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相続税の財産評価を下げる方法まとめ|財産種類別・効果・リスク一覧

相続税_財産評価_下げる_方法

相続税額は「財産の評価額×税率」で決まるため、評価額を合法的に下げることが最も直接的な節税につながります。

本記事では土地・建物・非上場株式・上場株式・生命保険・その他財産の種類ごとに、評価を下げる手法を横断的に整理します。

適用要件・節税効果・否認リスクを一覧で解説するため、相続税申告前の確認や生前対策の設計に活用していただけます。

▼ この記事の3行まとめ

  • 財産評価を下げる手法は財産種類ごとに異なり、土地・株式・保険それぞれに専用の手法がある
  • 効果が最大の対策は「小規模宅地等の特例(最大80%評価減)」と非上場株式の評価方式選択(類似業種比準方式)
  • 2024年改正でマンション評価ルールが変わり、一部の評価下げ手法の有効性が変化した

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相続税の「評価額」とは何か|時価・路線価・固定資産税評価額の違い

相続税の節税を考えるうえで、「評価額」の仕組みを正確に理解することが不可欠です。

財産の種類によって評価の基準が異なるため、どの財産でどの手法が使えるかを判断するための前提知識となります。

まず評価額の基本概念と時価との違いを整理します。

時価(実勢価格)と相続税評価額のギャップが節税の余地になる仕組み

相続税の財産評価は、財産評価基本通達に基づいて行われます。

原則として「時価(実勢価格)で評価する」とされていますが、実務では財産の種類ごとに定められた評価方法を使います。

土地であれば路線価(公示地価の約80%水準)、建物であれば固定資産税評価額(建築費の50〜70%水準)が基準となります。

財産の種類評価の基準時価との乖離率の目安
土地(路線価地域)路線価×面積×各種補正率時価の約80%が基準(補正で更に下がる場合あり)
土地(倍率地域)固定資産税評価額×倍率地域により異なる
建物固定資産税評価額×1.0建築費の50〜70%水準
上場株式課税時期の終値・月平均から最安値を選択株価変動による(選択余地あり)
非上場株式会社規模に応じた評価方式評価方式の選択で大幅に変わる
現預金残高そのまま乖離なし(時価=評価額)

現預金は時価と評価額が一致するため節税の余地がない一方、不動産や非上場株式には大きな乖離が生じやすいという特徴があります。

相続税の節税は「この乖離を合法的に活用する」または「評価を下げる補正・特例を正確に適用する」ことで実現します。

財産構成が現預金に偏っている場合、不動産・生命保険・贈与などを活用して評価額を下げる構造への組み替えが節税の基本方針となります。

財産種類ごとの評価基準一覧|土地・建物・株式・保険・動産の評価方法

相続税の申告では、財産の種類ごとに定められた評価基準で申告する必要があります。

主要な財産種類と評価の基準を一覧で確認します。

財産の種類評価の基準(財産評価基本通達)評価を下げる手法の有無
土地(自用地)路線価方式または倍率方式あり(多数)
土地(貸家建付地)自用地評価額−(借地権割合×借家権割合×賃貸割合)あり
建物(自用)固定資産税評価額限定的
建物(賃貸中)固定資産税評価額×(1−借家権割合×賃貸割合)あり
上場株式4方式(課税時期・当月・前月・前々月の月平均)から最安値あり(方式選択)
非上場株式会社規模に応じ類似業種比準・純資産価額・配当還元方式あり(大きい)
生命保険(死亡保険金)みなし相続財産として受取金額で評価(非課税枠あり)あり(非課税枠活用)
ゴルフ会員権取引価格×70%限定的
美術品・骨董品売買実例価格・精通者意見価格あり(鑑定評価)

評価を下げる手法が「多数ある」財産は土地と非上場株式です。

この2種類の財産を保有している場合は専門知識を持つ税理士に依頼することで節税効果が大きく変わるため、早期の専門家相談が推奨されます。

評価を下げることができる財産・できない財産の判別ポイント

評価を下げる手法が使える財産と使えない財産を事前に把握することで、対策の優先順位が定まります。

区分財産の種類理由
評価を下げやすい財産土地(補正・特例・賃貸活用)複数の補正率・特例が法定されており適用余地が大きい
評価を下げやすい財産非上場株式(評価方式の選択)会社規模・株主属性で評価方式が変わり差が大きい
評価を下げやすい財産上場株式(方式選択)4時点の最安値を選べるため申告タイミングの調整で対応
評価をある程度下げられる財産建物(賃貸活用)賃貸中にすることで借家権割合分(30%)の評価減が可能
評価を下げにくい財産現預金・有価証券(上場)残高・市場価格がそのまま評価額になる
非課税になる財産墓地・仏壇・祭祀財産相続税法上、非課税財産として課税対象外

現預金が多い方は、一部を生命保険・不動産・贈与に組み替えることが評価額圧縮の基本戦略となります。

組み替えには費用・リスク・流動性の問題もあるため、財産の種類・金額・相続人構成を税理士に確認してもらい、組み替えのメリットとコストを比較してから判断することが重要です。

土地の評価を下げる方法一覧|路線価補正・形状補正・各種減額要素

土地は相続財産の中で最も「評価を下げる余地がある」財産です。

財産評価基本通達では、土地の形状・利用状況・立地条件に応じた多数の補正率・減額ルールが定められています。

これらを適切に適用することで、路線価がベースの評価額から大幅に評価を下げられるケースがあります。

奥行価格補正・不整形地補正・間口狭小補正で評価を下げる仕組みと効果

路線価方式で土地を評価する際、土地の形状や利用条件に応じて「補正率」を乗じることで評価額を下げることができます。

補正の種類と効果を一覧で確認します。

補正の種類対象となる土地評価減の効果
奥行価格補正奥行きが短い・長すぎる土地補正率0.80〜1.00(地区区分・奥行距離で異なる)
不整形地補正三角形・L字型・旗竿形など形が不規則な土地補正率0.60〜0.99(地積区分・蔭地割合で異なる)
間口狭小補正間口(道路と接する幅)が狭い土地補正率0.80〜0.97(間口距離で異なる)
がけ地補正傾斜地・がけ地を含む土地補正率0.54〜0.96(がけ地割合・方位で異なる)
セットバック補正道路幅員を確保するため建築規制がある部分セットバック部分の評価額×0.3(70%減額)

