


兄弟姉妹が相続人になると、相続税が通常より2割多くなります。配偶者や子が相続する場合にはない上乗せです。
ただし税額を左右するのは加算だけではありません。配偶者がいるかどうかで、兄弟の負担が5倍以上変わります。遺産1億円で兄弟1人なら、配偶者がいない場合1,464万円、いる場合251.2万円です。
もうひとつ効くのが相続人の人数です。基礎控除が1人あたり600万円増えるため、遺産5,000万円なら兄弟が4人以上いれば相続税は0円になります。
父母の一方だけが同じ兄弟がいる場合は、相続分が半分になります。遺産1億円なら全血の兄弟が650.6万円、半血の兄弟が325.3万円という差が生じます。
兄弟が先に亡くなっていて甥や姪が代わりに相続する場合は、人数が増えます。基礎控除が600万円増えるため、合計の税額は924万円から756万円へ下がります。
注意すべき点もあります。兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言があれば1円も受け取れません。戸籍の収集も、子が相続する場合より大幅に手間がかかります。
この記事では、兄弟が相続人になる4つのケース、基礎控除の計算、遺産額別の早見表、2割加算の計算方法、半血兄弟と甥姪の場合の税額、使える控除、甥姪へ直接渡す方法、実務の注意点までを解説します。
▼ この記事の3行まとめ

兄弟姉妹は相続人の順位でいちばん後ろにあり、子も親も祖父母もいない場合にはじめて相続人になります。そこに至る道筋が4つあります。
民法は相続人になる順番を決めていて、上の順位に1人でもいれば下の順位には権利が回りません。配偶者は順位に関係なく常に相続人になります。
| 順位 | 誰が | 2割加算 |
|---|---|---|
| 常に相続人 | 配偶者 | かからない |
| 第1順位 | 子(いなければ孫) | かからない(孫は代襲なら加算なし) |
| 第2順位 | 父母(いなければ祖父母) | かからない(祖父母は加算あり) |
| 第3順位 | 兄弟姉妹(いなければ甥・姪) | かかる |
表の見方:薄赤の第3順位だけが加算の対象です。配偶者と一親等の血族(父母・子)以外はすべて2割加算になります。
重要ポイント:第2順位の祖父母も加算されます。二親等なので一親等の血族に当たらないためです。「直系だから加算されない」という理解は誤りで、加算されないのは父母と子だけです。
兄弟姉妹に権利が回るのは、先の順位が空いたときか、遺言で指定されたときです。空き方に3通りあります。
| ケース | どういう状態か | 相続人になる範囲 |
|---|---|---|
| 子も親もいない | 被相続人に子・孫がなく、父母・祖父母も亡くなっている | 配偶者と兄弟姉妹(配偶者がいなければ兄弟姉妹のみ) |
| 先順位の全員が相続放棄した | 子が全員放棄し、親も放棄した(または不在) | 同じく兄弟姉妹に回る |
| 兄弟が先に亡くなっている | その子(甥・姪)が代わりに相続する | 甥・姪が代襲相続人になる(1代限り) |
| 遺言で指定された | 子や親がいても遺言で兄弟に渡すと書いてある | 遺言で指定された分だけ受け取る |
表の見方:黄色の2つが実務で多い形です。子のいない夫婦で、親も亡くなっている場合が典型です。
重要ポイント:2行目の相続放棄には注意が必要です。子が借金を理由に放棄すると、その借金ごと兄弟姉妹に回ってきます。知らないうちに相続人になっていることがあるため、放棄する側は兄弟にも伝えておく必要があります。
兄弟が先に亡くなっていれば甥・姪が代わりに相続しますが、その甥・姪も亡くなっていた場合、その子には引き継がれません。子や孫の代襲が何代でも続くのとは違います。
| 先に亡くなっている人 | 代襲相続 | 根拠 |
|---|---|---|
| 子 | 孫・ひ孫と何代でも続く | 直系卑属のため制限がない |
| 兄弟姉妹 | その子(甥・姪)の1代だけ | 甥・姪の子には引き継がれない |
表の見方:薄赤の行が兄弟姉妹の場合の制限です。甥・姪まで亡くなっていれば、その家系には誰も権利が残りません。
重要ポイント:相続人が誰もいなくなると財産は最終的に国に納められます。兄弟姉妹しかいない場合は、この可能性を前提に遺言を用意しておくことが対策になります。
代襲相続が起きる条件と法定相続分は、下記の記事で解説しています。


相続税がかかるかどうかは、遺産が3,000万円+600万円×法定相続人の数に収まるかで決まります。兄弟姉妹が相続人でも計算式は同じです。
人数が1人増えるごとに600万円ずつ増えるので、兄弟が多い家庭ほど課税されにくくなります。配偶者がいる場合はその1人分も加わります。
| 相続人 | 法定相続人の数 | 基礎控除 |
|---|---|---|
| 兄弟1人だけ | 1人 | 3,600万円 |
| 兄弟2人 | 2人 | 4,200万円 |
| 兄弟3人 | 3人 | 4,800万円 |
| 兄弟4人 | 4人 | 5,400万円 |
| 兄弟5人 | 5人 | 6,000万円 |
| 配偶者+兄弟2人 | 3人 | 4,800万円 |
| 配偶者+兄弟3人 | 4人 | 5,400万円 |
表の見方:黄色の2行を比べてください。同じ兄弟2人でも、配偶者がいれば基礎控除が600万円広がります。
計算ロジック:数えるのは法定相続人で、実際に遺産を受け取ったかどうかは関係ありません。相続放棄をした人も人数には数えます。甥・姪が代襲相続する場合は、その人数をそのまま数えます。
基礎控除の計算式と課税されるかどうかの判定手順は、下記の記事で解説しています。

