


贈与税の時効は原則6年で、贈与を隠していた場合は7年です。数え始めるのは、贈与を受けた年の翌年3月16日からです。
この期間が過ぎると、税務署は贈与税を課税できなくなります。根拠は相続税法37条と国税通則法70条です。
ただ、親から受け取ったお金を申告しないまま何年もたち、「もう時効だろうか」と調べている方は少なくありません。
実際には、年数を数え間違えていたり、そもそも贈与が成立していなかったりして、時効にならないケースが多くあります。
さらに、贈与した親が亡くなると、時効とは別の仕組みで相続税の計算に足し戻されることがあります。
令和6事務年度に国税庁が行った贈与税の実地調査では、申告漏れなどが見つかった事案の8割以上が無申告でした。
本記事では、贈与を受けた年別の時効の成立日、時効が成立しないケース、相続が起きたときの扱い、今申告する場合と待つ場合の負担の違い、申告漏れに気づいたときの手順を解説します。
▼ この記事の3行まとめ

贈与税の時効は、申告期限の翌日から6年、贈与を隠していた場合は7年です。贈与を受けた日からではなく、翌年3月15日の申告期限から数えるので、実際は贈与から7年近く課税される期間が続きます。
この章では、6年と7年の分かれ目、数え始めの日、贈与を受けた年ごとの成立日、時効が成立したときに何が起きるかを示します。
贈与税の時効は、相続税法37条が定めています。相続税(5年)より1年長い6年が原則で、「偽りその他不正の行為」があった場合は7年に延びます。
| 状況 | 時効 | 具体例 |
|---|---|---|
| 申告が必要だと知らなかった・忘れていた | 6年 | 110万円を超えると申告が必要だと知らなかった |
| 申告したが金額が少なかった | 6年 | 受け取った額の一部だけを申告した |
| 贈与を隠すための行動をとった | 7年 | 現金を手渡しにして記録を残さないようにした、他人名義の口座に移した |
表の見方:単に申告しなかっただけなら6年です。7年になるのは、税務署に見つからないよう意図して隠したと判断された場合に限られます。
重要ポイント:7年になる場合は、ペナルティも最も重い重加算税(40%)がかかります。時効が延びるだけでなく、見つかったときの負担も大きく変わります。
贈与税は、1月1日から12月31日までに受けた贈与を、翌年2月1日から3月15日までに申告する決まりです。時効はこの申告期限の翌日、つまり3月16日から数え始めます。
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申告期限の3月15日が土曜日・日曜日に当たる年は、期限が翌月曜日にずれ、数え始めの日と時効の成立日も同じだけ後ろにずれます。
贈与を受けた年ごとに、時効の成立日を一覧にしました。2020年以後に受けた贈与は、2026年10月時点でまだ6年がたっていません。
| 贈与を受けた年 | 申告期限 | 6年の成立日 | 7年の成立日 | 2026年10月1日時点 |
|---|---|---|---|---|
| 2017年 | 2018年3月15日 | 2024年3月15日 | 2025年3月15日 | どちらも経過 |
| 2018年 | 2019年3月15日 | 2025年3月15日 | 2026年3月15日 | どちらも経過 |
| 2019年 | 2020年3月16日 | 2026年3月16日 | 2027年3月16日 | 6年は経過・7年は未経過 |
| 2020年 | 2021年3月15日 | 2027年3月15日 | 2028年3月15日 | 未経過 |
| 2021年 | 2022年3月15日 | 2028年3月15日 | 2029年3月15日 | 未経過 |
| 2022年 | 2023年3月15日 | 2029年3月15日 | 2030年3月15日 | 未経過 |
| 2023年 | 2024年3月15日 | 2030年3月15日 | 2031年3月15日 | 未経過 |
| 2024年 | 2025年3月17日 | 2031年3月17日 | 2032年3月17日 | 未経過 |
| 2025年 | 2026年3月16日 | 2032年3月16日 | 2033年3月16日 | 未経過 |
表の見方:自分が贈与を受けた年の行を見ます。「6年の成立日」を過ぎていれば、隠していない限り税務署は贈与税を課税できません。
重要ポイント:2019年・2024年・2025年は申告期限の3月15日が週末に当たるため、成立日が1〜2日後ろにずれています。年ごとに曜日を確認しないと、数日の差で判断を誤ります。
計算ロジック:申告期限は贈与を受けた年の翌年3月15日(土日なら翌月曜日)で、その翌日から数えて6年(7年)を経過する日が成立日です。例:2021年の贈与→期限2022年3月15日→6年後の2028年3月15日。
時効が成立すると、税務署はその年の贈与について、贈与税の税額を決めることができなくなります。あとから贈与が見つかっても、贈与税・加算税・延滞税のどれも課されません。
ただし、時効で消えるのは「その年の贈与税」だけです。贈与した人が亡くなったときの相続税の計算や、そもそも贈与と認められない預金の扱いは、時効とは別に判断されます。この2つは後の章で取り上げます。
なお、時効が成立したことを税務署が通知してくれるわけではありません。成立しているかは、贈与を受けた日と、隠したと見られる事情がないかで、自分で確かめることになります。