これらの補正は複数を重ねて適用できるケースがあり、不整形地補正と間口狭小補正を併用すると路線価の20〜40%評価減になることがあります。

補正率の適用漏れは申告者に不利な過大申告につながるため、土地評価に精通した税理士に計算を依頼することが重要です。

参照元:国税庁 No.4604 路線価方式による宅地の評価

広大地(地積規模の大きな宅地)評価で評価を20〜65%減額する要件

一定面積以上の大規模な土地には「地積規模の大きな宅地の評価」(旧:広大地評価)が適用でき、評価額を大幅に下げることができます。

戸建て住宅用地として開発した場合に、道路・公園などに使う部分(潰れ地)を考慮して評価を下げる制度です。

項目内容
対象面積三大都市圏(東京・大阪・名古屋等)は500㎡以上、その他地域は1,000㎡以上
適用地域路線価地域(普通住宅地区・普通商業・併用住宅地区)に限る
除外条件市街化調整区域・工業専用地域・指定容積率400%以上の地域には適用不可
評価減の計算規模格差補正率を乗じて計算(地積が大きいほど補正率が低く評価減が大きくなる)
評価減の目安地積・地域によって20〜65%程度の評価減

例えば三大都市圏の500㎡の土地(路線価1億円)に規模格差補正を適用すると、評価額が7,000〜8,000万円程度まで下がるケースがあります。

要件が複雑で適用可否の判断が難しいため、土地評価の専門知識を持つ税理士への相談が必須です。

利用区分別の評価減|貸家建付地・貸宅地・私道・セットバック・都市計画道路予定地

土地の利用状況・法的制限によっても評価額が下がります。

自用地(自分で使っている土地)とは異なり、他人に貸している土地や法的制限のある土地は評価減が認められます。

利用区分・状況評価の方法評価減の目安
貸家建付地(アパート等が建っている敷地)自用地評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)借地権割合60%・借家権割合30%・満室で約18%の評価減
貸宅地(第三者に貸している土地)自用地評価額×(1−借地権割合)借地権割合分(30〜70%)の評価減
私道(特定の人だけが使用)自用地評価額×0.3(70%減額)約70%の評価減
都市計画道路予定地自用地評価額×補正率(0.60〜0.97)補正率によって3〜40%の評価減
セットバック必要部分該当部分の評価額×0.3(70%減額)セットバック部分について約70%の評価減

貸家建付地の評価計算式は「自用地評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」です。

借家権割合は全国一律30%で、借地権割合は路線価図に記載されたA〜G(90〜30%)の区分を参照します。

賃貸割合(入居率)が低いと評価減の効果が薄れるため、相続開始時点で空室が多い場合は注意が必要です。

参照元:国税庁 No.4614 貸家建付地の評価

不動産鑑定評価(時価評価)で路線価より低く評価する方法と活用条件

路線価が時価を上回っているケースでは、不動産鑑定士による鑑定評価額(時価)を相続税申告に使用できる場合があります。

土地の形状・立地・利用制限により、鑑定評価が路線価評価を下回るケースが存在します。

鑑定評価が有効なケース理由
崖地・傾斜地・変形地路線価は標準的な宅地が基準のため、特殊条件の土地は実勢価格が大幅に低い場合がある
道路に接していない無道路地通路開設費用を控除した評価が可能だが、鑑定の方が低くなるケースがある
再開発予定エリアに隣接する土地路線価が高い一方、利用制限や騒音・振動で実勢価格が低いケースがある
大規模地で市場性が低い土地面積が大きすぎて市場で売れにくく、実勢価格が低いケースがある

鑑定費用(20〜50万円程度)が発生するため、節税額と費用のバランスを考慮する必要があります。

路線価評価との差額が数百万円以上見込まれる場合に鑑定評価の活用を検討するのが現実的な判断基準です。

なお、鑑定評価を用いる場合も税務署が路線価評価を主張するケースがあるため、根拠のしっかりした鑑定評価書の作成が重要です。

小規模宅地等の特例|最大80%評価減の適用条件と失敗しやすいパターン

小規模宅地等の特例は、相続税の財産評価を下げる手法の中で最大の効果を持ちます。

自宅の土地評価を最大80%下げることができ、遺産1億円の家庭でも適用によって相続税が大幅に圧縮されます。

ただし適用要件が細かく、要件を誤ると申告後に否認されるリスクがあります。

居住用330㎡・事業用400㎡・貸付用200㎡の評価減率と要件の比較

小規模宅地等の特例には「居住用(特定居住用宅地等)」「事業用(特定事業用宅地等)」「貸付用(貸付事業用宅地等)」の3種類があります。

それぞれの評価減率・限度面積・主な要件を比較します。

区分評価減率限度面積主な要件
特定居住用宅地等(自宅)80%330㎡配偶者・同居親族・家なき子が相続し、申告期限まで保有(同居者は居住継続も必要)
特定事業用宅地等(個人事業)80%400㎡事業を継承した親族が申告期限まで事業継続・保有すること
貸付事業用宅地等(賃貸物件)50%200㎡貸付事業を申告期限まで継続すること。相続開始前3年以内に貸付を開始した場合は原則不可

