相続税の速算表【2026年】税率・控除額の一覧と計算方法・家族構成別の早見表

相続税_速算表

相続税の速算表は、相続税の総額を計算するために使う税率表です。国税庁が公表しており、8つの区分に応じた税率と控除額が示されています。

使い方は「金額×税率-控除額」です。とても簡単に見えますが、どの金額に当てはめるかを間違えると、答えが大きく変わります。

速算表を使うのは、遺産の総額に対してではありません。基礎控除を引いた後の金額を、法定相続分で仮に分けた額に当てはめます。

また、表にある「控除額」は税金を安くするものではありません。段階ごとに計算する手間を省くための調整値です。

混同されやすいのが「早見表」です。速算表は税率表で、早見表は遺産額と相続人構成から税額の目安を直接読む表です。

さらに、贈与税にも速算表があります。相続税とは別の表なので、間違えて使うと結果が合いません。

本記事では、速算表の税率と控除額、家族構成別の早見表、3つの列の意味と控除額の検算、計算例、間違いやすい5つのパターン、贈与税の速算表との違いまでを解説します。

▼ この記事の3行まとめ

  • 速算表は「課税遺産総額を法定相続分で分けた額」に当てはめる表。遺産総額に直接かけてはいけない
  • 控除額は税負担を減らすものではなく、段階ごとの計算を一発で済ませるための調整値
  • 速算表は税率表、早見表は概算の一覧。贈与税の速算表は別の表なので混同しない
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速算表は法定相続分に分けた後に使う

まず結論からお伝えします。速算表を当てはめるのは「課税遺産総額を法定相続分で仮に分けた金額」で、遺産総額や課税価格ではありません。表と使う位置を確認しましょう。

相続税の速算表(2015年1月1日以後の相続)

現在使われている速算表は次のとおりです。税率は10%から55%までの8段階で、区分が上がるほど控除額も大きくなります。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% ―
1,000万円超 3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超 5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超 1億円以下 30% 700万円
1億円超 2億円以下 40% 1,700万円
2億円超 3億円以下 45% 2,700万円
3億円超 6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

表の見方:左の列は「各相続人が法定相続分で取得したと仮定した金額」です。実際に取得した金額でも、遺産の総額でもない点が最大の注意点です。

参照元:国税庁 No.4155 相続税の税率

速算表はどこで確認できるか

速算表は国税庁のサイトで公開されています。タックスアンサーの「No.4155 相続税の税率」に最新の表が掲載されており、適用される年分も明記されています。

相続税の申告書(第2表)の裏面にも、同じ内容の表が印刷されています。申告書を作成しながら計算する場合は、そちらを見れば十分です。

重要ポイント:検索で出てくる解説記事の表は、更新されていないことがあります。金額を確定させるときは、必ず国税庁のページか申告書の表で確認してください。

計算全体のどこで使うのか

速算表は、相続税の計算の途中で使う道具です。全体の流れの中で「相続税の総額を出す」段階だけに使い、最終の納税額を出すときには使いません。

STEP1
課税価格を計算する。財産の合計から債務・葬式費用を引き、加算する生前贈与を足す

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STEP2
基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を引き、課税遺産総額を出す

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STEP3
課税遺産総額を法定相続分で仮に分ける(実際の分け方とは無関係)

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STEP4
ここで速算表を使う。仮に分けた金額それぞれに「×税率-控除額」を適用し、合計して相続税の総額を出す

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STEP5
総額を実際の取得割合で按分し、配偶者の税額軽減などの控除を引いて各人の納税額を確定する

重要ポイント:法定相続分で仮に分けるのは、分け方によって家族全体の税額が変わらないようにするためです。誰が多く取得しても総額は同じで、按分の割合だけが変わります。

計算の全体像は、下記の記事で解説しています。

家族構成別の相続税早見表|遺産4,000万円〜10億円

自分で速算表を当てはめる前に、おおよその税額を知りたい場合は早見表が便利です。遺産の額と相続人の構成が分かれば、相続税の総額の目安を表から直接読めます。ここでの遺産の額は、借金や葬式費用を引き、特例を使った後の課税価格です。

配偶者と子が相続する場合の早見表

配偶者がいる場合は、配偶者の税額軽減を使った後の税額です。配偶者が法定相続分を取得すると、配偶者の分は0円になり、子の分だけが残ります。

遺産の額 子1人 子2人 子3人 子4人
4,000万円 0円 0円 0円 0円
5,000万円 40万円 10万円 0円 0円
6,000万円 90万円 60万円 30万円 0円
7,000万円 160万円 112万5,000円 79万9,800円 50万円
8,000万円 235万円 175万円 137万4,900円 100万円
1億円 385万円 315万円 262万4,800円 225万円
1億5,000万円 920万円 747万5,000円 665万円 587万5,000円
2億円 1,670万円 1,350万円 1,217万4,800円 1,125万円
3億円 3,460万円 2,860万円 2,540万円 2,350万円
5億円 7,605万円 6,555万円 5,962万4,600円 5,500万円
10億円 1億9,750万円 1億7,810万円 1億6,634万9,600円 1億5,650万円

表の見方:遺産1億円・配偶者と子2人なら、相続税は315万円です。いずれも相続人全員の合計額で、子が均等に分ければ1人あたりは子の人数で割った額です。

計算ロジック:【前提】配偶者が法定相続分(2分の1)を取得し、配偶者の税額軽減を適用。子は残りを均等に取得。基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数。各人の税額は1,000円未満を切り捨て(自社の計算エンジンで算出)。