税金の「時効」には2種類あります。税額を決める期間と、決まった税を取り立てる期間で、止まるかどうかの扱いが違います。ここを混同して「督促されたら時効がリセットされる」と書いている解説もあるので、整理しておきます。
贈与税の6年・7年は、税務署が税額を決める(更正・決定する)ことができる期間です。法律上は「除斥期間」と呼ばれ、途中で止まったり、数え直しになったりすることはありません。
| 課税できる期間 | 取り立てる期間 | |
|---|---|---|
| 何の期間か | 税務署が贈与税の額を決められる期間 | 決まった贈与税を納めさせられる期間 |
| 長さ | 6年(隠していれば7年) | 5年 |
| 数え始め | 申告期限の翌日 | 納期限の翌日 |
| 途中で止まるか | 止まらない | 督促などで数え直しになる |
| 根拠 | 相続税法37条・国税通則法70条 | 国税通則法72条・73条 |
表の見方:申告していない贈与で問題になるのは左の列です。6年たてば、途中で税務署から連絡があったかどうかに関係なく、税額を決めることはできません。
重要ポイント:逆に言えば、税務署は6年の期限の直前に税額を決めれば間に合います。期限が近いからといって見逃されるわけではありません。
督促状が届くと時効が数え直しになるのは、すでに税額が決まった贈与税を納めていない場合の話です。申告していない贈与にそのまま当てはまるわけではありません。
取り立てる期間が問題になる流れ
つまり、税額が決まったあとに放置しても、督促が来るたびに期限が延びるので、取り立てを逃れることはできません。申告していない贈与で最初に問題になるのは、①の前の「課税できる6年」のほうです。
相続税の時効は原則5年で、贈与税より1年短いです。不正があった場合はどちらも7年でそろいます。
| 贈与税 | 相続税 | |
|---|---|---|
| 原則 | 6年 | 5年 |
| 不正があった場合 | 7年 | 7年 |
| 申告期限 | 贈与を受けた年の翌年3月15日 | 亡くなったことを知った日の翌日から10か月 |
重要ポイント:贈与税だけ1年長いのは、贈与が家族の間で行われ、税務署から見えにくいためと説明されています。相続税の補完として、見つけるための期間を長くとっているわけです。
相続税の時効と、税務調査が何年前までさかのぼるかは、下記の記事で解説しています。


6年がたっていても、時効が成立していないケースがあります。多いのは、そもそも贈与が成立していないか、贈与の時期が思っていた年とずれている場合です。どちらも、時効の数え始めそのものが変わります。
贈与は、あげる人とももらう人の両方が合意して初めて成立します(民法549条)。親が子の名義で口座を作り、通帳と印鑑を親が管理していた場合は、子がもらったことにはならず、贈与税の時効も始まりません。
贈与が成立していないと見られやすい預金
このような預金は「名義預金」と呼ばれ、親が亡くなったときに親の財産として相続税がかかります。10年前、20年前に入金したものでも、年数に関係なく対象になります。
名義預金と判定されたときに相続税がいくら増えるかは、下記の記事で解説しています。

