


法定相続分とは、遺言がないときに、誰が遺産をどれだけ受け取るかの目安として民法が定めた割合です。
配偶者と子なら2分の1ずつ、配偶者と親なら3分の2と3分の1のように、相続人の組み合わせで割合が決まります。
ただし、法定相続分どおりに分ける義務はありません。相続人全員が合意すれば、どのような割合で分けても構いません。
一方で、相続税の計算では法定相続分を必ず使います。実際にどう分けても、相続税の総額は法定相続分で分けたと仮定して計算するためです。
しかも相続税の計算では、相続放棄をした人や養子の数え方が民法と違います。民法の割合だけを覚えていると、相続税の見通しを誤ります。
分け方そのものも、相続税の負担に関わります。法定相続分どおりに分けるのが、家族全体で最も安いとは限りません。
この記事では、法定相続分の割合の早見表と計算方法、民法と相続税で扱いが違う点、法定相続分が相続税で効く場面、分け方による相続税の違いを解説します。
▼ この記事の3行まとめ

法定相続分は、民法が定めた「相続人ごとの遺産の取り分の目安」です。分け方を話し合うときの出発点であり、相続税を計算するときの物差しでもあります。
この章では、法定相続分の位置づけと、ほかの「取り分」との違い、相続税との関係を先に整理します。
民法900条は、相続人の組み合わせごとに取り分の割合を定めています。遺言がなく、相続人の話し合いもまとまらないときは、この割合が基準になります。
家庭裁判所の調停や審判で遺産を分ける場合も、出発点はこの割合です。そこに生前の贈与や介護の貢献などを反映して、最終的な取り分を決めます。
借金などのマイナスの財産も、原則として法定相続分の割合で引き継ぎます。プラスの財産だけの話ではない点に注意してください。
法定相続分は目安であって、強制ではありません。相続人全員が合意すれば、長男がすべて相続するような分け方もできます。
話し合いで決めた内容は、遺産分割協議書にまとめます。法定相続分と違う割合で分けても、税務署から罰則を受けることはありません。
ただし、1人でも反対すれば協議は成立しません。合意できないときは、家庭裁判所の調停で法定相続分をもとに分け方を決めることになります。
「相続分」と呼ばれるものは、法定相続分のほかに2つあります。遺言で決めた取り分があれば、法定相続分より優先されます。
| 種類 | 中身 | 優先順位 |
|---|---|---|
| 遺言で決める取り分(指定相続分) | 遺言で「長男に3分の2」のように割合を指定したもの | 最も優先される |
| 法定相続分 | 民法900条が定める割合 | 遺言がないときの基準 |
| 調整後の取り分(具体的相続分) | 生前に多額の贈与を受けた分(特別受益)や介護などの貢献(寄与分)を法定相続分に反映した割合 | 調停・審判で実際の取り分を決めるときに使う |
表の見方:話し合いで分ける場合は、どの取り分に従う必要もありません。ただし遺言があっても、兄弟姉妹以外の相続人には最低限の取り分(遺留分)が残ります。
法定相続分は、相続税だけでなく民法上の手続きでも基準になります。遺産分割がまとまる前の手続きほど、法定相続分で扱われます。
| 場面 | 法定相続分の使われ方 |
|---|---|
| 遺産分割の話し合い | 取り分を決める出発点 |
| 家庭裁判所の調停・審判 | 生前の贈与や貢献を反映する前の基準 |
| 預金の仮払い | 引き出せる額の計算(3分の1×法定相続分) |
| 相続登記 | 分割前に共有で登記するときの持分 |
| 借金の引き継ぎ | 債権者に対して各相続人が負う割合 |
| 遺留分 | 最低限の取り分を計算する基礎 |
表の見方:分割がまとまって遺産分割協議書を作れば、預金の解約や登記は協議書の内容で進められます。法定相続分は、まとまるまでの「仮の物差し」として働きます。
遺産をどう分けたかに関係なく、相続税の総額は法定相続分で分けたと仮定して計算します。分け方によって家族全体の相続税が変わらないようにするための仕組みです。
そのうえで、計算した総額を実際に受け取った割合で各人に割り振ります。配偶者の税額軽減の上限も、法定相続分を基準に決まります。
法定相続分が相続税のどこで効くかは、後半の章で6つの場面に分けて一覧にします。

法定相続分の割合は、配偶者と、誰が一緒に相続人になるかで決まります。まず相続人の顔ぶれを確定させ、そのうえで早見表に当てはめてください。
配偶者は常に相続人になります。そのほかの家族は順位があり、先の順位の人が1人でもいれば、後の順位の人は相続人になりません。
| 順位 | 相続人 | 先に亡くなっている場合 |
|---|---|---|
| 常に | 配偶者(婚姻届を出している人) | — |
| 第1順位 | 子(養子・婚姻関係にない相手との子を含む) | 孫が代わりに相続する |
| 第2順位 | 親(親がいなければ祖父母) | — |
| 第3順位 | 兄弟姉妹 | 甥・姪が代わりに相続する(1代限り) |
表の見方:内縁の配偶者、離婚した元配偶者、子の配偶者、養子縁組をしていない連れ子は相続人になりません。財産を残すには遺言が必要です。
相続人の範囲と人数の数え方は、下記の記事で詳しく解説しています。

