


弔慰金には、原則として相続税がかかりません。会社から遺族へ支払われる見舞金であり、一定額までは非課税と定められています。
非課税になる金額は、亡くなった原因で大きく変わります。業務上の死亡なら普通給与の3年分、業務外なら半年分までです。
この差は6倍です。月給50万円なら、業務上で1,800万円、業務外で300万円と大きく開きます。
限度額を超えた分は、死亡退職金として扱われます。そこには「500万円×法定相続人の数」の非課税枠を使えます。
ただし相続人でない人が受け取った場合は、この500万円の枠が使えません。同じ金額でも課税額が大きく変わります。
また会社に弔慰金の規程がないと、実質的な退職金と判断されることがあります。経営者は生前の整備が重要です。
本記事では、非課税限度額の判定、業務上と業務外の違い、計算方法、3層の非課税枠の積み上げ、相続人以外が受け取った場合、ケース別の扱い、申告の実務を解説します。
▼ この記事の3行まとめ

まず結論からお伝えします。社会通念上相当と認められる範囲の弔慰金には、相続税がかかりません。
限度額は死亡の原因で決まります。業務上の死亡なら死亡当時の普通給与の3年分、業務上以外の死亡なら半年分までが非課税です。
| 死亡の原因 | 非課税限度額 | 月給50万円の場合 |
|---|---|---|
| 業務上の死亡 | 普通給与の3年分(36ヶ月) | 1,800万円 |
| 業務上以外の死亡 | 普通給与の半年分(6ヶ月) | 300万円 |
表の見方:同じ月給でも、業務上か業務外かで限度額が6倍変わります。どちらに当たるかの判定が、課税額を決める最大の分かれ目です。
限度額を超えた部分は、死亡退職金として相続税の対象になります。全額が課税されるわけではありません。
さらに超過分には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠を使えます。相続人3人なら1,500万円まで、超過分を吸収できます。
つまり二段階で非課税になります。弔慰金の限度額でまず控除し、それを超えた分にも退職金の枠が使えます。
結果として、業務外の死亡でも月給50万円・相続人3人なら1,800万円まで課税されません。限度額300万円だけを見て「超えたら課税」と考えると、余分に納めることになります。
参照元:国税庁 No.4120 弔慰金を受け取ったときの取扱い
計算の基礎になる「普通給与」の範囲が決まっています。俸給・給料・賃金・扶養手当・勤務地手当・特殊勤務地手当などの合計額で、賞与は含みません。
| 項目 | 普通給与に含めるか |
|---|---|
| 俸給・給料・賃金 | 含める |
| 扶養手当・家族手当 | 含める |
| 勤務地手当・特殊勤務地手当 | 含める |
| 賞与・ボーナス | 含めない |
| 役員報酬 | 含める(月額報酬) |
基準になるのは「死亡当時」の金額です。昇給前の低い金額ではなく、亡くなった時点の月額給与で計算します。
賞与を含めないため、年収ではなく月額で判定します。年収600万円のうち賞与が120万円なら、月給は40万円として計算します。
金額は会社の規程で決まります。法律で定められた金額はなく、非課税限度額が実務上の上限の目安になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 金額の決め方 | 会社の慶弔規程や弔慰金規程による |
| 上限の目安 | 非課税限度額(業務上3年分・業務外半年分) |
| 従業員の場合 | 数万円から数十万円が一般的(業務外の死亡) |
| 役員の場合 | 月額報酬に応じて数百万円以上になることもある |
| 支給の時期 | 葬儀後から数ヶ月以内(規程で定められている) |
| 請求の方法 | 会社に届け出る(会社から案内があることが多い) |
従業員の弔慰金は少額のことが多く、非課税限度額を超えません。課税が問題になるのは、主に役員や高収入の従業員のケースです。
支給を受けたら、金額と業務上・業務外の区分が分かる書類を必ず保管してください。相続税の申告で必要になります。
混同しやすい4つのお金を整理します。それぞれ非課税の根拠が違うため、枠を別々に使えます。
| 受け取るもの | 性質 | 課税の扱い |
|---|---|---|
| 弔慰金 | 会社からの見舞金 | 業務上3年分・業務外半年分まで非課税 |
| 死亡退職金 | 退職金規程による支給 | 500万円×法定相続人の数まで非課税 |
| 死亡保険金 | 生命保険契約による給付 | 500万円×法定相続人の数まで非課税 |
| 香典 | 参列者からの供物 | 社会通念上相当な範囲なら非課税 |
香典は会社からではなく参列者から受け取るものです。金額が常識的な範囲なら、相続税も贈与税もかかりません。
会社が香典として少額を渡す場合もあります。名目が香典でも、金額が大きければ弔慰金として扱われます。
死亡保険金の扱いは、下記の記事で解説しています。