不動産の贈与では、契約の日ではなく所有権移転の登記をした日が贈与の時と判断されることがあります。登記を遅らせると、時効の数え始めも遅れます。
【裁判例】名古屋地裁平成5年の判決
公正証書で贈与契約を結びながら登記をせず、7年が過ぎてから所有権移転の登記をしたケースです。納税者は「契約の時に贈与があり、時効が成立した」と主張しました。
裁判所は、贈与の事実を隠すために登記を遅らせたと見て、登記をした時に贈与があったと判断しました。時効は認められず、贈与税が課税されています。
不動産の登記は法務局から税務署に情報が回るため、登記の原因が「贈与」なのに申告がないと、税務署から問い合わせが届きます。登記を遅らせることで時効を狙うのは、かえって不利になります。
6年がたっていても、贈与を隠していたと判断されると期間は7年に延び、まだ課税されることがあります。6年と7年のあいだの1年は、とくに判断が分かれやすい期間です。
| 行動 | 隠したと見られやすさ |
|---|---|
| 申告が必要だと知らずに放置した | 見られにくい(6年) |
| 記録を残さないため、わざわざ現金で手渡しした | 見られやすい |
| 家族以外の名義の口座に移した | 見られやすい |
| 税務署の問い合わせに、事実と違う説明をした | 見られやすい |
| 贈与契約書の日付を実際と変えた | 見られやすい |
重要ポイント:申告しなかったこと自体は「隠した」には当たりません。判断の分かれ目は、税務署に見つからないよう積極的に何かをしたかどうかです。
時効が成立していると思い込んでいるケースの多くは、数え始めを贈与の日にしていることが原因です。次の3つは、とくに数え間違えやすい場面です。
【場面1】贈与の日から6年で数えている
2020年5月の贈与なら、時効は2026年5月ではなく2027年3月15日です。申告期限の翌日から数えるので、10か月ほど長くなります。
【場面2】毎年続けて受け取っている
時効は年ごとに別々に数えます。2015年から毎年受け取っていれば、2015〜2018年分は時効でも、2020年以後の分はまだ課税されます。
【場面3】最初にまとめて約束し、分けて受け取っている
「1,000万円を10年で100万円ずつ渡す」と最初に約束すると、約束した年に1,000万円の贈与があったと見られることがあります(定期贈与)。年ごとの判断にならない場合があります。
重要ポイント:何年分の贈与があり、それぞれいつ受け取ったかを、まず通帳の記録で年ごとに書き出してください。年ごとに見ると、時効になっている年と、なっていない年が分かれます。
お金を直接もらっていなくても、実質的に財産をもらったのと同じ取引は贈与とみなされます。この「みなし贈与」も、時効は同じ6年で、取引のあった年の翌年3月16日から数えます。
| 取引 | 贈与とみなされる額 | 時効を数え始める日 |
|---|---|---|
| 親からの借金を返さなくてよいことになった | 免除された借金の額 | 免除された年の翌年3月16日 |
| 親から土地を時価より大幅に安く買った | 時価と支払った額の差 | 買った年の翌年3月16日 |
| 親が保険料を払った保険の満期金を子が受け取った | 受け取った満期金 | 受け取った年の翌年3月16日 |
重要ポイント:親から借りたお金は、返済の記録がなければ最初から贈与だったと見られることがあります。その場合は借りた年が贈与の年になり、時効の数え方も変わります。

贈与税の時効が過ぎても、贈与した人が亡くなると、相続税の計算で贈与した財産が足し戻されることがあります。時効とは別の仕組みなので、時効が成立しているかどうかに関係なく適用されます。
この章では、足し戻される期間、2,500万円の非課税枠を使った贈与の扱い、払っていない贈与税がどう扱われるか、自分のケースの判定表を示します。
贈与した人が亡くなったとき、その人から相続や遺贈で財産を受け取る人は、亡くなる前の一定期間に受けた贈与を相続財産に足し戻して相続税を計算します。2024年1月1日以後の贈与から、この期間が3年から7年に延びました。
| 贈与を受けた時期 | 足し戻される期間 | 2026年10月時点で贈与者が存命なら |
|---|---|---|
| 2023年12月31日以前 | 亡くなる前3年以内 | 贈与から3年たっていれば、もう足し戻されない |
| 2024年1月1日以後 | 亡くなる前7年以内(段階的に延長) | 贈与から7年たつまで足し戻される可能性がある |
表の見方:2023年以前の贈与は3年で区切られるので、贈与者が元気なまま3年がたてば、相続税で足し戻されることはありません。2024年以後の贈与は7年なので、時効(6年)が過ぎても足し戻される期間が残ります。
重要ポイント:足し戻されるのは、相続や遺贈で財産を受け取る人がもらった贈与です。孫など財産を受け取らない人への贈与は、原則として足し戻されません。
参照元:国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
何年前の贈与まで足し戻されるかは、亡くなった年ごとに下記の記事で確認できます。

