


孫は原則として相続人ではないため、祖父母の財産が孫に渡るのは決まった形をとったときだけです。
その形は4つあり、どれを選んだかで孫が払う相続税が変わります。同じ3,000万円を渡しても、税額に50万円の差がつくことがあります。
差を生むのが2割加算です。孫が財産を受け取ると相続税が1.2倍になる決まりがあり、4つのうち3つがこれに当たります。
ただし、加算されるほうが安く済む場合もあります。孫を養子にすると基礎控除が600万円増えるため、加算分を上回って総額が下がるためです。
孫が相続人にならない形を選ぶと、生命保険の非課税枠や未成年者控除も使えなくなります。税額だけでなく、使える控除まで変わってきます。
渡す側の対策としては生前贈与もありますが、孫への贈与は相続財産に加算されないという原則に例外があり、ここで失敗する人が少なくありません。
この記事では、2割加算の対象になる人とならない人、孫の相続税の計算方法、遺産額別の早見表、4つの渡し方の比較、孫養子の損得の分かれ目、生前贈与の落とし穴、申告の実務までを解説します。
▼ この記事の3行まとめ

民法が定める相続人に孫は入っていないため、孫が祖父母の財産を受け取るには4つのいずれかの形が要ります。どの形をとるかで、2割加算の有無と使える控除が変わります。
4つの違いは、孫が相続人になるかどうかにあります。相続人になるのは代襲相続と孫養子の2つだけで、残る2つは相続人ではないまま財産だけを受け取る形です。
| 形 | どういう状態か | 孫は相続人か | 2割加算 |
|---|---|---|---|
| 代襲相続 | 孫の親(被相続人の子)が先に亡くなっている | なる | かからない |
| 孫養子 | 孫を養子にして子と同じ立場にする | なる | かかる |
| 遺言で渡す | 遺言書に孫へ渡すと書いておく | ならない | かかる |
| 生命保険の受取人 | 保険金の受取人に孫を指定しておく | ならない | かかる |
表の見方:黄色の代襲相続だけが2割加算のかからない唯一の形です。ただしこれは選べる形ではなく、孫の親が先に亡くなっている場合に自動的にそうなります。
重要ポイント:残る3つのうち、生前の準備なしに使えるものはひとつもありません。養子縁組の届出、遺言書の作成、保険の受取人指定は、いずれも本人が生きているうちに手続きを終えておく必要があります。
2割加算に目が向きがちですが、相続人かどうかで使える控除の数が違うほうが金額への影響は大きくなります。相続人でない孫は、次の3つを使えません。
| 使えるもの | 代襲相続・孫養子 | 遺言・生命保険 |
|---|---|---|
| 生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数) | 使える | 使えない |
| 未成年者控除(18歳までの年数×10万円) | 使える | 使えない |
| 障害者控除 | 使える | 使えない |
| 基礎控除の人数に数えられるか | 数える(孫養子は人数制限あり) | 数えない |
表の見方:黄色の2つは金額が大きく、相続人でない孫が保険金を受け取ると非課税枠が1円も使えません。法定相続人が2人いれば1,000万円の枠を丸ごと失う計算です。
重要ポイント:基礎控除の人数も変わります。遺言で孫に渡しても法定相続人は増えないため、基礎控除は増えません。孫養子にした場合だけ、人数制限の範囲内で600万円ずつ増えます。
結論を先に出しておくと、遺産1億円で孫に3,000万円を渡す前提では、もっとも安い形ともっとも高い形で50万円の差がつきます。
| 形 | 孫が払う相続税 | 2割加算 |
|---|---|---|
| 孫養子 | 226.8万円 | あり(37.8万円) |
| 代襲相続 | 231.0万円 | なし |
| 遺言で渡す | 277.2万円 | あり(46.2万円) |
| 生命保険の受取人 | 277.2万円 | あり(46.2万円) |
表の見方:2割加算がかかる孫養子が、加算のない代襲相続より安くなっています。基礎控除が600万円増えて相続税の総額そのものが下がるためです。
重要ポイント:「2割加算を避ける」という発想だけで選ぶと判断を誤ります。加算の有無より、相続税の総額がいくらになるかのほうが効きます。計算の中身は後ろのセクションで順に示します。