人数が増えると基礎控除が広がるだけでなく、1人あたりの取得額が小さくなって税率も下がります。効果は二重に働きます。
| 遺産5,000万円 | 基礎控除 | 課税される遺産 | 相続税の合計(2割加算後) |
|---|---|---|---|
| 兄弟1人 | 3,600万円 | 1,400万円 | 192万円 |
| 兄弟2人 | 4,200万円 | 800万円 | 96万円 |
| 兄弟3人 | 4,800万円 | 200万円 | 24万円 |
| 兄弟4人 | 5,400万円 | 0円 | 0円 |
| 兄弟5人 | 6,000万円 | 0円 | 0円 |
表の見方:黄色の2行では相続税がかかりません。遺産5,000万円なら兄弟4人以上で0円になります。
重要ポイント:薄赤の兄弟1人がもっとも重くなります。基礎控除が3,600万円しかなく、しかも遺産を1人で受け取るため税率も上がります。同じ遺産額でも、人数によって192万円から0円まで開きます。
相続放棄をした兄弟がいても、基礎控除を計算する法定相続人の数からは外しません。放棄によって基礎控除が減ると、残った相続人の負担が重くなってしまうためです。
| 状況 | 法定相続人の数 | 基礎控除 |
|---|---|---|
| 兄弟3人が全員相続する | 3人 | 4,800万円 |
| 兄弟3人のうち1人が相続放棄 | 3人のまま | 4,800万円のまま |
| 兄弟3人のうち1人が相続欠格・廃除 | 2人 | 4,200万円 |
表の見方:黄色と薄赤で扱いが分かれます。放棄は人数に数えるが、欠格や廃除は数えません。同じように相続しない結果になっても、基礎控除への影響が違います。
重要ポイント:放棄した本人は相続人ではなくなるため、生命保険金や死亡退職金の非課税枠を使えなくなります。人数には数えられるのに本人は枠を使えないという、ねじれた扱いになる点に注意してください。
あてはめ:兄弟3人のうち1人が放棄して2人で相続する場合、基礎控除は4,800万円のまま、遺産1億円なら相続税の総額は630万円です。放棄しなかった2人がこれを取得割合で分け、それぞれに2割加算がかかります。

自分の家がいくらになるのかを、遺産額と兄弟の人数の組み合わせで確認できるようにしました。配偶者がいる場合の表も並べています。
配偶者がいないため、遺産のすべてを兄弟姉妹で分け、全員が2割加算の対象になります。表の金額は加算後の合計です。
| 遺産の総額 | 兄弟1人 | 兄弟2人 | 兄弟3人 | 兄弟4人 | 兄弟5人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4,000万円 | 48万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 5,000万円 | 192万円 | 96万円 | 24万円 | 0円 | 0円 |
| 6,000万円 | 372万円 | 216万円 | 144万円 | 72万円 | 0円 |
| 7,000万円 | 576万円 | 384万円 | 264万円 | 192万円 | 120万円 |
| 8,000万円 | 816万円 | 564万円 | 396万円 | 312万円 | 240万円 |
| 1億円 | 1,464万円 | 924万円 | 756万円 | 588万円 | 480万円 |
| 1億5,000万円 | 3,432万円 | 2,208万円 | 1,728万円 | 1,488万円 | 1,320万円 |
| 2億円 | 5,832万円 | 4,008万円 | 2,952万円 | 2,544万円 | 2,220万円 |
| 3億円 | 1億1,016万円 | 8,304万円 | 6,552万円 | 5,496万円 | 4,560万円 |
表の見方:上の黄色の行を見ると、遺産4,000万円は兄弟2人以上なら0円です。基礎控除4,200万円に収まるためです。
計算ロジック:遺産から基礎控除を引いた金額を法定相続分(各自が等分)で分けたものとして各人の税額を計算し、合計してから2割を上乗せしています。実際の分け方が均等でなければ、各自の負担額は変わります。
重要ポイント:1人あたりの負担を知りたい場合は、表の金額を兄弟の人数で割ってください。遺産1億円で兄弟3人なら、756万円 ÷ 3人 = 1人252万円です。
配偶者がいると結果が大きく変わります。配偶者の税額軽減で配偶者の負担が0円になり、兄弟の取り分も4分の1に減るためです。表は法定相続分どおりに分けた場合の兄弟の負担額です。
| 遺産の総額 | 兄弟1人 | 兄弟2人 | 兄弟3人 |
|---|---|---|---|
| 5,000万円 | 24.0万円 | 6.0万円 | 0円 |
| 6,000万円 | 59.2万円 | 36.0万円 | 18.0万円 |
| 8,000万円 | 141.8万円 | 117.0万円 | 92.2万円 |
| 1億円 | 251.2万円 | 213.0万円 | 181.5万円 |
| 1億5,000万円 | 625.5万円 | 563.2万円 | 510.0万円 |
| 2億円 | 1,089.0万円 | 999.0万円 | 923.2万円 |
表の見方:黄色の行を前の表と比べてください。遺産1億円で兄弟1人の場合、1,464万円から251.2万円へ下がります。5.8倍の差です。
計算ロジック:配偶者と兄弟姉妹の法定相続分は配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1です。兄弟が複数いれば、その4分の1をさらに等分します。配偶者の分は税額軽減で0円になるため、表には兄弟の負担だけを載せています。
重要ポイント:配偶者がいるかどうかは選べません。ただし遺言があれば、兄弟に渡さないという選択はできます。兄弟姉妹には遺留分がないためです。この点は後ろのセクションで扱います。
表を使う前に、法定相続人が誰で何人かを確定させてください。3つの手順で判定できます。
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重要ポイント:STEP2でつまずくことが多くあります。戸籍を取り寄せるまで、父母の一方だけが同じ兄弟の存在に気づかないケースがあります。人数が変われば基礎控除も税額も変わるため、先に戸籍を集めてから表を引いてください。
表の金額は兄弟全員の合計なので、自分1人が実際にいくら納めるのかは人数で割って確認します。均等に分けた場合の1人あたりの金額を出しました。
| 遺産の総額 | 兄弟1人 | 兄弟2人(1人あたり) | 兄弟3人(1人あたり) | 兄弟4人(1人あたり) |
|---|---|---|---|---|
| 5,000万円 | 192万円 | 48万円 | 8万円 | 0円 |
| 8,000万円 | 816万円 | 282万円 | 132万円 | 78万円 |
| 1億円 | 1,464万円 | 462万円 | 252万円 | 147万円 |
| 1億5,000万円 | 3,432万円 | 1,104万円 | 576万円 | 372万円 |
| 2億円 | 5,832万円 | 2,004万円 | 984万円 | 636万円 |
表の見方:黄色の行で比べると、遺産1億円でも兄弟4人なら1人147万円まで下がります。兄弟1人の場合の10分の1です。
重要ポイント:この表は法定相続分どおりに均等に分けた場合です。1人が多く受け取れば、その人の負担も割合に応じて増えます。不動産を1人が引き継いで他の兄弟が現金を受け取る場合など、分け方が均等でないときは取得額の割合で按分してください。

