


マンションの相続税評価額は、建物の部分と土地の部分を別々に計算して足し合わせます。土地は敷地全体のうち自分の持分にあたる面積で計算します。
2024年1月からは、一部のマンションでこの金額に補正がかかるようになりました。市場価格と相続税評価額の開きが大きい物件を対象とした改正です。
計算に必要な数字は、固定資産税の課税明細書と登記事項証明書の2つから取れます。手元にこの2つがあれば、税理士に頼む前に自分で概算を出せます。
つまずきやすいのは、算式そのものではなく「どの書類のどの数字を使うか」です。とくに土地の持分の割合は、登記簿の数字をそのまま使うと誤った金額になる場合があります。
補正がかかるかどうかは築年数・総階数・所在階・土地の持分の広さの4つで決まります。築古で低層のマンションなら、補正がかからないこともあります。
賃貸に出している一室は、補正をかけた後の金額に貸家の減額を適用します。この順序を逆にすると金額が変わってしまいます。
この記事では、手元の2つの書類から数字を読み取る手順、2024年の新ルールで補正がかかるかどうかの判定、賃貸に出している場合の計算、評価額別の税額の目安、申告までの流れを解説します。
▼ この記事の3行まとめ

マンションは一戸建てと違い、建物の一室と敷地全体の持分をセットで持っています。相続税評価額は建物と土地を別々に計算してから足し合わせます。
建物と土地では、計算の出発点になる数字が別の書類にあります。先に何をどこから取るのかを整理しておくと、途中で手が止まりません。
| 計算する部分 | 出発点になる数字 | 書いてある場所 |
|---|---|---|
| 建物(一室) | 固定資産税評価額 | 固定資産税の課税明細書 |
| 土地(敷地の持分) | 路線価または評価倍率 | 国税庁の財産評価基準書 |
| 土地の面積 | 敷地全体の面積 | 登記事項証明書 |
| 土地の持分 | 敷地権の割合(共有持分の割合) | 登記事項証明書 |
表の見方:4つのうち3つは手元の書類から読み取れます。路線価だけは国税庁のサイトで調べます。
重要ポイント:黄色の行の「敷地権の割合」が最もつまずきやすい数字です。登記簿の表示をそのまま使えないケースがあります。
計算を始める前に、次の2つを用意します。どちらも相続税の申告でそのまま使う書類なので、早めに揃えておくと後の手続きが楽になります。
【用意する2つの書類】
どちらも手元にない場合は、課税明細書は市区町村の資産税課、登記事項証明書は法務局で再取得できます。
課税明細書からは建物の固定資産税評価額を取ります。登記事項証明書からは築年数・総階数・所在階・専有部分の面積・敷地の面積・敷地権の割合の6つを読み取ります。
2024年1月1日以後の相続・遺贈・贈与で取得した分譲マンションには、新しい評価方法が使われます。国税庁は市場価格と相続税評価額の開きが大きい物件について、評価額を市場価格の6割の水準まで引き上げる補正を導入しました。
対象は分譲マンションの一室です。一戸建てや一棟まるごと所有している賃貸マンションは対象外で、従来どおりの評価方法が使われます。
注意:すべてのマンションで評価額が上がるわけではありません。築古・低層・郊外の物件は補正がかからないこともあります。判定には計算が必要です。
計算は4つの段階に分かれます。前の段階の答えを次の段階に持ち込む形なので、飛ばさず順番どおりに進めてください。どこで間違えたかを後から追えるようになります。
書類から6つの数字を読み取る
築年数・総階数・所在階・専有部分の面積・敷地の面積・敷地権の割合
⬇
補正がかかるかを判定する
4つの数字から引き上げ率を計算し、境目の0.6と比べる
⬇
建物と土地の評価額を出す
もとの評価額に引き上げ率を掛ける
⬇
減額のしくみを適用する
賃貸なら貸家の減額、自宅なら土地を8割減らせる制度
重要ポイント:段階4の減額は、段階3で補正した後の金額を出発点にします。順序を逆にすると金額が変わります。

