


NISA口座の名義人が亡くなると、その時点で非課税の扱いは終わり、口座内の資産は相続人の課税口座へ移されます。
NISA口座そのものを引き継ぐことはできず、相続人のNISA口座へ移すこともできません。
ここで多いのが、NISAは非課税だから相続税もかからないという誤解です。非課税なのは所得税と住民税で、相続税はまったく別の税金です。
もう一つ見落とされやすいのが、相続人が引き継ぐ取得価額が、被相続人の買値ではなく死亡日の時価に置き換わることです。
この置き換えがあるため、含み益があった場合と含み損だった場合で、その後の手取りが逆方向に動きます。
さらに死亡日から移管が終わるまでの値上がりには税金がかかる一方、その間は口座が凍結されて売ることもできません。
本記事では、非課税が終わる仕組み、相続税評価額の出し方、いつ売ると手取りが変わるかの判断、口座凍結と移管の実務、手続きの流れ、納税資金に充てるときの期限、相続人が複数いるときの分け方までを解説します。
▼ この記事の3行まとめ

NISAは、名義人が生きている間だけ非課税が続く制度です。死亡日をもって非課税の扱いは終わり、口座内の資産は相続人の課税口座へ移されます。
まずは何が引き継げて何が引き継げないのかを整理します。
NISA口座は名義人ごとに開設される口座で、名義変更ができません。したがって口座そのものを相続することはできません。
相続人が引き継げるのは、口座の中にある株式や投資信託といった資産だけです。その資産は相続人の特定口座または一般口座へ移されます。
相続人が自分のNISA口座を持っていても、そこへ移すことはできません。NISAの非課税枠は引き継げない仕組みになっています。
NISAで非課税になるのは、運用で得た利益にかかる所得税と住民税です。相続税はこれとは別の税金で、NISA資産も課税対象に含まれます。
注意:NISAは非課税だから相続税もかからない、という理解は誤りです。他の財産と合算して基礎控除を超えれば、相続税が発生します。
| 法定相続人の数 | 基礎控除 | 財産がこの額を超えると課税 |
|---|---|---|
| 1人 | 3,600万円 | 3,600万円超 |
| 2人 | 4,200万円 | 4,200万円超 |
| 3人 | 4,800万円 | 4,800万円超 |
| 4人 | 5,400万円 | 5,400万円超 |
表の見方:基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。NISA資産だけでこの額を超えることは多くありませんが、預貯金や不動産と合算すると超えるケースは珍しくありません。
相続税がかかるかどうかの判定は、下記の記事で解説しています。

ネット証券は郵送物が届かないため、遺族が口座の存在に気づけないことがあります。生前の共有だけで手続きの負担は大きく変わります。
重要ポイント:口座の存在が分からないまま申告期限を迎えると、後から見つかって修正申告が必要になります。金融機関名を1行書き残しておくだけでも効果があります。
口座が凍結されるのは、金融機関が名義人の死亡を把握した時点です。死亡した瞬間に自動で止まるわけではありません。
役所に死亡届を出しても、金融機関に自動で伝わる仕組みはないためです。遺族が連絡するまで、口座は動く状態のまま残ります。
注意:この間に相続人が勝手に売却すると、単純承認したとみなされて相続放棄ができなくなる恐れがあります。借金の有無が不明なうちは動かさないでください。
逆に、連絡が遅れるほど手続き全体が後ろにずれます。借金の心配がなければ、早めに連絡するのが原則です。
制度の種類によって相続の扱いが変わることはありません。いずれも死亡日で非課税が終わり、課税口座へ移されます。
| 制度 | 口座の相続 | 相続人のNISA口座へ移管 | 死亡日までの含み益 |
|---|---|---|---|
| 新NISA(2024年〜) | できない | できない | 非課税 |
| つみたてNISA(旧) | できない | できない | 非課税 |
| 一般NISA(旧) | できない | できない | 非課税 |
重要ポイント:新NISAで非課税期間が無期限になったため、死亡時までNISAを保有したまま相続が起きるケースは今後さらに増えます。
死亡退職金やiDeCoなど、他の資産の相続税の扱いは下記の記事で解説しています。

