


生命保険と相続税の関係は、多くの人が誤解しています。
「生命保険金は相続税がかからない」と思っている方も多いですが、実際には受け取り方によって相続税・所得税・贈与税が変わります。
また、相続人数によって「500万円 × 法定相続人数」の非課税枠が決まり、この枠を超えた部分のみが課税対象になります。
相続が発生してから10ヶ月で申告・納税を完了する必要があるため、事前に正確な知識を持つことが重要です。
本記事では、相続人向け・資産家向けの両視点から、生命保険と相続税の仕組み・計算方法・2025年改正の内容・実務申告手続きを、具体例・シミュレーション付きで解説します。
▼ この記事の3行まとめ

生命保険金は、被相続人(亡くなった人)が契約者・被保険者である場合、相続人が受け取った保険金に対して相続税が課税されます。
ただし、すべての保険金に相続税がかかるわけではなく、契約形態によって税務分類が異なります。
相続税か所得税か贈与税かは、「契約者は誰か」「被保険者は誰か」「保険金の受取人は誰か」という3点で判定されます。
生命保険金は、被相続人が契約者・被保険者であり、相続人が受け取人である場合、「相続によって得た財産」として相続財産に含まれます。
法律上、相続財産は「被相続人の遺した金銭や不動産など」に限りません。
被相続人の死亡によって相続人が受け取った保険金も、相続財産と同等の経済的価値があるため、課税対象になります。
相続税の基本的な考え方は「被相続人の資産が相続人に移転した」という事実であり、その移転額に対して課税されます。
保険金も同じロジックで、被相続人が契約していた保険から相続人が給付を受けるため、相続財産に含まれるわけです。
具体例:保険金が相続財産に含まれるケース
被相続人が30年間、毎月10万円の保険料を支払い、総額3,600万円の保険金を契約していた場合、被相続人の死亡時に相続人が3,600万円を受け取ります。
この3,600万円は「被相続人の資産が相続人に移転した」と判定され、相続財産に含まれます。
保険料として支払われた金額ではなく、受け取った保険金額が相続財産としてカウントされる点が重要です。
よくある間違い
「保険料を被相続人が負担した場合、相続財産に含まれる」という理解が一般的ですが、正確には「被相続人が契約者・被保険者で、相続人が受取人」という3つの条件がすべて満たされることが重要です。
例えば、契約者が被相続人で、被保険者が子ども、受取人が子ども本人の場合は、所得税が適用されるため、相続税ではなく一時所得税になります。
生命保険金に相続税がかかるかどうかは、以下の条件で決まります。
| 条件 | 相続税 | 所得税 | 贈与税 | 税率例 |
|---|---|---|---|---|
| 契約者=被相続人、被保険者=被相続人、受取人=相続人 | ○ | 10~55%(累進税率) | ||
| 契約者=被相続人、被保険者=被相続人、受取人=配偶者 | ○ | 配偶者控除で0~50% | ||
| 契約者=相続人、被保険者=被相続人、受取人=相続人 | ○ | 5~45% | ||
| 契約者=親、被保険者=親、受取人=子ども(生前受け取り) | ○ | 10~55% |
相続税がかかるのは、契約者と被保険者が同じ人(被相続人)で、受取人が相続人の場合のみです。
参照元:国税庁 No.4114 相続税がかかる生命保険金の範囲
実例:保険金の税務分類判定
被相続人が終身保険に加入し、月1万円の保険料を30年支払い、保険金額2,000万円の契約があったとします。
パターン1:契約者=被相続人、被保険者=被相続人、受取人=配偶者 → 相続税適用
パターン2:契約者=配偶者、被保険者=被相続人、受取人=配偶者 → 所得税適用(一時所得)
パターン3:契約者=子ども、被保険者=被相続人、受取人=子ども → 所得税適用
同じ被相続人の死亡による保険金でも、契約者によって税務分類が大きく変わることがわかります。
生命保険の税務分類は、以下の優先順で判定されます。
① 相続税が適用される場合
契約者=被相続人、被保険者=被相続人、受取人=相続人。
この場合、保険金は「相続財産」として扱われ、相続税が課税されます。
ただし「500万円 × 法定相続人数」の非課税枠があり、その枠内なら相続税はかかりません。
② 所得税が適用される場合
契約者=子ども、被保険者=被相続人、受取人=契約者(子ども自身)。
この場合、保険金は「一時所得」として所得税が課税されます。
相続ではなく、契約者が自身の契約から受け取る給付であるため、相続税ではなく所得税になります。
③ 贈与税が適用される場合
契約者=親、被保険者=親、受取人=子ども(相続時ではなく、被相続人生前の贈与契約)。
この場合、保険金受け取りが生前贈与と判定され、贈与税が課税されます。
どの税制が適用されるかで、税負担が大幅に変わるため、契約時に正確に確認することが重要です。

相続税では、被相続人が契約した生命保険金について、「500万円 × 法定相続人数」の非課税枠が設けられています。
この枠内なら、いくら保険金を受け取っても相続税はかかりません。
非課税枠を超えた部分のみが課税対象になり、その部分に対してのみ相続税が計算されます。
非課税枠の計算は簡単です。
非課税枠 = 500万円 × 法定相続人の数
法定相続人とは、民法で定められた相続権を持つ人を意味します。
配偶者は常に相続人で、その後、子ども、親、兄弟姉妹の順で相続人になります。
例えば、配偶者と子ども2人が相続する場合、法定相続人は3人です。
非課税枠は「500万円 × 3人 = 1,500万円」になります。
受け取った保険金の合計が1,500万円以下なら、相続税はかかりません。
| 法定相続人数 | 非課税枠 | 具体例 |
|---|---|---|
| 1人(配偶者のみ) | 500万円 | 配偶者が全額相続 |
| 2人(配偶者+子ども1人) | 1,000万円 | 配偶者と子ども1人 |
| 3人(配偶者+子ども2人) | 1,500万円 | 配偶者と子ども2人 |
| 4人(配偶者+子ども3人) | 2,000万円 | 配偶者と子ども3人 |
| 5人(配偶者+子ども4人) | 2,500万円 | 配偶者と子ども4人 |
相続人が1人増えるたびに、非課税枠が500万円ずつ増えます。
相続放棄した人がいても、非課税枠の計算には含まれます。
例えば、配偶者と子ども3人がいて、子ども1人が相続放棄した場合、非課税枠は「500万円 × 4人 = 2,000万円」で計算されます。
相続放棄しても非課税枠計算には含まれるため、他の相続人は相続放棄の有無に関わらず同じ枠を使えます。
