


相続税の債務控除とは、亡くなった方が残した借入金などの債務や、葬式にかかった費用を、遺産の総額から差し引ける仕組みです。差し引いた分だけ課税の対象が小さくなり、相続税を減らせます。
相続税は、プラスの財産からマイナスの財産(債務・葬式費用)を引いた「純資産」に対してかかります。そのため、引ける債務を正しく拾うことが、そのまま税額の軽減につながります。
ただし、どんな債務でも引けるわけではありません。対象になるのは「相続開始のときに確実に存在した債務」に限られ、団体信用生命保険付きの住宅ローンや墓石の未払金などは対象外です。
葬式費用も、通夜・告別式や火葬の費用は引ける一方、香典返しや初七日の法要費用は引けません。似た費用でも扱いが分かれるため、間違えやすいポイントを押さえておく必要があります。
さらに、「誰が負担したか」によっても控除できるかが変わります。相続人や包括受遺者は引けますが、特定受遺者や相続放棄をした人は原則引けない、といった違いがあります。
判断を誤ると、引けるはずの債務を見落として相続税を払いすぎたり、逆に引けない費用を入れて後の税務調査で否認されたりします。正しく理解しておくことが、損も後悔もしない近道です。
本記事では、対象になる債務・ならない債務・葬式費用の○×を系統別の一覧で整理し、誰が引けるかを負担者別に示します。あわせて計算方法・手続き(第13表)・よくある間違いまで、2026年の最新情報で解説します。
▼ この記事の3行まとめ

まず結論からお伝えします。債務控除で引けるのは「相続開始時に確実に存在した債務」と「葬式費用」の2つです。この2つを遺産総額から差し引いた金額に、相続税がかかります。
引ける債務を漏れなく拾えば、そのぶん相続税は軽くなります。まずは全体像を早見表で確認しましょう。
ポイントは、債務控除が「自動では反映されない」制度だという点です。基礎控除のように誰にでも一律に適用されるものではなく、申告する人が対象を拾って計上して初めて効きます。だからこそ、正しい知識が節税の差になります。
債務控除の効果は、引いた金額に税率をかけた分だけ相続税が減るというものです。たとえば債務と葬式費用で1,000万円を引ければ、税率20%なら約200万円の税負担が減ります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 引けるもの | 確実な債務(借入金・未払金など)+葬式費用 |
| 引ける人 | 財産を取得した相続人・包括受遺者が原則 |
| 計算 | プラス財産−債務・葬式費用−基礎控除=課税遺産総額 |
| 申告書 | 第13表「債務及び葬式費用の明細書」に記載 |
| 証拠 | 領収書・請求書。お布施などはメモで可 |
表の見方:債務控除は「引く」制度なので、引ける項目を正しく把握するほど有利になります。見落とすと払いすぎ、入れ間違えると否認されるため、○×の線引きが重要です。
債務控除は、借入金や未払金が多い相続ほど効果が大きくなります。賃貸不動産の借入金や、事業の未払金がある場合は、引ける金額が大きくなりやすいです。
また、遺産が基礎控除ぎりぎりの場合は、債務控除によって課税価格が基礎控除以下になり、相続税がかからなくなることもあります。この場合は結果的に申告が不要になるケースもあります。
相続税の税率は、課税遺産総額が大きいほど高くなる累進課税です。そのため、財産が多い相続ほど、債務控除で課税対象を減らす効果は大きくなります。高い税率がかかる部分を削れるので、同じ1,000万円の控除でも節税額が大きくなるのです。
逆に、目立った借入金がなくても、葬式費用や未払いの医療費・税金は必ず発生します。「うちは借金がないから関係ない」と思っていても、引ける費用は意外とあるものです。
債務控除は、申告する人が自分で拾わないと適用されません。税務署が親切に「これも引けますよ」と教えてくれるわけではないため、対象を知っておくことがそのまま得につながります。
反対に、引けない費用を入れて申告すると、税務調査で否認されて追徴されます。「拾い漏れ」も「入れすぎ」もどちらも損なので、○×を正しく知ることが何より重要です。
債務控除でつまずきやすいのは、「引けると思っていたものが引けない」という誤解です。団信付き住宅ローンや墓石の未払金、初七日の費用などは引けません。
このあとのセクションで、対象になる債務・ならない債務・葬式費用の○×を、系統別の一覧で順番に確認していきます。自分のケースを当てはめながら読み進めてください。
債務控除でよくある失敗は、「引ける費用を知らずに払いすぎる」ことと「引けない費用を入れて否認される」ことの2つです。この記事の○×一覧を押さえれば、どちらの失敗も避けられます。
本記事の構成は、まず対象になる債務、次に対象外の債務、そして葬式費用の○×という順です。そのうえで「誰が引けるか」「どう計算するか」「どう手続きするか」を解説します。気になるところから読んでも構いません。

債務控除の意味を、あらためて整理しておきましょう。債務控除とは、被相続人が残した債務と葬式費用を、相続財産から差し引いて課税価格を計算する仕組みです。相続税法で認められた、納税者に有利な制度です。
