法人税はクレジットカードで納付できます。「国税クレジットカードお支払サイト」を利用すれば、24時間いつでもオンラインで手続きが完了し、ポイントも貯まります。
ただし、クレジットカード納付には決済手数料(10,000円ごとに99円=約0.83〜0.99%)がかかるため、「ポイント還元率が手数料率を上回るカードでなければ損になる」という重要なポイントがあります。
還元率1.0%以上のカードであれば手数料を上回ってプラスになりますが、0.5%のカードでは手数料負けしてしまいます。
本記事では、法人税のクレジットカード納付の手順を解説し、金額別の手数料一覧表、手数料vsポイント還元の損益分岐点計算、全6種の納付方法の横並び比較、クレカ納付時の仕訳方法、納税証明書の注意点と対処法まで網羅的に解説します。
この記事の要点
- 法人税は「国税クレジットカードお支払サイト」からクレカ納付が可能。24時間対応・ポイント付与・キャッシュフロー改善がメリット
- 決済手数料は約0.83〜0.99%。ポイント還元率1.0%以上のカードなら手数料を上回ってお得になる
- 1回1,000万円未満の上限・領収証書なし・納税証明書の反映に最大3週間かかる点に注意
法人税はクレジットカードで納付できる|制度の概要

クレジットカード納付の仕組み(国税クレジットカードお支払サイト経由)
法人税のクレジットカード納付は、国税庁長官が指定した納付受託者(株式会社エフレジ)が運営する「国税クレジットカードお支払サイト」を通じて行います。
金融機関やコンビニの窓口でクレジットカードを使って納付することはできません。あくまでインターネット上の専用サイトを通じた手続きです(参照:国税庁|クレジットカード納付の手続)。
仕組みとしては、納付受託者が法人税の「立替払い」を行い、後日クレジットカードの利用代金としてカード会員に請求されます。
お支払サイトでの納付手続きが法定納期限内に完了していれば、カードの引落日が納期限後になっても延滞税は発生しません。
利用できるクレジットカードのブランド
利用できるのは以下の5つの国際ブランドのクレジットカードです。
- Visa
- Mastercard
- JCB
- American Express
- Diners Club
上記ブランドであれば、法人カード・個人名義カードのいずれでも利用可能です。デビットカードやプリペイドカードは、カード会社の対応状況によります。
個人名義カードでもOK?法人カードとの違い
法人税の納付に個人名義のカードを使うことも可能です。
ただし、個人カードを使う場合は経営者が法人の税金を「立替払い」する形になるため、帳簿上の処理(立替経費の精算)が適切に行える場合に限って利用してください。法人カードであれば法人口座から直接引き落とされるため、経理処理がシンプルになります。
クレジットカード納付で対応している国税の一覧
法人税以外にも、以下の国税がクレジットカードで納付可能です(参照:国税庁|クレジットカード納付のQ&A)。
- 法人税(連結納税を含む)
- 地方法人税(連結納税を含む)
- 消費税および地方消費税
- 申告所得税および復興特別所得税
- 源泉所得税および復興特別所得税
- 相続税・贈与税
- 印紙税・酒税・たばこ税 等
本税だけでなく、附帯税(加算税・延滞税等)もクレジットカードで納付できます。ただし、登録免許税や自動車重量税は通常クレジットカード納付の対象外です。
法人税をクレジットカードで納付する手順|5ステップで完了

STEP1:法人税の確定申告書とクレジットカードを用意する
納付する税目(法人税)、課税期間、申告区分、納付金額が分かる確定申告書と、決済に使用するクレジットカードを手元に用意します。
カードの利用可能残高が納付金額+決済手数料の合計を上回っていることも事前に確認してください。
STEP2:「国税クレジットカードお支払サイト」にアクセスする
アクセス方法は以下の3つがあります。
- 国税庁ホームページから「国税クレジットカードお支払サイト」のリンクをクリック
- e-Taxで電子申告した後、メッセージボックスの受信通知からアクセス(税目・金額等が自動反映されるため入力の手間が省ける)
- 確定申告書等作成コーナーから申告書を提出した場合に表示される納付方法の案内画面からアクセス
STEP3:利用者情報と納付内容を入力する
サイトの注意事項に同意した後、法人名(氏名)・住所・電話番号・整理番号・納付先税務署などの利用者情報と、税目(法人税)・課税期間・申告区分・納付金額などの納付内容を入力します。
e-Taxからアクセスした場合はこれらの情報が自動反映されます。
STEP4:クレジットカード情報を入力する
カード番号、有効期限、セキュリティコード、支払方法(一括払い・分割払い等)を入力します。納付手続完了メールの送信先も入力しておきましょう。
STEP5:内容を確認して納付手続きを完了する
