


遺産が4,000万円あるとき、相続税がかかるかどうかは相続人の数を数えるだけで決まります。税額を計算する前に結論が出る金額帯です。
相続人が2人以上なら基礎控除が4,200万円になり、遺産4,000万円を上回るため必ず0円になります。
課税されるのは相続人が1人しかいない場合だけで、税額は40万円か48万円のどちらかです。
配偶者がいれば相続人は必ず2人以上になるため、配偶者がいる家庭ではこの帯で課税されることはありません。
つまり課税される可能性があるのは、一人っ子・子のいない夫婦の二次相続・独身という3つの立場に限られます。
そしてこの立場でも、生命保険400万円か自宅の土地500万円があれば0円になります。財産のわずか10%程度で足ります。
この記事では家族構成別の早見表を示したうえで、相続人1人でも0円にする2つの方法、計算の4ステップ、0円でも申告が必要なケース、二次相続まで見た判定までを解説します。
▼ この記事の3行まとめ

遺産4,000万円の相続税は、相続人が2人以上なら必ず0円になります。この帯は税額の計算より前に、相続人が何人いるかを数える段階で結論が出てしまう金額帯です。
まず自分の相続人が何人かを確認してください。2人以上ならこの先の計算は不要で、1人だけなら課税されます。
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。相続人が2人いれば4,200万円になり、遺産4,000万円を上回ります。
| 法定相続人の数 | 基礎控除 | 課税遺産総額 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 3,600万円 | 400万円 | 課税される |
| 2人 | 4,200万円 | 0円 | 0円 |
| 3人 | 4,800万円 | 0円 | 0円 |
| 4人 | 5,400万円 | 0円 | 0円 |
表の見方:課税遺産総額は「遺産総額-基礎控除」です。ここが0円なら相続税は発生せず、申告も不要です。4,000万円で課税されるのは1行目だけです。
重要ポイント:配偶者がいれば相続人は必ず2人以上になります。配偶者と子1人、配偶者と父母1人、配偶者と兄弟姉妹1人のいずれも2人なので、この帯では課税されません。
参照元:国税庁 No.4152 相続税の計算/国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分
基礎控除の計算式と課税されるかの判定手順は、下記の記事で解説しています。

相続人が1人でも、その1人が配偶者なら税額は0円です。配偶者には税額軽減があり、1億6,000万円まで課税されないためです。
つまり実際に納税が発生するのは、配偶者以外の1人が相続する場合に限られます。該当するのは次の4パターンです。
| 相続人(1人だけ) | 相続税の総額 | 2割加算 | 納税額 |
|---|---|---|---|
| 子1人のみ | 40万円 | なし | 40万円 |
| 父母1人のみ | 40万円 | なし | 40万円 |
| 兄弟姉妹1人のみ | 40万円 | あり | 48万円 |
| 孫1人(代襲相続でない) | 40万円 | あり | 48万円 |
| 配偶者のみ | 40万円 | なし | 0円(税額軽減) |
表の見方:相続税の総額はどのパターンも40万円で同じです。差が出るのは2割加算と配偶者の税額軽減だけで、最大でも48万円にとどまります。
計算ロジック:相続人1人の課税遺産総額は4,000万円-3,600万円=400万円です。400万円に対する税率は10%(控除額0円)なので、相続税の総額は40万円になります。兄弟姉妹と孫はこれに1.2倍を掛けて48万円です。
参照元:国税庁 No.4155 相続税の税率/国税庁 No.4157 相続税額の2割加算
4,000万円で必要な作業は税額の計算ではありません。自分が「相続人1人」に該当するかどうかを判定するだけです。
【該当しない人】相続人が2人以上
配偶者がいる、子が2人以上いる、兄弟姉妹が2人以上いるなど。基礎控除4,200万円以上で課税されないため、この記事では早見表の確認だけで済みます。
【該当する人】相続人が1人だけ
一人っ子で親が1人亡くなっている、子のいない夫婦の二次相続で兄弟姉妹が1人、独身で親も配偶者もおらず甥姪や孫が相続人といったケースです。40万円か48万円の納税が発生します。
【該当するが0円にできる人】
相続人1人でも、生命保険400万円か自宅の土地500万円があれば課税価格が基礎控除以下になります。今から準備できる余地が残っています。
この記事はこの3つの立場を順番に扱います。まず早見表で自分の位置を確認し、該当する場合は0円にする方法へ進んでください。


財産が現金・預貯金のみで特例を使わない前提の一覧です。配偶者がいる構成はすべて0円になります。自分の家族構成の行を確認してください。
配偶者がいる場合、相続人は必ず2人以上になります。基礎控除が4,200万円以上になるため、遺産4,000万円では課税遺産総額が発生しません。
| 家族構成 | 法定相続人 | 基礎控除 | 課税遺産総額 | 納税額 |
|---|---|---|---|---|
| 配偶者+子1人 | 2人 | 4,200万円 | 0円 | 0円 |
| 配偶者+子2人 | 3人 | 4,800万円 | 0円 | 0円 |
| 配偶者+子3人 | 4人 | 5,400万円 | 0円 | 0円 |
| 配偶者+父母1人 | 2人 | 4,200万円 | 0円 | 0円 |
| 配偶者+父母2人 | 3人 | 4,800万円 | 0円 | 0円 |
| 配偶者+兄弟姉妹1人 | 2人 | 4,200万円 | 0円 | 0円 |
| 配偶者のみ | 1人 | 3,600万円 | 400万円 | 0円 |
表の見方:最後の「配偶者のみ」だけは相続人1人なので課税遺産総額400万円が発生します。ただし配偶者の税額軽減により納税額は0円です。
重要ポイント:配偶者のみの場合は0円でも申告が必要です。税額軽減は申告書を提出することが適用の条件だからです。基礎控除以下で0円になる他の行とは扱いが違います。
配偶者の税額軽減の1億6,000万円の上限と適用方法は、下記の記事で解説しています。