補正がかかるかどうかは4つの数字で決まります。4つはすべて登記事項証明書から読み取れます。算式より先に、どの欄を見るかを押さえるほうが確実です。
築年数は、建物が建った時から相続が起きた日までの期間です。登記事項証明書の表題部にある「原因及びその日付」の新築年月日を起点にします。
国税庁は「1年未満の端数は1年」とすると定めています。14年3か月なら15年として扱います。切り捨てではなく切り上げです。
| 新築年月日 | 相続が起きた日 | 期間 | 使う築年数 |
|---|---|---|---|
| 2010年4月1日 | 2026年7月1日 | 16年3か月 | 17年 |
| 2010年4月1日 | 2026年3月1日 | 15年11か月 | 16年 |
| 2010年4月1日 | 2026年4月1日 | ちょうど16年 | 16年 |
表の見方:端数が1か月でもあれば1年として数えます。黄色の行のようにちょうど区切りのよい年数になる場合だけ、端数が出ません。
重要ポイント:築年数が長いほど補正は小さくなります。築古の物件では、この1年の差で補正の有無が変わることもあります。
総階数は建物全体の階数、所在階は自分の部屋がある階です。どちらも地下は数に入れません。
【階数を数えるときの決まり】
登記事項証明書の表題部に「鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付11階建」のように記載されています。
総階数を33で割るのは、国内のマンションの階数分布に合わせた調整です。33階建て以上はすべて同じ扱いになるため、高さの差はそこで打ち止めになります。
専有部分の面積は、登記事項証明書の専有部分の建物の表示にある「床面積」を使います。販売資料に載っている面積とは基準が違う場合があるので、登記の数字を優先します。
注意:登記の床面積は内側の壁で測った面積(内法)で、販売資料の面積は壁の中心で測った面積(壁芯)です。壁芯のほうが数㎡大きく出ます。
土地の持分は、登記事項証明書の敷地権の表示にある「敷地権の割合」で表されます。「1150000分の6319」のように、分母が大きい分数で書かれていることが多いです。
この割合に敷地全体の面積を掛けると、自分の持分にあたる土地の面積が出ます。小数点以下第3位は切り上げます。
| 項目 | 登記事項証明書の記載 | 計算 |
|---|---|---|
| 敷地の面積 | 3,630.30㎡ | — |
| 敷地権の割合 | 1150000分の6319 | — |
| 自分の土地の面積 | — | 3,630.30㎡ × 6,319/1,150,000 = 19.95㎡ |
表の見方:この19.95㎡が、あとで専有部分の面積と比べる数字になります。専有部分59.69㎡に対して19.95㎡なので、持分は約3分の1です。
計算ロジック:【前提】国税庁パンフレットの例。敷地権の割合は登記簿の分数をそのまま使い、3,630.30×6,319÷1,150,000=19.9459…を第3位切上げで19.95㎡とします。
ここが最もつまずきやすい場所です。登記簿に書かれた持分の割合を、そのまま計算に使えない場合が2つあります。国税庁がQ&Aで具体例を示しています。
| ケース | 登記簿の表示 | 計算に使う割合 | 間違えると |
|---|---|---|---|
| 同じ建物に2室以上を持っている | 2室合計で 1/10 | 各室ごとに 1/20 | 土地の評価額が2倍になる |
| 1室を夫婦などで共有している | 夫の持分として 3/80 | 1/20(夫婦合計) | 土地の評価額が小さくなる |
表の見方:1つ目は、登記簿が複数室分をまとめた割合で表示されているケースです。2階と5階の2室を持っていて登記簿が1/10なら、各室に対応するのは1/20です。
重要ポイント:2つ目は逆の向きの誤りです。夫3/4・妻1/4で1室を共有していると、登記簿には夫の分として1/20×3/4=3/80が載ります。しかし計算に使うのは夫婦合計の1/20です。
計算ロジック:補正率は「その一室」の性質から求めるものなので、室ごと・共有者合計の割合で計算します。共有分の按分は、補正後の評価額を持分で分けるときに行います。
自分がどちらのケースにあたるかは、登記事項証明書の敷地権の表示と、所有している部屋の数を突き合わせれば分かります。心当たりがある場合は、必ず税理士に確認してください。
参照元:国税庁 居住用の区分所有財産の評価に関するQ&A(情報)
4つの数字とは別に、補正をかける前の評価額が必要です。建物は課税明細書、土地は国税庁の財産評価基準書から求めます。
| 対象 | 計算式 | 数字の出どころ |
|---|---|---|
| 建物(一室) | 固定資産税評価額 × 1.0 | 固定資産税の課税明細書 |
| 土地(敷地全体) | 路線価 × 敷地の面積 | 国税庁の財産評価基準書 |
| 土地(自分の持分) | 敷地全体の価額 × 敷地権の割合 | — |
表の見方:建物は倍率1.0なので、課税明細書の固定資産税評価額がそのまま出発点になります。
重要ポイント:土地は敷地全体の価額を出してから持分を掛けます。路線価が使えない地域では、固定資産税評価額に評価倍率を掛ける方法をとります。
路線価や評価倍率は国税庁の財産評価基準書で年分を選んで調べます。相続が起きた年の路線価を使うので、年を間違えないよう注意してください。
土地の評価額の求め方そのものは、下記の記事で解説しています。

読み取った数字は、国税庁の「区分所有補正率の計算明細書」に書き込めば補正率まで自動で計算できます。手計算をする必要はありません。
参照元:国税庁 B2-6 居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書

