親子間の贈与税はいくらから?親から子への贈与が非課税になる金額と方法

親から子_贈与_非課税

親子間の贈与税は、子が1年間に受け取った贈与の合計が110万円を超えるとかかります。110万円は父と母を合わせた、もらう子1人あたりの枠です。

110万円を超えた分には、18歳以上の子なら税率の低い特例税率が使えます。1,000万円をもらうと、贈与税は177万円です。

一方で、仕送りや学費をその都度渡す分は、金額にかかわらず贈与税がかかりません。住宅資金などの特例を使えば、さらに大きな額を非課税で渡せます。

逆に、車をもらう・借金を返してもらう・家の名義を変えるなど、現金以外でも贈与税がかかる場面があります。

相続税との関係では、2024年以後の贈与から、相続財産に足し戻す期間が3年から7年へ順に延びています。

この記事では、親子間の贈与税がいくらからかかるか、かかる・かからないの早見表、非課税の特例、7年加算への備え、金額別の税額、意外な課税ケースまでを解説します。

▼ この記事の3行まとめ

  • 親から子への贈与は年110万円まで非課税で、生活費・教育費や各種特例を使えばさらに大きな額を非課税で渡せる
  • 2024年改正で生前贈与加算が7年に延長されたため、相続税対策として使うなら早く始め・精算課税110万円の活用が鍵
  • 低額譲渡や名義預金など意外な課税ケースもあり、最適な方法は一括相談・見積りで税理士を比較するのが安全
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親子間の贈与税はいくらから?110万円を超えた分にかかる

親から子へお金や不動産を渡すと、原則として子に贈与税がかかります。まずは贈与税の基本的な仕組みと、親子間ならではの税率を理解しておきましょう。

ここでは、かかる・かからないの早見表、贈与税がかかる理由、親子間に適用される特例税率、贈与税を払うのは誰かを整理します。

親子間で贈与税がかかる・かからない早見表

親子間のお金や物のやり取りが贈与税の対象になるかは、次の表で判定できます。現金以外でも、名義や負担者が親から子へ移れば贈与になります。

親から子へのやり取り 贈与税 判定のポイント
年110万円以下の現金(父母からの合計) かからない もらう子1人あたり年110万円まで。申告も不要
父と母から100万円ずつ(合計200万円) かかる 110万円を超える90万円に課税(税額9万円)
仕送り・学費をその都度払う かからない 通常必要な範囲で、実際に生活費や学費に使う分
4年分の学費をまとめて渡し、子が預金している かかる 必要な都度の支払いに当たらない
結婚祝い・出産祝い(常識的な金額) かからない 社会通念上相当と認められる範囲
親の車をもらう かかることがある 車の時価が110万円を超えれば課税
子の住宅ローンや借金を親が返す かかる 親が返した金額が贈与になる
借用書があり、実際に返済している親子間の貸し借り かからない 返済しない約束や返済の実績がなければ贈与
親の家や土地を子の名義に変える かかる 評価額が贈与(相続時精算課税で贈与税を0円にできる)
親の財産を時価より著しく安く買う かかる 時価との差額が贈与
親が保険料を払った満期保険金を子が受け取る かかる 保険料を負担した親からの贈与
親の会社から子がお金をもらう 贈与税はかからない 法人からの贈与は所得税(給与や一時所得)の対象
配偶者の父母(義理の父母)からもらう かかる(一般税率) 直系尊属ではないため特例税率・住宅資金の特例は使えない(養子縁組をすれば実の子と同じ)
親が子の名義の口座に積み立て、親が管理している 贈与税はかからない 贈与が成立せず、名義預金として親の相続税の対象
住宅の購入資金をもらう(省エネ等住宅) 1,000万円まで非課税 2026年12月31日までの贈与。申告が必要

表の見方:黄色は贈与税がかからない(非課税になる)やり取り、薄赤は贈与税がかかるやり取りです。110万円の判定は、父と母からもらった分を合計してから行います。

重要ポイント:贈与税がかからなくても、名義預金のように相続税の対象になるものがあります。義理の父母からの贈与は、一般税率で計算するため同じ金額でも税額が高くなります。

参照元:国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合

親子間でも贈与税がかかる理由

贈与税は、個人から財産を無償で受け取ったときにかかる税金です。親子は他人ではありませんが、税法上は「個人から個人への贈与」として扱われ、課税対象になります。

贈与税がかかるのは、財産を受け取った子の側です。1年間(1月1日〜12月31日)に受け取った財産の合計から、基礎控除110万円を引いた額に課税されます。

贈与の対象になるのは現金だけではありません。不動産・株式・車・貴金属など、金銭的な価値のあるものすべてが対象です。名義変更を伴うものは特に見落とされがちです。

特に親から子への贈与では、現金だけでなく不動産や株式の名義変更が典型的です。これらは金額が大きくなりやすく、贈与税の負担も重くなるため、渡し方を事前に検討することが大切です。