居住用と事業用は面積を合算して最大730㎡まで完全に併用できますが、貸付用を加える場合は調整計算が必要です。

最大限の評価減を得るには、不動産の配分先・誰が相続するかの選択が申告書作成前に確定している必要があるため、申告期限内の遺産分割協議の完了が前提となります。

参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

配偶者・同居相続人・家なき子の要件と失敗する典型パターン

特定居住用宅地等(自宅)の特例は、相続する人によって適用要件が異なります。

誤った要件判断で申告すると税務調査で否認されるリスクがあります。

相続する人主な要件よくある失敗例
配偶者特になし(取得するだけで適用可)特になし
同居の親族相続開始前から同居・申告期限まで居住継続・保有継続申告期限前に売却・転居してしまい要件を満たせなくなる
別居の親族(家なき子)相続開始前3年以内に①自分・②配偶者・③3親等内の親族・④同族会社が所有する家屋に居住していないこと等相続開始前3年以内に子が自宅を購入・取得していたため適用不可になる

家なき子特例の要件は2018年の改正で厳格化されており、特に「3親等内の親族が所有する家屋」に住んでいる場合は適用不可になります。

家なき子特例の適用を見込んでいる場合は、相続開始前に税理士へ要件確認をすることが必須です。

また申告期限(10ヶ月)までに遺産分割が未了の場合は原則として特例が適用できないため、早期の分割協議の完了が重要です。

事業用宅地・貸付事業用宅地の特例適用で見落としやすいポイント

事業用宅地・貸付事業用宅地の特例には、居住用と異なる要件と注意点があります。

特に貸付事業用宅地は2018年の改正で要件が厳格化されており、相続直前の「租税回避防止策」が設けられました。

チェックポイント内容
貸付開始の時期相続開始前3年以内に貸付を開始した土地は原則として貸付事業用宅地の特例が適用不可
継続要件申告期限まで貸付事業を継続することが必要。相続後に入居者が退去・空室になっても要件に影響する可能性がある
特定事業用からの除外相続開始前3年以内に個人事業用として「新たに追加した」宅地は特例が制限される
事業継承者の確認事業用宅地は「その宅地等を使って事業を継承する親族」が相続することが要件

節税目的で相続直前にアパートを建築した場合に貸付事業用宅地の特例が使えないリスクがあります。

「3年以上前から貸付を行っている」という実態のある経営が特例適用の前提であり、直前の節税目的のみの土地活用は否認リスクがあります。

建物の評価を下げる方法|固定資産税評価額・貸家評価・築年数補正

建物の相続税評価額は固定資産税評価額と同額とされており、土地と比較して評価を下げる手法は限られます。

ただし「賃貸中の建物」にすることで一定の評価減が得られ、2024年のマンション評価改正は区分所有マンションの評価に大きな影響を与えました。

建物の評価を下げる方法を正確に理解することで、不動産全体の節税設計に役立てることができます。

固定資産税評価額の仕組みと「建築費の50〜70%水準」になる理由

建物の相続税評価額は固定資産税評価額がそのまま使われます。

固定資産税評価額は建物の「再建築価格(同等の建物を新たに建てる費用)」に「経年減点補正率(築年数に応じた減価)」を乗じて算出されます。

構造耐用年数(税務上)最低残価率評価額が最低水準になるまでの年数の目安
木造22年20%(0.20)新築から約25〜30年
鉄骨造(軽量)19〜27年20%(0.20)新築から約30〜35年
鉄筋コンクリート造47年20%(0.20)新築から約50〜60年

固定資産税評価額は新築時で建築費の約50〜70%水準になることが多く、現金で建物を建てると「現金→建物」への組み替えにより相続税評価額が30〜50%程度圧縮されるという効果があります。

ただし建物は売却時の流動性が低く、相続後に換金が難しい点を考慮する必要があります。

賃貸中の建物(貸家)評価|借家権割合30%減額の計算方法と空室の扱い

建物を第三者に賃貸している場合(貸家)、固定資産税評価額から「借家権割合×賃貸割合」を差し引いた評価額になります。

計算式具体例(固定資産税評価額2,000万円・満室の場合)
貸家評価額=固定資産税評価額×(1−借家権割合×賃貸割合)2,000万円×(1−0.30×1.0)=1,400万円(600万円の評価減)

借家権割合は全国一律30%です。賃貸割合は「実際に賃貸中の床面積÷全体の床面積」で計算します。

相続開始時点で空室があると賃貸割合が下がり、評価減の効果が縮小します。

一時的な空室(入居者を募集中の状態)は賃貸割合から除外できる場合があるため、空室の状況と管理状態を税理士に確認しましょう。

2024年マンション評価改正|区分マンションの新評価ルールと実務への影響

2024年1月1日以降の相続等から、区分所有マンション(タワーマンション含む)の評価方法が改正されました。

改正前は「固定資産税評価額×1.0(建物)+路線価×持分(土地)」という計算で市場価格の10〜30%程度の評価になるケースがあり、節税目的のタワーマンション購入が問題視されていました。

項目改正前改正後(2024年1月以降)
評価の目線固定資産税評価額ベース(時価の10〜30%になるケースあり)評価乖離率が1.67超の場合は補正をかけ、時価の約60%が目処になるように引上げ
補正の仕組みなし「区分所有補正率」を乗じて評価を引き上げる(評価乖離率が大きいほど補正が大きい)
節税効果大(タワマン上層階は評価額が市場価格の10〜20%になるケースも)縮小(上層階・新築・都心の高額マンションほど補正が大きい)

改正後もマンションの相続税評価額は市場価格より低くなるケースがほとんどですが、改正前のように「タワマンで評価を大幅に下げる」という節税手法の効果は大幅に縮小しました。