配偶者がいない場合は相続人の数がそのまま結論を決めます。2人以上いれば基礎控除4,200万円で0円、1人だけなら課税されます。
| 家族構成 | 法定相続人 | 基礎控除 | 課税遺産総額 | 納税額 |
|---|---|---|---|---|
| 子1人のみ | 1人 | 3,600万円 | 400万円 | 40万円 |
| 子2人のみ | 2人 | 4,200万円 | 0円 | 0円 |
| 子3人のみ | 3人 | 4,800万円 | 0円 | 0円 |
| 父母1人のみ | 1人 | 3,600万円 | 400万円 | 40万円 |
| 兄弟姉妹1人のみ | 1人 | 3,600万円 | 400万円 | 48万円 |
| 兄弟姉妹2人のみ | 2人 | 4,200万円 | 0円 | 0円 |
| 孫1人(代襲相続でない) | 1人 | 3,600万円 | 400万円 | 48万円 |
表の見方:黄色の行が課税されるケースです。同じ相続人1人でも、子と父母は40万円、兄弟姉妹と孫は2割加算があるため48万円になります。
重要ポイント:子2人と子1人の差はわずか1人ですが、基礎控除600万円の差で0円と40万円に分かれます。相続人の数を正確に数えることがこの帯で最も重要な作業です。
計算ロジック:相続人1人の場合、課税遺産総額400万円をその1人が全額取得します。法定相続分に応ずる取得金額400万円に税率10%を掛けて40万円です。兄弟姉妹・孫は40万円×1.2=48万円になります。
相続税額の2割加算は、被相続人から見て一定の関係にない人が財産を取得したときに税額が1.2倍になる制度です。この帯では8万円の差になります。
| 相続人 | 2割加算 | 4,000万円での納税額 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 対象外 | 0円(税額軽減) |
| 子(実子・養子) | 対象外 | 40万円 |
| 父母 | 対象外 | 40万円 |
| 兄弟姉妹 | 対象 | 48万円 |
| 甥・姪 | 対象 | 48万円 |
| 孫(代襲相続の場合) | 対象外 | 40万円 |
| 孫(代襲相続でない) | 対象 | 48万円 |
表の見方:孫は同じ孫でも扱いが分かれます。子がすでに亡くなっていて孫が代わりに相続する代襲相続なら2割加算の対象外ですが、子が生きているのに遺言で孫に渡す場合は対象です。
重要ポイント:子のいない夫婦で配偶者も亡くなっている場合、相続人は兄弟姉妹になります。兄弟姉妹が1人だけなら基礎控除3,600万円と2割加算が重なり、この帯で最も重い48万円になります。
相続人が1人の場合、遺産がいくらから課税されるかを確認します。境界は基礎控除の3,600万円です。
| 遺産総額 | 課税遺産総額 | 子1人(2割加算なし) | 兄弟姉妹1人(2割加算あり) |
|---|---|---|---|
| 3,000万円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 3,600万円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 3,800万円 | 200万円 | 20万円 | 24万円 |
| 4,000万円 | 400万円 | 40万円 | 48万円 |
| 4,500万円 | 900万円 | 90万円 | 108万円 |
| 5,000万円 | 1,400万円 | 160万円 | 192万円 |
| 6,000万円 | 2,400万円 | 310万円 | 372万円 |
表の見方:3,600万円までは0円で、そこから遺産が増えるにつれて税額が上がります。4,000万円から5,000万円で税額が4倍になるのは、課税遺産総額が1,000万円を超えて税率が15%に上がるためです。
重要ポイント:4,000万円は課税が始まってすぐの位置にあります。あと400万円下がれば0円になる距離なので、次の章で扱う対策が効きます。
計算ロジック:いずれも基礎控除3,600万円(相続人1人)を引いた課税遺産総額に税率を適用しています。5,000万円なら1,400万円×15%-50万円=160万円です。
基礎控除を決めるのは実際に相続する人の数ではなく、法定相続人の数です。数え方を間違えると結論が変わるため、次の3点を確認してください。
【相続放棄】放棄があっても人数は減らない
子2人のうち1人が相続放棄しても、基礎控除の計算上は2人として数えます。放棄によって基礎控除が4,200万円から3,600万円に下がることはありません。
【養子】実子がいれば1人まで
養子は基礎控除の計算に含められる数に制限があります。実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は2人までです。
【代襲相続】亡くなった子の子は人数に入る
子が先に亡くなっていて孫が2人いる場合、その孫2人が法定相続人になります。人数が増えるため基礎控除も増えます。
相続放棄で人数が減らないという点は、この帯では特に重要です。子2人のうち1人が放棄して1人が全額相続する場合でも、基礎控除は4,200万円のままなので相続税は0円です。
相続放棄をした場合の基礎控除と使える控除は、下記の記事で解説しています。


相続人が1人で40万円の課税を受ける場合でも、課税価格を400万円下げれば0円になります。4,000万円のうちわずか10%を動かすだけで足りるため、この帯では対策が最も効きます。
方法は2つあり、どちらも4,000万円という金額に対して必要な額が小さいのが特徴です。順番に見ていきます。
死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。相続人1人なら500万円までが課税対象から外れます。
| 生命保険金 | 非課税枠(相続人1人) | 課税価格 | 基礎控除 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 0円(保険なし) | 0円 | 4,000万円 | 3,600万円 | 課税される(40万円) |
| 300万円 | 300万円 | 3,700万円 | 3,600万円 | 課税される(10万円) |
| 400万円 | 400万円 | 3,600万円 | 3,600万円 | 0円 |
| 500万円 | 500万円 | 3,500万円 | 3,600万円 | 0円 |
表の見方:現金4,000万円のうち一部を生命保険に換えた場合の課税価格です。保険金は非課税枠の分だけ課税価格から除かれるため、400万円で基礎控除とちょうど同額になります。
重要ポイント:保険400万円で0円になり、しかも申告も不要になります。課税価格が基礎控除以下になるため、特例を使って0円にする場合とは違って申告書の提出が要りません。
計算ロジック:400万円の保険に入ると、現金3,600万円+保険金400万円=4,000万円のうち保険金400万円が非課税枠に収まります。課税価格は3,600万円で基礎控除3,600万円と同額なので、課税遺産総額は0円です。
注意点は、契約形態によって課税される税目が変わることです。非課税枠が使えるのは「被相続人が保険料を負担し、被相続人が被保険者、相続人が受取人」の契約に限られます。
参照元:国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
生命保険で相続税がかからない範囲は、下記の記事で解説しています。

