があります。どちらの方法で評価するかは、両方を試算してから決めます。比べ方は「申請するかしないか」の章で説明します。

特定路線価は、申出をすれば必ず設定されるわけではありません。道路の性質や土地の場所によっては、設定されないことがあります。
この章では、設定の条件と、設定されない典型的な例を整理します。
特定路線価を設定してもらうには、一般に次の6つの条件を満たす必要があります。申出の前に、1つずつ確かめてください。
| 条件 | 確かめ方 |
|---|---|
| ① 相続税または贈与税の申告のための申出である | 不動産の売買など、他の目的では申請できない |
| ② 土地が路線価地域にある | 国税庁の路線価図・評価倍率表で確かめる |
| ③ 土地が路線価のない道路だけに接している | 路線価図で、接する道路すべてに数字がないか確かめる |
| ④ 道路が、その土地だけの専用の通路ではない | 他の家の人も通る道路かを確かめる |
| ⑤ 道路が建築基準法上の道路などである | 市区町村の建築指導課などで確かめる |
| ⑥ 必要な年分の路線価が公表されている | その年の路線価は例年7月1日に公表される |
表の見方:①〜③は財産評価基本通達14-3の定めです。④〜⑥は、国税局が示す申出書のチェックシートなどで確認される点です。
条件を満たさない道路には、特定路線価は設定されません。特に多いのが、自分の家だけが使う通路の場合です。
【自分の家だけが使う通路】
旗竿地の竿の部分など、その家だけが使う通路は、宅地の一部として評価します。通路として特定路線価を付けることはできません。
【建物を建てられない道】
農道や里道など、建築基準法上の道路でない道に面した土地は、特定路線価の対象になりません。道路に接していない土地(無道路地)として評価を検討します。
【路線価のある道路にも接している】
裏側や横で路線価のある道路に接している場合は、その路線価を使って評価します。
道路に接していない土地の評価は、下記の記事で解説しています。


特定路線価の申出は、申出書に図面や写真を付けて税務署に提出します。回答までにおおむね1〜2か月かかるため、早めに準備してください。
この章では、必要な書類、提出先、回答までの流れを整理します。
申出には、国税庁の様式「特定路線価設定申出書」を使います。道路の状況がわかる図面と写真を、必ず添付します。
【提出する書類】
別紙の明細書には、道路の幅・長さ・舗装の有無・上下水道やガスの有無などを書きます。税務署はこれらの状況と付近の路線価から、特定路線価を評定します。
申出書と別紙に書く主な項目は次のとおりです。道路の状況は、現地で測って正確に書いてください。
| 書類 | 主な記入項目 |
|---|---|
| 申出書 | 申出者の住所・氏名、特定路線価が必要な理由(相続税か贈与税か)、相続開始日などの評価の基準日 |
| 別紙の明細書 | 評価する土地の所在地・地目・面積、特定路線価を設定する道路の所在地 |
| 別紙の明細書(道路の状況) | 道路の幅・長さ、舗装の有無、上下水道・都市ガスの有無、建築基準法上の道路の種類 |
重要ポイント:国税局のウェブサイトに記載例が公開されています。記載例と同じ順番で、道路の状況を一つずつ確かめながら書くと漏れが防げます。
提出先は、国税局によって案内が少し違います。東京国税局管内では、次の3つのいずれかの税務署に提出できます。
持参のほか、郵送でも提出できます。郵送する場合は封筒に「特定路線価設定申出書在中」と書きます。一部の税務署は郵送物を業務センターでまとめて受け付けているため、送付先を事前に確かめます。
参照元:東京国税局 特定路線価設定申出書
申出から回答までは、次の流れで進みます。回答を待つ間に、旗竿地としての評価も並行して計算しておきます。
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回答までの期間は国税局によって案内が違い、関東信越国税局は「おおむね1月程度」としています。急ぐ場合は、提出先の税務署に目安を確かめます。