代襲相続の場合(子どもが先に亡くなっており、孫が相続人になる場合)、孫も「1人」としてカウントされます。
生命保険金と死亡退職金は、同じ「500万円 × 法定相続人数」の非課税枠を共有します。
複数相続人がいる場合、各相続人が受け取った保険金と退職金の合計に対して、非課税枠を適用する方法を具体的に表にまとめました。
| 事例 | 相続人 | 保険金 | 退職金 | 受け取り合計 | 非課税枠 | 課税対象 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 事例1(保険+退職金、相続人3人) | 配偶者 + 子ども2人 | 1,200万円 | 300万円 | 1,500万円 | 1,500万円 | 0円(全額非課税) |
| 事例2(保険+退職金超過、相続人2人) | 配偶者 + 子ども1人 | 1,500万円 | 500万円 | 2,000万円 | 1,000万円 | 1,000万円 |
| 事例3(配偶者と子ども別受取、相続人2人) | 配偶者:保1,000万円 + 子ども:保500万円 + 退職金800万円 | 配偶者1,000万円 / 子どもに保500万円+退職金800万円 | 2,300万円 | 1,000万円 | 1,300万円 | |
| 事例4(退職金なし、相続人3人) | 配偶者 + 子ども2人 | 1,500万円 | なし | 1,500万円 | 1,500万円 | 0円(全額非課税) |
表の見方と計算ロジック
事例1は保険金と退職金の合計が非課税枠ちょうど1,500万円に収まり、相続税が発生しません。事例2では受け取り合計2,000万円に対して非課税枠が1,000万円(相続人2人)しかないため、超過分1,000万円が課税対象になります。
重要なのは事例3で、配偶者と子どもが異なる金額を受け取った場合でも、各相続人の受け取り合計に対して非課税枠を按分適用する点です。この場合、全体の非課税枠1,000万円を、配偶者と子どもの受け取り割合(配偶者1,000万円÷合計2,300万円≒43%、子ども1,300万円÷合計2,300万円≒57%)で按分します。
退職金がない場合との比較
事例4では、退職金がない代わりに保険金だけで非課税枠1,500万円を活用できます。被相続人が会社員で退職金が支給される場合は事例1・2・3のように保険金と合算計算になりますが、個人事業主で退職金がない場合は、生命保険金がより重要な役割を果たします。生命保険により、相続税納税資金と相続人への現金給付を同時に確保することが必須になるからです。
よくある誤り:退職金も「相続財産」だと思う
死亡退職金は被相続人の遺産ではなく、会社から相続人への直接給付です。ただし、税務上は「相続によって得た財産」として扱われ、相続税の対象になります。この点が誤解されやすく、「退職金は相続税の対象ではない」と誤認する人が多いです。
退職金も相続財産に含まれ、生命保険金と共通の非課税枠を使うため、正確な把握が重要です。

生命保険金の相続税を計算するには、4つのステップを順番に進める必要があります。
各ステップで契約形態を確認し、税務分類を判定してから、課税価格を計算します。
生命保険の税務処理は、まず「3人は誰か」を確認することから始まります。
保険証券を用意し、以下の3項目を確認してください。
この3人の関係で、相続税・所得税・贈与税のいずれが適用されるかが決まります。
よくある間違い:契約者と受取人を混同するケース
「保険金を受け取った人 = 契約者」と思われることがありますが、これは誤りです。
契約者は「保険料を支払っている人」であり、受取人は「保険金を受け取る人」です。
この2人は別の人である場合が多いため、保険証券で必ず確認する必要があります。
確認すべき書類
保険証券の表紙または本文に「契約者」「被保険者」「受取人」が記載されています。
契約内容のページで、各欄の記載を確認してください。
近年、保険会社がオンラインで契約内容を確認できるサービスを提供しているため、保険会社の公式サイトにログインして確認することも可能です。
判定フロー(優先順)
①契約者=被相続人かつ受取人=相続人 → 相続税適用
②契約者=受取人(相続人) → 所得税適用
③その他すべてのケース → 贈与税適用
ほとんどのケースでは「契約者=被相続人、受取人=相続人」のため、相続税が適用されます。
判定の実例
被相続人が30年前に保険に加入し、毎月保険料を支払っていた場合、契約者=被相続人です。
被相続人が死亡し、配偶者または子どもが保険金を受け取った場合、受取人=相続人です。
したがって、この場合は相続税が適用されます。
相続税が適用される場合、以下のように課税価格を計算します。
課税価格 = 受け取った保険金 – 非課税枠の相当額
ただし、複数の相続人がいる場合は、各相続人が受け取った保険金から非課税枠を按分して控除します。
その後、課税遺産総額(全遺産から基礎控除を引いた額)に合算され、相続税が計算されます。
保険金が非課税枠内なら、課税価格はゼロになり、相続税は発生しません。
複数相続人の場合の非課税枠の按分方法
相続人が複数の場合、各相続人の受け取り保険金から非課税枠を按分して控除します。以下の表で計算ステップを視覚化しました。
| 相続人 | 受取保険金 | 受け取り割合 | 按分非課税枠 | 課税対象額 |
|---|---|---|---|---|
| 配偶者 | 2,000万円 | 2/3 | 1,500万円 × 2/3 = 1,000万円 | 2,000万円 – 1,000万円 = 1,000万円 |
| 子ども1 | 500万円 | 1/6 | 1,500万円 × 1/6 = 250万円 | 500万円 – 250万円 = 250万円 |
| 子ども2 | 500万円 | 1/6 | 1,500万円 × 1/6 = 250万円 | 500万円 – 250万円 = 250万円 |
| 合計 | 1,500万円 | 1,500万円 | ||
表の見方と計算ロジック
非課税枠1,500万円(相続人3人)を、各相続人の受け取り割合で按分するため、配偶者が2/3(1,000万円)、子ども各自が1/6(250万円)の非課税枠を控除できます。これにより、配偶者の課税対象が1,000万円、子ども各自が250万円になります。この課税対象額に対して、配偶者控除や基礎控除を適用し、最終的な相続税額が計算されます。
基礎控除との組み合わせ
保険金の課税価格に加えて、他の遺産(預金、不動産など)の課税価格を合算し、基礎控除を適用します。以下の表で全体的な相続税計算の流れを示します。
