会社員や経営者が在職中に亡くなった場合、会社から遺族に支払われる「死亡退職金」は相続税の対象になります。
現金や不動産と同じく相続財産として申告が必要ですが、一定の非課税枠が設けられているため、正しく計算することで相続税の負担を大幅に減らせます。
また退職金には種類があり、一般の死亡退職金のほか、役員退職金・iDeCo・企業年金では課税ルールが異なります。
この記事では、死亡退職金の非課税枠の計算方法から種類別の課税ルール、弔慰金との区別、5パターンのケース別シミュレーション、役員退職金を活用した節税対策まで、順序立てて解説します。
申告期限(相続発生を知った翌日から10か月)は短いため、早めに全体像を把握しておくことが重要です。
▼ この記事の3行まとめ
- 死亡退職金は「みなし相続財産」として相続税の対象になるが、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、生命保険の非課税枠と別に活用できる
- 退職金の種類(一般退職金・役員退職金・iDeCo・企業年金)によって課税ルールが異なり、特に中小企業オーナーの役員退職金は法人税と相続税を同時に節税できる強力な対策になる
- 弔慰金は一定額まで非課税だが上限を超えると退職金扱いになるため、金額の認定を含めた申告ミスを防ぐには専門家への相談が重要
退職金と相続税の基本|死亡退職金はみなし相続財産になる

退職金は本来、在職中に積み立てられた労働の対価であり、被相続人が生前に受け取るものです。
しかし在職中に亡くなった場合に会社から遺族に支払われる「死亡退職金」は、被相続人が直接受け取るものではないにもかかわらず、相続税の計算上は「みなし相続財産」として課税対象になります。
みなし相続財産とは何か|通常の相続財産との違い
「みなし相続財産」とは、民法上の相続財産(被相続人が亡くなった時点で所有していた財産)ではないものの、相続税法上は相続または遺贈により取得したものとみなして課税される財産です。死亡退職金のほかに、死亡保険金もみなし相続財産の代表例です。
| 財産の種類 | 民法上の相続財産か | 相続税の対象か | 非課税枠 |
|---|---|---|---|
| 現金・預貯金・不動産など | はい(本来の相続財産) | はい | 基礎控除のみ |
| 死亡退職金 | いいえ(みなし相続財産) | はい | 500万円×法定相続人数 |
| 死亡保険金 | いいえ(みなし相続財産) | はい | 500万円×法定相続人数 |
| 香典・見舞金 | いいえ | 原則いいえ | — |
みなし相続財産は「受取人固有の財産」として扱われるため、遺産分割の対象にはなりません。つまり相続人全員で分け方を話し合う必要はなく、会社が定めた規程や受取人の指定に従って特定の遺族に支払われます。
死亡退職金は遺産分割の対象外ですが、相続税の計算には含まれます。「相続に入らないから申告不要」という誤解が申告漏れの原因になるため注意が必要です。
死亡退職金が相続税の対象になる条件(3年ルール)
死亡退職金が相続税の対象(みなし相続財産)になるのは、「被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの」に限られます。この「3年ルール」が重要なポイントです。
参照元:国税庁 No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金
| 支給確定のタイミング | 課税の区分 | 申告先 |
|---|---|---|
| 死亡後3年以内に支給確定 | みなし相続財産→相続税の対象 | 相続税申告書(第10表) |
| 死亡後3年を超えて支給確定 | 受取人の一時所得→所得税の対象 | 受取人の確定申告 |
「支給が確定した日」とは、会社が死亡退職金の支給を内部決定した日(役員会・取締役会の決議日など)であり、実際に支払われた日ではありません。亡くなった後に会社の規程改定や遺族との協議に時間がかかり、3年を超えてしまうケースでは課税の種類が変わります。
会社の退職金規程に「死亡退職金は相続発生後〇か月以内に支給する」などの規定がある場合、その確定日を正確に把握することが申告上重要です。
死亡退職金の受取人|相続人と相続人以外の違い
死亡退職金の受取人は、会社の退職金規程または就業規則に定められた者が対象です。多くの会社では「配偶者・子・父母・兄弟姉妹」などを受取人の順位として規定しています。
受取人が相続人かどうかによって、非課税枠の適用に違いがあります。
| 受取人の区分 | 非課税枠の適用 | 備考 |
|---|---|---|
| 相続人(配偶者・子など) | 適用あり(500万円×法定相続人数を按分) | 相続税の申告が必要 |
| 相続人以外(内縁の配偶者・兄弟など法定外) | 適用なし(全額が課税対象) | 全額を課税財産として申告 |
| 相続放棄した相続人 | 受け取れるが非課税枠の計算外 | 全額が課税対象(非課税枠は使えない) |