特定路線価を申請しない場合は、私道を通路とみなし、公道の路線価から旗竿地として評価する方法があります。どちらが低くなるかは、申請する前に両方を試算して確かめます。
この章では、旗竿地としての評価の考え方と、特定路線価の見積もり方、申請した後の注意点を整理します。
申請しない場合は、公道から宅地までの私道を、旗竿地の竿の部分とみなします。公道の路線価に、奥行・形・間口の補正を掛けて評価します。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. 想定する形を決める | 私道(竿)と宅地(旗)を合わせた旗竿地とみなす |
| 2. 奥行の補正 | 公道から宅地の奥までの距離で奥行価格補正率を掛ける |
| 3. 形と間口の補正 | 土地を囲む長方形に対する欠けている割合で不整形地補正率、私道の幅で間口狭小補正率を掛ける |
| 4. 評価額 | 補正後の単価×宅地の面積 |
表の見方:私道の部分は宅地の面積に含めず、形の補正を決めるときにだけ旗竿地の竿として扱います。形の補正の仕組みは、不整形地の記事で詳しく解説しています。
特定路線価がいくらになるかは、申請前でもおおよそ見積もれます。固定資産税の路線価の比率を使う方法が、実務でよく使われます。
【見積もりの計算式】
特定路線価の見積もり=公道の相続税路線価×(私道の固定資産税路線価÷公道の固定資産税路線価)
【例】
公道の相続税路線価20万円、公道の固定資産税路線価16万円、私道の固定資産税路線価13.6万円なら、20万円×13.6万円÷16万円=17万円です。
固定資産税の路線価は、市区町村の窓口や、固定資産税路線価を公開しているウェブサイトで調べられます。あくまで見積もりで、実際の特定路線価とは違う場合があります。
特定路線価の設定を受けた後は、その価格を使って評価するのが基本です。設定を受けたのに、より低い旗竿地の評価で申告すると、税務署から評価の理由を問われやすくなります。
そのため、申請する前に旗竿地としての評価を計算し、特定路線価の見積もりと比べることが大切です。旗竿地のほうが明らかに低い場合は、申請しないで評価する選択肢もあります。
申請するかどうか迷う場合は、税理士に両方の評価を試算してもらい、差の大きさと根拠の確かさを比べて決めるのが安全です。