贈与を受けるときに「相続時精算課税」を選んでいた場合は、扱いがまったく違います。選んだ年以後の贈与は、何年前のものでもすべて相続財産に足し戻されます。
相続時精算課税の贈与と時効の関係
この制度を選ぶには、最初の年に届出が必要です。届出を出していなければ、通常の贈与(暦年課税)として扱われます。自分がどちらで受け取ったかは、過去の申告書の控えで確かめてください。
相続時精算課税の仕組みは、下記の記事で解説しています。

通常の贈与が相続財産に足し戻されると、その贈与にかかった贈与税は相続税から差し引かれます(贈与税額控除)。ただし引けるのは実際に課された贈与税の本税だけで、加算税・延滞税は引けません。
【前提】2024年に父から1,000万円を受け取り、父が2026年に亡くなった場合。子が相続で財産を受け取り、子に当たる相続税の税率を20%とします。
| 申告して贈与税を払っていた | 申告せず、相続税の調査で見つかった | |
|---|---|---|
| 贈与税の本税 | 177万円 | 177万円 |
| 加算税・延滞税 | 0円 | 約40万円 |
| 足し戻しで増える相続税 | 200万円 | 200万円 |
| 相続税から引ける贈与税 | −177万円 | −177万円 |
| 合計の負担 | 200万円 | 約240万円 |
表の見方:払った贈与税の本税は相続税から引かれるので、二重に取られるわけではありません。差が出るのは、引けない加算税と延滞税の分だけです。
重要ポイント:7年以内に相続が起きる見込みがあるなら、申告しないで得になる部分はほとんどありません。ただし引けるのはその人の相続税額までで、引ききれない贈与税は戻りません。
計算ロジック:贈与税は(1,000万円−110万円)×30%−90万円=177万円。加算税・延滞税は指摘後の無申告加算税32.9万円に延滞税を足した概算、相続税は1,000万円×20%=200万円増とします。
参照元:国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
時効と足し戻しの2つを組み合わせると、結論は4つのパターンに分かれます。自分がどれに当たるかで、取るべき行動が変わります。
| パターン | 贈与税 | 相続税 | 取るべき行動 |
|---|---|---|---|
| A:時効前で、相続が起きていない | 本税+加算税+延滞税がかかり得る | 贈与者が足し戻し期間内に亡くなれば足し戻し | 早めに自分から申告する |
| B:時効前に相続が起きた | 相続税の調査で見つかれば本税+加算税+延滞税 | 足し戻し。本税だけ相続税から引ける | 相続税の申告と一緒に贈与税も申告する |
| C:時効後で、足し戻し期間内に相続(2024年以後の贈与で6〜7年目) | かからない | 足し戻し。引ける贈与税はない | 相続税の申告に足し戻しを入れる |
| D:時効後で、足し戻し期間も過ぎている | かからない | 足し戻されない | 贈与が成立していた記録を残しておく |
表の見方:上から順に、自分の状況に当てはまる行を探します。Dだけが何も課されないパターンですが、贈与が成立していたことを示せなければ、名義預金として相続税の対象になります。
重要ポイント:Cは2024年以後の贈与でだけ起きます。時効の6年が過ぎても足し戻しの7年が残るため、「時効が成立したから安心」とはならない期間が1年あります。
贈与した親がすでに亡くなっているなら、贈与税と相続税を別々に考えず、相続税の申告と同じ時期に整理するのが基本です。相続税の調査では、過去の贈与もまとめて確認されるためです。
親が亡くなったあとの確認の順番
相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。その前に贈与税の期限後申告を自分から出しておけば、加算税は5%で済み、相続税の申告とも整合します。

家族の間の贈与は税務署から見えにくいと思われがちですが、多くは贈与した人が亡くなったあとの相続税の調査で見つかります。不動産や保険のように、記録が税務署に回る財産もあります。
相続税の調査では、亡くなった人の預金を過去にさかのぼって確認します。大きな出金があれば、その行き先として家族の口座も調べられます。
相続税の調査で贈与が見つかる流れ
贈与した人が元気なうちは見つかりにくくても、相続のときにまとめて確認される、という流れです。時効を待つあいだに相続が起きれば、その時点で調べられることになります。
現金や預金以外の財産は、取引の記録が法務局や保険会社から税務署に届きます。贈与した人が存命でも、申告がなければ問い合わせが来ることがあります。
| 財産 | 税務署に届く記録 | 見つかる時期 |
|---|---|---|
| 土地・建物 | 登記の原因が「贈与」の所有権移転 | 登記の翌年ごろ |
| 生命保険 | 保険料を払った人と受取人が違う保険金の支払調書 | 支払いの翌年ごろ |
| 株式・投資信託 | 証券会社の名義変更の記録 | 調査のとき |
| 住宅の購入資金 | 収入に比べて高額な購入(お尋ねの文書が届く) | 購入の翌年ごろ |
重要ポイント:保険料を親が払い、子が満期金や解約金を受け取ると、その保険金は贈与として扱われます。保険会社から税務署に調書が出るので、贈与税の申告が必要です。
税務署がどのような記録で財産を把握しているかは、下記の記事で解説しています。

