法人税とは、法人の事業活動で得た所得に対して課される国税です。会社を設立したら避けては通れない税金ですが、「税率は何%?」「結局いくら払うの?」「個人事業主のままと比べてどっちが得?」と疑問に思う方は少なくありません。
法人税の税率は原則23.2%ですが、資本金1億円以下の中小法人には年800万円以下の所得に15%の軽減税率が適用されます。
さらに、法人が納める税金は法人税だけではなく、法人住民税・法人事業税・消費税なども加わり、実質的な税負担率(実効税率)は約30〜34%に達します。2026年度からは防衛特別法人税も新たに加わります。
本記事では、法人税の基本の仕組みから、税率と計算方法、所得別の法人税額早見表、法人が払うすべての税金の全体像、個人事業主との税負担比較、赤字でも払う税金、主要な節税対策、申告・納付の具体的な手順まで、法人税のすべてをこの1記事で理解できる完全ガイドです。
この記事の要点
- 法人税は法人の所得(益金−損金)に課される国税で、税率は原則23.2%(中小法人の800万円以下は15%)
- 法人税だけでなく住民税・事業税・消費税等を含めた実効税率は約30〜34%。2026年度から防衛特別法人税が追加
- 所得別の早見表で「結局いくら払うか」がわかり、個人事業主との比較で法人化の判断材料にもなる
法人税とは?基本の仕組みをわかりやすく解説

まずは法人税の基本的な仕組みを確認します。
法人税の定義――法人の所得にかかる国税
法人税とは、法人が事業活動を通じて得た所得に対して課される国税です。個人が稼いだ所得に対して所得税が課されるのと同じように、法人の「儲け」に対して法人税が課されます。
法人税の計算は事業年度単位で行います。事業年度とは、法人が定めた決算月を起点にした1年間のことです。
たとえば3月決算の法人であれば、4月1日〜翌年3月31日の1年間の所得に対して法人税を計算し、申告・納付します。
法人税・法人住民税・法人事業税の違い(「法人税等」とは)
法人が納める税金は法人税だけではありません。法人に課される主な税金は以下の3つで、これらを総称して「法人税等」と呼びます。
| 税金の種類 | 課税主体 | 概要 |
|---|---|---|
| 法人税 | 国(国税) | 法人の所得に対して課税。税率は原則23.2% |
| 法人住民税 | 都道府県・市区町村(地方税) | 法人税額に応じた「法人税割」と、資本金・従業員数に応じた「均等割」の合計 |
| 法人事業税 | 都道府県(地方税) | 事業活動に対して課税。損金算入が可能 |
このほか、法人税額に対して課される地方法人税(国税・税率10.3%)や、法人事業税に対して課される特別法人事業税(国税)もあります。
法人税が課される法人・課されない法人
すべての法人に法人税が課されるわけではありません。法人の種類によって課税の有無や範囲が異なります(参照:国税庁|No.5759 法人税の税率)。
| 法人の種類 | 具体例 | 課税範囲 |
|---|---|---|
| 普通法人 | 株式会社、合同会社、合名会社、合資会社、医療法人 | すべての所得に課税 |
| 協同組合等 | 農協、漁協、信用金庫、労働金庫 | すべての所得に課税(税率が異なる) |
| 公益法人等 | 学校法人、NPO法人、宗教法人、社会福祉法人 | 収益事業から生じた所得のみ課税 |
| 公共法人 | 地方公共団体、日本年金機構 | 非課税 |
法人税の仕組み|益金・損金・税務調整の全体像
法人税は、企業会計上の「当期利益」をそのまま課税ベースにするのではなく、法人税法の規定に基づいて税務調整(加算・減算)を行い、課税所得を算出します。全体の流れは以下のとおりです(参照:国税庁|法人税のあらまし)。
ステップ1:企業会計上の当期利益を算出する
収益(売上高・売却収入等)から費用(原材料費・人件費・減価償却費・支払利息等)を差し引いて当期利益を計算します。
ステップ2:税務調整(加算・減算)を行い、課税所得を算出する
企業会計上は費用だが税務上は損金にならないもの(一定額を超える交際費、寄附金の支出額等)を加算し、企業会計上は費用にならないが税務上は損金とするもの(欠損金の繰越控除、受取配当等の益金不算入額等)を減算します。この調整後の金額が課税所得(所得金額)です。
ステップ3:課税所得に税率を乗じ、税額控除を差し引いて法人税額を算出する
課税所得×法人税率=算出税額。ここから所得税額控除、外国税額控除、租税特別措置による税額控除等を差し引いた金額が、最終的な法人税額になります。