読み取った4つの数字から、市場価格と相続税評価額がどれだけ離れているかを表す倍率を出します。この倍率が1.67倍を超えると評価額の引き上げが入ります。
4つの数字にはそれぞれ決まった係数があり、掛けて足し合わせたうえで3.220を加えます。築年数と土地の持分はマイナスの係数なので、値が大きいほど倍率は下がります。
| 使う数字 | 係数 | 向き | 端数の扱い |
|---|---|---|---|
| 築年数 | △0.033 | 長いほど倍率が下がる | 1年未満は1年に切上げ |
| 総階数 ÷ 33 | 0.239 | 高いほど倍率が上がる | 第4位切捨て・1を超えたら1 |
| 自分の部屋の階 | 0.018 | 高いほど倍率が上がる | 地階は零階 |
| 土地の面積 ÷ 専有部分の面積 | △1.195 | 広いほど倍率が下がる | 第4位切上げ |
| 4つを足して 3.220 を加える | — | これが開きを表す倍率 | — |
表の見方:上がる向きが2つ、下がる向きが2つあります。高層階の新築ほど倍率が上がり、築古で土地の持分が広いほど倍率は下がります。
重要ポイント:係数の絶対値は土地の持分(1.195)が最も大きいです。郊外のマンションで持分が広いと、それだけで倍率が大きく下がります。
計算ロジック:4つの係数と定数3.220は、国税庁が平成30年の取引実績をもとに統計的に求めた数値です。物件ごとの事情ではなく、この式に当てはめて機械的に計算します。
出した倍率の逆数をとると、市場価格に対して相続税評価額がどの水準にあるかが分かります。この水準が0.6を下回ると引き上げの対象になります。
倍率が1.67倍のとき、逆数はちょうど0.6です。つまり市場価格の6割を下回っている物件だけが引き上げられます。
水準は3つの帯に分かれ、帯ごとに扱いが変わります。真ん中の帯に入れば、従来どおりの評価額のままです。
| 水準 | 倍率でいうと | 引き上げ率 | 評価額はどうなるか |
|---|---|---|---|
| 0.6 未満 | 1.67倍より大きい | 倍率 × 0.6 | 上がる |
| 0.6 以上 1 以下 | 1倍〜1.67倍 | 補正なし | 変わらない |
| 1 を超える | 1倍未満 | 倍率そのもの | 下がる |
表の見方:黄色の帯に入れば従来の評価額がそのまま使えます。築古・低層・郊外の物件はこの帯に入ることが多いです。
重要ポイント:いちばん下の帯は見落とされがちです。市場価格が相続税評価額を下回っている物件では、補正によって評価額が下がります。
計算ロジック:水準が1を超えるのは倍率が1未満の場合で、引き上げ率がそのまま1未満になるため評価額は減ります。地方の過疎地や極端な築古物件で起こりえます。
ただし一棟の全戸と敷地の両方を単独で所有している場合は、土地側の引き上げ率は1が下限となり、下がりません。建物側には下限がありません。
参照元:国税庁 居住用の区分所有財産の評価に関するQ&A(情報)
国税庁が公表している計算例で、数字の流れを確認します。前提は築15年・総階数11階・所在階3階・専有部分59.69㎡・自分の土地19.95㎡です。
| 項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 築年数 | 15年 × △0.033 | △0.495 |
| 総階数 | 11 ÷ 33 = 0.333 → × 0.239 | 0.079 |
| 所在階 | 3階 × 0.018 | 0.054 |
| 土地の持分 | 19.95 ÷ 59.69 = 0.335 → × △1.195 | △0.401 |
| 開きを表す倍率 | △0.495+0.079+0.054-0.401+3.220 | 2.457 |
| 水準 | 1 ÷ 2.457 | 0.407 |
| 引き上げ率 | 2.457 × 0.6(水準が0.6未満のため) | 1.4742 |
表の見方:水準0.407は0.6を下回るので引き上げの対象です。もとの評価額が約1.47倍になります。
この引き上げ率をもとの評価額に掛けます。建物と土地の両方に同じ率を掛けます。
| 対象 | もとの評価額 | 引き上げ率 | 新ルールでの評価額 |
|---|---|---|---|
| 建物(一室) | 500万円 | 1.4742 | 737万1,000円 |
| 土地(持分) | 1,000万円 | 1.4742 | 1,474万2,000円 |
| 合計 | 1,500万円 | — | 2,211万3,000円 |
表の見方:合計で1,500万円だった評価額が2,211万3,000円になります。差は711万3,000円です。
計算ロジック:【前提】国税庁パンフレットの計算例。引き上げ率1.4742を建物・土地それぞれのもとの評価額に掛けるだけで、建物と土地で率が変わることはありません。
参照元:国税庁「居住用の区分所有財産」の評価が変わりました(令和5年11月)
4つの数字のうち、総階数と所在階は倍率を押し上げる向きに働きます。高層マンションの上層階は両方が大きいため、引き上げ率も大きくなります。
加えて、高層マンションは戸数が多いぶん一戸あたりの土地の持分が小さくなります。土地の持分が小さいと、倍率を下げる働きも弱まります。
重要ポイント:3つの要素が同じ向きに重なるため、タワーマンションの高層階は最も影響を受けやすい組み合わせです。
タワーマンションに絞った改正前後の比較は、下記の記事で解説しています。

新ルールどおりに計算すれば必ずその金額で通るとは限りません。国税庁は、この計算による価額よりも高い価額で評価することもあると明記しています。
財産評価の通達には、通達どおりの評価が著しく不適当な場合の定めがあります。国税庁はQ&Aで、新ルールを適用した場合もこの定めが同じように働くとしています。
注意:相続の直前に不自然な取引をしている場合などは、新ルールで計算した金額が認められないことがあります。節税だけを目的とした購入は避けてください。
逆に、市場価格が大幅に下がっていて新ルールの計算が実態に合わない場合は、鑑定評価などの合理的な方法で時価を算定できます。上下どちらの向きにも例外があるということです。
参照元:国税庁 居住用の区分所有財産の評価に関するQ&A(情報)

