遺産1,000万円の相続税はいくら?かからない理由と0円でも必要な手続き

相続税_1000万

遺産が1,000万円なら、相続税はかかりません。相続税には最低3,600万円の基礎控除があり、それを下回るためです。申告も納税も不要です。

ただし「税金がかからない」ことと「何もしなくていい」ことは別です。1,000万円の相続にも、期限のある手続きがいくつもあります。

また、確認しておきたい点が2つあります。1つは、1,000万円が「遺産の総額」なのか「自分の取得分」なのかという違いです。

自分の取得分が1,000万円でも、遺産の総額が基礎控除を超えていれば相続税がかかります。判定は総額で行うためです。

もう1つは、遺産の数え方です。自宅がある場合、預金だけで見て1,000万円と思っていても、評価すると基礎控除を超えることがあります。

そして1,000万円の相続で実際に困るのは、税金よりも「どう分けるか」です。不動産が1つあるだけで、きれいに分けられなくなります。

本記事では、1,000万円で相続税がかからない理由、遺産の数え方、申告が必要になる4つのパターン、0円でもかかる費用、分け方、借金があるときの判断、手続きの期限、専門家の選び方を解説します。

▼ この記事の3行まとめ

  • 遺産1,000万円なら基礎控除3,600万円を下回るため相続税は0円・申告も不要
  • ただし判定は「遺産の総額」で行う。自分の取得分が1,000万円でも総額が超えれば課税される
  • 特例を使って基礎控除以下になった場合は、税額0円でも申告が必要
相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ
相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ

結論|遺産1,000万円の相続税は0円

まず結論からお伝えします。遺産の総額が1,000万円なら、相続人が何人でも相続税は0円で、申告も必要ありません。

基礎控除は最低でも3,600万円

相続税には基礎控除があり、遺産の総額がこれを超えなければ課税されません。計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、相続人が1人でも3,600万円です。

法定相続人の数 基礎控除額 遺産1,000万円のとき
1人 3,600万円 相続税0円
2人 4,200万円 相続税0円
3人 4,800万円 相続税0円
4人 5,400万円 相続税0円
5人 6,000万円 相続税0円

表の見方:相続人が最も少ない1人の場合でも基礎控除は3,600万円です。1,000万円は最低ラインの3,600万円すら下回るため、どんな家族構成でも課税されません。

相続を放棄した人がいても、基礎控除の人数は減りません。放棄がなかったものとして数えるため、控除額は変わりません。

参照元:国税庁 No.4152 相続税の計算

申告も納税も不要

基礎控除以下なら、税務署への申告も必要ありません。「0円でも申告書を出す」という手続きは、原則として不要です。

税務署から「お尋ね」や申告の案内が届くことがありますが、届いただけで申告が必要になるわけではありません。基礎控除以下と確認できたら、内訳を書いて回答しておくのが安全です。

重要ポイント:ただし後で説明するとおり、例外が4つあります。特例を使って基礎控除以下になった場合は、税額が0円でも申告が必要です。

申告が不要なケースの判定は、下記の記事で詳しく解説しています。

基礎控除を超えるといくらかかるか

1,000万円から遺産が増えると、どこから税金が出るのかを見ておきます。相続人が子のみの場合、遺産4,000万円で相続人1人なら40万円です。

遺産の総額 相続人1人 相続人2人 相続人3人
1,000万円 0円 0円 0円
3,000万円 0円 0円 0円
4,000万円 40万円 0円 0円
5,000万円 160万円 80万円 20万円
6,000万円 310万円 180万円 120万円

計算ロジック:相続人は子のみとし、法定相続分どおりに分けた場合の相続税の総額です。基礎控除を引いた課税遺産総額を法定相続分で按分し、それぞれに税率をかけて合計しています。配偶者が相続する場合は税額軽減で負担がさらに下がります。

1,000万円から3,000万円までは、相続人が1人でも税金は出ません。課税されるかどうかの分岐点は、相続人1人なら3,600万円です。

3,000万円台の相続税は、下記の記事で解説しています。

「遺産の総額」か「自分の取得分」かで判定が変わる

ここが最も間違えやすいところです。相続税がかかるかどうかは、遺産の総額で判定します。自分がもらう金額では判定しません。

1,000万円の意味 相続税の判定
遺産の総額が1,000万円 基礎控除以下なので0円・申告も不要
自分の取得分が1,000万円(総額は不明) 総額を確認しないと判定できない
自分の取得分が1,000万円・総額が1億円 総額が基礎控除超なので相続人全員に申告義務

【例】遺産総額1億円を兄弟5人で分け、自分の取得分が1,000万円

基礎控除は3,000万円+600万円×5人=6,000万円です。課税遺産総額は4,000万円となり、相続税がかかります。

【自分の負担額】

相続税の総額を、取得した割合で按分します。1,000万円しか受け取っていなくても、その割合に応じた納税が必要です。

他の相続人が何をいくら受け取ったのかを知らないと、判定はできません。自分の取得分だけを見て「1,000万円だから大丈夫」と判断しないでください。

金額基準での判定方法は、下記の記事で解説しています。

自分の取得分が1,000万円のときの相続税早見表

「1,000万円を相続したら相続税はいくらか」は、遺産の総額と相続人の数で決まります。遺産の総額が1億円で子3人なら、1,000万円を受け取った人の相続税は約63万円です。

遺産の総額 子2人 子3人 子4人
4,000万円 0円 0円 0円
5,000万円 16万円 約4万円 0円
6,000万円 30万円 20万円 10万円
8,000万円 約59万円 約41万円 約33万円
1億円 77万円 63万円 49万円
1億5,000万円 約123万円 96万円 約83万円
2億円 167万円 123万円 106万円

表の見方:相続人が子だけで、自分が1,000万円を受け取った場合に自分が払う相続税です。同じ1,000万円でも、遺産の総額が大きいほど自分の税額も増えます。

計算ロジック:自分の税額=相続税の総額×1,000万円÷遺産の総額。1億円・子3人なら、基礎控除4,800万円を引いた5,200万円を3人で分けて税率を当て、総額630万円×1,000万円÷1億円=63万円です。