マンションを保有している方は2024年改正後の評価額を税理士に試算してもらい、実際の節税効果を確認することが推奨されます。

非上場株式の評価を下げる方法|類似業種比準・純資産・配当還元の選択

非上場株式(取引相場のない株式)は、相続税評価の中で最も「評価方式による差が大きい」財産です。

評価方式の選択・会社規模の判定・株主の属性によって評価額が数倍〜数十倍変わるケースがあります。

中小企業・同族会社の株式を保有している方は特に重要な確認事項です。

3つの評価方式(類似業種比準・純資産価額・配当還元)の使い分けと効果の差

非上場株式の評価方式は「誰がその株式を相続・取得するか(株主の属性)」と「会社の規模」によって決まります。

評価方式適用される状況評価額の傾向
類似業種比準方式大会社・中会社に適用される原則的評価方式業界平均と比較するため、利益が低い会社は純資産より低く評価されるケースがある
純資産価額方式小会社の原則的評価方式。大会社・中会社でも選択可会社の純資産(含み益含む)を基準とするため高くなりやすい
配当還元方式同族株主以外の少数株主に適用される特例的評価方式大幅に低くなることが多い(株式移転の活用で節税になるケースあり)
類似業種比準+純資産の併用中会社に適用(規模区分で按分割合が異なる)両方式の中間的な評価

同族株主(経営支配権のある株主グループ)が相続する場合は原則的評価方式(類似業種比準または純資産価額)が適用されます。

配当還元方式は同族株主以外にしか使えないため、株式を非同族の株主に分散させることで低い評価での移転が可能になるケースがあります。

参照元:国税庁 No.4638 取引相場のない株式の評価

類似業種比準方式の評価額を下げる合法的アプローチ|配当・利益・純資産の調整

類似業種比準方式の評価額は「配当金額」「利益金額」「純資産価額(簿価)」の3要素で決まります。

これらの3要素を合法的な範囲で調整することで評価を下げることができます。

調整の方法効果注意点
過大な内部留保を減らす(役員報酬・設備投資等)利益・純資産が下がり評価額が低下経営上の合理性がある支出であることが必要
配当を行わない(または低く抑える)配当金額要素がゼロまたは低くなり評価額が低下株主への利益還元とのバランス考慮が必要
不動産・設備等に積極投資利益が減少し、純資産への転換で類似業種比準が下がる投資の経営合理性が必要
会社規模の区分変更を意識した事業拡大大会社に区分されると純資産価額方式の影響が小さくなる意図的な操作は否認リスクあり

評価額を下げるための操作が「租税回避行為」と判断されると否認リスクがあります。

あくまでも経営上の合理性がある行動の結果として評価が下がる形にすることが、税務調査で否認されないための鉄則です。

非上場株式の評価下げを検討する場合は、相続税に精通した税理士と税務調査リスクを含めて相談することが必須です。

事業承継税制(納税猶予)との組み合わせで株式評価を実質ゼロにする方法

事業承継税制(非上場株式の納税猶予・免除制度)を活用すると、後継者が相続した非上場株式に係る相続税の納税が最大100%猶予されます。

一定要件を満たし経営を継続すれば、猶予された税額が最終的に免除されます。

制度の種類内容猶予割合
一般措置(旧制度)発行済議決権株式総数の2/3までの相続税を80%猶予最大約53%の猶予
特例措置(令和9年12月末までの申請に限る)全株式に係る相続税を100%猶予最大100%の猶予

特例措置は令和9年(2027年)12月31日までの「特例承継計画の提出」が必要で、その後の申告で要件を満たせば100%猶予が受けられます。

事業承継税制は手続きが複雑で申請期限も定められているため、早急に税理士・中小企業診断士等の専門家に相談を開始することが重要です。

上場株式・投資信託の評価|課税時期の4方式選択で評価を最小化する

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上場株式は市場で価格が変動するため、相続開始時点の株価水準によって評価額が大きく変わります。

財産評価基本通達では「4つの評価方式から最も低い価額を選べる」というルールが定められており、合法的に最安値を選択できます。

株式の評価額を正確に計算し、最低額を採用することが確実な節税につながります。

4つの評価方法(課税時期・課税月平均・前月平均・前々月平均)の選び方

上場株式の相続税評価額は以下4つの価格のうち最も低い価格を採用します。

評価方式内容使われるケース
①課税時期の終値相続開始日(被相続人の死亡日)の最終価格相続開始日が株価の底値付近の場合に有利
②課税時期の月の月平均相続開始日の属する月の毎日の終値の月平均額月途中で株価が大幅下落した場合などに有利
③前月の月平均相続開始日の前月の毎日の終値の月平均額前月の株価水準が最低の場合に有利
④前々月の月平均相続開始日の前々月の毎日の終値の月平均額前々月の株価水準が最低の場合に有利

相続開始日が月末付近の場合、①〜④のどれが最安値になるかは実際に計算してみないとわかりません。

4つの価格を比較して最低額を選択することは相続人の権利であり、税務上も認められた合法的な節税です。

複数の上場銘柄を保有している場合は銘柄ごとに4方式を比較する必要があるため、証券会社の相続窓口や税理士に計算を依頼することが確実です。

参照元:国税庁 No.4632 上場株式の評価

投資信託・公社債の評価方法と評価を下げる際の注意点

投資信託・公社債も相続財産として相続税の課税対象になります。

それぞれの評価方法と注意点を確認します。

財産の種類評価の方法注意点
上場投資信託(ETF)上場株式と同様に4方式から最安値を選択課税時期に取引がない場合は前後の取引価格を参照
公募株式投資信託課税時期の基準価額から解約手数料・源泉税相当額を控除した価額信託財産留保額・信託報酬等の控除漏れに注意
国債・地方債・社債課税時期の最終価格または発行価額等による計算既経過利子の計算漏れに注意