このように、法人税の計算は「会計上の利益≠課税所得」である点が最大の特徴です。税務調整による加算項目と減算項目の理解が、正確な申告のカギとなります。
日本と海外の法人税の比較|主要国の法人実効税率
日本の法人税率が国際的にどの水準にあるかを確認しておきましょう。
以下は、主要国の法人実効税率(国税・地方税を含む、法人所得に対する税負担の一部が損金算入される場合はその調整後の税率)の比較です(参照:財務省|「法人税」を知ろう、財務省|法人課税に関する基本的な資料)。
| 国名 | 法人実効税率(概算) |
|---|---|
| 日本 | 29.74%(標準税率、2018年度〜)→30.64%(2026年度〜、防衛特別法人税適用後) |
| アメリカ(連邦+カリフォルニア州) | 約27.98% |
| ドイツ(全国平均) | 約29.94% |
| フランス | 約25.83% |
| イギリス | 約25.00% |
| カナダ(オンタリオ州) | 約26.21% |
| 中国 | 約25.00% |
| 韓国 | 約24.20% |
| シンガポール | 約17.00% |
※複数の税率が存在する国は最高税率を表示。地方税は各国の代表的な州・地域の税率。参照:財務省|法人課税に関する基本的な資料
日本の法人実効税率は、G7諸国の中ではドイツとほぼ同水準で、フランス・イギリスよりは高い位置にあります。
2015〜2018年の法人税改革で34.62%から29.74%へ大幅に引き下げられましたが、2026年度の防衛特別法人税導入により30.64%と再び30%超に戻る見込みです。アジアのシンガポール(17%)や香港(16.5%)と比べると依然として高い水準です。
法人税率の推移|過去30年の引下げと2026年の反転
日本の法人税率は過去30年間で大幅に引き下げられてきました。以下はその推移です(参照:財務省|法人課税に関する基本的な資料)。
| 年度 | 法人税率(基本税率) | 法人実効税率(標準税率ベース) | 主な改正内容 |
|---|---|---|---|
| 1990年(平成2年) | 37.5% | 約49.98% | バブル期の税率 |
| 1998年(平成10年) | 34.5% | 約46.36% | 景気対策で引下げ |
| 1999年(平成11年) | 30.0% | 約40.87% | さらに引下げ |
| 2012年(平成24年) | 25.5% | 約38.01% | 復興特別法人税の創設と法人税率引下げ |
| 2015年(平成27年) | 23.9% | 32.11% | 成長志向の法人税改革(1年目) |
| 2016年(平成28年) | 23.4% | 29.97% | 法人税改革(2年目)で「20%台」実現 |
| 2018年(平成30年)〜 | 23.2% | 29.74% | 現行税率 |
| 2026年(令和8年)〜 | 23.2%+防衛税4% | 30.64% | 防衛特別法人税の導入で再び30%超に |
1990年代には法人税率37.5%・実効税率約50%という時代がありましたが、「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」という方針のもと、2015〜2018年の改革で法人税率は23.2%、実効税率は29.74%にまで低下しました。
しかし、2026年度からは防衛特別法人税(法人税額×4%、基礎控除500万円)が導入され、大企業ベースの実効税率は再び30%超に反転します。
中小法人の多くは基礎控除500万円の範囲内で影響を受けませんが、法人税率引下げのトレンドが転換期を迎えたことは押さえておくべきポイントです。
法人税の税率|中小法人の軽減税率と2026年からの防衛増税

法人税の税率は法人の種類や規模、所得の金額によって異なります。
普通法人の法人税率は23.2%
株式会社や合同会社などの普通法人に適用される法人税率は23.2%です(参照:国税庁|No.5759 法人税の税率)。この税率は資本金の額や所得の金額にかかわらず一律に適用されます。
中小法人は800万円以下の所得に15%の軽減税率
ただし、資本金1億円以下の中小法人(大法人の100%子会社等を除く)については、年800万円以下の所得に対して15%の軽減税率が適用されます。800万円を超える部分には通常の23.2%が適用されます。