相続税法18条は、配偶者と一親等の血族以外が財産を受け取った場合に相続税を1.2倍にすると定めています。兄弟姉妹はこれに当たるため、同じ金額を受け取っても子より負担が重くなります。
加算されないのは配偶者と父母と子だけで、それ以外はすべて対象です。兄弟姉妹だけが不利に扱われているわけではなく、祖父母や甥・姪、まったくの第三者も同じ扱いになります。
| 財産を受け取った人 | 2割加算 | 理由 |
|---|---|---|
| 配偶者 | かからない | 法律で除かれている |
| 子・父母 | かからない | 一親等の血族に当たる |
| 兄弟姉妹 | かかる | 二親等なので一親等の血族に当たらない |
| 甥・姪 | かかる | 代襲相続人であっても加算される |
| 祖父母 | かかる | 直系だが二親等のため |
| 孫(代襲相続人) | かからない | 亡くなった子の立場を引き継ぐため |
| 孫(代襲でない) | かかる | 世代を1つ飛ばすため |
表の見方:薄赤の2行が兄弟姉妹の家系です。孫が代襲相続人なら加算されないのに、甥・姪が代襲相続人でも加算されます。同じ代襲相続なのに扱いが違う点が、実務でもっとも誤解されるところです。
重要ポイント:加算されないのは「亡くなった人の子の立場を引き継ぐ場合」だけです。甥・姪は兄弟姉妹の立場を引き継ぐので、もともと加算対象の立場をそのまま受け継ぎます。代襲したから加算されなくなる、という理解は誤りです。
加算を足すのは計算のいちばん最後です。遺産全体の税額を出してから各人に按分し、そのうえで20%を上乗せする流れになります。兄弟が受け取った金額に直接1.2倍を掛けるのではありません。
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重要ポイント:STEP4の順番を守ってください。先に控除を引いてから1.2倍すると、税額が実際より少なくなります。加算してから控除を引くのが正しい順です。配偶者がいる場合は、配偶者の分に加算しない点も間違えやすいところです。
配偶者がいない前提で、遺産1億円を兄弟2人が均等に分けた場合を計算します。基礎控除は4,200万円です。
| ステップ | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| STEP1 基礎控除 | 3,000万円+600万円×2人 | 4,200万円 |
| 課税される遺産 | 1億円 − 4,200万円 | 5,800万円 |
| STEP2 法定相続分で分ける | 5,800万円 × 1/2 | 各2,900万円 |
| 各人の税額 | 2,900万円 × 15% − 50万円 | 各385万円 |
| 相続税の総額 | 385万円 × 2人 | 770万円 |
| STEP3 按分(均等に分けた場合) | 770万円 × 1/2 | 各385万円 |
| STEP4 2割加算 | 385万円 × 20% | 各77万円 |
| 1人が納める相続税 | 385万円 + 77万円 | 462万円 |
表の見方:黄色の3行が結果です。2人合わせて924万円で、うち154万円が2割加算による上乗せです。
計算ロジック:STEP2で使う税率は、法定相続分で分けた後の金額に対応するものです。2,900万円は「3,000万円以下」の区分なので税率15%・控除額50万円を使います。遺産1億円に直接税率を掛けるのではありません。
あてはめ:もし子2人が相続していれば、2割加算がないので2人合わせて770万円で済みます。同じ遺産・同じ人数でも、兄弟姉妹だと154万円多く払うことになります。これが加算の実額です。
相続税の総額を出す手順そのものは、下記の記事で解説しています。