相続財産には、預貯金や不動産などの「プラスの財産」と、借入金などの「マイナスの財産」があります。相続税は、プラスからマイナスを引いた純資産に対してかかります。
プラスの財産には、預貯金・不動産・有価証券のほか、死亡保険金や死亡退職金といった「みなし相続財産」も含まれます。これらを合計したうえで、非課税財産を除き、債務・葬式費用を引く、という順で計算していきます。
このマイナス分を差し引く手続きが債務控除です。葬式費用は厳密には被相続人の債務ではありませんが、社会通念上必要な費用として、例外的に控除が認められています。
身近な例で考えると、預貯金3,000万円を残して亡くなった方に、住宅ローンの残りが1,000万円あった場合、正味の財産は2,000万円です。相続税も、この正味の2,000万円を基準に計算するのが公平だという考え方です。
借金を相続人が返さなければならないのに、返す前の総額に課税するのは酷です。だからこそ、実際に負担する債務を差し引いてから課税する仕組みになっています。債務控除は、相続人の負担を実態に合わせるための制度なのです。
「確実と認められる」とは、金額と支払義務がはっきりしている、ということです。相続開始時にすでに支払う金額が決まっている借入金や税金は確実な債務にあたります。一方、金額が未定のものや、発生するか分からない債務は、この要件を満たしません。
債務控除を含めた課税価格は、次の式で計算します。プラス財産に生前贈与加算などを足し、そこから債務・葬式費用と基礎控除を引いた残りが、課税の対象です。
計算式:(プラス財産+みなし相続財産−非課税財産−債務控除−葬式費用)+生前贈与加算=課税価格。この課税価格から基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を引いた金額に、相続税がかかります。
この式のうち、自分で意識して拾わないと減らせないのが「債務控除」と「葬式費用」です。基礎控除は自動的に引かれますが、債務控除は申告する側が計上して初めて反映されます。
生前贈与加算は、逆にプラス側に足し戻される項目です。相続開始前の一定期間の贈与は課税価格に加算されるため、債務控除で減らす一方、加算で増える部分もある、と理解しておきましょう。両者は別々に計算します。
債務控除の対象になるのは、相続開始のときに現に存在し、かつ「確実と認められる」債務に限られます。金額が確定していない債務や、将来発生するかどうか不確実な債務は、原則として引けません。
たとえば、金融機関からの借入金は契約書や残高証明で確実性が示せます。一方、保証債務のように「将来払うかもしれない」債務は、原則として確実とはいえず対象外です。
なお、相続開始前の一定期間に受けた生前贈与は、相続財産に加算されて相続税の対象になります。この加算のルールと債務控除は別々に計算する点も、あわせて押さえておきましょう。
参照元:国税庁 No.4161 相続開始前に贈与があったときの相続税の課税価格への加算

まず、債務控除の対象になる債務を系統ごとに整理します。大きく「借入金」「公租公課(税金)」「未払費用」の3系統に分けると、漏れなく拾えます。
代表的な対象債務を、系統別の一覧で確認しましょう。いずれも「相続開始時に確実に存在した」ことが前提です。
| 系統 | 具体例 | ポイント |
|---|---|---|
| 借入金 | 金融機関・個人からの借入、連帯債務 | 残高+未払利息。連帯債務は負担部分のみ |
| 公租公課 | 所得税・消費税(準確定申告)・住民税・固定資産税 | 被相続人の納税義務分。共有は持分按分 |
| 未払費用 | 医療費・入院費・公共料金・電話代 | 被相続人が使った期間の未払分 |
| 事業・賃貸 | 買掛金などの事業未払金、預り敷金 | 返還義務のある敷金・保証金も対象 |
重要ポイント:公租公課は、被相続人が納めるべきだった税金が対象です。固定資産税は1月1日時点の所有者に課されるため、年の途中で亡くなっても未納分は債務控除できます。
金融機関からの借入金は、確実な債務の代表例です。相続開始日時点の残高と、その時点までの未払利息が対象になります。
個人からの借入金も対象になりますが、親族間の貸し借りは特に厳しく確認されます。借用書や返済の記録、実際の資金の動きがないと、贈与ではないかと疑われることがあります。
金融機関からの借入は、残高証明書を取り寄せれば金額を証明できます。相続開始日時点の残高を金融機関に依頼して確認し、その金額を控除するのが基本の流れです。
残高証明書は、金額の確定だけでなく、団信の有無を確認する手がかりにもなります。金融機関に相続の連絡をする際に、あわせて団信付きかどうかも確認しておくと、後の判断がスムーズです。
連帯債務の場合は、被相続人が負担すべき部分だけが控除対象です。ほかの連帯債務者が返済できず、被相続人がその分も負担することが確実なら、その部分も引ける場合があります。
個人からの借入で特に注意したいのが、時効の問題です。長年返済されていない古い借入は「確実な債務」とは認められにくく、控除が否認されることもあります。返済実績があることを示せるようにしておきましょう。