判定が最も重要です。業務上の死亡と認められれば、非課税枠が6倍に広がります。
業務との因果関係があるかで判断します。通勤途中の災害や出張中の事故も、業務上の死亡に含まれます。
| 状況 | 業務上の死亡 |
|---|---|
| 担当業務中の事故 | 該当する |
| 指示された担当外業務中の事故 | 該当する |
| 通勤途中の災害 | 該当する |
| 出張中の事故 | 該当する |
| 業務が原因の病気による死亡 | 因果関係が明確なら該当する |
| 私的な旅行中の事故 | 該当しない |
| 持病による死亡 | 原則として該当しない |
労災の認定を受けていれば、業務上の死亡と判断しやすくなります。労災認定の書類は、業務上であることを示す有力な資料になります。
月給別に限度額を比べます。月給が高いほど、業務上と業務外の差額は大きくなります。
| 月額の普通給与 | 業務上(3年分) | 業務外(半年分) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 30万円 | 1,080万円 | 180万円 | 900万円 |
| 50万円 | 1,800万円 | 300万円 | 1,500万円 |
| 80万円 | 2,880万円 | 480万円 | 2,400万円 |
| 100万円 | 3,600万円 | 600万円 | 3,000万円 |
計算ロジック:業務上は月額×36ヶ月、業務外は月額×6ヶ月で計算します。月給100万円の役員なら、判定によって3,000万円の差が生まれます。
弔慰金2,000万円を受け取ったケースで比べます。業務上の死亡なら課税0円、業務外なら200万円が課税対象になります。
| 項目 | 業務上の死亡 | 業務外の死亡 |
|---|---|---|
| 弔慰金 | 2,000万円 | 2,000万円 |
| 非課税限度額 | 1,800万円 | 300万円 |
| 死亡退職金として扱う額 | 200万円 | 1,700万円 |
| 死亡退職金の非課税枠 | 1,500万円 | 1,500万円 |
| 課税対象額 | 0円 | 200万円 |
計算ロジック:月給50万円・相続人3人・死亡退職金は別に受け取っていないケースです。死亡退職金の非課税枠は500万円×3人=1,500万円です。業務上と認められれば、超過分が200万円に収まり非課税枠で吸収されます。
実際の場面で当てはめてみます。「業務のために起きたか」が判断の軸になるため、勤務時間内かどうかだけでは決まりません。
| 状況 | 判定 |
|---|---|
| 工場で機械に挟まれた | 業務上に該当する |
| 営業車で移動中に事故に遭った | 業務上に該当する |
| 自宅から会社へ向かう途中の交通事故 | 業務上に該当する(通勤災害) |
| 出張先のホテルで火災に遭った | 業務上に該当する |
| 長時間労働が原因の脳疾患で死亡した | 因果関係が認められれば業務上に該当する |
| 休日に趣味の登山で事故に遭った | 業務上に該当しない |
| 勤務時間中に持病の心疾患で亡くなった | 業務との因果関係がなければ該当しない |
| 通勤経路を大きく外れた寄り道中の事故 | 該当しないことが多い |
勤務時間中に亡くなっても、業務と無関係な持病が原因なら業務外です。逆に休日でも、業務のための移動中なら業務上に該当します。
過労が原因の場合は、労災の認定を先に受けるのが確実です。認定されれば業務上の死亡として扱いやすくなります。
判断が難しいケースもあります。過労が原因の病気や、業務中の発症で持病が悪化した場合は、専門家に確認してください。
【判定の根拠になる資料】
会社が「業務上の死亡」として弔慰金を支給していれば、その判断が根拠になります。支給決定の書類に理由が記載されているか、必ず確認してください。
会社が「業務上」として支給しても、それが確定するわけではありません。税務署は実態で判断するため、根拠が弱いと業務外とされることがあります。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 会社が業務上として支給・労災認定もある | 業務上として計算できる(根拠が強い) |
| 会社が業務上としたが労災認定がない | 因果関係を示す資料をそろえる |
| 会社が区分を示していない | 会社に確認し、支給決定の理由を書面でもらう |
| 労災認定はあるが会社が業務外として支給した | 労災認定を根拠に業務上として計算できる余地がある |
もっとも確実な根拠は労災の認定です。認定を受けているなら、業務上の死亡であることを客観的に示せます。
判断に不安があるなら、申告前に税理士へ相談してください。後から更正の請求で直すより、最初から正しく計算するほうが確実です。