公募株式投資信託は「基準価額−解約手数料−源泉所得税相当額」が評価額となり、解約手数料・税額の控除漏れは申告者に不利な過大申告になるため注意が必要です。

運用商品が多数ある場合は証券会社から残高証明書を取り寄せ、評価額の計算を税理士に依頼することが確実です。

生命保険・退職金・年金の評価を下げる方法|非課税枠と評価圧縮の仕組み

生命保険・死亡退職金・個人年金は相続税上「みなし相続財産」として課税対象になりますが、法定の非課税枠や評価の仕組みを活用することで課税額を圧縮できます。

これらは事前に準備しておけば確実に効果が出る対策のため、相続税対策の基本として最初に確認すべき項目です。

受取人の設定ミスや保険種類の選択を誤ると非課税枠が適用されないため、正確な確認が必要です。

生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人数)とみなし相続財産の評価

被相続人が契約者・被保険者である生命保険の死亡保険金は、相続税上「みなし相続財産」として課税されます。

ただし法定相続人が受け取る保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が設けられています。

法定相続人の数生命保険の非課税枠節税効果の目安(税率20%)
1人500万円約100万円
2人1,000万円約200万円
3人1,500万円約300万円
4人2,000万円約400万円

非課税枠を活用するには「受取人を相続人(法定相続人)に設定する」ことが必須です。

受取人を孫(代襲相続人でない場合)や相続人以外の親族に設定すると非課税枠が適用されないため、既存の保険は受取人の確認が不可欠です。

保険加入済みの方は保険証書で受取人を確認し、未加入または非課税枠に余裕がある方は一時払い終身保険への加入を検討しましょう。

個人年金保険・変額保険の評価方法と相続税評価額を抑えるポイント

被相続人が保険料を支払っている生命保険(まだ死亡していない場合の解約返戻金相当)や個人年金保険も相続財産として課税対象になります。

保険の種類相続税評価の方法節税のポイント
解約返戻金がある生命保険(被保険者が生存中)解約返戻金相当額で評価払い済み保険や低解約返戻金型保険は評価額が低い
定期保険(解約返戻金なし)支払済保険料の合計か解約返戻金の大きい方で評価解約返戻金がない期間は評価額が低くなる
個人年金保険(年金受取開始前)解約返戻金相当額で評価解約返戻金が低い商品は評価額が低くなる
変額保険課税時期の解約返戻金相当額で評価運用成績が低い時期に相続が発生すると評価が低くなる

低解約返戻金型の終身保険は保険料払込期間中の解約返戻金が著しく低く抑えられるため、払込期間中に相続が発生すると評価額が払込保険料より大幅に低くなるという特徴があります。

ただし保険商品の選択は節税だけでなく保障内容・解約時の損失も考慮する必要があるため、保険と税務の両方に精通した専門家に相談することを推奨します。

死亡退職金の非課税枠(500万円×法定相続人数)と受取時の注意点

死亡退職金(被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した退職金)は相続財産としてみなし相続財産になりますが、生命保険と同様に非課税枠があります。

項目内容
非課税枠の計算式500万円×法定相続人の数
生命保険との合算非課税枠はそれぞれ独立しており合算しない(両方で別々に500万円×人数の非課税枠が使える)
対象者死亡退職金を受け取った相続人に限り非課税枠が適用
受取方法相続放棄した者が受け取った場合は非課税枠が適用されない

生命保険と死亡退職金の非課税枠はそれぞれ独立しているため、両方を活用すると法定相続人3人なら合計3,000万円(1,500万円×2)の課税価格圧縮が可能です。

中小企業の経営者の場合、死亡退職金規定を整備しておくことで自社から支給される退職金の非課税枠を有効活用できます。

その他財産の評価を下げる方法|動産・金融資産・特殊財産の評価減

土地・建物・株式以外にも、様々な財産が相続税の課税対象となります。

動産・特殊財産は評価が難しいケースが多く、専門家への依頼が評価額の適正化につながることがあります。

また非課税財産を正確に把握することで、課税対象から除外できる財産を見落とさないことも重要です。

ゴルフ会員権・美術品・宝石・車の評価方法と評価を下げるアプローチ

動産・特殊財産の評価方法は財産評価基本通達に定められていますが、専門家の意見が介入できる余地があるものもあります。

財産の種類評価方法評価を下げるアプローチ
ゴルフ会員権課税時期の取引価格×70%名義変更手数料がある場合は差引可。廃業・倒産したクラブは評価ゼロ
美術品・骨董品売買実例価格・精通者意見価格等適正な鑑定価格(適正な専門家による評価)を活用。過去の売買実例が低ければそれを参照
宝石・貴金属売買実例価格・精通者意見価格等査定価格が低い専門業者の評価書を使用することで評価が下がるケースがある
自動車売買実例価格・精通者意見価格等中古車査定価格(ディーラー等の評価)を参照。走行距離・修理歴が多いと低評価になる

美術品・宝石・骨董品は「精通者意見価格」として専門家の評価書が使えます。

精通者意見価格は根拠のある評価書であれば税務上も活用でき、高額な美術品・骨董品は専門家による鑑定評価が節税につながるケースがあります。

墓地・仏壇・祭祀財産は非課税|相続財産から除外できる財産の一覧

相続税法上、祭祀に関する財産は相続税が非課税とされており、相続財産の合計額から除外できます。

非課税財産の種類非課税の根拠注意点
墓地・墓石相続税法第12条(祭祀財産)生前に購入しておくことが重要。相続後の購入は財産から控除できない
仏壇・仏具・位牌相続税法第12条(祭祀財産)日常礼拝用のものに限る。投資・骨董目的のものは非課税にならない
神棚・神具相続税法第12条(祭祀財産)日常礼拝用のものに限る
国・地方公共団体等への寄付財産相続税法第12条相続税の申告期限までに寄付した財産が非課税
生命保険の非課税枠内の保険金相続税法第12条500万円×法定相続人数まで非課税