入力内容と決済手数料の金額を確認し、「納付」ボタンを押して手続き完了です。納付手続き完了後は取消しができないため、金額に誤りがないか必ず確認してください。
e-Taxからアクセスすると入力項目が自動反映される
e-Taxで電子申告を行った法人は、メッセージボックスに届く受信通知内のリンクからアクセスすることで、税目・課税期間・申告区分・金額等が自動で入力されます。
入力ミスの防止にもなるため、e-Tax利用者はこの方法がおすすめです。
決済手数料はいくら?|金額別の手数料一覧表
手数料の計算方法:10,000円ごとに99円(税込)
クレジットカード納付には、納付税額に応じた決済手数料がかかります。手数料は納付税額10,000円ごとに99円(税込)が加算されます。
この手数料は納付受託者(株式会社エフレジ)に支払うもので、国の収入にはなりません(参照:国税庁|クレジットカード納付のQ&A)。
【一覧表】法人税額別の決済手数料
| 法人税の納付額 | 決済手数料(税込) | 手数料率 |
|---|---|---|
| 10万円 | 990円 | 0.99% |
| 50万円 | 4,950円 | 0.99% |
| 100万円 | 9,900円 | 0.99% |
| 200万円 | 19,800円 | 0.99% |
| 300万円 | 29,700円 | 0.99% |
| 500万円 | 49,500円 | 0.99% |
| 999万9,999円(上限) | 98,901円 | 約0.99% |
※納付税額が10,001円〜20,000円の場合は198円、以降10,000円ごとに99円加算。端数は切り上げで計算される場合あり。正確な金額は「国税クレジットカードお支払サイト」のシミュレーション機能で確認してください。
決済手数料は損金に算入できるか?
決済手数料は法人税そのものではなく、クレジットカード決済サービスの利用料です。したがって、「支払手数料」として損金に算入可能です。仕訳方法は後述します。
手数料vsポイント還元の損益分岐点|還元率何%以上なら得か?

手数料率は約0.83〜0.99%(納付額による)
決済手数料率は納付額によって若干変動しますが、おおむね0.83〜0.99%の範囲です。
10,000円ちょうどなら手数料99円で0.99%、10,001円なら手数料198円で約1.98%ですが、これは端数が出るケースの特殊な例です。実務上のまとまった金額であれば約0.99%と考えて問題ありません。
ポイント還元率1.0%以上のカードなら手数料を上回る
クレジットカード納付でお得になるかどうかの判断基準は明快です。ポイント還元率が手数料率(約0.99%)を上回ればお得、下回れば損です。
| ポイント還元率 | 手数料率(約0.99%)との比較 | 判定 |
|---|---|---|
| 0.5% | 0.5% < 0.99% | 損(手数料の方が大きい) |
| 0.75% | 0.75% < 0.99% | 損 |
| 1.0% | 1.0% > 0.99% | わずかに得(ほぼ同等) |
| 1.25% | 1.25% > 0.99% | 得 |
| 1.5% | 1.5% > 0.99% | 明確に得 |
【計算例】法人税100万円をクレカ納付した場合の手数料vsポイント比較
| 項目 | 還元率0.5%のカード | 還元率1.0%のカード | 還元率1.5%のカード |
|---|---|---|---|
| 法人税額 | 100万円 | ||
| 決済手数料 | 9,900円 | ||
| ポイント還元(相当額) | 5,000円分 | 10,000円分 | 15,000円分 |
| 差額(得/損) | ▲4,900円(損) | +100円(得) | +5,100円(得) |
還元率0.5%のカードでは4,900円の持ち出し、1.0%でほぼトントン、1.5%なら5,100円のプラスです。法人税300万円の場合、還元率1.5%のカードなら15,300円のプラスになります。
税金納付時のポイント付与率がカードにより異なる点に注意
注意すべきは、税金納付時のポイント付与率が通常の利用時と異なるカードがある点です。一部のカードでは税金納付はポイント付与の対象外、または還元率が半分になるケースがあります。
利用前にカード会社の規約を確認してください。
クレジットカード納付のメリット5つ

メリット①:24時間いつでもオンラインで納付完了
「国税クレジットカードお支払サイト」はメンテナンス時間を除き24時間利用可能です。金融機関の窓口が閉まった夜間や休日でも納付手続きができるため、忙しい経営者や経理担当者にとって大きなメリットです。
メリット②:ポイント・マイルが貯まる
法人税の納付額に応じてクレジットカードのポイントやマイルが貯まります。法人税は金額が大きくなりやすいため、還元率の高いカードを使えば相応のポイントが獲得できます。
メリット③:キャッシュフローの改善(支払いタイミングの後ろ倒し)