計算は3ステップです。「普通給与から限度額を出す」「超過分を死亡退職金として扱う」「500万円×人数の枠を引く」の順で進めます。
順番に確認していきます。ステップ2で超過がなければ、その時点で課税されません。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①限度額を出す | 死亡当時の普通給与×36ヶ月(業務上)または×6ヶ月(業務外) |
| ②超過分を計算する | 弔慰金-①。超過分は死亡退職金として扱う |
| ③非課税枠を引く | ②+実際の死亡退職金-(500万円×法定相続人の数) |
ステップ3で残った金額が、相続税の課税対象になります。この金額を他の財産と合わせ、基礎控除を超えるかで申告の必要性が決まります。
両方受け取った場合は、超過分と退職金を合算します。500万円×人数の非課税枠は、合算した金額に対して1回だけ使えます。
【例】月給50万円・業務外・弔慰金500万円・死亡退職金2,000万円・相続人3人
弔慰金の限度額は300万円なので、超過分200万円が死亡退職金扱いになります。死亡退職金2,000万円と合わせて2,200万円です。
【非課税枠を引く】
2,200万円-1,500万円(500万円×3人)=700万円が課税対象になります。
弔慰金の枠内に収まっていても、死亡退職金が多いと課税されます。両方を合わせた金額で判定してください。
死亡退職金の詳細は、下記の記事で解説しています。

参照元:国税庁 No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金
死亡退職金の非課税枠には条件があります。相続人が取得した場合にだけ適用されるため、相続人以外は使えません。
また相続を放棄した人も使えません。放棄すると相続人ではなくなるためです。
| 受け取った人 | 500万円×人数の非課税枠 |
|---|---|
| 相続人(配偶者・子など) | 使える |
| 相続を放棄した人 | 使えない |
| 相続人でない親族(兄弟など) | 使えない |
| 内縁の配偶者 | 使えない |
非課税枠の限度額を計算するときは、放棄した人も人数に含めます。人数計算には含めるが、放棄した本人は適用を受けられないという二段構造です。
金額別に課税対象額を計算します。月給50万円・業務外・相続人3人なら、弔慰金1,800万円までは課税されません。
| 弔慰金の額 | 超過分(限度額300万円) | 課税対象額 |
|---|---|---|
| 300万円 | 0円 | 0円 |
| 1,000万円 | 700万円 | 0円(非課税枠1,500万円以内) |
| 1,800万円 | 1,500万円 | 0円(非課税枠を使い切る) |
| 2,000万円 | 1,700万円 | 200万円 |
| 3,000万円 | 2,700万円 | 1,200万円 |
計算ロジック:弔慰金-限度額300万円=超過分。そこから死亡退職金の非課税枠1,500万円(500万円×3人)を引いた残りが課税対象です。業務外でも、死亡退職金を別に受け取っていなければ1,800万円まで非課税になります。
この表は死亡退職金を受け取っていない前提です。退職金も受け取っている場合は、非課税枠1,500万円をそちらと分け合うことになります。

死亡時に受け取るお金には、複数の非課税枠があります。弔慰金・死亡退職金・死亡保険金の枠は別々に使えるため、積み上げると大きな金額になります。
それぞれ根拠となる規定が違います。弔慰金の枠を使ったからといって、死亡退職金や保険金の枠が減ることはありません。
| 枠 | 金額(月給50万円・相続人3人・業務上死亡) |
|---|---|
| 弔慰金の非課税限度額 | 1,800万円 |
| 死亡退職金の非課税枠 | 1,500万円 |
| 死亡保険金の非課税枠 | 1,500万円 |
| 小計 | 4,800万円 |
| 相続税の基礎控除 | 4,800万円 |
| 合計 | 9,600万円 |
計算ロジック:弔慰金は50万円×36ヶ月=1,800万円、死亡退職金と死亡保険金は500万円×3人=各1,500万円、基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万円です。合計9,600万円までは相続税がかかりません。
これは経営者や役員の家庭で特に効果があります。会社が弔慰金と死亡退職金を支給し、生命保険も加入していれば、枠を最大限に使えます。
参照元:国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
枠が余っていても繰り越せません。保険金の枠を使い切っていないなら、その分を生前に準備する価値があります。
【枠が余るパターン】
生命保険に加入していない、または保険金が少額の場合、500万円×人数の枠が使われずに終わります。現金で残すより保険で残したほうが有利です。
【枠を超えるパターン】
死亡退職金が多額なら、弔慰金の枠内に収めることが重要です。弔慰金と退職金の配分を規程で調整できます。
会社が支給額を決められる立場なら、配分の設計が可能です。弔慰金を限度額まで支給し、残りを死亡退職金にすれば、非課税で渡せる金額が最大になります。
ただし社会通念上相当な額を超えると否認されます。相場を大きく外れた設計は避けてください。
非課税限度額は、法令が示す「相当な額」の基準として機能します。この範囲内なら社会通念上相当と判断されやすく、否認のリスクも小さくなります。
逆に限度額を大きく超える支給は、金額そのものが疑問視されます。会社側でも損金にできないおそれがあります。
設計するなら、限度額いっぱいまでを弔慰金にし、残りを死亡退職金として支給する形が基本です。どちらの枠も使えるため、非課税で渡せる金額が最大になります。
死亡保険金の非課税枠を使うには条件があります。被相続人が保険料を負担し、相続人が受け取る契約形態でなければ枠が使えません。
| 契約形態 | 課税される税金 | 500万円×人数の枠 |
|---|---|---|
| 保険料の負担者=被相続人、受取人=相続人 | 相続税 | 使える |
| 保険料の負担者=被相続人、受取人=相続人以外 | 相続税 | 使えない |
| 保険料の負担者=受取人自身 | 所得税(一時所得) | 関係しない |
| 負担者・被保険者・受取人がすべて違う | 贈与税 | 関係しない |
受取人を孫にしていると枠が使えません。孫は相続人ではないため、非課税枠の適用外になり2割加算まで加わります。
高齢でも加入できる一時払終身保険なら、現金を保険に移して枠を使えます。契約形態を確認してから加入してください。