配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合は、配偶者の分には加算せず、兄弟の分だけに20%を上乗せします。さらに配偶者には税額軽減があるため、実際の負担は兄弟に集中します。
| 項目 | 配偶者 | 兄弟姉妹 |
|---|---|---|
| 法定相続分 | 4分の3 | 4分の1 |
| 遺産1億円のときの取得額 | 7,500万円 | 2,500万円 |
| 相続税の総額 837.5万円の按分 | 628.1万円 | 209.4万円 |
| 2割加算 | なし | 41.9万円を上乗せ |
| 配偶者の税額軽減 | 1億6,000万円まで0円になる | 使えない |
| 実際に納める額 | 0円 | 251.2万円 |
表の見方:黄色の2行が結果です。配偶者の負担は0円になり、兄弟だけが251.2万円を納めます。同じ相続なのに、立場によって結果がまったく違います。
計算ロジック:相続税の総額は基礎控除4,200万円を引いた5,800万円を法定相続分で分けて計算し、837.5万円になります。配偶者と兄弟の取得割合が3対1なので、税額もその割合で按分されます。2割加算を足した後で、配偶者の税額軽減を引く順です。
重要ポイント:配偶者が全部を取得する遺言があれば、兄弟姉妹に遺留分がないため納税額そのものが0円になります。配偶者の税額軽減が1億6,000万円まで効くためです。子のいない夫婦では、この設計がもっとも税負担が軽くなります。

父母のどちらか一方だけが同じ兄弟姉妹も相続人になりますが、相続分は父母の両方が同じ兄弟姉妹の半分です。税額にもそのまま差が出ます。
民法900条4号は、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分を父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1と定めています。相続人としての権利はあるものの、取り分が減る扱いです。
| 兄弟の構成 | 法定相続分 | 遺産1億円のときの取得額 |
|---|---|---|
| 父母の双方が同じ兄弟2人 | 各2分の1 | 各5,000万円 |
| 父母の双方が同じ兄弟1人+一方だけ同じ兄弟1人 | 3分の2と3分の1 | 6,667万円と3,333万円 |
| 一方だけ同じ兄弟2人のみ | 各2分の1 | 各5,000万円 |
表の見方:薄赤の行が差がつくケースです。1対0.5の割合なので、3分の2と3分の1に分かれます。3行目のように一方だけ同じ兄弟しかいない場合は、その中では等分になります。
計算ロジック:父母の双方が同じ兄弟を1、一方だけ同じ兄弟を0.5として合計で割ります。1 ÷(1+0.5)= 3分の2、0.5 ÷ 1.5 = 3分の1です。基礎控除の人数には、どちらも1人として数えます。
相続分が違えば取得額も変わるため、納める相続税も同じ割合で分かれます。遺産1億円で実際に計算すると、次のようになります。
| 取得額 | 按分後の税額 | 2割加算後 | |
|---|---|---|---|
| 相続税の総額 | — | 813万円 | — |
| 父母の双方が同じ兄弟 | 6,667万円 | 542.2万円 | 650.6万円 |
| 一方だけ同じ兄弟 | 3,333万円 | 271.1万円 | 325.3万円 |
| (参考)双方が同じ兄弟2人なら | 各5,000万円 | 各385万円 | 各462万円 |
表の見方:黄色と薄赤で325.3万円の差がつきます。ちょうど2倍の関係です。
計算ロジック:相続税の総額が813万円なのは、法定相続分が3分の2と3分の1に分かれるためです。均等に分ける場合の770万円より43万円高くなります。取得額の大きい人に高い税率が当たるためです。
重要ポイント:遺産分割で均等に分けることは可能です。法定相続分は話し合いがつかない場合の基準であって、全員が合意すれば自由に分けられます。ただし相続税の総額は法定相続分で計算するため、均等に分けても総額813万円は変わりません。
父母の一方だけが同じ兄弟は、戸籍を取り寄せるまで存在が分からないことがあります。被相続人の親が再婚していた場合や、認知した子がいた場合に判明します。
【後から判明したときに起きること】
避ける方法は1つだけで、最初に被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて取り寄せることです。親の戸籍までさかのぼる必要があるため、子が相続する場合よりはるかに手間がかかります。
作業量を見誤らないようにしてください。被相続人の親の出生までさかのぼり、その親のすべての子を確認する必要があります。本籍を何度も移していれば、その市区町村すべてに請求することになります。1か月から2か月を見込んでおくのが現実的です。