| 法人の区分 | 年800万円以下の所得 | 年800万円超の所得 |
|---|---|---|
| 資本金1億円超の普通法人 | 23.2% | 23.2% |
| 資本金1億円以下の中小法人 | 15%(軽減税率) | 23.2% |
※15%の軽減税率は租税特別措置法による時限措置(令和9年3月31日までに開始する事業年度まで)。本則税率は19%。令和7年4月1日以後開始事業年度から、所得が年10億円超の法人は17%に引上げ。参照:国税庁|No.5759 法人税の税率
たとえば、資本金1,000万円の中小法人で課税所得が1,200万円の場合、法人税額は以下のように計算されます。
800万円×15%+400万円×23.2%=120万円+92.8万円=212.8万円
2026年度から始まる防衛特別法人税(税率4%)の影響
令和7年度税制改正により、2026年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税額に対して税率4%の「防衛特別法人税」が新たに課されます(参照:財務省|法人課税に関する基本的な資料)。
ただし、法人税額から500万円の基礎控除を差し引いた残額に対して課税されるため、中小法人の大半は影響を受けません。
この防衛特別法人税の導入により、大企業の法人実効税率は従来の約30.62%から約31.52%に上昇する見込みです。
協同組合・公益法人等の税率
協同組合等の法人税率は19%(年800万円以下の所得は15%)、公益法人等の収益事業にかかる法人税率は普通法人と同じ23.2%(年800万円以下は15%)です。
法人税の計算方法|益金・損金・課税所得の求め方

法人税の計算は、大きく「課税所得の算出」と「税額の計算」の2ステップで行います。
法人税の計算式:課税所得×税率−税額控除=法人税額
法人税額は以下の計算式で求められます。
法人税額 = 課税所得 × 法人税率 − 税額控除
ここで、課税所得は益金の額−損金の額で計算されます。課税所得がゼロ以下(赤字)の場合、法人税は発生しません。
益金と収益、損金と費用の違い(税務調整とは)
法人税の計算では、会計上の「収益」「費用」ではなく、税法上の「益金」「損金」を使います。両者は似ていますが、完全には一致しません。
| 区分 | 会計上の概念 | 税法上の概念 | 主な違い |
|---|---|---|---|
| プラスの項目 | 収益 | 益金 | 受取配当金の益金不算入、法人税の還付金は益金不算入など |
| マイナスの項目 | 費用 | 損金 | 交際費の損金不算入限度、役員給与の損金算入要件など |
そのため、会計上の「税引前当期純利益」をスタートに、法人税法の規定に基づいて益金・損金の加算・減算を行い、課税所得を算出します。この作業を「税務調整」と呼びます。
税務調整の具体例(加算項目・減算項目)
加算項目(費用に含まれているが損金にならないもの)の例:交際費の損金不算入額、役員賞与(事前確定届出がない場合)、減価償却の超過額、法人税・住民税の本税など。
減算項目(収益に含まれているが益金にならないもの)の例:受取配当金の益金不算入額、法人税の還付金、所得税額控除の対象となる所得税額など。
法人税の計算シミュレーション(所得1,000万円の中小法人の場合)
資本金500万円、課税所得1,000万円の中小法人の法人税額を計算してみましょう。
①年800万円以下の部分:800万円×15%=120万円
②年800万円超の部分:200万円×23.2%=46.4万円
③法人税額:120万円+46.4万円=166.4万円
これに地方法人税(法人税額の10.3%)を加えると、166.4万円×10.3%=約17.1万円。法人税と地方法人税の合計は約183.5万円となります。さらに法人住民税と法人事業税を加えた総額が、法人として実際に負担する税金です。
【早見表】所得別の法人税額一覧|「結局いくら払う?」が一目でわかる
「計算式はわかったけど、結局いくら払うの?」という疑問に応えるため、所得別の法人税額を早見表にまとめました。
中小法人(資本金1億円以下)の所得別・法人税額早見表
| 課税所得 | 法人税額(国税のみ) | 法人税等の概算額(実効税率約34%で計算) |
|---|---|---|
| 300万円 | 45万円 | 約102万円 |
| 500万円 | 75万円 | 約170万円 |
| 800万円 | 120万円 | 約272万円 |