特定路線価で評価するか、旗竿地として評価するかで、どちらが低くなるかは宅地の位置で変わります。公道から奥にある宅地ほど、旗竿地としての評価が低くなります。
この章では、同じ私道に面した宅地で、公道からの距離だけを変えた場合の評価額を比べます。
公道から入る行き止まりの私道に、同じ大きさの宅地が並んでいる場面を想定します。特定路線価で評価すると、どの宅地も同じ価格で評価されます。
| 項目 | 前提 |
|---|---|
| 地区・公道の路線価 | 普通住宅地区・1㎡あたり20万円 |
| 私道 | 幅4mの行き止まり |
| 宅地 | 私道に沿って10m、奥へ15m(150㎡) |
| 特定路線価 | 17万円(固定資産税路線価の比率で見積もった値) |
| 公道からの距離 | 私道の入口から宅地の手前の端まで、5m〜40mで変える |
重要ポイント:旗竿地としての評価は、税理士事務所の公開計算例(路線価20万円・距離10m・私道幅4m・宅地150㎡で2,460万円)と同じ取り方で計算し、その例と同じ結果になることを確かめています。
公道からの距離ごとに、2つの方法の評価額を並べました。入口から5mの宅地だけは特定路線価のほうが低く、10mより奥では旗竿地としての評価が低くなります。
| 公道からの距離 | 旗竿地としての補正率 | 旗竿地としての評価額 | 特定路線価での評価額 | 低いほう |
|---|---|---|---|---|
| 5m | 0.86 | 2,580万円 | 2,550万円 | 特定路線価(30万円低い) |
| 10m | 0.82 | 2,460万円 | 2,550万円 | 旗竿地(90万円低い) |
| 15m | 0.77 | 2,240万7,000円 | 2,550万円 | 旗竿地(309万3,000円低い) |
| 20m | 0.74 | 2,109万円 | 2,550万円 | 旗竿地(441万円低い) |
| 30m | 0.70 | 1,911万円 | 2,550万円 | 旗竿地(639万円低い) |
| 40m | 0.65 | 1,735万5,000円 | 2,550万円 | 旗竿地(814万5,000円低い) |
表の見方:旗竿地としての補正率は、不整形地補正率×間口狭小補正率(私道幅4mで0.94)と、間口狭小×奥行長大の低いほうです。距離が延びるほど、土地を囲む長方形に対して欠ける割合が大きくなり、補正率が下がります。
計算ロジック:距離10mの例では、奥行20m(補正率1.00)、土地を囲む長方形380㎡、竿と宅地の合計230㎡で欠けている割合は約39%。補正率は0.88×0.94=0.82で、20万円×1.00×0.82×150㎡=2,460万円です。
早見表から、宅地の位置ごとの目安がわかります。特定路線価が公道の路線価に近いほど、旗竿地のほうが有利になる範囲が広がります。
| 宅地の位置 | 有利になりやすい方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 私道の入口付近 | 特定路線価を申請 | 旗竿地としての補正が小さく、公道の路線価に近い評価になる |
| 私道の中ほど | 両方を試算して比べる | 特定路線価の水準しだいで逆転する |
| 私道の奥 | 旗竿地として評価 | 欠けている割合が大きく、補正が強く効く |
重要ポイント:特定路線価が見積もりより低く出れば、特定路線価が有利な範囲は奥まで広がります。見積もりの精度には限りがあるため、境目に近い宅地は両方の評価額を並べて判断してください。
実際の特定路線価は、見積もりより高くも低くも出ます。特定路線価が低く出るほど、申請したほうが有利な範囲は私道の奥まで広がります。
| 特定路線価 | 特定路線価での評価額 | 申請が有利な範囲 | 旗竿地が有利な範囲 |
|---|---|---|---|
| 15万円 | 2,250万円 | 入口から10mまで | 15mより奥 |
| 16万円 | 2,400万円 | 入口から10mまで | 15mより奥 |
| 17万円(試算の前提) | 2,550万円 | 入口から5mまで | 10mより奥 |
| 18万円 | 2,700万円 | なし | 5mより奥すべて |
| 19万円 | 2,850万円 | なし | 5mより奥すべて |
表の見方:公道の路線価20万円に対して特定路線価が9割(18万円)以上になると、この条件ではどの位置でも旗竿地としての評価が低くなります。特定路線価の見積もりが公道の何割になるかが、判断の分かれ目です。
旗竿地としての評価は、私道の幅と宅地の大きさでも変わります。私道が狭いほど、間口の補正が強く効いて評価額は下がります。
| 条件(公道から20mの宅地) | 旗竿地としての補正率 | 旗竿地としての評価額 | 特定路線価17万円での評価額 |
|---|---|---|---|
| 私道の幅3m・宅地150㎡ | 0.67 | 約1,909万円 | 2,550万円 |
| 私道の幅4m・宅地150㎡ | 0.74 | 2,109万円 | 2,550万円 |
| 私道の幅6m・宅地150㎡ | 0.79 | 約2,251万円 | 2,550万円 |
| 私道の幅4m・宅地300㎡ | 0.77 | 約4,296万円 | 5,100万円 |
| 私道の幅4m・宅地500㎡ | 0.82 | 約7,462万円 | 約8,245万円 |
表の見方:私道の幅4m未満では間口狭小補正率が0.90、6m以上8m未満では0.97になります。宅地が広いほど、土地を囲む長方形に対して欠ける割合が小さくなり、補正の効き方は弱くなります。
計算ロジック:宅地300㎡は私道に沿って15m・奥へ20m、500㎡は20m・奥へ25mとしています。500㎡の宅地は、特定路線価での評価でも奥行25mの奥行価格補正率0.97を掛けています。
旗竿地としての評価は、奥の宅地ほど大きく下がります。ただし特定路線価で評価した額との差が大きすぎると、税務署から評価が実態に合わないと指摘されることがあります。
早見表の40mの宅地では、旗竿地としての評価額は特定路線価での評価額の約68%です。私道が長く、周りの家と同じように使えている土地を大きく下げて評価すると、実際の価値とのずれが問題になりやすくなります。
実務では、旗竿地としての1㎡あたりの単価が、私道の固定資産税路線価から見積もった特定路線価を大きく下回る場合に、否認のリスクが高いとする見方があります。差が大きい場合は、評価の根拠を図面と計算で示せるようにしてから選びます。
評価方法の違いは、そのまま相続税の違いになります。ほかの遺産5,000万円・子2人の家庭では、距離20mの宅地で相続税が約66万円変わります。
| 宅地の評価 | 遺産の合計 | 相続税の総額 |
|---|---|---|
| 特定路線価で評価(2,550万円) | 7,550万円 | 402万5,000円 |
| 距離20mを旗竿地として評価(2,109万円) | 7,109万円 | 約336万円 |
| 距離40mを旗竿地として評価(1,735万5,000円) | 6,735万5,000円 | 約280万円 |
計算ロジック:【前提】子2人、自宅の土地の特例は使わない。遺産の合計から基礎控除4,200万円を引き、法定相続分2分の1ずつで税率を掛けています(千円未満切捨て)。
形の補正の仕組みと形別の早見表は、下記の記事で解説しています。