兄弟姉妹が先に亡くなっていれば、その子である甥・姪が代わりに相続します。人数が増えるため基礎控除が広がり、合計の税額は下がります。ただし甥・姪にも2割加算はかかります。
兄弟1人の代わりに甥・姪が2人入れば、法定相続人が1人増えて基礎控除が600万円広がります。税率の階段も下がるため、家族全体の負担は軽くなります。
| 兄弟2人が健在 | 兄弟1人+甥・姪2人が代襲 | |
|---|---|---|
| 法定相続人の数 | 2人 | 3人 |
| 基礎控除 | 4,200万円 | 4,800万円 |
| 相続税の総額 | 770万円 | 630万円 |
| 法定相続分 | 各2分の1 | 兄弟2分の1・甥姪各4分の1 |
| 2割加算後の合計 | 924万円 | 756万円 |
表の見方:黄色の2行が効いています。基礎控除が600万円増えたことで、合計の税額が168万円下がります。
計算ロジック:甥・姪は亡くなった兄弟の相続分を引き継ぎ、兄弟1人分の2分の1を甥・姪2人で等分するので各4分の1になります。遺産1億円なら生存兄弟が5,000万円、甥・姪が各2,500万円です。2割加算後の負担は生存兄弟378万円、甥・姪が各189万円です。
重要ポイント:甥・姪の人数が多いほど基礎控除は広がります。亡くなった兄弟に子が3人いれば法定相続人は4人で基礎控除5,400万円です。ただし協議に参加する人数も増えるため、手続きの難易度は上がります。
孫が代襲相続人になった場合は2割加算がかかりませんが、甥・姪が代襲相続人になった場合はかかります。この違いを取り違えると税額を誤ります。
| 代襲相続人 | 2割加算 | なぜ違うのか |
|---|---|---|
| 孫(子が先に死亡) | かからない | 一親等の血族である子の立場を引き継ぐため |
| 甥・姪(兄弟姉妹が先に死亡) | かかる | もともと加算対象である兄弟姉妹の立場を引き継ぐため |
表の見方:代襲相続だから加算されないのではありません。引き継ぐ立場が一親等の血族かどうかで決まります。
重要ポイント:甥・姪が受け取る場合、加算があっても人数が増えるぶんの基礎控除の効果が上回ることが多いです。前の表のとおり、合計では924万円から756万円に下がりました。加算だけを見て不利と判断しないでください。
甥・姪も亡くなっていた場合、その子には相続権が回りません。子や孫であれば何代でも代襲が続きますが、兄弟姉妹の系統は1代限りです。
| 状況 | 相続人になるか |
|---|---|
| 兄弟が死亡・甥姪が健在 | 甥・姪が相続人になる |
| 兄弟も甥姪も死亡 | その子(甥姪の子)は相続人にならない |
| 兄弟姉妹の系統に誰も残っていない | 相続人不存在となり、最終的に国に納められる |
表の見方:薄赤の行で系統が途切れます。兄弟姉妹しかいない家庭では、相続人が誰もいなくなる可能性があります。
重要ポイント:財産を渡したい相手がいるなら遺言が必要です。相続人がいなければ、遺言がない限り財産は国に納められます。甥・姪の子や、世話をしてくれた人に渡したい場合は、生前に公正証書遺言を作っておくしかありません。
甥・姪が相続人になる場合は、面識がないまま遺産分割協議をすることになりがちです。相続人が増えるほど合意にたどり着くまでの時間も長くなります。
| 相続人の構成 | 協議に参加する人数 | 想定される難しさ |
|---|---|---|
| 兄弟2人が健在 | 2人 | 面識があり連絡も取りやすい |
| 兄弟1人+甥・姪2人 | 3人 | 甥・姪との面識がないことがある |
| 兄弟が全員亡くなり甥・姪5人 | 5人 | 全員の住所調査から始めることになる |
表の見方:薄赤の行になると難易度が跳ね上がります。基礎控除は6,000万円まで広がって税額は下がりますが、手続きは重くなります。
重要ポイント:期限は待ってくれません。申告期限の10か月から逆算すると、戸籍集めに2か月・住所調査に1か月かかれば残りは7か月です。相続が起きたらすぐに戸籍の請求を始め、甥・姪の住所が判明した時点で早めに連絡してください。
あてはめ:連絡が取れない甥・姪がいる場合でも、法定相続分で分けたものとして申告だけは期限内に済ませられます。合意を待って期限を過ぎるより、先に申告して後から修正するほうが負担は軽くなります。