相続税法18条は、配偶者と一親等の血族以外が財産を受け取った場合に相続税を1.2倍にすると定めています。孫がこれに当たるかどうかは、親が生きているかどうかで決まります。
判定は形ごとに決まっていて、迷う余地はほとんどありません。加算されないのは、親が先に亡くなって孫が代襲相続人になった場合だけです。
| 孫の状況 | 2割加算 | 理由 |
|---|---|---|
| 親が先に亡くなり代襲相続人になった | かからない | 亡くなった子の立場をそのまま引き継ぐため |
| 孫養子(親が存命) | かかる | 養子は一親等の血族だが、孫養子だけは例外として加算される |
| 遺言で財産を受け取った | かかる | 相続人ではなく、一親等の血族でもないため |
| 生命保険金を受け取った | かかる | みなし相続財産として取得したことになるため |
| 代襲相続人になったうえで養子にもなっている | かからない | 代襲相続人としての立場が優先される |
表の見方:薄赤の3つが加算の対象です。孫養子は民法では実子と同じ扱いですが、相続税では別に扱われます。税額を1回飛ばして次の世代に渡ることになるためです。
重要ポイント:最後の行が見落とされやすい組み合わせです。孫が代襲相続人であれば、養子にもなっていても2割加算はかかりません。孫を養子にしたあとで子が先に亡くなった場合が、これに当たります。
孫への相続は世代を1つ飛び越えます。通常なら祖父から子へ、子から孫へと2回課税されるところが、祖父から孫へ直接渡すと課税が1回で済んでしまいます。
この差を埋めるために置かれたのが2割加算です。兄弟姉妹や甥・姪、まったくの他人が財産を受け取った場合にも同じ加算がかかり、孫だけが狙い撃ちされているわけではありません。
【2割加算の対象になる人(孫以外)】
配偶者・子・父母だけが加算されません。「一親等の血族と配偶者」という範囲は狭く、それ以外はすべて1.2倍になります。
相続放棄をしても保険金や死亡退職金は受け取れますが、放棄によって2割加算の判定が逆転する場合があります。
| 誰が放棄したか | 保険金などを受け取ったときの2割加算 |
|---|---|
| 子(一親等の血族)が放棄した | かからない(一親等であることは変わらないため) |
| 代襲相続人の孫が放棄した | かかる(相続人であることが加算されない条件のため) |
表の見方:薄赤の行が逆転する場面です。放棄しなければ加算されなかった孫が、放棄したことで1.2倍になります。
重要ポイント:孫が代襲相続人のときは、放棄する前に保険金を受け取る予定があるかを必ず確認してください。借金を引き継がないために放棄したのに、保険金の税額が増えるという結果になりかねません。
加算されるのは孫が受け取った財産そのものではなく、孫に割り当てられた相続税額の全体です。そのため、孫が受け取った財産の種類ごとに分けて考える必要はありません。
| 孫が受け取ったもの | 2割加算の計算に入るか |
|---|---|
| 遺言で受け取った不動産や預金 | 入る |
| 生命保険金(非課税枠を超えた部分) | 入る |
| 死亡退職金(非課税枠を超えた部分) | 入る |
| 相続財産に加算された生前贈与 | 入る |
| 相続時精算課税で受け取った財産 | 入る |
表の見方:黄色の行が見落とされやすいところです。孫が遺言で財産を受け取ると、過去の贈与も相続財産に戻されたうえで1.2倍されます。
計算ロジック:2割加算は、孫のすべての取得分をまとめて按分した税額に対して20%を掛けます。不動産だけ加算する、保険金は除く、といった区分はありません。税額控除を引く前の金額に掛ける点も同じです。

孫の相続税は、遺産全体の税額を出してから、孫の取得分に按分して最後に1.2倍する順で計算します。孫の取得分にいきなり税率を掛けるわけではありません。
計算は4つの段階を順に踏み、順番を入れ替えると答えが合わないので、特に2割加算を最後に持ってくる点に注意してください。
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重要ポイント:STEP4の順番が実務でよく間違えられます。先に未成年者控除を引いてから1.2倍すると、税額が実際より少なくなります。加算してから控除を引くのが正しい順です。
STEP1でつまずくのがここです。孫が基礎控除の人数に入るのは、代襲相続と孫養子の場合だけで、遺言や生命保険で受け取っても人数は増えません。
| 孫の状況 | 法定相続人に数えるか | 基礎控除への影響 |
|---|---|---|
| 代襲相続人になった孫 | 数える | 亡くなった子の代わりなので、孫が2人なら2人分 |
| 孫養子 | 数える(人数制限あり) | 実子がいれば1人まで、いなければ2人まで |
| 遺言で受け取った孫 | 数えない | 基礎控除は増えないまま税額だけ増える |
| 生命保険金を受け取った孫 | 数えない | 同じく増えない |
表の見方:黄色の代襲相続には人数制限がありません。子1人が亡くなって孫が3人いれば、3人とも法定相続人に数えます。基礎控除は1,800万円増える計算です。
重要ポイント:孫養子の人数制限は基礎控除の計算上の話です。民法では何人でも養子にできますが、相続税の計算に入れられる人数だけが制限されます。実子がいる家庭で孫3人を養子にしても、基礎控除は1人分しか増えません。
参照元:e-Gov 相続税法(第15条 遺産に係る基礎控除)
遺言で孫に3,000万円を渡す前提で、相続人は子2人、遺産は1億円として実際に数字を入れてみます。
| ステップ | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| STEP1 基礎控除 | 3,000万円+600万円×2人 | 4,200万円 |
| 課税される遺産 | 1億円 − 4,200万円 | 5,800万円 |
| STEP2 法定相続分で分ける | 5,800万円 × 1/2 | 各2,900万円 |
| 各人の税額 | 2,900万円 × 15% − 50万円 | 各385万円 |
| 相続税の総額 | 385万円 × 2人 | 770万円 |
| STEP3 孫の取得割合で按分 | 770万円 × 3,000万円 ÷ 1億円 | 231万円 |
| STEP4 2割加算 | 231万円 × 20% | 46.2万円 |
| 孫が納める相続税 | 231万円 + 46.2万円 | 277.2万円 |
表の見方:黄色の3行が結果です。2割加算によって46.2万円が上乗せされています。
計算ロジック:STEP2で使う税率は、法定相続分で分けた後の金額に対応する税率です。2,900万円は「3,000万円以下」の区分なので税率15%・控除額50万円を使います。孫の取得額3,000万円に直接税率を掛けるのではありません。
あてはめ:子2人はそれぞれ3,500万円ずつを取得するため、税額は770万円 × 3,500万円 ÷ 1億円 = 各269.5万円です。子には2割加算がかからないので、この金額がそのまま納税額になります。
相続税の総額を出す手順そのものは、下記の記事で詳しく解説しています。