小規模宅地等の特例を使うと、自宅の土地の評価が80%下がります。評価が下がる分だけ課税価格が減るため、土地を持っていれば0円になる可能性があります。
| 相続人の数 | 基礎控除 | 0円にするために必要な土地の評価額 | 財産4,000万円に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 3,600万円 | 500万円 | 12.5% |
| 2人 | 4,200万円 | 不要(最初から0円) | — |
表の見方:土地500万円に特例を適用すると評価が100万円になり、課税価格が400万円下がります。これで基礎控除3,600万円と同額になるため課税されません。
重要ポイント:必要な土地はわずか500万円分、財産の12.5%です。持ち家がある家庭ならほとんどが該当するため、相続人1人でも実際には課税されないケースが多くなります。
計算ロジック:0円にするには課税価格を400万円下げる必要があります。特例による減額は評価額の80%なので、必要な土地は400万円÷0.8=500万円です。
ただし特例には要件があります。同居していた親族が取得する場合は申告期限まで住み続けることが条件で、別居の親族の場合は持ち家がないことなどの要件を満たす必要があります。
参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
小規模宅地等の特例の4類型の要件と計算方法は、下記の記事で解説しています。

どちらも税額は0円になりますが、申告義務の有無が決定的に違います。この差を知らないと、0円のはずが40万円になります。
| 比較項目 | ①生命保険の非課税枠 | ②自宅の土地の特例 |
|---|---|---|
| 必要な額 | 400万円 | 500万円(評価額) |
| 0円になる仕組み | 課税価格が基礎控除以下になる | 課税価格が基礎控除以下になる |
| 申告の必要 | 不要 | 必要 |
| 今から準備できるか | できる(保険に加入する) | できない(すでに土地があるか否か) |
| 要件の判定 | 契約形態のみ | 同居・持ち家・居住継続など複雑 |
表の見方:①は保険に加入するだけで成立し、申告も不要です。②はすでに土地を持っている人だけが使え、しかも申告書を出さなければ適用されません。
重要ポイント:②で0円にする場合は必ず申告してください。小規模宅地等の特例は申告書の提出が適用条件なので、「0円だから申告不要」と判断すると特例が使えず40万円が発生します。
計算ロジック:①は課税価格そのものが3,600万円になるため基礎控除以下で申告義務が生じません。②は特例を使わない状態の課税価格が4,000万円で基礎控除を超えているため、特例の適用を受けるための申告が必要になります。
ここまでの対策が必要なのは相続人が1人の場合だけです。相続人が2人以上なら何もしなくても0円なので、保険に入る必要も特例を使う必要もありません。
むしろこの帯で気をつけるべきは対策のやりすぎです。相続税を減らす目的だけで不要な保険に加入したり、賃貸物件を購入したりすると、節税額を超えるコストがかかります。
4,000万円でやりすぎになる対策
重要ポイント:この帯の税額は最大でも48万円です。対策にかかるコストが数十万円を超えるなら、そのまま納税したほうが有利になります。まず相続人の数を数え、課税されるかどうかを確認してから検討してください。
生命保険の非課税枠の計算と3つの税目の違いは、下記の記事で解説しています。


相続人が1人で課税される場合の計算手順を確認します。この帯の計算は4ステップで終わり、税率も10%の1段階だけです。
ただし計算そのものより、最初のステップである財産の集計で漏れが起きやすいのが実務上の問題です。順番に見ていきます。
現金・預貯金4,000万円を子1人が相続するケースで、実際の計算を追います。
課税価格を集計する
預貯金・現金・不動産・有価証券・生命保険金(非課税枠を超える部分)・死亡退職金を合計し、債務と葬式費用を引きます。
このケースでは4,000万円です。
⬇
基礎控除を引く
3,000万円+600万円×1人=3,600万円を引きます。
4,000万円-3,600万円=課税遺産総額400万円です。ここが0円以下なら計算は終わりで、申告も不要です。
⬇
相続税の総額を出す
課税遺産総額を法定相続分で分けた金額に税率を掛けます。相続人1人なので400万円を全額取得する計算です。
400万円×10%=相続税の総額40万円になります。
⬇
各人の納税額を出す
実際に取得した割合で総額を按分し、2割加算と税額控除を反映します。
子1人なら加算も控除もないため、納税額はそのまま40万円です。
重要ポイント:STEP2で課税遺産総額が0円になれば、STEP3以降は不要です。相続人が2人以上ならここで計算が終わるため、実質的にSTEP1とSTEP2だけで判定できます。
計算ロジック:法定相続分に応ずる取得金額は千円未満を切り捨てて税率を適用します。このケースは400万円でちょうど区切りがよいため端数は発生しません。各人の納付税額は百円未満を切り捨てます。
参照元:国税庁 No.4152 相続税の計算/国税庁 No.4155 相続税の税率
相続税の計算の7ステップと端数処理は、下記の記事で解説しています。