相続人の組み合わせごとの法定相続分は、次の7パターンでほぼすべてです。配偶者の取り分は、一緒に相続する人の順位が下がるほど大きくなります。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者 | 配偶者以外 |
|---|---|---|
| 配偶者と子 | 2分の1 | 子全員で2分の1 |
| 配偶者と親 | 3分の2 | 親全員で3分の1 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 4分の3 | 兄弟姉妹全員で4分の1 |
| 配偶者のみ | 全部 | — |
| 子のみ | — | 子全員で全部 |
| 親のみ | — | 親全員で全部 |
| 兄弟姉妹のみ | — | 兄弟姉妹全員で全部 |
表の見方:「子全員で2分の1」は、子が何人いても子の合計が2分の1という意味です。1人あたりの割合は、次のH3の表で人数別に確認してください。
同じ順位の相続人が複数いるときは、その順位の取り分を人数で均等に分けます。長男だから多い、同居していたから多いということはありません。
| 人数 | 配偶者と子:子1人あたり | 配偶者と兄弟姉妹:1人あたり | 子のみ:1人あたり |
|---|---|---|---|
| 1人 | 2分の1 | 4分の1 | 全部 |
| 2人 | 4分の1 | 8分の1 | 2分の1 |
| 3人 | 6分の1 | 12分の1 | 3分の1 |
| 4人 | 8分の1 | 16分の1 | 4分の1 |
計算ロジック:配偶者と子2人なら、子全員の2分の1を2人で分けて1人4分の1です。配偶者と親2人なら、親全員の3分の1を2人で分けて1人6分の1になります。
兄弟姉妹が相続人になる場合、父母の一方だけが同じ兄弟姉妹(異母・異父の兄弟姉妹)の取り分は、両親とも同じ兄弟姉妹の2分の1です。兄弟姉妹の相続でだけ起きる例外です。
一方、婚姻関係にない相手との間の子(婚外子)の取り分は、婚姻中の子と同じです。以前は2分の1でしたが、平成25年の民法改正で同じになりました。
養子の取り分も実子と同じです。民法では養子の人数に制限はなく、何人いても1人の子として数えます。ただし相続税の計算では数え方が変わります。
家族構成が複雑なときほど、相続人の漏れが起きます。前の結婚の子や認知した子も、今の家族の子と同じ取り分を持ちます。
| 立場 | 相続人になるか | 取り分 |
|---|---|---|
| 前の結婚で生まれた子 | なる | 今の家族の子と同じ |
| 認知した婚外子 | なる | 今の家族の子と同じ |
| 養子(普通養子) | なる | 実子と同じ。実の親の相続人にもなる |
| 再婚相手の連れ子(養子縁組なし) | ならない | なし(遺言が必要) |
| 離婚した元配偶者 | ならない | なし |
重要ポイント:前の結婚の子がいると、遺産分割協議にはその子の参加と署名が必要です。連絡先が分からない場合でも、戸籍の附票で住所を調べて連絡します。協議から外して分けた遺産分割は無効になります。
前の結婚の子や認知した子の存在は、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を取り寄せて初めて分かることがあります。家族が知らなかった相続人が見つかることも珍しくありません。

法定相続分の計算は、相続人を確定し、早見表の割合を遺産の額にかけるだけです。迷いやすいのは、亡くなった人の代わりに孫や甥・姪が相続する場合と、相続放棄がある場合です。
計算は次の3段階で進めます。最初の相続人の確定を誤ると、後の計算がすべてずれます。
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遺産1億2,000万円を法定相続分で分けた場合の取り分です。同じ遺産でも、配偶者の取り分は6,000万円から1億2,000万円まで変わります。
| パターン | 相続人 | 各人の取り分 |
|---|---|---|
| A | 配偶者と子2人 | 配偶者6,000万円、子各3,000万円 |
| B | 配偶者と親2人 | 配偶者8,000万円、親各2,000万円 |
| C | 配偶者と兄弟姉妹2人 | 配偶者9,000万円、兄弟姉妹各1,500万円 |
| D | 子3人 | 子各4,000万円 |
| E | 兄弟姉妹3人(うち1人は父母の一方だけ同じ) | 4,800万円・4,800万円・2,400万円 |
| F | 配偶者のみ | 配偶者1億2,000万円 |
表の見方:相続税がかかるかどうかは、取り分ではなく遺産全体と基礎控除の比較で決まります。取り分は、相続税を各人に割り振るときの目安になります。
計算ロジック:Eは、両親とも同じ兄弟姉妹2人を「2」、父母の一方だけ同じ1人を「1」として2:2:1で分けます。1億2,000万円×5分の2=4,800万円、×5分の1=2,400万円です。
子が先に亡くなっていると、その子(孫)が代わりに相続します。これを代襲相続といいます。孫が受け取るのは、亡くなった親が受け取るはずだった取り分です。
たとえば配偶者と子2人のうち、長男が先に亡くなり孫が2人いるとします。長男の取り分4分の1を孫2人で分け、孫は各8分の1です。遺産1億2,000万円なら、孫は各1,500万円になります。
兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は甥・姪が代わりに相続しますが、甥・姪の子までは下がりません。
代わりに相続する人の範囲と相続税の扱いは、下記の記事で解説しています。