受け取る人が相続人かどうかで結果が大きく変わります。弔慰金の限度額は使えますが、超過分に対する500万円の枠は使えません。
2つの枠は要件が違います。弔慰金の非課税限度額は受取人の属性を問いませんが、死亡退職金の非課税枠は相続人に限られます。
| 枠 | 相続人 | 相続人以外 |
|---|---|---|
| 弔慰金の非課税限度額(3年分・半年分) | 使える | 使える |
| 死亡退職金の非課税枠(500万円×人数) | 使える | 使えない |
| 2割加算 | 配偶者・一親等の血族は対象外 | 対象になる |
内縁の配偶者や、相続人にならない兄弟が受け取るケースが該当します。会社の規程で受取人が定められている場合は、相続人以外が受け取ることもあります。
同じ弔慰金でも、受け取る人で課税額が変わります。弔慰金2,000万円・業務外のケースでは、課税対象が200万円と1,700万円に分かれます。
| 項目 | 相続人が受け取る | 相続人以外が受け取る |
|---|---|---|
| 弔慰金 | 2,000万円 | 2,000万円 |
| 弔慰金の非課税限度額 | 300万円 | 300万円 |
| 死亡退職金として扱う額 | 1,700万円 | 1,700万円 |
| 500万円×3人の非課税枠 | 1,500万円 | 使えない |
| 課税対象額 | 200万円 | 1,700万円 |
| 2割加算 | なし | あり |
計算ロジック:月給50万円・業務外の死亡・相続人3人のケースです。相続人以外が受け取ると課税対象が1,500万円増え、さらに税額が1.2倍になります。
受取人を変更できるなら、生前に見直す価値があります。相続人が受け取る形にすれば、非課税枠を活かせます。
配偶者と一親等の血族以外は、税額が1.2倍になります。兄弟姉妹や代襲相続人でない孫、内縁の配偶者が対象です。
| 受け取る人 | 2割加算 |
|---|---|
| 配偶者・子・父母 | 対象外 |
| 兄弟姉妹 | 対象 |
| 孫(代襲相続人ではない) | 対象 |
| 内縁の配偶者 | 対象 |
| 孫(代襲相続人) | 対象外 |
相続人以外が受け取ると、非課税枠が使えないうえに2割加算まで加わります。負担が二重に重くなる構造です。