兄弟姉妹や孫が相続する場合、2割加算はSTEP4で反映します。順番を間違えると税額が変わるため、位置を確認してください。
| ステップ | 子1人のみ | 兄弟姉妹1人のみ |
|---|---|---|
| STEP2 課税遺産総額 | 400万円 | 400万円 |
| STEP3 相続税の総額 | 40万円 | 40万円 |
| STEP4 2割加算 | なし | 40万円×1.2=48万円 |
| STEP4 税額控除 | なし | なし |
| 納税額 | 40万円 | 48万円 |
表の見方:STEP3までは両者に差がありません。差が生じるのはSTEP4の2割加算だけで、金額にすると8万円です。
重要ポイント:2割加算は税額控除より先に計算します。加算してから控除を引く順序で、逆にすると税額が変わります。この帯では控除がないため影響しませんが、他の帯では差が出ます。
この帯で実際に問題になるのは税額の大きさではありません。STEP1の集計を誤り、本当は4,000万円を超えていたと後から判明することです。
相続人が2人以上でも、集計後の課税価格が4,200万円を超えれば課税されます。「4,000万円だから0円」という判断が崩れるのは次の3つのケースです。
【漏れ1】名義預金
子や孫の名義になっている預金でも、実質的に被相続人が管理していたものは相続財産に含まれます。子名義の口座に500万円あれば、課税価格は4,500万円になります。
【漏れ2】生命保険の非課税枠の超過分
相続人2人で保険金2,000万円を受け取った場合、非課税枠は1,000万円です。超過した1,000万円は課税価格に加算されるため、合計5,000万円になります。
【漏れ3】生前贈与の加算
相続開始前の一定期間内に贈与された財産は課税価格に加算されます。加算期間は改正により3年から7年へ段階的に延長されています。
| ケース | 集計後の課税価格 | 相続人2人(基礎控除4,200万円) |
|---|---|---|
| 漏れなし | 4,000万円 | 0円 |
| 名義預金500万円が判明 | 4,500万円 | 30万円 |
| 保険の超過分1,000万円が判明 | 5,000万円 | 80万円 |
| 生前贈与500万円が加算 | 4,500万円 | 30万円 |
表の見方:いずれも「0円だと思っていたら課税されていた」というケースです。金額は数十万円ですが、申告そのものをしていないため無申告加算税と延滞税が加わります。
重要ポイント:遺産が基礎控除に近い金額のときこそ集計を慎重に行ってください。4,000万円と4,200万円の差は5%しかなく、名義預金1件で境界を越えます。
計算ロジック:相続人2人(子2人)で課税価格4,500万円の場合、基礎控除4,200万円を引いた課税遺産総額は300万円です。法定相続分1/2ずつで各150万円、税率10%で各15万円、合計30万円になります。
参照元:国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
みなし相続財産の種類と非課税枠は、下記の記事で解説しています。


4,000万円ではほとんどの家庭が0円になりますが、0円になった理由によって申告義務の有無が分かれます。ここを取り違えると、本来0円だった税額が発生します。
判定の基準は単純です。特例や控除を使わない状態で基礎控除を超えているかどうかで決まります。
課税価格そのものが基礎控除以下なら、申告は不要です。この帯で該当するのは次のケースです。
【不要1】相続人が2人以上(基礎控除4,200万円以上)
課税価格4,000万円が基礎控除を下回るため、そもそも課税されません。申告書を出す必要はありません。
【不要2】生命保険の非課税枠で基礎控除以下になった
相続人1人で保険400万円がある場合、課税価格は3,600万円です。非課税枠は申告なしで適用されるため、申告は不要です。
【不要3】債務・葬式費用を引いて基礎控除以下になった
借入金や葬式費用は課税価格から差し引けます。これで基礎控除以下になった場合も申告は不要です。
これらはいずれも課税価格の段階で基礎控除を下回っているという共通点があります。税額を計算する前に結論が出ているため、申告という手続き自体が発生しません。
一方、特例や控除を使って0円にした場合は申告が必要です。申告書の提出が適用の条件になっているためです。
申告しないと0円にならないもの
この帯で現実的に該当するのは上の2つです。申告書を出さなければ特例が使えず、本来0円だった税額40万円が発生します。
| 0円になった理由 | 申告 | 申告しなかった場合 |
|---|---|---|
| 相続人2人以上で基礎控除以下 | 不要 | 問題なし |
| 生命保険の非課税枠で基礎控除以下 | 不要 | 問題なし |
| 配偶者の税額軽減 | 必要 | 40万円が発生 |
| 小規模宅地等の特例 | 必要 | 40万円が発生 |
表の見方:上2行と下2行はどちらも税額0円ですが、申告義務が正反対です。下2行は申告期限を過ぎると特例が使えなくなります。
重要ポイント:申告期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。この期限内に申告することが特例の適用条件なので、「税額が0円だから急がなくてよい」という判断は成り立ちません。
参照元:国税庁 No.4208 相続財産が分割されていないときの申告/国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減
申告が必要ないケースの判定手順は、下記の記事で解説しています。

自分に申告義務があるかどうかは、次の順番で確認できます。
特例を使わない課税価格を出す
小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減を使わない状態で、財産をすべて合計します。生命保険の非課税枠と債務・葬式費用は先に反映してかまいません。
⬇
基礎控除と比べる
3,000万円+600万円×法定相続人の数を計算し、STEP1の金額と比べます。
下回っていれば申告は不要です。超えていればSTEP3へ進みます。
⬇
申告が必要と判断する
特例を使えば税額が0円になる場合でも、申告は必要です。10ヶ月の期限内に申告書を提出してください。
重要ポイント:判定の分かれ目はSTEP1で「特例を使わない」と決めている点です。特例適用後の金額で基礎控除と比べると、申告が必要なのに不要と誤判定します。
申告が不要な場合でも、税務署から「相続についてのお尋ね」という書類が届くことがあります。これは申告義務があると断定されたものではありません。
【届く理由】
税務署は被相続人の過去の収入や不動産の保有状況を把握しています。一定規模の財産がありそうだと判断された場合に送付されます。
【対応】
財産の内容を記入して返送します。基礎控除以下で申告が不要なら、その旨を記載して提出すれば足ります。
【放置した場合】
返送しなくても罰則はありませんが、税務署の判断材料がないままになります。実際に申告が必要だった場合は後から指摘を受けます。
お尋ねが届いたら、まず自分の課税価格と基礎控除を計算してください。4,000万円で相続人が2人以上なら、基礎控除以下である旨を記載して返送すれば手続きは終わります。