参照元:金融庁 NISA特設ウェブサイト

NISA口座の中身は、上場株式と投資信託で評価の方法が違います。上場株式は4つの価格から最も低い額を選べるため、選び方で評価額が変わります。
ここでは両方の計算方法を、具体的な数値で確認します。
上場株式の相続税評価額は、次の4つのうち最も低い価格に株数を掛けて求めます。
| 判定する価格 | 1株あたり |
|---|---|
| 相続開始日の終値 | 1,250円 |
| 相続開始日の当月の終値の月平均額 | 1,280円 |
| 相続開始日の前月の終値の月平均額 | 1,195円 |
| 相続開始日の前々月の終値の月平均額 | 1,230円 |
表の見方:この例で最も低いのは前月の月平均額1,195円です。2,000株なら評価額は239万円になります。
計算ロジック:1,195円×2,000株=239万円。最も高い1,280円で計算すると256万円になるため、選び方だけで評価額が17万円変わります。
終値と月平均額は、証券会社や日本取引所グループのサイトで確認できます。実務では金融機関に問い合わせるのが早い方法です。
| 調べる価格 | 確認先 |
|---|---|
| 相続開始日の終値 | 証券会社の取引履歴・日本取引所グループ |
| 当月・前月・前々月の月平均額 | 証券会社に依頼して算出してもらう |
| 投資信託の基準価額 | 運用会社の月次レポート・証券会社 |
相続開始日が土日祝日で取引がない場合は、最も近い日の終値を使います。前後同じ日数で取引日がある場合は、その平均を取ります。
重要ポイント:月平均額は「その月の毎営業日の終値を平均した額」です。死亡日が月末に近いほど当月平均と終値が近づくため、前月・前々月まで比べる意味が大きくなります。
NISAで買える商品は国内株式だけではありません。商品の種類によって評価の考え方が変わります。
| 商品 | 相続税評価の考え方 |
|---|---|
| 国内上場株式 | 4つの価格のうち最も低い額 |
| ETF・REIT | 上場しているため国内株式と同じ扱い |
| 外国株式 | 4つの価格の考え方は同じ。死亡日の為替レートで円換算 |
| 投資信託(非上場) | 基準価額から源泉徴収税相当額と信託財産留保額を控除 |
計算ロジック:外国株式は現地通貨建ての価格に死亡日の対顧客直物電信買相場(TTB)を掛けて円換算します。為替が動いた月をまたぐ場合、月平均額の換算方法も確認が必要です。
投資信託は、死亡日に解約したと仮定した金額で評価します。基準価額に口数を掛けた額から、3つの項目を差し引きます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 死亡日の基準価額(1万口あたり) | 12,500円 |
| 口数 | 100,000口 |
| 解約したと仮定した金額 | 125,000円 |
| 源泉徴収されるべき所得税等 | △38,000円 |
| 信託財産留保額 | △2,500円 |
| 相続税評価額 | 84,500円 |
重要ポイント:信託財産留保額と解約手数料を差し引ける点は見落とされやすい項目です。基準価額に口数を掛けただけの金額で申告すると、評価額が過大になります。
NISA資産は、相続税申告書の第11表「相続税がかかる財産の明細書」に記載します。有価証券の区分で銘柄ごとに書きます。
| 記載する項目 | 内容 |
|---|---|
| 種類 | 有価証券 |
| 細目 | 特定同族会社以外の株式・投資信託受益証券など |
| 銘柄等 | 銘柄名と証券会社名 |
| 数量 | 株数または口数 |
| 単価 | 採用した1株あたりの価額 |
| 価額 | 相続税評価額 |
NISA口座だからといって別扱いにはなりません。課税口座の有価証券と同じ欄に、区別せず記載します。
実務では、金融機関に相続税申告用の残高証明書を請求します。死亡日時点の評価額が記載されるため、自分で計算する必要はありません。
ただし上場株式については、4つの価格のうちどれで計算されているかを確認してください。死亡日の終値だけが記載されている場合、月平均額のほうが低ければ申告時に選び直せます。
株式の相続税評価額の詳しい調べ方は、下記の記事で解説しています。