2割加算がある一方で、兄弟姉妹でも使える控除は残っています。使えるものと使えないものを最初に切り分けておくと、取りこぼしを防げます。
使えない控除は、金額の大きいものに集中しています。配偶者の税額軽減と未成年者控除は、相続人の立場が違うため対象外です。兄弟姉妹の負担が重くなる理由の半分はここにあります。
| 控除・特例 | 兄弟姉妹 | なぜ使えないのか |
|---|---|---|
| 配偶者の税額軽減 | 使えない | 配偶者だけが対象のため |
| 未成年者控除 | 使えない | 兄弟姉妹が18歳未満であることは通常ないため |
| 贈与税額控除(暦年課税分) | 原則として使えない | 相続開始前の贈与が加算されないため控除する対象もない |
| 相次相続控除 | 条件により使える | 10年以内に2回相続が起きた場合は対象になる |
表の見方:薄赤の1行目がもっとも大きな違いです。配偶者なら1億6,000万円まで税額が0円になるのに、兄弟姉妹には一切ありません。ここに2割加算が重なるため、同じ遺産額でも負担が大きく開きます。
重要ポイント:4行目の相次相続控除は見落とされやすい制度です。10年以内に親と兄弟の相続が続いた場合など、前の相続で払った税額の一部を差し引けます。兄弟姉妹の相続では親の相続から間が空いていないことが多いため、該当するかを必ず確認してください。
財産の種類に応じた特例は、相続人が誰であっても要件を満たせば使えます。兄弟姉妹だから使えないというものではありません。
| 控除・特例 | 内容 | 兄弟姉妹が使う場合の条件 |
|---|---|---|
| 生命保険金の非課税枠 | 500万円×法定相続人の数 | 兄弟姉妹が相続人であれば使える |
| 死亡退職金の非課税枠 | 500万円×法定相続人の数 | 同じく相続人であれば使える |
| 小規模宅地等の特例(同居) | 土地の評価額を最大80%減額 | 被相続人と同居し、申告期限まで住み続けて保有する |
| 小規模宅地等の特例(貸付事業用) | 土地の評価額を50%減額 | 賃貸用の土地を引き継ぎ、貸付を続ける |
| 債務控除・葬式費用 | 借入金と葬式費用を差し引ける | 相続人であれば使える |
表の見方:黄色の2つは金額が大きく、しかも要件が緩やかです。兄弟が3人いれば保険金1,500万円と退職金1,500万円で合計3,000万円が非課税になります。生前に保険を用意しておくだけで効果が出ます。
計算ロジック:遺産1億円のうち1,500万円を保険金に置き換えると、課税価格が8,500万円に下がります。兄弟2人なら2割加算後の合計が924万円から654万円へ、270万円下がります。同じ財産を現金で残すか保険で残すかの違いだけです。
参照元:国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
生命保険の非課税枠の計算と受取人の決め方は、下記の記事で解説しています。

土地の評価額を大きく下げられる制度ですが、兄弟姉妹が使える場面は限られます。同居していたか、賃貸用の土地であるかが分かれ目になります。
| 状況 | 特例 | 減額 |
|---|---|---|
| 被相続人と同居していた兄弟が自宅を引き継ぐ | 特定居住用宅地等 | 330㎡まで80%減 |
| 賃貸アパートの土地を引き継いで貸付を続ける | 貸付事業用宅地等 | 200㎡まで50%減 |
| 別居していた兄弟が自宅を引き継ぐ | 使えない | 減額なし |
| 引き継いですぐ売却する | 使えない | 申告期限まで保有する要件を満たさない |
表の見方:薄赤の2行に当たるケースが多くあります。兄弟姉妹は別居していることがほとんどなので、自宅の特例は使えないのが通常です。
重要ポイント:いわゆる家なき子の特例も兄弟姉妹には使えません。あの特例は被相続人の子などが対象で、兄弟姉妹は含まれていません。自宅を引き継ぐ予定があるなら、同居していたかどうかを先に確認してください。
小規模宅地等の特例の4つの類型と要件は、下記の記事で解説しています。

兄弟姉妹の相続では、その前に親の相続が10年以内にあったケースが多いです。その場合は前の相続で払った相続税の一部を差し引けます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使える条件 | 前の相続から10年以内に次の相続が起きたこと |
| 誰が使えるか | 次の相続で財産を取得した相続人(兄弟姉妹も対象) |
| 控除できる額 | 前の相続で納めた税額のうち、経過年数に応じた金額 |
| 経過年数の扱い | 1年ごとに10%ずつ減っていく |
| 使えない場合 | 遺贈で財産を受け取っただけの人(相続人でない人) |
表の見方:黄色の2行が要点です。親が亡くなって3年後に兄が亡くなった場合、前の相続の税額の70%相当を差し引けます。
計算ロジック:控除できる額は経過年数に応じて減ります。1年以内なら90%、3年なら70%、9年なら10%、10年を過ぎると0%という目安で減っていきます。正確な計算は前の相続で納めた税額と取得した財産の額を使って求めます。
重要ポイント:この控除は申告書に書かなければ適用されません。親の相続で相続税を払った記録が残っているかを、まず確認してください。兄弟姉妹の相続では2割加算があるため、使える控除を1つ取りこぼすと負担の差が大きくなります。