相続人以外の者(内縁の配偶者など)が受け取った死亡退職金は、非課税枠が使えない上に2割加算の対象になります。また相続放棄をした人が退職金を受け取った場合は、退職金全額が相続税の課税対象になります(非課税枠を適用できない)。
会社の退職金規程に内縁の配偶者が受取人として指定されていた場合、非課税枠が使えないため相続税の負担が大きくなります。受取人の設定は生前に確認・見直しをすることが重要です。
死亡退職金の非課税枠|500万円×法定相続人の数

死亡退職金には、相続税法で定められた非課税枠があります。非課税枠を超えた部分のみが相続税の課税対象となるため、この枠を正確に把握することが節税の基本です。
非課税枠の計算式と適用範囲
死亡退職金の非課税限度額は以下の計算式で求めます。
非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数
法定相続人の数の数え方には注意が必要です。相続放棄した人がいても法定相続人の数に含めます。また養子は実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで含めます。
| 法定相続人の数 | 非課税限度額 | 例:死亡退職金3,000万円の場合の課税額 |
|---|---|---|
| 1人 | 500万円 | 3,000万円 − 500万円 = 2,500万円が課税 |
| 2人 | 1,000万円 | 3,000万円 − 1,000万円 = 2,000万円が課税 |
| 3人 | 1,500万円 | 3,000万円 − 1,500万円 = 1,500万円が課税 |
| 4人 | 2,000万円 | 3,000万円 − 2,000万円 = 1,000万円が課税 |
| 5人 | 2,500万円 | 3,000万円 − 2,500万円 = 500万円が課税 |
複数の相続人が死亡退職金を受け取る場合は、各自の受取額の合計が非課税限度額を超えるかどうかで課税対象額を計算します。超えた部分を各自の受取割合で按分して、各人の課税対象額を算出します。
非課税枠は受取人が相続人の場合にのみ適用されます。相続人以外が受け取った退職金は全額が課税対象になるため、受取人の設定に注意してください。
生命保険の非課税枠との違いと組み合わせ方
死亡退職金の非課税枠(500万円×法定相続人数)と、死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人数)は、それぞれ独立した別枠として使えます。つまり両方を合わせると最大「1,000万円×法定相続人数」の非課税枠を活用できます。
| 非課税枠の種類 | 計算式 | 法定相続人3人の場合の非課税額 |
|---|---|---|
| 死亡退職金の非課税枠 | 500万円 × 法定相続人数 | 1,500万円 |
| 死亡保険金の非課税枠 | 500万円 × 法定相続人数 | 1,500万円 |
| 合計(両方活用した場合) | 1,000万円 × 法定相続人数 | 3,000万円 |
たとえば法定相続人が配偶者・子2人の計3人の場合、死亡退職金1,500万円+死亡保険金1,500万円 = 合計3,000万円まで相続税がかかりません。この組み合わせは節税効果が大きく、生前対策として非常に有効です。
生命保険と死亡退職金は非課税枠を別々に使えます。生命保険に加入しながら退職金制度を整備することで、合計非課税枠を最大化できます。
相続放棄した人がいる場合の非課税枠の計算
相続放棄をした相続人がいる場合の非課税枠の取り扱いには、2つの重要なポイントがあります。
ポイント1:非課税枠の「法定相続人の数」には相続放棄した人も含む
基礎控除の計算と同様に、非課税限度額を求める際の「法定相続人の数」には相続放棄した人も含めてカウントします。法定相続人が3人で1人が相続放棄しても、非課税限度額は「500万円 × 3人 = 1,500万円」のままです。
ポイント2:相続放棄した人が受け取った退職金には非課税枠を適用できない
一方、相続放棄をした本人が死亡退職金を受け取った場合、その金額には非課税枠が適用されません。受け取った退職金の全額が課税対象になります。
| 状況 | 非課税枠の計算(法定相続人数) | 相続放棄した人への適用 |
|---|---|---|
| 法定相続人3人のうち1人が放棄 | 500万円 × 3人 = 1,500万円(変わらない) | 放棄した人が受け取った分は全額課税 |
| 放棄しなかった2人が受け取った場合 | 非課税枠1,500万円を按分して適用 | — |
相続放棄をしても死亡退職金自体は受け取ることができます。ただし受け取った金額に非課税枠が適用されないため、相続放棄を検討している場合は退職金の受け取りとの兼ね合いを事前に税理士に確認してください。
退職金の種類別|相続税の課税ルールの違い

「退職金」と一口にいっても、その種類によって相続税の課税ルールが異なります。一般の会社員の死亡退職金、中小企業オーナーの役員退職金、iDeCo・確定拠出年金、確定給付企業年金では、それぞれ異なる取り扱いになります。自分に該当する種類を確認しましょう。