相続税そのものの計算手順は、下記の記事で解説しています。


NISAを相続したとき、相続人が引き継ぐ取得価額は被相続人の買値ではありません。死亡日の時価に置き換わるため、含み益と含み損で結果が逆方向に動きます。
ここが他の資産の相続と最も違う点です。数値で確認します。
相続人は、死亡日の時価でその金融商品を新たに買ったものとして扱われます。取得日も相続開始日になります。
これは租税特別措置法第37条の14第14項に定められた扱いです。被相続人がいつ・いくらで買ったかは引き継がれません。
被相続人が50万円で買った資産が、死亡日に100万円になっていたケースで考えます。相続人が120万円で売却した場合です。
| 項目 | NISAを相続した場合 | 通常の口座だった場合 |
|---|---|---|
| 相続人の取得価額 | 100万円(死亡日の時価) | 50万円(被相続人の買値) |
| 売却額 | 120万円 | 120万円 |
| 課税対象の利益 | 20万円 | 70万円 |
| 税額(20.315%) | 40,630円 | 142,205円 |
表の見方:NISAで相続すると税負担が101,575円軽くなります。死亡日までの含み益50万円が非課税のまま守られるためです。
逆に含み損だった場合は、同じ仕組みが不利に働きます。100万円で買った資産が死亡日に70万円まで下がっていたケースです。
相続人がその後100万円まで値を戻して売却しても、取得価額は70万円のままです。
| 項目 | NISAを相続した場合 | 通常の口座だった場合 |
|---|---|---|
| 相続人の取得価額 | 70万円(死亡日の時価) | 100万円(被相続人の買値) |
| 売却額 | 100万円 | 100万円 |
| 課税対象の利益 | 30万円 | 0円 |
| 税額(20.315%) | 60,945円 | 0円 |
注意:元の買値に戻しただけなのに60,945円が課税されます。NISAは損益通算も繰越控除もできないため、被相続人が抱えていた30万円の損失は完全に切り捨てられます。
計算ロジック:NISA口座で生じた損失は税務上なかったものとして扱われます。他の口座の利益と相殺することも、翌年以降へ繰り越すこともできません。
もう一つ見落とされやすいのが、死亡日から移管が終わるまでの値動きです。この期間の値上がりは相続人の利益として課税されます。
| 時点 | 時価 | 扱い |
|---|---|---|
| 死亡日 | 100万円 | 相続税の評価額であり、相続人の取得価額 |
| 移管日 | 110万円 | 課税口座へ移る |
| 差額 | 10万円 | 20,315円が課税される |
重要ポイント:この10万円は相続税でも課税され、売却時に所得税・住民税でも課税されます。手続きが長引くほど、この二重の負担が発生する余地が大きくなります。
売らずに持ち続ける判断をした場合、その後の値上がりはすべて課税対象になります。NISAで運用していた頃とは条件が変わります。
死亡日の時価100万円の資産が、10年後に200万円になったケースで比べます。
| 状況 | 取得価額 | 売却額 | 課税対象 | 税額 |
|---|---|---|---|---|
| 相続後に保有継続 | 100万円 | 200万円 | 100万円 | 203,150円 |
| 被相続人がNISAで保有し続けていた | - | 200万円 | 0円 | 0円 |
同じ値上がりでも、相続をまたぐと20万円以上の差が出ます。NISAの非課税は名義人の死亡で終わるためです。
重要ポイント:保有を続けること自体が不利なわけではありません。ただし相続後は通常の課税口座での運用になると理解したうえで、自分のNISA枠で買い直すかどうかを検討してください。
複数の銘柄を保有していた場合、銘柄ごとに取得価額がリセットされます。含み益の銘柄と含み損の銘柄が混在していても、相殺はできません。
含み損の銘柄で生じた損失は、含み益の銘柄の利益と通算できません。NISAの損失は税務上ないものとして扱われるためです。
| 銘柄 | 被相続人の取得価額 | 死亡日の時価 | 相続人の取得価額 | 損益の扱い |
|---|---|---|---|---|
| A株 | 50万円 | 100万円 | 100万円 | 50万円の含み益は非課税 |
| B株 | 100万円 | 70万円 | 70万円 | 30万円の含み損は切り捨て |
| 合計 | 150万円 | 170万円 | 170万円 | 相殺はできない |
重要ポイント:移管後は通常の課税口座になるため、移管された後に生じた損益であれば通算できます。切り捨てられるのは死亡日までに生じていた損失だけです。
死亡日の時価に相続税がかかり、その後の値上がりに所得税・住民税がかかります。同じ資産に二度課税されているように見えますが、対象が違います。
| 税金 | 課税される対象 | 基準になる価格 |
|---|---|---|
| 相続税 | 死亡日時点の財産の価値 | 死亡日の評価額 |
| 所得税・住民税 | 死亡日から売却日までの値上がり分 | 売却額-死亡日の時価 |
取得価額が死亡日にリセットされるのは、この二重課税を避けるための仕組みです。被相続人の買値を引き継ぐ通常の相続とは、この点が根本的に違います。
計算ロジック:通常の株式を相続した場合は取得価額を引き継ぐため、被相続人の含み益にも相続人の売却時に課税されます。NISAはその部分が非課税のまま守られます。
ここまでの結果を、自分のケースに当てはめられる形に整理します。
| 死亡日時点の状態 | 納税資金が必要か | 保有を続けたいか | 判断 |
|---|---|---|---|
| 含み益 | 必要 | - | 移管後すみやかに売却する |
| 含み益 | 不要 | 続けたい | 保有を続けてよい |
| 含み益 | 不要 | 続けない | 早めに売却する |
| 含み損 | 必要 | - | 売却はやむを得ない |
| 含み損 | 不要 | 続けたい | 保有を続ける |
| 含み損 | 不要 | 続けない | 売却時期は自由 |
表の見方:含み益なら値上がり分に課税されるため先延ばしの利益は小さく、早く売るほど有利です。含み損なら損失が使えない点は変わらないため、急いで売る理由はありません。
重要ポイント:保有を続ける判断をする場合も、取得価額が死亡日にリセットされている点は忘れないでください。値上がりした分はすべて課税対象になります。
株式を相続したときの税金全体は、下記の記事で解説しています。