兄弟姉妹に財産を渡すと、その兄弟が亡くなったときにもう一度相続税がかかります。最初から甥・姪へ渡しておけば、この2回目を省けます。
財産が最終的に甥・姪へ届くまでに、兄弟を経由するかどうかで課税の回数が変わります。兄の遺産1億円を例に計算します。
| 弟に渡してから甥へ | 最初から甥へ遺贈 | |
|---|---|---|
| 1回目(兄の相続) | 弟が1億円を相続 | 甥が1億円を遺贈で取得 |
| 1回目の相続税 | 1,464万円(2割加算後) | 1,464万円(2割加算後) |
| 弟の手元に残る額 | 8,536万円 | — |
| 2回目(弟の相続) | 子1人が8,536万円を相続 → 787万円 | 発生しない |
| 合計の相続税 | 2,251万円 | 1,464万円 |
| 差 | — | 787万円少ない |
表の見方:黄色の2行が結果です。1回目の税額は同じなのに、合計では787万円の差がつきます。2割加算があっても、課税の回数を1回減らす効果のほうが大きいためです。
計算ロジック:1回目はどちらも兄の相続で、法定相続人1人の基礎控除3,600万円を引いて計算します。弟が受け取った場合は、弟の相続で改めて基礎控除3,600万円を引いて787万円がかかります。甥に直接遺贈すればこの2回目が発生しません。
あてはめ:兄弟に子がいて、その子へ最終的に渡したいと考えているなら、兄弟を飛ばして甥・姪へ直接遺贈する遺言を書くほうが有利です。兄弟の生活のために渡す必要があるかどうかで判断してください。
課税の回数を減らせる一方で、兄弟本人の手元には何も残らないという結果になります。目的によって向き不向きが分かれます。
| こういう場合 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 兄弟に十分な資産があり、最終的に甥・姪へ渡したい | 甥・姪へ直接遺贈する | 課税を1回省けて787万円の差が出る |
| 兄弟の生活を支える必要がある | 兄弟に渡す | 税額より生活の維持が優先される |
| 兄弟が高齢で相続が近いと見込まれる | 甥・姪へ直接遺贈する | 2回目の相続がすぐ来るため効果が大きい |
| 甥・姪と関係が良くない | 兄弟に渡す | 争いの原因を作らないほうがよい |
表の見方:黄色と薄赤が正反対の判断です。税額だけで決めるのではなく、兄弟の生活を支える必要があるかを先に考えてください。
重要ポイント:遺言で甥・姪に渡す場合も2割加算はかかります。加算をなくすことはできませんが、課税の回数を減らすことはできるという整理をしておいてください。
兄弟姉妹が相続人になる家庭では、本人が生きているうちにしか打てない手がほとんどです。相続が始まってからできることは限られます。
重要ポイント:1つ目がもっとも効きます。兄弟姉妹に遺留分がないため、遺言があれば1円も渡さないという指定も有効です。子が相続人の場合とは違い、遺言の効力に制限がほとんどありません。この点を活かせるかどうかで結果が大きく変わります。
遺言書の書き方と特例を活かせる指定の仕方は、下記の記事で解説しています。


兄弟姉妹が相続人になる場合は、子が相続する場合より手続きが重くなります。戸籍の量と、連絡の取りにくさが原因です。
相続人が兄弟姉妹であることを証明するには、被相続人に子がいないことと、父母が亡くなっていることの両方を戸籍で示す必要があります。集める範囲が子の相続とはまったく違います。
| 相続人 | 必要な戸籍 | 目安の期間 |
|---|---|---|
| 子が相続する場合 | 被相続人の出生から死亡までと、子の現在の戸籍 | 2週間〜1か月 |
| 兄弟姉妹が相続する場合 | 上記に加えて、父母それぞれの出生から死亡までと、兄弟姉妹全員の戸籍 | 1〜2か月 |
表の見方:薄赤の行の負担が重い理由は2つあります。父母の戸籍をさかのぼって他に子がいないかを確認する必要があり、本籍を移していればその市区町村すべてに請求することになります。
重要ポイント:申告期限は10か月ですが、戸籍集めに2か月かかると、遺産分割の話し合いに使える時間が大幅に減ります。相続が起きたらまず戸籍の請求から始めてください。法定相続情報一覧図を作っておくと、金融機関や登記の手続きで使い回せます。
兄弟姉妹には遺留分が認められていないため、遺言で他の人に全部渡すと書かれていれば1円も受け取れません。子や配偶者との決定的な違いです。
| 相続人 | 遺留分 | 遺言で排除できるか |
|---|---|---|
| 配偶者 | あり | できない(最低限は請求できる) |
| 子 | あり | できない |
| 父母 | あり | できない |
| 兄弟姉妹 | なし | できる(1円も渡さない指定も有効) |
表の見方:薄赤の行が兄弟姉妹の立場です。遺言があるかどうかを最初に確認しないと、話し合いそのものが無意味になります。
重要ポイント:これは渡す側から見れば強力な手段です。疎遠な兄弟に財産を渡したくない場合、遺言を書けば確実に実現できます。子が相続人の場合は遺留分が残るため、ここまで自由にはできません。
参照元:e-Gov 民法(第1042条 遺留分の帰属及びその割合)
先順位の相続人が全員放棄すると、順番が繰り上がって兄弟姉妹が相続人になります。この場合の放棄の期限は、自分が相続人になったことを知った日から数えます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相続放棄の期限 | 自分が相続人になったことを知った日から3か月 |
| 起算日 | 被相続人が亡くなった日ではない |
| 放棄しなかった場合 | 借金も引き継ぐことになる |
| 相続税の申告期限 | 亡くなったことを知った日の翌日から10か月 |
表の見方:黄色の行が要点です。亡くなってから半年後に通知が来た場合でも、そこから3か月あります。
重要ポイント:先順位の相続人が放棄する理由は、多くの場合は借金です。財産より借金が多いと分かって子が放棄し、その借金が兄弟姉妹に回ってきます。通知が届いたら、まず財産と借金の内容を確認してください。3か月を過ぎると放棄できなくなります。
遺産分割協議は相続人全員の合意が必要なので、1人でも連絡が取れないと手続きが止まります。兄弟姉妹の相続では起きやすい問題です。
【連絡が取れないときの選択肢】
未分割で申告すると、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減が使えません。ただし申告期限から3年以内に分割できれば、更正の請求で取り戻せます。
もっとも避けたいのは何もしないことです。期限までに申告しないと無申告加算税と延滞税がかかります。合意できていなくても、法定相続分で分けたものとして申告だけは済ませてください。
未分割で申告する場合は、申告期限までに「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておく必要があります。この書類を出しておかないと、後から分割がまとまっても小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使えません。
提出を忘れると取り戻せなくなるため、申告書と一緒に必ず出してください。用紙は国税庁のサイトからダウンロードできる1枚もので、分割が終わらない理由と見込みを書くだけです。
参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
遺産分割が終わっていない場合の申告のやり方は、下記の記事で解説しています。