勤務先からの死亡退職金(一般の会社員)
一般の会社員が在職中に亡くなった場合、会社の退職金規程に基づいて遺族に支払われる死亡退職金は、上述の通りみなし相続財産として相続税の対象になります。非課税枠(500万円×法定相続人数)を超えた部分が課税対象です。
会社の退職金制度には「退職一時金型」と「退職年金型」があります。
| 退職金の受取形態 | 相続税の扱い | 備考 |
|---|---|---|
| 一時金(一括払い) | みなし相続財産。非課税枠適用後の超過部分が課税 | 最も一般的な形式 |
| 年金(分割払い) | 年金受給権として相続財産に計上(定期金に関する権利の評価) | 将来受け取る年金の現在価値で評価 |
年金形式で受け取る場合は、一時金として評価するのではなく「定期金に関する権利」として評価し直す計算が必要です。一般に将来受け取る予定の年金総額を現在価値に換算した金額が相続財産になります。
死亡退職金を年金形式で受け取る場合は、一時金と比べて評価方法が複雑になります。どちらの形式で受け取るかは、相続税の負担を事前に比較して決めることをお勧めします。
中小企業オーナーの役員退職金(死亡退職金)
中小企業の代表取締役や役員が亡くなった場合に、会社から遺族に支払われる「役員退職金(死亡退職金)」は、一般の死亡退職金と同様にみなし相続財産として相続税の対象になります。しかし、役員退職金には会社経営側から見た大きな節税メリットがあります。
節税効果1:損金算入による法人税の節税
適正な役員退職金は会社の損金(費用)として計上でき、その分だけ法人税が減ります。役員退職金を支払うことで会社の財産が減少し、残された株式の評価額(相続税評価額)も下がるため、株式を相続した際の相続税も軽減されます。
節税効果2:死亡退職金の非課税枠の活用
遺族が受け取る役員退職金は「500万円×法定相続人数」の非課税枠が使えます。
| 節税の効果 | 内容 | 規模感 |
|---|---|---|
| 法人税の節税 | 役員退職金の損金算入で課税所得が減少 | 退職金額 × 実効税率(約30〜34%) |
| 株式評価額の引き下げ | 会社の純資産が減少→株式の相続税評価額が下がる | 引き下げ額 × 株式の相続税率 |
| 非課税枠の活用 | 500万円×法定相続人数が非課税 | 法定相続人3人なら1,500万円非課税 |
ただし、過大な役員退職金は「不相当に高額」として損金不算入になるリスクがあります。適正な金額の目安は「最終月額報酬 × 勤続年数 × 功績倍率(2〜3倍程度)」といわれていますが、会社の規模・業種・役員の貢献度によって異なります。
役員退職金は適正額の範囲で設定することが重要です。過大な退職金は税務調査で損金不算入と判定されるリスクがあるため、必ず税理士に金額の妥当性を確認してもらうことが必要です。
確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の相続時の取り扱い
iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入している人が亡くなった場合、積み立てた資産は「死亡一時金」として遺族に支払われます。この死亡一時金は「退職手当金等」として相続税の対象になります。
非課税枠(500万円×法定相続人数)の適用を受けられるため、他の死亡退職金と合算した上で計算します。
| 確認事項 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 受取人の指定 | iDeCoは「死亡一時金受取人」を別途指定可能 | 指定がない場合は民法の規定に従う |
| 課税区分 | 相続税(みなし相続財産) | 非課税枠が適用される |
| 評価額 | 死亡日時点の積立残高 | 運用実績により変動する |
| 受取期限 | 死亡の翌月から5年以内に請求しないと国庫帰属 | 期限管理が必要 |
iDeCoの死亡一時金は、死亡の翌月から5年以内に請求しないと国庫に帰属してしまいます。被相続人がiDeCoに加入していた場合は、できるだけ早く運営管理機関(金融機関)に連絡してください。
確定給付企業年金の相続税評価
確定給付企業年金(DBP:Defined Benefit Plan)に加入している人が亡くなった場合、遺族が受け取る一時金または年金は相続財産として評価されます。
- 一時金で受け取る場合:退職手当金等として死亡退職金と同様に扱い、非課税枠を適用
- 年金で受け取る場合:残存期間の年金現価(将来受け取る年金を現在価値に換算した金額)が相続財産
年金現価の計算は複雑で、年金の受取期間・受取金額・国税庁が定める基準年利率を用いて算出します。iDeCoと異なり、会社が年金基金を運用しているため、積立額がそのまま相続財産になるわけではありません。
弔慰金と退職金の区別|非課税になる金額の上限

被相続人の遺族は、会社から死亡退職金とは別に「弔慰金(ちょういきん)」を受け取ることがあります。弔慰金は原則として相続税がかかりませんが、一定の金額を超えると死亡退職金として扱われ課税対象になります。この区別を正確に理解することが重要です。