重要ポイント:孫(養子や代襲相続人でない人)や兄弟姉妹が遺言で受け取る場合は、税額が2割増えます。配偶者がいる家庭は法定相続分が変わるため、総額も表と異なります。

参照元:国税庁 No.4155 相続税の税率

本当に1,000万円? 遺産の数え方で結果が変わる

判定の前に、遺産を正しく数える必要があります。預金通帳の残高だけを見ていると、実際の遺産額を大きく見誤ることがあります。

遺産に含める財産・含めない財産

相続税の対象になる財産は、預金や不動産だけではありません。生命保険金や死亡退職金のように、亡くなったことで受け取るお金も対象に含めます。

区分 具体例
含める(本来の相続財産) 現金・預貯金・土地・建物・株式・投資信託・自動車・貸付金・売掛金
含める(みなし相続財産) 生命保険金・死亡退職金(それぞれ非課税枠あり)
含める(加算されるもの) 相続開始前7年以内の贈与・相続時精算課税で受けた贈与
含めない(非課税財産) 墓地・墓石・仏壇・仏具・国などへの寄付財産
差し引ける(債務控除) 借入金・未払医療費・未払の税金・葬式費用

生命保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。相続人3人なら1,500万円までは遺産に加算されません。逆に、借入金や葬式費用は差し引けます。財産が1,200万円でも、借入金200万円があれば正味の遺産は1,000万円です。

参照元:国税庁 No.4105 相続税がかかる財産

見落としやすい財産8つ

通帳の残高を見ているだけでは気づけない財産が、実務ではよく漏れます。名義預金と生前贈与は、税務署が最も重点的に確認する項目です。

財産 見落としやすい理由
名義預金 子や孫の名義でも、実質的に親のお金なら親の財産
相続開始前7年以内の贈与 110万円以下でも加算対象(一定の控除あり)
相続時精算課税で受けた贈与 何年前でも加算する(2024年以後の年110万円までは除く)
タンス預金 通帳に記録がないため見落とされやすい
他人への貸付金 返してもらえていない貸金も財産になる
ゴルフ会員権・書画骨董 換金価値があるものは評価が必要
暗号資産・ネット証券口座 紙の書類がなく存在に気づきにくい
使っていない金融機関の口座 取引がなく通帳も手元にないことがある

注意:1,000万円規模の相続でも、名義預金が加われば判定が変わります。「孫の教育費のため」と親が子や孫の口座に積み立てていたお金は、通帳と印鑑を親が管理していた場合は親の財産として扱われます。

相続開始前7年以内の贈与は、2024年以降の贈与から段階的に対象期間が延びています。2026年時点で亡くなった場合の対象は3年分ですが、今後は最長7年分に広がります。2031年1月1日以後に亡くなった場合から、7年分すべてが対象になります。

遺産を洗い出す手順

正しく数えるには、順番に調べていくのが確実です。通帳・郵便物・自宅の保管場所の3つを起点にすると、漏れが少なくなります。

【手がかりになるもの】

  • 通帳・キャッシュカード(口座のある金融機関が分かる)
  • 郵便物(証券会社・保険会社・カード会社からの通知)
  • 固定資産税の納税通知書(所有する不動産が分かる)
  • 確定申告の控え(不動産所得や配当があるか分かる)
  • スマートフォンのアプリとメール(ネット証券・暗号資産)
  • 貸金庫・自宅の金庫・仏壇の引き出し

不動産は「所有不動産記録証明制度」でまとめて確認できます。2026年2月から始まった制度で、亡くなった人が全国に所有する不動産の一覧を法務局で取得できます。

金融機関には残高証明書を請求します。相続開始日時点の残高が記載されるため、遺産額の根拠として使えます。

未支給年金は相続財産ではない

混同しやすいのが未支給年金です。亡くなった月分までの年金は、受け取った遺族自身の一時所得になり、相続財産には含めません。未支給年金を請求できるのは、亡くなった人と生計を同じにしていた遺族です。請求した人固有の権利として扱われます。

受け取るもの 扱い
未支給年金 受け取った遺族の一時所得(相続財産ではない)
遺族年金 非課税(相続税も所得税もかからない)
死亡一時金 非課税
死亡退職金 みなし相続財産(500万円×人数の非課税枠あり)
亡くなった人が受け取るはずだった給与 相続財産に含める

一時所得には年50万円の特別控除があります。未支給年金が数十万円なら、控除の範囲内で課税されないことが多くあります。

保険金と退職金の非課税枠

生命保険金と死亡退職金には、それぞれ非課税枠があります。どちらも「500万円×法定相続人の数」まで遺産に加算されません。

受け取った額 相続人2人(枠1,000万円) 相続人3人(枠1,500万円)
500万円 加算なし 加算なし
1,000万円 加算なし 加算なし
2,000万円 1,000万円を加算 500万円を加算
3,000万円 2,000万円を加算 1,500万円を加算

枠は保険金と退職金で別々に使えます。相続人2人なら、保険金1,000万円と退職金1,000万円の両方が非課税になります。

遺産1,000万円に保険金1,000万円が加わっても、相続人2人なら非課税枠の範囲内です。加算されないため、判定に使う遺産額は1,000万円のままです。

ただし相続を放棄した人が受け取った保険金には、非課税枠が使えません。放棄すると相続人ではなくなるためです。

参照元:国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金

債務と葬式費用は差し引ける

マイナスの財産も忘れずに計算に入れます。借入金や未払の医療費・税金、葬式費用は遺産から差し引けます。

【差し引けるもの】

  • 借入金・住宅ローン(団体信用生命保険で消える分は除く)
  • 未払の医療費・入院費
  • 未払の固定資産税・住民税・所得税
  • 通夜・告別式・火葬・埋葬の費用
  • お寺への読経料・戒名料

【差し引けないもの】

香典返しの費用、初七日以降の法要費用、墓石や墓地の購入費用は差し引けません。

葬式費用は領収書がないものもあります。お布施のように領収書が出ないものは、支払先と金額をメモに残しておいてください。

相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ
相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ

遺産の中身別|1,000万円のつもりが超えるケース

遺産の中身によって、判定の難しさが変わります。預金だけなら簡単ですが、自宅があると「1,000万円のつもり」が基礎控除を超えることがあります。

中身別の判定表

預金だけ、自宅と預金、不動産だけの3つに分けて、確認すべきことを並べます。不動産があるかどうかで、確認すべき作業量が大きく変わります。

遺産の中身 判定の難易度 やること
全額が預金1,000万円 簡単 残高証明書を取り、名義預金と贈与の有無を確認する
自宅+預金で1,000万円と思っている 注意 土地は路線価、建物は固定資産税評価額で評価し直す
不動産のみ(預金はほぼゼロ) 注意 評価額の確認と、納税資金・分割方法の検討が必要

重要ポイント:自宅の価値を「固定資産税の通知書の金額」で把握している人が多くいます。しかし土地の相続税評価は路線価で行うため、固定資産税評価額より高くなるのが一般的です。

自宅があると評価額が跳ね上がることがある

土地の相続税評価は路線価方式で行います。路線価は公示価格の8割程度、固定資産税評価額は7割程度なので、同じ土地でも1割以上の差が出ます。

【例】固定資産税評価額1,400万円の自宅(土地120平米・建物)

固定資産税の通知書では土地1,000万円・建物400万円でした。しかし路線価で計算すると土地は約1,140万円になり、合計約1,540万円になります。

【預金と合わせると】

預金が1,500万円あれば合計約3,040万円です。相続人が1人(基礎控除3,600万円)ならまだ範囲内ですが、生命保険金や贈与が加わると超える可能性があります。

路線価は国税庁のサイトで確認できます。自宅がある場合は、必ず路線価で計算し直してください。

参照元:国税庁 No.4602 土地家屋の評価

超えたときの分岐|特例で0円になっても申告は必要

数え直して基礎控除を超えたときは、次の判断に進みます。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使えば税額が0円になることは多いですが、その場合は申告が必要です。

状況 相続税 申告
数え直しても基礎控除以下 0円 不要
基礎控除超だが特例で0円になった 0円 必要
基礎控除超で税額も出る 納税あり 必要

特例は「申告することが適用の条件」です。申告しないまま税務署の決定を受けると特例は使えず、本来0円だった税金が課されるおそれがあります。

家の相続税の判定は、下記の記事で解説しています。

1,000万円でも申告が必要になる4つのパターン

「基礎控除以下なら申告不要」には例外があります。次の4パターンでは、税額が0円でも申告書の提出が必要です。

ケース1|小規模宅地等の特例を使った場合

自宅の土地は、要件を満たせば評価額を最大80%減らせます。この特例で遺産が基礎控除以下になった場合は、0円でも申告が必要です。

【例】自宅の土地4,000万円+預金500万円・相続人は子1人

そのままなら4,500万円で基礎控除3,600万円を超えます。特例で土地が800万円に下がると合計1,300万円となり、税額は0円になります。

【申告しないまま税務署の決定を受けると】

特例が使えず4,500万円で計算されるおそれがあります。課税遺産総額900万円に対し、税額90万円と加算税・延滞税が課されます。

「税金が0円だから申告しなくていい」と放置すると、この特例を失うおそれがあります。期限後でも申告すれば使えますが、申告期限の10ヶ月以内に提出するのが確実です。

参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例

ケース2|配偶者の税額軽減を使った場合

配偶者は1億6,000万円または法定相続分まで相続税がかかりません。この軽減も申告が要件なので、0円でも申告書を出す必要があります。

1,000万円規模の相続では、そもそも基礎控除以下なので軽減を使う場面はありません。遺産を数え直して基礎控除を超えたときに関係してきます。

参照元:国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減

ケース3|相続時精算課税の贈与がある場合

相続時精算課税で贈与を受けていた場合は、年数に関係なく加算します(2024年以後の年110万円の基礎控除分は除く)。20年前の贈与でも加算されるため、遺産1,000万円でも基礎控除を超えることがあります。

【例】遺産1,000万円・過去に相続時精算課税で3,000万円の贈与・相続人は子1人

合計4,000万円で判定します。基礎控除3,600万円を超えるため、課税遺産総額400万円に対して相続税が発生します。

【申告は必要】

この場合は税額も出るため、10ヶ月以内に申告と納税を行います。すでに払った贈与税は相続税から差し引けます。

この制度を使ったかどうかは、過去の贈与税の申告書で確認できます。制度を選んだ年以後の贈与はすべて対象なので、記録を必ず探してください。

制度の内容は、下記の記事で解説しています。

申告が必要かの判定表|特例・贈与・寄付

ここまでのケースに、総額が増えた場合や寄付をした場合を加えて申告の要否を一覧にします。「特例で0円になった」ケースだけは、絶対に申告を忘れないでください。

パターン 申告 理由
小規模宅地等の特例で0円 必要 申告が特例の適用要件
配偶者の税額軽減で0円 必要 申告が軽減の適用要件
相続時精算課税の贈与がある 必要 加算後の総額が基礎控除を超える場合
名義預金・保険金で総額が基礎控除超 必要 正しい遺産額で判定すると課税される
相続時精算課税で贈与税を払っていた 任意 基礎控除以下でも、申告すれば払った贈与税が戻る
申告期限までに国や公益法人に寄付した 必要 寄付した財産を非課税にするには申告が要件
数え直しても基礎控除以下 不要 そもそも課税されない

なお、未成年者控除・障害者控除で0円になる場合は申告が不要です。これらは申告が要件ではないため、扱いが小規模宅地等の特例とは異なります。

相続税が0円でもかかるお金

相続税がかからなくても、費用はゼロではありません。書類の取得費用、不動産の登記費用、専門家に依頼する場合の報酬がかかります。

実費の一覧

自分で手続きをする場合にかかる費用です。不動産がある場合は登録免許税が固定資産税評価額の0.4%かかります。

費用 金額の目安
登録免許税(相続登記) 固定資産税評価額×0.4%
戸籍謄本・除籍謄本 1通450〜750円(必要通数は5〜15通)
住民票・戸籍の附票 1通300〜400円
印鑑登録証明書 1通300円程度(相続人全員分)
残高証明書 1金融機関あたり500〜900円
固定資産評価証明書 1通300〜400円
登記事項証明書 1通480〜600円