墓地・仏壇は生前に購入することで相続財産から除外できるため、「生前に現金を使って祭祀財産を購入する」という方法が節税対策の一つになります。

ただし節税目的が明らかな場合(高額すぎる仏壇・投資価値のある美術品等)は非課税にならないケースがあるため注意が必要です。

名義預金として認定されないための生前管理の重要性

被相続人の財産として課税されるリスクが高い「名義預金」を正確に把握し、適切に管理することも財産評価の重要な管理事項です。

名義預金とは、家族名義の預金口座でも実質的には被相続人が管理・支配していた場合に相続財産として認定されるものです。

名義預金として認定される典型パターン対策
子・孫名義の口座だが、通帳・印鑑を被相続人が管理している通帳・印鑑の管理を本人(受贈者)に移す
贈与の事実がなく、親が一方的に子名義の口座に入金している贈与契約書を毎年作成し、贈与税の申告(110万円超の場合)を行う
受贈者が贈与されたことを知らない(子・孫が贈与の認識なし)受贈者に贈与の事実を知らせ、資金を本人が自由に使える状態にする
過去10〜20年分の定期預金が大量に発見された贈与事実の証拠(贈与契約書・贈与税申告書等)を保管する

税務調査では名義預金の認定が頻繁に行われており、贈与契約書・贈与税申告書の証拠がないと名義預金として相続財産に加算され、相続税の追徴を受けるリスクがあります。

生前贈与を行っている方は、毎年の贈与について贈与契約書を作成・保管することを徹底しましょう。

評価を下げすぎた場合の税務調査リスクと「否認されない」基準

財産評価を下げる手法を使う際には、税務調査で否認されるリスクも把握しておく必要があります。

合法的な評価減でも「租税回避行為」と認定されるケースがあり、過去に実際に否認された事例も複数存在します。

節税と税務調査リスクの両面を理解したうえで対策を選択することが重要です。

不動産評価の過少申告で指摘される典型パターンと税務調査の傾向

国税庁の統計によると、相続税の実地調査件数は年間約9,000〜10,000件で、追徴税額は平均で1件あたり約500万円超(令和5年)となっています。

土地評価が調査の対象になりやすい典型パターンを確認します。

否認されやすいパターン理由対策
路線価より大幅に低い鑑定評価を使用評価の根拠が弱い・鑑定方法に問題がある場合に否認実績のある不動産鑑定士に依頼し、根拠のある鑑定書を作成する
相続直前に賃貸を開始した土地への貸付用特例適用3年以内の貸付は制度上も原則対象外特例適用の要件を事前に税理士に確認する
実態のない親族への土地賃貸による貸家建付地評価経済的実態がない貸付は評価減として認められない適正な賃料・契約書・振込記録を整備する
不整形地補正の過大適用補正率の適用要件を満たさない土地への適用補正率の適用可否を税理士に確認してから申告する

経済的実態がない取引・契約書がない貸付・直前の節税目的のみの行為は税務調査で否認される可能性が高いです。

節税効果を最大化しながら否認リスクを抑えるには、申告前に相続税専門の税理士に評価方法を確認してもらうことが最善策です。

路線価評価 vs 不動産鑑定評価の選択で否認されないための判断基準

路線価評価か不動産鑑定評価かを選択する際の判断基準を整理します。

活用するべきケース
選択の観点路線価評価不動産鑑定評価
費用追加費用なし鑑定費用20〜50万円程度
税務署への印象通常の申告として受理されやすい価格乖離の説明が必要。根拠が弱いと否認リスク
土地の形状・立地に問題がなく、路線価が実態と近いケース路線価が市場価格を大幅に超えているケース(特殊立地・大規模地等)
否認リスク補正漏れで過大申告になるリスク根拠の薄い鑑定評価は否認されるリスク

不動産鑑定評価の採用は「路線価が時価を明らかに超えている合理的理由がある場合」に限定することが、否認リスクを抑えるポイントです。

「節税したいから鑑定評価を使う」という発想ではなく、「実態に沿った適正評価を行う手段として鑑定評価を選択する」という姿勢が重要です。

評価減を合法的に最大化するための税理士選びの重要性

財産評価は税理士によって適用できる補正・特例の見落としの有無が大きく異なります。

税理士によって申告税額に数百万円の差が生じるケースは珍しくありません。

税理士選びのポイント確認方法
相続税申告の年間対応件数年間20件以上を目安に確認(件数が多いほど評価の経験値が高い)
土地評価の専門性不整形地・広大地・貸家建付地などの補正適用経験を確認
非上場株式評価の実績中小企業・同族会社の株式評価対応実績を確認
税務調査対応の実績調査経験・調査立会いのサポート可否を確認
申告後のサポート税務調査が来た場合の対応や更正の請求サポートの有無を確認

