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相続税と確定申告の違いとは?準確定申告も含めた3つの申告を完全整理

相続税_確定申告_違い

「相続が発生したとき、確定申告は必要なの?」「相続税を申告したから確定申告は不要よね?」——この2つの疑問を混同している方は非常に多くいます。

結論から言えば、相続税申告と確定申告は全く別の制度で、相続が発生すると最大3種類の申告が必要になる場合があります。

この3種類とは、「相続税申告(相続税)」「準確定申告(被相続人の所得税)」「相続人の確定申告(相続人自身の所得税)」です。それぞれ申告期限・提出先・対象者が異なり、必要なケースと不要なケースも違います。

本記事では3つの申告の違いを一覧表で整理し、「自分には何の申告が必要か」を判断できるようにケース別の判定フローも解説します。

▼ この記事の3行まとめ

  • 相続税申告と確定申告は全く別の制度。相続税を申告しても確定申告が不要になるわけではない
  • 相続が発生すると「相続税申告(10ヶ月以内)」「準確定申告(4ヶ月以内)」「相続人の確定申告(翌年3月15日まで)」の最大3種類が必要になる場合がある
  • 遺産を受け取っただけでは確定申告は原則不要。ただし売却・収入発生・保険金受取などは別途申告が必要

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相続税・準確定申告・確定申告の3つの違い【全体像】

相続が発生した際に関係する申告は「相続税申告」「準確定申告」「相続人の確定申告」の3種類あります。それぞれがどの税目・誰の申告・いつまでかを混同することで、申告漏れや二重の混乱が生じます。

まずこの3つの全体像を把握することが全ての出発点です。

3つの申告の全体比較表

相続税申告準確定申告相続人の確定申告
何の税か相続税所得税(被相続人の)所得税(相続人の)
誰の申告か財産を受け取った相続人亡くなった人(相続人が代行)相続人本人
申告期限相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内翌年2月16日〜3月15日
提出先税務署被相続人の住所地を管轄する税務署被相続人の住所地を管轄する税務署相続人の住所地を管轄する税務署
申告が必要なケース遺産総額が基礎控除を超える場合被相続人が一定の収入を得ていた場合相続後に収入・売却益が発生した場合
申告が不要なケース遺産が基礎控除以下(一定の特例を除く)被相続人がサラリーマンのみで収入が少ない場合など相続した財産から収入・売却益が発生しない場合

この表から最も重要なポイントは2つです。第一に、相続税申告と確定申告は全く別の制度であり、一方を行っても他方の義務は消えません。第二に、準確定申告は申告期限が4ヶ月と最も短いため、相続発生直後から意識しないと見落とすリスクがあります。

3つの申告が全て必要になる典型ケース

以下のケースでは3種類の申告全てが必要になります。

具体例:Aさん(不動産オーナー・自営業)が亡くなり、遺産総額1億円・法定相続人は子2名。Aさんは生前から確定申告をしていた。子2名はAさんが所有していた賃貸アパートを相続し、その後1年以内に1棟を売却した。

  • 相続税申告:遺産1億円が基礎控除(4,200万円)を大幅に超えるため必要。10ヶ月以内に申告
  • 準確定申告:Aさんが生前に不動産収入・事業所得を得ていたため必要。4ヶ月以内に相続人が代行申告
  • 相続人の確定申告:相続後の賃料収入が発生したこと、さらにアパートの売却益(譲渡所得)が生じたため翌年3月15日までに申告

このように、相続後には複数の申告義務が並行して発生することがあります。特に準確定申告の4ヶ月という期限は他の申告より短いため、相続が発生したら最優先で確認してください。

相続税申告|財産を受け取ったことへの課税

相続税申告は、相続または遺贈によって財産を取得した場合に課される「相続税」の申告手続きです。所得税の確定申告とは課税の根拠・税目・担当部署が全て異なります。

相続税申告の基本と申告が必要なケース

相続税申告が必要かどうかは、遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかどうかで判断します。

法定相続人の数基礎控除額申告の要否(遺産1億円の場合)
1名3,600万円申告必要(超過)
2名4,200万円申告必要(超過)
3名4,800万円申告必要(超過)
4名以上5,400万円以上申告必要(超過)