| 1,000万円 | 166.4万円 | 約340万円 |
| 1,500万円 | 282.4万円 | 約510万円 |
| 2,000万円 | 398.4万円 | 約680万円 |
| 3,000万円 | 630.4万円 | 約1,020万円 |
| 5,000万円 | 1,094.4万円 | 約1,700万円 |
※法人税額は中小法人の軽減税率(800万円以下15%、超過分23.2%)で計算。法人税等の概算額は東京23区・中小法人の実効税率約34%(標準税率ベース)を使用した目安。実際の税額は法人住民税の均等割、事業所の所在地の税率、各種控除等により異なります。参照:国税庁|No.5759 法人税の税率
法人税等(住民税・事業税含む)の実効税率で計算した納税額の目安
上記の早見表の右列が、法人税・住民税・事業税等を合わせた法人税等の概算額です。法人税(国税)だけでなく、法人住民税や法人事業税を含めると、実質的な税負担は所得の約30〜34%に達します。
たとえば、課税所得1,000万円の中小法人の場合、法人税(国税)は約166万円ですが、法人税等の合計では約340万円が目安です。「法人税だけ」の金額と「法人税等の合計」の金額は大きく異なるため、資金繰りの計画では法人税等の合計額で考えることが重要です。
法人が払うすべての税金の全体像

法人が払う税金は法人税等だけではありません。事業活動に伴い、さまざまな税金が発生します。全体像を把握しておくことで、漏れのない税務対応が可能になります。
所得にかかる税金(法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税)
法人の所得(儲け)に対して課される税金のグループです。前述の法人税等がここに該当します。
法人税と地方法人税は国税、法人住民税と法人事業税は地方税です。特別法人事業税は法人事業税額をもとに計算される国税で、2019年10月以降の事業年度から導入されています。
取引にかかる税金(消費税・印紙税)
消費税は、商品やサービスの販売・提供に対して課される間接税です。法人の利益(所得)ではなく取引額に対して課されるため、赤字の法人でも消費税の納税義務があります。
現在の消費税率は10%(軽減税率対象品目は8%)です。なお、設立から2年間は免税事業者となる場合がありますが、インボイス登録をした場合は初年度から課税事業者になります。
印紙税は、契約書や領収書など一定の文書を作成した際に課される国税です。
資産にかかる税金(固定資産税・自動車税)
固定資産税は、法人が所有する土地・建物・償却資産に対して課される地方税です。毎年1月1日時点の所有者に課税されます。自動車税(または軽自動車税)は、法人名義の自動車を所有している場合に課されます。
いずれも法人の利益に関係なく、資産を保有している限り毎年支払いが発生します。
人件費に関連する税金(源泉所得税・特別徴収住民税)
法人は、従業員や役員に給与を支払う際に源泉所得税を天引きし、国に納付する義務があります。また、従業員の住民税を給与から天引きして市区町村に納める特別徴収の義務もあります。
これらは法人自身の税負担ではありませんが、法人が処理・納付を代行する税金です。
実効税率とは?法人の実質的な税負担率の計算方法

法人税の税率は23.2%(中小法人は一部15%)ですが、実際にはこれだけでは済みません。法人住民税や法人事業税を加味した「実効税率」を理解することが重要です。
実効税率と表面税率の違い
表面税率は、法人税・住民税・事業税等の税率を単純に合計したものです。一方、実効税率は、法人事業税が損金に算入される(=課税所得を減少させる)効果を加味して計算した、企業の実質的な税負担率です。事業税の損金算入により、実効税率は表面税率よりも低くなります。
中小法人の実効税率は約33〜34%
東京23区に本社がある中小法人(資本金1億円以下)の場合、標準税率ベースの実効税率は約33.58%です(参照:みずほ銀行|法人税の実効税率とは?)。超過税率が適用される場合はさらに高くなり、約34.59%になります。
大企業の実効税率は約30〜31%(2026年度以降は約31〜32%)
資本金1億円超の大企業の場合、標準税率ベースの実効税率は約30.62%です。2026年4月以降に開始する事業年度からは防衛特別法人税(4%)の導入により、約31.52%に上昇する見込みです。
法人税と所得税の比較|個人事業主と法人、どちらが得か?

