贈与税の非課税限度額はいくら?制度別の一覧と併用・期限をわかりやすく解説

贈与税_非課税_限度額

贈与税の非課税限度額は、使う制度によって変わります。もっとも基本になるのは、暦年課税の年110万円です。

これに加えて、用途を限定した非課税の特例があります。住宅取得資金なら最大1,000万円、配偶者への居住用不動産なら2,000万円まで無税になります。

ただし、特例には期限があります。教育資金の一括贈与は2026年3月末で新規の受付が終了し、住宅取得資金の特例も2026年12月末までです。

さらに、制度によって申告が必要かどうかも違います。110万円以下なら申告は不要ですが、特例は申告しなければ非課税になりません。

もう一つ重要なのが、相続税との関係です。同じ非課税でも、相続財産に加算されるものと、されないものに分かれます。

制度が多いため、一覧で比べることが遠回りに見えて実は最短です。自分が使える枠と期限がはっきりします。

本記事では、非課税限度額の全制度一覧、暦年課税と相続時精算課税、用途限定の特例と期限、併用の可否、申告の要否、相続財産への加算の有無までを解説します。

▼ この記事の3行まとめ

  • 基本は暦年課税の年110万円。用途限定の特例を使えば500万円〜2,000万円まで無税にできる
  • 教育資金の一括贈与は2026年3月末で新規終了、住宅取得資金は2026年12月末まで。期限に注意
  • 110万円以下は申告不要だが、特例は申告しないと非課税にならない。加算の有無も制度で違う
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結論|非課税限度額は制度ごとに違う

まず結論からお伝えします。贈与税の非課税限度額は「暦年課税の年110万円」を土台に、用途限定の特例を重ねて広げるのが基本の考え方です。全制度を一覧で確認しましょう。

限度額を調べる前に決めておくこと

制度を選ぶ前に、3つを決めておくと迷いません。「誰に」「何のために」「いくら」渡すのかが決まれば、使える制度は自然に絞られます

決めること 制度選びへの影響
誰に渡すか 配偶者なら配偶者控除、子や孫なら特例贈与や精算課税が候補になる
何のために渡すか 住宅・結婚子育てなど用途が決まっていれば専用の特例が使える
いくら渡すか 110万円以内なら申告不要。超えるなら特例か精算課税を検討
いつ渡すか 期限のある特例は年内・年度内に実行できるかを確認

用途が決まっていないなら、まず暦年課税の110万円から考えます。目的がはっきりしている場合は、専用の特例のほうが大きな金額を無税で渡せます

非課税限度額の全制度一覧

主な制度を、限度額と期限で並べます。申告が必要かどうか、相続財産に加算されるかどうかも制度ごとに違うため、あわせて確認してください

制度 非課税限度額 期限 申告
暦年課税の基礎控除 年110万円(受贈者ごと) 期限なし 不要
相続時精算課税 特別控除2,500万円+年110万円 期限なし 必要(110万円以下は不要)
住宅取得等資金 1,000万円(省エネ等住宅)/500万円 2026年12月31日まで 必要
教育資金の一括贈与 1,500万円(学校等以外は500万円) 2026年3月31日で新規終了 必要
結婚・子育て資金の一括贈与 1,000万円(結婚関係は300万円) 2027年3月31日まで 必要
配偶者控除(おしどり贈与) 2,000万円+基礎控除110万円 期限なし 必要
特定障害者扶養信託 6,000万円(特別障害者)/3,000万円 期限なし 必要(申告書の提出)

表の見方:期限のある制度は、いずれも「その日までに贈与すること」が条件です。使う予定があるなら、期限から逆算して手続きの時間を確保してください

重要ポイント:申告が「必要」の制度は、申告しなければ非課税になりません。期限内に申告書を出していないと、そのまま贈与税が課される点が最大の落とし穴です

2026年で使える制度・終わった制度

特例の期限は、ここ数年で大きく動いています。教育資金の一括贈与は2026年3月31日で新規の受付が終了し、延長されませんでした。今の状況を整理します。

制度 2026年時点の状況
住宅取得等資金 2026年12月31日までの贈与が対象(今年が最後
結婚・子育て資金 2027年3月31日までの拠出が対象
教育資金の一括贈与 2026年3月31日で新規終了(すでに新しく使えない
暦年課税・精算課税・配偶者控除 期限なし。いつでも使える

教育資金については、2026年3月31日までに拠出した分は引き続き非課税で使えます。すでに契約している人は影響を受けませんが、これから新しく始めることはできません

住宅取得資金の特例は、2026年12月31日までの贈与が対象です。年末が近づくと手続きが混み合うため、使う予定があるなら早めに準備してください。

参照元:国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

暦年課税の110万円|すべての土台

もっとも基本になるのが、暦年課税の基礎控除です。1年間に受け取った贈与の合計が110万円以下なら、贈与税はかからず申告も不要です。仕組みを確認しましょう。

年110万円は「もらう人ごと」に判定する

110万円の枠は、贈与を受ける人ごとに設けられています。子3人にそれぞれ110万円を贈れば、合計330万円を無税で渡せます

一方、注意したいのは逆のパターンです。父から110万円、母から110万円を受け取った場合、その人が受け取った合計は220万円になります。110万円を超える110万円分に贈与税がかかります。

注意:「あげる人ごとに110万円」ではありません。もらった人の1年間の合計で判定します。祖父母と両親から少しずつ受け取っていると、気づかないうちに110万円を超えていることがあります。

