準確定申告とは?必要な人・期限・やり方と必要書類、相続税との関係

準確定申告

準確定申告とは、年の途中で亡くなった人に代わって、相続人がその年の所得税を申告する手続きです。

対象は亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得で、期限は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。

ただし、亡くなった人すべてに必要なわけではありません。会社員や年金だけで暮らしていた人は、多くの場合申告しなくて済みます。

一方で、申告すれば税金が戻ってくるケースもあります。令和8年に亡くなった人は、基礎控除の引上げの影響で戻る税金が増えることがあります。

準確定申告は相続税の申告にも関わります。納めた所得税は相続財産から差し引け、戻った税金は相続財産に加わるためです。

4か月という期限は、相続放棄の3か月と相続税の10か月の間に来ます。どの手続きから手をつけるかで、慌て方が変わります。

この記事では、準確定申告が必要な人と不要な人の見分け方、亡くなった月別の期限、やり方と必要書類、還付の計算例、相続税との関係を解説します。

▼ この記事の3行まとめ

  • 準確定申告は亡くなった人の所得税の申告。相続人が知った日の翌日から4か月以内に行う
  • 会社員や年金だけの人は原則不要。ただし医療費が多い年や令和8年中の死亡は、申告で税金が戻ることがある
  • 納めた所得税は相続税の計算で差し引け、戻った税金は相続財産になる。相続税の申告より先に済ませる
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準確定申告とは|亡くなった人の所得税を相続人が申告する手続き

準確定申告は、亡くなった人が生きていれば自分で行うはずだった確定申告を、相続人が代わりに行う手続きです。期限は4か月と短く、相続税の申告とは別に必要になります。

この章では、準確定申告の中身、通常の確定申告との違い、誰が申告するか、相続税の申告との関係を先に整理します。

対象は亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得

所得税は、1月1日から12月31日までの1年間の所得に対してかかります。ところが年の途中で亡くなると、本人は翌年に確定申告ができません。

そこで相続人が、亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得と税額を計算して申告します。納める税金があれば相続人が代わりに納め、戻る税金があれば相続人が受け取ります。

たとえば6月20日に亡くなった場合は、1月1日から6月20日までの年金・給与・家賃収入などが対象です。死亡日より後に入ったお金は対象になりません。

参照元:国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)

通常の確定申告との違い

使う申告書の様式は同じですが、対象期間・期限・申告する人・提出先が違います。提出先は相続人の住所ではなく、亡くなった人の住所地の税務署です。

項目 通常の確定申告 準確定申告
対象期間 1月1日〜12月31日 1月1日〜死亡日
期限 翌年3月15日 相続の開始を知った日の翌日から4か月以内
申告する人 本人 相続人(遺言で財産の割合を指定された人を含む)
提出先 本人の住所地の税務署 亡くなった人の死亡当時の住所地の税務署
医療費・保険料の控除 1年間に払った分 死亡日までに本人が払った分だけ
配偶者控除・扶養控除の判定 12月31日の状況 死亡日の状況(月割りはしない)

表の見方:配偶者控除や扶養控除は、死亡日の状況で要件を満たせば1年分を満額使えます。1月に亡くなっても月割りにはなりません。この点が、年の途中で亡くなった人の税金が戻りやすい理由の1つです。

誰が申告するか|相続人と、遺言で財産の割合を指定された人

準確定申告をするのは相続人です。遺言で「財産の3分の1」のように割合を指定して財産を受け取る人(包括受遺者)も含まれます。相続放棄をした人は相続人でなかったことになるため、申告する義務はありません。

相続人が2人以上いる場合は、全員の連名で1通の申告書を出すのが原則です。他の相続人の氏名を書き添えたうえで、各自が別々に出すこともできます。

納める税金は、法定相続分か遺言で指定された割合で分けて負担します。誰が多く遺産を受け取ったかでは決まらない点に注意してください。

相続税の申告とは別の手続き|4か月と10か月の違い

準確定申告と相続税の申告は、名前は似ていますが対象も期限も違います。遺産が基礎控除を超える家庭では、両方の申告が必要になります。

項目 準確定申告 相続税の申告
税金の種類 所得税(と復興特別所得税) 相続税
対象 亡くなった人が生前に得た所得 相続人が受け継いだ財産
期限 知った日の翌日から4か月以内 知った日の翌日から10か月以内
必要になる家庭 亡くなった人に確定申告の義務があった家庭 遺産が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える家庭

表の見方:相続税がかからない家庭でも準確定申告が必要なことがあり、その逆もあります。2つは別々に要否を判定してください。

相続税・確定申告・準確定申告の3つの違いは、下記の記事で整理しています。

準確定申告が必要な人・不要な人|亡くなった人の収入の種類で決まる

準確定申告が必要かどうかは、亡くなった人が生きていたら確定申告をする必要があったかで決まります。まず前年に確定申告をしていたかを、申告書の控えや税務署からの郵便で確かめてください。

この章では、申告しなければならない人、しなくてよい人、したほうがよい人を分け、令和7年・令和8年に変わった基準もまとめます。

申告しなければならない人

亡くなった人が次のどれかに当てはまる場合は、準確定申告が必要です。1つでも当てはまれば、相続人に申告と納税の義務があります。

【準確定申告が必要になる人】

  • ・個人で事業をしていた(自営業・フリーランス・農業など)
  • ・アパートや駐車場などを貸して家賃収入があった
  • ・給与の収入が年2,000万円を超えていた
  • ・給与のほかに、副収入などの所得が20万円を超えていた
  • ・2か所以上から給与を受け取っていた
  • ・公的年金の収入が400万円を超えていた、または年金以外の所得が20万円を超えていた
  • ・その年に不動産や株式(源泉徴収のない口座)を売って利益が出た

前年に確定申告をしていたか分からないときは、亡くなった人の住所地の税務署で、過去の申告書を閲覧できます(申告書等閲覧サービス)。相続人が申請する場合は、相続関係が分かる戸籍の書類を持参します。