配偶者がいる場合、一次相続はどう分けても0円です。ただし配偶者が取得した財産は将来の二次相続で課税対象になります。
他の金額帯では「配偶者に一定額を渡すのが最適」という結論になりますが、この帯では子の人数によって条件が変わります。順番に確認します。
父が亡くなり母と子1人が相続する場合です。一次相続は基礎控除4,200万円で必ず0円ですが、二次相続では相続人が子1人になるため基礎控除が3,600万円に下がります。
| 母の取得額 | 子の取得額 | 一次相続 | 二次相続 | トータル |
|---|---|---|---|---|
| 0円 | 4,000万円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 1,000万円 | 3,000万円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 2,000万円 | 2,000万円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 3,000万円 | 1,000万円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 3,600万円 | 400万円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 4,000万円(全額) | 0円 | 0円 | 40万円 | 40万円 |
表の見方:母の取得額が3,600万円以下なら、二次相続でも基礎控除の範囲内なので通算0円です。全額を母が取得した場合だけ、二次相続で40万円が発生します。
重要ポイント:母の取得額を3,600万円までに抑えれば通算0円になります。「配偶者に全額」という分け方だけを避ければ足り、細かい調整は不要です。
計算ロジック:二次相続の相続人は子1人で基礎控除3,600万円です。母が4,000万円を取得していれば課税遺産総額400万円、税率10%で40万円になります。母が3,600万円なら課税遺産総額は0円です。
子が2人いる場合は結論が変わります。二次相続の相続人が2人になるため、基礎控除が4,200万円まで上がります。
| 母の取得額 | 一次相続(基礎控除4,800万円) | 二次相続(基礎控除4,200万円) | トータル |
|---|---|---|---|
| 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 2,000万円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 3,600万円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 4,000万円(全額) | 0円 | 0円 | 0円 |
表の見方:どの分け方でも通算0円です。母が全額を取得しても、二次相続の基礎控除4,200万円が遺産4,000万円を上回るため課税されません。
重要ポイント:子が2人以上いれば、二次相続まで含めて税負担はゼロです。分け方は税金ではなく、母の生活資金や不動産の管理といった実務面で決めてかまいません。
4,000万円の結論は、他の金額帯とは前提が異なります。比較すると位置づけがはっきりします。
| 遺産総額 | 配偶者の最適な取得額 | 通算の税負担 |
|---|---|---|
| 4,000万円 | 3,600万円以下なら何でもよい(子1人)/制約なし(子2人) | 0円 |
| 6,000万円 | 4,200万円(二次の基礎控除と同額) | 36万円 |
| 1億円以上 | 二次相続の基礎控除に合わせて調整が必要 | 数百万円以上 |
表の見方:6,000万円以上では「配偶者にいくら渡すか」を金額単位で調整する意味がありますが、4,000万円では調整の余地そのものがありません。
重要ポイント:4,000万円は二次相続対策が不要な最後の帯です。二次相続の記事や税理士のアドバイスは1億円規模を前提にしたものが多いため、この帯にそのまま当てはめる必要はありません。
ここまでの表は母自身に財産がない前提です。母がすでに財産を持っている場合は、その分だけ二次相続の課税価格が増えます。
| 母の固有財産 | 母の取得額の上限(子1人・通算0円) |
|---|---|
| 0円 | 3,600万円 |
| 1,000万円 | 2,600万円 |
| 3,600万円以上 | 0円(渡さないほうがよい) |
表の見方:母の固有財産と一次相続での取得額の合計が3,600万円を超えると、二次相続で課税されます。母に1,000万円の預金があるなら、一次で渡せるのは2,600万円までです。
重要ポイント:母の預金・自宅・保険を先に確認してください。母が自宅を所有している場合、それだけで3,600万円に達することもあります。ただし二次相続でも小規模宅地等の特例が使えるため、実際の評価は下がります。
計算ロジック:二次相続の課税価格は「母の固有財産+一次相続で取得した財産」です。子1人の基礎控除3,600万円以下に収めるには、固有財産1,000万円なら取得額を2,600万円までに抑える必要があります。
二次相続を含めた配偶者への配分の決め方は、下記の記事で解説しています。

一人っ子の場合の税額と二次相続の対策は、下記の記事で解説しています。


この帯で税額を左右するのは基礎控除と生命保険の非課税枠、小規模宅地等の特例の3つです。それ以外の控除はこの規模ではほとんど出番がありません。
使えるものを一覧で確認したうえで、財産構成による違いと、生前にできることの優先順位を見ていきます。
相続税には多くの控除がありますが、4,000万円という規模で実際に効くものは限られます。
| 控除・特例 | 内容 | 4,000万円での効き方 |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 3,000万円+600万円×相続人の数 | これだけで結論が決まる |
| 生命保険の非課税枠 | 500万円×相続人の数 | 400万円で0円になる |
| 小規模宅地等の特例 | 自宅の土地の評価を80%減額 | 土地500万円で0円になる |
| 配偶者の税額軽減 | 1億6,000万円まで非課税 | 配偶者のみが相続人のときに使う |
| 死亡退職金の非課税枠 | 500万円×相続人の数 | 該当すれば保険と同じ効果 |
| 債務控除・葬式費用 | 借入金や葬儀費用を差し引く | 数百万円の減額になる |
| 未成年者控除・障害者控除 | 年齢や障害の程度に応じて控除 | 該当者がいれば税額が0円になる |
| 相次相続控除 | 10年内に相続が続いた場合に控除 | この規模では税額が小さく効果も小さい |
表の見方:黄色の3つがこの帯の主役です。下5つは該当すれば使えますが、税額が最大48万円という規模のため、影響は限定的です。
重要ポイント:未成年者控除は「18歳になるまでの年数×10万円」です。相続人が10歳の孫1人なら控除額80万円で、48万円の税額は0円になります。該当者がいれば必ず確認してください。
参照元:国税庁 No.4164 未成年者の税額控除/国税庁 No.4126 相続財産から控除できる債務
控除と特例の一覧と申告不要になる条件は、下記の記事で解説しています。