財産評価の専門性が低い税理士に依頼すると、適用できるはずの補正・特例が漏れた過大申告になるリスクがあります。

相続税申告は複数の税理士に見積り・相談をして、提案内容と報酬を比較してから依頼先を選ぶことが最善策です。

相続税の財産評価を下げるには一括相談・見積りで比較してから税理士を選ぶ

財産評価を合法的かつ最大限に下げることができるかどうかは、担当税理士の専門知識・経験・提案力によって大きく変わります。

特に土地評価の補正適用・非上場株式の評価方式選択は税理士によって対応力の差が顕著です。

一括見積り・相談サービスを使って複数の税理士を比較することで、最も評価減を最大化できる税理士を選べます。

一括相談・見積りが必要な理由|財産の種類と構成によって評価を下げる手法が異なり、対応できる税理士の専門性が節税額を左右するから

土地・非上場株式・保険・動産など財産の種類が多岐にわたる場合、すべての財産について評価減の手法を熟知している必要があります。

土地評価に強い税理士が非上場株式評価に弱いケース、または逆のケースはよくあることです。

また2024年の評価改正(マンション評価ルール変更)・贈与税改正への対応状況も税理士によって異なります。

財産の種類求められる専門知識専門性が低い場合の影響
土地(複数・特殊形状)不整形地・広大地・利用区分別補正の実務経験補正適用漏れで過大申告になる
非上場株式類似業種比準・純資産評価・事業承継税制の知識評価方式の選択を誤り、過大な評価額で申告する
賃貸不動産貸家建付地・賃貸割合・空室の取り扱いの判断賃貸割合の算定を誤り評価減が小さくなる
特殊財産(美術品・ゴルフ等)精通者意見価格の活用・評価方法の選択高い評価額で申告し本来より税額が多くなる

財産の種類が多岐にわたるほど、1社への相談だけでは各財産の評価漏れが発生しやすいため、複数の税理士の提案を比較することが重要です。

一括相談・見積りのメリット|不動産・非上場株式・特殊財産に精通した税理士の提案を複数社で比較できる

一括相談・見積りサービスでは、相続財産の概要を入力するだけで複数の専門税理士から提案・見積りを受けることができます。

財産構成に応じた「どの補正・特例・評価方式を使えるか」の提案内容を比較することで、最も多くの評価減手法を提案できる税理士を選べます。

比較できる観点内容
土地評価の提案の深さ不整形地補正・広大地・貸家建付地などの適用可否を提案できるか確認できる
非上場株式の評価戦略類似業種比準方式の選択・事業承継税制の活用を提案できるか確認できる
2024年改正への対応マンション評価改正・贈与税改正後の最新提案が受けられるか確認できる
報酬の透明性土地・非上場株式等の加算報酬の金額を複数社で比較できる

「申告税額がどれだけ下がるか」という節税設計の質で税理士を比較できることが一括相談の最大のメリットです。

報酬が安い税理士より、評価減の提案が充実している税理士を選ぶことが本当のコスト最小化につながります。

1社だけに相談・見積りをするリスク|得意でない財産種類の評価下げ手法が見落とされ、数百万円単位の節税機会を逃すリスク

1社のみへの相談で申告を進めると、その税理士の専門性の範囲外にある財産の評価が適切に処理されないリスクがあります。

リスクの種類具体例
土地評価補正の漏れ不整形地補正・間口狭小補正の適用漏れで50〜200万円の過大申告が生じる
非上場株式の評価方式ミス純資産価額方式が適用されるべき小会社に類似業種比準を使い評価が高くなる
特殊財産の評価額過大美術品・宝石の精通者意見価格を活用せず帳簿価額で申告し、高い評価になる
2024年改正の未対応マンション評価改正前の方法で計算し、過大申告または不正確な評価額になる

遺産1億円規模の案件で評価補正の適用漏れが複数あると、本来より数百万円以上多い相続税を支払ってしまうリスクがあります。

「すでに申告済みだが評価に漏れがあるかもしれない」と感じる方は、更正の請求(申告後5年以内)で過大申告分の還付を受けられる可能性があります。

見積り比較シミュレーション|報酬差と節税効果の試算表

複数の税理士に見積りを依頼した場合の報酬差と、評価減の提案力による節税効果の差を比較します。

遺産総額基本報酬の幅(目安)報酬差の目安評価提案力の差による節税額の差
3,000万〜5,000万円20万〜45万円約25万円補正適用の有無で150万〜400万円の差
5,000万〜1億円40万〜80万円約40万円土地補正+特例最適化で300万〜700万円の差
1億〜3億円(非上場株式含む)70万〜180万円約110万円株式評価方式選択で500万〜2,000万円以上の差

報酬差より評価提案力の差の方が数倍〜数十倍大きいことがこの表から分かります。

「報酬が安い税理士を選ぶ」より「最も多くの評価減を提案できる税理士を選ぶ」という判断が、総合的なコスト最小化に直結します。

一括相談・見積りの手順|STEP1〜STEP4

財産評価の最適化を税理士に依頼する際の具体的な手順を解説します。

STEP1|相続財産の種類と概算額を整理する(所要時間:1〜3日)

土地(面積・形状・利用状況)・建物(固定資産税評価額)・株式(上場・非上場の別)・保険・動産をリストアップします。

特に土地は「何㎡か・形状は整形か・賃貸中かどうか」、非上場株式は「会社の規模・業種」を確認しておくと税理士の提案精度が高まります。

財産の種類確認すべき情報
土地面積・地目・路線価・形状(整形/不整形)・賃貸有無
建物固定資産税評価額・用途(自用/賃貸)・入居状況
非上場株式会社の規模(従業員数・売上規模)・業種・保有株式数
上場株式・投資信託銘柄・口数・相続開始日の株価水準
生命保険・退職金受取金額・受取人の氏名・非課税枠の活用状況

STEP2|一括見積り・相談サービスに依頼する(所要時間:5分程度)

相続専門の税理士マッチングサービスに財産概要を入力します。

希望内容(財産評価の最適化・相続税申告・節税シミュレーションなど)を指定し、複数の税理士(目安3〜5社)への同時打診を依頼します。

フォーム入力する際は「財産の種類」「相続人の人数」などを可能な限り正確に伝えることが重要です。

STEP3|見積りと初回相談を受ける(所要時間:1〜2週間)