参照元:国税庁 No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除

金融機関が名義人の死亡を把握すると、口座は凍結されます。凍結中は売却も配当の受け取りもできず、値下がりのリスクだけを負う状態になります。
この期間をどう短くするかが、手取りを左右します。
凍結されると、株価が有利な水準にあっても相続人の判断で売ることができません。移管が完了するまで待つことになります。
注意:凍結期間中に大きく値下がりしても、相続税の評価額は死亡日の時価のままです。下がった後の価格で相続税が計算されるわけではありません。
配当金や分配金も、凍結中は証券会社側で留保されます。相続手続きが完了してから受け取る流れです。
手続きにかかる期間は金融機関によって異なりますが、書類がそろってから移管完了までの目安は次のとおりです。
| 段階 | 期間の目安 |
|---|---|
| 死亡連絡から書類一式の到着 | 1週間程度 |
| 戸籍謄本など必要書類の収集 | 2週間〜1ヶ月 |
| 書類提出から移管完了 | 2〜3週間 |
| 合計の目安 | 1〜2ヶ月 |
重要ポイント:相続人が複数いて遺産分割協議に時間がかかると、この期間はさらに延びます。誰が引き継ぐかを早く決めることが、凍結期間を短くする最も効く手段です。
凍結期間中も株式は保有し続けているため、権利確定日を迎えれば配当は発生します。ただしすぐには受け取れません。
| 権利確定日 | 配当の扱い | 課税関係 |
|---|---|---|
| 死亡日より前 | 未収配当金として相続財産に含める | 相続税の対象 |
| 死亡日より後 | 相続人の配当所得になる | 20.315%が源泉徴収される |
死亡日を挟んで扱いが変わるため、残高証明書で未収配当金の有無を確認してください。申告漏れになりやすい項目です。
重要ポイント:凍結中に発生した配当金は証券会社に留保され、移管完了後にまとめて相続人へ支払われます。受け取りが遅れるだけで、権利が消えるわけではありません。
値動きのリスクを避けたいなら、生前に現金化しておく選択肢もあります。ただし相続税の観点では有利とは限りません。
| 生前の状態 | 相続税評価 | 相続後の手続き |
|---|---|---|
| NISAで保有したまま | 死亡日の時価 | 移管が必要・凍結期間あり |
| 売却して現金にしておく | 預金残高 | 凍結はあるが移管は不要 |
| 売却して他の資産に換えた | 換えた資産の評価額 | 資産の種類による |
売却しても相続税評価額が下がるわけではありません。NISAの非課税で守られていた含み益を、生前に確定させるだけです。
重要ポイント:生前に売れば譲渡益は非課税のままです。つまり含み益が大きいほど、生前売却の税務上の利点は大きくなります。ただし値上がりの機会を手放すことにもなります。
凍結期間中の値動きは、相続人が負担します。相続税は死亡日の評価額で計算されるため、その後値下がりしても相続税は減りません。
逆に値上がりした場合は、死亡日との差額に所得税・住民税がかかります。値動きのどちらに転んでも、相続人にとって有利にはなりにくい構造です。
相続税評価額が高いまま値下がりが続くと、納税額に対して手元の資産価値が足りなくなることもあります。

NISAの相続手続きは、証券会社への連絡から移管完了まで5つの段階に分かれます。最初にやるべきは残高証明書の請求です。
ここでは各段階でやることと、必要な書類を整理します。
証券会社に死亡を連絡する
口座のある金融機関に連絡し、相続手続きの書類一式を取り寄せます。この時点で口座は凍結されます。
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残高証明書を請求する
死亡日時点の残高と評価額を証明する書類を請求します。相続税申告用と伝えてください。
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誰が引き継ぐかを決める
遺言書がなければ遺産分割協議で決め、遺産分割協議書に残します。銘柄ごとに分けるか、売却してから分けるかもここで決めます。
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受け皿となる口座を開設する
被相続人と同じ金融機関に、相続人名義の口座を作る必要があります。すでに持っていればその口座を使えます。
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書類を提出し移管を受ける
必要書類を提出すると、2〜3週間で相続人の課税口座へ資産が移されます。ここで凍結が解けます。
金融機関ごとに細かな違いはありますが、共通して求められるのは次の書類です。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 非課税口座開設者死亡届出書 | NISA口座の名義人が亡くなったことを届け出る書類 |
| 相続上場株式等移管依頼書 | 相続人の口座へ移す手続きの依頼書 |
| 被相続人の戸籍謄本 | 出生から死亡までの連続したもの |
| 相続人全員の戸籍謄本 | 相続関係を確認するため |
| 相続人の印鑑証明書 | 発行から6ヶ月以内のもの |
| 遺産分割協議書または遺言書 | 相続人が複数の場合 |
重要ポイント:非課税口座開設者死亡届出書は「遅滞なく」提出することが求められています。明確な期限はありませんが、放置すると凍結期間が延びるだけです。
残高証明書は相続税申告の根拠資料になります。届いたら次の項目を確認してください。
注意:残高証明書の評価額が死亡日の終値だけで計算されている場合があります。月平均額のほうが低ければ、申告時に低いほうを採用できます。
証券会社によっては、相続税申告用と伝えないと死亡日基準で作成されません。請求時に用途を明確に伝えてください。
相続人の状況によっては、通常の書類だけでは手続きが進みません。早めに確認しておく必要があります。
【相続人が海外に居住している】
印鑑証明書が取得できないため、在外公館で発行する署名証明とサイン証明で代用します。取得に時間がかかるため、早めに動いてください。
【相続人に未成年者がいる】
親権者が代理しますが、親権者自身も相続人の場合は利益が相反します。家庭裁判所で特別代理人の選任が必要です。
【相続人に認知症の方がいる】
遺産分割協議に参加できないため、成年後見人の選任が必要になります。選任まで数ヶ月かかることもあります。
重要ポイント:いずれのケースも相続税の申告期限10ヶ月に間に合わなくなる原因になります。該当する相続人がいる場合は、証券会社への連絡と並行して準備を始めてください。
ネット証券は郵送物が届かないため、遺族が口座の存在に気づかないことがあります。次の順で確認してください。
重要ポイント:証券保管振替機構への開示請求を使えば、どの証券会社に口座があるかを一括で確認できます。心当たりがない場合の最終手段になります。
相続発生後にやること全体の流れは、下記の記事で解説しています。