家賃収入や事業収入がある場合は、帳簿をもとに死亡日までの収入と経費を集計します。青色申告をしていた人は青色申告決算書、白色申告の人は収支内訳書も作ります。

参照元:国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人

申告しなくてよい人|会社員と、年金だけで暮らしていた人

在職中に亡くなった会社員は、勤務先が最後の給与で年末調整をして税金を精算します。給与が1か所だけで副収入がなければ、準確定申告は原則不要です。

年金で暮らしていた人も、公的年金の収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下なら申告しなくて構いません。親の世代の多くがここに当てはまります。

ただし「不要」は「出してはいけない」という意味ではありません。申告すれば税金が戻る人は、次のH3のように出したほうが得になります。

参照元:国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係

申告したほうがよい人|税金が戻ってくるケース

申告の義務がなくても、次のケースでは準確定申告で税金が戻ることがあります。還付の申告は義務ではないので、出さなければ戻るはずの税金を受け取れません。

【申告すると税金が戻りやすい人】

  • ・亡くなる前に入院などで医療費を多く払っていた(年10万円超が目安)
  • ・年金から所得税が源泉徴収されていた(令和8年中に亡くなった人は特に)
  • ・年の途中で退職して年末調整を受けていなかった
  • ・寄附金やふるさと納税をしていた
  • ・配偶者や扶養家族の控除を年金の手続きで申告していなかった

ふるさと納税のワンストップ特例は、翌年度の住民税から差し引く仕組みです。亡くなった人には翌年度の住民税がかからないため、所得税の寄附金控除を受けるには準確定申告が必要です。

【判定表】亡くなった人のタイプ別に要・不要が分かる

収入の種類ごとに、準確定申告の要否を一覧にしました。複数の収入がある人は、どれか1つでも「必要」に当たれば申告が必要です。

亡くなった人のタイプ 準確定申告 判断のポイント
会社員(在職中に死亡) 原則不要 勤務先が年末調整をする。給与2,000万円超・副収入20万円超なら必要
年金だけで暮らしていた 原則不要 年金400万円以下・他の所得20万円以下なら不要。源泉徴収があれば出すと戻ることがある
自営業・フリーランス 必要 死亡日までの収入と経費を集計する。消費税の申告が要る場合もある
家賃収入があった 必要 年金や給与のほかに家賃の所得が20万円を超えれば必要
その年に不動産や株を売った 必要(利益が出た場合) 源泉徴収のある特定口座の株だけなら不要
入院などで医療費が多かった 任意(出すと戻る) 死亡日までに本人が払った医療費が対象

表の見方:「原則不要」の人でも、還付が見込めるなら出す価値があります。迷ったら、年金や給与の源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄を見てください。0円なら、出しても戻る税金はありません。

重要ポイント:亡くなった後に届く源泉徴収票が判断の材料になります。年金の源泉徴収票は年金の支給が止まった後に、給与の源泉徴収票は勤務先から相続人に届きます。

令和7年・令和8年に変わった基準|基礎控除・配偶者控除の金額

所得税の控除は、令和7年分と令和8年分で続けて引き上げられました。古い金額で計算すると、払いすぎや控除の取り損ねにつながります。

項目 令和6年分以前 令和7年分 令和8年分
基礎控除(合計所得132万円以下) 48万円 95万円 104万円
基礎控除(132万円超336万円以下) 48万円 88万円 104万円
基礎控除(336万円超489万円以下) 48万円 68万円 104万円
基礎控除(489万円超655万円以下) 48万円 63万円 67万円
基礎控除(655万円超2,350万円以下) 48万円 58万円 62万円
給与所得控除の最低額 55万円 65万円 74万円
配偶者控除を受けられる配偶者の所得 48万円以下(給与なら103万円以下) 58万円以下(給与なら123万円以下) 62万円以下(給与なら136万円以下)

表の見方:準確定申告は、亡くなった年の分の金額で計算します。令和7年に亡くなった人は令和7年分、令和8年に亡くなった人は令和8年分の列です。前年分もあわせて申告する場合は、前年の列を使います。

重要ポイント:令和8年分の引上げは令和8年12月1日に施行されます。11月30日以前に出す準確定申告書には令和7年分と同じ額を使い、12月1日以後に更正の請求をすると改正後の額との差が戻ります。手順は期限の章で解説します。

参照元:国税庁 No.1199 基礎控除

参照元:国税庁 No.1191 配偶者控除

準確定申告の期限は4か月|亡くなった月別の早見表

準確定申告の期限は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。同じ時期に相続放棄の3か月と、事業を継ぐ人の手続きの期限が重なります。

この章では、期限の数え方と、亡くなった月ごとにいつまでに何をするかを1つの表にまとめます。

期限の数え方|「知った日と同じ日付」の4か月後

「翌日から4か月以内」は、結果として知った日と同じ日付の4か月後になります。6月15日に亡くなり同じ日に知った場合、期限は10月15日です。

期限の日が土曜・日曜・祝日に当たるときは、その次の平日が期限になります。月末に亡くなって4か月後に同じ日付がない場合は、その月の末日が期限です。

亡くなった日(=知った日) 準確定申告の期限 理由
6月15日 10月15日 同じ日付の4か月後
1月31日 5月31日 5月に31日がある
10月31日 翌年2月28日(うるう年は29日) 2月に31日がないので月の末日
期限が日曜日 翌日の月曜日 土日祝日は次の平日に延びる