参照元:国税庁 No.4152 相続税の計算

注意点:税額ゼロでも申告が必要なケース
配偶者控除・小規模宅地等の特例を適用することで税額がゼロになる場合でも、特例の適用を受けるための申告書の提出が必要です。「税額がゼロだから申告不要」という誤解が多いため特に注意が必要です。

申告期限を過ぎた場合のペナルティ:
申告期限(10ヶ月)を過ぎると、無申告加算税(5〜25%)・延滞税(年2.4〜8.7%)が発生します。さらに配偶者控除・小規模宅地等の特例が使えなくなるリスクもあります。

参照元:国税庁 No.4205 相続税の申告と納税

相続税申告と確定申告の根本的な違い

項目相続税申告確定申告(所得税)
課税の根拠財産を「無償で受け取ったこと」「収入を得たこと」
適用される法律相続税法所得税法
申告の頻度相続が発生したとき1回限り毎年(収入がある限り)
税率10〜55%(累進課税)5〜45%(累進課税)
担当税務署被相続人の住所地申告者(相続人)の住所地

このように、相続税申告と確定申告は使用する法律・課税のロジック・申告先が全て異なります。一方を申告してももう一方の義務は一切なくなりません。

準確定申告|亡くなった人の所得税申告(4ヶ月以内)

準確定申告は「亡くなった人の代わりに、相続人が行う所得税の確定申告」です。通常の確定申告は本人が翌年3月15日までに行いますが、亡くなった場合は相続人が代わりに行います。期限が相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内と短く、見落とすリスクが高い申告です。

参照元:国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)

準確定申告が必要な人・不要な人

被相続人の状況準確定申告の要否理由
サラリーマン(給与収入のみ)で年収2,000万円以下原則不要会社が年末調整を行っているため
サラリーマンで副業収入が年間20万円超必要副業収入の申告が必要
自営業・フリーランス必要事業所得の申告が毎年必要だったため
不動産収入がある(賃貸オーナーなど)必要不動産所得の申告が必要
年金受給者(年金額400万円以下・他の所得20万円以下)原則不要確定申告不要制度の対象
年金+不動産収入あり必要複数の所得があるため
高額な医療費控除・寄附金控除などがある申告した方が有利還付が受けられる可能性がある

準確定申告をすると還付になるケース:
医療費が多かった・年の途中で亡くなり源泉徴収税額が過大だったなどの場合、準確定申告をすることで所得税の還付が発生します。この還付金は相続財産として相続人が受け取れます(相続税の対象)。申告義務がない場合でも、還付が見込まれる場合は積極的に申告することをお勧めします。

準確定申告の手続き詳細

申告対象となる所得:被相続人の1月1日から死亡日までの所得(通常の確定申告は1年分だが、準確定申告は死亡日までが対象)。

誰が申告するか:相続人全員が連署して1つの申告書を提出するのが原則ですが、各相続人が別々に申告することも可能です。

申告書の提出先:被相続人(亡くなった方)の住所地を管轄する税務署。相続人自身の住所地の税務署ではありません。

必要書類(主なもの):

  • 準確定申告書(所得税申告書と同様の書式)
  • 被相続人の源泉徴収票・支払調書
  • 医療費領収書(医療費控除を受ける場合)
  • 生命保険料控除証明書
  • 不動産収入・経費の帳簿
  • 相続人全員の署名・押印欄(連署の場合)または「準確定申告書に係る確認書」

期限を過ぎた場合のペナルティ:
準確定申告の期限(4ヶ月)を過ぎると、納税が必要な場合に延滞税・加算税が発生します。相続発生後は相続税申告(10ヶ月)に気を取られがちですが、準確定申告(4ヶ月)の方が先に期限が来ることを忘れないでください。