受け取り方によって扱いが変わります。複数社から受けた場合や過去の勤務先から受けた場合は、計算方法が違います。
非課税限度額は会社ごとに計算します。合算して1つの枠を使うのではなく、それぞれの会社の給与を基準に別々に判定します。
【例】2社を兼務していた場合(いずれも業務外の死亡)
A社は月給50万円で弔慰金400万円。限度額は300万円なので超過100万円です。B社は月額報酬30万円で弔慰金300万円。限度額は180万円なので超過120万円です。
【合計】
超過分の合計220万円が死亡退職金として扱われます。ここから500万円×人数の非課税枠を引きます。
会社ごとに計算するため、兼務していた人は有利になります。それぞれの会社での給与を確認し、別々に限度額を計算してください。
すでに退職していた会社から受け取る弔慰金は扱いが違います。雇用関係がないため相続税ではなく、受け取った人の所得税の対象になります。
一時所得として計算するため、50万円の特別控除が使えます。その半分だけが課税対象です。
| 支給元 | 課税される税金 |
|---|---|
| 死亡当時に勤務していた会社 | 相続税(限度額を超えた分) |
| 過去に勤務していた会社 | 所得税(一時所得) |
| 雇用関係のない法人 | 所得税(一時所得) |
| 個人(取引先の社長など) | 社会通念上相当なら非課税 |
| 国・地方公共団体 | 非課税(法律で定められたもの) |
一時所得は「収入-支出-50万円」の半分が課税対象です。弔慰金が50万円以下なら、実質的に課税されません。
国や自治体から支給される弔慰金は非課税です。金額の制限なく非課税とされるため、限度額の計算は不要です。
| 受け取るもの | 課税の扱い |
|---|---|
| 災害弔慰金(自治体から) | 非課税 |
| 労災保険の遺族補償給付 | 非課税 |
| 労災保険の葬祭料 | 非課税 |
| 公務員の賞恤金など | 非課税 |
| 遺族年金 | 非課税 |
| 死亡一時金 | 非課税 |
労災の給付は労働者災害補償保険法で非課税と定められています。会社からの弔慰金とは別枠なので、両方を受け取っても限度額に影響しません。
公的な給付と会社の弔慰金は混同しやすいところです。支給元がどこかを確認してから計算してください。
労災の遺族補償年金は毎年受け取り続けますが、これも非課税です。所得税も相続税もかからないため、申告の対象になりません。
ただし未支給年金は扱いが違います。亡くなった月分までの公的年金は、受け取った遺族の一時所得になります。
弔慰金からは社会保険料も所得税も引かれません。亡くなった時点で被保険者の資格を失っているため、社会保険料の対象になりません。
| 項目 | 扱い |
|---|---|
| 社会保険料 | かからない |
| 源泉徴収 | されない(相続税の対象のため) |
| 受け取った遺族の所得 | ならない(相続税の対象のため) |
| 会社側の消費税 | 不課税 |
| 会社側の法人税 | 社会通念上相当な額なら損金に算入できる |
そのため受け取った金額がそのまま手元に残ります。支給額から引かれるものはないため、通知された金額どおりに振り込まれます。
ただし過去の勤務先から受け取った場合は所得税の対象です。この場合は翌年の確定申告で処理します。
死亡後にかかる税金の全体像は、下記の記事で解説しています。

相続税の計算方法は同じです。役員でも従業員でも「普通給与の3年分・半年分」という基準は変わりません。
ただし役員は月額報酬が高いため、限度額も大きくなります。結果として高額の弔慰金でも非課税に収まりやすくなります。
| 項目 | 役員 | 従業員 |
|---|---|---|
| 非課税限度額の基準 | 月額報酬×36ヶ月または6ヶ月 | 月額給与×36ヶ月または6ヶ月 |
| 限度額の大きさ | 報酬が高いため大きくなりやすい | 比較的小さい |
| 否認されるリスク | 高い(同族会社では特に注意) | 低い |
| 法人側の損金算入 | 過大な支給は否認される | 規程に沿えば問題になりにくい |
役員の場合は、支給の根拠を明確にしておくことが重要です。従業員には支給実績がないのに役員だけ高額という形は、否認の対象になりやすくなります。
会社ではなく個人から受け取る場合もあります。社会通念上相当な範囲であれば、贈与税も所得税もかかりません。
取引先の社長や親族から個人的に受け取った弔慰金が該当します。香典と同じ扱いです。
| 支給元 | 課税の扱い |
|---|---|
| 個人(社会通念上相当な額) | 贈与税も所得税もかからない |
| 個人(社会通念を超える高額) | 贈与税の対象になることがある |
| 法人(死亡当時の勤務先) | 相続税(限度額を超えた分) |
| 法人(雇用関係なし) | 所得税(一時所得) |
国税庁も、社会通念上相当と認められる弔慰金は贈与税の対象にならないとしています。常識的な金額であれば、申告を気にする必要はありません。
参照元:国税庁 質疑応答事例 贈与税の対象とならない弔慰金等
名前だけで判断されるわけではありません。実質的に退職手当金に該当する部分は、弔慰金という名目でも退職金として課税されます。
退職金規程がある会社で、規程どおりの退職金を「弔慰金」の名目で支給した場合が典型です。実態で判断されます。
注意:非課税枠を大きくするために、退職金を弔慰金の名目に置き換えることはできません。実質が退職金であれば、名目を変えても退職手当金等として課税されます。税務調査で指摘される典型的なパターンです。
正しく分けるには、弔慰金と退職金の規程を別に整備しておく必要があります。支給の根拠が明確なら、それぞれの枠を正しく使えます。