期間の区切りは1月1日から12月31日です。12月と1月に分けて渡せば別の年の贈与になり、それぞれ110万円の枠を使えます

110万円以下なら申告は不要

110万円以下の贈与なら、贈与税の申告は必要ありません。ただし「申告しなくてよい」ことと「記録を残さなくてよい」ことは別です

贈与の証拠が残っていないと、相続のときに名義預金と判断されるおそれがあります。通帳の振込で記録を残し、贈与契約書を作っておくのが安全です。

【110万円以下でも残しておくもの】

  • 贈与契約書(日付・金額・当事者の署名)
  • 銀行振込の記録(手渡しは避ける)
  • 受け取った人が自分で管理している通帳と印鑑
  • 受け取ったお金を実際に使った記録

名義預金と判断されると、贈与がなかったものとして相続財産に含められます。せっかく毎年110万円ずつ渡していても、まとめて相続税の対象になってしまいます

名義預金の判定については、下記の記事で解説しています。

110万円を何年続ければいくらになるか

110万円の枠は毎年使えます。10年続ければ1,100万円、20年で2,200万円を無税で渡せる計算です。ただし相続との関係で注意点があります。

期間 1人あたり 子2人・孫2人に渡す場合
5年 550万円 2,200万円
10年 1,100万円 4,400万円
15年 1,650万円 6,600万円
20年 2,200万円 8,800万円

重要ポイント:相続開始の直前に渡した分は、相続財産に加算されます。効果を出すには早く始めることが条件で、10年20年という時間が必要な方法です

また、財産を取得しない孫への贈与は加算の対象になりません。子と孫の両方に渡すと、人数が増えるうえに加算されない部分も増えます。

定期贈与とみなされないために

毎年同じ額を渡すときは、注意すべき落とし穴があります。「毎年110万円を10年間渡す」という約束だと、初年度に1,100万円を贈与したものとして課税されるおそれがあります

これは定期贈与(定期金給付契約に基づく贈与)と呼ばれる扱いです。最初の年に総額が確定していると判断されると、110万円の枠を毎年使ったことになりません。

【定期贈与とみなされないための工夫】

  • 毎年その年ごとに贈与契約書を作る(10年分をまとめて作らない)
  • 金額や時期を毎年少し変える
  • 「今後も毎年渡す」という記載を契約書に入れない
  • 受け取った側が自分の判断で使える状態にする
  • あえて110万円を少し超える額にして申告する年をつくる

最後の方法は、贈与の事実を記録として残す意味があります。たとえば120万円を贈与して1万円の贈与税を申告すれば、その年の贈与を税務署に示せます

うっかり贈与になっているケース

贈与するつもりがなくても、税務上は贈与とされる場合があります。家族の間でお金や不動産が動くときは、名義と負担者が一致しているかを確認してください

ケース 贈与とされる理由
住宅の購入資金と持分が合っていない 出したお金より多い持分を登記すると、その差額が贈与
親が保険料を払い、子が満期金を受け取る 保険料の負担者と受取人が違うと贈与
子の借金を親が返済した 返済した金額が贈与(返せない事情があれば例外も)
時価より著しく低い価額で売買した 時価との差額が贈与
親の口座から子の口座へ移したが子が使っていない 贈与が成立せず名義預金として扱われる
離婚時の財産分与が過大だった 通常必要な範囲を超える部分が贈与

重要ポイント:特に多いのが住宅の共有名義です。夫が全額を出したのに持分を半分ずつにすると、その半分が妻への贈与になります。出資の割合どおりに登記してください。

110万円を超えた場合の税額

110万円を超えた部分には、贈与税がかかります。税率は贈与する人と受け取る人の関係で2種類に分かれ、親や祖父母から18歳以上の子や孫への贈与は税率が低くなります

受け取った額 課税される額 一般贈与財産 特例贈与財産
200万円 90万円 9万円 9万円
310万円 200万円 20万円 20万円
510万円 400万円 55万円 50万円
1,110万円 1,000万円 275万円 210万円

計算ロジック:510万円を受け取った場合、110万円を引いた400万円が課税の対象です。一般贈与財産なら「400万円×20%-25万円=55万円」、特例贈与財産なら「400万円×15%-10万円=50万円」になります

税率表の詳しい使い方は、下記の記事で解説しています。

参照元:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

相続時精算課税の2,500万円+110万円

もう一つの課税方法が相続時精算課税です。累計2,500万円の特別控除に加えて、2024年から年110万円の基礎控除が使えるようになりました。仕組みと注意点を確認します。

特別控除2,500万円と年110万円の基礎控除

精算課税を選ぶと、同じ贈与者からの贈与について累計2,500万円まで贈与税がかかりません。超えた部分には一律20%の贈与税がかかり、相続のときに精算されます

さらに2024年からは、これとは別に年110万円の基礎控除が設けられました。この110万円分は申告も不要で、相続財産にも加算されません。

項目 内容
年110万円の基礎控除 2024年から新設。申告不要・相続財産に加算されない
特別控除 累計2,500万円まで贈与税なし(申告は必要)
超過分の税率 一律20%
贈与者の要件 贈与の年の1月1日で60歳以上
受贈者の要件 同日で18歳以上の子・孫(推定相続人または孫)

重要ポイント:精算課税の110万円は、暦年課税の110万円とは別枠の制度です。ただし同じ贈与者からの贈与について両方を使うことはできず、いったん精算課税を選ぶと暦年課税には戻れません