新ルールは分譲マンションの一室を対象にした決まりです。そもそも対象にならない形が5つ定められています。まず自分の物件がそこに入らないかを確認します。
国税庁は、次の5つを新ルールの対象から外しています。いずれかに当てはまれば、従来どおりの評価方法で計算します。
| 対象にならない形 | 具体例 | 理由 |
|---|---|---|
| 住居として使う造りでないもの | オフィス・店舗などのテナント物件 | 居住用の決まりだから |
| 部屋ごとの登記がされていないもの | 一棟まるごと所有の賃貸マンション | 区分所有の形でないから |
| 地下を除いた階数が2階以下 | 2階建ての低層の集合住宅 | 乖離が生じにくいから |
| 住居用の部屋が3室以下で全部を自分か親族が使う | 二世帯住宅 | 市場に出る前提でないから |
| 販売用の在庫として持っているもの | 不動産会社の販売在庫 | 別の評価方法があるから |
表の見方:黄色の2行は見落とされやすい形です。2階建てのマンションや二世帯住宅は、区分登記されていても対象外です。
重要ポイント:2つ目の「部屋ごとの登記がされていないもの」は、一棟買いの投資用マンションが典型です。区分所有の形をとっていない物件は新ルールの外にあります。
4つ目の「3室以下で全部を自分か親族が使う」は、二世帯住宅を外す趣旨です。部屋数が3室以下でも、1室でも他人に貸していれば対象になります。
注意:借地の上に建つ分譲マンションで、土地を貸している側の評価をする場合にも新ルールは使いません。貸している土地の評価は別の決まりで行います。
土地を貸している側の評価は、下記の記事で解説しています。

参照元:国税庁「居住用の区分所有財産」の評価が変わりました(令和5年11月)
5つの形に入らなくても、計算した結果として引き上げが入らないことがあります。開きを表す倍率が1.67倍以下なら補正はかかりません。
倍率を下げる働きをするのは築年数と土地の持分の広さです。この2つが大きい物件は、倍率が1.67倍以下に収まりやすくなります。
| 特徴 | 効いてくる数字 | 目安の計算 |
|---|---|---|
| 築年数が20年以上 | 築年数(△0.033) | 20年 × △0.033 = △0.66 |
| 総階数が10階以下 | 総階数(0.239) | 10 ÷ 33 × 0.239 = 0.072 |
| 自分の部屋が5階以下 | 所在階(0.018) | 5階 × 0.018 = 0.09 |
| 土地の持分が広い(郊外型) | 土地の持分(△1.195) | 30㎡ ÷ 75㎡ × △1.195 = △0.478 |
| 4つが重なった場合 | 合計+3.220 | 約2.24倍|引き上げの対象 |
表の見方:4条件が重なっても、この例では2.24倍で引き上げの対象に入ります。「築古だから大丈夫」と決めつけず、必ず計算してください。
計算ロジック:△0.66+0.072+0.09-0.478+3.220=2.244。逆数は0.446で0.6を下回るため補正がかかります。倍率を1.67倍以下にするには、築年数や土地の持分がさらに大きい必要があります。
ここまでの内容を確認する順番にまとめます。上から順に見て、当てはまったところで判定が決まります。
【判定の順番】
すべてに当てはまった場合だけ、評価額の引き上げが入ります。
重要ポイント:最後の倍率の判定だけは計算が必要です。国税庁の計算明細書に数字を入れれば自動で判定できます。
参照元:国税庁 居住用の区分所有財産の評価に関するQ&A(情報)