遺産がいくらなら孫にどれだけの税金がかかるのかを、相続人が子2人・孫が遺言で1,000万円を受け取る前提で一覧にしました。2割加算がいくら上乗せされるかも並べています。
遺産が増えるほど税率が上がるため、同じ1,000万円を受け取っても孫の税額は10倍以上の差になります。孫の取得額ではなく遺産の総額で決まる点が、この表の要点です。
| 遺産の総額 | 相続税の総額 | 孫の按分後の税額 | 2割加算 | 孫が納める額 |
|---|---|---|---|---|
| 4,200万円以下 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 5,000万円 | 80万円 | 16.0万円 | 3.2万円 | 19.2万円 |
| 6,000万円 | 180万円 | 30.0万円 | 6.0万円 | 36.0万円 |
| 8,000万円 | 470万円 | 58.8万円 | 11.8万円 | 70.5万円 |
| 1億円 | 770万円 | 77.0万円 | 15.4万円 | 92.4万円 |
| 1億5,000万円 | 1,840万円 | 122.7万円 | 24.5万円 | 147.2万円 |
| 2億円 | 3,340万円 | 167.0万円 | 33.4万円 | 200.4万円 |
表の見方:いちばん上の黄色が示すとおり、遺産が基礎控除4,200万円以下なら孫にも相続税はかかりません。2割加算は税額があって初めて効くものなので、税額が0円なら加算も0円です。
重要ポイント:孫の受取額は1,000万円で固定しているのに、遺産5,000万円では19.2万円、2億円では200.4万円と10倍以上ひらきます。孫が「いくらもらったか」ではなく、家全体で「いくら遺産があるか」で税額が決まるためです。
計算ロジック:相続税の総額は、遺産から基礎控除4,200万円を引いた金額を子2人が法定相続分(各2分の1)で分けたものとして計算し、合計しています。孫の税額は、総額に「孫の取得額 ÷ 遺産の総額」を掛けて求めます。
遺産1億円に固定して、孫がいくら受け取るかだけを変えた場合も見ておきます。こちらは受取額に比例して素直に増えていきます。
| 孫の取得額 | 孫の按分後の税額 | 2割加算 | 孫が納める額 | 手取り |
|---|---|---|---|---|
| 500万円 | 38.5万円 | 7.7万円 | 46.2万円 | 453.8万円 |
| 1,000万円 | 77.0万円 | 15.4万円 | 92.4万円 | 907.6万円 |
| 2,000万円 | 154.0万円 | 30.8万円 | 184.8万円 | 1,815.2万円 |
| 3,000万円 | 231.0万円 | 46.2万円 | 277.2万円 | 2,722.8万円 |
| 5,000万円 | 385.0万円 | 77.0万円 | 462.0万円 | 4,538.0万円 |
表の見方:黄色の行が以降のセクションで使う基本形です。3,000万円を受け取ると277.2万円を納め、手取りは2,722.8万円になります。
重要ポイント:孫には納税資金がないことが多い点に注意してください。不動産で3,000万円を受け取ると、277.2万円を現金で用意する必要があります。受け取る財産の種類まで含めて決めないと、孫が納税に困ることになります。
納税資金が足りないときの選び方は、下記の記事で解説しています。