相続放棄をした人は、初めから相続人でなかったものとして扱われます。放棄した人の子が代わりに相続することもありません。
子3人のうち1人が放棄すると、残る2人で子全体の取り分を分けます。遺産1億2,000万円を子だけで相続するなら、各6,000万円です。
家庭裁判所に申し立てる相続放棄と、遺産分割で「何も受け取らない」と合意することは別物です。後者は相続人のままなので、借金は法定相続分で引き継ぎ、債権者から請求を受けます。
子全員が放棄すると、相続人は次の順位の親や兄弟姉妹に移ります。借金を理由に放棄するときは、次の順位の家族に事前に知らせておかないと、借金の請求が回っていくことになります。
参照元:e-Gov 法令検索 民法(第901条・第939条)

相続税の計算でも民法の法定相続分を使いますが、相続人の数え方が2点違います。相続放棄をした人は数に入れ、養子は1人か2人までしか数えません。
民法の取り分と、相続税の計算で使う取り分を並べました。相続税の計算での人数は、基礎控除・生命保険金の非課税枠・相続税の総額のすべてに使います。
| 場面 | 民法(実際の取り分) | 相続税の計算 |
|---|---|---|
| 相続放棄をした人がいる | 放棄した人は数えない | 放棄がなかったものとして数える |
| 養子がいる | 何人でも数える | 実子がいれば1人まで、いなければ2人まで |
| 孫が代わりに相続する | 孫の人数で親の取り分を分ける | 同じ(代わりに相続する孫は実子として数える) |
表の見方:黄色の2行が民法と相続税でずれる場面です。放棄や養子縁組によって相続税を不当に減らせないようにするための決まりです。
参照元:e-Gov 法令検索 相続税法(第15条・第16条)
民法では放棄した人は相続人でなくなりますが、相続税の計算では放棄がなかったものとして数えます。放棄をしても基礎控除は減らず、相続税の総額も変わりません。
子全員が放棄して親や兄弟姉妹に相続人が移った場合も、相続税の計算は子が相続人のままとして行います。兄弟姉妹が財産を取得しても、相続税の総額は子の人数で計算します。
なお、放棄した人が生命保険金を受け取った場合、その人は生命保険金の非課税枠を使えません。非課税枠の計算には放棄した人も人数として入りますが、枠を使えるのは相続人として財産を受け取った人だけです。
相続放棄と相続税の関係は、下記の記事で解説しています。

民法では養子を何人でも子として数えますが、相続税の計算では人数に上限があります。実子がいれば養子は1人まで、実子がいなければ2人までです。
ただし、配偶者の連れ子を養子にした場合や特別養子縁組をした場合は、実子として数えます。上限の対象になるのは、孫を養子にした場合などの一般的な養子です。
上限を超えた養子も、民法上は相続人で、法定相続分どおりの取り分があります。相続税の基礎控除の人数に入らないだけです。
養子縁組と相続税の関係は、下記の記事で解説しています。

孫が相続する形は2つあり、相続税の扱いが違います。親に代わって相続する孫には2割加算がかからず、養子になった孫にはかかります。
| 項目 | 親に代わって相続する孫 | 養子になった孫 |
|---|---|---|
| 相続人になる理由 | 子が先に亡くなっている | 祖父母と養子縁組をした |
| 民法の取り分 | 亡くなった親の取り分を孫の人数で分ける | 子1人分と同じ |
| 相続税の計算での人数 | 実子として数える(上限なし) | 養子の上限(1人か2人)の対象 |
| 2割加算 | かからない | かかる |
表の見方:孫養子に親が健在のまま縁組をすると、その孫は2割加算の対象です。親が先に亡くなっていて代わりに相続する立場もある孫養子は、2割加算がかかりません。
孫が相続人になる場合の相続税は、下記の記事で解説しています。