表の見方:月末に亡くなった場合は、4か月後の月に同じ日付があるかで期限が変わります。期限が年末年始(12月29日〜1月3日)に当たる場合も、次の平日が期限です。

多くの場合、亡くなった日と知った日は同じです。離れて暮らしていて後から知った場合は、知った日から数えます。

【早見表】亡くなった月別の期限と、同じ時期に来る手続き

毎月15日に亡くなり、その日に知った場合の期限を並べました。左から順に期限が来るので、相続放棄の判断を先に済ませてください。

亡くなった日 相続放棄(3か月) 準確定申告(4か月) 前年分の申告 青色申告の承認申請(被相続人が青色申告者) 相続税の申告(10か月)
1月15日 4月15日 5月15日 未提出なら必要 5月15日 11月15日
2月15日 5月15日 6月15日 未提出なら必要 6月15日 12月15日
3月15日 6月15日 7月15日 未提出なら必要 7月15日 翌年1月15日
4月15日 7月15日 8月15日 — 8月15日 翌年2月15日
5月15日 8月15日 9月15日 — 9月15日 翌年3月15日
6月15日 9月15日 10月15日 — 10月15日 翌年4月15日
7月15日 10月15日 11月15日 — 11月15日 翌年5月15日
8月15日 11月15日 12月15日 — 12月15日 翌年6月15日
9月15日 12月15日 翌年1月15日 — 12月31日 翌年7月15日
10月15日 翌年1月15日 翌年2月15日 — 12月31日 翌年8月15日
11月15日 翌年2月15日 翌年3月15日 — 翌年2月15日 翌年9月15日
12月15日 翌年3月15日 翌年4月15日 — 翌年2月15日 翌年10月15日

表の見方:黄色の行(1月1日〜3月15日に亡くなった場合)は、前年分の確定申告を済ませていなければ、前年分と本年分の2回分を同じ期限で出します。期限が土日祝日に当たる場合は次の平日です。

重要ポイント:12月に亡くなった人の準確定申告は、通常の3月15日を過ぎた4月が期限です。逆に、相続放棄の期限は準確定申告より1か月早く来ます。借金が多そうなら、準確定申告の準備より先に放棄の判断をしてください。

計算ロジック:準確定申告・相続放棄・相続税はいずれも「知った日の翌日から数えて○か月」で、結果は知った日と同じ日付になります。

青色申告の列:国税庁No.2070の区分によります。1月1日〜8月31日の死亡は死亡日から4か月以内、9月1日〜10月31日は12月31日、11月1日〜12月31日は翌年2月15日です。

相続税の申告期限の数え方と、間に合わないときの対処は、下記の記事で解説しています。

令和8年に亡くなった人は12月1日をまたぐかで計算が変わる

令和8年分の基礎控除などの引上げは、令和8年12月1日に施行されます。11月30日以前に出す準確定申告には改正後の金額を使えません。

準確定申告書を出す日 使う基礎控除などの金額 改正後の金額を使う方法
令和8年11月30日以前 改正前(令和7年分と同じ額) 12月1日から令和13年12月1日までに更正の請求をする
令和8年11月30日以前で、期限がまだ来ていない 改正前(令和7年分と同じ額) 期限内に申告書を出し直す(訂正申告)こともできる
令和8年12月1日以後 改正後 そのまま申告すればよい

表の見方:令和8年7月31日までに亡くなった人は、準確定申告の期限が11月30日以前に来ます。期限内に改正前の額で申告し、12月1日以後に更正の請求をする流れになります。8月1日以後に亡くなった人は、12月1日以後に出せば改正後の額で計算できます。

重要ポイント:勤務先が亡くなった人に行った年末調整も、最後の給与が11月30日以前なら改正前の額です。改正後の控除を受けるには準確定申告が必要です。源泉徴収票の「源泉徴収税額」が0円なら、申告しても戻る税金はありません。

参照元:国税庁 令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A(令和8年5月)

期限を過ぎたら|加算税・延滞税と、還付だけなら5年以内

納める税金があるのに期限を過ぎると、無申告加算税と延滞税がかかります。「必要だと知らなかった」という理由では免除されません。

ペナルティ 中身 割合の目安
無申告加算税 期限までに申告しなかったことへの罰 原則15%(税務署の調査の通知前に自分から出せば5%)
延滞税 納付が遅れた日数分の利息 2026年は年2.8%(納期限の翌日から2か月を過ぎると年9.1%)

計算ロジック:【前提】納める所得税10万円を、期限から1か月遅れて税務署の調査前に自分から申告・納付したシナリオ。無申告加算税は10万円×5%=5,000円、延滞税は10万円×2.8%×31日÷365日≒237円で、1,000円未満のため0円です。

税金が戻るだけの申告(還付申告)は、期限を過ぎても出せます。亡くなった年の翌年1月1日から5年以内なら受け付けてもらえます。

ただし戻った税金は相続財産になります。相続税の申告が必要な家庭は、相続税の申告より前に還付を受けておくと計算がずれません。

参照元:国税庁 No.9205 延滞税について

準確定申告のやり方|4つのステップと必要書類

準確定申告の流れは、通常の確定申告とほぼ同じです。違うのは、相続人の間で役割を決めることと、相続人の情報を書く付表が加わることです。書類の取り寄せに1〜2か月かかることがあるため、亡くなって1か月以内に動き始めてください。

準確定申告の流れ|STEP1〜STEP4

相続人が2人以上いるときは、最初に代表者を決めると後の作業が進めやすくなります。還付金を代表者がまとめて受け取るなら、他の相続人全員の委任状が必要です。

STEP1
申告が必要かを判定する(亡くなってすぐ)
前年の確定申告書の控え、年金や給与の通知、通帳の入金から収入の種類を確かめます。判定表で「必要」か「出すと戻る」に当たるかを見ます。

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STEP2
代表者を決め、書類を集める(1〜2か月目)
源泉徴収票、控除証明書、医療費の領収書、事業や家賃の帳簿を集めます。相続人全員のマイナンバーと本人確認書類も用意します。

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STEP3
申告書と付表を作る(3か月目)
通常の確定申告書に「準確定」と書いて作成し、相続人が2人以上なら付表に全員の情報と負担割合を書きます。国税庁の確定申告書等作成コーナーでは作れないので、手書きかe-Taxソフトを使います。

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STEP4
提出して納税する(4か月以内)
亡くなった人の住所地の税務署に、持参・郵送・e-Taxのいずれかで出します。納める税金は各相続人が負担割合に応じて期限までに納めます。