また、借入金の未払利息も忘れずに拾いましょう。相続開始日までに発生していた利息は、元本とあわせて債務控除できます。残高証明書に未払利息が記載されていることも多いので、確認しておくとよいでしょう。
このように、借入金ひとつをとっても、元本・未払利息・団信の有無と確認すべき点があります。1件ずつ丁寧に確認することが、正しい控除につながります。
被相続人が納めるはずだった税金の未払分も、債務控除の対象です。準確定申告で納める所得税・消費税、住民税、固定資産税などが該当します。
準確定申告とは、亡くなった方のその年の所得を、相続人が代わりに申告する手続きです。ここで確定した所得税は債務控除できます。手続きの詳細は下記の記事で解説しています。
固定資産税は、その年の1月1日時点の所有者に1年分が課される税金です。年の途中で亡くなっても、まだ納めていない分は被相続人の債務として全額を控除できます。共有名義の不動産なら、持分に応じた金額が対象です。
住民税も同じ考え方で、亡くなった年度分の未納があれば控除できます。これらの税金は金額が大きくなりやすいため、納税通知書を確認して確実に拾いましょう。
公租公課で拾い漏れやすいのが、口座振替になっていた税金です。引き落とし前に亡くなっていれば、その分は未納の債務として控除できます。通帳の引き落とし履歴と納税通知書を突き合わせて確認しましょう。

亡くなる直前の入院費や治療費など、支払いが済んでいない医療費も対象です。相続開始後に相続人が支払った未払医療費も、債務控除できます。
水道光熱費や電話代などの公共料金も、被相続人が使った期間の未払分が対象です。賃貸不動産を所有していた場合、入居者から預かっている敷金や保証金も、返還義務のある債務として引けます。
敷金は、将来入居者に返す義務があるお金なので、被相続人の債務として扱われます。賃貸経営をしていた方の相続では、預り敷金の一覧を作っておくと、この控除を漏らさずに済みます。
賃貸経営では、借入金と預り敷金の両方が債務控除の対象になります。プラス財産である不動産と一緒に、これらのマイナスもセットで引き継ぐため、収支を正しく整理することが控除の第一歩です。
クレジットカードの未決済分も、被相続人が生前に使った分であれば債務控除できます。カードの利用明細を確認し、亡くなった時点で未払いだった金額を拾いましょう。
ただし、カードで購入したものが墓石や仏壇など非課税財産の場合、その代金は控除できません。同じカードの未払いでも、何を買ったかによって扱いが分かれる点に注意してください。
これらの未払費用は、金額こそ大きくないものの、積み重なるとまとまった額になります。「少額だから」と省かず、請求書を集めて漏れなく計上することが、税負担を抑えるコツです。
高齢で亡くなった場合に多いのが、介護費用や施設利用料の未払いです。被相続人が利用していた介護サービスや老人ホームの利用料で、亡くなった時点で未払いだった分は債務控除できます。
亡くなった後に相続人が支払った未払分も対象です。ただし、被相続人の預金からすでに引き落とされていた分は、債務ではないため控除できません。「亡くなった時点で払っていなかったか」が判断の基準です。
医療費や施設利用料は、金額が大きくなりやすい費用です。特に長期入院や施設入所の期間が長かった場合、未払分が数十万円から百万円を超えることもあります。請求書を確認し、確実に控除しましょう。
老人ホームの入居一時金の返還金がある場合は、逆にプラスの財産として扱われます。未払費用(マイナス)と返還金(プラス)を混同しないよう、契約内容を確認しておきましょう。
施設の利用料は、月ごとに後払いになっていることが多い費用です。亡くなった月の利用料が未払いなら、その分は債務控除の対象になります。契約書や請求書で、支払いのタイミングを確認しておきましょう。

次に、引けそうで引けない債務を確認します。団信付き住宅ローン・保証債務・墓や仏壇の未払金・相続後にかかる費用は、原則として債務控除できません。間違えやすいペアで整理しましょう。
「引けるもの」と混同しやすい「引けないもの」を、対比で確認します。似ていても扱いが逆になる点に注意してください。
| 引けない(×) | 混同しやすい引ける例(○) |
|---|---|
| 団信付き住宅ローン(保険で完済) | 団信なしの借入金・通常のローン残高 |
| 保証債務(将来の履行が不確実) | 被相続人自身の借入金・連帯債務の負担部分 |
| 墓地・墓石・仏壇の未払金(非課税財産) | 被相続人の医療費・公共料金の未払分 |
| 遺言執行費用・相続登記費用・税理士報酬 | 被相続人が生前に負っていた確実な債務 |
重要ポイント:ポイントは「被相続人が生前に負っていた確実な債務か」です。相続の後に発生する費用(登記・税理士報酬など)は、被相続人の債務ではないため引けません。
住宅ローンの多くには、団体信用生命保険(団信)が付いています。団信付きのローンは、契約者が亡くなると保険金で完済されるため、債務として残らず控除できません。