特定路線価は、一般にその年分の路線価が公表されてから申請します。路線価は例年7月1日に公表されるため、1月〜6月に亡くなった場合は7月まで待つことになります。
この章では、亡くなった月ごとの申請の時期と、申告期限との関係を整理します。
相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。回答まで1〜2か月かかるため、申請できる時期から申告期限までの余裕を確かめてください。
| 亡くなった月 | 申請できる時期 | 回答の目安 | 申告期限 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 7月の路線価公表後 | 8〜9月 | 11月 |
| 3月 | 7月の路線価公表後 | 8〜9月 | 翌年1月 |
| 6月 | 7月の路線価公表後 | 8〜9月 | 翌年4月 |
| 7月〜12月 | すぐに申請できる | 申請の1〜2か月後 | 翌年5月〜10月 |
表の見方:1月に亡くなった場合は、回答から申告期限まで2か月ほどしかありません。7月の公表と同時に申請できるよう、資料を前もってそろえておきます。
回答が申告期限に間に合わない場合でも、申告期限は延びません。その場合は、旗竿地としての評価などで期限内に申告し、回答を受けた後に必要なら修正します。
回答の特定路線価で評価し直すと評価額が下がる場合は、更正の請求で払いすぎた相続税を取り戻せます。反対に上がる場合は、修正申告をして差額を納めます。
申告期限ぎりぎりでの申請は避け、相続が始まったらすぐに、申請の要否と時期を確かめることが大切です。

私道に面した家を相続するとき、私道の持分も一緒に相続することがよくあります。私道は、使われ方によって30%で評価するか、評価しないかが決まります。
この章では、私道の評価の仕方と、特定路線価がある場合の計算を整理します。
私道の評価は、誰が通るかで分かれます。行き止まりなど特定の人が通る私道は私道でないとした価額の30%、通り抜けなど不特定多数が通る私道は評価しません。
| 私道の種類 | 評価 |
|---|---|
| 通り抜けできる私道(不特定多数が通る) | 評価しない(0円) |
| 行き止まりの私道(特定の人が通る) | 私道でないとした価額の30% |
| 自分の家だけが使う通路(路地状の敷地) | 私道ではなく、宅地と合わせて評価する |
表の見方:特定路線価が必要になる私道は、多くが行き止まりの私道です。その持分は30%で評価します。
私道に特定路線価を設定している場合は、私道の評価にもその価格を使えます。計算は、特定路線価×0.3×私道の面積です。
たとえば幅4m×長さ50m=200㎡の私道を4軒で共有し、その4分の1(50㎡)を相続する場合、特定路線価17万円なら17万円×0.3×50㎡=255万円です。
特定路線価がない場合は、公道の路線価に奥行・間口などの補正をした価額の30%で評価します。どちらを使うかで私道の評価額も変わるため、宅地と合わせて試算します。
同じ50㎡の私道の持分を、公道の路線価20万円から評価すると、20万円×0.89(奥行50m)×0.94(間口4m)×0.90(奥行長大)×0.3×50㎡=約226万円です。特定路線価17万円を使う255万円より、約29万円低くなります。