必要書類の一覧と取り寄せ先

必要書類は、亡くなった人の収入と使う控除によって変わります。源泉徴収票は届くまで時間がかかるので、早めに発行元へ連絡してください。

書類 必要になる場合 入手先
確定申告書(第一表・第二表) 全員 税務署・国税庁のサイト
確定申告書付表(死亡した者の所得税の付表) 相続人が2人以上のとき(e-Taxなら1人でも) 税務署・国税庁のサイト
給与の源泉徴収票 給与があったとき 勤務先から相続人へ届く
公的年金等の源泉徴収票 年金を受け取っていたとき 日本年金機構など(支給停止後に届く)
青色申告決算書・収支内訳書 事業や家賃収入があったとき 帳簿をもとに作成
医療費控除の明細書 医療費控除を受けるとき 領収書や医療費通知をもとに作成
生命保険料・社会保険料などの控除証明書 その控除を受けるとき 保険会社など
委任状(準確定申告用) 還付金を代表者がまとめて受け取るとき 国税庁のサイト
相続人のマイナンバーと本人確認書類の写し 全員分 各相続人

表の見方:源泉徴収票は申告書を作るために使う書類で、提出は原則不要です。付表には亡くなった人のマイナンバーは書かず、相続人のマイナンバーを書きます。

参照元:国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)

相続人が2人以上のとき|連名で1通か、別々に出すか

相続人が2人以上いる場合、申告の出し方は2通りあります。別々に出したときは、申告した内容を他の相続人に知らせる義務があります。

出し方 向いている場面 注意点
全員の連名で1通 相続人どうしの連絡が取れる 付表に全員のマイナンバーを書くため、他の相続人に番号が知られる
各自が別々に出す 疎遠・争いがある、マイナンバーを知られたくない 他の相続人の氏名を付記し、申告した内容を通知する

重要ポイント:以前は付表への押印が必要でしたが、現在は押印は要りません。署名だけで提出できます。

準確定申告の税金は誰がどう納めるか

準確定申告で納める税金は、相続人が付表の負担割合に応じて、それぞれ自分の分を納めます。納付の期限は申告の期限と同じ、知った日の翌日から4か月以内です。

項目 中身
誰が納めるか 各相続人が、法定相続分か遺言の割合で分けた自分の分を納める
いつまでに 申告の期限と同じ(知った日の翌日から4か月以内)
どう納めるか 納付書で金融機関・税務署の窓口、ダイレクト納付、クレジットカード、スマホアプリなど
お金の出どころ 亡くなった人の預金から払うか、相続人が立て替えるかを相続人で決める

表の見方:亡くなった人の口座は、金融機関が死亡を知ると凍結されます。凍結後は遺産分割の前でも一定額まで払い戻せる制度がありますが、手続きに時間がかかるため、納税資金をどこから出すかは早めに決めてください。

相続人が立て替えた場合でも、納めた所得税は亡くなった人の債務として相続税の計算で差し引けます。立て替えた分を遺産分割で精算するかも、あわせて話し合っておきます。

提出方法|持参・郵送・e-Tax

準確定申告書は、税務署への持参、郵送、e-Taxのどれでも出せます。e-Taxで出すときは、相続人の代表者がまとめて送信します。

  • ・e-Taxでは、相続人が1人でも付表の提出が必要
  • ・相続人が2人以上なら、全員が内容を確認して署名した「準確定申告の確認書」をPDFで送る
  • ・電子証明書は相続人の代表者のものを付ける(税理士が代理送信するなら税理士のもの)
  • ・作成は国税庁の確定申告書等作成コーナーではなく、e-Taxソフト等を使う

郵送する場合は、通信日付印の日が提出日になります。期限当日の消印でも間に合いますが、書留など記録が残る方法で送ると安心です。

参照元:国税庁 所得税及び復興特別所得税の準確定申告のe-Tax対応について

準確定申告書と付表の書き方

準確定申告に専用の申告書はなく、通常の確定申告書を使います。書き方が変わるのは、表題と住所・氏名欄と付表の3か所だけです。

申告書は通常の様式を使う|表題に「準確定」と書く

第一表と第二表の表題「確定申告書」の前に「準確定」と書き加えます。所得の種類ごとに申告書AとBを使い分ける方法は廃止され、今は1つの様式です。

収入や控除の欄は、死亡日までの金額で通常どおり書きます。住民税に関する欄は書かなくて構いません。亡くなった年の所得には、翌年度の住民税がかからないためです。

相続人が1人のときの書き方

相続人が1人の場合は、付表を出さずに申告書だけで済みます(紙で出す場合)。住所・氏名欄に亡くなった人と相続人の2人分を書くのがポイントです。

  • ・表題に「準確定」と書く
  • ・住所・氏名欄を上下2段に分け、上に亡くなった人、下に相続人を書く
  • ・亡くなった人の氏名の前に「被相続人」、相続人の氏名の前に「相続人」と書き添える
  • ・余白に亡くなった人の死亡年月日と、相続人のマイナンバーを書く
  • ・還付金の受取口座は相続人の名義の口座を書く

相続人が2人以上のときの付表の書き方

相続人が2人以上なら、申告書には亡くなった人の情報だけを書き、相続人の情報は付表にまとめます。付表で決めた負担割合が、そのまま各人の納税額と還付額になります。

付表の欄 書く内容
死亡した者の住所・氏名・死亡年月日 亡くなった人の情報
納める税金または還付される税金 申告書第一表で計算した金額
相続人等の代表者の指定 代表者を決めた場合はその氏名
限定承認の有無 限定承認をした場合は「限定承認」を丸で囲む
相続人等の住所・氏名・マイナンバー・続柄など 相続人全員の情報
相続分・相続財産の価額 法定相続分か遺言で指定された割合と、相続などで取得した財産の価額
各人の納付税額・還付税額 税金の総額を相続分で分けた額
還付金の受取場所 各相続人の口座(代表者がまとめて受け取るなら委任状を付ける)