ただし、団信に加入していないローンや、加入が任意のフラット35などで未加入だった場合は、債務として残るため控除の対象になります。「住宅ローンだから引けない」と決めつけず、団信に入っていたかどうかを必ず確認しましょう。
また、事業用の借入や、団信の対象外となる借入もあります。ローン残高があるからといって一律に判断せず、契約内容を1件ずつ確認することが大切です。
逆に、団信付きのローンを債務控除に入れてしまうと、後の調査で否認されます。保険金で完済されるため債務として残らないのに、残高をそのまま引いてしまうミスです。ローンは必ず団信の有無を確認しましょう。ローンの詳しい扱いは下記の記事で解説しています。

保証債務は、主債務者が返済できないときに肩代わりする債務です。将来払うかどうかが不確実なため、原則として債務控除できません。ただし、主債務者が返済不能で、肩代わりが確実な場合は例外的に引けることがあります。
墓地・墓石・仏壇などの未払金も対象外です。これらは相続税がかからない「非課税財産」にあたるため、その購入に関する債務も控除できない仕組みになっています。
この点を逆手に取れば、生前に墓地や仏壇を購入しておくのは有効な対策になります。生前に現金で買っておけば、その分だけ課税対象の現金が減り、非課税財産に変わるためです。ただしローンを残すと未払金は引けないので、現金で購入するのがポイントです。
保証債務については、原則対象外ですが例外もあります。主債務者がすでに破産するなどして返済不能で、被相続人(保証人)が肩代わりせざるを得ないことが確実なら、その負担額を控除できる場合があります。あくまで「確実に払うことになる」と示せることが条件です。
相続手続きのためにかかる費用も、原則として債務控除できません。遺言執行費用・相続登記費用・税理士報酬などは、被相続人の債務ではなく相続人が負担する費用だからです。
これらは、亡くなったあとに相続手続きを進めるために発生する費用です。被相続人が生前に負っていた債務ではないため、たとえ高額でも債務控除の対象にはなりません。「相続にかかった費用=引ける」ではない点に注意しましょう。
相続開始後に不動産を維持するための固定資産税や管理費も、相続人が負担する費用のため債務控除できません。あくまで「被相続人が亡くなった時点で負っていた債務」が対象です。
ただし、これらの費用が別の税金(所得税など)で経費になる場合もあります。たとえば、相続した賃貸不動産の名義変更にかかった登記費用は、不動産所得の経費にできることがあります。
「相続税では引けないが所得税では引ける」という費用があるため、区別して考えることが大切です。どの税金で引けるかは、費用の性質によって決まります。
税理士報酬も、相続税の申告のためのものは債務控除できません。ただし、相続した事業や不動産に関する顧問料などは、所得税の経費になることがあります。どの税金で引けるかは費用の性質によって変わるため、混同しないよう整理しておきましょう。
相続の経費と債務控除・所得税の関係は、下記の記事で整理しています。


葬式費用は債務ではありませんが、例外的に遺産から引けます。通夜・告別式や火葬の費用は引ける一方、香典返しや法要の費用は引けません。似た費用でも扱いが分かれるため、一覧で確認しましょう。
控除できる範囲は、原則として「亡くなってから葬儀・納骨までにかかった費用」です。○×を一覧で整理します。
| 引ける(○) | 引けない(×) |
|---|---|
| 通夜・告別式の費用、会場費 | 香典返しの費用 |
| 火葬・埋葬・納骨の費用 | 墓地・墓石の購入費用 |
| 遺体・遺骨の搬送費用 | 位牌・仏壇の購入費用 |
| お布施・読経料・戒名料 | 初七日・四十九日などの法要費用 |
| 通夜の飲食代・会葬御礼・心付け | 永代供養料 |
表の見方:境目は「葬儀そのものに必要か」です。会葬御礼は葬儀に必要な費用として引けますが、香典返しは香典のお返しなので引けません。混同しやすいので注意してください。
重要ポイント:お布施や戒名料は領収書が出ないことが多いですが、支払先・金額・日付をメモしておけば控除できます。近年は葬儀と同じ日に初七日を行うことも多く、請求書で区分できない場合は含められることもあります。
受け取った香典は、相続税の対象にはなりません。香典は喪主への贈り物とされ、相続財産に含めなくてよい一方、その香典返しの費用は葬式費用として引けません。
香典で葬儀費用の一部をまかなった場合でも、実際に支払った葬式費用はそのまま控除できます。香典と葬式費用は別々に考えるのが正解です。
会葬御礼と香典返しは特に混同されやすいので注意しましょう。会葬御礼は参列者全員へのお礼として葬儀に必要な費用なので引けますが、香典返しは香典をくれた方へのお返しなので引けません。同じ日に渡していても扱いが分かれます。
なお、香典が社会通念上あまりに高額な場合は、贈与税の対象になることもあります。通常の弔意の範囲であれば非課税ですが、極端に大きな金額には注意が必要です。
また、会社が負担した葬儀費用(社葬など)は、個人の債務控除とは別の扱いになります。遺族が実際に負担した費用だけが、相続税の葬式費用として控除できます。
葬式費用は、意外とまとまった金額になります。葬式費用が200万円で税率20%なら、約40万円の相続税を減らせる計算です。