固定資産税評価額1,000万円の不動産なら、登録免許税は4万円です。贈与で受け取ると2%(20万円)なので、相続のほうが5分の1で済みます。

相続税以外の税金はかかるか

相続では、かかる税金とかからない税金が分かれます。不動産取得税はかかりませんが、相続した不動産を売れば譲渡所得税がかかります。

税金 相続の場合
不動産取得税 かからない(贈与ならかかる)
登録免許税 固定資産税評価額の0.4%(贈与は2%)
譲渡所得税 相続した不動産を売って利益が出ればかかる
固定資産税 翌年以降、取得した人が毎年払う
所得税(準確定申告) 亡くなった人に申告義務があった場合のみ

実家を売る予定があるなら、譲渡所得の計算も必要です。取得費と取得時期は、亡くなった人のものを引き継ぎます。

【空き家の3,000万円特別控除】

亡くなった人が1人暮らししていた家を売る場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できます。1,000万円規模の実家なら、税金は実質かかりません。

【主な要件】

1981年5月31日以前に建築された家屋であること、耐震改修または取り壊しをすること、相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売ることなどが条件です。

この特例は令和9年12月31日までの譲渡が対象です。相続人が3人以上のときは控除額が2,000万円に縮小されます。一方、相続税を払った場合に使える「取得費加算の特例」は使えません。相続税が0円なら加算する金額もないため、この特例は関係しません。

専門家に頼む場合の費用相場

手続きを依頼する場合の報酬の目安です。1,000万円規模なら、相続登記だけを司法書士に頼むケースが多くあります。

依頼先 内容 報酬の目安
司法書士 相続登記(不動産の名義変更) 6〜10万円
司法書士 戸籍収集・遺産分割協議書の作成込み 10〜20万円
銀行・信託銀行 遺産整理業務(一括代行) 最低報酬50〜100万円
税理士 相続税の申告(基礎控除超の場合) 遺産額の0.5〜1%
弁護士 遺産分割の交渉・調停 着手金20〜30万円+成功報酬

注意:銀行の遺産整理業務は最低報酬が50〜100万円に設定されていることが多く、1,000万円の遺産では5〜10%が費用に消えます。手続きを一括で任せられる反面、費用対効果は慎重に判断してください。

1,000万円の遺産で手元に残る額の試算

費用を差し引いた手取りを試算します。同じ1,000万円でも、依頼先によって手元に残る額は数十万円変わります。

進め方 費用 手元に残る額
全額が預金・自分で手続き 約1万円(書類代) 約999万円
不動産あり・登記のみ司法書士 約12万円(登録免許税4万円+報酬8万円) 約988万円
不動産あり・戸籍と協議書も依頼 約22万円 約978万円
銀行の遺産整理業務に一括依頼 約60万円 約940万円

計算ロジック:登録免許税は固定資産税評価額1,000万円として4万円で計算しています。自分で手続きする場合と一括依頼した場合の差は約59万円です。

全額が預金で相続人が少ないなら、自分で進められる範囲です。不動産がある場合や相続人が多い場合は、専門家に頼む価値があります。依頼する範囲は分けて考えられます。戸籍の収集と預金の解約は自分で行い、登記だけを司法書士に頼めば費用を抑えられます。

見積りを取るときは「どこまでを任せるのか」を明確に伝えてください。丸ごと任せるか、一部だけ頼むかで金額は大きく変わります。

また、相続人が複数いる場合は費用の負担方法も決めておきます。遺産から差し引いて残りを分ける形にすれば、後で立替の精算をする手間がなくなります。

1,000万円の遺産をどう分けるか

1,000万円の相続で実際に問題になるのは、税金より分け方です。金額が小さいほど、不動産が1つあるだけで分けられなくなります。

相続人の組み合わせ別の法定相続分

民法で決まっている法定相続分は、1,000万円でいくらになるかを先に確認しておきます。全員が合意すれば違う割合でも構いませんが、話し合いの出発点になります。

相続人 法定相続分 1,000万円の場合
配偶者のみ 全部 配偶者1,000万円
配偶者と子1人 各2分の1 各500万円
配偶者と子2人 配偶者2分の1・子は4分の1ずつ 配偶者500万円・子250万円ずつ
子2人のみ 各2分の1 各500万円
子3人のみ 各3分の1 各約333万円
配偶者と父母 配偶者3分の2・父母3分の1 配偶者約667万円・父母約167万円ずつ
配偶者と兄弟2人 配偶者4分の3・兄弟4分の1 配偶者750万円・兄弟125万円ずつ

子がいれば父母や兄弟は相続人になりません。相続人の範囲を間違えると分割協議が無効になるため、戸籍で必ず確認してください。

分け方4つの方法と1,000万円規模での向き不向き

遺産の分け方には4つの方法があります。1,000万円規模では、代償金を用意できないことが多いため換価分割が現実的です。

方法 内容 1,000万円規模での評価
現物分割 財産ごとに分ける(不動産は長男・預金は次男など) 金額が偏りやすい。差が大きいと不満が残る
代償分割 不動産をもらった人が他の人に現金を払う 数百万円の代償金を用意できるかが壁になる
換価分割 売却して現金で分ける 公平に分けやすい。1,000万円規模では最も現実的
共有分割 複数人の共有名義にする 将来の売却・建替えで全員の同意が必要。避けたい