| 項目 | 金額 | 説明 |
|---|---|---|
| 保険金(超過分) | 1,500万円 | 保険金課税対象(非課税枠を超過した部分) |
| その他遺産(預金・不動産など) | 4,000万円 | 通常の遺産 |
| 遺産合計 | 5,500万円 | 保険金超過分 + その他遺産 |
| 基礎控除 | 4,800万円 | 3,000万円 + 600万円 × 相続人数(3人) |
| 課税遺産総額 | 700万円 | 遺産合計 – 基礎控除 |
計算例の詳細説明
保険金の課税対象が1,500万円、その他遺産が4,000万円で、遺産合計が5,500万円になります。相続人3人の基礎控除は4,800万円なので、課税遺産総額は700万円です。この700万円に対して相続税率を適用し、配偶者控除を差し引けば、最終的な相続税額が決まります。
6つの異なる相続パターンを比較検討し、相続人数・保険金額・その他遺産の組み合わせで、税額がどう変わるかを表にまとめました。
| パターン | 相続人構成 | 保険金 | 死亡退職金 | 非課税枠 | 超過分 | 相続税額 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| パターン1 | 配偶者 + 子ども1人 | 1,000万円 | なし | 1,000万円 | 0円 | 0円 |
| パターン2 | 配偶者 + 子ども1人 | 1,500万円 | なし | 1,000万円 | 500万円 | 0円(配偶者控除) |
| パターン3 | 配偶者のみ | 2,000万円 | なし | 500万円 | 1,500万円 | 0円(配偶者控除) |
| パターン4 | 配偶者 + 子ども2人 | 3,000万円 | 1,000万円 | 1,500万円 | 2,500万円 | 配偶者0円 + 子ども約480万円 |
| パターン5 | 配偶者 + 子ども3人 | 5,000万円 | なし(遺産1億) | 2,000万円 | 3,000万円 | 配偶者0円 + 子ども約600万円 |
| パターン6 | 配偶者 + 子ども4人 | 4,000万円 | なし | 2,500万円 | 1,500万円 | 配偶者0円 + 子ども約180万円 |
表の見方と重要ポイント
パターン1~3は少人数家族で、相続人が少ないほど非課税枠が小さくなるため、同じ保険金額でも課税対象が増えます。
パターン1(相続人2人、保険金1,000万円)では非課税枠1,000万円で全額非課税になりますが、パターン3(相続人1人、保険金2,000万円)では非課税枠500万円であるため、1,500万円が課税対象になる点に注目してください。
パターン4~6は大家族で、相続人が多いほど非課税枠が大きくなり、一人あたりの税負担が軽減される特徴があります。
特にパターン6では、相続人が5人なので非課税枠が2,500万円に達し、4,000万円の保険金でも1,500万円の課税対象に留まります。この場合、配偶者控除により配偶者の相続税は0円になるため、実質的な納税負担は子ども4人で分散されます。
配偶者控除の影響
配偶者控除が適用される場合は、配偶者の相続税は0円になり、子どもの税負担で相続税が決まります。パターン2・3・4では超過分が存在しても、配偶者が多くを受け取ることで実質的な納税額が0円に抑えられています。これは、配偶者が法定相続分または1億6,000万円のいずれか小さい方を非課税で相続できるためです。
死亡退職金との共通非課税枠の注意点
パターン4は死亡退職金1,000万円が含まれていますが、これは保険金の非課税枠と合算されます。つまり、保険金3,000万円と退職金1,000万円の合計4,000万円に対して、非課税枠1,500万円が適用されるため、超過分は2,500万円になります。死亡退職金がない場合と比較して、課税対象が1,000万円増加していることに注意してください。
実務上の留意点
相続人数を確定する際は、相続放棄がある場合でも非課税枠計算には含めることが重要です。また、代償分割を予定している場合は、どの相続人が保険金を受け取るか事前に決定し、受取人指定を明確にしておく必要があります。

相続税対策として生命保険に加入する場合、どの商品を選ぶかが節税効果を大きく左右します。
保険商品ごとに、相続税対策でのメリット・デメリットが異なるため、自分の資産構成や家族構成に合わせて選ぶことが重要です。
本セクションでは、相続対策に適した保険商品の選択基準を解説します。
| 保険種類 | 相続対策の適性 | メリット | デメリット | 月額保険料例(50歳男性、1,000万円契約) |
|---|---|---|---|---|
| 終身保険 | ★★★(高) | 確実に保険金が支払われる、解約返戻金が相続財産、据置期間で運用可能 | 保険料が高い、現金化に時間がかかる場合がある | 月8,000~12,000円 |
| 定期保険(20年満期) | ★☆☆(低) | 保険料が安い、大きな保障額を設定できる、シンプルな構造 | 保険期間終了後は保障がない、解約返戻金がない、相続開始時に期間終了のリスク | 月2,000~4,000円 |
| 変額保険(終身型) | ★★☆(中) | 運用で保険金が増える可能性、解約返戻金が増加の可能性 | 運用リスクあり、評価が複雑、相続税評価額が予測困難 | 月6,000~10,000円 |
相続対策には、終身保険が最適です。なぜなら、生涯保障が続き、確実に保険金が支払われるからです。
定期保険は保険料は安いですが、保険期間が限定されるため、相続発生時に保障が終了している可能性があります。
終身保険が相続対策に適している理由
被相続人が50歳で終身保険に加入した場合、85歳で相続が発生しても、保障が続き、確実に保険金が支払われます。
保険料は月10,000円程度で、35年間支払うと総額420万円になります。
その対価として、1,000万円の保険金が確実に相続人に給付されるため、投資対効果が高いです。
定期保険のリスク
被相続人が50歳で「20年満期の定期保険」に加入した場合、70歳で保障が終了します。
相続が75歳で発生すると、保障がない状態で、相続人は保険金を受け取れません。
月4,000円 × 20年 = 96万円の保険料を払っても、保険金がゼロになるリスクがあります。
相続対策には、確実性が最優先なため、定期保険は適さません。
変額保険は、投資運用で保険金額が変動する商品です。
メリット:運用がうまくいけば、払込保険料より大きな保険金を受け取れる可能性があります。
例えば、月10,000円を30年間支払い(総額360万円)した場合、500万円の保険金を受け取れる可能性があります。