各税理士から報酬の見積り・対応可能な財産評価の種類・節税提案の概要を受け取ります。

初回相談(無料が多い)では「どの財産にどの評価減を適用できるか」の提案内容と専門性を確認しましょう。

確認ポイントなぜ重要か
土地評価の補正適用の提案不整形地・広大地・貸家建付地の補正を提案できるかを確認
非上場株式の評価方式の提案会社規模・株主属性に合わせた方式選択を提案できるかを確認
2024年改正への対応状況マンション評価改正・贈与税改正への最新対応ができているかを確認
税務調査対応の実績評価下げを行った場合に調査で根拠を説明できる経験があるかを確認

STEP4|税理士を選定・正式依頼する(所要時間:1〜3日)

評価提案の充実度・報酬総額・専門実績・対応の丁寧さを総合評価して1社に絞ります。

委任契約書の業務範囲・報酬・税務調査対応の取り扱いを確認してから署名します。

初回相談で確認すべきチェックリスト

  • □ 相続税申告・財産評価の年間対応件数(目安:年間20件以上)
  • □ 不整形地補正・広大地・貸家建付地など土地評価補正の適用経験
  • □ 非上場株式の評価(類似業種比準・純資産価額)への対応実績
  • □ 2024年マンション評価改正への対応状況を確認できるか
  • □ 不動産鑑定士との連携(路線価 vs 鑑定評価の選択サポート)の有無
  • □ 税務調査対応の実績(調査立会いの費用は別途か含まれるか)
  • □ 申告後の更正の請求サポートの有無

見積りで確認すべきチェックリスト

  • □ 基本報酬の計算方法(遺産総額の%か固定額か)
  • □ 土地評価の加算報酬(土地1筆あたりの追加費用)
  • □ 非上場株式評価の加算報酬額
  • □ 賃貸不動産(貸家建付地)の評価加算報酬の有無
  • □ 税務調査立会いが発生した場合の追加費用
  • □ 更正の請求サポートの費用(含まれるか別途か)
  • □ 見積りに含まれない費用(交通費・登記事項証明書取得費等)の有無

よくある質問(FAQ)

Q. 相続税の財産評価を下げる方法の中で最も効果が大きいのは何ですか?

不動産を保有している場合は「小規模宅地等の特例(最大80%評価減)」が最大の効果を持ちます。

自宅の土地330㎡に適用すると評価額が最大80%下がり、相続税額を数百万円以上圧縮できるケースがあります。

次いで非上場株式の評価方式選択、土地の不整形地補正・広大地評価が節税効果の大きな手法です。

Q. 路線価より低い鑑定評価を使うことはできますか?

財産評価基本通達では「時価で評価する」が原則のため、路線価が時価を上回るケースでは鑑定評価額を使用することが認められています。

ただし根拠が薄い鑑定評価は税務調査で否認されるリスクがあるため、実勢価格が路線価を明らかに下回る合理的理由がある場合に限り活用することが推奨されます。

活用の可否は相続税専門の税理士と不動産鑑定士に相談して判断しましょう。

Q. 非上場株式の評価を下げる方法はありますか?

会社規模・株主の属性に応じた評価方式の選択(類似業種比準・純資産・配当還元)で評価額が大きく変わります。

また類似業種比準方式の計算要素(配当・利益・純資産)を経営上合理的な範囲で調整することで評価を下げることができます。

非上場株式の評価は専門知識が必要で、評価方式の選択ミスは税務調査リスクにもなるため、必ず相続税・事業承継に精通した税理士に依頼してください。

Q. 現預金が多い場合、評価を下げることはできますか?

現預金は残高がそのまま評価額になるため、現預金の状態では評価を下げることができません。

節税するためには現預金を「生命保険への加入」「不動産の購入」「生前贈与」などの評価が下がる財産に組み替えることが必要です。

組み替えには費用・流動性・リスクの問題があるため、税理士に総合的なシミュレーションを依頼してから判断することを推奨します。

Q. 2024年のマンション評価改正で節税効果はなくなりましたか?

区分所有マンションの節税効果は縮小しましたが、ゼロになったわけではありません。

改正後も固定資産税評価額ベースの計算は続くため、市場価格より低い評価になるケースは引き続きあります。

ただし改正前のように「タワマン上層階で評価を市場価格の10〜20%まで下げる」という節税手法は使えなくなったため、マンションを相続税対策として購入している方は税理士に改正後の評価額を試算してもらうことが必要です。

まとめ|財産種類別・評価を下げる方法の選び方

評価を下げやすい財産と主な手法

  • 土地:不整形地補正・広大地評価・貸家建付地・小規模宅地等の特例(最大80%評価減)
  • 建物:賃貸中にすることで借家権割合30%分の評価減が可能
  • 非上場株式:評価方式の選択(類似業種比準・配当還元等)で大幅な評価圧縮が可能
  • 上場株式:4方式(課税時期・当月・前月・前々月月平均)から最安値を選択

2024年改正後の注意点

  • 区分所有マンション評価改正(2024年1月〜):評価乖離率が大きい物件は補正で評価が引き上げられる
  • 名義預金:贈与契約書・贈与税申告の証拠がないと相続財産として認定される
  • 直前の節税目的のみの賃貸開始:貸付用宅地の特例が適用されないリスクがある

評価減を最大化するための行動ステップ

  • まず財産の種類・金額・法定相続人の数を整理し、相続税の申告が必要かどうかを確認する
  • 土地を保有している場合は小規模宅地等の特例の適用可否と補正率の適用状況を税理士に確認する
  • 非上場株式を保有している場合は評価方式の選択を含めた節税設計を専門税理士に依頼する
  • 複数の税理士に一括相談し、どの補正・特例・評価方式を提案してもらえるかを比較してから依頼先を決定する

※本記事は2026年6月時点の法令・税率に基づいて作成しています。税制改正や個別の事情によって内容が異なる場合があるため、申告前に税理士または税務署にご確認ください

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