親子だからといって自動的に非課税になるわけではありません。ただし、生活費・教育費や各種特例など、親子間だからこそ使える非課税の仕組みが多く用意されています。

重要ポイント:親子間の贈与も年110万円を超えれば贈与税の課税対象です。「親子だから非課税」という思い込みに注意してください。

参照元:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

親子間の贈与は「特例税率」が使える

贈与税の税率には「特例税率」と「一般税率」の2種類があります。18歳以上の子や孫が、親・祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合は、税率の低い特例税率が適用されます。

特例税率は一般税率よりも税負担が軽く設定されています。同じ金額を贈与しても、成人した子への贈与のほうが未成年への贈与より税額が少なくなります。

特例税率が設けられているのは、親から子・孫への資産移転を促し、経済の活性化につなげる狙いがあるためです。高齢世代に偏った資産を、消費が活発な現役世代へ移す政策的な配慮です。

たとえば1,000万円を贈与した場合、成人の子への特例税率では177万円、未成年の子への一般税率では231万円と、54万円もの差が生じます。

区分 特例税率(18歳以上の子) 一般税率(未成年の子など)
課税価格(1,000万円−110万円) 890万円 890万円
税率・控除 30%・90万円控除 40%・125万円控除
贈与税額 177万円 231万円

計算ロジック:【前提】1,000万円贈与・基礎控除110万円。成人の子は特例税率で177万円、未成年は一般税率で231万円。子が18歳以上かどうかで54万円の差が出ます。

参照元:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

贈与税を申告・納税するのは誰か

贈与税を申告し、納税する義務があるのは、財産を受け取った子(受贈者)です。財産をあげた親ではない点に注意が必要です。

年110万円を超える贈与を受けた場合、子は翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告を行い、納税します。申告を忘れると加算税や延滞税といったペナルティが課されます。

親が「贈与したつもり」でも、子がその事実を知らず管理もしていなければ、贈与が成立していないとみなされることもあります。贈与は双方の合意が必要です。

また、贈与税の申告と納税は、贈与を受けた翌年の3月15日が期限です。相続税の申告期限(10ヶ月以内)とは異なるため、混同しないよう注意が必要です。

納税は原則として現金一括です。多額の贈与を受ける場合は、贈与税を支払う資金も見込んでおく必要があります。

重要ポイント:贈与税を申告・納税するのは受け取った子の側です。申告期限は翌年2月1日〜3月15日。忘れるとペナルティがかかります。

親から子への贈与が非課税になるケース|生活費・年110万円

親から子への贈与でも、贈与税がかからないケースはいくつもあります。代表的なのが「年110万円以下の贈与」と「生活費・教育費の贈与」です。

これらを正しく理解すれば、贈与税を払わずに親から子へ財産や支援を渡せます。まずは基本の非課税枠から押さえましょう。

年110万円以下の贈与(暦年課税の基礎控除)

最も基本的な非課税枠が、暦年課税の年110万円基礎控除です。子が1年間に受け取った贈与の合計が110万円以下なら、贈与税はかからず、申告も不要です。

この枠を使い、毎年110万円ずつ複数年にわたって贈与すれば、まとまった額を非課税で移せます。10年続ければ1,100万円を無税で渡せる計算です。

110万円を少し超える贈与でも、超えた部分だけに贈与税がかかります。たとえば150万円の贈与なら、超過分40万円に対して税率10%で4万円の贈与税で済みます。

相続税率が高い家庭では、あえて110万円を少し超える額を贈与し、低い贈与税を払ってでも相続財産を早く減らすほうが、トータルで得になることもあります。

ただし注意したいのは、110万円は「もらう人ごと」の枠だという点です。父から110万円、母から110万円を受け取ると合計220万円となり、110万円分に贈与税がかかります。

計算ロジック:基礎控除は「もらう人ごと」に年110万円。父母それぞれから110万円ずつ受け取ると合計220万円で110万円分が課税対象になります。

参照元:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

生活費・教育費としての贈与

親には子を扶養する義務があります。この扶養義務にもとづき、親が子に渡す通常必要な生活費や教育費は、そもそも贈与税がかかりません。金額の上限もありません。

生活費とは日常生活に必要な費用、教育費とは学費・教材費・文具費などを指します。これらを必要な都度渡す限り、110万円を超えても非課税です。

ただし、生活費・教育費として渡したお金を子が使わずに貯金したり、投資や車の購入に充てたりすると、贈与税の対象になります。「その都度・必要な分だけ」が原則です。

たとえば、大学の学費として毎年150万円を渡し、子が実際に学費に使っている限りは非課税です。しかし、まとめて数年分を渡して口座に残しておくと、贈与税がかかる可能性があります。