表の見方:相続財産の価額は、準確定申告の時点では遺産の額が固まっていないことが多い欄です。書き方に迷ったら、提出前に税務署か税理士に確認してください。負担割合は「誰が遺産を多く取ったか」ではなく、法定相続分か遺言の割合です。

所得控除は「死亡日まで」に払った分だけ

医療費・社会保険料・生命保険料などの控除は、亡くなった人が死亡日までに払った分だけが対象です。亡くなった後に相続人が払った入院費は、準確定申告の医療費控除に入れられません。

配偶者控除・扶養控除などは、死亡日の状況で要件を満たしているかを判定します。要件を満たせば1年分を満額使え、月割りはしません。

亡くなった後に払った入院費の扱いは、次の章の還付の話とあわせて解説します。

準確定申告で税金はいくら戻るか|還付の計算例

年の途中で亡くなった人は、1年分の控除を半年分の所得から引けるため、税金が戻りやすい状態です。源泉徴収された税額があれば、まず還付を疑ってください。

還付が出やすい3つのケース

還付が出るのは、すでに引かれた税金が、正しく計算した税金より多い場合です。次の3つは特に還付が出やすいケースです。

【ケース1】年金から源泉徴収されていた

年金の源泉徴収は1年分の受給を前提に計算されています。年の途中で亡くなると、受け取った年金が少ないのに控除は1年分使えるため、引かれた税金の多くが戻ります。

【ケース2】会社員が年の途中で亡くなった

勤務先の年末調整では医療費控除や寄附金控除は使えません。入院費が多かった人は、準確定申告で医療費控除を受けると税金が戻ります。

【ケース3】令和8年中に亡くなった

令和8年分の基礎控除の引上げは、亡くなった人の年金の精算や年末調整に反映されません。準確定申告か更正の請求をして初めて差額が戻ります。

【計算例】年金だけの母と、家賃収入のある父の還付・納税額

2つの家庭で、準確定申告の結果を計算しました。年金だけの母は、源泉徴収された税金が全額戻ります。

項目 年金だけの母 家賃収入のある父
亡くなった日 令和8年6月20日 令和8年6月20日
死亡日までの所得 年金120万円−公的年金等控除110万円=10万円 家賃の所得300万円
所得控除 基礎控除95万円 社会保険料30万円・医療費控除30万円・基礎控除88万円
課税所得 0円 152万円
準確定申告の税額 0円 7万7,500円(納付)
源泉徴収されていた税額 1万5,000円(源泉徴収票の金額と仮定) なし
結果 1万5,000円が戻る 7万7,500円を納める(医療費控除なしなら9万2,900円)

表の見方:どちらも令和8年11月30日以前に申告した場合の数字です。令和7年分と同じ基礎控除(母95万円・父88万円)で計算しています。

重要ポイント:父は12月1日以後に更正の請求をすると、基礎控除が104万円になり税額が6万9,400円に下がります。差額の8,100円が戻ります。医療費控除を入れない場合(9万2,900円)と比べると、1万5,400円少なくなっています。

計算ロジック:【前提】母は65歳以上で、2・4・6月に年金計120万円を受け取った。父の医療費は40万円で、控除は40万円−10万円=30万円です。

父の計算式:課税所得は300万円−30万円−30万円−88万円=152万円、所得税は152万円×5%=7万6,000円です。復興特別所得税2.1%を加えて100円未満を切り捨て、7万7,500円になります。

年金の死亡月の分などで、亡くなった後に遺族が受け取る年金(未支給年金)は、この計算に入れません。受け取った遺族本人の所得として扱います。

戻った税金は相続人で分ける|委任状と遺産分割協議書への書き方

還付金は、付表に書いた相続分で各相続人が受け取ります。代表者がまとめて受け取るなら、他の相続人全員の委任状を申告書と一緒に出してください。

代表者がまとめて受け取ったお金は、遺産分割協議で誰のものにするかを決めます。遺産分割協議書に「所得税の還付金〇〇円とその還付加算金は、相続人〇〇が取得する」と書いておくと、後で揉めません。

還付が遅れたときに上乗せされる利息(還付加算金)は、亡くなった人の財産ではありません。受け取った相続人のその年の所得になります。

亡くなった後に払った医療費|準確定申告では引けないが、ほかの2か所で使える

亡くなった後に相続人が払った入院費は、準確定申告の医療費控除には入りません。ただし、それで終わりではありません。相続税の計算と、払った相続人の医療費控除の2か所で使えます。

使える場所 扱い 条件
準確定申告の医療費控除 使えない 死亡日までに本人が払った分だけが対象
相続税の計算 遺産から差し引ける 亡くなった時点で未払いだった医療費(亡くなった人の債務)
払った相続人の医療費控除 使える 治療を受けた時か払った時に、亡くなった人と生計を一にしていた親族が払った場合

表の見方:同じ入院費を、相続税の計算と相続人自身の確定申告の両方で使えます。同居して家計を一緒にしていた子が払ったなら、その子の翌年の確定申告で医療費控除を受けられます。

医療費控除の対象になる「生計を一にする親族」は、治療を受けた時か払った時の状況で判定します(所得税基本通達73-1)。

参照元:国税庁 所得税基本通達 法第72条《雑損控除》関係

入院給付金を受け取った場合の扱いは、下記の記事で解説しています。

準確定申告と相続税の関係|納めた所得税は差し引け、戻った税金は財産になる

準確定申告の結果は、相続税の計算に入ります。納めた所得税は遺産から差し引け、戻った税金は遺産に加わります。相続税の申告が必要な家庭は、この順番を押さえてください。

準確定申告で納めた所得税は相続税の計算で差し引ける

準確定申告で納める所得税は、亡くなった人が本来払うべきだった税金です。亡くなった人の借金と同じ扱いになり、相続税の計算で遺産から差し引けます。

準確定申告の結果 相続税の計算での扱い 相続税への影響(税率15%の家庭)
所得税7万7,500円を納めた 遺産から7万7,500円を差し引く 約1万1,600円下がる
所得税1万5,000円が戻った 遺産に1万5,000円を加える 約2,300円上がる