遺産1億円を子だけで相続する場合で、放棄と養子の影響を比べました。放棄をしても総額は約630万円のまま、2人目の養子は総額を下げません。
| ケース | 民法の相続人 | 相続税の計算での人数 | 基礎控除 | 相続税の総額 |
|---|---|---|---|---|
| 子3人(放棄なし) | 3人 | 3人 | 4,800万円 | 約630万円 |
| 子3人のうち1人が放棄 | 2人 | 3人 | 4,800万円 | 約630万円 |
| (参考)仮に2人で計算した場合 | — | 2人 | 4,200万円 | 770万円 |
| 実子2人と孫養子2人 | 4人 | 3人 | 4,800万円 | 約630万円 |
| (参考)仮に4人で計算した場合 | — | 4人 | 5,400万円 | 490万円 |
表の見方:放棄の行は、放棄があっても3人で計算するため総額が変わりません。養子の行は、2人目の養子が人数に入らないため、4人で計算した場合より約140万円高くなります。
計算ロジック:3人なら課税遺産総額は1億円−4,800万円=5,200万円で、1人あたり約1,733万円×15%−50万円≒210万円、3人分で約630万円です。
4人の場合:4人なら5,400万円を引いた4,600万円を4等分し、1,150万円×15%−50万円=122.5万円、4人分で490万円です。
重要ポイント:孫を養子にすると、その孫が納める相続税には2割加算がかかります。人数の上限とあわせて、効果を試算してから縁組を考えてください。
子全員が放棄すると、民法では親(いなければ兄弟姉妹)が相続人になります。相続税の総額は子の人数で計算したまま、兄弟姉妹には2割加算がかかります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 前提 | 遺産1億円、子2人が放棄、親はすでに死亡、兄弟姉妹2人が全部を相続 |
| 相続税の計算での人数 | 子2人(放棄はなかったものとする) |
| 基礎控除 | 3,000万円+600万円×2人=4,200万円 |
| 相続税の総額 | 課税遺産5,800万円を子2人で分けたとして計算し770万円 |
| 兄弟姉妹が納める額 | 770万円×1.2(2割加算)=924万円 |
計算ロジック:5,800万円÷2人=2,900万円、2,900万円×15%−50万円=385万円、2人分で770万円です。兄弟姉妹は1親等の血族ではないため、納める額に2割が加わります。
重要ポイント:借金を理由に子が放棄しても、プラスの財産が多ければ兄弟姉妹に相続税がかかります。放棄する前に、次の順位の家族の負担まで確認してください。

法定相続分は、相続税の計算と手続きの6か所で使われます。どこで使うかを知っておくと、分け方の話し合いで相続税への影響を見通せます。
6つの場面を、使い方と注意点で一覧にしました。②と③は、実際の分け方とは関係なく法定相続分で計算します。
| 場面 | 法定相続分の使い方 | 注意点 |
|---|---|---|
| ①基礎控除 | 法定相続人の数で決まる(3,000万円+600万円×人数) | 放棄した人を含め、養子は1人か2人まで |
| ②相続税の総額 | 課税遺産を法定相続分で分けたと仮定して税率をかける | 実際の分け方では変わらない |
| ③配偶者の税額軽減 | 法定相続分か1億6,000万円の多いほうまで相続税がかからない | 申告が必要 |
| ④各人の負担 | 総額を実際に受け取った割合で割り振る | 分け方で各人の負担が変わる |
| ⑤分割がまとまらないときの申告 | 民法の相続分(寄与分を除く)で受け取ったものとして申告する | 特例が使えず、3年以内の分割で取り戻す |
| ⑥遺留分 | 法定相続分の2分の1(親だけが相続人なら3分の1) | 兄弟姉妹にはない |
表の見方:①〜③は相続税の金額を決める場面、④〜⑥は分け方や手続きに関わる場面です。①の人数の数え方は民法と違うため、前の章の比較表もあわせて確認してください。
基礎控除の計算方法と早見表は、下記の記事で解説しています。

生命保険金と死亡退職金には、それぞれ「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。この人数も、相続税の計算での数え方を使います。
| ケース | 非課税枠の計算での人数 | 非課税枠 | 枠を使える人 |
|---|---|---|---|
| 配偶者と子2人 | 3人 | 1,500万円 | 受け取った相続人 |
| 子3人のうち1人が放棄 | 3人 | 1,500万円 | 放棄していない2人だけ |
| 実子1人と孫養子2人 | 2人 | 1,000万円 | 受け取った相続人 |
重要ポイント:放棄した人も人数には入りますが、放棄した人が受け取った保険金には非課税枠を使えません。保険金は受取人固有の財産なので、放棄しても受け取ることはできます。
相続税の総額は、課税される遺産を法定相続分で分けたと仮定し、各人の取り分に税率をかけて合計します。遺産1億円を配偶者と子2人で相続するなら、総額は630万円です。
| 計算の段階 | 配偶者(2分の1) | 子A(4分の1) | 子B(4分の1) |
|---|---|---|---|
| 課税遺産総額5,200万円を法定相続分で分ける | 2,600万円 | 1,300万円 | 1,300万円 |
| 税率をかける(速算表) | 2,600万円×15%−50万円=340万円 | 1,300万円×15%−50万円=145万円 | 145万円 |
| 相続税の総額 | 340万円+145万円+145万円=630万円 | ||
計算ロジック:【前提】遺産1億円、相続人は配偶者と子2人。基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万円で、課税遺産総額は1億円−4,800万円=5,200万円です。
税率と控除額の速算表は、下記の記事で一覧にしています。