金額が大きいだけに、引ける費用の拾い漏れは損に直結します。領収書やメモを整理し、対象になる費用を確実に控除しましょう。
葬儀は慌ただしいなかで進むため、支払いの記録が散らばりがちです。葬儀社の請求書、火葬場の領収書、お寺へのお布施のメモなど、支払先ごとにまとめて保管しておくと、あとで整理する手間が省けます。
葬儀社への支払いは、内訳が細かく分かれた請求書になることが多いです。会葬御礼と香典返しが同じ請求書に混在していることもあるため、控除できる項目とできない項目を分けて確認しておくと安心です。
葬式費用は、社会的地位などに照らして常識的な範囲であれば控除できます。ごく一般的な葬儀であれば問題になることはほとんどありません。一方、身分不相応に高額な費用は、一部が認められないこともある点は知っておきましょう。
また、火葬のみの直葬や家族葬でも、実際にかかった葬儀・火葬・納骨の費用は控除できます。葬儀の形式にかかわらず、「葬儀に必要な費用」であれば対象になります。
遠方から親族が来るための交通費や宿泊費は、原則として葬式費用に含まれません。一方、遺体や遺骨を搬送するための費用は、葬儀に必要な費用として控除できます。似ているようで扱いが分かれるため、何のための費用かで判断しましょう。
参照元:国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用

債務控除は、誰が負担しても引けるわけではありません。引けるのは、財産を取得した相続人と包括受遺者が原則です。立場によって可否が変わるため、負担者別に整理します。
立場ごとに、債務と葬式費用それぞれの控除可否をまとめます。自分がどれに当てはまるか確認してください。
| 立場 | 債務控除 | 葬式費用 |
|---|---|---|
| 相続人・包括受遺者 | ○ | ○ |
| 特定受遺者(特定財産だけ取得) | × | × |
| 相続放棄をした人 | × | △(負担すれば遺贈財産から可) |
| 制限納税義務者(海外在住など) | △(国内財産の債務のみ) | × |
重要ポイント:相続放棄をした人は債務控除できませんが、例外があります。放棄した人が葬式費用を負担し、かつ生命保険金などを受け取っている場合は、その葬式費用を控除できます。
財産を相続する相続人と、割合で財産を受け取る包括受遺者は、債務控除の対象です。実際にその債務を負担することが前提で、負担した金額を自分の取得財産から引けます。
包括受遺者とは、「財産の3分の1を遺贈する」のように、割合で財産を受け取る人のことです。プラス財産だけでなくマイナスの債務も割合で引き継ぐため、相続人と同じように債務控除できます。
相続人には配偶者や子などが含まれ、いずれも財産を取得すれば債務控除の対象です。葬式費用についても、負担した相続人が自分の取得財産から引けます。ごく一般的な相続であれば、相続人が債務も葬式費用も引ける、と考えておけば大きく外しません。
複数の相続人がいる場合、誰がどの債務を負担するかは、遺産分割協議で決めるのが一般的です。負担者を明確にしておくと、申告のときにも整理しやすくなります。
遺産分割協議書には、誰がどの債務を引き継ぐかも記載しておくとよいでしょう。口頭で決めただけだと、後から負担者があいまいになり、控除の根拠を示しにくくなります。プラス財産の分け方とあわせて、債務の負担も書き残しておくのが安心です。
ポイントは、財産を多く取得する人が債務も負担するほうが、控除を有効に使えるという点です。財産をほとんど取得しない人が債務だけ負担しても、引ける財産が少なく控除しきれないことがあります。誰が負担するかは、控除の効き方も考えて決めるのが賢明です。
「この土地を遺贈する」のように特定の財産だけを受け取る特定受遺者は、原則として債務控除できません。相続放棄をした人も、そもそも財産も債務も引き継がないため、債務控除の対象外です。
特定受遺者と包括受遺者の違いは、債務控除の可否を分ける重要なポイントです。特定の財産だけを指定して受け取るのが特定受遺者、割合で受け取るのが包括受遺者です。遺言の書き方によって扱いが変わるため、遺言を作る段階から意識しておくとよいでしょう。
海外在住などの制限納税義務者は、日本国内にある財産に関する債務のみ控除できます。国外財産に係る債務や葬式費用は引けない点に注意が必要です。
なお、相続放棄をするかどうかは、債務控除の前に検討すべき大きな判断です。借入金がプラス財産を上回るなら、そもそも相続放棄を選ぶ道もあります。
相続放棄をすると、プラスの財産も一切受け取れなくなります。債務のほうが多い明らかな債務超過なら放棄、プラスが上回るなら相続して債務控除、という判断が基本です。
相続放棄には、家庭裁判所での手続きと原則3ヶ月の期限があります。債務が多い相続では、まず全体の収支を把握することが出発点です。借金と相続放棄の判断は、下記の記事で解説しています。


債務控除を使った相続税の計算を、具体例で確認します。プラス財産から債務・葬式費用を引き、さらに基礎控除を引いた残りが、相続税の対象です。引いた結果で申告の要否が変わることもあります。