子だけが相続する場合の早見表

配偶者がすでに亡くなっている場合や、二次相続の場合です。配偶者の税額軽減がないため、同じ遺産の額でも配偶者がいる場合より税額が大きくなります。

遺産の額 子1人 子2人 子3人 子4人
4,000万円 40万円 0円 0円 0円
5,000万円 160万円 80万円 19万9,800円 0円
6,000万円 310万円 180万円 120万円 60万円
7,000万円 480万円 320万円 219万9,900円 160万円
8,000万円 680万円 470万円 329万9,400円 260万円
1億円 1,220万円 770万円 629万9,700円 490万円
1億5,000万円 2,860万円 1,840万円 1,440万円 1,240万円
2億円 4,860万円 3,340万円 2,459万9,400円 2,120万円
3億円 9,180万円 6,920万円 5,460万円 4,580万円
5億円 1億9,000万円 1億5,210万円 1億2,979万9,200円 1億1,040万円
10億円 4億5,820万円 3億9,500万円 3億4,999万9,400円 3億1,770万円

表の見方:遺産1億円・子2人なら770万円で、配偶者がいる場合の315万円の2倍以上です。配偶者がいるうちの一次相続と、子だけの二次相続を合わせて考える必要があります。

計算ロジック:【前提】子が法定相続分どおり均等に取得。基礎控除は3,000万円+600万円×子の人数。税額は課税遺産総額を法定相続分で分け、速算表を当てた合計。

遺産1億円の場合の子供の人数別の相続税と、1人あたりの納付額は、下記の記事で解説しています。

早見表の数字が実際の税額とずれる理由

早見表は、決まった前提で計算した目安です。実際の税額は、特例・2割加算・分け方・二次相続でずれるため、判断は速算表での計算か専門家の試算で行ってください。

ずれる原因 実際の税額への影響
自宅の土地に小規模宅地等の特例を使う 評価額が最大80%下がり、税額は早見表より下がる
兄弟姉妹や孫(代襲相続人を除く)が相続する 2割加算で、その人の税額は早見表より上がる
配偶者が法定相続分より多く・少なく取得する 配偶者の税額軽減の額が変わり、合計額も変わる
名義預金や亡くなる前の贈与がある 加算される分だけ、税額は早見表より上がる

配偶者に渡す割合で、一次相続と二次相続の合計がどう変わるかは、下記の記事で解説しています。

遺産がいくらから課税されるかは、下記の記事で解説しています。

速算表の3つの列の意味

速算表は3つの列でできています。それぞれの意味が分かれば、なぜこの表で計算できるのかが理解できます。順に見ていきましょう。

「法定相続分に応ずる取得金額」とは

1列目は、当てはめる金額の定義です。課税遺産総額を、民法で定められた法定相続分で分けたと仮定した金額を指します。

法定相続分は、相続人の組み合わせで決まります。配偶者と子なら配偶者2分の1、子は残りを均等に分けます。実際の遺産分割が違っていても、この計算では法定相続分を使います。

相続人の組み合わせ 法定相続分
配偶者と子 配偶者2分の1・子2分の1(子が複数なら均等に分ける)
配偶者と親 配偶者3分の2・親3分の1
配偶者と兄弟姉妹 配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1
子のみ 子で均等に分ける
配偶者のみ すべて配偶者

重要ポイント:相続放棄をした人がいても、この計算では放棄がなかったものとして人数に数えます。放棄によって家族全体の相続税が増えたり減ったりしない仕組みです。

法定相続人の数え方は、下記の記事で詳しく解説しています。

法定相続分の割合の早見表と、相続税の計算での使い方は、下記の記事で解説しています。

「税率」とは|超過累進の仕組み

2列目の税率は、金額が大きくなるほど高くなります。ただし全体に高い税率がかかるのではなく、金額を区切って段階的に上がる「超過累進課税」の仕組みです。

たとえば取得金額が1億円なら、最初の1,000万円には10%、次の2,000万円には15%と、区分ごとに違う税率が適用されます。全体に一律30%がかかるわけではありません。

この段階計算を毎回するのは手間がかかります。そこで「いちばん高い税率を全体にかけてから、多すぎた分を引く」という方法にしたのが速算表です。

「控除額」とは|なぜ引くのかを検算する

3列目の控除額は、多くの人が誤解する部分です。これは税金を安くするための控除ではなく、段階計算との差を埋めるための調整値です。

本当に一致するのか、取得金額1億円のケースで検算してみましょう。区分ごとに積み上げた金額と、速算表で計算した金額を比べます。

区分 対象になる金額 税率 税額
1,000万円以下の部分 1,000万円 10% 100万円
1,000万円超〜3,000万円の部分 2,000万円 15% 300万円
3,000万円超〜5,000万円の部分 2,000万円 20% 400万円
5,000万円超〜1億円の部分 5,000万円 30% 1,500万円
合計 1億円 ― 2,300万円

計算ロジック:速算表で計算すると「1億円×30%-700万円=2,300万円」です。段階ごとに積み上げた2,300万円と完全に一致します。控除額700万円は、この差を埋めるための数字です。

重要ポイント:控除額は「得をする控除」ではありません。基礎控除や配偶者の税額軽減のような負担を減らす制度とは、まったく性質が違います。混同しないでください。

区分の境目で税額はどう動くか

「1円超えたら税率が上がって損をするのでは」と心配する人がいます。控除額があるため、区分の境目で税額が急に跳ね上がることはありません。実際に確かめてみましょう。

取得金額 速算表の適用 税額
1,000万円 ×10% 100万円
1,001万円 ×15%-50万円 100万1,500円
3,000万円 ×15%-50万円 400万円
3,001万円 ×20%-200万円 400万2,000円
5,000万円 ×20%-200万円 800万円
5,001万円 ×30%-700万円 800万3,000円

計算ロジック:1,000万円と1,001万円の差はわずか1,500円です。増えた1万円のうち、上の区分の税率15%がかかるのは超えた部分だけという仕組みが働いています。

つまり「区分をまたぐと損」ということはありません。増えた分に対して高い税率がかかるだけで、全体の税率が跳ね上がるわけではありません。

この性質は、生前対策を考えるときにも意味があります。区分の境目をまたがないように財産を調整しても、得られる効果はごくわずかです。

それよりも、基礎控除や特例で課税の対象そのものを減らすほうが効果は大きくなります。境目を気にしすぎる必要はありません。

区分ごとに必要な遺産額の目安

逆に、どのくらいの遺産があるとどの区分に入るのかも押さえておきましょう。基礎控除を引いた後の金額で判断するため、遺産額はその分だけ大きくなります。相続人が子1人のケースで示します。