特定路線価の評価では、申請できるかどうかの判断や、他の特例との組み合わせで間違いが起きやすくなります。申請の前に、土地の接する道路をすべて確かめてください。
この章では、申請できない場合、自宅の土地の特例との関係、申告後に気づいた場合の対応を整理します。
土地の横や裏で、路線価のある道路に接している場合は、特定路線価を申請できません。その場合は、路線価のある道路だけに接しているものとして評価します。
正面は私道でも、裏側が路線価のある公道に接していれば、その公道を正面の路線として評価します。私道側の路線価がないため、側方や裏面の加算もしません。
また、倍率地域にある土地は、固定資産税評価額に倍率を掛けて評価するため、特定路線価は必要ありません。土地が路線価地域か倍率地域かは、路線価図・評価倍率表で最初に確かめます。
私道に面した自宅の土地も、要件を満たせば自宅の土地の特例(小規模宅地等の特例)を使えます。特例は、特定路線価や旗竿地として評価した後の額から、330㎡までの部分を80%減らします。
特例を使うと宅地の評価額が大きく下がるため、特定路線価と旗竿地の差も、相続税への影響は小さくなります。特例を使える場合は、申請の手間と効果も比べて判断します。
私道に面した土地にアパートを建てて貸している場合は、特定路線価や旗竿地として評価した額から、貸している土地(貸家建付地)としての減額も重ねます。評価の順番は、自分で使う土地としての評価が先です。

申告した後で、特定路線価か旗竿地としての評価のほうが低かったと気づくことがあります。申告期限から5年以内なら、更正の請求で払いすぎた相続税を取り戻せます。
請求には、評価し直した評価明細書と、その評価の根拠となる図面・計算を添えます。特定路線価を使う場合は、申告後でも申出ができるかを税務署に確かめます。


特定路線価を申請するかどうかは、資料をそろえれば自分でもおおよそ判断できます。次の順番で確かめると、判断に必要な数字がそろいます。
この章では、必要な資料と判断の流れを整理します。
判断には、相続税の路線価と固定資産税の路線価の両方が必要です。固定資産税の路線価は、市区町村の窓口などで確かめます。
| 資料 | 取得先 | 使い道 |
|---|---|---|
| 相続税の路線価図 | 国税庁のウェブサイト | 公道の路線価と地区区分 |
| 固定資産税の路線価 | 市区町村の窓口など | 特定路線価の見積もり |
| 公図・地積測量図 | 法務局 | 宅地と私道の形・面積 |
| 私道の登記簿 | 法務局 | 私道の持ち主と持分 |
| 道路の種類の確認 | 市区町村の建築指導課など | 建築基準法上の道路か |
評価明細書には、特定路線価を使う場合は「正面路線価」の欄に特定路線価を書きます。旗竿地として評価する場合は公道の路線価を書き、不整形地の欄で補正率を記入し、想定した形を書き込んだ図面を添付します。
資料がそろったら、次の流れで判断します。最後は、2つの評価額の差と、否認されたときのリスクを比べて決めます。
重要ポイント:旗竿地としての評価は、形の補正の計算が複雑で、間違えやすい部分です。迷う場合は、税理士に両方の評価を出してもらってから決めると安全です。
土地の評価の全体の流れは、下記の記事で解説しています。