計算は、次の順番で進めます。まずプラス財産を集計し、そこから債務・葬式費用、最後に基礎控除を順に引いていきます。
計算の手順:①プラス財産+みなし相続財産を集計 → ②非課税財産を除く → ③債務控除・葬式費用を引く → ④生前贈与加算を足す → ⑤基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を引く。残った金額が課税遺産総額です。
相続人3人(基礎控除4,800万円)を前提に、2つのパターンで比べます。債務控除の有無で結論がどう変わるかを見てみましょう。
| 項目 | パターンA | パターンB |
|---|---|---|
| プラス財産 | 1億円 | 5,500万円 |
| 債務(借入金など) | 2,000万円 | 500万円 |
| 葬式費用 | 300万円 | 250万円 |
| 差引後の財産 | 7,700万円 | 4,750万円 |
| 基礎控除4,800万円との比較 | 超える→申告必要 | 下回る→申告不要 |
表の見方:パターンAは差引後7,700万円が基礎控除を超えるため、2,900万円が課税対象になります。パターンBは債務控除で基礎控除以下になり、相続税がかからず申告も不要です。
計算ロジック:基礎控除は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」で計算しています。債務控除は課税価格を下げる効果があり、その結果が基礎控除を下回れば、原則として相続税も申告も不要になります。
パターンAをもう少し具体的に見てみましょう。課税遺産総額2,900万円を法定相続分で分け、税率をかけて合計すると、相続税の総額はおおむね数十万円規模になります。もし債務控除がなければ課税対象は5,200万円になり、税額はさらに大きくふくらみます。
このように、債務控除があるかないかで税額は大きく変わります。借入金や葬式費用をきちんと拾うことが、そのまま数十万円単位の節税につながるのです。
なお、債務控除は各相続人の取得財産から引くため、遺産分割の内容によって誰の税額が下がるかも変わります。財産を多く取得する人が債務も負担すれば、その人の課税価格が下がり、全体として効率よく控除できます。
注意したいのは、債務控除以外の「特例」で税額が0円になる場合です。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例で0円になるケースは、申告そのものは必要です。
債務控除で基礎控除以下になる場合は申告不要ですが、特例で0円になる場合は申告が条件です。この違いを混同しないよう注意しましょう。
判断に迷ったら、申告しておくほうが安全です。「申告不要と思っていたら実は必要だった」というケースでは、無申告加算税がかかるおそれがあります。
特に、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使うつもりなら、税額が0円でも申告は必須です。これらの特例は「申告したこと」が適用の条件になっているためです。
整理すると、判断基準は「なぜ0円になったか」です。債務控除だけで基礎控除以下なら申告不要、特例を使って0円なら申告必要、と覚えておきましょう。迷ったら申告しておくのが安全です。

債務控除を受けるには、申告書に正しく記載し、証拠を残す必要があります。債務と葬式費用は、相続税申告書の「第13表」に記載します。手続きの流れを時系列で確認しましょう。
債務と葬式費用は、第13表「債務及び葬式費用の明細書」にまとめます。支払先・金額・負担した人を記載し、集計額を第1表へ転記します。
領収書や請求書は、控除の根拠として保管しておきます。お布施や心付けのように領収書が出ない支出は、支払先・金額・日付をメモにして残しておけば認められます。
証拠書類は、後の税務調査で「本当に支払ったか」を確認されたときの備えにもなります。特に葬式費用は現金でのやり取りが多いため、支払いのつど記録を残しておくと安心です。
メモに残す項目は「いつ・誰に・いくら・何のために」の4点です。葬儀社への支払いは領収書、お寺へのお布施はメモ、というように、支払先ごとに証拠をそろえておくと申告がスムーズです。
第13表には「債務」と「葬式費用」を分けて記載する欄があります。それぞれ支払先ごとに金額と負担者を書き、合計を出して第1表・第15表へ転記する流れです。負担者ごとに金額を分けて書くのは、誰の取得財産から引くかを明確にするためです。
申告後に、記載を忘れていた債務や葬式費用に気づくこともあります。その場合は「更正の請求」という手続きで、払いすぎた相続税の還付を求められます。期限は原則として申告期限から5年以内です。
債務控除の計上漏れは、相続税を払いすぎる典型的なパターンです。過去の申告で葬式費用や未払金を入れ忘れていたなら、5年以内であれば還付を受けられる可能性があります。心当たりがあれば、早めに確認しておきましょう。
債務控除に関わる手続きには、2つの期限があります。準確定申告(4ヶ月)と相続税申告(10ヶ月)の流れを押さえましょう。