クレジットカード納付の場合、実際にカード利用代金が銀行口座から引き落とされるのはカードの支払日です。法定納期限にお支払サイトで手続きを完了すれば、実際の資金の支出を約1〜2ヶ月後ろ倒しにできます。
これにより、短期的なキャッシュフローの改善が可能です。
メリット④:現金を持ち歩くリスクがない
金融機関の窓口で現金納付する場合、多額の現金を持ち歩く必要がありますが、クレジットカード納付であればその必要がなく、紛失や盗難のリスクを回避できます。
メリット⑤:利用明細で経費管理が容易になる
クレジットカードの利用明細に法人税の納付記録が残るため、経費管理や記帳作業がスムーズになります。法人カードで各種経費と税金の支払いを一元管理すれば、計上漏れの防止にもつながります。
クレジットカード納付のデメリット・注意点6つ

デメリット①:決済手数料がかかる
クレジットカード納付には納付税額10,000円ごとに99円(税込)の決済手数料がかかります。
ダイレクト納付やインターネットバンキング納付には手数料がかからないため、ポイント還元率が低いカードを使う場合はクレジットカード納付の方がコスト高になる可能性があります。
デメリット②:1回1,000万円未満の上限がある
1回の手続きで納付できる金額は1,000万円未満、かつクレジットカードの決済可能額以下です。法人税額が1,000万円以上の場合、クレジットカード納付は利用できません。
ただし、複数回に分けて手続きすることで1,000万円以上の納付に対応できるケースもあります。
デメリット③:領収証書が発行されない
クレジットカード納付では領収証書は発行されません。領収証書が必要な場合は、金融機関または税務署の窓口で現金による納付を選択してください。
クレジットカード納付の場合、納付手続完了画面の印刷や納付手続完了メールが記録として残ります。
デメリット④:納税証明書への反映に最大3週間かかる(対処法あり)
クレジットカード納付後、納付受託者が国税の立替払いを行うまでの間(最大3週間程度)、納税証明書にはクレジットカード納付が行われた旨が記載されるにとどまり、「納付済」として完全に反映されません。
対処法:銀行融資の審査などで急ぎ納税証明書が必要な場合は、クレジットカード納付ではなくダイレクト納付や金融機関の窓口納付を選んでください。
これらの方法であれば、納付後すぐに(窓口納付は即日、ダイレクト納付は数日以内に)納税証明書に反映されます。
デメリット⑤:納付手続き完了後の取消しができない
お支払サイトで納付手続きが完了すると、取消しはできません。金額を間違えて納付してしまった場合は、後日、所轄の税務署に連絡して還付手続きを行う必要があります。
なお、還付される場合でも決済手数料は返金されません。
デメリット⑥:カードの利用可能額を超えると納付できない
クレジットカードには利用可能額(与信枠)が設定されています。法人税の納付額+決済手数料の合計がカードの利用可能額を超える場合は納付できません。
法人税の納付を見据えて、事前にカード会社に一時的な増枠を依頼するか、利用可能額の高い法人カードを用意しておくことをおすすめします。
【比較表】クレジットカードを含む全6種の法人税納付方法

全納付方法の横並び比較表
| 納付方法 | 手数料 | 利用可能額の上限 | 24時間対応 | 領収証書 | 納税証明書への反映 |
|---|---|---|---|---|---|
| 金融機関の窓口納付 | 無料 | 上限なし | ×(営業時間内) | ○ | 即日 |
| ダイレクト納付 | 無料 | 上限なし | ○ | × | 数日以内 |
| インターネットバンキング(ペイジー) | 無料 | 金融機関による | ○ | × | 数日以内 |
| クレジットカード納付 | 10,000円ごとに99円 | 1回1,000万円未満 | ○ | × | 最大3週間 |
| スマホアプリ納付 | 無料 | 30万円以下 | ○ | × | 数日以内 |
| コンビニ納付 | 無料 | 30万円以下 | ○(24時間営業店舗) | ○ | 数日以内 |
どの納付方法を選ぶべきか?ケース別のおすすめ
法人税額が大きく、ポイント還元率1.0%以上のカードを持っている→クレジットカード納付がおすすめ。ポイント獲得とキャッシュフロー改善の両方が見込めます。
手数料を一切かけたくない→ダイレクト納付またはインターネットバンキングがおすすめ。手数料無料で24時間対応、事前登録が必要ですが最も効率的です。
すぐに納税証明書が必要→金融機関の窓口納付がおすすめ。領収証書も即日発行され、納税証明書にも即日反映されます。
法人税額が30万円以下で手軽に済ませたい→スマホアプリ納付がおすすめ。PayPayやd払い等で手数料無料・24時間対応です。
地方税(住民税・事業税)のクレジットカード納付
国税は「国税クレジットカードお支払サイト」、地方税は「地方税お支払サイト」