賃貸に出しているマンションは、人に貸している分だけ評価額を下げられます。ただし引き上げの補正と減額のどちらを先に行うかが決まっています。
国税庁は、先に補正をかけて評価額を出し、その金額を基に貸している分の減額をすると定めています。逆にすると答えが変わってしまいます。
もとの評価額を出す
建物は課税明細書の金額、土地は路線価×面積×持分
⬇
引き上げ率を掛ける
これで「貸していないものとみなした金額」になる
⬇
貸している分を差し引く
土地と建物で差し引く割合が違う
⬇
自宅の土地を減らせる制度を使う
ここも3番目までの金額が出発点
重要ポイント:減額のしくみはすべて「補正した後の金額」を出発点にします。小規模宅地等の特例も同じです。
順序を取り違えると、減額を先に適用してから引き上げてしまうことになります。同じ数字を使っていても結果が合わなくなるので、流れを固定して計算してください。
土地は、地域ごとに決まった借地権割合と、建物を貸していることによる30%を掛けた分を差し引きます。国税庁が示している計算例で流れを追います。
| 段階 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 敷地全体の価額 | 1㎡30万円 × 2,000㎡ | 6億円 |
| 自分の持分 | 6億円 × 60/8,000 | 450万円 |
| 引き上げ後の金額 | 450万円 × 1.6278 | 732万5,100円 |
| 貸している分の減額 | 732万5,100円 × 0.6 × 0.3 × 100% | △131万8,518円 |
| 土地の評価額 | 732万5,100円 - 131万8,518円 | 600万6,582円 |
表の見方:持分を掛けて450万円になった後に引き上げ率を掛けます。減額はいちばん最後です。
重要ポイント:0.6は地域ごとに決まっている借地権の割合で、路線価図に記号で示されています。地域によって30%から90%まで変わるため、必ず路線価図で確認してください。
計算ロジック:【前提】国税庁Q&Aの計算例。借地権割合0.6・建物を貸していることによる割合0.3・貸している部分の割合100%。732万5,100円×0.6×0.3=131万8,518円を差し引きます。
建物は、貸している部分について30%を差し引きます。土地と違って地域による差はなく、割合は全国一律です。
| 段階 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| もとの評価額 | 固定資産税評価額500万円 × 1.0 | 500万円 |
| 引き上げ後の金額 | 500万円 × 1.6278 | 813万9,000円 |
| 貸している分の減額 | 813万9,000円 × 0.3 × 100% | △244万1,700円 |
| 建物の評価額 | 813万9,000円 - 244万1,700円 | 569万7,300円 |
土地と建物を合わせると、この例の評価額は1,170万3,882円になります。同じ物件を自分で使っていた場合と比べます。
| 使い方 | 土地 | 建物 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 自分で住んでいる | 732万5,100円 | 813万9,000円 | 1,546万4,100円 |
| 人に貸している | 600万6,582円 | 569万7,300円 | 1,170万3,882円 |
| 差 | △131万8,518円 | △244万1,700円 | △376万218円 |
表の見方:貸しているだけで評価額が376万218円低くなります。建物側の減額のほうが大きく出ています。
計算ロジック:建物は30%をそのまま差し引くのに対し、土地は借地権割合0.6を掛けてから30%を差し引くため、同じ30%でも土地側の減額率は18%にとどまります。
参照元:国税庁 居住用の区分所有財産の評価に関するQ&A(情報)
減額できるのは実際に貸している部分だけです。マンション一室を丸ごと貸しているなら、貸している部分の割合は100%です。
区分所有の一室では、貸しているか空室かのどちらかになります。相続が起きた時点で空室だった場合、原則として減額は使えません。
注意:入居者が退去した直後で、すぐに次の募集をしている場合は貸していたものとして扱われることがあります。募集の記録や管理会社との契約書を残しておいてください。
一棟まるごと所有している賃貸マンションは、部屋ごとの登記がないため新ルールの対象外です。引き上げの補正はかからず、従来どおりの評価方法で計算します。
| 所有の形 | 引き上げの補正 | 土地の評価 | 建物の評価 |
|---|---|---|---|
| 分譲マンションの一室 | かかる | 持分の価額 × 引き上げ率から減額 | 固定資産税評価額 × 引き上げ率から減額 |
| 一棟まるごと | かからない | 敷地全体の価額から減額 | 固定資産税評価額から減額 |
表の見方:一棟所有では持分の計算も引き上げの計算も不要です。敷地全体をそのまま評価します。
区分所有でも、一棟の全部屋と敷地の両方を1人で持っている場合は扱いが変わります。土地側の引き上げ率は1が下限となり、評価額が下がることはありません。
注意:賃貸用の不動産は2027年1月1日以後の相続から扱いが変わります。相続が起きる前の5年以内に買った賃貸用不動産は、市場価格で評価されることになりました。
この2027年からの変更点は、下記の記事で解説しています。


マンションの評価額が出たら、他の財産と合わせて相続税を計算します。マンションの評価額だけでは相続税は決まりません。家族構成と財産の総額で変わります。
マンションの評価額に、預貯金・有価証券・生命保険金などを加えます。借入金や葬式費用はここから差し引きます。
| 区分 | 含めるもの | 扱い |
|---|---|---|
| 不動産 | マンションの評価額・その他の土地建物 | 足す |
| 金融資産 | 預貯金・有価証券・投資信託 | 足す |
| みなし相続財産 | 生命保険金・死亡退職金(非課税枠を超えた分) | 足す |
| 債務・葬式費用 | 借入金・未払医療費・葬式費用 | 差し引く |
表の見方:薄赤の行だけが差し引く項目です。住宅ローンが残っている場合はここで差し引きます。
課税価格から基礎控除を引きます。基礎控除は3,000万円に法定相続人1人あたり600万円を加えた金額です。
| 法定相続人の数 | 基礎控除 | この金額以下なら |
|---|---|---|
| 1人 | 3,600万円 | 相続税は0円 |
| 2人 | 4,200万円 | 相続税は0円 |
| 3人 | 4,800万円 | 相続税は0円 |
| 4人 | 5,400万円 | 相続税は0円 |
重要ポイント:評価額3,000万円のマンションだけを相続する場合、相続人が1人でも基礎控除3,600万円を下回るため相続税は0円です。
マンション以外に預貯金などがあると、合計で基礎控除を超えることがあります。マンションの評価額だけを見て判断しないでください。
相続税がかからないケースの整理は、下記の記事で解説しています。

基礎控除を引いた金額を、いったん法定相続分どおりに分けます。実際の分け方ではなく法定相続分で計算するのがこの段階の決まりです。
分けた金額それぞれに税率を掛けて税額を出し、合計します。この合計が相続税の総額です。
| 分けた後の金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | — |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
表の見方:税率は分けた後の金額に対して段階的に上がります。相続人の数が多いほど1人あたりの金額が下がり、低い税率が使えます。
相続税の総額を、実際に取得した財産の割合で分け直します。多く取得した人が多く負担する形になります。
その後、配偶者の税額軽減や未成年者控除などを各人ごとに差し引いて納税額が決まります。配偶者が取得した分は1億6,000万円まで税額が出ません。
重要ポイント:マンションを誰が取得するかで各人の納税額が変わります。自宅の土地を8割減らせる制度が使えるかどうかも取得する人で決まります。