仕送りや家賃の援助も、社会通念上必要な範囲であれば非課税です。金額が常識的な範囲を超えると、超過分が贈与とみなされることがあります。

注意:生活費・教育費でも使わずに貯金・投資に回すと贈与税の対象になります。非課税なのは「必要な都度渡す」場合に限られます。

参照元:国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合

非課税になるケースの整理

親から子への贈与で非課税になる主なケースを整理すると、次のようになります。それぞれ条件が異なるため、目的に合わせて使い分けることが重要です。

非課税のケース 上限 ポイント
年110万円以下の贈与 年110万円 もらう人ごと・申告不要
生活費・教育費 上限なし その都度・必要な分のみ
各種非課税特例 特例ごと 住宅・教育・結婚子育てなど

重要ポイント:年110万円と生活費・教育費は併用できます。基礎控除を使いつつ、必要な生活費・教育費を別途渡すことも可能です。

生前に贈与するのと相続で渡すのはどちらが得か

親から子へ財産を渡す方法には、生前贈与と相続の2つがあります。どちらが得かは、財産の規模と渡し方によって変わります。

贈与税は相続税より税率が高く設定されているため、一度に多額を贈与すると相続で渡すより高くつくことがあります。しかし年110万円の非課税枠を使い、長期間かけて少しずつ贈与すれば、贈与税を払わずに相続財産を減らせます。

たとえば相続税率が30%の家庭が、非課税枠内で毎年110万円ずつ10年間贈与すれば、1,100万円を無税で移せます。この分の相続税約330万円を軽減できる計算です。

一方、財産が基礎控除以下で相続税がかからない家庭では、贈与税を払ってまで生前贈与する意味は薄くなります。まず相続税がかかるかどうかを確認することが出発点です。

相続税がかかるかどうかは、財産の合計が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかで判断します。超える見込みなら、生前贈与を検討する価値があります。

渡し方 向いているケース ポイント
生前贈与(非課税枠内) 相続税がかかる・時間がある 無税で相続財産を減らせる
相続で渡す 相続税がかからない・財産が少ない 贈与税の負担が不要

計算ロジック:【前提】相続税率30%・年110万円×10年。1,100万円を無税で移転すれば相続税を約330万円軽減できます。まず相続税の有無を確認してから判断します。

参照元:国税庁 No.4155 相続税の税率

相続と贈与の損得の比較は、下記の記事で解説しています。

相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ
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親から子への贈与で使える非課税特例|住宅・教育・結婚子育て・精算課税

年110万円の基礎控除に加えて、親から子への贈与では目的別のさまざまな非課税特例が使えます。これらを知らないと、大きな節税機会を逃します。

ここでは代表的な4つの特例を、金額・要件・最新の適用期限とともに整理します。特例には期限や年齢要件があるため、最新情報の確認が重要です。

住宅取得等資金の贈与の特例

親・祖父母から住宅の取得・新築・増改築のための資金を贈与された場合、一定額まで非課税になる特例です。省エネ等住宅は1,000万円、それ以外の住宅は500万円まで非課税です。

適用期限は2024年1月1日から2026年12月31日までの贈与が対象です。受贈者は贈与を受けた年の1月1日に18歳以上、合計所得金額2,000万円以下などの要件があります。

この特例は年110万円の基礎控除と併用できます。省エネ住宅なら、1,000万円+110万円の合計1,110万円まで非課税で渡せる計算です。

省エネ等住宅とは、断熱性能や耐震性能などが一定の基準を満たす住宅で、住宅性能証明書などで証明します。一般の住宅より非課税枠が500万円多く設定されています。

さらに、相続時精算課税と組み合わせれば、住宅資金1,000万円に加えて精算課税の枠も使えます。マイホーム購入を機に、まとまった資産を非課税で移すことも可能です。

ただし住宅資金の特例は、取得する住宅の要件や取得・居住の期限が細かく定められています。要件を満たさないと非課税が受けられないため、事前確認が欠かせません。

重要ポイント:住宅取得資金は省エネ住宅で最大1,000万円+基礎控除110万円まで非課税。翌年3月15日までの取得・居住が要件です。

参照元:国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

教育資金の一括贈与は2026年3月31日で終了|今は必要なときに都度払う

親・祖父母から30歳未満の子・孫へ教育資金をまとめて渡し、1人あたり1,500万円まで非課税にできる特例がありました。この特例は2026年3月31日で延長されずに終了し、今から新しく使うことはできません。