相続税の総額を出したら、実際に受け取った財産の割合で各人に割り振ります。法定相続分より多く受け取った人は、その分だけ多く納めます。
| 分け方(子2人・遺産1億円) | 兄が納める額 | 弟が納める額 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 半分ずつ(法定相続分どおり) | 385万円 | 385万円 | 770万円 |
| 兄8割・弟2割 | 616万円 | 154万円 | 770万円 |
| 兄が全部 | 770万円 | 0円 | 770万円 |
表の見方:どの行も合計は770万円で、総額は分け方で変わりません。変わるのは兄弟それぞれの負担だけです。配偶者がいない家庭では、分け方で家族全体の相続税は動きません。
計算ロジック:基礎控除は3,000万円+600万円×2人=4,200万円で、課税遺産は5,800万円です。総額770万円を受け取った割合で割り振ります(兄8割なら770万円×80%=616万円)。
配偶者が受け取った財産は、法定相続分か1億6,000万円のどちらか多い金額まで、相続税がかかりません。遺産が3億2,000万円までなら、配偶者は1億6,000万円まで無税です。
遺産がそれより多い場合は、法定相続分(子がいれば2分の1)までが無税になります。遺産5億円なら2億5,000万円までです。
この軽減は申告をして初めて使えます。軽減で相続税が0円になる場合も、申告書を出す必要があります。
配偶者の税額軽減の要件と、二次相続を含めた使い方は、下記の記事で解説しています。

申告期限までに遺産分割がまとまらない場合は、民法の相続分で受け取ったものとして申告します。生前に多額の贈与を受けた人がいればその分を調整しますが、介護などの貢献(寄与分)は反映しません。
この申告では、配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例が使えません。いったん高い相続税を納めることになります。
申告書と一緒に「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておけば、3年以内に分割がまとまったときに特例を使って納めすぎの税金を取り戻せます(更正の請求)。

相続税の総額は分け方で変わりませんが、家族が実際に納める合計は変わります。配偶者がいる家庭では、法定相続分どおりが最も安いとは限りません。
相続税の総額は法定相続分で計算するため、誰が多く受け取っても総額は同じです。分け方で変わるのは、総額を各人にどう割り振るかです。
たとえば子2人だけが相続し、兄が遺産の8割、弟が2割を受け取ると、総額の8割を兄が、2割を弟が納めます。2人の合計は、半分ずつ分けた場合と同じです。
ただし、次のH3の3つの例外があると、家族全体で納める額が分け方によって変わります。
配偶者と子2人で遺産1億円を相続し、その後配偶者が亡くなって子2人が相続する場合を比べました。配偶者に全部を渡すと合計770万円で、最も重くなります。
| 配偶者の取得額 | 一次相続で納める額 | 二次相続の相続税 | 一次と二次の合計 |
|---|---|---|---|
| 0円(子2人だけで分ける) | 630万円 | 0円 | 630万円 |
| 4,200万円(二次相続の基礎控除と同額) | 365万4,000円 | 0円 | 365万4,000円 |
| 5,000万円(法定相続分どおり) | 315万円 | 80万円 | 395万円 |
| 1億円(配偶者に全部) | 0円 | 770万円 | 770万円 |
表の見方:一次相続の総額はどの行も630万円です。配偶者が受け取った分は軽減で0円になるため、一次で納める額は子の取り分に応じた額だけになります。配偶者が受け取った財産は、二次相続で子に課税されます。
重要ポイント:法定相続分どおりの395万円より、配偶者の取得額を4,200万円に抑えたほうが29万6,000円少なくなります。配偶者に全部を渡す場合との差は404万6,000円です。
計算ロジック:【前提】配偶者の固有財産は0円、二次相続までに財産は増減しないものとします。
4,200万円の行:配偶者が4,200万円を取得すると、一次は630万円×(5,800万円÷1億円)=365万4,000円です。二次は4,200万円が基礎控除(3,000万円+600万円×2人)と同額のため0円になります。
家族全体で納める額が分け方によって変わるのは、次の3つが絡む場合です。分け方を決める前に、3つすべてを確認してください。
| 例外 | なぜ分け方で変わるか | 分け方の考え方 |
|---|---|---|
| 配偶者の税額軽減 | 配偶者が受け取った分は一定額まで無税になる | 二次相続まで含めて配偶者の取得額を決める |
| 2割加算 | 兄弟姉妹・孫養子などが受け取った分は相続税が2割増える | 加算される人の取り分が多いほど家族の負担が増える |
| 小規模宅地等の特例 | 自宅の土地は、要件を満たす人が相続したときだけ評価が最大8割下がる | 同居の子や配偶者など、特例を使える人が自宅を相続する |
表の見方:小規模宅地等の特例は、誰が自宅を相続するかで遺産の評価額そのものが変わり、相続税の総額も変わります。法定相続分で自宅を共有にすると、要件を満たさない人の持分には特例が使えません。
子のいない夫婦で親もいない場合、配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。遺言がなく法定相続分で分けると、兄弟姉妹に2割加算つきの相続税がかかります。
| 分け方(遺産1億円・兄弟姉妹2人) | 配偶者が納める額 | 兄弟姉妹が納める額 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 法定相続分どおり(配偶者4分の3) | 0円 | 213万円 | 213万円 |
| 遺言で配偶者に全部 | 0円 | 0円 | 0円 |
計算ロジック:基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万円、総額は710万円です。配偶者の分は軽減で0円、兄弟姉妹は710万円×4分の1=177万5,000円に2割を加えて213万円です。
重要ポイント:兄弟姉妹には遺留分がないため、「配偶者に全部」という遺言があれば兄弟姉妹は取り分を請求できません。ただし配偶者が亡くなったときの二次相続で、配偶者の財産が誰に渡るかも考えておく必要があります。
子のいない夫婦の相続税と生前の対策は、下記の記事で解説しています。