業務上の死亡|給与の3年分(36か月分)まで非課税
被相続人が業務上の事故・職業病・過労などによって死亡した「業務上の死亡」の場合、弔慰金の非課税限度額は以下の通りです。
業務上の死亡の場合の非課税限度額 = 被相続人の死亡当時の普通給与 × 36か月分
「普通給与」とは、死亡当時に受けていた月額給与(基本給・手当などを含む通常の月額報酬)です。
計算例:月額給与50万円の人が業務上の事故で死亡した場合
- 非課税限度額:50万円 × 36か月 = 1,800万円まで非課税
- 弔慰金が2,000万円支払われた場合、超過分200万円が死亡退職金として課税対象になる
業務上の死亡かどうかの判断は、労働災害認定の有無や死亡原因と業務との因果関係を確認して行います。曖昧な場合は税務調査で問題になる可能性があるため、税理士に判断を仰ぐことが必要です。
業務外の死亡|給与の6か月分まで非課税
業務とは無関係の病気や私的な事故などによって死亡した「業務外の死亡」の場合、弔慰金の非課税限度額は以下の通りです。
業務外の死亡の場合の非課税限度額 = 被相続人の死亡当時の普通給与 × 6か月分
計算例:月額給与50万円の人が病気で死亡した場合
- 非課税限度額:50万円 × 6か月 = 300万円まで非課税
- 弔慰金が500万円支払われた場合、超過分200万円が死亡退職金として課税対象になる
| 死亡の種類 | 非課税限度額 | 超過部分の扱い |
|---|---|---|
| 業務上の死亡 | 月額給与 × 36か月 | 超過分は死亡退職金として相続税の対象 |
| 業務外の死亡 | 月額給与 × 6か月 | 超過分は死亡退職金として相続税の対象 |
業務外の死亡の場合、弔慰金の非課税枠は月額給与の6か月分しかありません。弔慰金の名目で高額な金銭を受け取った場合は、超過部分を死亡退職金として相続税の申告に含める必要があります。
弔慰金の上限を超えた場合の取り扱い
弔慰金が非課税限度額を超えた場合の計算手順は以下の通りです。
- 弔慰金の総額から非課税限度額を差し引く
- 差し引いた超過部分を「死亡退職金」として相続税の申告に含める
- その上で死亡退職金の非課税枠(500万円×法定相続人数)を適用して課税額を計算する
弔慰金と死亡退職金が同時に支払われる場合は、まず弔慰金の非課税範囲を確認し、超過部分を死亡退職金に加算してから退職金の非課税枠を計算します。
弔慰金の名目で支払われる金銭が実質的に退職金であると税務署が判断した場合、全額を退職金として課税されるリスクがあります。弔慰金の金額設定は非課税限度額内に収めることをお勧めします。
相続税計算3ステップ|死亡退職金がある場合

死亡退職金の評価額が確定したら、相続税全体の計算に進みます。死亡退職金がある場合の相続税計算の流れを3つのステップで確認しましょう。
STEP1|課税対象となる死亡退職金の金額を算出する
まず、受け取った死亡退職金(および非課税限度額を超えた弔慰金)から非課税限度額を差し引きます。
課税対象額 = 受け取った死亡退職金の合計額 − 非課税限度額(500万円 × 法定相続人の数)
複数の相続人が死亡退職金を受け取っている場合は、各人の受取額を合計してから非課税限度額を差し引き、超過額を各人の受取割合で按分します。
| 受取人 | 受取額 | 受取割合 | 按分後の課税額(超過500万円を按分) |
|---|---|---|---|
| 配偶者 | 3,000万円 | 60% | 500万円 × 60% = 300万円 |
| 子A | 1,000万円 | 20% | 500万円 × 20% = 100万円 |
| 子B | 1,000万円 | 20% | 500万円 × 20% = 100万円 |
| 合計 | 5,000万円 | 100% | 500万円(非課税枠3人分1,500万円超過分) |
複数の相続人が異なる金額を受け取る場合、超過額の按分計算が複雑になります。計算を誤ると過少申告になるため、税理士に確認することをお勧めします。
STEP2|基礎控除を差し引いて課税遺産総額を求める
STEP1で求めた課税対象の死亡退職金を、その他の相続財産(現金・不動産・生命保険等)と合算し、基礎控除を差し引きます。
基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
課税遺産総額 =(プラスの財産 + みなし相続財産 − 非課税額 − 債務 − 葬式費用)− 基礎控除
死亡退職金の非課税枠を使い忘れて全額を相続財産に計上するミスが起きやすいポイントです。必ず非課税額を差し引いた後の金額を相続財産に計上してください。
STEP3|税率を掛けて各人の相続税額を確定する
課税遺産総額を法定相続分で按分し、速算表の税率を掛けて相続税の総額を計算します。その後、実際の遺産取得割合で按分して各人の相続税額を確定します。
| 法定相続分に応じた取得額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | — |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