参照元:国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択

暦年課税と精算課税のどちらを選ぶか

どちらが有利かは、渡す財産と残された時間で決まります。相続まで時間があるなら暦年課税、一度に多額を渡すなら精算課税が基本の考え方です

状況 向いている方法
相続まで10年以上ある 暦年課税(毎年110万円を積み上げる)
一度にまとまった額を渡したい 精算課税(2,500万円まで贈与税なし)
値上がりが見込まれる株式や不動産 精算課税(贈与時の価額で固定される)
収益物件を渡したい 精算課税(その後の家賃収入も移せる)
自宅の土地を渡したい 暦年課税(小規模宅地等の特例を残す)
相続税がかからない見込み 精算課税(贈与税を負担せず渡せる)

重要ポイント:相続税がかからない見込みなら、精算課税は有力な選択です。2,500万円まで贈与税がかからず、相続の際も基礎控除以下なら課税されません

選ぶ前に知っておく注意点

精算課税は便利に見えますが、後戻りできない選択です。一度選ぶと、その贈与者からの贈与はすべて精算課税になり、撤回できません

また、精算課税で贈与を受けた土地には、相続のときに小規模宅地等の特例が使えません。自宅の土地を早めに渡そうとすると、かえって税負担が増えることがあります。

精算課税を選ぶ前に確認すること

  • 撤回できず、暦年課税に戻せない
  • 贈与した土地に小規模宅地等の特例が使えなくなる
  • 2,500万円を超える部分は贈与時に20%の負担が生じる
  • 相続時には贈与時の価額で加算される(値下がりしても下がらない)
  • 年110万円を超える贈与を受けた年は申告が必要

値上がりが見込まれる財産を早めに移したい場合には向いています。逆に自宅の土地や、値動きのない現金を渡すだけなら、暦年課税のほうが無難です

精算課税の詳しい仕組みは、下記の記事で解説しています。

用途限定の非課税特例|制度別の限度額

使い道を限定すれば、110万円を大きく超える金額を無税で渡せます。いずれも要件が細かく、申告しなければ非課税にならないため、条件を確認してから実行してください

住宅取得等資金|最大1,000万円・2026年12月末まで

親や祖父母から住宅の購入資金をもらう場合の特例です。省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外の住宅なら500万円まで非課税になります

項目 内容
非課税限度額 省エネ等住宅1,000万円/その他500万円
期限 2026年12月31日までの贈与
贈与者 直系尊属(父母・祖父母など)
受贈者の年齢 贈与の年の1月1日で18歳以上
受贈者の所得 合計所得金額2,000万円以下(40〜50㎡未満は1,000万円以下)
期限内の実行 翌年3月15日までに全額を充てて取得し、居住する見込み
申告 翌年2月1日〜3月15日に申告書と添付書類を提出

重要ポイント:暦年課税の110万円と併用できます。省エネ等住宅なら1,000万円+110万円=1,110万円まで無税で渡せます

注意したいのは、翌年3月15日という期限です。資金だけ先に受け取って住宅の取得が遅れると、特例が使えなくなることがあります。

教育資金の一括贈与|2026年3月末で新規終了

祖父母などから教育資金を一括で受け取る特例は、すでに新規の受付が終わっています。2026年3月31日までに拠出された分は引き続き非課税ですが、それ以降は新しく始められません

限度額は受贈者1人あたり1,500万円で、このうち学習塾や習い事など学校等以外への支払いは500万円まででした。受贈者は30歳未満で、前年の合計所得金額が1,000万円以下という要件がありました。

注意:すでに契約している人も、使い残しには注意が必要です。受贈者が30歳になった時点で残額があると、その残額に贈与税がかかります。また贈与者が亡くなった場合、管理残額は相続財産に加算され、孫が受贈者なら2割加算の対象にもなります。

これから教育費を援助したい場合は、別の方法を使います。扶養義務者が必要な都度支払う教育費は、そもそも贈与税の対象になりません

結婚・子育て資金の一括贈与|最大1,000万円・2027年3月末まで

結婚や子育ての資金を一括で受け取る特例です。限度額は1,000万円で、このうち結婚に関する費用は300万円までです

受贈者は18歳以上50歳未満で、前年の合計所得金額が1,000万円以下という要件があります。金融機関で専用の口座を作り、領収書を提出して払い出す仕組みです。

重要ポイント:この特例も、贈与者が亡くなったときの残額は相続財産に加算されます。相続税の対策としての効果は限定的で、使い切る前提で考える制度です

期限は2027年3月31日までの拠出分です。教育資金と同じく延長されない可能性があるため、使う予定があるなら早めに検討してください。

配偶者控除(おしどり贈与)|2,000万円+110万円

婚姻期間20年を超えた夫婦の間で、居住用不動産やその取得資金を贈る場合の特例です。基礎控除110万円と合わせて2,110万円まで無税で渡せます

項目 内容
控除額 2,000万円+基礎控除110万円=2,110万円
婚姻期間 20年を超えていること(贈与の時点で判定)
対象 居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭
居住の要件 翌年3月15日までに住み、その後も住み続ける見込み
回数 同じ配偶者からは一生に一度だけ
申告 必要(戸籍謄本・戸籍の附票・登記事項証明書などを添付)