海外に住む子や孫に送金した場合や、海外の口座から受け取った場合も、100万円を超える送金は金融機関から税務署に調書が出ます(国外送金等調書)。国内の振込より見えにくいということはありません。
海外が絡む贈与で確認すること
海外に住む人がどこまで日本の贈与税の対象になるかは、贈与した人ともらった人の住所や国籍、日本に住んでいた期間で決まります。自分が当たるかどうかは、申告の前に確かめてください。
参照元:国税庁 No.4432 受贈者が外国に居住しているとき
国税庁の公表では、令和6事務年度(2024年7月〜2025年6月)の贈与税の実地調査は2,778件でした。そのうち93%に当たる2,582件で申告漏れなどが見つかり、その83.4%が無申告でした。
| 項目 | 令和5事務年度 | 令和6事務年度 |
|---|---|---|
| 実地調査の件数 | 2,847件 | 2,778件 |
| 申告漏れなどが見つかった件数 | 2,630件 | 2,582件 |
| うち無申告 | — | 2,154件(83.4%) |
| 追徴税額の合計 | 108億円 | 123億円 |
| 1件あたりの追徴税額 | 380万円 | 443万円 |
表の見方:調査に入った事案のほとんどで申告漏れが見つかっています。税務署は、資料から申告漏れの可能性が高いと見た事案を選んで調査しているためです。
重要ポイント:申告漏れの財産の62.9%は現金・預貯金でした。不動産より、記録が残りにくいと思われがちな現金や預金のほうが多く見つかっています。

時効の前に申告漏れが見つかると、贈与税の本税に加えて加算税と延滞税がかかります。自分から申告したか、税務署に指摘されてからか、隠していたかで、加算税の率は5%から40%まで開きます。
期限までに申告しなかった場合の加算税は「無申告加算税」です。2024年1月1日以後に申告期限が来るもの(2023年の贈与分から)は、指摘された後の申告で、300万円を超える部分に30%がかかります。
| 申告した時期 | 50万円まで | 50万〜300万円 | 300万円超 |
|---|---|---|---|
| 調査の通知の前に自分から | 5% | 5% | 5% |
| 調査の通知の後、調査を受ける前 | 10% | 15% | 25% |
| 調査を受けた後・税務署が税額を決めた | 15% | 20% | 30% |
表の見方:納める贈与税の額を3つの段階に分け、それぞれの率を掛けて合計します。2022年以前の贈与分は300万円超の区分がなく、50万円超はすべて20%(通知後で調査前は15%)です。
重要ポイント:差が最も大きいのは「通知の前か後か」です。調査の連絡が来る前に自分で申告すれば、税額にかかわらず一律5%で済みます。
計算ロジック:贈与税177万円を指摘後に申告すると、50万円×15%+127万円×20%=32.9万円です。自分から申告すれば177万円×5%=8.85万円で、差は約24万円になります。
贈与を隠すために事実を偽ったと判断されると、無申告加算税に代えて重加算税がかかります。申告しなかった場合の率は納める贈与税の40%で、時効も7年に延びます。
重加算税のときに重なる不利益
重加算税は、税務署が隠した事実を確認した場合にかかります。単に申告を忘れていた場合にかかるものではありません。
延滞税は、本来の納期限の翌日から納めた日までの日数に応じてかかる利息です。期限を過ぎてから申告する場合は、申告書を出した日に納めれば、年2.4〜2.8%の低い率で済みます。
| 期間 | 2022〜2025年 | 2026年 |
|---|---|---|
| 申告書を出した日の翌日から2か月まで(それ以前の期間を含む) | 年2.4% | 年2.8% |
| 申告書を出した日の翌日から2か月を過ぎた後 | 年8.7% | 年9.1% |
重要ポイント:期限を過ぎてから申告した場合、申告書を出した日が新しい納期限になります。申告してもすぐ納めないと、2か月後から3倍以上の率になるので、申告と納付は同じ日に済ませてください。