遺産額(課税価格) 課税遺産総額 区分・税率 相続税の総額
4,600万円 1,000万円 10% 100万円
6,600万円 3,000万円 15% 400万円
8,600万円 5,000万円 20% 800万円
1億3,600万円 1億円 30% 2,300万円
2億3,600万円 2億円 40% 6,300万円

表の見方:相続人が子1人なので基礎控除は3,600万円で、法定相続分は全額です。遺産額から3,600万円を引いた金額が、そのまま速算表に当てはまる金額になります。

相続人が増えれば基礎控除が増え、法定相続分で分ける金額も小さくなります。そのため同じ遺産額でも、相続人が多いほど適用される税率は低くなります。

たとえば遺産8,600万円でも、相続人が子2人なら課税遺産総額は4,400万円です。1人あたり2,200万円で15%の区分に入るため、総額は560万円まで下がります。

同じ遺産額で子1人の場合は800万円でした。人数の違いだけで240万円の差が生まれます。

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速算表の使い方|計算例で確認する

実際に速算表を使ってみましょう。相続人の構成によって法定相続分が変わるため、同じ遺産額でも総額は変わります。3つのケースで確認します。

計算例1|配偶者と子2人・課税遺産総額1億5,200万円

まず、配偶者と子2人のケースです。法定相続分は配偶者2分の1、子はそれぞれ4分の1になります。

相続人 法定相続分の金額 速算表の適用 税額
配偶者(2分の1) 7,600万円 ×30%-700万円 1,580万円
子A(4分の1) 3,800万円 ×20%-200万円 560万円
子B(4分の1) 3,800万円 ×20%-200万円 560万円
相続税の総額 ― ― 2,700万円

表の見方:ここで出した2,700万円は「家族全体で納める相続税の総額」です。各人の納税額は、この総額を実際の取得割合で按分してから控除を引いて決まります。

速算表の税率は「負担率」ではない

速算表の税率をそのまま負担の重さと考えないでください。「税率30%」は法定相続分に分けた金額に対する名目の税率で、遺産全体に対する負担の割合はもっと低くなります。

先の計算例1では、課税価格2億円に対して総額は2,700万円でした。遺産全体に対する割合は約13.5%で、速算表の30%という数字とは大きく違います。

これは基礎控除を引いてから計算し、さらに人数で分けているためです。「相続税は最高55%」という言葉だけを見て不安になる必要はありません。

計算例2|子2人のみ・課税遺産総額5,800万円

次に、配偶者がすでに亡くなっていて子2人だけのケースです。法定相続分は2分の1ずつになり、配偶者の税額軽減も使えません。

相続人 法定相続分の金額 速算表の適用 税額
子A(2分の1) 2,900万円 ×15%-50万円 385万円
子B(2分の1) 2,900万円 ×15%-50万円 385万円
相続税の総額 ― ― 770万円

このケースでは、半分ずつ取得すれば各自385万円を納めます。配偶者がいないため軽減が使えず、総額がそのまま負担になります。

一次相続で配偶者が多く取得すると、二次相続はこの形になります。相続人が減って基礎控除も小さくなるため、同じ財産額でも負担は重くなります。

速算表で両方の相続を試算しておくと、分け方の判断材料になります。一次相続の税額だけを見て決めないことが大切です。

計算例3|配偶者と子1人・課税遺産総額3,800万円

3つ目は、配偶者と子1人のケースです。法定相続分は2分の1ずつで、1,900万円が15%の区分に入ります。

相続人 法定相続分の金額 速算表の適用 税額
配偶者(2分の1) 1,900万円 ×15%-50万円 235万円
子(2分の1) 1,900万円 ×15%-50万円 235万円
相続税の総額 ― ― 470万円

計算ロジック:半分ずつ取得した場合、按分後の税額は各235万円です。配偶者は税額軽減で0円になるため、実際に納めるのは子の235万円だけになります。

参照元:国税庁 No.4152 相続税の計算

計算例4|配偶者と親・課税遺産総額9,000万円

子がいない場合は、親が相続人になります。法定相続分は配偶者3分の2、親3分の1になり、配偶者の取得金額が大きくなります。

相続人 法定相続分の金額 速算表の適用 税額
配偶者(3分の2) 6,000万円 ×30%-700万円 1,100万円
親(3分の1) 3,000万円 ×15%-50万円 400万円
相続税の総額 ― ― 1,500万円

親が相続人の場合、2割加算はありません。加算の対象は配偶者・子・親以外なので、親は対象外です。兄弟姉妹のケースと混同しないようにしてください。

計算例5|配偶者と兄弟姉妹・課税遺産総額6,000万円

子や親がいない場合は、兄弟姉妹が相続人になります。法定相続分が配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1と変わるため、速算表に当てはめる金額も変わります。

相続人 法定相続分の金額 速算表の適用 税額
配偶者(4分の3) 4,500万円 ×20%-200万円 700万円
兄弟(4分の1) 1,500万円 ×15%-50万円 175万円
相続税の総額 ― ― 875万円

重要ポイント:兄弟姉妹が取得する場合は、按分した税額に2割加算があります。速算表の段階では加算せず、総額を割り振った後に20%を上乗せします。

相続人の構成で総額はどう変わるか

同じ課税遺産総額でも、相続人の構成で総額は変わります。人数が多いほど1人あたりの金額が小さくなり、低い税率が適用されるためです。課税遺産総額1億円で比べます。

相続人 法定相続分の金額 相続税の総額
子1人 1億円 2,300万円
子2人 各5,000万円 1,600万円
子3人 各約3,333万円 約1,400万円
配偶者と子1人 各5,000万円 1,600万円
配偶者と子2人 配偶者5,000万円・子各2,500万円 1,450万円