相続人の確定申告が必要になる5つのケース

遺産を受け取っただけでは相続人自身の確定申告は原則不要です。しかし相続後に「収入が発生した」「財産を売却した」「保険金を受け取った」などの場合は、相続人自身の確定申告(所得税)が必要になります。

ケース①|相続した不動産を売却した場合(譲渡所得)

どんな場合か:相続した土地・建物・株式などを売却し、売却益(譲渡所得)が発生した場合。

税率と特別控除:

所有期間税率(所得税+住民税)主な特別控除
5年以下(短期)39.63%
5年超(長期)20.315%相続空き家の3,000万円特別控除など

重要なポイント:所有期間の計算は相続人が取得した日ではなく、被相続人が取得した日からカウントします。被相続人が30年前に購入した自宅を相続後すぐに売却しても「長期」扱いになります。

取得費加算の特例:相続税を支払った場合、支払った相続税の一部を売却した財産の取得費に加算できる「取得費加算の特例」があります。この特例を活用することで譲渡所得を大幅に圧縮できるため、相続税申告書のコピーを必ず保管してください。

ケース②|賃貸不動産を相続した場合(不動産所得)

どんな場合か:アパート・マンション・駐車場などの収益物件を相続し、相続後も賃料収入が発生した場合。

時期賃料収入の帰属申告
被相続人の死亡日まで被相続人の所得準確定申告で申告
被相続人の死亡日の翌日以降相続人の所得相続人の確定申告で申告

ケース③|生命保険金を受け取った場合

保険料負担者被保険者受取人課税される税
被相続人被相続人相続人相続税(みなし相続財産)
相続人(受取人)被相続人相続人所得税(一時所得)
相続人A被相続人相続人B贈与税

受取人自身が保険料を払っていた場合は一時所得として所得税がかかるため、翌年の確定申告が必要です。

ケース④|未支給年金を受け取った場合

未支給年金は相続財産ではなく、相続人の「一時所得」として所得税の対象になります。一時所得には50万円の特別控除があるため、未支給年金が50万円以下であれば実質的に課税されないケースが多いです。

ケース⑤|相続財産を寄付した場合

相続した財産を一定の要件のもとで寄付すると、その財産は相続税・譲渡所得税ともに非課税になる場合があります。ただし確定申告での申告が必要です。寄付先・タイミング・要件によって非課税の適用可否が変わるため、事前に税理士に確認することをお勧めします。

3つの申告の期限・提出先・担当者を一覧で整理

相続発生後に必要な申告の期限を時系列で整理します。最も注意が必要なのは準確定申告(4ヶ月)が相続税申告(10ヶ月)よりも先に期限が来ることです。

相続発生後の申告タイムライン

時期申告の種類期限提出先税務署誰が申告
相続発生後3ヶ月以内相続放棄の判断3ヶ月以内家庭裁判所各相続人
相続発生後4ヶ月以内準確定申告4ヶ月以内(最重要)被相続人の住所地相続人全員(連署または個別)
相続発生後10ヶ月以内相続税申告10ヶ月以内被相続人の住所地相続人(または税理士)
相続が発生した翌年相続人の確定申告翌年2月16日〜3月15日相続人の住所地相続人本人

各申告の期限を過ぎた場合のペナルティ比較

申告の種類期限超過時のペナルティその他のリスク
準確定申告延滞税(年2.4〜8.7%)+加算税(5〜25%)
相続税申告延滞税(年2.4〜8.7%)+無申告加算税(5〜25%)配偶者控除・小規模宅地特例が使えなくなる
相続人の確定申告延滞税(年2.4〜8.7%)+加算税(5〜15%)

期限超過によるペナルティを避けるため、相続発生後は速やかに税理士に相談して各申告のスケジュールを確認してください。

よくある5つの誤解|「相続税を払えば確定申告不要」は間違い

誤解①|「相続税申告をしたから確定申告は不要」

正しくは:相続税申告と確定申告は全く別の制度です。相続税申告をしても、準確定申告や相続人の確定申告の義務はなくなりません。2つの申告が重なる場合は両方行う必要があります。