時効の前に申告漏れに気づいたとき、今申告した場合と、待っているあいだに見つかった場合で負担を比べました。自分から申告すれば、指摘された場合より約24万円、隠したと判断された場合より約62万円少なくなります。
【前提】2021年5月に父から現金1,000万円を受け取り、申告していなかった。子は18歳以上で特例税率を使う。どのパターンも2026年10月15日に申告し、同じ日に納めるものとします。
| パターンA:今自分から申告 | パターンB:指摘されてから申告 | パターンC:隠したと判断される | |
|---|---|---|---|
| 贈与税の本税 | 177.0万円 | 177.0万円 | 177.0万円 |
| 加算税 | 8.9万円(5%) | 32.9万円(15〜20%) | 70.8万円(40%) |
| 延滞税 | 20.1万円 | 20.1万円 | 20.1万円 |
| 合計 | 205.9万円 | 230.0万円 | 267.9万円 |
表の見方:本税と延滞税はどのパターンでも同じで、差は加算税だけです。パターンAとパターンBの差は24.1万円、パターンAとパターンCの差は62.0万円です。
重要ポイント:実際には、指摘されるのは今より後になることが多く、そのぶん延滞税も増えます。表のBとCは、同じ日に申告した場合の最も軽い見積もりです。
計算ロジック:本税は(1,000万円−110万円)×30%−90万円=177万円。延滞税は2022年3月16日から2026年10月15日まで、2025年までは年2.4%、2026年は年2.8%で日割りしました(国税庁No.9205)。
参照元:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
同じ2021年の贈与で、申告しないまま待った場合はどうなるかを整理します。待って得になるのは、2028年3月15日まで誰にも見つからず、贈与が成立していたと示せる場合だけです。
【ケース1】2028年3月15日まで何も起きなかった
贈与税は課されません。ただし父が亡くなったときに、贈与が成立していた記録(振込の明細や子の管理状況)がなければ、名義預金として相続税の対象になります。
【ケース2】2028年3月15日より前に父が亡くなった
2021年の贈与は2024年に足し戻し期間(3年)を過ぎているので相続財産には入りませんが、相続税の調査で見つかれば、時効前なので贈与税・加算税・延滞税が課されます。
【ケース3】隠していたと判断された
時効は2029年3月15日まで延び、重加算税40%がかかります。待った期間のぶん延滞税も増え、パターンCより重くなります。
重要ポイント:申告の義務は、時効を待つあいだも消えません。申告が必要だと分かったうえで、見つからないよう手を加えると、それ自体が「隠した」と判断される理由になります。
贈与額を変えて、同じ条件で計算しました。贈与額が大きいほど、自分から申告した場合との差が広がります。
| 贈与額 | パターンA:今自分から申告 | パターンB:指摘されてから申告 | パターンC:隠したと判断される |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 56.3万円 | 61.1万円 | 73.1万円 |
| 1,000万円 | 205.9万円 | 230.0万円 | 267.9万円 |
| 2,000万円 | 681.0万円 | 766.3万円 | 885.8万円 |
表の見方:2021年に父から受けた現金の贈与を、2026年10月15日に申告して即日納めた場合の合計です。2,000万円では、AとBの差が85.3万円になります。
重要ポイント:2021年の贈与は2022年3月が申告期限なので、2024年以後の300万円超30%の区分はかかりません。2023年以後の贈与なら、Bの加算税はさらに高くなります。
計算ロジック:本税は500万円が48.5万円、2,000万円が585.5万円(特例税率)。加算税の計算の元は1万円未満を切り捨て、延滞税は前の表と同じ期間・率で計算しました。
2023年以後に受けた贈与は、申告期限が2024年以後になるため、指摘された後の加算税に300万円超30%の区分がかかります。贈与額が大きいほど、自分から申告した場合との差が広がります。
【前提】2023年に父から現金を受け取り、申告していなかった。子は18歳以上。2026年10月15日に申告し、同じ日に納めるものとします。
| 贈与額 | パターンA:今自分から申告 | パターンB:指摘されてから申告 | パターンC:隠したと判断される |
|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 197.4万円 | 221.4万円 | 259.3万円 |
| 2,000万円 | 652.9万円 | 766.7万円 | 857.7万円 |
| 3,000万円 | 1,154.8万円 | 1,381.0万円 | 1,517.0万円 |
表の見方:2021年の贈与の表より延滞税の期間が短いぶん合計は少なめですが、パターンBの加算税は30%の区分のぶん重くなっています。
重要ポイント:3,000万円の贈与では、自分から申告した場合と指摘された場合の差が226.3万円になります。
計算ロジック:3,000万円の本税は(3,000万円−110万円)×45%−265万円=1,035.5万円。指摘後の加算税は50万円×15%+250万円×20%+735万円×30%=278万円です。