計算ロジック:子2人なら「5,000万円×20%-200万円=800万円」を2人分で1,600万円です。子1人の2,300万円と比べると700万円も違い、人数が総額に与える影響の大きさが分かります。

この人数は、法定相続人の数で決まります。相続放棄をした人も数に入れ、養子は実子がいる場合は1人まで、いない場合は2人までを数えます。

孫が代襲相続人になっている場合も、子と同じ立場として数えます。人数の数え方を誤ると、基礎控除と速算表の両方がずれて、総額が大きく変わります。

按分と控除まで通した完成例

最後に、速算表で出した総額から納税額までを通してみます。配偶者の税額軽減が入ると、実際に納めるのは子だけになるケースが多くあります。

【前提】

  • 相続人:配偶者と子2人
  • 課税価格の合計:2億円(基礎控除4,800万円)
  • 課税遺産総額:1億5,200万円
  • 実際の取得:配偶者2分の1、子は各4分の1
手順 計算 結果
速算表で総額を出す 配偶者1,580万円+子560万円×2 2,700万円
実際の割合で按分 配偶者2分の1・子各4分の1 配偶者1,350万円・子各675万円
配偶者の税額軽減を適用 1億6,000万円まで非課税 配偶者0円
納める税額 子2人分のみ 合計1,350万円

重要ポイント:総額2,700万円のうち、実際に納めるのは1,350万円です。速算表で出した金額と実際の納税額が違うのは、この按分と控除があるからです。

2割加算がある場合の計算

孫や兄弟姉妹が財産を取得した場合は、税額が2割増えます。按分した税額に20%を加算してから、その人の控除を引く順番です。

たとえば按分後の税額が500万円の孫(代襲相続人ではない)なら、100万円を加算して600万円になります。速算表の段階では加算しません。

注意:2割加算の対象は、配偶者・子・親以外が取得した場合です。孫が代襲相続人になっているときは加算されませんが、養子にした孫は加算の対象になります。速算表とは別の処理として押さえてください。

参照元:国税庁 No.4157 相続税額の2割加算

間違いやすい5つのパターン

速算表は簡単に見えるだけに、使い方の誤りが起きやすいです。次の5つは、自分で計算した人の答えが実際と合わない典型的な原因です。

誤り1・2|当てはめる金額を間違える

最も多いのが、当てはめる金額の誤りです。遺産総額や課税価格に直接かけると、税額が実際よりはるかに大きくなります。

【誤り1】遺産総額や課税価格に直接かける

基礎控除を引く前の金額に速算表を当てはめるパターン。1億円の遺産に「×30%-700万円」として2,300万円と計算してしまいます。まず基礎控除を引きます。

【誤り2】実際の取得割合で分けた金額にかける

「自分は3割取得したから、その金額に速算表を当てる」というパターン。速算表は法定相続分で仮に分けた金額に使います。実際の割合を使うのは、総額を按分する段階です。

誤り1では、基礎控除を引かないまま計算するため、税額が大きくなりすぎます。相続人3人なら4,800万円を引いてから計算するのが正解です。

誤り2は、税額が小さくなることも大きくなることもあります。分け方によって税額が変わるように見えてしまうため、仕組みへの誤解につながります。

誤り3・4|順番と対象を間違える

次に多いのが、計算の順番の誤りです。速算表で出るのは「相続税の総額」で、各人の納税額ではありません。

【誤り3】速算表で各人の納税額を直接出す

法定相続分で計算した額をそのまま納税額と考えるパターン。実際には総額を出した後、実際の取得割合で按分し直します。

【誤り4】特例や控除を引く順番を間違える

配偶者の税額軽減を先に引いてから速算表を使うパターン。控除は総額を按分した後に引きます。小規模宅地等の特例は、課税価格を計算する段階で適用します。

順番を整理すると「評価(特例の適用)→課税価格→基礎控除→法定相続分で按分→速算表→総額→実際の割合で按分→各人の控除」です。特例は前半、控除は後半に位置します。

注意:2割加算も後半で処理します。孫(代襲相続人を除く)や兄弟姉妹、相続人以外が財産を取得した場合は、按分した税額に20%を加算してから控除を引きます。速算表の段階で調整するものではありません。

誤りに気づいたときの直し方

申告前に気づいたなら、計算をやり直すだけで済みます。問題になるのは、誤った計算のまま申告して納税してしまった場合です。

状況 手続き 期限
申告前に気づいた 計算をやり直して申告する 申告期限(10ヶ月)まで
税額を少なく申告していた 修正申告をして差額を納める 早いほど加算税が軽い
税額を多く申告していた 更正の請求をして還付を受ける 申告期限から5年以内

多く申告していた場合は、請求しなければ戻ってきません。速算表の使い方を誤って払いすぎていたケースも、5年以内なら更正の請求で取り戻せます。

逆に少なく申告していた場合は、気づいた時点で修正申告をします。税務署の調査で指摘されるより、自分から動くほうが負担は軽くなります。

誤り5|古い速算表を使う

最後は、表そのものが古いケースです。速算表は2015年1月1日以後の相続から現在の8区分になり、それ以前は6区分で最高税率50%でした。

項目 2014年12月31日まで 2015年1月1日以後
区分の数 6区分 8区分
最高税率 50%(3億円超) 55%(6億円超)
基礎控除 5,000万円+1,000万円×人数 3,000万円+600万円×人数

古い記事や書籍の表を使うと、高額のケースで結果がずれます。必ず国税庁のページで現在の速算表を確認してください。

なお、基礎控除も同時に引き下げられています。速算表だけ新しくしても、基礎控除が古いままでは答えが合いません。

速算表・早見表・シミュレーションの違い

混同されやすい3つの道具を整理します。速算表は税率表、早見表は概算の一覧、シミュレーションは入力して計算するツールです。目的が違います。

3つの使い分け

どれを使うべきかは、知りたいことによって決まります。おおよその金額を知りたいだけなら早見表、正確に計算したいなら速算表です。

道具 何が分かるか 向く場面
速算表(税率表) 法定相続分に分けた金額から税額を計算できる 自分で計算する・検算する
早見表 遺産額と相続人構成から税額の目安を直読できる ざっくり把握する
シミュレーション 金額を入力して概算の税額と申告要否が分かる 手計算せずに確認する