計算ロジック:相続税の影響は、差し引く額や加える額に、その家庭で最後にかかる相続税の税率をかけた概算です。7万7,500円×15%≒1万1,600円、1万5,000円×15%=2,250円(約2,300円)です。

重要ポイント:準確定申告の税理士報酬は、相続人が亡くなった後に払う費用なので、相続税の計算では差し引けません。差し引けるのは、準確定申告で納める税金そのものです。

相続税の計算で差し引ける債務の範囲は、下記の記事で解説しています。

戻った税金は相続財産になる|利息にあたる還付加算金は相続人の所得

準確定申告で戻る税金は、亡くなった人が生きている間に払いすぎていた税金です。受け取るのは相続人でも、亡くなった人の財産として相続税の対象になります。

還付金に上乗せされる還付加算金は、亡くなった後に生じる利息のようなものです。こちらは相続財産ではなく、受け取った相続人の雑所得になります。

相続税の申告で還付金を書き漏らすと、申告漏れとして指摘されます。還付の通知と入金の記録は、相続税の申告まで保管してください。

準確定申告を先に済ませる理由|相続税の申告との順番

準確定申告の税額が決まらないと、相続税の計算で差し引く額も加える額も決まりません。準確定申告を先に済ませてから、相続税の申告書を作ってください。

3か月
遺産と借金をおおまかに把握し、相続放棄や限定承認をするかを決める

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4か月
準確定申告をして、納める所得税か戻る税金の額を確定させる

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5〜9か月
遺産の評価と遺産分割協議を進める。所得税は債務として、還付金は財産として計上する

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10か月
相続税の申告と納税をする

亡くなった後の手続きを期限順に並べたチェックリストは、下記の記事にまとめています。

生前の住民税・固定資産税も差し引ける|払い忘れの確認

亡くなった時点で納期限が来ていない税金も、亡くなった人の債務です。準確定申告の所得税と同じく、相続税の計算で遺産から差し引けます。

税金 亡くなった人の債務になる理由 確認する書類
住民税 その年1月1日に住んでいた人に、前年の所得分が1年分かかる 住民税の納税通知書
固定資産税 その年1月1日の所有者に1年分がかかる 固定資産税の納税通知書
準確定申告の所得税 亡くなった年の所得にかかる 準確定申告書の控え

表の見方:死亡後に相続人が納めた分も、亡くなった時点で未払いだった分は差し引けます。一方、亡くなった年の所得には翌年度の住民税がかかりません。

相続税で差し引ける費用と差し引けない費用の一覧は、下記の記事で解説しています。

準確定申告で気をつけたい特殊なケース

相続放棄や限定承認をした場合、年金を受け取っていた場合、個人事業をしていた場合は、準確定申告の扱いが変わります。当てはまる家庭は、一般的な手順だけで進めないでください。

相続放棄をした人、全員が放棄した場合

相続放棄をした人は、初めから相続人でなかったとみなされます。放棄した人には準確定申告の義務も、所得税を納める義務もありません。残りの相続人が申告します。

相続人全員が放棄して誰もいなくなった場合は、家庭裁判所が選ぶ相続財産清算人が、遺産の中から手続きを進めます。

注意したいのは、放棄の前に還付金を受け取って使うことです。遺産を処分したとみなされ、放棄が認められなくなるおそれがあります。

相続放棄と相続税の関係は、下記の記事で解説しています。

限定承認をすると、値上がりした財産に所得税がかかる

限定承認は、受け継いだ財産の範囲内でだけ借金を払う相続の方法です。限定承認をすると、亡くなった人が死亡時の時価で財産を売ったものとみなされます。

買った時より値上がりした土地や株があれば、その値上がり益に所得税がかかります。この所得税は準確定申告で申告し、亡くなった人の債務として遺産から払います。

付表の「限定承認」を丸で囲むのもこのケースです。限定承認は相続人全員で3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があり、準確定申告の4か月と時期が重なります。

限定承認の所得税と、相続に関わる所得税の全体像は、下記の記事で解説しています。

未支給年金は準確定申告に入れない

年金は2か月分ずつ後払いのため、亡くなると受け取っていない年金が残ります。遺族が請求して受け取るこの年金を、未支給年金といいます。未支給年金は遺族本人の一時所得で、亡くなった人の準確定申告には入れません。

お金 どの税金の対象か 申告する人
死亡日までに受け取った年金 亡くなった人の所得税 相続人(準確定申告)
未支給年金 受け取った遺族の所得税(一時所得) 受け取った遺族(一時所得は50万円の特別控除があり、それ以下なら税金はかからない)

表の見方:未支給年金は遺族固有の権利なので、相続財産にも入りません。準確定申告と相続税の申告のどちらにも書かないのが正しい扱いです。

参照元:国税庁 No.1605 遺族の方に支給される公的年金等

個人事業を継ぐ場合|消費税の申告と青色申告の承認申請の期限

亡くなった人が個人事業や賃貸経営をしていた場合は、準確定申告のほかにも期限のある手続きがあります。事業を継ぐ相続人は、青色申告の承認申請を期限までに出さないと、その年は白色申告になります。

手続き 必要になる場合 期限
消費税の準確定申告 亡くなった人が消費税の課税事業者だった 知った日の翌日から4か月以内
個人事業の廃業届(亡くなった人の分) 亡くなった人が事業をしていた 死亡から1か月以内が目安
青色申告の承認申請(継ぐ人)・被相続人が青色申告者 1月1日〜8月31日に亡くなった 死亡の日から4か月以内
同上 9月1日〜10月31日に亡くなった その年の12月31日
同上 11月1日〜12月31日に亡くなった 翌年2月15日
青色申告の承認申請(継ぐ人)・被相続人が白色申告者 その年1月16日以後に事業を継いだ 事業を継いだ日から2か月以内