期限を過ぎていても、時効の前であれば申告できます。これを「期限後申告」といい、税務署から調査の連絡が来る前に出すことが、負担を最も軽くする方法です。
手続きは通常の贈与税の申告と同じで、申告書を出したら同じ日に納めることが要点です。
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期限後申告をするのは、時効がまだ成立していない年の分だけです。2026年10月時点なら、2020年以後に受けた贈与が対象になります。
【例】2016年から毎年300万円を受け取っていた場合(2026年10月時点)
時効が過ぎた年の分は、申告書を出しても税務署は税額を決められません。迷う年があれば、贈与の日付と申告期限の曜日を確かめてから判断してください。
贈与税は一括で納めるのが原則ですが、条件を満たせば5年以内の分割払い(延納)ができます。期限後申告でも、申告書を出す日までに申請すれば使えます。
延納の3つの条件
重要ポイント:延納した分には利子税がかかります。延納は申告書の納期限までに申請書を出す必要があるので、申告と同時に手続きしてください。
「お尋ね」の文書や調査の連絡が来ても、事実と違う説明をしないことが最も大切です。説明を偽ると、それ自体が隠したと判断される理由になり、40%と7年に変わります。
連絡が来たときにしてはいけないこと
調査の通知が来た後でも、調査を受ける前に申告すれば、加算税は10〜25%に抑えられます。連絡が来た時点で税理士に相談し、時効前の年分をまとめて申告するかを決めてください。

これから贈与をする・受ける場合は、時効を当てにせず、贈与が成立していたことを後から示せる形で残すのが基本です。記録があれば、申告が必要な場合もそうでない場合も、相続のときに名義預金と見られずに済みます。
贈与は口約束でも成立しますが、あとから証明できるのは書面と振込の記録です。贈与のたびに次のものをそろえてください。
贈与のたびに残すもの
現金の手渡しは記録が残らず、贈与があったことも、いつだったかも示せません。手渡しを選ぶ理由がなければ、振込にしてください。
1年間に受けた贈与の合計が110万円を超えたら、翌年2月1日から3月15日までに申告します。110万円は贈与する人ごとではなく、もらう人1人あたりの1年間の合計です。
| 1年間に受けた贈与 | 申告 |
|---|---|
| 父から100万円だけ | 不要 |
| 父から100万円、母から50万円 | 必要(合計150万円) |
| 住宅取得資金の非課税を使う | 税額が0円でも必要 |
重要ポイント:非課税の特例を使う場合は、税額が0円になっても申告しないと特例を使えません。申告を忘れると、非課税のはずの贈与に贈与税がかかります。
年110万円の非課税枠と申告の要否は、下記の記事で解説しています。

振込で贈与しても、もらった人がその口座を自分で管理していなければ、名義預金と見られます。贈与のあとの管理の仕方まで含めて、贈与が成立しているかが判断されます。
贈与のあとに確認すること
未成年の子への贈与は、親が代わりに受け取り、管理することができます。その場合も、子のための財産として分けて管理し、親自身のお金と混ぜないことが大切です。
贈与の記録は、時効の6年がたてば捨ててよいわけではありません。贈与した人が亡くなったときに、贈与が成立していたことを示す材料になるからです。
| 残すもの | 保管の目安 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 贈与契約書・振込の記録 | 贈与した人の相続税の申告が終わるまで | 名義預金ではないことを示す |
| 贈与税の申告書の控え | 同上 | 相続税から引く贈与税の額を示す |
| 受け取った口座の通帳 | 同上 | 自分で管理していたことを示す |
重要ポイント:相続税の調査は、亡くなった人の口座を10年ほどさかのぼって確認します。古い贈与の記録ほど手元に残っていないことが多いので、贈与のたびに一か所にまとめて保管してください。