孫が複数いる場合に誤解されやすいのが、人数で分ければ税額が下がるという思い込みです。同じ3,000万円を1人に渡しても3人で分けても、納める合計は変わりません。
| 渡し方 | 1人あたりの取得額 | 孫全員の相続税の合計 |
|---|---|---|
| 孫1人に3,000万円 | 3,000万円 | 277.2万円 |
| 孫2人に1,500万円ずつ | 1,500万円 | 277.2万円 |
| 孫3人に1,000万円ずつ | 1,000万円 | 277.2万円 |
表の見方:合計は変わりません。相続税は遺産全体で総額を出してから按分するため、孫の人数で割っても総額は動かないためです。所得税のように1人あたりで税率が下がる仕組みではありません。
重要ポイント:人数が効くのは基礎控除のほうです。代襲相続で孫3人が相続人になれば、基礎控除が1,800万円増えます。一方で遺言や保険金で渡す場合は、何人に分けても基礎控除は増えません。
あてはめ:子1人が亡くなって孫3人が代襲相続する家庭では、法定相続人は残った子1人と孫3人の合計4人になります。基礎控除は5,400万円まで広がり、遺産1億円なら相続税の総額は630万円まで下がります。

ここまで別々に見てきた4つの形を、遺産1億円・孫に3,000万円という同じ条件に置いて並べます。税額だけでなく、家族全体の負担と手続きの重さもあわせて比べます。
比べるための条件を先に固定します。前提が違うと結論が簡単にひっくり返るため、自分の家に当てはめるときはここから確認してください。
重要ポイント:代襲相続だけ前提が異なります。親が生きているうちは代襲相続を選ぶことはできません。4つのうち3つは生前に選べる形、代襲相続だけは選べない形です。
同じ3,000万円を渡すのに、孫が納める税額は226.8万円から277.2万円まで50.4万円ひらきます。家族全体で見た負担も並べています。
| 孫養子 | 代襲相続 | 遺言で渡す | 生命保険の受取人 | |
|---|---|---|---|---|
| 法定相続人の数 | 3人(子2+孫養子1) | 2人(子1+孫1) | 2人(子2) | 2人(子2) |
| 基礎控除 | 4,800万円 | 4,200万円 | 4,200万円 | 4,200万円 |
| 相続税の総額 | 630万円 | 770万円 | 770万円 | 770万円 |
| 孫の按分後の税額 | 189.0万円 | 231.0万円 | 231.0万円 | 231.0万円 |
| 2割加算 | 37.8万円 | なし | 46.2万円 | 46.2万円 |
| 孫が納める相続税 | 226.8万円 | 231.0万円 | 277.2万円 | 277.2万円 |
| 家族全体の相続税 | 667.8万円 | 770.0万円 | 816.2万円 | 816.2万円 |
| 生前の手続き | 養子縁組の届出 | 不要(選べない) | 遺言書の作成 | 受取人の指定 |
| 他の相続人の同意 | 実質的に必要 | 不要 | 不要(遺留分に注意) | 不要 |
表の見方:黄色の2行が結論です。2割加算がかかる孫養子が、加算のない代襲相続より安くなります。家族全体で見ると差はさらに広がり、孫養子と遺言では148.4万円の差になります。
計算ロジック:孫養子が安いのは、法定相続人が1人増えて基礎控除が600万円増え、相続税の総額が140万円下がるためです。2割加算37.8万円を引いても102.2万円が残ります。
あてはめ:遺言と生命保険が同額になっているのは、どちらも孫が相続人にならず、基礎控除も増えないためです。生命保険は非課税枠を使えない分、家族全体ではさらに不利になります。この点は次のH3で扱います。
保険金の受取人を孫にすると、500万円×法定相続人の数という非課税枠が1円も使えません。この枠は相続人が受け取った場合にだけ使えるものだからです。
| 保険金3,000万円の受取人 | 非課税枠 | 課税価格 | 相続税の総額 |
|---|---|---|---|
| 子(相続人) | 1,000万円が非課税 | 9,000万円 | 620万円 |
| 孫(相続人ではない) | 使えない | 1億円 | 770万円 |
表の見方:受取人を変えるだけで相続税の総額が150万円変わります。孫を受取人にした瞬間に1,000万円の非課税枠が消えるためです。
重要ポイント:孫を受取人にする意味がある場面もあります。保険金は遺産分割の対象外なので、確実に孫に渡せます。税額を取るか確実性を取るかの選択で、税額だけで決める話ではありません。
参照元:国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
4つのうちどれが向くかは、親が生きているか、他の相続人が納得するか、確実性をどこまで求めるかで決まります。
| こういう場合 | 向いている形 | 理由 |
|---|---|---|
| 孫の親がすでに亡くなっている | 代襲相続 | 手続きなしで相続人になり、2割加算もかからない |
| 税額をいちばん抑えたい/他の相続人の理解がある | 孫養子 | 基礎控除が増えて家族全体の税額が下がる |
| 他の相続人に知られずに準備したい | 遺言で渡す | 本人だけで作成でき、内容を秘密にできる |
| 遺産分割でもめる可能性がある | 生命保険の受取人 | 分割協議の対象外なので確実に渡せる |
表の見方:黄色の2つが税額の面では有利です。代襲相続は選べないので、実質的に選べる最善手は孫養子になります。
重要ポイント:孫養子は税額が安い代わりに、他の相続人の取り分が減るため、家族の関係に影響します。実子から見れば相続人が1人増えることになるので、事前の説明なしに進めると分割協議でもめる原因になります。
孫に財産を残す遺言書の書き方は、下記の記事で解説しています。