重要ポイント:早見表は「配偶者が法定相続分を取得し、税額軽減を適用した場合」など前提が置かれています。小規模宅地等の特例や生命保険の非課税枠は反映されていないことが多く、実際の税額とはずれます。

シミュレーションツールの使い方と限界

手計算をせずに確認したいなら、国税庁のツールが使えます。「相続税の申告要否判定コーナー」では、財産と相続人の情報を入力すると概算の税額と申告の要否が表示されます。

入力するのは、相続人の情報、財産の種類と金額、債務と葬式費用です。小規模宅地等の特例を使う場合の入力欄もあり、画面の案内に沿って進めるだけで結果が出ます。

注意:土地の評価額は自分で計算した金額を入力する前提です。路線価の補正や不整形地の減額は反映されないため、土地がある場合の結果は目安にとどまります。また、非上場株式のような複雑な財産には対応していません。

それでも、速算表を使った手計算の答え合わせには役立ちます。自分の計算とツールの結果が大きく違うときは、どこかで当てはめる金額を誤っている可能性が高いです。

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贈与税の速算表との違い

「速算表」という言葉は、贈与税にも使われます。相続税とは税率も控除額もまったく違う別の表なので、取り違えると結果が合いません。

贈与税の速算表は2種類ある

贈与税の速算表は、贈与する人と受け取る人の関係で2つに分かれます。親や祖父母から18歳以上の子や孫への贈与は「特例贈与財産」で、税率が低く設定されています。

基礎控除後の課税価格 一般贈与財産 特例贈与財産
200万円以下 10%(控除なし) 10%(控除なし)
300万円以下 15%(10万円) 15%(10万円)
400万円以下 20%(25万円)
600万円以下 30%(65万円) 20%(30万円)
1,000万円以下 40%(125万円) 30%(90万円)
1,500万円以下 45%(175万円) 40%(190万円)
3,000万円以下 50%(250万円) 45%(265万円)
4,500万円以下 55%(400万円) 50%(415万円)
4,500万円超 55%(640万円)

計算ロジック:500万円の贈与を受けた場合、基礎控除110万円を引いた390万円で計算します。一般贈与財産なら「390万円×20%-25万円=53万円」、特例贈与財産なら「390万円×15%-10万円=48万5,000円」です。

相続税の速算表と比べると、少額でも税率が高いことが分かります。贈与税は1年ごとに区切って計算するため、相続税より負担が重く設定されています。

参照元:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

贈与税の速算表を使う場面

贈与税の速算表を使うのは、暦年課税で贈与を受けた場合です。1年間に受けた贈与の合計が110万円を超えたときに、翌年の申告で税額を計算します。

相続対策として生前贈与を検討するときにも使います。贈与税を払ってでも早く移したほうが有利かを、相続税の税率と比べて判断する場面です。

重要ポイント:贈与税は1年ごとに計算するため、金額を分ければ税率を抑えられます。一方で相続開始前の一定期間に受けた贈与は相続財産に加算されるため、直前の贈与では効果がありません。

相続時精算課税は速算表を使わない

贈与の制度でも、速算表を使わないものがあります。相続時精算課税を選んだ場合の税率は一律20%で、区分も控除額もありません。

この制度では、累計2,500万円の特別控除があり、それを超える部分に20%をかけて贈与税を計算します。2024年からは、これとは別に年110万円の基礎控除も使えます。

制度 税率の決め方
相続税 速算表(8区分・10〜55%)を法定相続分の金額に適用
贈与税(暦年課税) 速算表(一般贈与財産・特例贈与財産)を基礎控除後の金額に適用
贈与税(相続時精算課税) 特別控除2,500万円を超える部分に一律20%

精算課税で納めた贈与税は、相続税の計算で精算されます。相続税の総額から差し引かれ、納めすぎていれば還付されます。

相続税と贈与税で表を間違えないために

取り違えを防ぐには、金額の単位に注目するのが早いです。相続税の速算表は「1,000万円以下」から始まり、贈与税は「200万円以下」から始まります。

また、相続税の速算表には「法定相続分に応ずる取得金額」という見出しがあります。この文言があるかどうかで、どちらの表かを判別できます。

なお、生前贈与は相続税の計算にも関わってきます。相続開始前の一定期間に受けた贈与は、相続財産に加算して相続税を計算します。

速算表で出した総額から納税額まで

速算表で出るのは総額です。ここから実際の取得割合で按分し、各人の控除を引いてはじめて納税額が決まります。最後の工程を確認しましょう。

実際の取得割合で按分する

総額を各人に割り振るときは、実際に取得した財産の割合を使います。「その人の課税価格÷課税価格の合計」で計算した割合(あん分割合)を総額にかけます。

たとえば総額が770万円で、子Aが6割、子Bが4割を取得したなら、Aは462万円、Bは308万円です。多く取得した人が多く納める形になります。

重要ポイント:あん分割合は原則として小数点以下2位まで(第2位未満は四捨五入)で計算します。合計が1にならないときは、相続人の間で調整して合計が1になるようにできます。

総額が同じでも納税額が変わる理由

速算表で出す総額は、分け方によって変わりません。それでも各人の納税額が変わるのは、按分の割合と、その人が使える控除が違うからです。

分け方 総額 実際に納める額
配偶者が多く取得する 変わらない 配偶者の税額軽減で減る
子が多く取得する 変わらない 軽減が使えず、そのまま負担になる
孫が取得する 変わらない 2割加算で増える