相続税申告そのものの流れは、下記の記事で解説しています。


移管先は自由に選べません。被相続人と同じ金融機関の、相続人名義の課税口座に限られます。
この制約を知らないと、手続きの途中で口座を作り直すことになります。
相続人が自分のNISA口座を持っていても、そこへ移すことはできません。移管先は特定口座か一般口座のどちらかです。
NISAの非課税枠は、あくまで名義人本人が自分の資金で買った商品に対して使えるものです。相続で引き継いだ資産を非課税枠に入れることはできません。
普段使っている証券会社が別にあっても、そちらへ直接移すことはできません。被相続人が口座を持っていた金融機関に、新しく口座を開設します。
| 相続人の状況 | 必要な対応 |
|---|---|
| 同じ金融機関に口座がある | その口座で受け取れる |
| 同じ金融機関に口座がない | 新規に開設してから移管 |
| 別の証券会社を使いたい | 移管を受けた後に自分で移す |
| 投資を続けるつもりがない | 移管を受けてから売却する |
重要ポイント:投資を続けるつもりがなくても、いったん移管を受けなければ売却できません。口座開設を省略することはできない仕組みです。
被相続人がNISAと課税口座の両方で運用していた場合、手続きは同じ証券会社の中で並行して進みます。ただし税務上の扱いは分かれます。
| 項目 | NISA口座の資産 | 課税口座の資産 |
|---|---|---|
| 相続税評価額 | 死亡日の時価 | 死亡日の時価 |
| 相続人の取得価額 | 死亡日の時価 | 被相続人の取得価額を引き継ぐ |
| 死亡日までの含み益 | 非課税 | 売却時に課税される |
| 死亡日までの含み損 | 切り捨て | 売却時に損益通算できる |
表の見方:相続税の評価は同じですが、売却したときの税金がまったく違います。どちらの口座にあった資産かで、売る順番の判断も変わります。
重要ポイント:残高証明書ではNISA口座と課税口座が分けて記載されます。どちらの資産かを取り違えると、売却時の税額を誤ります。
移管先は特定口座と一般口座から選べます。売却時の申告の手間が変わるため、原則として特定口座を選びます。
【特定口座(源泉徴収あり)】
売却時に証券会社が税金を計算して源泉徴収します。確定申告が不要になるため、手間が最も少なくなります。
【特定口座(源泉徴収なし)】
年間取引報告書が作られるため計算は不要ですが、確定申告は自分で行います。
【一般口座】
取得価額の管理も損益計算もすべて自分で行います。特別な理由がなければ選ぶ必要はありません。
注意:同一銘柄を特定口座と一般口座に分けて移管することはできません。1銘柄はどちらか一方にまとめる必要があります。
相続に伴う移管手続き自体は、多くの証券会社で無料です。ただし付随する費用は発生します。
| 費用 | 目安 |
|---|---|
| 相続の移管手続き | 無料の証券会社が多い |
| 残高証明書の発行 | 1通あたり数百円〜1,000円程度 |
| 戸籍謄本などの取得 | 1通あたり数百円 |
| 移管後に他社へ移す場合 | 有料の場合がある |
費用よりも、手続きにかかる時間のほうが実質的な負担になります。書類の収集を早く始めることが結果的にコストを下げます。
移管を受けた後であれば、自分が使いたい証券会社へ移すことができます。これを移管手続きといい、通常の口座間の移動と同じ扱いです。
| やりたいこと | 可否 | 注意点 |
|---|---|---|
| 移管後に他社へ移す | できる | 移管手数料がかかる場合がある |
| 移管後にすぐ売却する | できる | 売却益に20.315%が課税される |
| 相続時に直接他社へ移す | できない | 被相続人と同じ金融機関を経由する |
| 移管せずに売却する | できない | 必ず相続人の口座へ移してから |
他社へ移す場合も取得価額は引き継がれます。死亡日の時価が取得価額であることは変わりません。
注意:一般口座で受け取った資産を他社の特定口座へ移すことは、原則としてできません。最初の移管先で特定口座を選んでおくほうが、後の手間が少なくなります。
相続した資産を自分のNISAで運用したい場合は、いったん課税口座で受け取ってから売却し、あらためて自分のNISA口座で買い直します。
この場合、売却時に値上がりしていれば課税されます。買い直しには自分の年間投資枠を使うため、枠に余裕があるかも確認してください。