表の見方:亡くなった人の青色申告の承認は、継ぐ人には引き継がれません。継ぐ人が自分の名前で新しく申請します。期限を過ぎると、その年は青色申告特別控除などが使えません。

参照元:国税庁 No.2070 青色申告制度

準確定申告は自分でできる?税理士に頼むべきケース

準確定申告は、収入が年金や給与だけなら相続人が自分でできます。事業や家賃収入がある場合と、相続税の申告も必要な場合は、税理士に頼むほうが確実です。

自分でできるケース|年金・給与だけで書類がそろう場合

収入が年金や給与だけなら、源泉徴収票の数字を申告書に写し、控除を足せば計算できます。相続人が1人で、相続税の申告が不要な家庭なら、自分で出しても大きな失敗は起きにくいです。

書き方に迷ったら、亡くなった人の住所地の税務署で相談できます。電話で予約してから行くと、待ち時間なく書き方を確認できます。

税理士に頼んだほうがよいケース

次のどれかに当てはまる場合は、税理士に頼むかを早めに検討してください。4か月の期限内に帳簿の集計と相続人の調整を終えるのは負担が大きいためです。

【税理士に頼んだほうがよいケース】

  • ・亡くなった人が事業や賃貸経営をしていた(帳簿の締めと決算書が必要)
  • ・遺産が基礎控除を超え、相続税の申告も必要
  • ・相続人が多い、疎遠、または争いがある
  • ・限定承認をする、または値上がりした不動産や株がある
  • ・1月1日〜3月15日に亡くなり、前年分もあわせて2回分の申告が必要
  • ・事業を継ぐ相続人がいて、青色申告の承認申請も同時に進める

相続税の申告も頼むなら、準確定申告とまとめて同じ税理士に依頼すると、所得税と相続税の数字を一度に合わせられます。

税理士費用の目安と、費用を相続税で差し引けるか

準確定申告の税理士報酬は、年金や給与だけなら5万〜10万円程度が目安で、事業や家賃収入があると上がります。相続税申告とまとめて頼む場合は、見積書に準確定申告が含まれているかを必ず確認してください。

この報酬は相続人が亡くなった後に払う費用なので、相続税の計算では差し引けません。所得税の経費にもなりません。

税理士費用を控除や経費にできるかは、下記の記事で詳しく解説しています。

税務署の相談を使うときのコツ

自分で申告する場合も、税務署の相談をうまく使えば間違いを減らせます。相談に行く前に、次の書類を手元にそろえておいてください。

  • ・亡くなった人の源泉徴収票(年金・給与)
  • ・前年の確定申告書の控え(あれば)
  • ・医療費の領収書と、入院給付金など補てんされた金額が分かる書類
  • ・相続人全員の氏名・住所・続柄のメモ
  • ・亡くなった日と、亡くなったことを知った日

税務署で教えてもらえるのは申告書の書き方までです。相続税との兼ね合いや遺産の分け方までは相談できないため、相続税の申告も必要な家庭は税理士への相談とあわせて進めてください。

準確定申告の相談は相続税の対応実績がある税理士へ|一括相談・見積り

準確定申告は、相続税の申告と数字がつながっています。所得税だけを見て申告すると、相続税の計算で差し引けるはずの税金を漏らすことがあります。

報酬も事務所によって差があり、1つの事務所だけでは比べられません。この章では、複数の税理士に一括で相談する意味と手順を整理します。

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

準確定申告は所得税の手続きですが、相続のさなかに行うため、相続税の知識がないと判断を誤ります。相続税の対応実績がある税理士なら、2つの申告を1つの流れで組み立てられます。

【実績がある税理士が必要な理由】

  • 順番の設計 — 相続放棄(3か月)・準確定申告(4か月)・相続税(10か月)を逆算して組める
  • 債務と財産の計上 — 準確定申告の所得税や未払いの税金を、相続税の計算で漏らさず差し引ける
  • 還付の取りこぼし防止 — 年金の源泉徴収や医療費、令和8年の改正分の還付を見落とさない
  • 特殊なケースの判断 — 限定承認の所得税、未支給年金、事業を継ぐ人の青色申告まで見通せる
  • 税務調査への備え — 準確定申告と相続税の申告で数字が食い違わないようにそろえられる

具体例で見ます。家賃収入のある父が令和8年6月に亡くなり、準確定申告で所得税7万7,500円を納めたケースです。A税理士は準確定申告だけを受け、相続税の申告では所得税を差し引きませんでした。

B税理士は2つの申告をまとめて受け、所得税と未払いの固定資産税を相続税の計算で差し引きました。さらに12月に更正の請求をし、所得税8,100円を取り戻しています。

計算ロジック:所得税7万7,500円を差し引くと、税率15%の家庭なら相続税は約1万1,600円下がります。更正の請求では、基礎控除が88万円から104万円に上がって税額が6万9,400円になり、差額8,100円が戻ります。

税理士を比較するときの3つの判定ポイント

見積りと初回相談の内容から、実務力は具体的に読み取れます。次の3点を同じ質問で比べます。

判定ポイント1:期限の順番を示せるか/亡くなった日を伝えて「相続放棄・準確定申告・相続税の期限はそれぞれいつで、何から始めるか」を聞きます。
→ その場で日付と順番を示せる事務所のほうが、相続の手続き全体に慣れていると判定できます。

判定ポイント2:相続税とのつながりを説明できるか/「準確定申告の税金は相続税でどう扱いますか」と聞きます。
→ 納めた税金は差し引け、還付金は財産になると即答できる事務所のほうが、2つの申告をそろえられると判定できます。

判定ポイント3:見積りに準確定申告の報酬が明記されているか/相続税申告の報酬だけを出す事務所と、準確定申告・前年分・消費税の加算条件まで書く事務所があります。
→ 先に示す事務所のほうが、後から総額が膨らむ心配が少ないと判定できます。