配偶者の取得額は、一次相続だけでなく、配偶者が亡くなったときの二次相続まで含めて決めます。目安は「二次相続の基礎控除−配偶者がもともと持っている財産」です。
子2人なら二次相続の基礎控除は4,200万円です。配偶者に固有の財産が1,000万円あれば、目安は3,200万円になります。遺産の額や子の人数で目安は変わるため、試算してから決めてください。
二次相続まで含めた分け方の考え方は、下記の記事で解説しています。


遺留分は、遺言があっても一定の相続人に保障される最低限の取り分です。遺留分は法定相続分をもとに計算しますが、役割が違います。
2つの違いを並べました。遺留分は法定相続分の2分の1が基本で、請求しなければ受け取れません。
| 項目 | 法定相続分 | 遺留分 |
|---|---|---|
| 役割 | 遺言がないときの取り分の目安 | 遺言があっても保障される最低限の取り分 |
| 割合 | 民法900条の割合 | 法定相続分の2分の1(親だけが相続人なら3分の1) |
| 対象になる人 | すべての相続人 | 配偶者・子・親(兄弟姉妹は対象外) |
| 受け取り方 | 遺産分割で受け取る | 多く受け取った人にお金で請求する |
| 期限 | なし(特別受益などの主張は10年) | 知った時から1年、相続開始から10年 |
計算ロジック:配偶者と子2人で遺産1億円のとき、子1人の法定相続分は4分の1の2,500万円で、遺留分はその2分の1の1,250万円です。
遺留分の額は、相続人の組み合わせで変わります。親だけが相続人のときは遺産の3分の1、それ以外は2分の1が遺留分の合計です。
| 相続人 | 遺留分の合計 | 1人あたりの遺留分 |
|---|---|---|
| 配偶者と子2人 | 5,000万円 | 配偶者2,500万円、子各1,250万円 |
| 子2人のみ | 5,000万円 | 子各2,500万円 |
| 配偶者と親2人 | 5,000万円 | 配偶者約3,333万円、親各約833万円 |
| 親2人のみ | 約3,333万円 | 親各約1,667万円 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 5,000万円 | 配偶者5,000万円、兄弟姉妹なし |
計算ロジック:1人あたりの遺留分は、遺留分の合計の割合に各人の法定相続分をかけて求めます。配偶者と親2人なら、配偶者は2分の1×3分の2=3分の1、親は2分の1×6分の1=12分の1です。
兄弟姉妹は法定相続分を持つことがありますが、遺留分はありません。子のいない夫婦は「妻に全部」という遺言を書けば、兄弟姉妹に財産が渡りません。
遺言がない場合、配偶者と兄弟姉妹が相続人になり、兄弟姉妹に4分の1の取り分が生じます。子のいない夫婦が遺言を用意しておく理由はここにあります。
遺留分を請求されて財産の代わりにお金を払った場合は、相続税の負担も移ります。払った人は相続税が減り、受け取った人は相続税を納めます。
申告期限の前に金額が決まれば、その金額を反映して申告します。期限後に決まった場合は、払った人は更正の請求、受け取った人は期限後申告か修正申告で調整します。
遺留分の計算と相続税の手続きは、下記の記事で解説しています。