この特例の大きな利点は、相続財産に加算されないことです。相続開始の直前に贈与しても、非課税とされた2,000万円分は生前贈与加算の対象になりません

ただし、不動産を渡すと登録免許税と不動産取得税がかかります。相続で取得すれば不動産取得税はかからないため、税金全体で比べる必要があります。

登録免許税は、贈与の場合は固定資産税評価額の2%です。相続なら0.4%なので、贈与のほうが5倍の負担になります。不動産取得税も加わります。

そのため、この特例は「相続税を減らすため」ではなく「配偶者に確実に住まいを残すため」に使う制度と考えるほうが実態に合います。

参照元:国税庁 No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

特定障害者扶養信託|6,000万円/3,000万円

障害のある人の生活を支えるための信託にも、大きな非課税枠があります。特別障害者は6,000万円、それ以外の特定障害者は3,000万円まで非課税になります

信託銀行などと契約し、「障害者非課税信託申告書」を提出して適用を受けます。信託財産から定期的に生活費が支払われる仕組みで、本人の生活の安定を目的とした制度です。

使う機会は限られますが、該当する場合は金額が大きいため検討の価値があります。金融機関に相談すると具体的な手続きを案内してもらえます。

この制度は、親が亡くなった後の生活資金を確保する目的で使われます。一括で現金を渡すより、信託を通じて定期的に支払う形のほうが本人の生活は安定します

非課税枠が使えるうえに、財産の管理を信託銀行に任せられる点も利点です。障害のある子や兄弟がいる場合は、選択肢に入れておくとよいでしょう。

特例を使うときの共通の注意点

用途限定の特例には、共通する落とし穴があります。要件を1つでも満たさないと、非課税枠が全額使えなくなる点がもっとも怖いところです

特例に共通する注意点

  • 申告が適用の条件。期限内に出さないと非課税にならない
  • 翌年3月15日までの実行(取得・居住)が必要なものがある
  • 要件を1つ欠くと、限度額の一部ではなく全額が課税対象になる
  • 教育資金・結婚子育て資金は金融機関での口座開設と領収書の提出が必要
  • 使い残しがあると、課税や相続財産への加算が生じる

特に住宅取得等資金は、時間の制約が厳しい特例です。資金だけ先に受け取って住宅の引き渡しが翌年3月15日を過ぎると、非課税が使えなくなります

先に贈与するのではなく、住宅の契約や引き渡しの時期を確認してから贈与を実行するのが安全です。順番を逆にしないでください。

使い残しが出たときの扱い

一括で受け取る特例は、使い切れなかった分の扱いが決まっています。年齢の上限に達した時点で残っていると、その残額に贈与税がかかります

制度 使い残しの扱い
教育資金 受贈者が30歳になった時点の残額に贈与税(一般税率)
結婚・子育て資金 受贈者が50歳になった時点の残額に贈与税
いずれも贈与者が死亡した場合 管理残額が相続財産に加算される
住宅取得等資金 翌年3月15日までに使わないと非課税が適用されない

計算ロジック:教育資金で500万円が残ったまま30歳になると、一般税率で「(500万円-110万円)×20%-25万円=53万円」の贈与税がかかります。使い切れる金額を見積もってから拠出することが大切です

孫が受贈者で贈与者が亡くなった場合は、加算されたうえで2割加算の対象にもなります。多めに渡しておく発想は、かえって負担を増やすことがあります。

併用の可否|どこまで重ねられるか

制度は組み合わせて使えるものと、使えないものがあります。暦年課税の110万円と用途限定の特例は併用できますが、同じ贈与者との間で暦年課税と精算課税を併用することはできません

併用の可否マトリクス

主な組み合わせを整理します。「○」は同じ年に重ねて使える組み合わせです

組み合わせ 併用 内容
暦年課税110万円+住宅取得等資金 省エネ等住宅なら合計1,110万円まで無税
暦年課税110万円+結婚・子育て資金 合計1,110万円まで無税
暦年課税110万円+配偶者控除 合計2,110万円まで無税
精算課税110万円+住宅取得等資金 特別控除2,500万円とも併用できる
暦年課税+精算課税(同じ贈与者) × 贈与者ごとにどちらかを選ぶ
暦年課税(父)+精算課税(母) 贈与者ごとに選べるため可能

重要ポイント:課税方法の選択は「贈与者ごと」です。父からの贈与は暦年課税、母からの贈与は精算課税という使い分けはできます

最大でいくらまで無税になるか

組み合わせ次第では、1年で相当な金額を無税で渡せます。住宅を買う年に、両親から資金援助を受けるケースが最も効果が大きくなります

【例】住宅購入の年に両親から援助を受ける

  • 父から住宅取得等資金として1,000万円(省エネ等住宅)
  • 父から暦年課税の基礎控除で110万円
  • 母から暦年課税の基礎控除で110万円…とはできない(合計で110万円)
  • 合計1,110万円まで無税

計算ロジック:暦年課税の110万円は「もらう人の1年間の合計」で判定します。父と母から55万円ずつでも合計110万円で、両方から110万円ずつもらうと220万円で課税されます

一方、住宅取得等資金の1,000万円は受贈者1人あたりの限度額です。父から600万円、母から400万円という形で分けても、合計1,000万円までが非課税になります。

夫婦がそれぞれ自分の親から資金をもらう場合は、別々に枠を使えます。夫が夫の親から1,000万円、妻が妻の親から1,000万円なら、世帯で2,000万円まで無税です