相続したNISA資産を売って相続税を払う場合、意識すべき期限は2つあります。申告と納付の10ヶ月と、取得費加算が使える3年10ヶ月です。
どちらを軸に動くかで、売却の時期と手取りが変わります。
相続税の申告と納付は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。売却して納税に充てるなら、この期限から逆算します。
証券会社への連絡と残高証明書の取得
ここが遅れるとすべてが後ろにずれます。凍結期間も長くなります。
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遺産分割協議と移管の完了
誰が引き継ぐかを決めて移管を終えます。ここまで終えないと売却できません。
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売却して納税資金を確保する
相場を見ながら売却します。納付は現金一括が原則のため、余裕を持って動きます。
⬇
相続税の申告と納付
期限を過ぎると延滞税と無申告加算税がかかります。
相続税を納めた資産を売却する場合、納めた相続税の一部を取得費に加算できます。売却益が圧縮され、所得税・住民税が軽くなります。
使える期限は相続税の申告期限の翌日から3年以内、つまり相続開始から3年10ヶ月以内です。
| 項目 | 特例なし | 取得費加算あり |
|---|---|---|
| 売却額 | 2,200万円 | 2,200万円 |
| 取得価額(死亡日の時価) | 2,000万円 | 2,000万円 |
| 取得費に加算できる相続税額 | 0円 | 1,175,000円 |
| 譲渡益 | 200万円 | 825,000円 |
| 税額(20.315%) | 406,300円 | 167,599円 |
表の見方:この例では税額が238,701円軽くなります。相続税を納めた人が、その財産を売る場合にだけ使える特例です。
計算ロジック:前提は相続財産8,000万円・相続人は子2人・うちNISA資産2,000万円です。相続税の総額470万円のうち、売却する財産に対応する部分を取得費に加算します。
取得費加算の計算方法と使い方は、下記の記事で解説しています。

参照元:国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
移管後に値下がりして売却損が出た場合は、通常の課税口座と同じ扱いになります。NISAだった頃の制限は引き継ぎません。
他の口座の利益と損益通算でき、翌年以降3年間の繰越控除も使えます。切り捨てられるのは死亡日までに生じていた損失だけです。
| 損失が生じた時期 | 損益通算 | 繰越控除 |
|---|---|---|
| 死亡日まで(NISA口座内) | できない | できない |
| 死亡日〜移管日 | できない | できない |
| 移管後(課税口座内) | できる | できる(3年間) |
重要ポイント:移管後の損失を通算するには確定申告が必要です。特定口座(源泉徴収あり)でも、他社の口座と通算する場合は申告してください。
売却しても相続税を払いきれない場合、延納や物納という制度があります。ただし条件は厳しく、まずは売却で対応するのが原則です。
| 方法 | 内容 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 売却して納付 | 相続した資産を現金化する | 最も一般的 |
| 延納 | 年賦で分割して納める | 一括では払えないが分割なら可能 |
| 物納 | 財産そのもので納める | 延納でも難しい場合の最終手段 |
上場株式や投資信託は換金しやすいため、物納が認められる可能性は低いと考えてください。売却して納めるのが基本です。
取得費加算は、相続税を納めた人だけが使える特例です。基礎控除の範囲内で相続税がかからなかった場合は使えません。
その場合は、売却益に対して通常どおり20.315%が課税されます。急いで売る税務上の理由はなくなるため、相場を見て判断できます。
相続税の納付は現金一括が原則で、期限は申告と同じ10ヶ月です。売却代金が入金されるまでの日数も見込んで動いてください。

NISA資産を複数の相続人で分ける方法は3つあります。どれを選ぶかで、税金だけでなく公平さも変わります。
ここでは選択肢の違いと、決めるときの注意点を整理します。
分け方は現物分割・換価分割・代償分割の3つです。NISA資産の場合、銘柄ごとに分けるか、売却して現金で分けるかが実務上の分かれ目になります。
| 分け方 | やり方 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 現物分割 | 銘柄ごとに相続人へ割り当てる | 投資を続けたい相続人がいる |
| 換価分割 | 売却して現金を分ける | 全員が現金化を望む・納税資金が要る |
| 代償分割 | 1人が引き継ぎ他へ現金を渡す | 特定の銘柄を残したい事情がある |
重要ポイント:換価分割を選ぶ場合も、いったん相続人の口座へ移管してからでないと売却できません。売却益は移管を受けた相続人の所得として課税されます。
換価分割の税務処理は、下記の記事で解説しています。