債務や葬式費用の資料は、相続が起きた直後から集め始めるのが理想です。時間が経つと領収書が見つからなくなったり、記憶があいまいになったりします。早めに動くほど、控除の拾い漏れを防げます。
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重要ポイント:準確定申告で納めた所得税は債務控除できますが、相続人の都合で期限に遅れて生じた延滞税・加算税は控除できません。被相続人が生前に滞納していた税金の延滞分は引ける一方、相続人の責任で生じた分は引けません。
この「誰の責任で生じた附帯税か」という線引きは、実務でも迷いやすいところです。被相続人が生前から滞納していたことによる延滞税は被相続人の債務として引けますが、相続人が期限を守らなかったために生じた延滞税・加算税は引けません。
だからこそ、準確定申告(4ヶ月)と相続税申告(10ヶ月)の期限を守ることが、余計な附帯税を生まないためにも大切です。期限内に正しく申告すれば、こうした引けない附帯税そのものが発生しません。

債務控除は、思い込みによる間違いが起きやすい分野です。「借金だから全部引ける」「領収書がなければ引けない」といった誤解が、払いすぎや否認につながります。よくある間違いを整理します。
先に一つ、多い誤解を解いておきます。「領収書がないお布施は引けない」と思われがちですが、支払先・金額・日付をメモに残せば控除できます。領収書がないことを理由に、引けるはずの費用をあきらめないようにしましょう。
ここから、特に間違えやすい3つの誤解を順番に見ていきます。いずれも実際の相続でよく起きるものです。自分に当てはまるものがないか確認してみてください。
これらの誤解は、いずれも「なんとなくの思い込み」から生まれます。制度を正しく知っておけば避けられるものばかりです。誤解を解いたうえで、生前にできる備えも確認しておきましょう。
【誤解1】被相続人の借金はすべて債務控除できる
団体信用生命保険付きの住宅ローンは、保険金で完済されるため引けません。保証債務も、原則として将来の履行が不確実なため対象外です。「借金=全部引ける」ではありません。
引けるのは「被相続人が確実に負っていた債務」だけです。ローンは団信の有無、保証債務は履行の確実性で扱いが変わります。
逆に、見落とされがちで実は引ける債務もあります。未払いの固定資産税や、亡くなる直前の入院費、水道光熱費の未払分などです。「借金」という意識がないだけに、拾い漏れやすい費用といえます。
「引けるものは漏れなく、引けないものは入れない」を両立するのが理想です。どちらかに偏ると、払いすぎか否認かのどちらかにつながります。迷ったら国税庁の一覧や専門家に確認するのが確実です。
【誤解2】相続財産にマイナスがあれば贈与財産と相殺できる
相続開始前の一定期間の生前贈与は相続財産に加算されますが、その加算した財産から債務控除はできません。債務がプラス財産を上回ってマイナスになっても、加算財産とは相殺されません。
債務控除は、あくまで相続で取得したプラス財産の範囲で引くのが原則です。マイナスが余っても、他の人の取得財産や加算財産から引けるわけではありません。
たとえば、ある相続人がプラス財産100万円を取得し、借入金200万円を負担しても、引けるのは100万円までです。引ききれない100万円分は、他の財産や加算された贈与財産から差し引くことはできません。
これは、生前贈与で財産を移していた場合に特に問題になります。手元の相続財産が少なく債務が多いと、引ききれない債務が生じることがあります。生前贈与と債務のバランスも考えて対策することが大切です。税理士費用の扱いも含め、詳しくは下記の記事で解説しています。

【誤解3】親から借りたお金も口頭で言えば引ける
親族間の借入金も債務控除できますが、確実性の証明が厳しく求められます。借用書・返済の記録・実際の資金の動きがないと、贈与ではないかと疑われ、控除が認められないことがあります。
親族間の貸し借りこそ、借用書と振込記録で残しておくことが大切です。口約束のままでは、いざというとき証明できません。
特に、現金で手渡ししていた借入は証明が困難です。金額・返済条件を書いた借用書を作り、返済も振込で行っておくと、確実な債務として認められやすくなります。生前のひと手間が、相続時の控除を守ります。
反対に、名ばかりの借入は否認されます。返済が一度もされていない、利息の取り決めもない、といった貸し借りは、実質的に贈与ではないかと見られがちです。形だけ借用書を作っても、実態が伴わなければ意味がありません。
債務控除を確実に受けるために、生前・相続後にやっておきたいことをまとめます。
これらは、いずれも「確実な債務であることを証明する」ための準備です。相続が起きてから慌てて集めると、時間が経って資料が見つからないこともあります。元気なうちに、借入や未払いの状況を家族で共有しておくと、いざというとき控除の拾い漏れを防げます。
財産目録のように、借入金・未払金・葬式費用の想定を一覧にしておくのも有効です。どこにどんな債務があるかが分かれば、残された家族が慌てずに手続きを進められます。エンディングノートに書いておくのもよい方法です。