ただし、それぞれが住宅の持分を持つ必要があります。資金を出した人と登記の持分が一致していないと、その差額が夫婦間の贈与になります。

家の購入資金をもらう場合の注意点は、下記の記事で解説しています。

申告が必要な枠・不要な枠

非課税枠には、申告しなくても使えるものと、申告が条件のものがあります。特例はすべて申告が条件で、期限内に申告しなければ非課税になりません。ここを外すと大きな負担になります。

申告の要否一覧

制度ごとの申告の要否を整理します。申告期限は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです

制度 申告 申告しないとどうなるか
暦年課税110万円以下 不要 問題なし(記録は残す)
暦年課税110万円超 必要 無申告加算税・延滞税がかかる
精算課税の年110万円以下 不要 問題なし(初回の選択届出書は必要)
精算課税の110万円超 必要 特別控除が使えず20%課税のおそれ
住宅取得等資金 必要 非課税にならず贈与税がかかる
教育資金・結婚子育て資金 必要 金融機関経由で提出。出さないと非課税にならない
配偶者控除 必要 非課税にならず贈与税がかかる

注意:精算課税を初めて使う年は、税額が0円でも「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。これを出さないと精算課税を選んだことになりません。2年目以降で110万円以下なら申告は不要です。

贈与税の申告手続き

申告が必要な場合の手続きを確認します。申告するのは財産をもらった人で、期限は翌年の2月1日から3月15日までです

項目 内容
申告する人 財産をもらった人(受贈者)
期限 翌年2月1日〜3月15日
提出先 もらった人の住所地を管轄する税務署
提出方法 窓口・郵送・e-Tax
納付期限 申告期限と同じ(3月15日)
納付方法 金融機関・コンビニ・クレジットカード・ダイレクト納付など

納付が難しい場合は、贈与税にも延納の制度があります。要件を満たせば5年以内の分割払いができますが、利子税がかかります

所得税の確定申告とは提出先が違う場合もあります。もらった人が引っ越していれば、贈与の時点ではなく申告時の住所地が基準になります。

制度別の必要書類

特例を使うときは、添付書類が要件になっています。書類が足りないと非課税が認められないため、贈与の前に何が必要かを確認してください

制度 主な添付書類
住宅取得等資金 戸籍謄本、売買契約書や請負契約書の写し、登記事項証明書、源泉徴収票など所得を示す書類
配偶者控除 戸籍謄本、戸籍の附票の写し、登記事項証明書、居住を示す書類
相続時精算課税(初回) 相続時精算課税選択届出書、戸籍謄本など贈与者との関係を示す書類
教育資金・結婚子育て資金 金融機関経由で非課税申告書を提出(本人確認書類など)
特定障害者扶養信託 障害者非課税信託申告書、障害者手帳の写しなど

戸籍関係の書類は取り寄せに日数がかかります。3月15日の直前に慌てないよう、年明けには準備を始めておくと安心です

申告を忘れたときの影響

特例の申告を忘れると、原則として非課税は使えません。住宅取得等資金で1,000万円を受け取っていた場合、申告しなければ約177万円の贈与税がかかります

期限を過ぎてから気づいた場合も、すぐに申告してください。無申告加算税は、税務署から連絡が来る前に自分から申告すれば軽くなります。

贈与税の申告漏れは、相続税の調査で発覚することが多くあります。預金の動きから資金移動を追われるため、時間が経っても見つかると考えておくべきです

相続財産に加算される枠・されない枠

もう一つ重要なのが、相続税との関係です。同じ非課税でも、相続のときに加算されるものと、されないものに分かれます。ここが節税効果の差になります。

加算の有無一覧

相続財産への加算の有無を整理します。加算されない枠を優先して使うほうが、相続税を含めた負担は軽くなります

制度 相続財産への加算
暦年課税の贈与(110万円以下も含む) 相続開始前の一定期間内は加算される
精算課税の年110万円の基礎控除分 加算されない
精算課税の特別控除2,500万円分 すべて加算される(期間の制限なし)
住宅取得等資金の非課税分 加算されない
配偶者控除の非課税分 加算されない
教育資金・結婚子育て資金の管理残額 贈与者の死亡時に残っていれば加算される

重要ポイント:住宅取得等資金と配偶者控除は、相続の直前に使っても加算されません。相続税対策として使うなら、この2つの効果がもっとも確実です

暦年贈与の加算期間(7年へ移行中)

暦年課税の贈与は、相続開始前の一定期間内のものが相続財産に加算されます。2026年中の相続では加算されるのは3年以内の贈与ですが、2027年以降の相続から段階的に7年へ延びます

相続開始の時期 加算される贈与の期間
2026年中 相続開始前3年以内
2027年〜2030年 3年を超え、段階的に長くなる
2031年1月以降 相続開始前7年以内

延長された期間(相続開始前3年より前の4年分)の贈与は、合計100万円までは加算されません。加算されるのは、相続や遺贈で財産を取得した人が受けた贈与だけです

そのため、財産を取得しない孫への贈与は、原則として加算の対象になりません。加算のルールは下記の記事で詳しく解説しています。

そもそも贈与税がかからないもの

非課税枠を使う前に確認したいのが、そもそも課税されない財産です。生活費や教育費を必要な都度渡す場合は、金額に関係なく贈与税がかかりません

扶養義務者間の生活費・教育費

親が子の生活費や学費を負担するのは、扶養義務の履行です。必要な都度、通常必要と認められる範囲で渡すのであれば、110万円を超えても贈与税はかかりません

大学の学費が年200万円かかる場合も、その都度支払えば課税されません。仕送りとして毎月の生活費を渡すのも同じです。

注意:問題になるのは「まとめて渡す」ケースです。4年分の学費800万円を一括で渡し、受け取った子が預金として置いていると、生活費・教育費とは認められず贈与税の対象になります。必要な都度、実費を支払うのが原則です。