実際に起きるリスク:被相続人が不動産オーナーで、相続人が準確定申告を忘れた場合、数ヶ月後に税務署から「申告漏れ」の指摘が来て、延滞税・加算税が課されます。

誤解②|「確定申告をしたから相続税は不要」

正しくは:確定申告の申告書に相続税の内容を記載しても意味がなく、相続税申告書を別途提出する必要があります。確定申告と相続税申告は税務署の別部署が管轄する全く別の手続きです。

誤解③|「遺産を受け取ったから確定申告が必要」

正しくは:遺産(現金・預貯金・不動産など)を受け取るだけでは所得税は発生しません。遺産を受け取ること自体は所得税の対象ではありません。ただし相続後に「売却」「賃料収入」「保険金受取」などが発生した場合は確定申告が必要になります。

誤解④|「相続税がかからないから準確定申告も不要」

正しくは:相続税の要否と準確定申告の要否は全く連動していません。遺産が基礎控除以下で相続税がかからない場合でも、被相続人に一定の所得があった場合は準確定申告が必要です。

誤解⑤|「準確定申告は相続税申告と一緒にすればいい」

正しくは:準確定申告の期限は相続開始後4ヶ月、相続税申告は10ヶ月です。準確定申告の方が6ヶ月も早く期限が来るため、「相続税申告と一緒に」と思っていると準確定申告の期限を過ぎてしまいます。

ケース別判定フロー|自分に何の申告が必要か

STEP1|準確定申告が必要かを判定する

被相続人(亡くなった方)に以下の収入があった場合は4ヶ月以内に準確定申告が必要です。

被相続人の収入の種類準確定申告の要否緊急度
サラリーマン(給与のみ・年収2,000万円以下)原則不要
サラリーマン+副業(年間20万円超)必要高(4ヶ月以内)
自営業・フリーランス必要高(4ヶ月以内)
不動産収入あり必要高(4ヶ月以内)
年金受給者(年金のみ・400万円以下)原則不要
年金+その他収入あり必要高(4ヶ月以内)
多額の医療費・寄付があった任意(還付の可能性あり)中(した方がお得)

STEP2|相続税申告が必要かを判定する

判定条件相続税申告の要否注意点
遺産総額が基礎控除以下原則不要特例を使う場合は申告が必要
遺産総額が基礎控除を超える必要10ヶ月以内に申告
税額がゼロになる(配偶者控除・小規模宅地等の特例適用)必要(申告しないと特例が使えない)税額ゼロでも申告が必要

STEP3|相続人の確定申告が必要かを判定する

相続後の状況確定申告の要否申告する所得の種類
相続した財産をそのまま保有している不要
相続した不動産・株式を売却した必要譲渡所得
相続した賃貸物件から賃料が入っている必要不動産所得
自分が保険料を払っていた保険の死亡保険金を受け取った必要一時所得
未支給年金を受け取った50万円超の場合に必要一時所得
相続財産を一定の団体に寄付した必要(非課税特例の申請)寄附金控除

各申告の必要書類チェックリスト

準確定申告の主な必要書類

書類の種類取得場所対象者
準確定申告書(様式は通常の申告書と同じ)税務署・国税庁ウェブサイト全員
被相続人の源泉徴収票勤務先・年金機構給与・年金収入がある場合
医療費領収書(医療費控除を申請する場合)各医療機関医療費が多い場合
生命保険料控除証明書保険会社生命保険料控除を受ける場合
不動産収入・経費の帳簿手元の記録不動産収入がある場合
相続人全員の署名・押印欄(連署の場合)自分で準備連署申告する場合

相続税申告の主な必要書類

書類の種類取得場所
被相続人の戸籍謄本(出生〜死亡までの連続したもの)市区町村役場
相続人全員の戸籍謄本・住民票各本籍地の市区町村役場
遺産分割協議書(実印・印鑑証明書付き)自分で作成
不動産の固定資産税評価証明書・登記簿謄本・公図市区町村・法務局
預貯金の残高証明書(死亡日時点)各金融機関
生命保険の支払通知書保険会社
株式・投資信託の残高証明書証券会社