現物分割で銘柄ごとに割り当てると、分割協議の時点では同額でも、移管が終わる頃には価値がずれます。
値動きの大きい銘柄を引き継いだ相続人と、安定した銘柄を引き継いだ相続人で差が出ます。相続税の評価額は死亡日で固定される一方、実際に受け取る価値は移管日の時価だからです。
注意:相続税は死亡日の評価額で計算されるため、値下がりした銘柄を引き継いだ相続人は、実際の価値より高い評価で課税されます。分割協議で調整しておく必要があります。
遺言で「証券口座内の資産は長男に相続させる」と指定されていれば、その内容に従います。遺産分割協議は不要です。
ただし遺言の書き方によっては、対象が特定できないことがあります。金融機関名や口座番号まで書かれていないと、手続きで確認を求められます。
| 遺言の記載 | 手続きの進めやすさ |
|---|---|
| 金融機関名と口座番号まで特定 | そのまま手続きできる |
| 「有価証券はすべて長男へ」 | 対象の範囲を確認される場合がある |
| 「その他の財産は長男へ」 | 他の条項との関係で解釈が必要 |
| NISAへの言及がない | 遺産分割協議で決める |
重要ポイント:遺言があっても、相続人全員が合意すれば異なる分け方もできます。税負担の面で不利であれば、遺言と異なる分割を検討する余地があります。
1人が全部を引き継ぎ、他の相続人へ現金を渡す方法です。銘柄を分けたくない場合に使えますが、渡す側に現金が必要になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 引き継ぐ人 | NISA資産をすべて自分の口座へ移管する |
| 他の相続人 | 代償金を現金で受け取る |
| 代償金の額 | 死亡日の評価額を基準に決めるのが一般的 |
| 相続税の計算 | 代償金の授受を反映して各人の課税価格を調整する |
注意:代償金を死亡日の評価額で決めた後に株価が下がると、引き継いだ人が損をします。値動きの大きい銘柄では、評価の基準日を協議書に明記しておいてください。
代償金を分割で払う取り決めにすると、贈与とみなされないよう遺産分割協議書に明記する必要があります。
売却できません。移管を受けるには誰が引き継ぐかを確定させる必要があるためです。
協議が長引くと凍結期間が延び、値動きのリスクを負い続けることになります。NISA資産については、他の財産より先に分け方を決めておくのが現実的です。
遺産分割と相続税申告の関係は、下記の記事で解説しています。


NISAの相続では、相続税以外にも申告が必要になることがあります。見落とされやすいのが準確定申告と、相続後に受け取る配当金の扱いです。
期限が相続税より短いものもあるため、早い段階で確認してください。
死亡日の翌日以降に受け取る配当金や分配金は、非課税ではありません。20.315%が源泉徴収されます。
凍結期間中に権利確定日を迎えた配当金は証券会社に留保され、移管後に相続人が受け取ります。その配当金は相続人の所得として課税されます。
重要ポイント:死亡日より前に権利が確定していた未受領の配当金は、相続財産に含まれます。死亡日を挟んで扱いが分かれるため、残高証明書で確認してください。
被相続人に一定の所得があった場合、相続人が代わりに確定申告をします。これを準確定申告といい、期限は相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内です。
| 被相続人の状況 | 準確定申告 |
|---|---|
| 給与収入が2,000万円を超えていた | 必要 |
| 副業や不動産の所得が20万円を超えていた | 必要 |
| 公的年金の受給額が400万円を超えていた | 必要 |
| NISAの利益しかなかった | 不要(非課税のため) |
| 特定口座(源泉徴収あり)の利益だけだった | 不要 |
重要ポイント:NISAの利益は非課税なので、それだけでは準確定申告は不要です。ただし課税口座を併用していた場合は対象になることがあります。
準確定申告と相続税申告の違いは、下記の記事で解説しています。

参照元:国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
準確定申告の結果、被相続人が納めすぎていた所得税が戻ることがあります。医療費控除や源泉徴収された税金の精算によるものです。
この還付金を受け取る権利は相続財産に含まれます。受け取った金額を相続税の課税価格に加える必要があります。
| 項目 | 相続税の扱い |
|---|---|
| 準確定申告による所得税の還付金 | 相続財産に含める |
| 還付金に付く還付加算金 | 相続人の雑所得になる |
| 被相続人が納めるべきだった所得税 | 債務控除の対象になる |
重要ポイント:還付金は現金として振り込まれるため見落とされがちですが、申告漏れを指摘されやすい項目です。準確定申告をした場合は、その結果を相続税申告にも反映してください。
逆に被相続人が納めるべきだった所得税や住民税が残っていれば、債務控除として相続財産から差し引けます。
相続放棄をすると、はじめから相続人でなかったものとして扱われます。NISA資産も含めて一切を引き継ぎません。
放棄の期限は相続の開始を知った日から3か月以内です。借金のほうが多い場合に選ぶ手続きで、資産だけを選んで放棄することはできません。
注意:相続放棄を検討している間にNISA資産を売却したり移管を受けたりすると、単純承認したとみなされて放棄できなくなります。負債の有無が確定するまでは手続きを進めないでください。
放棄した場合、そのNISA資産は次順位の相続人へ移ります。誰も引き継がなければ相続財産清算人の手続きになります。
次順位の相続人が引き継ぐ場合も、取得価額は死亡日の時価のままです。放棄によって評価の基準日が動くことはありません。
また相続放棄をしても、生命保険金のように受取人固有の財産は受け取れます。ただしNISA資産は被相続人の財産そのものなので、この扱いは受けられません。
相続には性質の違う期限が3つあります。NISAの手続きを進めながら、これらも並行して管理します。
相続放棄・限定承認
借金のほうが多い場合の判断期限です。この期限を過ぎると原則として単純承認になります。
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準確定申告
被相続人の所得税を相続人が申告します。相続税より先に来る期限です。
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相続税の申告と納付
NISA資産を売って納税に充てるなら、この期限から逆算して動きます。
死亡後にかかる税金の全体像は、下記の記事で解説しています。