弔慰金が誰のものになるかは、規程の内容で決まります。規程で受取人が定められていれば、その人固有の財産となり遺産分割の対象になりません。
会社の規程が「配偶者に支給する」などと定めていれば、その人の財産です。相続財産ではないため、他の相続人と分ける必要はありません。
| 状況 | 遺産分割の対象 |
|---|---|
| 規程で受取人が定められている | 対象にならない(受取人固有の財産) |
| 規程がなく会社が個別に判断して支給した | 争いになりやすい(相続財産と扱われることがある) |
| 「遺族に支給する」とだけ定めている | 誰が遺族かで争いになることがある |
| 相続人全員へ支給された | 規程に沿った配分になる |
重要ポイント:受取人固有の財産であっても、相続税の課税対象になる点は変わりません。民法上は遺産分割の対象外でも、税務上は限度額を超えれば課税されます。
生命保険金と同じ構造です。民法と税法で扱いが分かれる点を理解しておいてください。
規程がないと、誰が受け取るかで揉めることがあります。会社が配偶者に渡したのに、他の相続人が分配を求めるケースが典型です。
【争いになりやすいパターン】
受け取った人が固有の財産と主張し、他の相続人が相続財産と主張する形になります。規程の有無が争いの分かれ目になるため、会社側の書類を確認してください。
遺産分割で持ち戻すべきかという問題もあります。弔慰金は遺族の生活保障の性質が強いため、原則として特別受益にはならないと考えられています。
ただし金額が極端に大きく、相続人間の公平を著しく害する場合は例外もあります。判断が難しい領域です。
争いになった場合は弁護士に相談してください。税務上の扱いと民法上の扱いは別なので、税理士と弁護士の両方が関わる場面もあります。

会社側の準備が課税に影響します。弔慰金規程がないと、実質的な退職金と判断されやすくなります。
支給の根拠が示せないことが問題になります。慶弔規程や弔慰金規程を整備しておけば、支給の性質を説明できます。
| 整備しておくもの | 役割 |
|---|---|
| 慶弔規程・弔慰金規程 | 支給の根拠と金額の基準を示す |
| 退職金規程 | 弔慰金と退職金を区別する |
| 取締役会や株主総会の議事録 | 支給を決定した経緯を残す |
| 支給決定通知書 | 業務上の死亡かどうかの判断を記録する |
| 受取人を定めた規定 | 誰が受け取るかを明確にする |
規程は死亡後に作っても意味がありません。生前に整備しておくことが、非課税枠を確実に使うための条件です。
金額が社会通念を超えると認められません。同族会社が経営者一族へ相場を大きく超える弔慰金を出すと、税務調査で否認されるおそれがあります。
否認されると、会社側は損金にできず、遺族側は課税されます。両方で不利になります。
【否認されやすいパターン】
非課税限度額(3年分・半年分)は「これ以下なら安全」という目安になります。限度額の範囲内で、かつ規程に沿った支給であれば問題になりにくいです。
規程には最低限の項目を盛り込みます。業務上と業務外で金額を分けて定めることが、非課税枠を正しく使うための条件です。
| 項目 | 定める内容 |
|---|---|
| 対象者 | 役員・従業員それぞれの適用範囲 |
| 金額の基準 | 業務上は月額報酬の○ヶ月分、業務外は○ヶ月分と分けて定める |
| 受取人 | 配偶者・子・父母などの順位を明記する |
| 支給の時期 | 死亡の届出から○ヶ月以内など |
| 決定の手続き | 取締役会の決議によるなど |
| 業務上の判定 | 労災の認定を基準にするなど客観的な基準 |
金額は非課税限度額の範囲内で定めるのが安全です。業務上なら36ヶ月分、業務外なら6ヶ月分を上限として設定してください。
受取人を「配偶者」と明記しておけば、遺産分割で争いになりません。同時に500万円×人数の非課税枠も使えます。
規程は社会保険労務士や税理士に相談して作るのが確実です。形だけ整えても、実態が伴わなければ否認される可能性が残ります。
準備は生前にしかできません。規程の整備・支給額の設定・受取人の指定の3つを済ませておいてください。
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重要ポイント:規程は従業員にも適用される内容にしてください。経営者だけに支給する形だと、社会通念上相当でないと判断されるおそれがあります。