注意:引ける債務を見落とすと相続税を払いすぎ、引けない費用を入れると税務調査で否認され加算税がかかります。判断に迷う項目は、自己判断せず相続税の対応実績がある税理士に確認するのが安全です。

債務控除は○×の線引きが細かく、自己判断が難しい分野です。相続税の対応実績がある税理士なら、引ける債務を漏れなく拾い、引けない費用を正しく除いて申告できます。複数の税理士に一括で相談し、比較して選ぶのがおすすめです。
債務控除は、拾い漏れれば払いすぎ、入れ間違えれば否認という、両側にリスクがある分野です。実績のある税理士は、この線引きを的確に行い、適正な範囲で最大限に控除できます。だからこそ、任せる意味があります。
相続税の対応実績がある税理士が必要な理由
たとえば、団信の有無を確認せずにローン残高を控除してしまうと、後の調査で否認されます。判断の質の差が、そのまま税額と否認リスクの差につながるのです。
相続税に対応している税理士でも、実務力には差があります。見積りや初回相談で、次の3点を比べてみてください。
「相続税の実績数・債務や名義財産の洗い出し・書面添付」の3点を確認すれば、実務に強い税理士かを見分けられます。
判定ポイント1:相続税申告の実績数
年間の相続税申告の件数を確認します。「年間5件」と「年間100件以上」では、債務控除の判断経験に差が出ます。→ 実績数が多い税理士のほうが、控除の線引きに慣れていると判定できます。
判定ポイント2:債務・費用の洗い出しへの姿勢
借入金・未払金・葬式費用まで細かく確認するかを聞きます。→ 領収書やメモの整理まで案内する税理士のほうが、控除の拾い漏れを防ぐ意識が高いと判定できます。
判定ポイント3:書面添付制度への対応
書面添付制度は、税理士が申告の根拠を書面で示す制度で、税務調査が省略される可能性があります。→ 書面添付に対応する税理士のほうが、否認リスクを下げる意識が高いと判定できます。
自分だけで判断し、債務控除を誤ると、負担は思わぬ形でふくらみます。拾い漏れれば払いすぎ、入れすぎれば否認され加算税がかかります。
債務控除は判断が難しく、どちらに転んでも損をしやすい分野です。相談しないまま進めると、具体的には次のようなリスクがあります。
相談せずに進めた場合のリスク
これらの多くは、申告の段階で複数の税理士に相談していれば防げたものです。相談は無料のことが多く、動くなら早いほど選択肢が広がります。
特に債務控除は、拾えば拾うほど有利になる一方、入れすぎると否認されるという難しさがあります。プロの目で「どこまで引けるか」を見極めてもらうことが、払いすぎと否認の両方を防ぐ近道です。
実際に一括相談・見積りを利用する流れは、次の4ステップです。フォームの記入自体は5分ほどで終わります。
申告期限は10ヶ月なので、相続開始から7ヶ月以内に依頼先を決めておくと安心です。
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重要ポイント:債務控除は拾い漏れも入れすぎも損につながる分野です。複数の税理士の見積りを比べ、借入金や葬式費用まで細かく確認してくれる事務所を選びましょう。
Q1. 住宅ローンは債務控除できますか?
団体信用生命保険(団信)付きの住宅ローンは、契約者の死亡で保険金により完済されるため、債務控除できません。団信に加入していないローンや、任意加入で未加入だった場合は、債務として残るため控除できます。
Q2. 葬式費用はどこまで引けますか?
通夜・告別式、火葬・埋葬・納骨、遺体の搬送、お布施・戒名料などは引けます。一方、香典返し、墓地・墓石や仏壇の購入費用、初七日などの法要費用は引けません。境目は「葬儀そのものに必要な費用か」です。
Q3. 相続放棄をしても葬式費用は引けますか?
相続放棄をした人は原則として債務控除できません。ただし、放棄した人が葬式費用を負担し、生命保険金などをみなし相続財産として受け取っている場合は、その葬式費用を控除できます。
Q4. 領収書がないお布施も控除できますか?
できます。お布施や心付けのように領収書が出ない支出は、支払先・金額・日付をメモに残しておけば控除が認められます。第13表に記載し、メモを保管しておきましょう。
Q5. 債務控除で相続税がゼロになれば申告は不要ですか?
債務控除の結果、課税価格が基礎控除以下になれば、原則として相続税も申告も不要です。ただし、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例で0円になる場合は、申告そのものが必要なので混同しないよう注意してください。
債務控除は、確実な債務と葬式費用を遺産から引ける、納税者に有利な制度です。引ける債務を漏れなく拾えば相続税は軽くなりますが、団信ローンや墓石の未払金などは引けず、○×の線引きが重要です。
大切なのは、対象を正しく理解し、証拠を残しておくことです。以下のアクションから始めましょう。
※本記事は2026年7月時点の情報にもとづいて作成しています。相続税法や関連する取り扱いは改正される場合があります。個別の判断にあたっては、最新の情報を国税庁の公式サイトで確認するか、相続税の対応実績がある税理士にご相談ください。