これにより、相続税対策の効率が向上します。
デメリット:運用リスクがあり、保険金が払込保険料を下回る可能性があります。
市場が低迷した時期に被相続人が死亡した場合、保険金が360万円を下回る可能性があります。
また、変額保険の相続税評価は複雑で、専門知識が必要です。
相続税評価額は「払込保険料」「保険金額」「市場価格」など複数の要素で計算され、通常の終身保険より複雑です。
相続対策で変額保険を活用する場合は、必ず税理士に相談してください。
変額保険の相続税評価の複雑さ
終身保険は、相続税評価が「解約返戻金」で一律に決まります。
一方、変額保険は、「解約返戻金の基準価格」「特別勘定の時価」など複数の計算方法があり、専門家でも判断が分かれることがあります。
不適切な評価で申告すると、後で税務調査で指摘される可能性があります。
相続人が多い場合(相続人5人以上)
相続人が多いと、非課税枠が大きくなります(500万円 × 人数 = 2,500万円以上)。
この場合、各相続人に対して個別に保険をかけるのではなく、「被相続人が複数の保険に加入する」方法が効率的です。
複数の終身保険を組み合わせ、各相続人の受け取り額を非課税枠内に調整します。
例:相続人5人の場合、終身保険4本(各1,500万円)に加入し、各相続人が1,200~1,500万円を非課税枠内で受け取る設計ができます。
資産が不動産に偏っている場合
自宅や賃貸物件を多く保有する場合、相続人への現金分配が難しくなります。
例:遺産総額1億円のうち、不動産が8,000万円、預金が2,000万円の場合、相続人が現金で納税資金を確保できません。
この場合、終身保険で現金を確保し、「代償分割」(不動産をもらった相続人が、他の相続人に現金を渡す方式)に充てる戦略が有効です。
終身保険2,000~3,000万円により、配偶者が不動産を取得し、子どもに現金を分配できます。
小規模企業の経営者向け:事業承継と保険の組み合わせ
個人事業主や非上場企業の経営者は、事業資産(機械、設備、在庫)と個人資産(自宅、投資)が混在しています。
相続時に事業が相続人に承継されることが多いため、事業承継税制と生命保険を組み合わせた対策が必要です。
被相続人が「事業承継者(通常は子ども)を受取人とする終身保険」に加入し、相続時に納税資金を確保することが重要です。
生命保険金の非課税枠により、事業承継税制の補完が可能になります。
配偶者が高齢の場合:二次相続対策との組み合わせ
配偶者が高齢(75歳以上)の場合、配偶者の死亡時の二次相続を想定した保険設計が必要です。
一次相続では配偶者が保険金を受け取り、配偶者控除で納税を回避します。
その後、配偶者が「配偶者自身を被保険者とする保険」に加入し、二次相続時に子どもが納税資金を確保する戦略ができます。
遺産規模別に、最適な保険金額と相続税額をシミュレーションしました。相続人3人のモデルで比較します。
| 遺産規模 | 基礎控除 | 課税遺産総額 | 相続税額(対策なし) | 推奨保険金額 | 相続税額(保険活用後) |
|---|---|---|---|---|---|
| 5,000万円 | 4,800万円 | 200万円 | 約40~50万円 | 500~1,000万円 | 0円(配偶者控除) |
| 1億円 | 4,800万円 | 5,200万円 | 約1,000~1,300万円 | 2,000~3,000万円 | 約300~500万円 |
| 2億円 | 4,800万円 | 1億5,200万円 | 約2,000万円以上 | 3,000~5,000万円 | 約1,500万円 |
表の見方と保険活用のメリット
遺産5,000万円の場合は基礎控除4,800万円内に収まるため、対策がなくても相続税は最小限です(約40~50万円)。しかし、500~1,000万円の保険金により、相続人への現金分配がスムーズになり、代償分割が必要な場合に備えることができます。配偶者控除を活用すれば、相続税を0円に削減可能です。
遺産1億円パターンの詳細分析
遺産1億円の場合は、対策なしで約1,000~1,300万円の相続税が発生します。基礎控除4,800万円を超える課税遺産総額5,200万円に対して、相続人3人で相続した場合の標準的な相続税額です。
しかし、2,000~3,000万円の保険金の非課税枠「1,500万円」を活用すれば、相続税を300~500万円に削減できます。この削減メカニズムは、保険金の非課税部分により課税遺産総額を減少させることで、超過分の相続税計算ベースを下げるからです。
具体的には、保険金3,000万円のうち1,500万円が非課税枠内に収まるため、課税遺産総額は「遺産1億円 – 基礎控除4,800万円 – 保険非課税1,500万円 = 3,700万円」となります。これにより、配偶者控除と組み合わせた場合、配偶者の相続税は0円、子ども2人で約300~500万円を負担する計算になります。
遺産2億円パターンでの活用戦略
遺産2億円の場合は、基礎控除4,800万円を大幅に超える課税遺産総額1億5,200万円が発生するため、対策なしで約2,000万円以上の相続税が必要です。
この場合、3,000~5,000万円の保険金で保険非課税枠1,500万円を最大活用し、相続税を1,500万円程度に抑制できます。配偶者控除と組み合わせることで、さらに削減可能です。
遺産規模別の保険金額選択の実務的考慮
遺産5,000万円の場合、保険金500万円で相続人1人あたり約167万円の現金を確保でき、相続人3人で簡便に分割が可能です。
遺産1億円の場合、保険金2,000~3,000万円により、配偶者が5,000万円(配偶者控除で相続税0円)を取得し、子ども2人が各2,500万円を相続する際に、保険金から調整金を支払う戦略が有効です。
遺産2億円以上の場合は、保険金を単純な代償金ではなく、相続人全体への流動性確保と二次相続対策の両面から設計する必要があります。
保険金額の計算式
推奨保険金額 = (予想相続税額 – 配偶者控除による軽減額) ÷ 0.8
例:予想相続税1,000万円、配偶者控除で500万円軽減 → 必要な保険金は「500万円 ÷ 0.8 = 625万円」

生命保険金を受け取った相続人の税務負担は、相続人の立場によって異なります。
配偶者と子どもでは、適用される控除が異なるため、同じ保険金でも納税額が変わります。
配偶者が生命保険金を受け取った場合、「配偶者の税額軽減」という制度が適用されます。
配偶者が受け取った遺産のうち、以下のいずれか小さい方が非課税になります。
つまり、配偶者が1億6,000万円以下、かつ法定相続分以下の保険金を受け取った場合、相続税はかかりません。