相続人が子1人という同じ条件でも、財産の中身によって税額が変わります。現金だけの場合が最も重くなります。
| パターン | 財産の内訳 | 課税価格 | 納税額 |
|---|---|---|---|
| A 現金のみ | 預貯金4,000万円 | 4,000万円 | 40万円 |
| B 自宅+預金 | 自宅の土地500万円(特例で100万円)+建物500万円+預貯金3,000万円 | 3,600万円 | 0円 |
| C 生命保険あり | 預貯金3,500万円+生命保険500万円(非課税枠内) | 3,500万円 | 0円 |
表の見方:3パターンとも財産の総額は4,000万円ですが、評価が下がる資産や非課税になる資産を持っているかで課税価格が変わります。BとCは同じ0円です。
重要ポイント:BとCは同じ0円でも申告の要否が違います。Bは小規模宅地等の特例を使うため申告が必要で、Cは課税価格が基礎控除以下なので申告は不要です。
計算ロジック:Bは土地500万円が特例で100万円に下がるため、課税価格は4,000万円-400万円=3,600万円です。Cは保険金500万円が非課税枠500万円に収まるため3,500万円になります。
家を相続した場合の税額とかからない3つのケースは、下記の記事で解説しています。

相続人が1人で課税される見込みなら、生前にできることがあります。ただし必要なのは400万円分の対策だけで、それ以上は不要です。
【優先1】生命保険への加入
現金の一部を一時払い終身保険などに換えます。400万円で足りるため、負担も小さく確実です。高齢でも加入できる商品があります。
【優先2】自宅の名義と居住状況の確認
自宅がある場合は、小規模宅地等の特例が使える状態かを確認します。誰が同居しているか、相続人が持ち家を持っていないかで要件が変わります。
【優先3】財産の棚卸し
名義預金になりそうな口座や、把握していない保険がないかを確認します。集計漏れで4,000万円を超えるリスクを先に消しておきます。
【不要】暦年贈与・法人化・賃貸物件の購入
税額が40万円の規模では、これらの対策にかかるコストが節税額を上回ります。この帯では検討する必要がありません。
重要ポイント:優先1と2はどちらか一方が成立すれば0円になります。両方をやる必要はありません。自宅を持っているなら優先2を確認するだけで済むこともあります。
生命保険への加入は年齢と健康状態によって選べる商品が変わります。時期による違いを確認してください。
| 時期 | できること | 注意点 |
|---|---|---|
| 60代まで | 保険の選択肢が広い。健康状態の告知も通りやすい | 4,000万円規模では急ぐ必要はない |
| 70代 | 一時払い終身保険なら加入できる商品が多い | 告知が必要な商品は選べなくなる場合がある |
| 80代以降 | 告知なしまたは簡易な告知の商品に限られる | 選択肢が狭まるため早めの確認が有利 |
| 相続開始後 | 保険への加入はできない | 小規模宅地等の特例と債務控除のみ |
表の見方:相続が始まってからできるのは特例の適用と債務控除だけです。生命保険の非課税枠を使うには生前の加入が必要です。
重要ポイント:この帯で急ぐ必要があるのは相続人が1人の場合だけです。2人以上なら何もしなくても0円なので、時期を気にする必要はありません。
土地を相続しても相続税がかからないケースは、下記の記事で解説しています。


4,000万円の位置を理解するには、前後の金額帯と並べるのがわかりやすいです。1,000万円違うだけで「0円にする条件」がまったく変わります。
遺産額ごとに何が結論を決めるのかを確認します。
相続人が子のみ(配偶者なし)の場合、相続税の総額は次のように変わります。
| 遺産総額 | 相続人1人 | 相続人2人 | 相続人3人 | その帯の論点 |
|---|---|---|---|---|
| 3,000万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 必ず0円(基礎控除3,600万円>遺産) |
| 4,000万円 | 40万円 | 0円 | 0円 | 相続人1人のときだけ課税 |
| 5,000万円 | 160万円 | 80万円 | 19万9,800円 | 相続人の数で0円にも160万円にも |
| 6,000万円 | 310万円 | 180万円 | 120万円 | 生命保険1,500万円だけで0円 |
表の見方:相続税の総額(2割加算・税額控除の前)です。3,000万円はどの構成でも0円、5,000万円以上は相続人が何人いても課税されます。0円と課税が混在するのは4,000万円だけです。
重要ポイント:4,000万円は「人数を数えるだけで結論が出る最後の帯」です。5,000万円になると人数だけでは0円にならず、特例や保険による対策が必要になります。
計算ロジック:5,000万円・相続人3人は基礎控除4,800万円を引いた課税遺産総額200万円を法定相続分1/3ずつで分けます。1人あたり66万6,000円(千円未満切捨て)に税率10%を掛けて6万6,600円、3人で19万9,800円です。
遺産3,000万円のときの税額と0円になる帯は、下記の記事で解説しています。