4つのうち1つを選ばなければならないわけではなく、孫養子にしたうえで遺言も作るといった組み合わせができます。目的が違うものを重ねると、それぞれの弱点を補えます。
| 組み合わせ | 狙い | 注意点 |
|---|---|---|
| 孫養子+遺言 | 基礎控除を増やしつつ、渡す財産を指定する | 実子の遺留分は残るので配分に注意 |
| 遺言+生命保険 | 確実に渡す部分と分割で調整する部分を分ける | 保険金には非課税枠が使えない |
| 生前贈与+遺言 | 早くから移しつつ残りを遺言で渡す | 遺言があると過去の贈与が加算対象に変わる |
| 生前贈与+生命保険 | 贈与を続けながら保険でも渡す | 保険金を受け取った時点で過去の贈与が加算される |
表の見方:黄色が使いやすい組み合わせです。孫養子にすれば基礎控除が増え、遺言を添えれば渡す財産を選べます。
重要ポイント:薄赤の組み合わせは効果が打ち消し合います。保険金を受け取ると孫が受遺者になり、それまでの贈与がすべて加算対象に変わります。贈与を続けている孫を保険金の受取人にする場合は、加算される金額を先に試算してください。

孫養子は「2割加算がかかるからやめたほうがいい」と説明されがちですが、基礎控除が600万円増える効果のほうが大きいことがほとんどです。どこで損得が分かれるのかを数字で確認します。
比べるのは、基礎控除が600万円増えて総額が下がる分と、2割加算で増える分の2つです。遺産1億円・子2人の家庭で計算します。
| 項目 | 金額 | 向き |
|---|---|---|
| 基礎控除が増えて相続税の総額が下がる分 | 140万円 | 減る |
| 孫養子への2割加算(3,000万円取得の場合) | 37.8万円 | 増える |
| 差引 | 102.2万円 | 孫養子にしたほうが得 |
表の見方:黄色と薄赤を差し引きすると102.2万円の得になります。2割加算だけを見て判断すると、この差を取りこぼします。
計算ロジック:基礎控除は4,200万円から4,800万円へ600万円増えます。これにより相続税の総額が770万円から630万円へ140万円下がりました。2割加算は孫が受け取った金額にしかかからないので、孫の取得額が小さいほど得が大きくなります。
重要ポイント:損になるのは、孫養子が遺産のほとんどを受け取る場合です。取得額が大きいほど2割加算も大きくなるため、基礎控除600万円の効果を上回ることがあります。
同じ遺産1億円で、孫養子がいくら受け取るかを変えて損得を計算すると、分かれ目がはっきりします。
| 孫養子の取得額 | 基礎控除による総額の減少 | 2割加算 | 差引 |
|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 140万円 | 12.6万円 | 127.4万円の得 |
| 3,000万円 | 140万円 | 37.8万円 | 102.2万円の得 |
| 5,000万円 | 140万円 | 63.0万円 | 77.0万円の得 |
| 1億円(全部) | 140万円 | 126.0万円 | 14.0万円の得 |
表の見方:孫養子が遺産の全部を受け取っても、まだ14万円の得が残ります。この規模では損に転じません。
重要ポイント:損得が逆転するのは遺産がもっと大きい場合です。基礎控除600万円の効果は遺産が増えても頭打ちになる一方、2割加算は取得額に比例して増え続けます。遺産が数億円で孫の取得割合が高い設計では、事前に試算してください。
相続税の計算で法定相続人に数えられる養子の数には上限があり、実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人までです。民法上は何人でも養子にできますが、基礎控除が増えるのはこの範囲だけです。
| 家族構成 | 養子として数えられる人数 | 基礎控除 |
|---|---|---|
| 実子2人+孫養子1人 | 1人 | 3,000万円+600万円×3人=4,800万円 |
| 実子2人+孫養子3人 | 1人まで | 4,800万円(3人分は増えない) |
| 実子なし+孫養子2人 | 2人 | 3,000万円+600万円×2人=4,200万円 |
| 実子なし+孫養子3人 | 2人まで | 4,200万円(3人分は増えない) |
表の見方:薄赤の行が誤解の多いところです。孫3人を養子にしても、基礎控除は1人分の600万円しか増えません。
重要ポイント:この制限は相続税の計算上のものです。養子縁組そのものは有効で、3人とも相続人として遺産を受け取る権利があります。人数が増えるほど1人あたりの取り分は減るため、実子との関係に影響します。
相続税法63条は、養子を数に入れることで相続税の負担を不当に減らす結果になる場合、その養子を人数に含めないと定めています。形だけの養子縁組は否認される可能性があります。
【否認されやすいケース】
最高裁は平成29年1月31日の判決で、節税が動機であっても縁組をする意思があれば養子縁組は有効だと判断しました。ただしこれは民法上の有効性の話で、相続税の計算で人数に含めるかどうかは別の判断になります。
否認されないためには、養子にも実際に財産を渡し、親子としての関係を示せる事実を残しておくことが要点です。縁組の時期が早いほど、目的を疑われにくくなります。
養子縁組そのものの要件や手続きは、下記の記事で解説しています。