法定相続分は、遺産分割の前の預金の引き出しや、相続登記、借金の引き継ぎにも関わります。分割がまとまる前に動く手続きほど、法定相続分が基準になります。
亡くなった人の預金は、金融機関が死亡を知ると凍結されます。遺産分割の前でも、各相続人は一定額まで単独で払い戻しを受けられます。葬儀費用や当面の生活費に使えます。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 引き出せる額 | 相続開始時の預金額×3分の1×その人の法定相続分 |
| 上限 | 1つの金融機関ごとに150万円 |
| 例(預金600万円・子の法定相続分4分の1) | 600万円×3分の1×4分の1=50万円 |
| 例(預金3,000万円・子の法定相続分2分の1) | 3,000万円×3分の1×2分の1=500万円→上限の150万円 |
表の見方:引き出した額は、その人が遺産の一部を先に受け取ったものとして扱われます。遺産分割のときに取り分から差し引きます。相続放棄を考えている人が引き出して使うと、放棄できなくなるおそれがあります。
遺産分割の前でも、不動産を法定相続分の割合で相続人全員の共有として登記できます。ただし共有のままだと、売却や建て替えに全員の同意が必要になります。
相続登記は、相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する義務があります。分割がまとまらないときは、法定相続分での登記か、相続人であることを申し出る手続きで義務を果たせます。
共有にした自宅は、小規模宅地等の特例を使える人の持分しか評価が下がりません。相続税を考えると、分割を決めてから登記するのが基本です。
生前に多額の贈与を受けた人の取り分を減らす(特別受益)、介護などで貢献した人の取り分を増やす(寄与分)という主張には期限があります。相続開始から10年を過ぎると、原則として法定相続分で分けることになります。
この決まりは令和5年4月1日から始まり、それより前に始まった相続にも猶予期間を置いて適用されます。10年がたつ前に家庭裁判所へ遺産分割を申し立てていれば、主張できます。
相続税の申告期限は10か月なので、10年の期限より先に来ます。申告は期限内に済ませ、取り分の争いは別に進めることになります。
未成年者や判断能力が不十分な人は、自分で遺産分割協議に加われません。代わりの人を家庭裁判所に選んでもらう必要があり、その分の時間を見込んでおきます。
| 相続人 | 代わりに協議に加わる人 | 分け方への影響 |
|---|---|---|
| 未成年の子(親も相続人) | 家庭裁判所が選ぶ特別代理人 | 子の取り分が法定相続分を大きく下回る分け方は認められにくい |
| 認知症などで判断能力が不十分な人 | 成年後見人 | 本人の法定相続分を確保する分け方が原則になる |
表の見方:親と未成年の子がともに相続人の場合、親は子の代理人になれません。特別代理人や成年後見人の選任には1〜数か月かかるため、相続税の申告期限から逆算して早めに申し立ててください。
亡くなった人の借金は、相続人が法定相続分で引き継ぎます。「借金は長男がすべて払う」と相続人の間で決めても、債権者の同意がなければ他の相続人も請求を受けます。
相続税の計算では、実際に借金を負担した人の取り分から差し引きます。遺産分割協議書に誰が借金を負担するかを書いておくと、相続税の申告と一致させやすくなります。
借金を引き継ぎたくない場合は、知った時から3か月以内に相続放棄を家庭裁判所に申し立てます。

法定相続分は、分け方を決めるときの出発点です。法定相続分で試算したうえで、相続税と二次相続の結果を見てから分け方を決めてください。
次の順で進めると、相続税の申告期限の10か月に間に合わせやすくなります。相続税の試算をしないまま分け方を決めると、後から変えにくくなります。
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遺産分割協議書の作り方は、下記の記事で解説しています。

次のケースでは、法定相続分どおりに分けると相続税や手続きで不利になりやすくなります。当てはまる家庭は、分け方を変えた場合の試算を必ず比べてください。
【法定相続分どおりにしないほうがよいケース】
逆に、遺産が預金中心で相続税がかからない家庭なら、法定相続分どおりに分けるのが揉めにくい選択です。
遺産の大半が自宅などの不動産だと、法定相続分どおりに現物で分けることができません。代わりにお金で調整する方法と、売ってお金で分ける方法があります。
| 方法 | 中身 | 相続税での注意点 |
|---|---|---|
| 現物分割 | 財産ごとに取得者を決める | 取得した財産の評価額で各人の負担が決まる |
| 代償分割 | 1人が不動産を取得し、他の相続人にお金を払う | 払った人は取得額から差し引き、受け取った人は加えて申告する |
| 換価分割 | 売ってお金で分ける | 売却益に所得税がかかる。小規模宅地等の特例は使えないことが多い |
| 共有 | 法定相続分の持分で共有にする | 売却や建て替えに全員の同意が必要になる |
重要ポイント:自宅を同居の子が相続して他の兄弟にお金を払う代償分割なら、小規模宅地等の特例を使いながら取り分を法定相続分に近づけられます。払うお金の準備も含めて試算してください。
生前に分け方を決めておきたいなら、遺言で法定相続分と違う割合を指定できます。遺言の内容が法定相続分より優先されますが、遺留分と相続税への影響は残ります。
【遺言を書くときに確認すること】
遺言で割合を変えても、相続税の総額は法定相続分で計算するため変わりません。変わるのは各人の負担と、配偶者の税額軽減・2割加算・特例を通じた家族全体の負担です。
遺言の最後に、その割合にした理由を書き添えておく(付言事項)と、法定相続分より少ない相続人の納得を得やすくなります。法的な効力はありませんが、争いを防ぐ効果があります。
協議がまとまらないときは、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てます。調停中でも相続税の申告期限は延びません。
期限までにまとまらなければ、民法の相続分で受け取ったものとして申告し、分割見込書を出しておきます。分割が決まった後、3年以内なら特例を使ってやり直せます。
調停では法定相続分が出発点になり、特別受益や寄与分を主張する場合は証拠を示します。相続開始から10年の期限にも注意してください。