相続税の申告書は相続人全員で1通にまとめて提出できますが、納税は各自が自分の分を納めます。兄弟姉妹の相続では、この違いがトラブルの原因になることがあります。
| 項目 | 扱い |
|---|---|
| 申告書 | 全員で1通にまとめても、各自が別々に出してもよい |
| 納税 | 各自が自分の税額を自分で納める |
| 誰かが納めなかった場合 | 他の相続人に連帯納付義務がある |
| 連帯納付の限度 | 自分が受け取った財産の額まで |
表の見方:薄赤の行が要注意です。自分の分を納めていても、他の兄弟が滞納すれば請求が来ることがあります。
重要ポイント:関係が疎遠な兄弟と相続人になった場合はとくに注意してください。全員が期限までに納めたかどうかを確認しておくことが、自分を守る唯一の方法です。納付書の控えを見せ合うなど、確認できる形にしておくのが実務的です。
相続税の納付方法と期限までに払えないときの選択肢は、下記の記事で解説しています。


兄弟姉妹が相続人の場合は相続人の確定そのものに専門知識が要る場面です。複数の税理士から見積りを取って、提案の中身を比べてください。
兄弟姉妹の相続では、戸籍の収集・2割加算・使える控除の判定が同時に絡みます。どれか1つを見落とすと税額が変わります。
【相続税の対応実績がある税理士に相談すべき理由】
たとえば遺産1億円・兄弟2人の家庭で、A税理士は現金のまま申告して2割加算後の合計924万円で確定しました。
B税理士は生前の段階で1,500万円を生命保険に置き換える提案をしており、同じ財産でも合計654万円に収まっています。270万円の差です。
比べるべきなのは相続人の確定にどこまで踏み込むかです。報酬の安さだけで選ぶと、後から相続人が増えて申告をやり直すことになります。
判定ポイント1:戸籍の収集を業務に含めているか見積りに「相続人の調査」「戸籍の取得代行」が入っているかを見てください。→ 含まれていない事務所では、父母の戸籍までさかのぼる作業を自分で行うことになります。
判定ポイント2:相次相続控除を確認するか見積りの依頼時に10年以内に他の相続がなかったかを聞いてくる事務所かどうかです。→ 聞かない事務所は、使えるはずの控除を取りこぼす可能性があります。
判定ポイント3:生前対策まで提案するかまだ相続が起きていない段階なら、遺言と生命保険の設計まで示せるかどうかです。→ 申告だけを請け負う事務所より、生前の設計に踏み込む事務所のほうが差が出ます。
自分で判断して進めた場合に起きることです。申告をやり直すことになる失敗が含まれます。
【相談しないまま進めた場合のリスク】
いずれも申告の前に確認しておけば避けられたものです。相続人の確定を誤ると、そこから先のすべてをやり直すことになります。
依頼から契約までは4つの段階で進み、フォームの記入は5分程度で終わります。
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配偶者がいるかどうかで大きく変わります。配偶者がいない場合、遺産1億円で兄弟2人なら2割加算後の合計924万円、1人あたり462万円です。
配偶者がいる場合は兄弟の取り分が4分の1に減り、同じ遺産1億円で兄弟2人なら合計213.0万円まで下がります。配偶者の分は配偶者の税額軽減で0円になるためです。
遺産の額によって変わります。基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数なので、遺産5,000万円なら兄弟4人以上で0円、遺産4,000万円なら兄弟2人以上で0円です。
相続放棄をした兄弟も法定相続人の数には含めて計算します。亡くなっている兄弟がいる場合は、その子である甥・姪の人数をそのまま数えます。
かかります。孫が代襲相続人になった場合は加算されませんが、甥・姪は加算対象である兄弟姉妹の立場を引き継ぐため、そのまま加算されます。
ただし人数が増えるぶん基礎控除が広がるので、家族全体の負担は下がります。遺産1億円で兄弟2人が健在なら合計924万円ですが、兄弟1人+甥・姪2人が代襲する場合は756万円になります。
父母の双方が同じ兄弟姉妹の2分の1になります。遺産1億円で、双方が同じ兄弟1人と一方だけ同じ兄弟1人なら、取得額は6,667万円と3,333万円に分かれます。
2割加算後の税額はそれぞれ650.6万円と325.3万円で、ちょうど2倍の差です。なお基礎控除の人数には、どちらも1人として数えます。
遺言書を作れば実現できます。兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言で他の人に全部渡すと指定すれば兄弟は1円も受け取れません。
子や配偶者が相続人の場合は遺留分が残るため、ここまで自由にはできません。兄弟姉妹が相続人になる家庭では、遺言の効力がもっとも強く働きます。確実にするため公正証書遺言をおすすめします。
兄弟姉妹が相続人になると相続税が2割増えますが、税額を左右するのは加算だけではありません。配偶者の有無と兄弟の人数で、負担は何倍も変わります。
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年8月時点の法令にもとづいて作成しています。相続税法および民法の改正により内容が変わる場合があります。最新の制度については国税庁のホームページまたは税理士にご確認ください。