この扱いは、教育資金の一括贈与が終了した今こそ重要になります。その都度払う方法なら、期限も限度額もなく、申告も必要ありません

夫婦間の贈与はどこまで非課税か

夫婦の間でも、贈与税の考え方は同じです。年110万円の基礎控除が使え、生活費として渡す分は課税されません

問題になるのは、生活費として渡したお金が使われずに貯まっている場合です。夫の収入から渡したお金を妻が自分の口座に貯めていると、名義預金と判断されることがあります。

ケース 扱い
生活費として渡し、実際に使った 課税されない
生活費の名目で渡し、妻の口座に貯めた 名義預金とされ、夫の財産として相続税の対象
居住用不動産を贈与(婚姻20年超) 配偶者控除で2,110万円まで非課税
離婚時の財産分与 原則として贈与税の対象外(過大な部分は課税)
住宅の持分を出資割合と違えて登記 差額が贈与

専業主婦の口座に多額の預金があるケースは、相続の調査でよく指摘されます。「生活費の余りを貯めた」という説明では、夫の財産と判断されることが多いです

未成年者や孫への贈与

子や孫が未成年でも贈与はできます。ただし贈与は契約なので、もらう側が受け取る意思を示す必要があり、未成年の場合は親権者が代わりに受諾します

注意点は、親が管理を続けると名義預金になることです。子が成人した後も親が通帳と印鑑を持ち続けていると、贈与が成立していないと判断されます。

重要ポイント:孫への贈与は、相続財産への加算を避けやすい方法です。財産を取得しない孫であれば、加算の対象になりません。ただし遺言で財産をもらったり保険金を受け取ると加算されます。

孫が財産を取得すると、相続税が2割加算される点にも注意が必要です。贈与で渡すか相続で渡すかは、加算まで含めて比べてください。

そのほか課税されない財産

国税庁は、贈与税がかからない財産を具体的に挙げています。香典や年末年始の贈答、見舞いなど、社会通念上のやり取りは対象外です

【贈与税がかからない主なもの】

  • 扶養義務者から受け取る生活費・教育費(通常必要と認められるもの)
  • 香典・花輪代・年末年始の贈答・祝物・見舞いの金品
  • 法人からの贈与(贈与税ではなく所得税がかかる)
  • 公益事業に使われることが確実な財産
  • 特定公益信託から交付される奨学金
  • 相続があった年に被相続人から受けた贈与(相続税で課税される)

法人からもらった財産は、贈与税ではなく所得税の対象です。税金がかからないわけではなく、かかる税金の種類が変わる点に注意してください

参照元:国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合

使う順番とトラブル事例

制度が多いため、どれから使うかで結果が変わります。期限があるものと、相続財産に加算されないものを優先するのが基本です

限度額を使う優先順位

次の順番で検討すると、無駄が出にくくなります。まず課税されない支出(生活費・教育費の実費)で足りるかを確認し、それでも足りない分に特例を充てます

優先 使うもの 理由
1 生活費・教育費の実費負担 そもそも課税されず、限度額も期限もない
2 期限のある特例(住宅取得等資金・結婚子育て資金) 使わないと権利が消える
3 配偶者控除 加算されないうえ、金額が大きい
4 暦年課税の年110万円 毎年使えるが、加算の対象になる
5 精算課税の特別控除2,500万円 全額が加算されるため、目的を絞って使う

相続が近いと感じる状況では、順番が変わります。加算されない住宅取得等資金や配偶者控除を先に使い、暦年贈与は効果が限られると考えてください

贈与税を払ってでも渡したほうがよいケース

非課税枠にこだわらない選択もあります。相続税の税率が高くなる見込みなら、贈与税を払って渡したほうがトータルで安くなることがあります

判断の基準は、贈与税の実効負担率と相続税率の比較です。親から18歳以上の子への贈与(特例贈与財産)で計算すると、次のようになります。

1年に渡す額 贈与税 実効負担率
310万円 20万円 約6.5%
510万円 50万円 約9.8%
710万円 90万円 約12.7%
1,110万円 210万円 約18.9%

計算ロジック:510万円なら「(510万円-110万円)×15%-10万円=50万円」で、渡した額に対する負担は約9.8%です。相続税の税率が20%や30%になる見込みなら、この水準で渡すほうが有利になります

ただし、相続開始前の一定期間内の贈与は相続財産に加算されます。加算されると納めた贈与税は相続税から差し引かれるため、損はしませんが節税効果もなくなります

この方法が効くのは、相続まで時間があるケースです。相続税の見込みを試算してから判断してください。

申告漏れが見つかる仕組み

贈与税の申告漏れは、時間が経ってから発覚することが多くあります。税務署は不動産の登記情報や資金の移動から、贈与があった可能性を把握しています

【発覚のきっかけ】

  • 不動産の登記(贈与を原因とする所有権の移転)
  • 「お買いになった資産の買入価額などについてのお尋ね」の文書
  • 相続税の調査で、過去の預金の動きを確認される
  • 生命保険金の支払調書(保険料の負担者が記載される)
  • 100万円を超える国外送金の調書