法人税などの国税は「国税クレジットカードお支払サイト」で納付しますが、法人住民税や法人事業税などの地方税は別のサイトである「地方税お支払サイト」(eLTAX経由)からクレジットカード納付を行います。
国税と地方税で利用するサイトが異なる点に注意してください。
自治体によって対応状況が異なる点に注意
地方税のクレジットカード納付は、すべての自治体で対応しているわけではありません。対応状況は自治体ごとに異なるため、法人の本店所在地や事業所所在地を管轄する自治体のウェブサイトで事前に確認してください。
クレジットカードで法人税を納付した場合の仕訳方法
クレジットカードで法人税を納付した場合、「納付手続き時」と「カード引落し時」の2段階で仕訳を行います。
納付手続き時の仕訳(未払法人税等 / 未払金)
お支払サイトで納付手続きが完了した時点で、未払法人税等を消し込み、クレジットカードの未払い分を「未払金」として計上します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払法人税等 | 1,000,000 | 未払金 | 1,009,900 |
| 支払手数料 | 9,900 |
法人税額100万円+決済手数料9,900円の合計1,009,900円がクレジットカードの未払金として計上されます。決済手数料は「支払手数料」で損金算入します。
カード引落し時の仕訳(未払金 / 普通預金)
クレジットカードの引落日に、未払金を消し込みます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払金 | 1,009,900 | 普通預金 | 1,009,900 |
よくある質問(FAQ)
Q1. 法人税はクレジットカードで納付できますか?
できます。「国税クレジットカードお支払サイト」を利用すれば、Visa・Mastercard・JCB・American Express・Diners Clubのクレジットカードで法人税を納付できます。
個人名義のカードでも法人カードでも利用可能です。
Q2. クレジットカード納付の手数料はいくらですか?
納付税額10,000円ごとに99円(税込)の決済手数料がかかります。たとえば法人税100万円の場合、決済手数料は9,900円(手数料率0.99%)です。
この手数料は国の収入ではなく、納付受託者(株式会社エフレジ)に支払われるものです。
Q3. ポイント還元率が何%以上なら手数料より得ですか?
決済手数料率は約0.99%であるため、ポイント還元率が1.0%以上のカードであれば手数料を上回ってお得になります。
還元率0.5%のカードでは手数料の方が大きくなるため、クレジットカード納付のメリットは薄れます。なお、税金納付時のポイント付与率が通常と異なるカードもあるため、事前に確認してください。
Q4. 1,000万円以上の法人税はクレジットカードで納付できますか?
1回の手続きでは1,000万円未満が上限です。
ただし、複数回に分けて手続きすることで1,000万円以上の納付に対応できるケースもあります。1回の手続きでは不可能な場合は、ダイレクト納付や金融機関の窓口納付を利用してください。
Q5. クレジットカード納付で領収証書はもらえますか?
もらえません。クレジットカード納付では領収証書は発行されません。
納付の記録は、納付手続完了画面の印刷・納付手続完了メール・クレジットカードの利用明細で確認できます。領収証書が必要な場合は、金融機関または税務署の窓口で現金により納付してください。
まとめ|クレジットカード納付は「還元率1.0%以上のカード」なら手数料を上回ってお得
法人税のクレジットカード納付は、ポイント還元・キャッシュフロー改善・24時間対応という3つのメリットがある一方、決済手数料・利用上限・領収証書なし・納税証明書の反映遅延というデメリットもあります。
最後に、クレジットカード納付の判断基準を整理します。
1. ポイント還元率1.0%以上のカードがあるなら→クレカ納付がおすすめ
決済手数料率(約0.99%)を上回る還元率のカードであれば、手数料を差し引いてもプラスになります。法人税額が大きいほどポイントの絶対額も大きくなるため、高還元率の法人カードを用意する価値があります。
2. 手数料を一切かけたくいなら→ダイレクト納付がベスト
ダイレクト納付は手数料無料・24時間対応・上限額なしで、最もコスト効率のよい納付方法です。事前にe-Taxでダイレクト納付の届出を済ませておけば、口座から直接引き落としで納付できます。
3. 急ぎで納税証明書が必要なら→窓口納付を選ぶ
クレジットカード納付では納税証明書への反映に最大3週間かかります。融資審査や公共工事の入札などで納税証明書がすぐに必要な場合は、金融機関の窓口で現金納付してください。
※本記事の情報は2026年3月時点のものです。クレジットカード納付の制度や手数料は変更される可能性があるため、最新の情報は国税庁のホームページでご確認ください。