特定路線価を申請するか、旗竿地として評価するかは、両方を試算しないと判断できません。相続税の対応実績がある税理士なら、2つの評価額と否認のリスクを並べて示せます。
税理士によって土地の評価の進め方や報酬が違うため、複数の事務所の見積りを比べるのが確実です。この章では、相談する意味と手順を整理します。
特定路線価の判断には、申請の手続き、旗竿地としての評価、税務署の考え方の3つの知識が必要です。土地の評価に慣れた税理士ほど、根拠を示せる範囲で有利な評価を選べます。
【実績がある税理士が必要な理由】
具体例で見ます。私道の入口から20mの宅地を、特定路線価17万円で評価すると2,550万円で、ほかの遺産5,000万円・子2人なら相続税の総額は402万5,000円です。
税理士が旗竿地としての評価を試算して選べば、評価額は2,109万円、相続税は約336万円になり、約66万円の差が出ます。
計算ロジック:【前提】この記事の早見表と同じ(普通住宅地区・公道の路線価20万円・私道幅4m・宅地150㎡)。相続人は子2人で、自宅の土地の特例は使わない前提です。
見積りと初回相談の内容から、土地の評価の力は具体的に読み取れます。次の3点を同じ質問で比べます。
判定ポイント1:申請しない選択肢を説明できるか/「特定路線価は必ず申請しないといけませんか」と聞きます。
→ 旗竿地としての評価と比べて決めると答える事務所のほうが、評価に強いと判定できます。
判定ポイント2:特定路線価の見積もりを出せるか/申請前に、特定路線価がいくらになりそうかを聞きます。
→ 固定資産税の路線価から見積もる事務所のほうが、判断の材料を早く出せると判定できます。
判定ポイント3:申請の手続きが報酬に含まれるか/特定路線価の申出書の作成と提出が、別料金かを確かめます。
→ 先に示す事務所のほうが、後から総額が膨らむ心配が少ないと判定できます。
この3点は複数の事務所に同じ質問をすれば必ず差が出ます。1つの事務所だけでは、その回答が標準なのか判断できません。
【相談しないまま進めるリスク】
私道に面した土地の評価は、どの方法を選ぶかで結果が変わります。申請するかを決める前に、税理士に両方の評価を確認してもらってください。
相続税申告の見積りを比べる手順は、下記の記事で解説しています。

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いいえ。国税庁は「申出をすることができる」と説明しており、申請は任意です。申請しない場合は、私道を通路とみなして公道の路線価から旗竿地として評価する方法があります。両方を試算して有利なほうを選びます。
国税庁によると、おおむね1〜2か月程度かかります。その年分の路線価が公表されてから申請するとされているため、1月〜6月に亡くなった場合は、路線価が公表される7月以降の申請になります。
宅地の位置によります。試算では、私道の入口付近の宅地は特定路線価のほうが低く、奥の宅地ほど旗竿地としての評価が低くなりました。ただし差が大きすぎると、税務署から評価の妥当性を問われやすくなります。
正確にはわかりませんが、公道の相続税路線価×(私道の固定資産税路線価÷公道の固定資産税路線価)で見積もる方法が実務でよく使われます。あくまで目安で、実際の特定路線価とは違うことがあります。
行き止まりなど特定の人が通る私道は、私道でないとした価額の30%で評価し、相続税の対象になります。通り抜けなど不特定多数が通る私道は評価しません。私道に特定路線価があれば、特定路線価×0.3×面積で評価できます。
特定路線価は、路線価のない道路にしか接していない土地のために、税務署が申出を受けて設定する路線価です。申請は任意で、旗竿地として評価する方法と比べて有利なほうを選べます。
この記事で扱った内容を整理すると次のとおりです。
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年10月時点の法令等に基づいています。財産評価基本通達の改正や路線価の改定により内容が変わる場合があります。最新の制度については国税庁のウェブサイトまたは相続税の対応実績がある税理士にご確認ください。