配偶者控除を活用することで、配偶者の相続税を0円にできる可能性が非常に高いです。
子どもが生命保険金を受け取った場合、配偶者控除は適用されません。
相続税は、法定相続分に応じた相続税額から、各自の取得金額に応じた税率を適用して計算されます。
【事例】遺産1億円(保険金3,000万円含む)を配偶者と子ども2人で相続
基礎控除は4,800万円で、課税遺産総額は5,200万円になります。
| 相続人 | 受け取り額 | 課税価格 | 税率 | 相続税額 |
|---|---|---|---|---|
| 配偶者 | 5,000万円 | 2,600万円 | 配偶者控除で0% | 0円 |
| 子ども1 | 2,500万円 | 1,300万円 | 20% | 260万円 |
| 子ども2 | 2,500万円 | 1,300万円 | 20% | 260万円 |
| 合計納税額 | 520万円 | |||
計算の補足
生命保険の非課税枠は「500万円 × 3人 = 1,500万円」なので、保険金3,000万円のうち1,500万円が非課税です。
超過分1,500万円が課税対象に加算され、課税遺産総額に含まれます。
配偶者控除により配偶者の相続税は0円になりますが、子どもの相続税負担は増加します。
【比較】受取人による税負担の違い
| 保険金受取人 | 配偶者の相続税 | 子ども2人の相続税 | 合計納税額 |
|---|---|---|---|
| 配偶者が受取 | 0円 | 510万円 | 510万円 |
| 子どもが受取 | 0円 | 520万円 | 520万円 |
| 差額 | — | +10万円 | +10万円 |
重要なポイント
どちらの受取人を選んでも配偶者控除により配偶者の相続税は0円になります。
しかし、保険金を配偶者が受け取ると、子どもの課税価格が減少し、全体の納税額が若干削減されます。
保険金の受取人を誰にするかで、税負担が変わるため、事前に税理士に相談することが重要です。
複数相続人による異なる遺産規模のシミュレーション3パターンを表で比較します。
| 事例 | 遺産総額 | 相続人構成 | 基礎控除 | 課税遺産総額 | 配偶者の相続税 | 子どもの相続税 | 合計納税額 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 事例1 | 1億円 | 配偶者 + 子ども2人 | 4,800万円 | 5,200万円 | 0円 | 約260万円 × 2 = 520万円 | 520万円 |
| 事例2 | 2億円(保険3,000万円含) | 配偶者 + 子ども3人 | 5,400万円 | 1億2,600万円 | 0円 | 約1,000万円 × 3 = 3,000万円 | 3,000万円 |
| 事例3 | 1,500万円 | 配偶者 + 子ども2人 | 4,800万円 | マイナス | 0円 | 0円 | 0円 |
各事例の詳細な計算ロジック
事例1(遺産1億円、相続人3人)の分析
遺産1億円から基礎控除4,800万円を引くと、課税遺産総額は5,200万円です。配偶者が5,000万円を受け取り配偶者控除により相続税が0円になります。
残りの5,000万円を子ども2人が相続し、各自約260万円の相続税が発生します。この計算は、各子どもの相続分2,500万円に対して、法定相続分に基づいた税率(20%)が適用されるため、合計520万円の納税が発生します。
生命保険の非課税枠「500万円 × 3人 = 1,500万円」を活用しない場合の計算です。保険金を加入していれば、課税遺産総額をさらに削減できるため、納税額がより軽減されます。
事例2(遺産2億円、保険3,000万円含、相続人4人)の詳細分析
遺産2億円(保険3,000万円を含む)から基礎控除5,400万円を引くと、課税遺産総額は1億2,600万円です。保険金の非課税枠「500万円 × 4人 = 2,000万円」により、課税遺産総額が軽減されます。
配偶者控除で配偶者の相続税は0円ですが、子ども3人の合計納税額は3,000万円に上ります。この金額は、各子どもが約1,000万円ずつの税負担を負うことを意味します。
配偶者が1億円を受け取った場合、配偶者控除により1億6,000万円までが非課税になるため、配偶者の相続税はゼロになります。一方、子ども3人は各2,667万円(法定相続分に基づく)の課税対象を負担するため、相続税額が増加します。
事例3(遺産1,500万円、相続人3人)の活用ポイント
遺産1,500万円は基礎控除4,800万円内に完全に収まるため、対策がなくても相続税は0円です。ただし、保険金500~1,000万円を加入しておけば、相続人への現金分配がスムーズになります。
このケースでは、相続税の節税対策より、遺産分割の円滑化が目的になります。配偶者が自宅や農地など現物資産を取得し、子ども2人が現金を必要とする場合、保険金から代償金を支払うことで相続紛争を回避できます。
複数相続人での課税配分の実務的注意点
複数相続人がいる場合、保険金の受取人指定が重要になります。配偶者が全額受け取った場合と、各相続人が法定相続分に応じて受け取った場合で、相続税負担が大幅に異なります。
配偶者が保険金を受け取ると配偶者控除が適用され相続税が軽減されますが、二次相続時に配偶者がその保険金を子どもに相続させる際に、再度相続税が発生するため、長期的な納税額を考慮した受取人設定が必要です。
【事例】遺産1億円を配偶者と子ども2人で相続する場合
基礎控除は4,800万円で、課税遺産総額は5,200万円になります。
| 対策方法 | 配偶者の税額 | 子ども各自の税額 | 合計納税額 | 削減効果 |
|---|---|---|---|---|
| 何も対策しない | 520万円 | 195万円 × 2人 = 390万円 | 910万円 | — |
| 配偶者控除を活用 | 0円 | 255万円 × 2人 = 510万円 | 510万円 | 400万円削減 |
| 配偶者控除 + 保険金(3,000万円)活用 | 0円 | 150万円 × 2人 = 300万円 | 300万円 | 610万円削減 |
計算の補足
配偶者控除を使わない場合、配偶者も子どもも課税対象になり、合計910万円の納税が必要です。
配偶者控除を活用すると、配偶者の相続税が0円になるため、子ども2人の納税額が減り、合計510万円に削減されます。
さらに保険金3,000万円を活用すると、保険金の非課税枠「500万円 × 3人 = 1,500万円」により、課税遺産総額がさらに減少し、最終納税額は300万円まで削減できます。