相続人の確定申告(不動産売却の場合)の主な必要書類

書類の種類取得場所
不動産の売買契約書(売却時)不動産会社・手元の控え
被相続人が取得した際の売買契約書(取得費の証明)手元の書類・法務局
登記簿謄本・名義変更の確認書類法務局
仲介手数料・測量費などの領収書手元の控え
相続税申告書のコピー(取得費加算の特例を使う場合)手元のコピー

参照元:国税庁 相続税の申告の際に提出していただく主な書類

税理士に依頼すべき判断基準と費用対効果

相続後の3種類の申告(準確定申告・相続税申告・相続人の確定申告)は、ケースによっては自力で行えるものもあります。しかし、ミス1つで数百万円の損失になりかねない申告でもあります。

「費用がかかるから」という理由で専門家を避けることが、最も高くつく判断になりやすいのが相続関連の申告です。ここでは申告の種類別・状況別に「自力でできるか・税理士に頼むべきか」を具体的に整理します。

準確定申告|自力 vs 税理士依頼の判断基準

準確定申告は3種類の中で最も期限が短く(4ヶ月)、かつ通常の確定申告より難しい点があります。特に「被相続人が複数の収入源を持っていた」「医療費控除・住宅ローン控除などの手続きが必要」というケースは専門家への依頼を検討してください。

被相続人の状況難易度推奨自力の場合のリスク
サラリーマン(給与のみ・年収2,000万円以下)で準確定申告不要不要申告不要
サラリーマン+副業(年間20万円超)低〜中自力またはe-Tax可副業の種類によっては複雑
年金受給者のみ(確定申告不要制度の対象)不要申告不要
不動産収入あり(賃貸1〜2件)税理士推奨経費の計上漏れで過大納税になりやすい
自営業・フリーランス(帳簿あり)税理士必須帳簿の引き継ぎ・在庫評価など専門判断が必要
複数の収入源(給与+不動産+株式など)税理士必須申告漏れで後日税務調査の対象になりやすい
多額の医療費控除・寄付がある(還付の可能性)税理士推奨(費用以上の還付が見込める場合)還付の機会を逃す

費用の目安と費用対効果:

ケース税理士費用の目安期待できる効果
シンプルなケース(給与+少額副業)5万〜10万円申告漏れリスクの回避・正確な申告
不動産収入あり(1〜3件)10万〜20万円適正な経費計上で税額を最小化
自営業・複数の収入源15万〜30万円帳簿整理・申告漏れ防止・税務調査対策
還付目的(医療費・寄付など)3万〜8万円還付額が費用を上回るケースが多い

準確定申告で還付が見込まれる場合は、費用を払っても手元に残る金額が増えることがあります。「申告不要だろう」と放置する前に、被相続人の収入状況を一度確認することをお勧めします。

相続税申告|自力 vs 税理士依頼の判断基準

相続税申告は3種類の申告の中で最も複雑で、かつミスによる損失が最大になりやすいものです。土地の評価一つで数百万〜数千万円の差が出るため、不動産が含まれる場合は原則として税理士への依頼を強く推奨します。

遺産の状況難易度推奨自力の場合の主なリスク
現金・預貯金のみ(不動産なし)低〜中自力も可(ただし計算漏れに注意)基礎控除計算のミス・控除の見落とし
上場株式のみ自力またはe-Tax可評価日の誤り・配当の取り扱いミス
自宅不動産あり(小規模宅地等の特例を使いたい)税理士必須特例の要件ミスで数百万〜数千万円の過大納税
複数の不動産(賃貸・農地など)非常に高税理士必須土地評価の補正漏れで過大納税、または評価が低すぎて過少申告
非上場株式・事業用資産あり非常に高税理士必須評価方法の誤りで多額の過大・過少申告
二次相続を見据えた遺産分割を行いたい税理士必須一次・二次のトータル税額を最小化できない