法定相続分は分け方の目安ですが、相続税は分け方で家族の負担が変わります。法定相続分どおりで決める前に、二次相続まで含めた試算を比べると数十万円単位で差が出ます。
報酬も事務所によって差があり、1つの事務所だけでは比べられません。この章では、複数の税理士に一括で相談する意味と手順を整理します。
分け方の相談は、法律の割合だけでは答えが出ません。相続税の対応実績がある税理士なら、分け方ごとの相続税を数字で比べて示せます。
【実績がある税理士が必要な理由】
具体例で見ます。遺産1億円を配偶者と子2人で相続するケースで、A税理士は法定相続分どおりの分け方で申告し、一次と二次の合計は395万円でした。
B税理士は二次相続まで試算し、配偶者の取得額を4,200万円にする案を示しました。合計は365万4,000円で、29万6,000円の差です。
計算ロジック:【前提】配偶者の固有財産は0円。法定相続分どおりなら一次315万円+二次80万円=395万円。配偶者が4,200万円なら一次365万4,000円+二次0円です。
見積りと初回相談の内容から、実務力は具体的に読み取れます。次の3点を同じ質問で比べます。
判定ポイント1:分け方ごとの試算を出せるか/「法定相続分どおりの場合と、ほかの分け方の場合で相続税はいくらですか」と聞きます。
→ 二次相続まで含めた比較を出せる事務所のほうが、分け方の相談に慣れていると判定できます。
判定ポイント2:人数の数え方を説明できるか/放棄や養子がある場合に「相続税の計算では何人ですか」と聞きます。
→ 民法との違いをその場で説明できる事務所のほうが、計算の誤りが起きにくいと判定できます。
判定ポイント3:見積りに加算条件が明示されているか/基本報酬だけを出す事務所と、相続人の人数・土地の数・二次相続の試算の有無まで書く事務所があります。
→ 先に示す事務所のほうが、後から総額が膨らむ心配が少ないと判定できます。
この3点は複数の事務所に同じ質問をすれば必ず差が出ます。1つの事務所だけでは、その回答が標準なのか判断できません。
【相談しないまま進めるリスク】
申告後に更正の請求で取り戻せる場合もありますが、分け方そのものは後から変えると贈与税がかかることがあります。
税理士費用の相場と見積書の見方は、下記の記事で解説しています。

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分ける義務はありません。相続人全員が合意すれば、どのような割合で分けても構いません。遺言がある場合は遺言の内容が優先されます。話し合いがまとまらず家庭裁判所で決める場合に、法定相続分が出発点になります。
基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。この人数は相続税の数え方で、相続放棄をした人も含め、養子は実子がいれば1人、いなければ2人までです。民法の相続人の数と違うことがあります。
民法では放棄した人を除いた相続人で分け直すため、残る人の取り分が増えます。一方、相続税の計算では放棄がなかったものとして人数と法定相続分を数えるため、基礎控除も相続税の総額も変わりません。
相続税の総額は分け方で変わりませんが、配偶者がいる家庭では一次と二次の合計が変わります。遺産1億円を配偶者と子2人で分ける例では、法定相続分どおりの395万円より、配偶者の取得額を4,200万円にしたほうが約30万円少なくなりました。
遺産の分け方は遺言が優先されますが、相続税の総額の計算では法定相続分を使います。また兄弟姉妹以外の相続人には、法定相続分をもとにした遺留分が保障されます。
法定相続分は、遺言がないときの遺産の取り分の目安です。分け方は相続人の話し合いで自由に決められますが、相続税の計算では必ず法定相続分を使います。
民法の割合と相続税の計算での数え方は一部違い、分け方は家族の相続税の負担にも関わります。この記事で扱った内容を整理すると次のとおりです。
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年10月時点の法令等に基づいています。民法・相続税法の改正により取扱いが変更される場合があります。最新の制度については国税庁のウェブサイトまたは相続税の対応実績がある税理士にご確認ください。