同じ遺産でも対策の有無で610万円の差が生まれます。

相続では、遺産分割の方法で相続人間の紛争が起きることがあります。
特に「不動産をもらった相続人と、現金をもらった相続人の間で不公平が生じる」という事態が頻繁に発生します。
生命保険は、この問題を解決する有効な手段です。
代償分割とは、「遺産を現物でもらった相続人が、他の相続人に現金を支払う」遺産分割方式です。
例:自宅(5,000万円)と預金1,000万円を相続する場合
配偶者が自宅を、子どもが預金をもらうと、配偶者が得をしてしまいます。
この場合、配偶者が子どもに現金を支払い、公平にする方法が「代償分割」です。
その現金を生命保険金で用意すれば、相続人全員が納得する遺産分割が可能になります。
生命保険による代償金の確保により、相続紛争を回避できます。
代償分割では、生命保険金も相続財産に含まれるため、課税遺産総額に合算されます。
ただし、生命保険金には「500万円 × 法定相続人数」の非課税枠があるため、この枠内なら課税されません。
代償分割に充てる現金を生命保険で用意する場合、その保険金が非課税枠内に収まるよう設計することが重要です。
自宅・賃貸物件・預金から構成される遺産1億円を、配偶者と子ども2人で相続する実例を表にまとめました。
| 相続人 | 遺産内訳 | 法定相続分(1/2等分) | 受け取り資産 | 評価額合計 | 法定相続分との差 | 必要な代償金 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 配偶者 | 自宅5,000万円 | 5,000万円(1/2) | 自宅 | 5,000万円 | 0円(=法定分) | 0円 |
| 子ども1 | 賃貸物件3,000万円 | 2,500万円(1/4) | 賃貸物件(評価3,500万円に変更) | 3,500万円 | +1,000万円(過剰) | -500万円(配偶者へ返金) |
| 子ども2 | 預金2,000万円 | 2,500万円(1/4) | 預金 | 2,000万円 | -500万円(不足) | +500万円(配偶者から) |
| 配偶者が負担すべき代償金合計 | 1,000万円 | |||||
表の見方と代償分割のメカニズム
配偶者は自宅5,000万円で法定相続分5,000万円をちょうど取得するため、追加の代償金負担はゼロです。しかし、子ども1が受け取った賃貸物件の評価が当初3,000万円から3,500万円に修正されると、子ども1は法定相続分2,500万円を超える1,000万円を余分に受け取る形になります。一方、子ども2が受け取った預金2,000万円は法定相続分2,500万円に500万円不足しています。
そこで、子ども1が受け取った賃貸物件での「余剰分500万円」と子ども2の「不足分500万円」を調整するために、配偶者が合計1,000万円の代償金を支払います。具体的には、配偶者が子ども1に500万円を返金し、子ども2に500万円を支払い、全相続人の経済的平等性を確保するわけです。
生命保険による代償金の確保
配偶者が生命保険3,000万円を受け取った場合でも、非課税枠「500万円 × 3人 = 1,500万円」により、実質的な課税対象は1,500万円に留まります。この生命保険3,000万円から代償金1,000万円を支払っても、配偶者は2,000万円の現金を保有でき、相続税負担も軽減されます。生命保険がなければ、配偶者は自宅を担保に借金するか、不動産を売却する必要が生じ、円滑な相続が阻害されるリスクがあります。
生命保険がない場合のリスク
配偶者が代償金を用意できない場合、以下の問題が発生します:
①子どもが親(配偶者)に借金する必要があり、相続後に返済トラブルが発生する可能性
②不動産を売却して代償金に充てるため、相続人がその不動産を保有できず、事業や賃貸経営が中止される
③代償金が支払われないまま時間が経過し、相続紛争に発展する
生命保険があれば、配偶者が確実に現金で代償金を支払えるため、円滑な相続が実現します。また、相続税の非課税枠も活用できるため、配偶者の税負担も軽減されます。

相続では、「配偶者が遺産を受け取った場合、その配偶者が数年後に亡くなると、また相続が発生する」という現象が起きます。
これを「二次相続」と呼び、生涯で複数回の相続税納税が発生することになります。
二次相続を見据えた生命保険活用は、生涯の相続税負担を大幅に削減できます。
一次相続:被相続人(親)が亡くなり、配偶者と子どもが相続
配偶者控除により、配偶者の相続税は0円になることが多いです。
二次相続:配偶者が亡くなり、子どもが相続
配偶者が保有していた遺産(一次相続で受け取った分を含む)が、子どもに相続されます。
この場合、配偶者の遺産に対して相続税が課税されます。
一次相続で配偶者が多くの遺産を受け取ると、二次相続での納税額が大幅に増加します。
配偶者控除により、配偶者が1億6,000万円以下の遺産を受け取った場合、一次相続での相続税は0円です。
しかし、その受け取った遺産は配偶者の資産として積み上がり、配偶者の死亡時に子どもに相続されます。
子どもには配偶者控除がないため、全額が課税対象になります。
特に、配偶者が受け取った生命保険金は、その配偶者の死亡時の相続財産に含まれるため注意が必要です。
相次相続控除とは、10年以内に複数の相続が発生した場合、既に支払った相続税の一部を控除する制度です。
一次相続で支払った相続税が多い場合、二次相続でその税額の一部が控除されます。
ただし、相次相続控除だけでは、生涯の相続税負担を最小化できないため、二次相続対策と併用することが重要です。
祖父→親→子どもと続く3世代の相続をシミュレーション。一次相続と二次相続を含めた総納税額をまとめました。
| 相続段階 | 被相続人 | 遺産総額 | 基礎控除 | 相続人 | 納税額(対策なし) | 納税額(保険活用) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 一次相続 | 祖父 | 1億円 | 4,200万円 | 祖母 + 親 | 約600万円 | 0円(配偶者控除) |
| 二次相続 | 親 | 1億1,000万円 | 4,200万円 | 子ども 2人 | 約1,200万円 | 約900万円 |
| 生涯納税額の合計 | 1,800万円 | 900万円(900万円削減) | ||||
表の見方と保険活用戦略の詳細分析
一次相続(祖父死亡)の詳細
祖父の遺産1億円から基礎控除4,200万円を引くと、課税遺産総額は5,800万円です。祖母が6,000万円、親が4,000万円を相続します。配偶者控除により祖母の相続税は0円になります。