3,000万円は相続人が1人でも0円です。基礎控除の最低額3,600万円が遺産を上回るためです。
| 比較項目 | 3,000万円 | 4,000万円 |
|---|---|---|
| 相続人1人 | 0円 | 40万円 |
| 相続人2人以上 | 0円 | 0円 |
| 必要な対策 | なし | 相続人1人なら保険400万円 |
| 申告の可能性 | 基本的にない | 相続人1人なら必要 |
表の見方:差が出るのは相続人1人の行だけです。遺産が3,600万円を超えた瞬間に、相続人1人の家庭だけが申告義務を負います。
5,000万円になると、相続人が3人いても課税されます。基礎控除4,800万円が遺産を下回るためです。
| 比較項目 | 4,000万円 | 5,000万円 |
|---|---|---|
| 人数だけで0円になるか | 2人以上でなる | 5人必要(基礎控除6,000万円) |
| 0円にするために必要な保険 | 400万円(相続人1人) | 1,400万円(相続人1人) |
| 0円にする難易度 | 低い | 対策が必要 |
表の見方:4,000万円で必要な対策は400万円分ですが、5,000万円では1,400万円分が必要になります。遺産が1,000万円増えると、必要な対策額は3.5倍になります。
重要ポイント:財産が5,000万円に近づいてきたら、対策の位置づけが変わります。4,000万円では「相続人1人のときだけ考える」ものが、5,000万円では「全員が考える」ものになります。
計算ロジック:5,000万円・相続人1人で0円にするには課税価格を基礎控除3,600万円まで下げる必要があります。必要な減額は1,400万円ですが、非課税枠は500万円が上限なので保険だけでは足りません。
遺産5,000万円のときの税額と0円になる境界は、下記の記事で解説しています。

遺産6,000万円のときの税額と生命保険で0円にできる帯は、下記の記事で解説しています。


この帯の失敗は税額の大きさではなく、判定を誤ったことによる手続きの失敗に集中します。実際に起きやすい3つの事例を挙げます。
いずれも数十万円の負担ですが、事前に確認しておけば避けられるものです。
一人っ子で父の遺産が現金4,000万円だったケースです。相続人は子1人だけなので基礎控除は3,600万円、課税遺産総額400万円で40万円の納税になりました。
父が生前に400万円の一時払い終身保険に加入していれば、課税価格は3,600万円で0円でした。加入手続きだけで済む対策だったにもかかわらず、相続人が1人だと基礎控除が下がるという点を知らなかったために発生した負担です。
対策:相続人が1人になる見込みなら、生前に400万円分の生命保険に加入しておきます。相続開始後にはこの対策は取れません。
子2人が相続人で、遺産は現金4,000万円と聞いていたケースです。基礎控除4,200万円を下回るため申告は不要と判断しました。
ところが後の税務調査で、長男名義の口座にあった500万円が名義預金と判断されました。課税価格は4,500万円になり、本来30万円の相続税が必要でした。申告していなかったため無申告加算税と延滞税も加わりました。
対策:遺産が基礎控除に近い金額のときは、子や孫の名義の口座も含めて棚卸しします。通帳の入金元と印鑑の管理者を確認すれば判定できます。
子1人が自宅(土地500万円・建物500万円)と預金3,000万円を相続したケースです。小規模宅地等の特例を使えば課税価格3,600万円で0円になると自分で計算し、申告しませんでした。
しかし小規模宅地等の特例は申告書の提出が適用条件です。申告期限の10ヶ月を過ぎたため特例が使えず、課税価格4,000万円で40万円の納税が確定しました。
対策:特例を使って0円になる場合は必ず期限内に申告してください。特例を使わない状態で基礎控除を超えるなら申告が必要、という判定手順を守れば防げます。
4,000万円の相続で確認すべき項目です。相続開始前でも後でも使えます。
確認項目
重要ポイント:最初の項目だけで結論が出ることが多いです。相続人が2人以上で財産の集計にも漏れがなければ、この帯では何もする必要がありません。残りの項目は相続人1人の場合と、集計に不安がある場合の確認用です。
参照元:国税庁 No.4205 相続税の申告と納税/国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
名義預金と判定される基準と税額への影響は、下記の記事で解説しています。