死亡退職金は受取人の固有財産ですが、相続税の計算では遺産取得額に含めて按分します。申告書の第10表と第11表の記載が連動しているため、正確な記入が必要です。
ケース別シミュレーション5パターン|退職金の相続税額を試算

退職金の種類・金額・家族構成によって相続税額は大きく変わります。5つのパターンで実際の税額を試算します。なお、試算はすべて特例なし・控除適用前の概算です。
パターン1|死亡退職金2,000万円・相続人3人のケース
前提条件
- 被相続人:父(会社員)
- 相続人:配偶者(母)・長男・次男(合計3人)
- 死亡退職金:2,000万円(配偶者が全額受取)
- 他の財産:預貯金3,000万円 / 合計5,000万円(退職金込み)
計算の流れ
- 非課税限度額:500万円 × 3人 = 1,500万円
- 退職金の課税対象額:2,000万円 − 1,500万円 = 500万円
- 相続財産の総額:500万円(課税部分)+ 3,000万円 = 3,500万円
- 基礎控除:3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
- 課税遺産総額:3,500万円 − 4,800万円 = 0円(課税なし)
非課税枠の活用により相続税がゼロになりました。もし非課税枠を使わず退職金2,000万円を全額計上した場合は課税遺産総額が1,200万円となり、相続税が発生します。非課税枠の適用漏れがいかに損をするかが分かります。
パターン2|弔慰金と退職金が混在するケース
前提条件
- 被相続人:父(会社員・月額給与40万円・業務外の死亡)
- 相続人:配偶者・子1人(合計2人)
- 受取額:弔慰金500万円 + 死亡退職金1,000万円 = 合計1,500万円
- 他の財産:預貯金2,000万円
弔慰金の非課税枠を確認
- 業務外死亡の非課税限度額:40万円 × 6か月 = 240万円
- 弔慰金の課税対象:500万円 − 240万円 = 260万円(死亡退職金として扱われる)
死亡退職金の計算
- 死亡退職金の合計:1,000万円 + 260万円(弔慰金超過分)= 1,260万円
- 非課税限度額:500万円 × 2人 = 1,000万円
- 退職金の課税対象:1,260万円 − 1,000万円 = 260万円
- 相続財産の総額:260万円 + 2,000万円 = 2,260万円
- 基礎控除:3,000万円 + 600万円 × 2人 = 4,200万円
- 課税遺産総額:2,260万円 − 4,200万円 = 0円(課税なし)
弔慰金の超過部分を退職金に組み入れる計算を忘れると過少申告になります。弔慰金と退職金が両方支払われた場合は、必ずこの順序で計算してください。
パターン3|役員退職金5,000万円・経営者死亡のケース
前提条件
- 被相続人:父(中小企業代表取締役・最終月額報酬100万円・勤続30年)
- 相続人:配偶者・子2人(合計3人)
- 役員退職金:5,000万円(功績倍率1.67倍・適正範囲内)
- 他の財産:自社株(評価額1億円)+ 預貯金2,000万円 = 合計1億7,000万円(退職金込み)
計算の流れ
- 役員退職金の非課税限度額:500万円 × 3人 = 1,500万円
- 退職金の課税対象:5,000万円 − 1,500万円 = 3,500万円
- 相続財産の総額:3,500万円 + 1億円(株式)+ 2,000万円 = 1億5,500万円
- 基礎控除:3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
- 課税遺産総額:1億5,500万円 − 4,800万円 = 1億700万円
- 配偶者(1/2):5,350万円 → 855万円(税率20%−200万円)
- 各子(各1/4):2,675万円 → 301.25万円(税率15%−50万円)
- 相続税の総額:855万円 + 301.25万円 × 2 = 約1,457万円
さらに役員退職金5,000万円が会社の損金に算入されることで、法人税(約30%)の節税効果が約1,500万円あります。また会社の純資産が減少することで非上場株式の評価額も下がるため、実際の節税効果はさらに大きくなります。
パターン4|iDeCo・企業型DCを残したケース
前提条件
- 被相続人:父(iDeCo積立残高800万円)
- 相続人:配偶者・子1人(合計2人)
- 死亡一時金:800万円(配偶者が受取)
- 他の財産:預貯金3,000万円 / 合計3,800万円
計算の流れ
- iDeCoの非課税限度額:500万円 × 2人 = 1,000万円
- 退職金の課税対象:800万円 − 1,000万円 = 0円(非課税枠以内)
- 相続財産の総額:0円 + 3,000万円 = 3,000万円
- 基礎控除:3,000万円 + 600万円 × 2人 = 4,200万円
- 課税遺産総額:3,000万円 − 4,200万円 = 0円(課税なし)