重要ポイント:共有名義は「その場では平等」に見えますが、問題を先送りするだけです。次の世代で相続人が増えると、売却の同意を取ることが事実上できなくなります。

不動産があると分けられない問題

1,000万円の遺産で最も多いのが「自宅800万円+預金200万円」のような構成です。この形では、預金を分けても不動産の差が埋まりません。

【ケース1】長男が自宅に住み続けたい

長男が自宅800万円を取得すると、次男は預金200万円だけになります。差は600万円で、法定相続分(各500万円)から300万円ずれます。

【対応】

長男が次男に代償金300万円を払えば公平になります。用意できない場合は、次男が納得する条件(固定資産税の負担など)を交渉します。

【ケース2】誰も住まない実家が残った

売却して分ける換価分割が最もすっきりします。ただし築年数が古い、地方で買い手がつかないという場合は売れずに残ります。

【対応】

売れない不動産は、相続土地国庫帰属制度の利用も検討できます。負担金として10年分の管理費相当額(宅地は原則20万円)が必要です。

実家に買い手がつかない場合、固定資産税と管理費が毎年かかり続けます。「もらったほうが損」になることもあるため、取得する前に維持費を確認してください。

遺産分割協議書の作り方

分け方が決まったら、遺産分割協議書を作ります。相続人全員の署名と実印が必要で、1人でも欠けると無効になります。

記載する内容 ポイント
亡くなった人の氏名・死亡日・最後の住所 戸籍と住民票の記載どおりに書く
誰が何を取得するか 不動産は登記事項証明書のとおりに特定する
預金の分け方 金融機関名・支店名・口座番号まで記載する
後で財産が見つかった場合の扱い 「誰が取得する」または「改めて協議する」と定める
相続人全員の署名・実印 印鑑登録証明書を添付する

協議書は相続人の人数分を作り、それぞれが保管します。不動産の登記と預金の解約で原本が必要になるため、少なくとも1通は必ず手元に残してください。

不動産の表示を「自宅」などと書くと登記に使えません。登記事項証明書を見ながら、所在・地番・地目・地積を正確に書き写します。

揉めやすいパターンと対策

金額が小さいほど揉めるのは、感情の問題が絡むためです。「介護をした」「生前に援助を受けた」という主張が、金額の少ない相続では相対的に大きくなります。

揉めるパターン 対策
介護をした相続人が多くを求める 寄与分として金額を協議する。領収書や記録を整理する
生前に多額の援助を受けた人がいる 特別受益として持ち戻し、公平に計算する
実家に住み続けたい人がいる 代償分割か、配偶者居住権の検討をする
誰も不動産を欲しがらない 換価分割を前提に、売却の見込みを先に確認する
連絡が取れない相続人がいる 戸籍の附票で住所を調べ、書面で連絡する

協議がまとまらないときは、家庭裁判所の調停を利用できます。ただし時間と費用がかかるため、1,000万円規模では話し合いでの解決が現実的です。

調停は申立てから解決まで1年前後かかることが多くあります。弁護士に依頼すれば着手金と成功報酬で数十万円かかり、1,000万円の遺産では取り分を大きく削ります。

そのため感情面の対立があっても、金額で折り合う方向に持っていくほうが全員の利益になります。第三者を交えた話し合いも選択肢です。

遺言があった場合の扱い

遺言があれば、原則としてその内容が優先されます。自筆の遺言が見つかったら、開封する前に家庭裁判所の検認を受けてください。

遺言の種類 検認 注意点
自筆証書遺言(自宅保管) 必要 勝手に開封すると過料の対象になる
自筆証書遺言(法務局保管) 不要 保管制度を使っていれば検認は要らない
公正証書遺言 不要 公証役場に原本があり、そのまま手続きに使える

遺言で1人にすべて残されていても、他の相続人には遺留分があります。子2人のうち1人が全部を相続する遺言なら、もう1人は4分の1(1,000万円なら250万円)を請求できます。

遺留分の請求には、知ったときから1年という期限があります。請求するなら早めに意思表示してください。

相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ
相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ

借金があるときの判断

遺産にはプラスだけでなくマイナスも含まれます。借金が財産を上回るなら、相続放棄を3ヶ月以内に判断する必要があります。

相続放棄の損益分岐点

判断の軸は単純です。プラスの財産1,000万円に対し、債務が1,000万円を超えるなら放棄を検討します。

財産1,000万円に対する債務 手元に残る額 判断
債務0円 約1,000万円 通常どおり相続する
債務500万円 約500万円 相続する
債務900万円 約100万円 手続き費用を考えると微妙。慎重に判断
債務1,000万円 0円 手間だけが残る。放棄も選択肢
債務1,500万円 500万円の負担 放棄が有利

計算ロジック:手続き費用として書類代・登記費用・専門家報酬を10〜20万円見込みます。債務が900万円を超えると、手元に残る額が費用と同水準になります。

住宅ローンは団体信用生命保険で消えることが多くあります。債務を数える前に、保険の加入状況を確認してください。

3ヶ月の期限と伸長

相続放棄の期限は、相続の開始を知った日から3ヶ月です。この期限を過ぎると単純承認となり、借金も引き継ぐことになります。

【3ヶ月で判断できないとき】

家庭裁判所に「相続の承認または放棄の期間の伸長」を申し立てれば、期限を延ばせます。財産や債務の調査が終わらない場合に使えます。

【やってはいけないこと】

遺産の預金を使う、不動産を売る、遺産分割協議をするといった行為をすると、相続を承認したとみなされ放棄できなくなります。

借金の有無は、信用情報機関への開示請求で調べられます。判断がつかないうちは、遺産の預金に手をつけないでください。

借金の調べ方

債務を把握しないと放棄の判断ができません。信用情報機関に開示請求すれば、ローンやカードの残債を一括で確認できます。

調べ方 分かること
信用情報機関への開示請求 銀行・消費者金融・カード会社からの借入残高
郵便物の確認 請求書・督促状・返済予定表
通帳の引き落とし履歴 毎月の返済がないか確認できる
不動産の登記事項証明書 抵当権の設定から借入の有無が分かる
確定申告の控え 事業の借入金が記載されていることがある

信用情報機関は3つあり、それぞれに請求が必要です。1件あたり1,000円程度で、1〜2週間で結果が届きます。ただし個人間の貸し借りや、連帯保証人になっているケースは記録に出ません。親族や知人からの借入がないか、聞き取りで確認してください。