費用の目安と費用対効果:

遺産総額税理士費用の目安節税効果(特例活用・評価補正時)差額(費用対効果)
5,000万円(自宅あり)25万〜50万円小規模宅地特例で80万円〜
土地補正で数十万円
費用を大幅に上回るケースが多い
1億円(自宅+金融資産)50万〜100万円特例+評価補正で200万〜500万円費用の2〜5倍の節税効果
2億円(不動産中心)100万〜200万円特例+評価補正で500万〜2,000万円超費用の5〜10倍の節税効果

相続税申告は「税理士費用を払っても節税額の方が大きい」ケースが非常に多く、費用対効果が最も高い申告です。

相続人の確定申告|自力 vs 税理士依頼の判断基準

発生した収入・売却の種類難易度推奨活用できる主な特例
相続した不動産を売却した税理士必須取得費加算の特例・3,000万円特別控除(空き家)
賃貸不動産を相続・収入が発生した中〜高税理士推奨減価償却・各種経費の適正計上
自分が保険料を負担していた保険の保険金を受け取った自力可一時所得の50万円特別控除
未支給年金を受け取った自力可(50万円超の場合)一時所得の50万円特別控除
相続財産を寄付した(非課税申請)税理士必須相続財産の寄付による非課税特例

不動産売却の場合の費用対効果(具体例):

自力申告(特例未活用)税理士依頼(特例フル活用)
取得費加算の特例未適用相続税の一部(仮に200万円)を取得費に加算
課税対象の譲渡所得1,000万円800万円(200万円圧縮)
所得税・住民税(長期20.315%)約203万円約163万円
税理士費用15万円
実質負担203万円178万円
差額▲25万円の削減

相続専門税理士 vs 一般税理士の違いと選び方

「いつも確定申告をお願いしている税理士に相続税も頼めばいい」という考えが最も危険です。税理士なら誰でも同じというわけではありません。

比較項目相続専門税理士一般税理士(相続税非専門)
年間の相続税申告件数30件以上(目安)年に数件以下
土地評価の補正対応不整形地・路地状敷地・地積規模の評価減を熟知路線価のみで計算しがちで補正を見落とす
小規模宅地等の特例の適用要件・最適な適用方法を判断できる要件確認が不十分なケースがある
二次相続のシミュレーション一次・二次のトータルで最適化を提案当面の申告のみで二次相続を考慮しないことがある
税務調査対応調査対応の実績・ノウハウを持つ調査対応が不慣れなケースがある

無料相談で確認すべき質問リスト

初回の無料相談で以下を確認することで、税理士の専門性・費用・対応品質を事前に把握できます。良い税理士は具体的な数字や根拠を即答できます。曖昧な回答が多い場合は別の事務所を検討してください。

確認したい内容質問例良い回答の目安
相続税の専門性「年間の相続税申告件数は何件ですか?」30件以上と即答できる
土地評価の対応力「地積規模の大きな宅地の評価は対応できますか?」制度を理解した上で即答
二次相続への対応「二次相続も含めたシミュレーションをしてもらえますか?」「一次・二次で一緒に考えましょう」
費用の透明性「報酬の見積もりを書面で提示してもらえますか?」即日または翌日に書面を提示
準確定申告との連携「準確定申告も含めて対応できますか?」「はい、一括対応できます」
税務調査の対応「調査が入った場合の対応と費用はどうなりますか?」費用・対応範囲を明確に説明できる
担当者の確認「実際に申告書を作成するのは誰ですか?」専門担当者が対応することを明示

複数の申告を一括依頼するメリット

準確定申告・相続税申告・相続人の確定申告を同一の税理士に一括依頼することで、以下のメリットが得られます。

  • 情報共有がスムーズ:準確定申告で確定した医療費控除や債務が相続税申告の控除額に影響するケースがあり、同一担当者ならミスなく連携できる
  • 費用の割引が期待できる:複数の申告を一括依頼することでセット割引になる事務所が多い
  • 期限管理がスムーズ:4ヶ月・10ヶ月・翌年3月という異なる3つの期限を1カ所で管理してもらえる
  • 書類の二重収集が不要:戸籍謄本・残高証明書など共通書類を一度収集すれば複数の申告に使い回せる