iDeCoの積立残高が非課税枠以内であれば相続税がかかりません。iDeCoは節税しながら老後資産を積み立てられる制度ですが、万が一の際にも非課税枠が使えるため、相続対策としても有効です。ただし、iDeCoの死亡一時金は死亡の翌月から5年以内に請求しないと国庫に帰属してしまいます。必ず期限内に手続きを行ってください。
パターン5|生命保険と死亡退職金を両方受け取るケース
前提条件
- 被相続人:父(会社員)
- 相続人:配偶者・子2人(合計3人)
- 死亡退職金:1,500万円(法定相続人3人の非課税枠と同額)
- 死亡保険金:1,500万円(法定相続人3人の非課税枠と同額)
- 他の財産:預貯金5,000万円 / 合計8,000万円(退職金・保険金込み)
計算の流れ
- 退職金の非課税限度額:500万円 × 3人 = 1,500万円 → 退職金1,500万円は全額非課税
- 保険金の非課税限度額:500万円 × 3人 = 1,500万円 → 保険金1,500万円は全額非課税
- 相続財産の総額:0円 + 0円 + 5,000万円 = 5,000万円
- 基礎控除:4,800万円
- 課税遺産総額:5,000万円 − 4,800万円 = 200万円
- 配偶者(1/2):100万円 → 10万円(税率10%)
- 各子(各1/4):50万円 → 5万円(税率10%)
- 相続税の総額:10万円 + 5万円 × 2 = 20万円
生命保険と死亡退職金の非課税枠を両方フル活用することで、合計3,000万円が非課税となり、相続税を大幅に抑えられました。非課税枠をどれだけ活用できるかが、相続税対策の核心です。
退職金を活用した相続税の節税対策

退職金の非課税枠は、生前の対策次第で最大限に活用することができます。特に中小企業のオーナーは、役員退職金を上手に設計することで法人税と相続税を同時に節税できます。
役員退職金を活用した法人税と相続税の同時節税
中小企業の経営者にとって、役員退職金(死亡退職金)は最も強力な節税手段の一つです。経営者が亡くなった際に会社が支払う役員退職金は、会社側では損金として法人税の節税になり、遺族側では非課税枠の範囲内で相続税がかかりません。
| 役員退職金の効果 | 詳細 | 試算(退職金3,000万円の場合) |
|---|---|---|
| 法人税の節税 | 退職金を損金算入→課税所得が減少 | 3,000万円 × 30% = 約900万円節税 |
| 株式評価額の引き下げ | 純資産減少→非上場株式の評価が下がる | 評価引き下げ額 × 相続税率で節税 |
| 非課税枠の活用 | 遺族への退職金に非課税枠適用 | 500万円×3人 = 1,500万円非課税 |
役員退職金の適正額の目安は「最終月額報酬 × 勤続年数 × 功績倍率(通常2〜3倍)」です。功績倍率が高すぎると税務調査で損金不算入と判定されるリスクがあります。
役員退職金は「退職給与規程」に基づいて支払うことが必要です。規程がない場合や規程と異なる金額の場合、税務調査でリスクが高まります。退職金規程の整備は生前に済ませておくことが重要です。
生命保険の非課税枠との組み合わせで節税効果を最大化
前述の通り、死亡退職金の非課税枠(500万円×法定相続人数)と死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人数)は別枠で使えます。この2つを組み合わせた生前設計が、相続税対策として非常に効果的です。
- 法定相続人3人の場合の最大非課税額:死亡退職金1,500万円 + 死亡保険金1,500万円 = 3,000万円
- 法定相続人4人の場合:死亡退職金2,000万円 + 死亡保険金2,000万円 = 4,000万円
特に中小企業オーナーの場合、「法人契約の生命保険」を活用することで、死亡保険金が会社から遺族に支払われる形にでき、退職金と同様の効果が得られます。保険料を会社が負担することで法人税の節税にもなります。
退職金受取人の設定で相続争いを防ぐ
死亡退職金は遺産分割の対象外のため、会社の規程または個別指定で受取人が決まります。この仕組みを活用することで、特定の相続人(たとえば事業を引き継ぐ後継者や介護をしていた配偶者)に確実に財産を渡すことができます。
退職金規程に受取人の順位を明記しておくことで、相続発生後の遺族間の争いを防ぐことができます。会社の規程の確認・整備は生前の重要な対策の一つです。
申告・手続きで注意すべきポイント

死亡退職金の相続税申告には、通常の相続財産と異なる記載方法・添付書類・確認事項があります。申告前に以下の3点を必ず確認してください。
申告書の記載方法(第10表)
死亡退職金は相続税申告書の「第10表(退職手当金、農地等の納税猶予税額及び利子税額等の計算書)」に記載します。
- 受取人ごとの受取金額を記入
- 法定相続人の数から非課税限度額を計算
- 超過した課税対象額を各受取人に按分
- 按分後の金額を第11表(課税財産の明細)に転記
第10表と第11表の連携が正確に行われているかどうかは、申告書全体の整合性チェックで重要なポイントです。記載誤りが税務調査で指摘される原因になるため、専門家に確認してもらうことをお勧めします。