マンションの評価額と家族構成が分かれば、相続税の目安が出ます。マンション以外に財産がない場合、5,000万円までは税額が小さく収まります。
マンションだけを相続した場合の相続税の総額です。他に財産がある場合は、その分を足した金額でこの表を見てください。
| マンションの評価額 | 子1人 | 子2人 | 配偶者と子1人 | 配偶者と子2人 |
|---|---|---|---|---|
| 3,000万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 4,000万円 | 40万円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 5,000万円 | 160万円 | 80万円 | 80万円 | 20万円 |
| 6,000万円 | 310万円 | 180万円 | 180万円 | 120万円 |
| 8,000万円 | 680万円 | 470万円 | 470万円 | 350万円 |
| 1億円 | 1,220万円 | 770万円 | 770万円 | 630万円 |
| 1億5,000万円 | 2,860万円 | 1,840万円 | 1,840万円 | 1,495万円 |
表の見方:黄色の行のとおり、3,000万円のマンションだけならどの家族構成でも0円です。基礎控除が最低でも3,600万円あるためです。
重要ポイント:相続人が増えるほど税額は下がります。子1人と配偶者と子2人では、1億円のケースで590万円の差が出ます。
計算ロジック:【前提】マンション以外の財産・債務はなし、特例や控除は適用前の相続税の総額。基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数。課税遺産総額を法定相続分で分けて税率を掛け、合計しています。
もっとも多いのは、評価額が基礎控除を下回って相続税がかからないケースです。相続人が1人でも基礎控除は3,600万円あるため、この帯に収まる物件は少なくありません。
【前提】
課税価格3,000万円は基礎控除3,600万円を下回るので相続税は0円で、申告も不要です。ただし名義変更の手続きは必要になります。
マンション以外に財産があると、合計で基礎控除を超えることがあります。マンションの評価額だけで判断すると、申告が必要なことに気づかないまま期限を過ぎてしまいます。
【前提】
課税価格5,000万円から基礎控除4,200万円を引くと800万円が残り、相続税の総額は80万円です。配偶者が取得した分には税額が出ないため、実際の納税額はさらに下がります。
自宅の土地を8割減らせる制度を使えるかどうかで、税額が大きく変わります。マンションでも土地の持分について使えるので、金額の差を確かめておきます。
【前提】
| 制度の利用 | 課税価格 | 相続税の総額 | 差 |
|---|---|---|---|
| 使わない | 8,000万円 | 350万円 | — |
| 使う(土地1,500万円を8割減) | 6,800万円 | 200万円 | △150万円 |
表の見方:土地の持分1,500万円を8割減らすと1,200万円下がり、相続税の総額は150万円減ります。
計算ロジック:減額されるのは土地の部分だけで、建物には使えません。1,500万円×80%=1,200万円を課税価格から差し引き、6,800万円-基礎控除4,800万円=2,000万円で計算しています。
評価額が1億円になると、税額の水準が一段上がります。都心の物件では引き上げの補正が入って1億円台になることもあるため、納税資金を用意できるかが論点になります。
【前提】
課税価格1億円から基礎控除4,800万円を引いた5,200万円で計算すると、相続税の総額は630万円です。納税資金の準備が必要になる水準です。
注意:マンションは現金化しないと納税資金になりません。売却するか、預貯金で払えるかを申告期限の10か月以内に判断してください。
人に貸している一室は評価額が下がるため、税額も下がります。国税庁の計算例で使った物件を、自分で住んでいた場合と貸していた場合で比べます。
【前提】
| 使い方 | マンションの評価額 | 課税価格 | 相続税の総額 |
|---|---|---|---|
| 自分で住んでいた | 1,546万4,100円 | 5,546万4,100円 | 134万6,000円 |
| 人に貸していた | 1,170万3,882円 | 5,170万3,882円 | 97万円 |
| 差 | △376万218円 | △376万218円 | △37万6,000円 |
表の見方:評価額が376万218円下がり、相続税の総額は37万6,000円下がります。
重要ポイント:賃貸に出すと評価額は下がりますが、自宅の土地を8割減らせる制度は使えず、減額は5割にとどまります。自宅として使うほうが有利になる場合もあります。
5つの事例を横に並べます。同じ評価額でも家族構成と使い方で税額が変わるため、自分の状況に近い行を探して目安をつかんでください。
| 事例 | マンションの評価額 | 他の財産 | 相続人 | 相続税の総額 |
|---|---|---|---|---|
| 事例1 | 3,000万円 | なし | 子1人 | 0円 |
| 事例2 | 3,000万円 | 預貯金2,000万円 | 配偶者と子1人 | 80万円 |
| 事例3 | 5,000万円 | 預貯金3,000万円 | 配偶者と子2人 | 350万円(制度利用で200万円) |
| 事例4 | 1億円 | なし | 配偶者と子2人 | 630万円 |
| 事例5 | 1,170万3,882円(賃貸) | 預貯金4,000万円 | 配偶者と子1人 | 97万円 |
表の見方:事例1と事例4の差は630万円です。評価額が3倍強になると税額はゼロから630万円まで動きます。
重要ポイント:事例3のように、制度を使えるかどうかで150万円の差が出ることがあります。誰が取得するかを決める前に試算してください。
計算ロジック:いずれも特例適用前の相続税の総額です。配偶者が取得した分の税額軽減や未成年者控除を反映すると、実際の納税額はさらに下がります。事例5は国税庁Q&Aの計算例の物件を使っています。