贈与税の時効は、年数を数えるだけなら早見表で足ります。ただ実際には、贈与が成立していたか、いつの贈与と見られるか、相続でどう扱われるかまで見ないと、申告すべきかどうかが決まりません。親の相続税とも結びつくため、相続税全体を見て判断する必要があります。
贈与税の申告漏れは、親の相続税の調査で見つかるのが典型です。相続税の調査を経験している税理士ほど、どこを確認されるかを前提に判断できます。
相続税の対応実績がある税理士に相談する理由
例を出します。2021年に父から1,000万円を受け取り、申告していなかったケースです。
| 相談して自分から申告 | そのまま待って指摘された | |
|---|---|---|
| 贈与税の本税 | 177.0万円 | 177.0万円 |
| 無申告加算税 | 8.9万円(5%) | 32.9万円(15〜20%) |
| 延滞税 | 20.1万円 | 20.1万円〜(指摘が遅いほど増える) |
| 合計 | 205.9万円 | 230.0万円〜 |
動くタイミングだけで少なくとも24.1万円の差が出ます。隠したと判断されれば、さらに38万円近く増えます。
計算ロジック:本税は特例税率で177万円。延滞税は2022年3月16日から2026年10月15日まで年2.4〜2.8%で日割りし、どちらも同じ日に申告・納付した場合の最も軽い見積もりです(国税庁No.9205)。
見積りを並べると報酬額を比べられますが、差が出るのは判断の根拠を示せるかです。次の3点を各事務所に同じ質問で聞き、答えを突き合わせてください。
判定ポイント1:時効の成立日を年ごとに出せるか
→ B事務所の方が、申告すべき年を正しく切り分けられると判定できます。
判定ポイント2:贈与が成立しているかを確認するか
→ B事務所の方が、相続税の調査で確認される点を押さえていると判定できます。
判定ポイント3:親の相続税まで見通して試算するか
→ B事務所の方が、相続税の実務経験が豊富と判定できます。
贈与税の時効は、待っているあいだに状況が悪くなる方向にしか動かないことがほとんどです。
自分だけで判断したときに起きること
前の表のとおり、動く時期だけで24万円以上の差があります。複数の事務所に同じ資料を渡せば、どこまで見て判断しているかの差が分かります。
重要ポイント:比べるのは報酬額だけではありません。「年ごとに時効を数えるか」「贈与が成立しているかを見るか」「親の相続税まで試算するか」の3点を同じ質問で聞いてください。
申し込みから依頼先を決めるまでは、調査の連絡が来る前に終えることが目安です。
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聞く順番より、同じ質問をすべての事務所に投げて答えを並べることが大事です。
初回相談で確認すること
見積書は総額が書面で出ているかを最優先で確かめてください。年分ごとに申告書が必要なため、年数で料金が変わることがあります。
見積書で確認すること
報酬の相場そのものを確かめたい場合は、下記の記事で解説しています。

相続税の対応実績をどう見分けるかは、下記の記事で解説しています。

隠すための行動をしていなければ、時効の6年(隠していても7年)を過ぎているので、贈与税は課税されません。ただし親が子の名義で積み立てていた預金のように、贈与が成立していなければ時効は始まらず、親が亡くなったときに相続税の対象になります。
贈与を受けた日ではなく、贈与を受けた年の翌年3月16日(申告期限の翌日)から数えます。申告期限の3月15日が土曜日・日曜日なら翌月曜日が期限になり、数え始めも後ろにずれます。
2023年以前の贈与は、亡くなる前3年以内でなければ相続財産に足し戻されません。2024年以後の贈与は亡くなる前7年以内なら足し戻されるため、時効の6年が過ぎていても相続税がかかることがあります。相続時精算課税を選んでいた贈与は、何年前でも足し戻されます。
税務署から調査の連絡が来る前に申告すれば、無申告加算税は納める贈与税の5%です。これに、申告期限の翌日から納めた日までの延滞税(2026年は年2.8%)が加わります。調査の連絡の後だと加算税は10〜30%に上がります。
止まるのは、すでに税額が決まった贈与税を取り立てる期限(5年)のほうです。申告していない贈与について税務署が税額を決められる6年・7年の期間は、途中で止まったり数え直しになったりしません。
贈与税の時効は6年・7年ですが、成立しているかどうかは年ごとの数え方と、贈与が成立しているかで決まります。親の相続が起きたときの扱いまで含めて判断してください。
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年10月時点の法令・通達に基づいて作成しています。相続税法・国税通則法の改正により内容が変更となる場合があります。個別の申告については、必ず税理士等の専門家にご相談ください。