特に多いのが、相続税の調査で発覚するパターンです。過去10年分の預金の動きを確認されるため、贈与税の申告漏れも同時に指摘されます

贈与税の時効は原則6年、意図的に申告しなかった場合は7年です。年数が経てば安心というものではありません。

トラブル事例と対策

非課税枠の使い方で起きやすい失敗を挙げます。多くは「申告を忘れた」「合計で判定していなかった」の2つに集約されます

事例1:父と母から110万円ずつ受け取った

「あげる人ごとに110万円まで」と考え、父母それぞれから110万円を受け取ったケース。もらった人の合計が220万円になり、110万円分に贈与税がかかりました。

対策:110万円は「もらう人の1年間の合計」で判定します。複数の人からもらう場合は合算して確認します。

事例2:住宅資金をもらったが申告を忘れた

親から住宅取得資金として1,000万円を受け取ったが、非課税だと思い込み申告しなかったケース。特例は申告が条件のため適用されず、贈与税と無申告加算税がかかりました。

対策:特例はすべて申告が条件です。翌年2月1日〜3月15日に申告書と添付書類を提出します。

事例3:教育資金を一括で渡してしまった

孫の学費4年分をまとめて渡し、孫が預金として保管していたケース。必要な都度の支払いではないため教育費として認められず、贈与税の対象になりました。

対策:学費は必要な都度、実費を支払います。まとめて渡す場合は非課税の特例か暦年課税の枠内で行います。

事例4:精算課税を選んだ後に自宅を渡した

精算課税を選択して自宅の土地を贈与したケース。相続のときに小規模宅地等の特例が使えず、暦年課税のまま相続していれば受けられた減額が失われました。

対策:自宅の土地は精算課税で渡さないほうが有利なことが多いです。選択前に相続まで含めて試算します。

事例5:住宅資金をもらったが引き渡しが遅れた

年末に住宅取得資金として1,000万円を受け取ったが、建物の引き渡しが翌年3月15日を過ぎたケース。期限内に取得できず、特例が使えませんでした。

対策:贈与の実行は、住宅の引き渡し時期を確認してから行います。年末の贈与は特にリスクが高くなります。

事例6:10年分の贈与契約を1枚で作った

「毎年110万円を10年間贈与する」と1枚の契約書に記載したケース。定期贈与とみなされ、初年度に1,100万円の贈与があったものとして課税されました。

対策:贈与契約書は毎年その年ごとに作ります。将来の贈与を約束する記載は入れません。

重要ポイント:6つの事例に共通するのは、制度の条件を確認しないまま実行したことです。贈与は実行してしまうと取り消せないため、渡す前に条件を確認してください

贈与契約書に書く項目

非課税枠を使うときも、贈与の記録は必ず残してください。契約書がないと、贈与があったこと自体を証明できず、名義預金と判断されるおそれがあります

【贈与契約書に書く項目】

  • 贈与する人・受け取る人の氏名と住所
  • 贈与の日付(契約した日)
  • 贈与する財産の内容と金額(不動産なら登記の表示)
  • 引き渡しの方法(振込先の口座など)
  • 双方の署名と押印

金額が大きい場合は、確定日付の付与や公正証書にする方法もあります。手渡しは記録が残らないため、必ず銀行振込で渡してください

受け取った側が通帳と印鑑を自分で管理し、自由に使える状態にしておくことも大切です。ここが揃って、はじめて贈与が成立したと認められます。

実行前のチェックリスト

贈与する前に、次の項目を確認してください。1つでも不明な点があれば、実行前に確認するのが安全です

  • □ もらう人の1年間の合計で110万円を判定したか
  • □ 使う特例の期限内に贈与できるか
  • □ 特例の要件(年齢・所得・婚姻期間など)を満たしているか
  • □ 申告が必要な制度かどうかを確認したか
  • □ 翌年3月15日までの実行や居住の要件を満たせるか
  • □ 相続財産に加算されるかどうかを確認したか
  • □ 精算課税を選ぶ場合、撤回できないことを理解しているか
  • □ 贈与契約書と振込の記録を残す準備をしたか

贈与税の非課税枠の相談は相続税の対応実績がある税理士へ|一括相談・見積り

非課税枠は制度が多く、要件も細かく決まっています。相続税の対応実績がある税理士なら、相続税まで含めてどの枠を使うべきかを判断できます。複数の税理士に一括で相談し、比較して選ぶのがおすすめです。

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

贈与は相続税とセットで考える必要があります。目先の贈与税を抑えても、相続財産に加算されれば効果は打ち消されます

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

  • 相続税の見込みから逆算して、使うべき非課税枠を選べる
  • 加算される枠と加算されない枠を踏まえた順番を提案できる
  • 精算課税を選ぶべきか、小規模宅地等の特例との関係まで判断できる
  • 特例の要件を確認し、申告もれを防げる
  • 名義預金と判断されない記録の残し方を助言できる

たとえば自宅の土地を精算課税で渡すと、小規模宅地等の特例が使えなくなります。贈与税を抑えたつもりが、相続税で数百万円損をすることもあります

税理士を比較するときの3つの判定ポイント

相続税に対応している税理士でも、贈与の提案力には差があります。見積りや初回相談で、次の3点を比べてみてください。

「申告実績数・相続まで含めた試算・特例の期限への目配り」の3点を確認すれば、任せられる事務所かを見分けられます

判定ポイント1:相続税申告の実績数
年間の相続税申告の件数を確認します。「年間5件」と「年間100件以上」では、贈与と相続をつないで考える経験に差が出ます。→ 実績数が多い税理士のほうが、判断に迷いがないと判定できます。