つまり、分け方を工夫して減らせるのは「実際に納める額」です。速算表で出る総額そのものを分け方で減らすことはできません。

ただし、配偶者が多く取得すると二次相続の負担が増えることがあります。一次相続だけを見て決めないよう注意してください。

各人の控除を引く

按分した税額から、その人に適用できる控除を引きます。配偶者の税額軽減は1億6,000万円または法定相続分までを非課税にする制度で、多くのケースで配偶者の税額は0円になります。

順番 処理
1 相続税の総額を、あん分割合で各人に割り振る
2 2割加算の対象なら、20%を加算する
3 贈与税額控除・配偶者の税額軽減を引く
4 未成年者控除・障害者控除・相次相続控除などを引く
5 100円未満を切り捨てて、納付する税額を確定する

順番が決まっているのは、控除の効果が変わるためです。2割加算を先に処理してから控除を引くため、加算の対象者は控除で吸収しきれないことがあります。

参照元:国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減

速算表と申告書(第2表)の対応

申告書のどこで速算表を使うのかも知っておくと、検算がしやすくなります。速算表を使うのは「第2表 相続税の総額の計算書」で、按分と控除は第1表で行います。

申告書 そこで行うこと
第11表〜第15表 財産・債務の明細を書き、課税価格を集計する
第2表 基礎控除を引き、法定相続分で按分して速算表を適用し、総額を出す
第1表 総額をあん分割合で各人に割り振り、2割加算と控除を反映する
第4表〜第8表 配偶者の税額軽減など、各控除の計算をする

第2表には「法定相続人の数」「按分した金額」「税率」「控除額」を書く欄があります。自分の計算と申告書を比べるときは、この第2表の数字と突き合わせるのが最短です。

第2表の「法定相続人の数」が自分の認識と違っていれば、そこが食い違いの原因です。放棄や養子の扱いを確認してください。

また、第2表の金額と第1表の金額は一致しません。第2表は家族全体の総額、第1表は各人の納税額を示すため、役割が違います。

申告書の書き方は、下記の記事で解説しています。

端数処理のルール

細かいですが、端数の扱いも決まっています。法定相続分で分けた金額は1,000円未満を切り捨て、税額は100円未満を切り捨てます。

場面 端数処理
課税価格 1,000円未満を切り捨てる
法定相続分で分けた金額 1,000円未満を切り捨てる
相続税の総額 100円未満を切り捨てる
あん分割合 小数点以下2位まで(調整可)
各人の納付税額 100円未満を切り捨てる

自分の計算と申告書の金額が数百円違う場合は、たいてい端数処理が原因です。大きく違うときは、当てはめた金額そのものを疑ってください。

速算表では扱えない控除

速算表は総額を出すための表なので、個々の事情は反映されません。次の控除はすべて、総額を按分した後に各人ごとに引くものです。

控除 内容
配偶者の税額軽減 1億6,000万円または法定相続分まで非課税
贈与税額控除 加算した生前贈与について納めた贈与税を差し引く
未成年者控除 18歳までの年数×10万円
障害者控除 85歳までの年数×10万円(特別障害者は20万円)
相次相続控除 10年以内に続いた相続の負担を調整する
外国税額控除 海外で課された相続税相当額を差し引く

重要ポイント:これらの控除を速算表の段階で引いてしまうと、総額が小さくなり全員の税額が狂います。控除は「総額を割り振った後」というルールを守ってください。

速算表を使う前に必要な準備

速算表を使うには、課税価格が確定していることが前提です。財産の評価が終わっていない段階で計算しても、答えは目安にすぎません。

【計算の前に用意するもの】

  • 財産の一覧(不動産・預貯金・有価証券・保険金など)
  • 不動産の評価額(路線価または倍率方式で計算したもの)
  • 死亡日の預金残高(残高証明書)
  • 債務と葬式費用の金額
  • 加算する生前贈与の金額
  • 戸籍で確認した法定相続人の数

このうち、金額のぶれが大きいのは不動産の評価です。概算でよいなら固定資産税の課税明細から「÷0.7×0.8」で見当をつけられます。

基礎控除の詳しい計算方法は、下記の記事で解説しています。

速算表で検算するときの注意

速算表は、税理士が作った申告書を検算するのにも使えます。自分の計算と合わないときは、どの段階でずれているのかを順に確認します。

金額が合わないときの確認順序

ずれの原因は、いくつかの場所に絞られます。上から順に確認すれば、たいていの食い違いは説明がつきます。

確認する場所 ありがちなずれの原因
課税価格 小規模宅地等の特例の適用・名義預金・生前贈与の加算の有無
法定相続人の数 養子の数の制限・放棄した人の扱い・代襲相続
法定相続分 相続人の組み合わせの取り違え(親・兄弟姉妹のケース)
速算表の区分 境界線の金額でひとつ上(下)の区分を見ている
按分の割合 法定相続分と実際の取得割合を混同している
控除の適用 配偶者の税額軽減・2割加算の処理もれ

重要ポイント:差が大きいときは、まず課税価格を確認してください。土地の評価や特例の適用で数千万円変われば、税額も数百万円変わります。

桁を間違えていないかの簡易チェック

細かい計算の前に、桁が合っているかを確かめる方法があります。課税価格に対する総額の割合を見れば、大きな計算ミスにすぐ気づけます。

課税価格 相続人 総額の目安 課税価格に対する割合
1億円 子3人 約630万円 約6%
1億円 子1人 約1,220万円 約12%
2億円 配偶者と子2人 2,700万円 約14%
3億円 配偶者と子2人 5,720万円 約19%