限定承認との比較

放棄と単純承認の中間に、限定承認があります。プラスの財産の範囲内でだけ債務を負う方法で、財産が余ればもらえます。

方法 内容 1,000万円規模での評価
単純承認 財産も債務もすべて引き継ぐ 債務が財産以下なら選ぶ
相続放棄 財産も債務も引き継がない 債務超過が明らかなら選ぶ
限定承認 財産の範囲内でだけ債務を負う 手続きが煩雑で費用も高い。使われることは少ない

限定承認は相続人全員で共同して行う必要があり、財産の換価手続きも要します。1,000万円規模では費用が見合わないため、放棄か単純承認の二択になるのが実務です。

放棄すると次の順位に移る

放棄で注意したいのは、債務が消えるわけではない点です。子が全員放棄すると、相続権は親、次に兄弟姉妹へ移ります。知らせずに放棄すると、あとから親族に督促が届いてトラブルになります。放棄するなら、次の順位になる人に必ず連絡してください。

相続放棄と相続税の関係は、下記の記事で解説しています。

相続税がかからない場合の手続き|期限別のタイムライン

相続税がかからなくても、期限のある手続きは複数あります。特に相続放棄の3ヶ月と相続登記の3年は、過ぎると取り返せません。

期限別のやること

亡くなってからの流れを整理します。相続税がかからない場合でも、7日以内から3年以内まで手続きが続きます。

7日以内
死亡届を市区町村に提出する。火葬許可申請も同時に行う(葬儀社が代行することが多い)

⬇

14日以内
健康保険・介護保険の資格喪失届/世帯主変更届/年金受給の停止手続き(厚生年金は10日以内)

⬇

3ヶ月以内
□ 財産と債務を調査する
□ 相続放棄・限定承認をするかを判断する
□ 期限に間に合わないなら伸長を申し立てる

⬇

4ヶ月以内
準確定申告(亡くなった人に確定申告が必要だった場合)。年金収入400万円超・事業所得・不動産所得があるケースが該当する

⬇

10ヶ月以内
相続税の申告と納付(基礎控除超の場合、または特例を使って0円にする場合)。1,000万円で基礎控除以下なら不要

⬇

3年以内
相続登記(不動産の名義変更)。2024年4月から義務化され、正当な理由なく放置すると10万円以下の過料の対象になる

重要ポイント:期限のない手続き(預金の解約・名義変更)は後回しにできますが、放置すると相続人が増えて手続きが困難になります。1年以内に一通り終える計画を立ててください。

税務署から「お尋ね」が届いたら

亡くなって数か月から1年ほどで、税務署から「相続についてのお尋ね」や申告の案内が届くことがあります。死亡届の情報や不動産・所得の記録から、申告が必要かもしれないと見た家庭に送られるものです。

基礎控除以下と確認できたら、財産の内訳を書いて回答しておくのが安全です。返送は法律上の義務ではありませんが、回答しないと税務署の確認が終わらず、問い合わせが続くことがあります。

届いた時期 考えられること 対応
申告期限(10ヶ月)より前 申告が必要かもしれない家庭への案内 財産を数え直し、基礎控除以下なら内訳を書いて返送する
申告期限を過ぎてから 税務署が何らかの情報を持っている可能性 すぐに税理士に相談し、申告が必要なら期限後申告をする

表の見方:期限後に届いた場合は、申告漏れを疑われている可能性があります。調査の通知を受ける前に自分から申告すれば、無申告加算税は5%で済みます。

重要ポイント:回答の内容は国税庁の「相続税の申告要否判定コーナー」でも整理できます。ただし入力の誤りには気づけないため、基礎控除に近い場合は税理士に確認してもらってください。

申告不要でも5年は残しておく資料

申告が不要でも、税務署があとから確認することがあります。相続税を後から課税できる期間は原則5年(偽りや不正があれば7年)です。基礎控除以下と判断した根拠になる資料は、申告期限から5年は保管してください。

【【保管しておく資料】】

  • 金融機関の残高証明書と、亡くなる前数年分の通帳の写し
  • 不動産の固定資産税評価証明書と、路線価で計算したメモ
  • 生命保険金・死亡退職金の支払通知書
  • 生前贈与の記録(贈与契約書・贈与税の申告書の控え)
  • 葬式費用・借入金など差し引いた金額の領収書や残高証明書
  • 遺産分割協議書の写し

重要ポイント:税務署が重点的に見るのは、名義預金と亡くなる前の預金の引き出しです。通帳の大きな出金は、何に使ったかをメモに残しておくと説明しやすくなります。

放置するとどうなるか

金額が小さい相続ほど、手続きが放置されがちです。しかし放置した年数の分だけ、後の手続きは難しく高くなります。

放置の影響 内容
相続人が増える 相続人が亡くなるとその子や配偶者に権利が移り、話し合う人数が倍増する
連絡が取れなくなる 会ったことのない親族の同意が必要になる
相続登記の過料 正当な理由なく3年を過ぎると10万円以下の過料の対象
不動産が売れない 名義が亡くなった人のままでは売却も担保設定もできない
預金が休眠預金になる 10年以上取引がないと預金保険機構に移管される(引き出しは可能)
費用が膨らむ 戸籍の取得範囲が広がり、専門家報酬も上がる

【例】父の死から20年放置した実家(評価額700万円)

当初は子2人だけで済んだ手続きが、1人が亡くなったことで相続人はその配偶者と子3人を加えた5人になりました。

【かかった手間】

戸籍の収集に3ヶ月、全員の署名を集めるのに半年かかり、司法書士報酬も当初の2倍以上になりました。

手続きの難しさは、時間が経つほど増していきます。相続税がかからない規模でも、1年以内に一通り終える計画を立ててください。

相続登記の義務化への対応

2024年4月から相続登記が義務になりました。不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料の対象になります。

2024年3月以前に発生した相続も対象で、2027年3月31日までに登記する必要があります(取得を知った日が遅い場合はその日から3年)。すでに何十年も名義変更していない実家がある場合も、期限内に登記する必要があります。