4,000万円の相続で税理士に相談する目的は、税額を減らすことではありません。「申告が必要かどうか」の判定を間違えないことです。
この帯の税額は最大48万円なので、依頼が必要ないケースも多くあります。まず判定だけを相談し、必要と分かってから依頼を決めるのが合理的です。
相続税の申告を扱う税理士は多くありません。法人税や所得税を主に扱う事務所では、小規模宅地等の特例の要件判定に慣れていないことがあります。
この帯で実績が問われる場面
実際の金額差で見ると次のようになります。子1人が自宅(土地500万円・建物500万円)と預金3,000万円を相続したケースです。
| 対応 | 小規模宅地等の特例 | 課税価格 | 納税額 |
|---|---|---|---|
| 特例の適用を検討せず申告 | 適用なし | 4,000万円 | 40万円 |
| 特例を適用して申告 | 適用(土地500万円→100万円) | 3,600万円 | 0円 |
表の見方:同じ財産でも特例を適用するかどうかで40万円の差が出ます。この差額40万円は税理士報酬とほぼ同額です。
重要ポイント:この帯では「税理士に頼めば大きく得をする」という構図にはなりません。だからこそ最初に確認すべきは「そもそも申告が必要か」です。不要なら依頼も不要です。
見積りを比較するときは金額だけを見るのではなく、次の3つで実務力を判定できます。
判定ポイント1:「申告が必要かどうか」を先に判定してくれるか。A税理士は財産の概要を聞いた時点で「基礎控除以下なので申告不要です」と伝え、B税理士は判定せずに申告一式の見積りを出しました。→ A税理士の方が、この規模の案件の経験が豊富と判定できます。
判定ポイント2:小規模宅地等の特例の要件を具体的に確認してくるか。A税理士は「同居しているか」「相続人に持ち家があるか」を最初に質問し、B税理士は土地の評価額だけを聞きました。→ A税理士の方が、特例の適用判定の実務経験が豊富と判定できます。
判定ポイント3:名義預金の確認を見積りに含めているか。A税理士は「子や孫の名義の口座も確認します」と明記し、B税理士は被相続人名義の財産のみを対象としていました。→ A税理士の方が、税務調査を見据えた申告の経験が豊富と判定できます。
報酬の目安は4,000万円規模なら15万〜25万円です。税額が40万円の案件では報酬との釣り合いが問題になるため、この点も含めて相談してください。
自分で判定して進めた場合に起きうることを整理します。この帯では税額そのものより手続きの失敗が問題になります。
相談しないまま進めた場合のリスク
これらはいずれも申告期限までに判定を済ませていれば避けられます。判定だけなら初回相談の範囲で済むことが多いため、まず相談してください。
複数の税理士に同時に相談する場合の流れです。
相続の概要を整理する
被相続人の資産内容(預貯金・不動産・保険)、資産額の概算、相続人の構成と人数、年齢、遺言の有無を整理します。
この帯では相続人が何人かを正確に数えることが最も重要です。
⬇
一括見積り・相談サービスに依頼する
「相続税申告が必要かどうかの判定」「相続税申告」「小規模宅地等の特例の適用判定」など希望内容を明記し、相続税の対応実績がある税理士3〜5社への同時打診を依頼します。
不動産がある場合は所在地と広さを記載してください。「財産の種類」「相続人の人数」を正確に伝えると見積りの精度が上がります。フォーム記入は5分程度です。
⬇
見積りと初回相談を受ける
各税理士から「提案内容」「試算相続税額」「報酬額」が記載された見積りが届きます。気になる事務所と初回相談を行ってください。
この段階で「申告不要」と判定されれば依頼そのものが不要になります。
⬇
税理士を選定・正式依頼する
「提案内容の質」「説明の丁寧さ」「報酬の納得性」で最適な事務所を選びます。
申告が必要な場合は、相続開始から7ヶ月以内に決定してください。申告期限10ヶ月に対して作業期間を確保できます。
重要ポイント:この帯ではSTEP3で終わることも珍しくありません。相続人が2人以上で財産の集計に漏れがなければ、申告そのものが不要だからです。
税理士の無料相談を含む7つの窓口の使い分けは、下記の記事で解説しています。

税理士費用の相場と費用を抑える方法は、下記の記事で解説しています。

相続人が2人以上なら0円です。基礎控除が4,200万円以上になり、遺産4,000万円を上回るためです。
課税されるのは相続人が1人しかいない場合だけです。税額は子1人または父母1人なら40万円、兄弟姉妹1人または代襲相続でない孫1人なら2割加算により48万円になります。
配偶者のみが相続人の場合は相続税の総額40万円が計算されますが、税額軽減により納税額は0円です。配偶者がいれば相続人は必ず2人以上になるため、配偶者がいる家庭では課税されません。
基礎控除が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されるためです。相続人が1人だと3,600万円、2人だと4,200万円になります。
遺産4,000万円はこの2つの間にあるため、相続人が1人のときだけ基礎控除を超えます。課税遺産総額は400万円で、税率10%を掛けて相続税の総額は40万円です。
相続人が1人になるのは、一人っ子で親の一方がすでに亡くなっている場合、子のいない夫婦の二次相続で兄弟姉妹が1人だけの場合、独身で甥姪や孫が相続人になる場合などです。
できます。方法は2つあり、どちらも必要な額が小さいのが4,000万円という金額帯の特徴です。
1つ目は生命保険で、非課税枠は500万円×相続人の数なので相続人1人なら500万円までが課税対象から外れます。現金の一部を400万円分の保険に換えるだけで課税価格が3,600万円になり、課税されません。
2つ目は自宅の土地で、小規模宅地等の特例により評価が80%下がります。土地が500万円分、つまり財産の12.5%あれば課税価格が3,600万円まで下がるため、持ち家がある家庭はこちらで該当します。
0円になった理由によって変わります。相続人が2人以上で課税価格が基礎控除を下回る場合や、生命保険の非課税枠で下回った場合は申告不要です。
一方、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使って0円にした場合は、申告書の提出が適用の条件です。申告しなければ特例が使えず、本来0円だった40万円が発生します。
判定するときは、特例を使わない状態の課税価格が基礎控除を超えるかどうかで判断してください。申告期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内で、期限を過ぎると特例が使えなくなります。
財産が現金・預貯金だけで相続人の間に争いがなければ、自分で申告することも可能です。この帯の税額は40万円程度で、税率も10%の1段階だけなので計算は複雑ではありません。
ただし自宅の土地がある場合は、路線価による評価と小規模宅地等の特例の要件判定が必要です。判定を誤ると0円のはずが40万円になります。
また遺産が基礎控除に近い金額のため、名義預金が1件見つかるだけで課税の有無が変わります。税理士報酬は4,000万円規模なら15万〜25万円が目安です。
まず「申告が必要かどうか」だけを相談し、必要と分かってから依頼を決めるのが合理的です。
4,000万円の相続税は、相続人の数を数えるだけで結論が出ます。2人以上なら基礎控除4,200万円が遺産を上回るため必ず0円で、配偶者がいれば必ず2人以上になります。
課税されるのは相続人が1人しかいない場合だけです。その場合でも生命保険400万円か自宅の土地500万円があれば0円になるため、対策の余地が大きく残っている金額帯です。
この記事で扱った内容を整理すると次のとおりです。
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年8月時点の法令等に基づいています。相続税法の改正により内容が変更される場合があります。最新の制度については国税庁のウェブサイトまたは税理士にご確認ください。