自分の計算がこの水準から大きく外れていたら、どこかで誤っています。特に「課税価格の3割を超える」ような結果が出たときは、基礎控除の引き忘れを疑ってください。

逆に極端に小さい場合は、基礎控除を古い基準(5,000万円+1,000万円×人数)で計算している可能性があります。

検算のチェックリスト

次の項目を確認しながら計算すれば、大きな誤りは防げます。1つでも当てはまらない項目があれば、そこがずれの原因です。

  • □ 基礎控除を引いた後の金額を使っているか
  • □ 法定相続分で仮に分けた金額に当てはめているか
  • □ 相続放棄した人も人数に数えているか
  • □ 養子の数の制限(実子ありは1人・なしは2人)を守っているか
  • □ 2015年以後の速算表を使っているか
  • □ 境界線の金額で区分を取り違えていないか
  • □ 総額を出した後に、実際の取得割合で按分しているか
  • □ 2割加算と各種控除を按分の後に処理しているか
  • □ 端数処理(1,000円未満・100円未満の切り捨て)をしているか

自分で計算するか、税理士に任せるか

速算表を使えば、自分でも概算は出せます。判断の分かれ目は、課税価格を自分で正確に出せるかどうかです。

状況 目安
財産が預貯金だけ・相続人が1〜2人 自分で計算しやすい
土地や建物がある 評価で差が出るため試算を依頼したい
小規模宅地等の特例を使う 要件判定が必要で、税額が大きく変わる
非上場株式がある 評価が専門的で自力では難しい
相続人が多い・2割加算がある 按分と控除の処理が複雑になる

概算を自分で出しておくと、相談のときに話が早く進みます。「自分の計算ではこの金額になったが、合っているか」という聞き方ができるからです。

速算表では分からないこと

速算表で計算できるのは、あくまで税額の枠組みです。課税価格そのものが正しくなければ、速算表を正しく使っても答えは合いません。

特に土地の評価は、形状や道路との関係による補正で数百万円変わります。非上場株式の評価も、会社の規模や株主の区分によって方法が異なります。

また、小規模宅地等の特例をどの土地に使うかで、税額は大きく変わります。速算表で計算した金額は「前提が正しければこうなる」という数字だと理解しておいてください。

試算の結果をどう使うか

速算表で出した金額は、次の行動につなげるために使います。金額が分かれば、納税資金が足りるか、対策が必要かの判断ができます。

【試算の結果から考えること】

  • 手元の現金で納税できるか(不足するなら売却や延納の検討)
  • 小規模宅地等の特例を使えば、どれだけ下がるか
  • 分け方を変えると、各人の負担がどう動くか
  • 二次相続まで含めると、どの分け方が有利か
  • 生前にできる対策があるか

試算は早いほど選択肢が増えます。相続が始まってからでは間に合わない対策もあるため、生前に一度計算しておくと安心です。

トラブル事例と対策

速算表の使い方を誤った実例を挙げます。いずれも計算の仕組みを取り違えたことが原因で、金額の桁が変わるほどの差が出ています。

事例で見る誤りと影響

事例1:遺産総額に直接かけて怖くなった

遺産1億円に「×30%-700万円」を当てはめ、2,300万円もかかると思い込んだケース。基礎控除4,800万円を引いた5,200万円で計算すると、総額は約630万円でした。

対策:まず基礎控除を引きます。速算表は課税遺産総額を法定相続分で分けた後に使います。

事例2:実際の取得割合で計算して税額を誤った

自分が9割を取得したため、その金額に速算表を当てはめたケース。総額の計算は法定相続分で行うため、税額が実際より大きく出ていました。

対策:総額は法定相続分で計算し、実際の割合を使うのは按分の段階だけです。

事例3:古いサイトの速算表を使っていた

2014年以前の6区分の表で計算し、基礎控除も5,000万円+1,000万円×人数で計算したケース。基礎控除を多く引きすぎ、税額を大幅に低く見積もっていました。

対策:2015年以後の速算表と基礎控除を使います。国税庁のページで最新の内容を確認します。

事例4:贈与税の速算表で相続税を計算した

「速算表」で検索して見つけた贈与税の表を使い、200万円で10%と計算したケース。相続税とは区分も控除額も違うため、答えが合いませんでした。

対策:「法定相続分に応ずる取得金額」と書かれた表が相続税用です。1,000万円以下から始まっているかを確認します。

事例5:配偶者の税額軽減を先に引いていた

課税価格から1億6,000万円を先に引き、残りに速算表を当てはめたケース。配偶者の税額軽減は総額を按分した後に引くものなので、総額そのものが小さく計算されていました。

対策:控除は後半の工程です。速算表の前に引くのは基礎控除だけです。

事例6:相続放棄した人を人数から除いていた

子3人のうち1人が放棄したため、基礎控除も法定相続分も2人で計算したケース。放棄した人も人数に数えるため、基礎控除が600万円少なく、税額が高く出ていました。

対策:放棄があっても、基礎控除と法定相続分の計算では放棄がなかったものとして数えます。

重要ポイント:6つの事例に共通するのは、表の使い方より「どの金額に当てはめるか」の誤りです。計算の順番を守れば、速算表そのものは単純な掛け算と引き算で済みます。

相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ
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相続税の計算の相談は相続税の対応実績がある税理士へ|一括相談・見積り

速算表で計算できるのは、前提が正しい場合の税額です。相続税の対応実績がある税理士なら、課税価格の算定から特例の適用まで含めて正確に計算できます。複数の税理士に一括で相談し、比較して選ぶのがおすすめです。

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

税額を左右するのは、速算表より前の工程です。土地の評価や特例の適用判断で課税価格が変われば、税額は数百万円単位で変わります。

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

  • 土地や非上場株式の評価を正確に出し、課税価格の前提を固められる
  • 小規模宅地等の特例をどの土地に使うと有利かを試算できる
  • 2割加算や各種控除の処理順序を誤らない
  • 分け方によるあん分の違いと、二次相続まで含めた試算ができる
  • 自分の計算と申告額の食い違いの理由を説明できる