弔慰金の認定をめぐる税務調査リスク
弔慰金の「業務上の死亡か業務外の死亡か」の判定や、弔慰金の金額が「社会通念上相当な範囲かどうか」は、税務調査で問題になりやすいポイントです。
| 税務調査で問題になりやすいケース | リスク | 対策 |
|---|---|---|
| 業務上の死亡かどうか判断が難しいケース | 業務外と判定され非課税枠が縮小 | 労働基準監督署の認定書類を保管 |
| 弔慰金が非課税限度額を大幅に超えるケース | 超過部分が退職金として課税 | 非課税限度額内に収める |
| 退職金規程がなく任意で金額を設定したケース | 全額が退職金として扱われる可能性 | 規程の整備と根拠の文書化 |
弔慰金の税務上の取り扱いは個別の事実関係によって判断が変わります。金額が大きい場合は必ず税理士に確認してから申告してください。
3年を超えて支給確定した場合の所得税処理
被相続人の死亡後3年を超えて退職金の支給が確定した場合、その退職金は受取人の「一時所得」として所得税の課税対象になります。相続税の申告には含めません。
一時所得の課税計算:
- 一時所得 = 受取額 − 収入を得るために支出した費用 − 特別控除50万円
- 課税される一時所得 = 一時所得 × 1/2
- 給与所得等と合算して総合課税(確定申告が必要)
3年を超えた退職金を相続税の申告に含めてしまう誤りと、所得税の申告に含め忘れる誤りの両方が起きやすいポイントです。支給確定日を正確に確認してから申告の種類を判断してください。
退職金の相続こそ早めに税理士へ相談すべき理由

退職金の相続税申告は、非課税枠の計算・弔慰金との区別・種類別の課税ルール・申告書の記載方法など、一般の方が独力で正確に処理するには難易度が高い作業が多くあります。特に役員退職金や複数の退職金制度が絡む場合は、専門家への相談が不可欠です。
相談すべき理由|退職金相続特有の複雑さ
- 退職金の種類の判定:一般退職金・役員退職金・iDeCo・企業年金など種類によって課税ルールが異なる
- 弔慰金の非課税範囲の判定:業務上か業務外かの判断・月額給与の算出が必要
- 非課税枠の按分計算:複数の受取人がいる場合の按分が複雑になる
- 役員退職金の適正額の判定:功績倍率・損金算入可否の確認が必要
- 申告書の第10表・第11表の連携:記載ミスが申告エラーにつながる
退職金の申告ミスは過少申告加算税(10〜15%)または重加算税(35〜40%)の対象になります。特に役員退職金の損金算入判定は税理士でも見解が分かれることがあるため、実績ある専門家への相談が重要です。
相談するメリット|税負担軽減と申告ミス防止
- 非課税枠の最大活用:死亡退職金と生命保険の非課税枠を組み合わせた最適設計
- 役員退職金の適正額の算定:損金算入が認められる範囲で最大限の退職金を設定
- 弔慰金の適切な区別:非課税範囲内での弔慰金の設定と申告上の正確な処理
- 申告書の正確な作成:第10表・第11表の連携を含む正確な申告書の作成
- 節税シミュレーション:退職金制度の種類・金額・受取人の最適設計をアドバイス
相談しなかった場合のリスク
| リスクの種類 | 具体的な内容 | 金銭的な影響の目安 |
|---|---|---|
| 非課税枠の適用漏れ | 退職金全額を課税財産に計上してしまった | 数百万円の過払い(更正の請求は5年以内) |
| 弔慰金の超過部分の申告漏れ | 超過部分を退職金として計上しなかった | 追徴課税+過少申告加算税(10〜15%) |
| 役員退職金の損金不算入 | 過大な退職金として否認された | 法人税の追徴+加算税 |
| 3年ルールの誤適用 | 3年超の退職金を相続税に誤計上 | 二重申告または申告漏れのリスク |
| iDeCoの請求期限超過 | 5年以内に請求しなかった | 積立残高が国庫帰属(全額喪失) |
費用対効果の試算|税理士報酬 vs 節税・リスク回避効果
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 退職金を含む相続税申告の税理士報酬 | 30〜80万円程度(財産規模・複雑さによる) |
| 非課税枠の適用漏れ回避(過払い防止) | 数十万〜数百万円 |
| 役員退職金の適正設計による節税 | 退職金額 × 実効税率(法人税約30%+相続税効果) |
| 生命保険との非課税枠組み合わせ最適化 | 法定相続人数 × 500万円(追加の非課税効果) |
| 弔慰金の適切な処理によるペナルティ回避 | 過少申告加算税10〜15%のリスク回避 |
退職金の相続税申告では、税理士報酬を上回る節税・リスク回避効果が得られるケースがほとんどです。特に役員退職金や複数の退職金制度が関わる場合は、相続税専門の税理士に依頼することを強くお勧めします。
初回相談で確認すべき質問リスト
- □ 死亡退職金の支給は死亡後3年以内に確定していますか?(3年ルールの確認)
- □ 弔慰金と退職金の区別・非課税範囲の計算をお願いできますか?