評価額が出た後に使える減額の制度があります。どれも申告期限内に手続きをすることが条件です。知らずに期限を過ぎると使えなくなります。
亡くなった人が住んでいたマンションを、配偶者や同居していた親族が取得した場合、土地の持分の評価額を8割減らせます。減額できる面積は330㎡までです。
マンションの一室では土地の持分が20㎡から40㎡程度に収まることが多いため、面積の上限に引っかかることはほとんどありません。
| 取得する人 | 使えるか | 主な条件 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 使える | 条件なし |
| 同居していた親族 | 使える | 申告期限まで住み続けて所有し続ける |
| 別居の親族 | 条件つきで使える | 持ち家がないことなど |
| 賃貸に出していた場合 | この制度は使えない | 貸付用として5割減の枠を使う |
表の見方:配偶者が取得する場合だけ条件がありません。同居していた親族は申告期限まで住み続けることが必要です。
重要ポイント:薄赤の行のとおり、賃貸に出していた一室にはこの8割減の制度は使えません。貸付用の枠で200㎡まで5割減となります。
参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
配偶者が取得した財産は、1億6,000万円または法定相続分のうち多い金額まで税額が出ません。マンション1室であれば、この枠に収まることがほとんどです。
注意:配偶者に寄せれば一次相続の税額は下がりますが、その配偶者が亡くなったときの相続で税額が増えます。2回の相続を合わせて考えてください。
自宅の土地を8割減らす制度と配偶者の枠は、両方を同時に使えます。先に土地の減額を行い、その後の課税価格に対して配偶者の枠を当てます。
引き上げの補正をかける
新ルールの対象なら、まず評価額を出し直す
⬇
土地の持分を8割減らす
補正後の土地の金額に対して減額する
⬇
課税価格を確定して税額を出す
基礎控除を引き、法定相続分で分けて税率を掛ける
⬇
配偶者の枠を当てる
各人の税額を出した後に差し引く
重要ポイント:土地の減額は課税価格を出す前、配偶者の枠は税額を出した後です。働くタイミングが違います。
相続したマンションを売る場合、納めた相続税の一部を売却の経費に加えられます。売却益にかかる税金を抑えられる制度です。
使えるのは相続税の申告期限の翌日から3年以内に売った場合です。相続の日から数えると3年10か月が期限になります。
注意:この制度と、居住用の家屋を売ったときの3,000万円の控除はどちらか有利な方を選ぶ形になる場合があります。売る前に試算してください。

相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。マンションの評価に必要な書類の取得には時間がかかるため、早めに動きます。
マンションがある場合の進め方です。評価に必要な書類を先に集めておくと、遺産分割の話し合いを数字を見ながら進められます。
書類を集める
固定資産税の課税明細書・登記事項証明書・戸籍・預貯金の残高証明
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マンションの評価額を出す
4つの数字を読み取り、引き上げの補正がかかるかを判定する
⬇
誰が取得するかを決める
土地を8割減らせる制度が使える人を確かめてから分け方を決める
⬇
申告して納税する
申告書を提出し、現金で納める。名義変更もこの前後で行う
重要ポイント:分け方が決まらないと土地を8割減らせる制度は使えません。期限の3か月前までに方向を固めてください。
マンションの評価だけで必要になる書類をまとめます。いずれも取得に数日から数週間かかるので、最初に手配します。
【マンションの評価に使う書類】
登記事項証明書は法務局、課税明細書と評価証明書は市区町村の資産税課で取得します。
重要ポイント:登記事項証明書は必ず取得してください。課税明細書だけでは、補正の判定に使う4つの数字が揃いません。
2024年4月から、相続で取得した不動産の名義変更が義務になりました。取得を知った日から3年以内に手続きをしないと10万円以下の過料の対象になります。
相続税の申告期限とは別の期限です。申告が不要な場合でも名義変更は必要になります。
注意:相続税がかからない物件でも名義変更の義務は免れません。評価額が基礎控除以下でも手続きをしてください。
期限までに分け方が決まらない場合は、いったん法定相続分で分けたものとして申告します。この場合、土地を8割減らせる制度と配偶者の枠は使えません。
ただし申告のときに届出書を出しておけば、分け方が決まった後にやり直して減額を受けられます。届出は申告期限内に出す必要があります。
注意:届出書を出し忘れると、後から分け方が決まっても減額を受けられません。未分割で申告する場合は必ず添付してください。
引き上げの補正の判定を誤って評価額を多く申告していた場合、申告期限から5年以内であれば還付を受けられます。
とくに敷地権の割合の読み取りを誤っていたケースでは、土地の評価額が実際の2倍になっていることがあります。金額の差は小さくありません。
評価の見直しで還付を受ける手順は、下記の記事で解説しています。