「法人税とは」を調べる方の中には、個人事業主からの法人成りを検討中の方も多いでしょう。法人税と所得税の税率構造の違いを理解することで、法人化の判断材料になります。
法人税は比例税率、所得税は累進税率(最高55%)
法人税は所得が増えても税率がほぼ一定(23.2%、中小法人の800万円以下は15%)の比例税率です。
一方、個人事業主に課される所得税は所得が増えるほど税率が上がる累進税率で、最高税率は45%(住民税10%を加えると最高55%)に達します(参照:国税庁|No.2260 所得税の税率)。
つまり、所得が一定額を超えると、法人税の方が所得税よりも税率が低くなります。
所得別シミュレーション:法人化した方が得になる分岐点
以下は、同じ事業所得に対して「個人事業主のまま(所得税+住民税+事業税)」と「法人化した場合(法人税等+役員報酬にかかる所得税等)」の税負担を概算で比較したものです。
| 事業所得 | 個人事業主の税負担(概算) | 法人化した場合の税負担(概算) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 約97万円 | 約110万円 | 個人が約13万円有利 |
| 800万円 | 約200万円 | 約190万円 | 法人が約10万円有利 |
| 1,000万円 | 約280万円 | 約250万円 | 法人が約30万円有利 |
| 1,500万円 | 約470万円 | 約400万円 | 法人が約70万円有利 |
| 2,000万円 | 約680万円 | 約560万円 | 法人が約120万円有利 |
※個人の税負担は所得税+復興特別所得税+住民税+個人事業税の概算(青色申告特別控除65万円、基礎控除48万円適用)。法人は役員報酬を最適配分した場合の法人税等+個人の所得税等の合計概算。社会保険料の差は考慮していません。個人の各種控除や法人の各種経費により実際の金額は異なります。参照:国税庁|No.2260 所得税の税率、国税庁|No.5759 法人税の税率
概算では、事業所得が800万円を超えるあたりから法人化した方が税負担が軽くなる傾向があります。
ただし、法人化には社会保険料の負担増や設立費用、法人住民税の均等割(赤字でも発生)などのコストもあるため、税額だけで判断せず総合的に検討してください。
法人化のメリット・デメリットまとめ
メリット:所得が多いほど税率面で有利、役員報酬の給与所得控除が使える、経費にできる範囲が広がる、社会的信用が高まる、欠損金の繰越控除が最大10年間(個人は3年間)。
デメリット:設立費用がかかる(株式会社で約25万円)、法人住民税の均等割が赤字でも必要(年間最低約7万円)、社会保険への強制加入、税務申告が複雑になる、役員報酬の変更に制限がある。
赤字でも法人が払わなければならない税金

法人税は課税所得がなければゼロですが、赤字でも支払いが必要な税金は複数あります。
法人税・法人事業税の所得割はゼロになる
法人税と法人事業税(所得割)は、課税所得がゼロ以下であれば税額もゼロになります。地方法人税・特別法人事業税も同様です。
法人住民税の均等割は赤字でも必ず発生(年間最低7万円〜)
法人住民税の均等割は、法人の所得に関係なく、法人が存在している限り毎年必ず課税されます。金額は資本金の額と従業員数によって異なりますが、最低でも年間約7万円(都道府県分2万円+市区町村分5万円)が発生します。
消費税は赤字・黒字に関係なく課税される
消費税は法人の利益ではなく売上に対する税金であるため、法人が赤字であっても消費税の納税義務は免除されません(免税事業者を除く)。売上に含まれる消費税額から仕入に含まれる消費税額を差し引いた額を国に納付します。
源泉所得税・固定資産税も赤字でも支払い義務あり
従業員に給与を支払っている限り源泉所得税の天引き・納付義務があり、不動産を所有している限り固定資産税の支払い義務もあります。これらは法人の利益とは無関係に発生する税金です。
法人税の主要な節税対策8選

法人税は適法な範囲での工夫によって税負担を軽減できます。中小法人が活用しやすい主要な節税対策を8つ紹介します。
①役員報酬の最適化
法人の所得と役員個人の所得のバランスを調整することで、法人税と所得税のトータルの税負担を最小化できます。役員報酬は損金に算入できますが、定期同額給与や事前確定届出給与の要件を満たす必要があります。
②中小企業投資促進税制の活用