【分割がまとまらない場合】

3年以内に「相続人申告登記」をしておけば、義務を果たしたことになります。とりあえず相続人であることを登記に記録する簡易な手続きです。

【手続きの方法】

法務局に申請します。相続登記は自分で行えば登録免許税だけ、司法書士に頼めば6〜10万円の報酬が加わります。相続人申告登記には登録免許税がかかりません。

登記をしないままだと、売却も担保設定もできません。相続税がかからない場合でも、不動産があれば登記は必ず行ってください。

預金の解約と凍結への対応

金融機関が亡くなったことを把握すると、口座は凍結されます。入出金も引き落としも止まるため、公共料金の引き落とし口座になっていた場合は変更が必要です。

必要な書類 備考
亡くなった人の出生から死亡までの戸籍 広域交付でまとめて取得できる
相続人全員の戸籍謄本 相続人であることの確認に使う
相続人全員の印鑑登録証明書 発行から3〜6ヶ月以内のものを求められる
遺産分割協議書または金融機関の所定用紙 相続人全員の実印を押す
通帳・キャッシュカード・証書 紛失していても手続きは可能

手続きには1〜3週間かかります。複数の金融機関に口座があると、それぞれで同じ書類が必要になるため時間がかかります。印鑑登録証明書は期限に注意が必要です。発行から3ヶ月以内を求める金融機関もあるため、取得のタイミングをそろえてください。

解約したお金は代表相続人の口座にまとめて入れ、そこから各人に振り分けるのが一般的です。振込の記録が残るため、後で揉めにくくなります。

【葬儀費用をすぐ出したいとき】

預貯金の払戻し制度を使えば、分割協議前でも一部を引き出せます。「相続開始時の残高×3分の1×自分の法定相続分」で、1金融機関あたり150万円が上限です。

【法定相続情報一覧図の活用】

法務局で法定相続情報一覧図の写しを取得すると、戸籍の束の代わりに使えます。複数の金融機関を回るときに手間が減ります。

凍結前に引き出しても、遺産であることは変わりません。勝手に使うと相続を承認したとみなされ、放棄ができなくなります。

準確定申告が必要なケース

亡くなった人に確定申告の義務があった場合は、4ヶ月以内に準確定申告をします。相続税がかからなくても、この申告は別に必要です。

状況 準確定申告
年金収入が400万円を超えていた 必要
事業所得・不動産所得があった 必要
給与が2,000万円を超えていた 必要
年金以外の所得が20万円を超えていた 必要
年金収入400万円以下で他の所得も少ない 不要(還付を受ける場合は任意で可)

医療費が多くかかっていた場合は、申告すると還付を受けられることがあります。義務がなくても、還付が見込めるなら申告する価値があります。

相続に関わる3つの申告の違いは、下記の記事で解説しています。

専門家は誰に頼むか|1,000万円規模の判断

1,000万円の相続では、専門家の使い方が費用に直結します。相続税がかからないなら、税理士より司法書士が中心になります。

専門家ごとの役割

それぞれ扱える範囲が違います。「相続税の判定に不安がある」なら税理士、「不動産の名義変更」なら司法書士です。

専門家 できること 1,000万円規模での出番
税理士 相続税の判定・申告・財産評価 基礎控除を超えるか微妙なとき
司法書士 相続登記・戸籍収集・遺産分割協議書の作成 不動産があるとき(最も出番が多い)
弁護士 相続人間の交渉・調停・訴訟 話し合いがまとまらないとき
行政書士 遺産分割協議書・自動車の名義変更 不動産がなく書類作成だけ必要なとき
金融機関 遺産整理業務の一括代行 費用が高く、1,000万円では割高

相談先の使い分けは、下記の記事で解説しています。

自分でできる範囲

1,000万円規模なら、自分で進められる部分が多くあります。全額が預金で相続人が2人までなら、費用をほとんどかけずに完了できます。

【自分でできること】

  • 戸籍謄本の収集(2024年3月から広域交付で最寄りの市区町村でまとめて取れる)
  • 残高証明書の取得
  • 遺産分割協議書の作成
  • 預金の解約・払い出し
  • 相続登記の申請(法務局に相談窓口がある)

戸籍の広域交付が始まり、本籍地まで郵送請求する手間はなくなりました。最寄りの市区町村の窓口で、必要な戸籍をまとめて取得できます。

頼むべきケースの判定表

依頼を検討すべき状況を整理します。1つでも該当するなら、まず無料相談で見通しを確認してください。

  • □ 遺産を数え直すと基礎控除に近い金額になる
  • □ 自宅などの不動産がある
  • □ 相続人が3人以上いる、または疎遠な相続人がいる
  • □ 名義預金や生前贈与の有無が判断できない
  • □ 相続時精算課税で贈与を受けた人がいる
  • □ 借金があり、放棄すべきか迷っている
  • □ 話し合いがまとまる見通しが立たない
  • □ 相続人に認知症の人や未成年者がいる

重要ポイント:特に危ないのは「基礎控除に近い金額」のケースです。自己判断で申告不要と決めて、あとから指摘されると加算税と延滞税が加わります。

申告不要と判断して間違えたときのペナルティ

誤って申告しなかった場合の負担を確認しておきます。無申告加算税は15%からで、税務署の指摘前に自分で申告すれば5%に下がります。

種類 税率
無申告加算税 15%(50万円超の部分20%・300万円超30%)
調査通知前に自分から申告 5%
重加算税(隠した場合) 40%
延滞税 年2.8%(2ヶ月経過後は年9.1%)

令和6事務年度の相続税の実地調査では、9,512件のうち82.3%で申告漏れなどが指摘されました。1件あたりの申告漏れは平均3,093万円です。

ペナルティの詳細は、下記の記事で解説しています。

相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ
相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ

遺産1,000万円の相談は相続税の対応実績がある税理士へ|一括相談・見積り

遺産1,000万円なら相続税はかかりませんが、判定に不安が残ることは多くあります。相続税の対応実績がある税理士なら、申告が必要かどうかを短時間で確定できます。複数の税理士に一括で相談し、比較して選ぶのがおすすめです。