課税対象額が出た場合は、相続税の申告に含めます。申告書の第10表「退職手当金などの明細書」に記載します。
弔慰金だけで申告が必要になるわけではありません。課税対象額を他の財産と合算し、基礎控除を超えるかで判定します。
| 状況 | 申告 |
|---|---|
| 弔慰金が限度額以内で他の財産も基礎控除以下 | 不要 |
| 弔慰金の超過分があるが総額が基礎控除以下 | 不要 |
| 超過分を含めると基礎控除を超える | 必要 |
| 特例を使って税額が0円になる | 必要(申告が適用要件) |
| 過去の勤務先からの弔慰金 | 所得税の確定申告(一時所得が50万円超の場合) |
基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。相続人3人なら4,800万円を超えるかで判定します。
弔慰金の超過分は死亡退職金として記載します。第10表に支給元・金額・受取人を書き、非課税枠を差し引いた額を第11表に転記します。
| 書類 | 記載する内容 |
|---|---|
| 第10表 | 退職手当金などの明細(弔慰金の超過分と死亡退職金) |
| 第9表 | 生命保険金などの明細(死亡保険金がある場合) |
| 第11表 | 相続税がかかる財産の明細 |
| 第1表 | 課税価格と税額の計算 |
非課税枠は第10表の中で計算します。限度額以内の弔慰金は記載する必要がありません。
申告書の書き方は、下記の記事で解説しています。

申告後に間違いに気づいた場合も救済があります。過大に申告していたなら、申告期限から5年以内に更正の請求をすれば還付を受けられます。
| 状況 | 手続き | 期限 |
|---|---|---|
| 業務外として計算したが業務上だった(税額が過大) | 更正の請求 | 申告期限から5年以内 |
| 賞与を含めて計算していた(税額が過大) | 更正の請求 | 申告期限から5年以内 |
| 弔慰金の申告漏れがあった(税額が不足) | 修正申告 | 早いほど加算税が軽い |
| 過去の勤務先分を相続税で申告した | 更正の請求+所得税の申告 | それぞれの期限内 |
更正の請求には、判定の根拠となる資料を添えます。労災の認定通知書や会社の支給決定書があれば、業務上の死亡であることを示せます。
逆に申告漏れがあった場合は、修正申告を早めに行ってください。税務署の指摘前なら加算税が軽くなります。
弔慰金を受け取ってからの流れです。最初に会社から書類をもらうことが、すべての計算の出発点になります。
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重要ポイント:STEP1で「業務上」の記載があるかが最も重要です。記載がなければ、会社に確認して判断の根拠を明確にしてもらってください。
会社から書類をもらう必要があります。支給額と業務上・業務外の区分が分かる書類を必ず入手してください。
【会社から入手する書類】
給与明細は限度額の計算に必要です。死亡当時の月額給与が分からないと、非課税限度額を計算できません。
会社に依頼すれば発行してもらえます。相続税の申告に必要だと伝えて、早めに手配してください。

弔慰金でつまずく原因は限られています。業務上・業務外の判定と、非課税枠の使い方の2点が大半です。
事例1:業務外として申告したが業務上だった
通勤途中の事故で亡くなったのに、業務外として半年分で計算したケース。本来は3年分が使えたため、余分に相続税を払っていました。
対策:通勤中・出張中の事故は業務上に該当します。労災の認定状況を確認してから計算します。
事例2:内縁の配偶者が受け取り非課税枠を使えなかった
会社の規程で内縁の配偶者が受取人になっていたケース。相続人でないため500万円×人数の非課税枠が使えず、さらに2割加算も適用されました。
対策:受取人が相続人かを確認します。生前なら規程の見直しで調整できます。
事例3:規程がなく実質的な退職金と判断された
同族会社が経営者の死亡時に高額の弔慰金を支給したケース。規程がなかったため実質的な退職金と判断され、非課税枠を超える部分に課税されました。
対策:生前に慶弔規程を整備します。規程と支給決定の議事録を残しておきます。
事例4:賞与を含めて限度額を計算した
年収を12で割った金額を月給として計算したケース。普通給与に賞与は含まないため、限度額を過大に計算していました。
対策:死亡当時の月額給与(賞与を除く)で計算します。給与明細で確認します。
事例5:過去の勤務先からの弔慰金を相続税で申告した
すでに退職していた会社から弔慰金を受け取ったケース。相続税の対象と考えて申告しましたが、正しくは所得税(一時所得)でした。
対策:支給元が死亡当時の勤務先かを確認します。過去の勤務先なら所得税の確定申告で処理します。
重要ポイント:5つの事例に共通するのは、前提の確認不足です。支給元・死亡の原因・受取人・給与の額の4点を、計算前に必ず確認してください。
弔慰金の支給は会社の義務ではありません。規程がなければ支給されないこともあるため、まず会社に確認してください。
| 支給されない理由 | 対応 |
|---|---|
| 会社に慶弔規程がない | 支給は任意。会社に相談するしかない |
| 規程で定めた遺族に該当しない | 規程の内容を確認する |
| 勤務期間が規程の要件に足りない | 要件を確認する |
| 請求手続きをしていない | 会社に届け出る |
| 会社が経営難で支払えない | 労災の遺族給付など公的な制度を確認する |
支給されなくても、労災の遺族補償給付や遺族年金は受け取れます。これらは非課税なので、相続税の心配は不要です。
会社から連絡がない場合は、こちらから問い合わせてください。規程の有無と支給の可否を確認するところから始めます。
計算する前に次の項目を確認してください。1つでも不明な点があれば、会社に問い合わせるか専門家に相談してください。