中小企業者等が一定の機械装置や器具備品を取得した場合、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除が適用できます(参照:国税庁|No.5433 中小企業投資促進税制)。
③賃上げ促進税制の活用
前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税額から直接控除できる制度です。2024年度の改正で5年間の繰越控除制度が導入され、赤字の年の賃上げも将来の黒字年度で控除可能になりました。最大45%の税額控除が可能です。
④少額減価償却資産の特例(30万円未満の即時償却)
中小企業者等は、取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合、年間合計300万円まで全額を損金に算入できます。パソコンやオフィス家具などの購入を決算前に行うことで、その期の課税所得を減らす効果があります。
⑤欠損金の繰越控除(最大10年間)
事業年度に赤字(欠損金)が生じた場合、その欠損金を翌期以降最大10年間にわたって繰り越し、将来の黒字の所得と相殺できます(参照:国税庁|No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除)。青色申告が要件です。
⑥経営セーフティ共済・小規模企業共済の活用
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の掛金は全額損金算入が可能で、月額最大20万円、年間最大240万円を損金にできます。解約時には掛金が戻ってくるため、実質的な節税効果があります。
⑦決算賞与・決算前の経費計上
決算前に従業員への決算賞与を支給する、または必要な備品の購入や修繕を前倒しで行うことで、その期の損金を増やし課税所得を減らすことができます。ただし、決算賞与は支給要件を満たさないと損金不算入になるため注意が必要です。
⑧生命保険を活用した節税(注意点あり)
法人が契約者・受取人となる生命保険の保険料は、保険の種類によって全額または一部が損金に算入できます。ただし、2019年の税制改正により損金算入できる範囲が厳格化されており、節税目的だけでの加入は慎重に検討してください。
法人税の申告・納付の流れ

法人税の申告と納付の具体的な手順を確認しましょう。
申告期限は事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内
法人税の申告期限は、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です(参照:国税庁|No.5765 法人税の確定申告書の提出期限の延長)。
たとえば3月決算の法人であれば、5月31日が申告期限になります。一定の要件を満たせば、申告期限を1ヶ月延長することも可能です。
申告に必要な書類一覧(申告書・決算書・勘定科目内訳書等)
法人税の確定申告には、主に以下の書類が必要です。
- 法人税確定申告書(別表一〜十六等)
- 決算報告書(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書等)
- 勘定科目内訳明細書
- 法人事業概況説明書
- 消費税申告書(課税事業者の場合)
- 地方税の申告書(法人住民税・法人事業税)
中間申告の仕組み(前年の法人税額が20万円超の場合)
前事業年度の法人税額が20万円を超える場合、事業年度開始から6ヶ月経過後2ヶ月以内に中間申告を行う必要があります。中間申告には「予定申告(前年の税額の1/2を納付)」と「仮決算に基づく中間申告」の2つの方法があります。
納付方法(ダイレクト納付・電子納税・窓口納付)
法人税の納付方法は複数あります。e-Taxを使ったダイレクト納付(口座から直接引き落とし)が最も便利です。このほか、インターネットバンキングでの電子納税、金融機関や税務署の窓口での納付、クレジットカード納付なども利用できます。
申告が遅れた場合のペナルティ(無申告加算税・延滞税)
申告期限までに申告しなかった場合は無申告加算税(原則15〜20%)、納付が遅れた場合は延滞税が課されます。
さらに、申告内容に誤りがあった場合は過少申告加算税(10〜15%)、意図的な隠蔽があった場合は重加算税(35〜40%)が課されます。期限内の正確な申告・納付が重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 法人税とは何ですか?