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

「基礎控除以下だから不要」の判断が、実は一番難しいところです。名義預金・生前贈与・不動産の評価が絡むと、自己判断では危険です。

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

  • 財産の洗い出しに漏れがないかを確認できる
  • 名義預金かどうかの微妙な判断ができる
  • 不動産を路線価で正しく評価できる
  • 特例を使って0円にする場合の申告要件を押さえている
  • 申告が不要と確定すれば、余計な費用をかけずに済む

初回相談で「申告は不要です」と確定できれば、それだけで安心が得られます。相談は無料の事務所が多いため、判定だけを目的に使っても問題ありません。

税理士を比較するときの3つの判定ポイント

相続税に対応している税理士でも、小規模な相続への対応には差があります。見積りや初回相談で、次の3点を比べてみてください。「申告実績数・判定だけの相談に応じるか・他の専門家との連携」の3点で見分けられます。

判定ポイント1:相続税申告の実績数
年間の相続税申告の件数を確認します。「年間5件」と「年間100件以上」では、名義預金や評価の判断に差が出ます。→ 実績数が多い税理士のほうが、判定に迷いがないと判定できます。

判定ポイント2:判定だけの相談に応じるか
「申告が必要かどうかだけ見てほしい」という相談を受けてくれるかを確認します。→ 応じてくれる税理士のほうが、不要な依頼を勧めない誠実な事務所と判定できます。

判定ポイント3:司法書士や弁護士との連携
相続登記や分割の交渉が必要なとき、連携先を紹介できるかを見ます。→ 連携体制がある税理士のほうが、探し直す手間を減らせると判定できます。

相談しないまま進めるリスク

自己判断で「申告不要」と決めると、あとから指摘される可能性があります。相続税の判定は、遺産を全部洗い出してからでないと確定できません。相続税の時効は原則5年、意図的に申告しなかった場合は7年です。具体的には次のようなリスクがあります。

相談せずに進めた場合のリスク

  • 名義預金を数えず、あとから無申告加算税と延滞税を課される
  • 小規模宅地等の特例の申告を忘れ、本来0円の税金を払うことになる
  • 不動産を固定資産税評価額で見て、基礎控除超に気づかない
  • 相続時精算課税の贈与を見落とし、申告義務があることに気づかない
  • 共有名義にしてしまい、次の世代で売却できなくなる

これらの多くは、初回相談で財産の一覧を見せれば防げます。相談は無料のことが多く、早いほど選択肢が広がります。

一括相談・見積りの手順|STEP1〜STEP4

実際に一括相談・見積りを利用する流れは、次の4ステップです。フォームの記入自体は5分ほどで終わります。申告が不要と確定すれば、そこで手続きを終えられます。

STEP1
相続の概要を整理する。亡くなった人の財産の内容と概算額・相続人の人数と関係・遺言の有無・生前贈与の有無をまとめる

⬇

STEP2
一括見積り・相談サービスに依頼する。申告が必要かの判定・相続税申告などの希望内容を明記し、相続税の対応実績がある税理士3〜5の事務所へ同時に打診する。不動産があれば所在地と広さも伝える(記入は5分程度)

⬇

STEP3
各税理士から「提案内容」「試算した相続税額」「報酬額」が記載された見積りが届く。気になる事務所と初回相談を行う

⬇

STEP4
「提案内容の質」「説明の丁寧さ」「報酬の納得性」で最適な事務所を選び、正式に依頼する。相続開始から7ヶ月以内に決めると余裕を持って進められる

重要ポイント:「申告が必要かどうかの判定だけを希望する」と最初に伝えてください。判定の結果、不要と分かればそれで完了です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 遺産1,000万円に相続税はかかりますか?

かかりません。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で最低3,600万円あるため、遺産1,000万円はどんな家族構成でも下回ります。申告も納税も不要です。

Q2. 自分の取得分が1,000万円の場合はどうなりますか?

遺産の総額で判定するため、自分の取得分だけでは判断できません。総額が基礎控除を超えていれば、1,000万円しか受け取っていなくても取得割合に応じた相続税がかかります。

Q3. 相続税が0円なら何もしなくていいですか?

いいえ。相続放棄の判断は3ヶ月以内、準確定申告は必要な場合に4ヶ月以内、不動産の相続登記は3年以内に行う必要があります。相続登記は2024年4月から義務化され、放置すると10万円以下の過料の対象です。

Q4. 特例を使って0円になった場合も申告は不要ですか?

必要です。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は、申告することが適用の条件です。期限後申告でも特例は使えますが、申告しないまま税務署の決定を受けると特例が使えず、本来0円だった税金と加算税・延滞税が課されるおそれがあります。

Q5. 1,000万円の遺産に不動産があるとどう分けますか?

売却して現金で分ける換価分割が最も公平で、1,000万円規模では現実的です。誰かが住み続ける場合は代償分割を検討しますが、代償金を用意できるかが壁になります。共有名義は将来の売却が難しくなるため避けてください。

まとめ|1,000万円は非課税でも手続きは残る

遺産1,000万円の相続税のポイントを整理します。

  • 遺産の総額が1,000万円なら、基礎控除3,600万円を下回るため相続税は0円・申告も不要
  • 判定は遺産の総額で行う。自分の取得分が1,000万円でも、総額1億円・子3人なら約63万円かかる
  • 自宅は路線価で評価し直す。名義預金・生前贈与・保険金が加わると基礎控除を超えることがある
  • 特例を使って0円にする場合は申告が必要。期限後でも使えるが、10ヶ月以内が確実
  • 税務署からお尋ねが届いたら内訳を書いて回答し、判断の根拠資料は5年保管する

今すぐ取るべき行動

  • 遺産の総額を洗い出す(預金・不動産・保険金・生前贈与・名義預金)
  • 不動産がある場合は路線価で評価し直す
  • 借金の有無を3ヶ月以内に確認し、放棄すべきか判断する
  • 不動産があれば3年以内に相続登記を済ませる
  • 基礎控除に近い金額なら、相続税の対応実績がある税理士に一括で相談・見積りを依頼する

※本記事は2026年10月時点の情報にもとづいて作成しています。相続税法の改正により内容が変わる場合があります。最新の制度については国税庁の公式サイトで確認するか、相続税の対応実績がある税理士にご相談ください。

相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ
相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!