相続の直前に贈与した財産は相続財産に戻して計算しますが、孫への贈与は原則としてこの対象から外れます。ただし外れる条件を満たさなくなる場面があり、ここでの失敗が多く見られます。
加算されるのは「相続または遺贈によって財産を取得した人」への贈与だけです。孫は相続人ではないので、生前に贈与を受けても加算されません。子への贈与との決定的な違いがここにあります。
| 贈与を受けた人 | 相続で財産を受け取ったか | 生前贈与の加算 |
|---|---|---|
| 子(相続人) | 受け取る | される |
| 孫(相続人でも受遺者でもない) | 受け取らない | されない |
| 孫(遺言で財産を受け取った) | 受け取る | される |
| 孫(生命保険金を受け取った) | 受け取る | される |
| 孫(代襲相続人になった) | 受け取る | される |
表の見方:黄色の1行だけが加算されません。孫が何かを受け取った瞬間に、過去の贈与がすべて相続財産に戻されます。
重要ポイント:薄赤の3行が実務でもっとも多い失敗です。毎年贈与を続けてきた孫に、遺言で少額でも財産を残すと、過去の贈与が加算対象に変わります。贈与と遺言をそれぞれ別に設計すると、この組み合わせに気づけません。
加算の期間は令和6年の改正で3年から7年へ延ばされましたが、いま何年分が加算されるかは、贈与した日ではなく相続が起きた日で決まります。すでに7年分がさかのぼるわけではありません。
| 相続が起きた時期 | 加算される期間 |
|---|---|
| 令和8年12月31日まで | 3年以内 |
| 令和9年1月1日〜令和12年12月31日 | 令和6年1月1日から亡くなった日まで |
| 令和13年1月1日以降 | 7年以内 |
表の見方:黄色の行が現在です。いま相続が起きた場合にさかのぼるのは3年分で、7年分がすべて加算されるのは令和13年1月1日以降の相続からです。
重要ポイント:延ばされた4年分については、合計100万円までは加算しないという緩和が用意されています。ただしこの緩和が使えるのは令和9年1月2日以後に相続が起きた場合です。
参照元:国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
相続が起きた年と贈与した年の組み合わせごとの判定は、下記の記事で解説しています。

孫に生前に渡す方法はいくつかありますが、教育資金の一括贈与は令和8年3月31日で終了しました。現在も使えるものと使えなくなったものを整理します。
| 制度 | 非課税の額 | 使えるか |
|---|---|---|
| 暦年贈与 | 年110万円まで | 使える |
| 扶養義務者からの生活費・教育費の負担 | 必要な都度なら上限なし | 使える |
| 相続時精算課税 | 年110万円+累計2,500万円 | 使える(18歳以上の孫) |
| 住宅取得等資金の贈与 | 住宅の種類による | 使える |
| 結婚・子育て資金の一括贈与 | 1,000万円 | 使える(令和9年3月31日まで) |
| 教育資金の一括贈与 | 1,500万円 | 令和8年3月31日で終了 |
表の見方:薄赤の教育資金は令和8年4月1日以後の贈与には使えません。期限までに金融機関と契約を結んだ資金は、引き続き非課税のまま使えます。
重要ポイント:黄色の2つ目を見落とさないでください。祖父母が孫の学費や生活費を必要な都度そのまま払うことに、贈与税はかかりません。一括贈与の制度が終わっても、都度の負担であれば金額の上限なく渡せます。
参照元:国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
孫への贈与で使う制度の選び方は、下記の記事で解説しています。


税額の計算が合っていても、渡し方を誤ると贈与そのものがなかったことにされたり、他の相続人と争いになったりします。実務で繰り返し起きている4つを取り上げます。
孫の名義で口座を作って毎年入金していても、通帳と印鑑を祖父母が管理していれば、その預金は祖父母の財産のままです。贈与が成立していないと判定され、相続財産に加えられます。
【名義預金と判定されやすい状態】
判定されると、その預金は相続財産に加算されたうえで過少申告加算税と延滞税がかかります。孫が受け取っていれば2割加算の対象にもなります。
避けるには、通帳と印鑑を孫本人(未成年なら親権者)が管理し、贈与のたびに契約書を作ることです。孫が実際に引き出して使った記録が残っていれば、さらに説明しやすくなります。
名義預金と判定されたときにいくら増えるかは、下記の記事で解説しています。