法人税とは、法人(株式会社、合同会社など)が事業活動を通じて得た所得に対して課される国税です。所得(益金−損金)に法人税率を乗じて計算されます。
個人の所得にかかる所得税の「法人版」とイメージすると分かりやすいでしょう。
Q2. 法人税の税率は何%ですか?
普通法人の法人税率は原則23.2%です。
ただし、資本金1億円以下の中小法人については、年800万円以下の所得に15%の軽減税率が適用されます。法人住民税や法人事業税を含めた実効税率は約30〜34%です。
Q3. 法人税はどうやって計算しますか?
「課税所得(益金−損金)×法人税率−税額控除=法人税額」で計算します。会計上の利益に対して税務調整(加算・減算)を行い課税所得を算出し、これに法人税率を乗じます。
中小法人の場合は800万円以下と超過部分で税率が異なるため、段階的に計算します。
Q4. 赤字でも法人税を払う必要がありますか?
法人税そのものは赤字であれば0円です。ただし、法人住民税の均等割は赤字でも年間最低約7万円が発生します。
また、消費税(免税事業者を除く)、源泉所得税、固定資産税なども赤字に関係なく支払い義務があります。
Q5. 法人税の申告期限はいつですか?
事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。3月決算であれば5月31日、12月決算であれば2月末日が期限です。一定の要件を満たせば、申告期限を1ヶ月延長することも可能です。
まとめ|法人税の基本を押さえて適切な税務対応を
法人税は法人の所得に対して課される国税であり、税率は原則23.2%(中小法人の800万円以下は15%)です。
ただし、法人が実際に負担する税金は法人税だけではなく、法人住民税・法人事業税・消費税等を含めた実効税率は約30〜34%に達します。
最後に、法人税に関して押さえるべきポイントを整理します。
1. 法人税等の合計額で資金繰りを計画する
法人税(国税)だけでなく、法人住民税・法人事業税・消費税を含めた総額で納税資金を確保してください。実効税率(約30〜34%)を使えば、おおまかな納税額を概算できます。
2. 赤字でも払う税金を忘れない
法人住民税の均等割(年間最低約7万円)は赤字でも発生します。消費税や源泉所得税も法人の利益とは無関係に発生する税金です。赤字だからといって税負担がゼロになるわけではない点を認識しておきましょう。
3. 節税対策は早めに計画する
節税対策の多くは事業年度中に実行する必要があり、決算後では手遅れになるものが大半です。期中に税理士と相談し、計画的に節税策を実行することが重要です。申告期限(事業年度終了から2ヶ月以内)を守り、ペナルティのない正確な申告を行ってください。
※本記事の情報は2026年3月時点のものです。税制は毎年改正される可能性があるため、具体的な税務判断にあたっては最新の情報を確認し、税理士にご相談ください。