一方、親は法定相続分1/2(5,000万円相当)を相続する権利がありますが、実際には4,000万円しか受け取らないため、課税価格は4,000万円になります。この課税価格に対して相続税が計算され、約600万円が発生します。
この600万円は、親が個人で負担する税金であり、祖母は配偶者控除で0円です。
二次相続(親死亡)の保険活用メカニズム
二次相続では、親が祖父から受け取った4,000万円と自身の資産5,000万円、合計9,000万円を相続財産として扱います。
保険金がない場合、この9,000万円から基礎控除4,200万円を引くと、課税遺産総額は4,800万円になり、子ども2人で相続すると約1,200万円の相続税が発生します。
しかし、親が生前に「受取人=子ども」とする保険金2,000万円に加入していれば、その保険金の非課税枠「500万円 × 2人 = 1,000万円」により、実質的な課税対象が削減されます。
この場合、課税遺産総額は「9,000万円 + 保険金の超過分1,000万円 – 基礎控除4,200万円 = 5,800万円」となり、二次相続での相続税が約900万円に軽減できます。
受取人指定による二次相続対策の重要性
保険金の受取人が「配偶者(祖母のような場合は祖母自身)」か「子ども」かで、税負担が大幅に異なります。
一次相続で配偶者が保険金を受け取ると、配偶者控除により0円になりますが、二次相続時にその保険金が配偶者の資産として積み上がり、子どもに相続される際に再度課税対象になります。
したがって、一次相続では配偶者が大部分の遺産を受け取り(配偶者控除で0円)、二次相続対策として「受取人=子ども」の保険金を別途加入する戦略が最も効率的です。
生涯納税額の削減メカニズムの詳細計算
保険活用なし:一次600万円 + 二次1,200万円 = 1,800万円
保険活用あり:一次0円(配偶者控除で祖母の納税なし、親の負担600万円も配偶者控除で軽減可能)+ 二次900万円 = 約900万円
差額:900万円削減(一次の配偶者控除と二次の保険金非課税枠の組み合わせ効果)
複数世代での保険活用ベストプラクティス
3世代相続で最大1,000万円弱の相続税を削減するには、以下の条件が必要です:
①一次相続時に配偶者が最大限の遺産を受け取り、配偶者控除で全額非課税化する
②親が生前(50~60歳代)に「受取人=子ども」の終身保険に加入し、20年以上の長期にわたって保険料を支払う
③保険料支払額を年間110万円以下に抑え、贈与税がかからないようにする(配偶者からの資金援助で実現)
④二次相続時に、保険金の非課税枠を最大活用し、課税遺産総額を削減する
この戦略により、世代間での納税負担の平準化と、全体的な税負担の最小化が実現できます。

生命保険金を受け取った後、相続税申告が必要な場合は、税務署に申告書を提出する必要があります。
申告手続きには、複数の書類が必要で、期限内の提出が義務づけられています。
| 書類名 | 入手方法 | 提出時期 |
|---|---|---|
| 保険金支払通知書 | 保険会社から郵送 | 受け取り時 |
| 保険証券の写し | 自宅で保管 | 申告時 |
| 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 | 市町村役場で取得 | 申告時 |
| 相続人全員の戸籍謄本 | 市町村役場で取得 | 申告時 |
| 遺産分割協議書 | 相続人全員で作成 | 申告時 |
| 相続税申告書 | 税務署から入手、または税理士が作成 | 申告期限内 |
保険金受け取り時には、保険会社から「保険金支払通知書」が送付されます。
この書類は、申告時に保険金を受け取ったことを証明する重要な書類なので、大切に保管してください。
申告期限:相続開始を知った日から10ヶ月以内
相続税申告書を税務署に提出する期限です。
期限内に申告しないと、延滞税や加算税が課せられます。
納期限:申告期限と同じく10ヶ月以内
相続税を納付する期限も、10ヶ月以内です。
申告と納付の期限は同じため、期限内に両方を完了する必要があります。
延納制度
相続税の納付が困難な場合、最長20年間の分割納付が認められる場合があります。
ただし、一定の利息(年3%程度)が課せられます。
物納制度
現金での納付が困難な場合、不動産や有価証券で納付する方法があります。
ただし、物納適格資産(国や地方自治体が受け取りやすい資産)に限定されます。
相続税申告と納付の期限は10ヶ月以内と決められており、期限内の完了が必須です。
生命保険金は、被相続人の死亡後、保険会社に請求することで受け取ります。
通常、請求から1~2週間で保険金が振り込まれます。
保険金を受け取った時点で「相続財産」となり、相続税申告の対象になります。
したがって、保険金を受け取る前に相続税申告を完了する必要があります。
保険金の振込タイミングが申告期限に近い場合は、保険会社に「事前請求」を相談し、受け取りスケジュールを調整してください。
相続税申告後、税務調査が入る可能性があります。
その場合、以下の書類を提示できるよう保管しておく必要があります。
税務調査でよく指摘される点
保険金の受け取り時期が申告期限の直前だった場合、「実は生前受け取りではないか」と指摘されることがあります。
保険金の請求日、支払日を正確に記録し、相続発生後に請求した証拠を残すことが重要です。
また、複数の保険があり、非課税枠の計算ミスがないかを再確認する必要があります。
相続税更正のリスク
保険金を相続財産に含め忘れた場合、税務調査で指摘され、追加納税が発生します。
相続税の申告漏れは、不足税額に加えて「過少申告加算税(10~15%)」が課せられます。
意図的な隠蔽と判定された場合、「重加算税(35~40%)」が課せられる可能性があります。
相続税申告後も、最低7年間は申告関連書類を保管してください。
税務調査は相続税申告から3~5年以内に実施されることが多いため、この期間は特に注意が必要です。

2025年の相続税改正では、複数の制度が変更されました。
特に「相続財産に含まれる範囲」と「贈与税の取扱い」が大幅に変わっています。
| 項目 | 旧ルール(2024年以前) | 新ルール(2025年以降) |
|---|---|---|
| 相続前の贈与財産 | 相続開始前3年以内の贈与のみ相続財産に加算 | 相続開始前7年以内の贈与を加算(段階的) |
| 生命保険の贈与 | 贈与税の対象外の場合がある | 7年ルール導入で相続税の対象になる可能性 |
| 基礎控除 | 3,000万円 + 600万円 × 相続人数 | 変更なし |