参照元:国税庁 No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)

NISAの相続は、相続税の評価と売却時の所得税・住民税が絡み合います。どちらか一方だけを見て判断すると、手取りで数十万円の差が出ます。
ここでは相談先の選び方と手順を整理します。
税理士の主な業務は法人の顧問や所得税の申告で、相続税の申告は税理士1人あたり年に1〜2件という水準です。相続税と譲渡所得の両方を見渡せるかどうかで、提案の質が変わります。
【相続税の対応実績がある税理士に依頼すべき理由】
上場株式の評価では、4つの価格のどれを選ぶかだけで2,000株のケースでも17万円の差が出ます。取得費加算まで含めれば、差はさらに広がります。
複数の税理士から見積りを取ると、提案の中身で実務力を判定できます。確認すべきは次の3点です。
判定ポイント1:上場株式の評価で4つの価格を比較しているか。死亡日の終値だけで計算している見積りは、評価額を下げる余地を検討していません。
判定ポイント2:売却時の所得税・住民税まで含めた提案があるか。相続税の申告だけを見る事務所と、譲渡所得まで見る事務所では手取りが変わります。→ 両方を見る事務所のほうが、実務経験が豊富と判定できます。
判定ポイント3:取得費加算の特例に触れているか。3年10ヶ月という期限があるため、初回の提案で言及があるかどうかが分かれ目です。→ 期限を示せる事務所のほうが、売却まで見据えていると判定できます。
NISAの相続を自分だけで進めると、後から取り返せない失敗につながることがあります。
相談しないまま進めた場合に起きること
これらはいずれも、複数の税理士から見積りを取って比較すれば避けられた失敗です。
複数の税理士を比較する手順は4段階です。相続開始から7か月以内に依頼先を決めれば、売却と納税に必要な時間を確保できます。
相続の概要を整理する
被相続人の資産内容と概算額、相続人の構成と年齢、遺言の有無を整理します。証券口座は金融機関名と銘柄を確認しておきます。
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一括見積り・相談サービスに依頼する
相続税申告・相続税の節税など希望内容を明記し、目安3〜5社へ同時に打診します。所有する不動産があれば所在地と広さも記載してください。
財産の種類と相続人の人数をできるだけ正確に伝えると、見積りの精度が上がります。フォームの記入は5分程度です。
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見積りと初回相談を受ける
各事務所から提案内容・試算相続税額・報酬額が届きます。売却時の税金まで含めた提案があるかを確認します。
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税理士を選定・正式依頼する
提案内容の質、説明の丁寧さ、報酬の納得性で選びます。相続開始から7か月以内の決定を目安にしてください。
できません。NISA口座は名義人ごとに開設される口座で、名義変更ができないためです。
相続人が引き継げるのは口座の中にある株式や投資信託といった資産だけで、それらは相続人の特定口座または一般口座へ移されます。相続人が自分のNISA口座を持っていても、そこへ移すことはできません。
含み益があった場合は早めの売却が有利です。死亡日から売却日までの値上がりには所得税・住民税がかかるためです。含み損だった場合は損失が切り捨てられる点は変わらないため、急いで売る税務上の理由はありません。納税資金が必要かどうかも合わせて判断してください。
取り戻せません。NISA口座で生じた損失は税務上なかったものとして扱われ、他の口座の利益と相殺することも翌年以降へ繰り越すこともできません。
さらに取得価額が死亡日の時価に下がるため、元の買値まで値を戻して売却しただけで課税されます。本記事の例では60,945円の税負担が生じます。
被相続人が口座を持っていた金融機関に、相続人名義の口座を新しく開設する必要があります。別の証券会社へ直接移すことはできません。
移管を受けた後であれば、自分で他社へ移すことも売却することも可能です。投資を続けるつもりがない場合でも、口座開設を省略することはできません。
NISA資産だけで基礎控除を超えることは多くありません。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、相続人が2人なら4,200万円です。
ただし預貯金や不動産と合算して超えれば相続税がかかります。NISAの非課税は所得税・住民税の話であり、相続税の対象から外れるわけではありません。
NISAの相続は、制度を知るだけでは足りません。この記事で扱った内容を整理すると次のとおりです。
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年8月時点の法令・通達に基づいて作成しています。税制改正により内容が変わる場合があります。最新の制度については国税庁のウェブサイトを確認するか、相続税の対応実績がある税理士にご相談ください。