弔慰金は判定を間違えると数百万円の差が出ます。相続税の対応実績がある税理士なら、業務上・業務外の判定と非課税枠の使い方を正しく判断できます。複数の税理士に一括で相談し、比較して選ぶのがおすすめです。
弔慰金は他の非課税枠と組み合わせて考える必要があります。弔慰金だけを見ていると、死亡退職金や保険金の枠を無駄にすることがあります。
相続税の対応実績がある税理士が必要な理由
判定を誤ると、払わなくてよい税金を払うことになります。申告前に相談すれば、非課税枠を確実に使えます。
相続税に対応している税理士でも、みなし相続財産の扱いには差があります。見積りや初回相談で、次の3点を比べてみてください。
「申告実績数・業務上か業務外かを確認するか・3つの非課税枠を通して計算するか」の3点で見分けられます。
判定ポイント1:相続税申告の実績数
年間の相続税申告の件数を確認します。「年間5件」と「年間100件以上」では、弔慰金のような個別論点への慣れに差が出ます。→ 実績数が多い税理士のほうが、判定に迷いがないと判定できます。
判定ポイント2:業務上か業務外かを確認するか
初回相談で「亡くなった原因は何ですか」「労災の認定はありますか」と確認するかを見ます。→ ここを確認する税理士のほうが、6倍の枠の差を取りこぼさないと判定できます。
判定ポイント3:3つの非課税枠を通して計算するか
弔慰金だけでなく、死亡退職金と死亡保険金の枠まで含めて計算するかを確認します。→ 通して計算する税理士のほうが、枠の無駄をなくせると判定できます。
自己判断で計算すると、過大に申告するおそれがあります。特に業務上の死亡を業務外として計算すると、非課税枠が6分の1になります。
過大に納めた場合は還付を受けられますが、気づかなければそのままです。具体的には次のようなリスクがあります。
相談せずに進めた場合のリスク
これらの多くは、申告前の確認で防げます。相談は無料のことが多く、早いほど選択肢が広がります。
実際に一括相談・見積りを利用する流れは、次の4ステップです。フォームの記入自体は5分ほどで終わります。
相続税の申告期限は10ヶ月です。会社からの書類集めに時間がかかるため、早めに動いてください。
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重要ポイント:「亡くなった原因」と「死亡当時の月額給与」を最初に伝えてください。この2つが分かれば、非課税限度額をすぐに計算できます。
原則としてかかりません。業務上の死亡なら死亡当時の普通給与の3年分、業務上以外の死亡なら半年分までが非課税です。超えた部分は死亡退職金として扱い、500万円×法定相続人の数の非課税枠を使えます。
非課税限度額が6倍変わります。月給50万円なら業務上で1,800万円、業務外で300万円です。通勤途中の災害や出張中の事故も業務上の死亡に含まれるため、労災の認定状況を確認してください。
含まれません。普通給与は俸給・給料・賃金・扶養手当・勤務地手当・特殊勤務地手当などの合計額で、賞与は除きます。年収を12で割るのではなく、死亡当時の月額給与で計算してください。
弔慰金の非課税限度額は使えますが、超過分に対する500万円×人数の非課税枠は使えません。さらに2割加算も適用されます。弔慰金2,000万円・業務外・相続人3人のケースでは、課税対象が200万円と1,700万円に分かれます。
会社ごとに非課税限度額を計算します。合算して1つの枠を使うのではなく、それぞれの会社での給与を基準に別々に判定し、超過分を合計してから500万円×人数の枠を引きます。
弔慰金は原則として相続税がかかりません。非課税限度額は業務上の死亡で普通給与の3年分、業務外で半年分と6倍の差があるため、判定が課税額を左右します。超えた分は死亡退職金として扱い、500万円×法定相続人の数の非課税枠を使えます。
受け取った人が相続人かどうかでも結果が変わります。以下のアクションから始めましょう。
※本記事は2026年8月時点の情報にもとづいて作成しています。相続税法の改正により内容が変わる場合があります。最新の制度については国税庁の公式サイトで確認するか、相続税の対応実績がある税理士にご相談ください。