2025年から、相続開始前7年以内の贈与が、段階的に相続財産に加算されるようになります。
具体的には、以下のようなスケジュールです:
2025年の改正により、生前贈与による相続税節税の効果が減少します。
生命保険の贈与税について、以下の経過措置があります:
保険契約の名義変更による贈与
2024年以前に契約した保険で、契約者を被相続人から相続人に変更する場合、贈与税が課税される可能性があります。
2025年改正では、この取扱いが明確化され、更新契約についても新ルールが適用されます。
相続時精算課税制度との組み合わせ
相続時精算課税制度を選択している場合、生命保険の贈与にも適用されます。
2,500万円の非課税枠内なら、贈与税は課税されません。
生前贈与のスケジュール変更
旧ルールでは「相続開始前3年の贈与」が相続財産に加算されていたため、3年を超えた贈与は相続税回避できました。
新ルールでは最大7年間が加算されるため、より長期的な贈与計画が必要になります。
具体的には、2025年から2032年にかけて段階的に加算対象期間が拡大されます:
この段階的導入により、既に贈与を開始している人は、3年ルール(旧ルール)で計算される期間があります。
保険契約の活用方法の変更
相続開始直前の保険加入は、7年ルールの対象になる可能性があります。
被相続人が「70歳で保険に加入し、75歳で相続が発生」した場合、その5年間の保険料支払いは「生前贈与の保険料」と判定され、相続財産に加算される可能性があります。
早期(50~60歳代)から保険に加入し、20~30年間の長期にわたって保険料を支払う戦略が有効になります。
保険料の全額を生前贈与で相殺する戦略(年間110万円の非課税枠を活用)も依然有効です。
配偶者贈与制度の活用拡大
配偶者への贈与は、「婚姻期間20年以上」で2,000万円までの非課税枠があります。
7年ルール導入後も、この制度は変わらないため、配偶者への資産移転戦略は依然有効です。
被相続人が配偶者に「配偶者贈与で2,000万円を贈与 + 保険金を配偶者受取人とする」という組み合わせにより、配偶者の相続税を完全に0円にできます。
相続時精算課税制度との組み合わせ
相続時精算課税制度を選択すれば、2,500万円の非課税枠で生前贈与ができます。
この制度は7年ルールと組み合わせることで、より大きな節税効果が得られます。
ただし、相続時精算課税を選択すると、その後の暦年課税(年110万円)への変更ができないため、専門家に相談して選択することが重要です。
2024年以前の贈与は旧ルール適用
2024年12月31日以前に行われた贈与は、旧ルール(3年)が適用されます。
この贈与は、相続開始時にさらに4年経過すれば(合計7年)、新ルールの対象外になります。
早期対策のメリット
2025年改正前に贈与を完了した場合、その贈与は旧ルール(3年)で計算されます。
改正後の贈与より税制面で有利なため、早期対策を検討する価値があります。
2025年改正の影響を受けないようにするため、相続対策は早期開始が必須です。
参照元:国税庁 相続税改正(2025年)

生命保険を活用した相続税対策は、税理士の専門知識によって、節税効果が大幅に異なります。
複数の税理士に相談し、保険商品の選択から申告実務まで、最適な提案を受けることが重要です。
生命保険と相続税の関係は複雑であり、以下の点で税理士の見解が分かれることがあります:
保険商品選択と相続税対策の連携が、生涯の納税額を左右します。
1社だけの相談で、数百万円の過剰納税が発生することも珍しくありません。
| 遺産規模 | 相続人数 | 税理士報酬相場 | 複数相談で判明する節税額 | 相談の価値 |
|---|---|---|---|---|
| 5,000万円 | 3人 | 50~80万円 | 100~150万円 | 高い |
| 1億円 | 3人 | 120~180万円 | 300~500万円 | 非常に高い |
| 2億円 | 3人 | 250~350万円 | 800~1,200万円 | 極めて高い |
遺産が1億円を超える場合、複数の税理士に相談することで、報酬額以上の節税効果が見込めます。
STEP1|相続の概要を整理する
一括見積りサービスに依頼する前に、以下の情報を整理してください:
STEP2|一括見積り・相談サービスに依頼する
一括見積りサービス(相続税専門の見積りサイト)を利用して、複数の税理士に同時に見積り・相談を依頼します。
所要時間は約5分です。
依頼時は、「相続人数」「遺産規模」「生命保険の活用希望」「代償分割の必要性」を可能な限り正確に伝えてください。
STEP3|見積りと初回相談を受ける
複数の税理士(目安3~5社)から見積り提案を受け取ります。
初回相談で、以下の点を確認してください:
STEP4|税理士を選定・正式依頼する
複数の見積りと初回相談を比較した上で、最も信頼できる税理士を選びます。
決定後、正式な契約書を交わし、本格的な相続税対策・申告作業に入ります。
正式依頼前に、必ず契約書で「報酬体系」「納期」「対応範囲」を確認してください。
はい、被相続人が契約者・被保険者で、相続人が受け取人である場合は、相続税が課税されます。
ただし、「500万円 × 法定相続人数」の非課税枠があり、その枠内なら相続税はかかりません。
多くの場合、0円になります。
配偶者控除により、配偶者が受け取った遺産(保険金含む)のうち、法定相続分または1億6,000万円のいずれか小さい方が非課税になります。
ただし、申告書の提出は必須です。
はい、相続放棄した人も非課税枠計算には含まれます。
例えば、配偶者と子ども3人がいて、子ども1人が相続放棄しても、非課税枠は「500万円 × 4人 = 2,000万円」です。
相続開始前の贈与が、3年から7年に段階的に拡大されます。
生前贈与による相続税節税の効果が減少するため、より早期からの対策が必要になります。
保険料を毎年支払うことで、被相続人の資産を減らしながら、相続人への現金給付を確保できます。
また、代償分割や二次相続対策にも活用でき、生涯の相続税負担を削減できます。
生命保険と相続税の基本を理解する
代償分割と二次相続対策を組み込む
今すぐ取るべき行動
生命保険と相続税の関係を理解し、早期から対策することで、相続人の負担を大幅に軽減できます。
相続が発生した場合は、本記事のチェックリストを参考に、迅速に複数の税理士に相談してください。
※本記事は2026年6月時点の法令・税率に基づいて作成しています。相続税制は改正される可能性があるため、最新情報については税務署や専門の税理士に確認してください。