マンションの評価は、読み取る数字を1つ誤るだけで金額が大きく動きます。複数の税理士から見積りを取って、判断の根拠を比べてください。
マンションの評価は、登記事項証明書の読み取りと引き上げの補正の判定という2つの作業が重なります。どちらも実務の経験差が出るところです。
【相続税の対応実績がある税理士に依頼する理由】
金額で見ます。建物3,500万円・土地の持分1,500万円のマンションと預貯金3,000万円を配偶者と子2人が相続するケースで、敷地権の割合を読み間違えた場合を比べます。
| 土地の持分の評価 | 課税価格 | 相続税の総額 | 土地を8割減らした場合 |
|---|---|---|---|
| 正しく1,500万円 | 8,000万円 | 350万円 | 200万円 |
| 誤って3,000万円(2倍) | 9,500万円 | 555万円 | 237万5,000円 |
| 差 | 1,500万円 | 205万円 | 37万5,000円 |
表の見方:読み取りを誤るだけで205万円の差が出ます。土地を8割減らす制度を使っても37万5,000円の差が残ります。
計算ロジック:【前提】基礎控除4,800万円、特例適用前の相続税の総額。登記簿の敷地権の割合をそのまま使うと、2室を持っている場合に土地の評価額が2倍になることがあります。
見積りや初回相談では、次の3点を比べると実務力が見えます。どれもマンションの評価に固有の論点です。
判定ポイント1:区分所有補正率の計算実績「国税庁の計算明細書を自分で作成していますか」と聞きます。件数を答えられる事務所は日常的に扱っています。→ 具体的な件数が出る事務所のほうが経験が豊富と判定できます。
判定ポイント2:敷地権の割合の確認方法「同じ建物に2室持っている場合、登記簿の割合をそのまま使いますか」と聞きます。各室ごとの割合に直すと答えられるかが分かれ目です。→ 即答できる事務所は読み取りの落とし穴を知っていると判定できます。
判定ポイント3:賃貸に出している場合の順序「補正と貸家の減額はどちらを先にしますか」と聞きます。補正が先だと答えられるかを確かめます。→ 順序を説明できる事務所は計算の流れを理解していると判定できます。
3点とも答えが返ってくる事務所は、マンションの評価を数多く扱っています。報酬額だけで選ばず、この3点の答え方で比べてください。
自分で計算して申告した場合に起こりやすいことをまとめます。どれも後から気づいても取り返しがつきにくいものです。
【相談しないまま進めた場合のリスク】
重要ポイント:払いすぎは申告期限から5年以内なら還付を受けられます。一方で申告漏れは加算税の対象になるため、方向によって影響が違います。
複数の税理士に同時に打診する流れです。相続開始から7か月以内に依頼先を決めてください。申告期限まで3か月を残しておく必要があります。
相続の概要を整理する
亡くなった人の資産内容と概算額、相続人の構成と年齢、遺言の有無をまとめます。マンションは所在地・専有部分の面積・築年数を控えます。
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一括見積り・相談サービスに依頼する
「相続税申告・相続税の節税・準確定申告」など希望内容を明記し、3〜5社への同時打診を依頼します。マンションは所在地と広さを記載します。財産の種類と相続人の人数はできるだけ正確に伝えてください。フォームの記入は5分程度です。
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見積りと初回相談を受ける
各事務所から提案内容・試算した相続税額・報酬額が届きます。気になる事務所と初回相談を行い、3つの判定ポイントを確かめます。
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税理士を選定して正式に依頼する
提案内容の質・説明の丁寧さ・報酬の納得性で選びます。相続開始から7か月以内に決めます。
重要ポイント:STEP2ではマンションの所在地と専有部分の面積を必ず伝えてください。この2つがないと試算の精度が上がりません。
同じではありません。2024年からの補正が入る物件でも、市場価格の6割の水準までしか引き上げられません。補正がかからない物件では、市場価格の3割から5割程度にとどまることもあります。
されません。オフィスなどのテナント物件、一棟まるごと所有の賃貸マンション、地下を除いた階数が2階以下の建物、住居用の部屋が3室以下で全部を自分か親族が使う二世帯住宅、販売用の在庫は対象外です。
これらに当てはまらない場合でも、計算した倍率が1.67倍以下なら補正はかかりません。築年数が長く土地の持分が広い物件は、この帯に収まることがあります。
2つの例外があります。同じ建物に2室以上を持っている場合、登記簿の割合は合計になっているため各室ごとの割合に直します。1室を夫婦などで共有している場合は、登記簿には各人の持分を反映した割合が載っていますが、計算には共有者合計の割合を使います。
補正が先です。もとの評価額に引き上げ率を掛けて金額を出し直したうえで、その金額を基に貸家の減額を適用します。小規模宅地等の特例も補正後の金額が出発点になります。
国税庁の計算明細書を使えば補正率まで計算できます。ただし敷地権の割合の読み取りや、減額を使う順序で誤りが起きやすい部分です。また新ルールで計算した金額が必ず認められるとは限らず、国税庁はより高い価額で評価することもあると示しています。
マンションの相続税評価額は、手元の2つの書類から数字を読み取れば自分で概算を出せます。つまずくのは算式ではなく、どの数字を使うかの判断です。
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年8月時点の法令等に基づいて作成しています。相続税法や財産評価に関する通達の改正により内容が変わる場合があります。最新の制度については国税庁のホームページまたは税理士にご確認ください。