たとえば自宅の評価を下げられれば、それだけで税額は下がります。速算表の使い方が正しくても、前提の金額が高すぎれば払いすぎになります。

税理士を比較するときの3つの判定ポイント

相続税に対応している税理士でも、計算の精度には差があります。見積りや初回相談で、次の3点を比べてみてください。

「申告実績数・土地評価の体制・試算の説明の分かりやすさ」の3点を確認すれば、任せられる事務所かを見分けられます。

判定ポイント1:相続税申告の実績数
年間の相続税申告の件数を確認します。「年間5件」と「年間100件以上」では、評価や特例の判断の慣れが違います。→ 実績数が多い税理士のほうが、計算の前提を固める力があると判定できます。

判定ポイント2:土地評価の体制
現地確認や役所調査まで行うかを聞きます。「机上の路線価だけ」と「現地と役所を確認する」では、課税価格が変わります。→ 現地を見る事務所のほうが、評価を下げられる可能性が高いと判定できます。

判定ポイント3:試算の説明が分かるか
試算の内訳を示して説明してくれるかを確認します。「合計額だけ」と「課税価格・総額・按分・控除まで示す」では、納得感が違います。→ 内訳を示せる税理士のほうが、後から疑問が残らないと判定できます。

相談しないまま進めるリスク

自分の計算だけで判断すると、思わぬずれが生じます。速算表の使い方を誤れば税額を過大に見積もり、逆に特例の適用を誤れば過少に見積もります。

相続税は、計算の前提となる評価で結果が変わる税金です。相談しないまま進めると、具体的には次のようなリスクがあります。

相談せずに進めた場合のリスク

  • 速算表を遺産総額に当てはめ、必要のない不安を抱える
  • 土地の評価を高く見積もり、相続税を払いすぎる
  • 特例の適用を誤り、申告後に修正が必要になる
  • 2割加算や控除の処理を誤り、税額を間違える
  • 分け方による違いを検討せず、二次相続まで含めて損をする

これらの多くは、早い段階で複数の税理士に相談していれば防げたものです。相談は無料のことが多く、動くなら早いほど選択肢が広がります。

一括相談・見積りの手順|STEP1〜STEP4

実際に一括相談・見積りを利用する流れは、次の4ステップです。フォームの記入自体は5分ほどで終わります。

相続税の申告期限は10ヶ月なので、相続開始から7ヶ月以内に依頼先を決めておくと安心です。

STEP1
相続の概要を整理する。被相続人の資産内容と概算額・相続人の構成と年齢・遺言の有無・自分で計算した税額をまとめる

⬇

STEP2
一括見積り・相談サービスに依頼する。相続税の試算・相続税申告などの希望内容を明記し、相続税の対応実績がある税理士3〜5の事務所へ同時に打診する。不動産があれば所在地と広さも伝える(記入は5分程度)

⬇

STEP3
各税理士から「提案内容」「試算した相続税額」「報酬額」が記載された見積りが届く。気になる事務所と初回相談を行う

⬇

STEP4
「提案内容の質」「説明の丁寧さ」「報酬の納得性」で最適な事務所を選び、正式に依頼する。相続開始から7ヶ月以内の決定が目安

重要ポイント:自分で計算した金額を持って相談すると、話が早く進みます。見積りの試算額と自分の計算を比べ、違いの理由を説明してくれる事務所を選びましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 相続税の速算表はどの金額に当てはめますか?

課税遺産総額(課税価格から基礎控除を引いた金額)を、法定相続分で仮に分けた金額に当てはめます。遺産総額や課税価格に直接かけてはいけません。また、実際に取得した割合で分けた金額でもありません。

Q2. 速算表の「控除額」は何のためにありますか?

超過累進課税の段階計算を一発で済ませるための調整値です。税負担を軽くする控除ではありません。取得金額1億円なら、区分ごとに積み上げても2,300万円で、「1億円×30%-700万円」と一致します。

Q3. 速算表と早見表の違いは何ですか?

速算表は税率と控除額を示す税率表で、法定相続分に分けた金額から税額を計算するために使います。早見表は遺産額と相続人構成から税額の目安を直接読む一覧表です。早見表は特例が反映されていないことが多く、目安として使います。

Q4. 贈与税の速算表と同じものですか?

違います。贈与税の速算表は「一般贈与財産」と「特例贈与財産」の2種類があり、200万円以下から区分が始まります。相続税の速算表は1,000万円以下から始まり、「法定相続分に応ずる取得金額」と記載されています。

Q5. 速算表で計算した額がそのまま納税額になりますか?

なりません。速算表で出るのは家族全体の相続税の総額です。そこから実際に取得した割合で按分し、2割加算や配偶者の税額軽減などの控除を反映して、各人の納税額が決まります。

まとめ|速算表は使う位置を間違えないことが肝心

相続税の速算表は、課税遺産総額を法定相続分で仮に分けた金額に当てはめる税率表です。「控除額」は税負担を減らす控除ではなく、段階計算を一発で済ませるための調整値です。遺産総額に直接かけると、税額を大きく見誤ります。

▼ この記事の要点

  • 速算表は、課税遺産総額を法定相続分で分けた金額×税率−控除額で使う
  • 税率は10%〜55%の8区分。控除額は段階計算を省くための調整値
  • おおよその税額は早見表で分かる。遺産1億円なら配偶者と子2人で315万円、子2人だけなら770万円
  • 早見表は特例・2割加算・分け方・二次相続でずれるため、判断は計算か専門家の試算で行う
  • 贈与税の速算表は別の表。2015年以後の相続税の速算表を使う

今すぐ取るべき行動

  • 基礎控除を引いた課税遺産総額を先に出す
  • 法定相続分で仮に分けた金額に速算表を当てはめる
  • 2015年以後の速算表を使っているか確認する
  • 総額を出した後、実際の取得割合で按分して控除を引く
  • 課税価格や特例の判断に不安があれば、相続税の対応実績がある税理士に一括で相談・見積りを依頼する

※本記事は2026年10月時点の情報にもとづいて作成しています。相続税法や税率は改正される場合があります。個別の判断にあたっては、最新の情報を国税庁の公式サイトで確認するか、相続税の対応実績がある税理士にご相談ください。

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