孫が18歳未満なら未成年者控除を使えそうに見えますが、この控除は法定相続人でなければ使えません。遺言や生命保険で受け取った孫は対象外です。
| 孫の状況 | 未成年者控除 | 控除額の例(15歳の場合) |
|---|---|---|
| 代襲相続人になった孫 | 使える | (18歳−15歳)×10万円=30万円 |
| 孫養子 | 使える | 同じく30万円 |
| 遺言で受け取った孫 | 使えない | 0円 |
| 生命保険金を受け取った孫 | 使えない | 0円 |
表の見方:相続人になる2つだけが使えます。控除しきれない分は、扶養義務者の相続税から引けます。
重要ポイント:引く順番に注意してください。2割加算をしてから未成年者控除を引きます。先に控除を引いて1.2倍すると、税額が実際より少なくなります。
未成年者控除の計算と申告の手続きは、下記の記事で解説しています。

遺言で孫に多くを渡すと、子には遺留分があるため、孫が請求を受ける立場になります。孫が受け取った財産から、不足分を金銭で払う必要が出てきます。
| 相続人 | 遺留分の割合 | 遺産1億円のときの金額 |
|---|---|---|
| 子1人 | 遺産の2分の1 | 5,000万円 |
| 子2人 | 1人あたり遺産の4分の1 | 1人あたり2,500万円 |
| 配偶者と子2人 | 配偶者4分の1・子1人あたり8分の1 | 配偶者2,500万円・子1,250万円 |
表の見方:黄色の行で見ると、子2人がいる家庭で孫に6,000万円を遺贈すると、残り4,000万円では遺留分5,000万円に足りません。孫が1,000万円を払うことになります。
重要ポイント:遺留分の請求は金銭で行われます。孫が不動産で受け取っていると、払うための現金を別に用意する必要があります。相続税の納税資金と合わせて、二重に現金が要る事態になりかねません。
子が亡くなっている場合は孫が代襲相続人になりますが、子が相続放棄した場合は孫に引き継がれません。放棄は最初から相続人でなかったことになるためです。
| 子に起きたこと | 孫は代襲相続人になるか |
|---|---|
| 子が被相続人より先に亡くなった | なる |
| 子が相続欠格・廃除になった | なる |
| 子が相続放棄した | ならない |
表の見方:薄赤の相続放棄だけが違います。借金を引き継がないために子が放棄しても、孫には何も渡りません。
重要ポイント:孫に財産を渡したいなら、放棄ではなく遺言や生前贈与で渡す形を先に用意しておく必要があります。放棄した後で気づいても、やり直しはできません。
代襲相続が起きる条件と法定相続分は、下記の記事で解説しています。

渡し方を決める前に、次の6つを確認してください。1つでも空欄が残るなら、まだ設計が終わっていません。
重要ポイント:2つ目がもっとも見落とされます。贈与と遺言を別々に考えていると、組み合わせたときの効果に気づけません。生前贈与を続けている孫に遺言で財産を残す場合は、必ず両方をまとめて確認してください。

孫が財産を受け取ると、孫自身が申告と納税をする義務を負います。祖父母の相続なのに孫の名前で申告書を出すことになるため、手続きでつまずきやすい場面がいくつかあります。
期限は他の相続人と同じで、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。孫が遺言で財産を受け取った場合も、この期限は変わりません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申告期限 | 亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内 |
| 申告する人 | 財産を受け取った孫本人(未成年なら法定代理人) |
| 提出先 | 被相続人の住所地を管轄する税務署 |
| 申告書 | 他の相続人と1通にまとめて提出できる |
| 納税の期限 | 申告期限と同じ日 |
表の見方:黄色の2つは同じ日です。申告だけ間に合わせて納税が遅れると、延滞税がかかります。
重要ポイント:申告書は1通にまとめられますが、納税は各自が自分の分を納めます。孫の分を親が立て替えると、それ自体が親から孫への贈与になる場合があります。
孫が未成年だと本人だけでは手続きできないため、親権者が代わりに遺産分割協議や申告を行います。ただし親権者も相続人である場合には、別の人を立てる必要があります。
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重要ポイント:STEP2で時間を取られます。特別代理人の選任には1か月前後かかるため、10か月の期限から逆算して早めに動いてください。相続人が誰かを確定させる戸籍の収集にも1〜2か月かかります。
あまり知られていない決まりですが、相続税には相続人どうしが互いに負担し合う連帯納付義務があります。孫も財産を受け取っていれば、この義務を負います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰が負うか | 相続や遺贈で財産を受け取った人すべて(孫を含む) |
| いくらまで | 自分が受け取った財産の額を限度とする |
| いつ請求されるか | 本来の納税義務者が納めず、督促しても納付がないとき |
| 免れる場合 | 申告期限から5年を経過したときなど |
表の見方:薄赤の2行が要点です。自分の分を納めていても、他の相続人が滞納すれば請求が来ることがあります。
重要ポイント:孫が受け取った財産を使い切っていても義務は残ります。全員が期限までに納めたかどうかを確認しておくことが、孫を守る唯一の方法です。
相続税の納付方法と期限までに払えないときの選択肢は、下記の記事で解説しています。