この3点は複数の事務所に同じ質問をすれば必ず差が出ます。1つの事務所だけでは、その回答が標準なのか判断できません。

相談しないまま進めるリスク

【相談しないまま進めるリスク】

  • 期限切れ — 4か月を過ぎ、無申告加算税と延滞税が上乗せされる
  • 前年分の申告漏れ — 1〜3月に亡くなったのに本年分だけを出し、前年分が無申告になる
  • 還付の取りこぼし — 年金の源泉徴収や医療費、令和8年の改正分の還付を受けないまま終わる
  • 相続税での差し引き漏れ — 準確定申告の所得税や未払いの住民税を引かずに相続税を多く納める
  • 還付金の計上漏れ — 戻った税金を相続財産に入れず、相続税の申告漏れを指摘される
  • 青色申告の失効 — 事業を継ぐ人の承認申請が遅れ、その年の控除を失う

還付申告は5年以内なら後からでも出せますが、そもそも還付があると気づかなければ請求もできません。

税理士費用の相場と見積書の見方は、下記の記事で解説しています。

一括相談・見積りの手順|STEP1〜STEP4

STEP1
相続の概要を整理する
被相続人の資産内容と資産額の概算、相続人の構成と年齢、遺言の有無を整理します。亡くなった日と、年金・給与・事業・家賃など収入の種類も控えておきます。

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STEP2
一括見積り・相談サービスに依頼する
相続税申告・相続税の節税・確定申告・準確定申告など希望する内容を明記し、目安3〜5の税理士事務所へ同時に打診します。所有する不動産があれば所在地と広さを記載します。財産の種類と相続人の人数はできるだけ正確に伝えると見積りの精度が上がります。フォームの記入自体は5分程度です。

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STEP3
見積りと初回相談を受ける
各税理士から提案内容・試算相続税額・報酬額が記載された見積りが届きます。気になる事務所と初回相談を行い、上記の3つの判定ポイントを同じ質問で必ず確認します。

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STEP4
税理士を選定・正式依頼する
提案内容の質、説明の丁寧さ、報酬の納得性で最適な事務所を選びます。準確定申告が必要なら、亡くなってから2か月以内に決めておくと、4か月の期限までに書類集めと計算の時間を確保できます。相続税の申告も、相続開始から7ヶ月以内には依頼先を決めてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 準確定申告をしないとどうなりますか?

納める税金があるのに4か月の期限を過ぎると、無申告加算税と延滞税がかかります。税務署の調査の通知前に自分から申告すれば、無申告加算税は5%に下がります。税金が戻るだけの申告なら、亡くなった年の翌年1月1日から5年以内に出せば受け付けてもらえます。

Q2. 年金だけの親でも準確定申告は必要ですか?

公的年金の収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下なら、申告の義務はありません。ただし年金から所得税が源泉徴収されていれば、申告すると全額か一部が戻ることがあります。

令和8年中に亡くなった人は、12月の年金での精算がないため、特に確認する価値があります。

Q3. 相続放棄をしたら準確定申告はしなくていいですか?

相続放棄をした人は相続人でなかったとみなされるため、準確定申告の義務はありません。残りの相続人が申告します。全員が放棄した場合は、家庭裁判所が選ぶ相続財産清算人が手続きを進めます。

Q4. 準確定申告で戻った税金は誰のものですか?

付表に書いた相続分に応じて、各相続人が受け取ります。代表者がまとめて受け取る場合は、他の相続人全員の委任状が必要です。戻った税金は亡くなった人の財産なので、相続税の申告では相続財産に含めます。

Q5. 準確定申告と相続税の申告は同じ税理士に頼めますか?

頼めます。同じ税理士にまとめて頼むと、準確定申告の所得税を相続税の計算で差し引く処理や、還付金を相続財産に入れる処理を漏れなくそろえられます。見積書に準確定申告の報酬が含まれているかを確認してください。

まとめ|準確定申告は「要るかの判定」と「4か月」から始める

準確定申告は、亡くなった人の所得税を相続人が代わりに申告する手続きです。期限は4か月と短く、相続税の申告とは別に必要になります。

要否は亡くなった人の収入の種類で決まり、申告の義務がない人でも税金が戻ることがあります。この記事で扱った内容を整理すると次のとおりです。

  • 対象は亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得。期限は知った日と同じ日付の4か月後
  • 会社員や年金だけの人は原則不要。事業・家賃収入・年金400万円超などは必要
  • 1月1日〜3月15日に亡くなり前年分が未提出なら、前年分もあわせて2回分を出す
  • 令和8年分の基礎控除の引上げは12月1日施行。11月30日以前の申告は、12月1日以後の更正の請求で差額が戻る
  • 年金から源泉徴収されていた人は、年の途中で亡くなると税金の多くが戻りやすい
  • 亡くなった後に払った医療費は、相続税の計算と、生計を一にしていた相続人の医療費控除で使える
  • 納めた所得税は相続税の計算で差し引け、戻った税金は相続財産になる
  • 未支給年金は遺族の一時所得で、準確定申告にも相続財産にも入れない
  • 事業を継ぐ人は、青色申告の承認申請の期限にも注意する

今すぐ取るべき行動

  • 亡くなった人の前年の確定申告書の控えと、年金・給与の源泉徴収票を探す
  • 判定表で、準確定申告が「必要」「出すと戻る」「不要」のどれかを確かめる
  • 亡くなった日から、相続放棄・準確定申告・相続税の期限を早見表で書き出す
  • 相続人が2人以上なら代表者を決め、還付金の受け取り方を話し合う
  • 令和8年中に亡くなった場合は、12月1日以後の更正の請求で戻る額がないか確かめる
  • 相続税の申告も必要そうなら、相続税の対応実績がある税理士3〜5の事務所に一括で相談し、準確定申告を含めた見積りを比べる

※本記事は2026年10月時点の法令等に基づいています。所得税法・相続税法の改正により取扱いが変更される場合があります。最新の制度については国税庁のウェブサイトまたは相続税の対応実績がある税理士にご確認ください。

相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ
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