相続が発生したら、まず相続専門の税理士事務所に「準確定申告・相続税申告・不動産売却予定の確定申告を一括でお願いしたい」と相談することをお勧めします。

よくある質問(FAQ)

Q. 遺産が基礎控除以下で相続税がかからない場合、確定申告も不要ですか?

相続税の申告が不要でも、確定申告(準確定申告・相続人の確定申告)が必要な場合があります。相続税の要否と確定申告の要否は完全に別の判定です。被相続人が自営業・不動産オーナーだった場合は遺産規模に関わらず準確定申告が必要なケースがあります。また相続後に賃料収入・売却益が発生した場合は相続人の確定申告も必要になります。

Q. 準確定申告は誰がいつまでに行う必要がありますか?

準確定申告は相続人全員が連署して行うのが原則ですが、各相続人が個別に申告することも可能です。期限は相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内です。提出先は被相続人の住所地を管轄する税務署で、相続人自身の住所地の税務署ではない点に注意が必要です。

参照元:国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)

Q. 相続した株式を売却した場合、相続税と所得税の両方がかかりますか?

はい、かかります。株式の相続では相続時に相続税が課されます(遺産が基礎控除を超える場合)。さらに相続後に株式を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合は所得税・住民税も課されます。ただし、「取得費加算の特例」を利用することで、支払った相続税の一部を取得費に加算し、譲渡所得を減らすことができます。この特例は確定申告で申請するため、相続税申告書のコピーが必要になります。

Q. 相続税申告をe-Taxで行うことはできますか?

できます。相続税申告はe-Taxで提出可能ですが、添付書類(戸籍謄本・評価書類など)の電子提出と紙提出を組み合わせる必要があります。準確定申告もe-Taxで提出できますが、相続人が複数いる場合の電子署名の扱いが複雑なため、初めての場合は税務署窓口または税理士への相談をお勧めします。

Q. 相続税申告と準確定申告を同じ税理士に依頼できますか?

できます。むしろ同一の税理士に依頼する方が情報共有がスムーズで効率的です。準確定申告で確定した医療費控除・債務などが相続税申告の控除額に影響するケースがあるため、一括で依頼することで最適な申告内容になります。相続専門の税理士事務所に「準確定申告も含めて対応できますか」と確認してから依頼することをお勧めします。

Q. 海外に住んでいる相続人は確定申告が必要ですか?

日本国内に住所がない相続人(非居住者)でも、相続した財産が日本国内にある場合は相続税の申告義務があります。確定申告については、日本国内の所得(不動産収入・売却益など)が発生した場合に原則として申告義務があります。海外居住者の相続申告は国際税務の専門知識が必要なため、必ず専門家に相談してください。

まとめ|相続後の申告は「3種類の申告を混同しないこと」が最重要

3種類の申告の違いについて

  • 相続税申告(相続税)・準確定申告(被相続人の所得税)・相続人の確定申告(相続人の所得税)は全く別の制度
  • 「相続税を申告したから確定申告は不要」は誤り。それぞれ独立した義務がある

期限の管理について

  • 準確定申告(4ヶ月)が相続税申告(10ヶ月)より先に期限が来ることを必ず意識する
  • 相続が発生したら1ヶ月以内に全ての申告スケジュールを確認してください

確定申告の要否判定について

  • 遺産を受け取るだけでは確定申告は不要。収入・売却益が発生した場合に必要になる
  • 相続税がかからなくても準確定申告が必要なケースがある
  • 「自分に何の申告が必要か」は本記事のケース別判定フローで確認し、不明な場合は今すぐ相続専門の税理士に相談してください

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断や法律判断を保証するものではありません。具体的な相続対策・申告は、必ず税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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