- □ iDeCo・企業型DCの死亡一時金はどのように申告しますか?
- □ 役員退職金の適正額(損金算入できる範囲)はいくらですか?
- □ 生命保険の非課税枠と死亡退職金の非課税枠を合わせると何円非課税になりますか?
- □ 退職金の受取人の設定は適切ですか?相続争いを防ぐ設定になっていますか?
- □ 申告書の第10表・第11表の記載方法を教えてもらえますか?
- □ iDeCoの請求期限(5年以内)に間に合うよう手続きをサポートしてもらえますか?
よくある質問(FAQ)
Q. 死亡退職金は遺産分割の対象になりますか?
なりません。死亡退職金は「みなし相続財産」として相続人の固有財産となるため、遺産分割協議の対象にはなりません。会社の退職金規程または被相続人が指定した受取人に直接支払われます。ただし相続税の計算には含まれるため、申告は必要です。
Q. 相続放棄をしても死亡退職金は受け取れますか?
受け取ることができます。死亡退職金は遺産分割の対象外で受取人固有の財産のため、相続放棄をしても受け取ることができます。ただし、相続放棄した方が受け取った死亡退職金には「500万円×法定相続人数」の非課税枠が適用されず、全額が相続税の課税対象になります。
Q. iDeCoを残して亡くなった場合、相続税はかかりますか?
はい、かかります。iDeCoの積立残高は死亡一時金として遺族に支払われ、「退職手当金等」(みなし相続財産)として相続税の課税対象になります。ただし「500万円×法定相続人数」の非課税枠が使えます。また、死亡の翌月から5年以内に請求しないと国庫に帰属してしまうため、早急に運営管理機関に連絡してください。
Q. 弔慰金と死亡退職金は別々に支払われますか?
会社によって異なります。一般的には退職金規程と慶弔見舞金規程に基づいてそれぞれ別に支払われますが、退職金の中に弔慰金を含める会社もあります。相続税の申告では、まず弔慰金の非課税限度額(業務上死亡:給与36か月分、業務外死亡:給与6か月分)を確認し、超過部分を死亡退職金として合算して計算します。
Q. 役員退職金の金額を高く設定すれば節税になりますか?
適正範囲内であれば節税になります。役員退職金が「不相当に高額」と税務署に判定された場合、超過部分は損金不算入となり法人税の追徴課税が発生します。適正額の目安は「最終月額報酬×勤続年数×功績倍率(2〜3倍程度)」ですが、会社の業績・規模・役員の貢献度によって判断が異なるため、設定前に必ず税理士に確認してください。
まとめ|退職金の相続は非課税枠の最大活用と申告の正確さが鍵
死亡退職金の相続税の基本
- 死亡退職金は「みなし相続財産」として相続税の対象になり、死亡後3年以内に支給が確定したものに限られる
- 「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、生命保険の非課税枠と別枠で使えるため、両方を活用すると合計「1,000万円×法定相続人数」まで非課税になる
- 弔慰金は業務上死亡の場合は給与36か月分、業務外死亡の場合は6か月分まで非課税で、超過部分は退職金として課税対象になる
退職金の種類と節税活用のポイント
- 中小企業オーナーの役員退職金は、損金算入による法人税節税と株式評価額引き下げの相乗効果で、相続税対策として非常に有効
- iDeCoは死亡一時金として相続税の対象になるが非課税枠が使え、死亡の翌月から5年以内の請求が必須
- 役員退職金の適正額は功績倍率(2〜3倍)を目安に設定し、退職金規程の整備を生前に済ませておくことが重要
今すぐ取るべき行動
- 相続が発生したら、会社の退職金規程・弔慰金の支払額・iDeCoの積立残高を早急に確認し、相続税申告と並行してiDeCoの請求手続きを5年以内に完了させてください。相続税専門の税理士への相談を相続発生後できるだけ早めに行うことをお勧めします
- まだ相続が発生していない中小企業オーナーは、役員退職金規程の整備・生命保険との組み合わせ設計・非課税枠の最大活用を今すぐ検討することをお勧めします
※本記事は2025年12月時点の法令・税率に基づいて作成しています。税制は改正されることがありますので、申告前には必ず税理士または税務署へご確認ください。本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談に代わるものではありません。