判定ポイント2:相続税まで含めた試算があるか
贈与税だけでなく、相続税の見込みまで示してくれるかを確認します。→ 相続まで示せる税理士のほうが、トータルで有利な案を出せると判定できます。

判定ポイント3:特例の期限への目配り
使える特例と期限を説明してくれるかを確認します。「110万円まで無税です」だけと「住宅資金は2026年末までなので今年中に」では、機会損失の差が出ます。→ 期限を示せる税理士のほうが、実行の判断を任せられると判定できます。

相談しないまま進めるリスク

自己判断で贈与すると、取り消せない失敗につながります。特に精算課税の選択と、申告忘れは後から直せません

贈与は実行した時点で結果が確定します。相談しないまま進めると、具体的には次のようなリスクがあります。

相談せずに進めた場合のリスク

  • 特例の申告を忘れ、非課税にならず贈与税がかかる
  • 110万円を人ごとに判定し、知らないうちに課税される
  • 精算課税を選び、小規模宅地等の特例が使えなくなる
  • 加算される枠ばかり使い、相続税が減らない
  • 記録が残らず、名義預金として相続財産に含められる

これらの多くは、実行前に相談していれば防げたものです。相談は無料のことが多く、動くなら早いほど選択肢が広がります。

一括相談・見積りの手順|STEP1〜STEP4

実際に一括相談・見積りを利用する流れは、次の4ステップです。フォームの記入自体は5分ほどで終わります。

期限のある特例を使うなら、年末や年度末の3ヶ月前までに相談しておくと安心です

STEP1
贈与の概要を整理する。誰から誰へ・金額・目的(住宅・教育・生活費など)・すでに贈与した実績・相続財産の概算をまとめる

STEP2
一括見積り・相談サービスに依頼する。贈与税の申告・生前対策などの希望内容を明記し、相続税の対応実績がある税理士3〜5社へ同時に打診する。不動産があれば所在地と広さも伝える(記入は5分程度)

STEP3
各税理士から「提案内容」「試算した税額」「報酬額」が記載された見積りが届く。気になる事務所と初回相談を行う

STEP4
「提案内容の質」「説明の丁寧さ」「報酬の納得性」で最適な事務所を選び、正式に依頼する。贈与の実行前に方針を固める

重要ポイント:贈与は実行前の相談が肝心です。実行してからでは選び直せないため、複数の見積りを比べて方針を決めてから動きましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 贈与税の非課税限度額はいくらですか?

暦年課税なら年110万円です。これに加えて、住宅取得等資金なら最大1,000万円、結婚・子育て資金なら1,000万円、配偶者への居住用不動産なら2,000万円まで非課税になります。相続時精算課税を選べば、累計2,500万円と年110万円の枠が使えます。

Q2. 110万円は贈る人ごとの金額ですか?

いいえ、もらう人ごとの金額です。1月1日から12月31日までに受け取った贈与の合計で判定します。父と母からそれぞれ110万円を受け取ると合計220万円になり、110万円分に贈与税がかかります。

Q3. 教育資金の一括贈与はまだ使えますか?

新しく始めることはできません。2026年3月31日で新規の拠出が終了しました。それまでに拠出した分は引き続き非課税で使えます。今後、教育費を援助するなら、必要な都度実費を支払う方法が有効です。この方法なら期限も限度額もありません。

Q4. 非課税なら申告は不要ですか?

制度によって違います。暦年課税の110万円以下と、精算課税の年110万円以下は申告不要です。一方、住宅取得等資金や配偶者控除などの特例は、申告が適用の条件です。申告しなければ非課税にならず、贈与税がかかります。

Q5. 非課税で受け取った分は相続税でも対象外ですか?

制度によって違います。住宅取得等資金と配偶者控除の非課税分、精算課税の年110万円分は相続財産に加算されません。一方、暦年課税の贈与は相続開始前の一定期間内なら加算され、教育資金や結婚子育て資金の管理残額も贈与者の死亡時に加算されます。

まとめ|限度額と期限を制度ごとに確認する

贈与税の非課税限度額は、暦年課税の年110万円が土台です。用途を限定した特例を使えば500万円〜2,000万円まで無税にできますが、教育資金は2026年3月末で新規終了、住宅取得資金は2026年12月末までと期限があります。

大切なのは、限度額だけでなく期限・申告の要否・相続財産への加算まで確認することです。以下のアクションから始めましょう。

  • もらう人の1年間の合計で110万円を超えるか確認する
  • 使える特例と期限を一覧で確認する
  • 特例を使うなら、翌年3月15日までの申告を前提に準備する
  • 相続財産に加算されない枠(住宅取得等資金・配偶者控除)を優先して検討する
  • 相続税まで含めた判断に不安があれば、相続税の対応実績がある税理士に一括で相談・見積りを依頼する

※本記事は2026年7月時点の情報にもとづいて作成しています。贈与税の特例は期限や要件が改正される場合があります。個別の判断にあたっては、最新の情報を国税庁の公式サイトで確認するか、相続税の対応実績がある税理士にご相談ください。

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