孫は相続人ではないので、自分に申告義務があると気づかないまま期限を過ぎてしまうことが起きます。税務署は財産の動きを把握しているため、あとから指摘されます。
| ペナルティ | 税率 | かかる場面 |
|---|---|---|
| 無申告加算税 | 納付税額の15%〜30% | 期限までに申告しなかった場合 |
| 過少申告加算税 | 10%〜15% | 申告した額が少なかった場合 |
| 重加算税 | 35%〜40% | 意図的に隠したと判断された場合 |
| 延滞税 | 年2.8%〜9.1% | 納付が期限に遅れた場合 |
表の見方:薄赤の2つが重い負担です。税務署の指摘を受ける前に自分から申告すれば、無申告加算税は5%まで下がります。
重要ポイント:孫が受け取ったことは把握されています。生命保険金は保険会社から、不動産の名義変更は法務局から税務署に情報が届きます。気づかなかったという説明は通りません。

孫に財産を渡す設計は、選ぶ形によって家族全体の税額が150万円変わる判断です。複数の税理士から見積りを取って、提案の中身を比べてください。
孫への相続は、2割加算・基礎控除・生前贈与加算・遺留分が同時に絡む場面です。どれか1つだけを見て判断すると、全体では損をすることがあります。
【相続税の対応実績がある税理士に相談すべき理由】
たとえば遺産1億円・子2人の家庭で孫に3,000万円を渡す場合、A税理士は遺言だけを提案して家族全体の相続税は816.2万円でした。
B税理士は孫養子にしたうえで遺言を組み合わせる形を提案し、家族全体の相続税は667.8万円に収まっています。同じ3,000万円を渡すのに148.4万円の差です。
比べるべきなのは提案された形の数と、試算の前提です。報酬の安さだけで選ぶと、1つの形しか示されないことがあります。
判定ポイント1:試算した形の数A税理士は遺言による遺贈の1パターン、B税理士は代襲相続・孫養子・遺言・生命保険の4パターンを同じ前提で出しました。→ B税理士のほうが、比べて決められる材料をそろえていると判定できます。
判定ポイント2:生前贈与との関係に触れているか見積りに孫への贈与実績があるかの確認が入っているかを見てください。→ 触れていない事務所は、遺言によって過去の贈与が加算対象に変わることを見落とす可能性があります。
判定ポイント3:遺留分の計算まで出しているか孫への配分が他の相続人の遺留分を侵害しないかを数字で示せるかどうかです。→ 税額だけを示す事務所より、争いを避ける設計まで踏み込む事務所のほうが信頼できます。
自分で決めて進めた場合に起きることです。亡くなってからでは取り返せないものが含まれます。
【相談しないまま進めた場合のリスク】
いずれも生前に確認しておけば避けられたものです。相続が始まってからでは、養子縁組も遺言も作れません。
依頼から契約までは4つの段階で進み、フォームの記入は5分程度で終わります。
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原則としてなれません。民法が定める相続人は配偶者・子・父母・兄弟姉妹で、孫は含まれていないためです。
例外は2つあります。孫の親(被相続人の子)が先に亡くなっている場合の代襲相続と、孫を養子にした場合です。この2つに当てはまるときだけ、孫は相続人として遺産分割協議に参加します。
かかりません。代襲相続人になった孫は、亡くなった子の立場をそのまま引き継ぐためです。孫を養子にしたあとで子が先に亡くなった場合も、代襲相続人としての立場が優先されるので加算されません。
ただし代襲相続人の孫が相続放棄をして生命保険金だけを受け取ると、相続人ではなくなるため2割加算の対象に変わります。
法定相続人が1人増えるため、基礎控除が600万円増えます。ただし数に入れられる養子の人数には上限があり、実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人までです。
遺産1億円・子2人の家庭で孫1人を養子にすると、基礎控除は4,200万円から4,800万円になり、相続税の総額は770万円から630万円へ140万円下がります。孫が3,000万円を受け取る場合の2割加算37.8万円を引いても、102.2万円の得になります。
孫が相続や遺贈で財産を受け取らなければ加算されません。加算の対象は「相続または遺贈により財産を取得した人」に限られるためです。
一方で、孫が遺言で財産を受け取ったり生命保険金を受け取ったりすると、過去の贈与がまとめて相続財産に戻されます。なお加算される期間は相続が起きた日で決まり、令和8年12月31日までに相続が発生した場合は3年以内です。
無申告加算税が納付税額の15%から30%かかり、あわせて延滞税も発生します。意図的に隠したと判断されると重加算税が35%から40%になります。
生命保険金は保険会社から、不動産の名義変更は法務局から税務署に情報が届くため、受け取ったこと自体は把握されています。税務署の指摘を受ける前に自分から申告すれば、無申告加算税は5%まで下がります。
孫への相続は、財産が渡る形を先に決めることから始まります。形によって2割加算の有無・使える控除・基礎控除の額がまとめて変わるためです。
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年8月時点の法令にもとづいて作成しています。相続税法および租税特別措置法の改正により内容が変わる場合があります。最新の制度については国税庁のホームページまたは税理士にご確認ください。