終了前に金融機関と契約して拠出した資金は、引き続き非課税で使えます。ただし受贈者が30歳になった時点で使い残しがあると、その残額に贈与税がかかります。

これから教育費を援助するなら、学費や入学金をその都度払う方法が基本です。扶養義務者が必要な都度払う教育費は、金額にかかわらず贈与税の対象になりません。

注意:まとめて渡したお金を預金しておく形は、都度払いには当たりません。教育費として非課税になるのは、必要なときに直接払う分だけです。

結婚・子育て資金の一括贈与の特例

親・祖父母から18歳以上50歳未満の子・孫へ、結婚・子育て資金を一括贈与した場合、受贈者1人あたり1,000万円まで非課税になる特例です。うち結婚関連費用は300万円までが上限です。

適用期限は2027年3月31日までで、受贈者の前年の合計所得金額が1,000万円以下であることが要件です。使い残した資金には贈与税や相続税がかかる場合があります。

結婚関連費用には挙式や新居の費用、子育て費用には出産・不妊治療・保育料などが含まれます。対象範囲が定められているため、何に使えるかを事前に確認しておくことが重要です。

この制度は、金融機関で口座を開き、金融機関を通じて非課税申告書を提出する必要があります。手続きの手間も踏まえて、都度払いとどちらが使いやすいかを検討しましょう。

重要ポイント:結婚・子育て資金は最大1,000万円(結婚関連は300万円)非課税。使い残しには課税されるため、使い切れる額に絞るのが賢明です。

相続時精算課税制度(累計2,500万円+年110万円)

相続時精算課税は、60歳以上の親・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、累計2,500万円までの特別控除を受けられる制度です。この枠内なら贈与時に贈与税はかかりません。

2024年1月からは、この制度に年110万円の基礎控除も新設されました。この110万円分は申告不要で、しかも相続財産に加算されません。まとまった財産を早く渡したい場合に有効です。

ただし特別控除2,500万円で贈与した分は、相続時に相続財産へ加算されます。あくまで課税を相続時に「精算」する制度である点を理解しておく必要があります。一度選ぶと暦年課税に戻せません。

この制度が特に活きるのは、まとまった財産を早く子へ移したい場合や、値上がりが見込まれる財産を贈与時の低い評価額で移したい場合です。

逆に、少額を長期間かけて贈与したい場合は、暦年課税のほうが向いていることもあります。どちらが有利かは、贈与できる期間と財産の性質しだいで変わります。

注意:相続時精算課税は一度選ぶと暦年課税に戻せません。2,500万円分は相続時に加算されるため、選択は慎重に行ってください。

参照元:国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択

相続時精算課税の要件と使うべきケースは、下記の記事で解説しています。

特例を選ぶときの比較ポイント

4つの特例は、目的・金額・期限が異なります。自分のケースでどれが使えるかを整理して選ぶことが重要です。

特例 非課税限度 主な用途
住宅取得等資金 最大1,000万円 マイホーム購入・新築
教育資金一括贈与(2026年3月31日で終了) 1,500万円 学費・教育費
結婚・子育て資金 1,000万円 結婚・出産・育児
相続時精算課税 2,500万円+年110万円 まとまった財産の移転

重要ポイント:特例は目的に合ったものを選び、基礎控除110万円と併用するのが基本です。使える特例の見極めは専門家に相談すると確実です。

非課税制度の一覧と期限は、下記の記事で解説しています。

【2024年改正】相続税対策としての親子間贈与|7年加算と精算課税110万円

親から子への贈与は、贈与税だけでなく相続税対策としても重要です。ただし2024年の改正で、相続税対策としての使い方が大きく変わりました。

ここでは生前贈与加算7年への延長、精算課税110万円の相続対策メリット、加算されない相手を整理します。相続税まで見据えた贈与のポイントです。

生前贈与加算が3年から7年に延長

生前贈与加算とは、親が亡くなる前の一定期間内に子へ贈与した財産を、相続財産に加算して相続税を計算する制度です。2024年1月以降、この対象期間が3年から7年へ段階的に延長されました。

加算されると、非課税で贈与したはずの年110万円以下の贈与も相続財産に戻されます。つまり亡くなる直前の贈与は、相続税の節税効果が薄くなります。

たとえば毎年100万円ずつ子に贈与していた場合、3年加算なら加算額は300万円です。7年加算では700万円から100万円を引いた600万円になり、相続税の税率が30%の家庭なら相続税は約90万円増えます。

この延長は被相続人の相続開始日に応じて段階的に進み、7年に完全移行するのは2031年1月1日以降の相続からです。それまでは相続の時期によって加算期間が異なります。

なお、延長された4年分(相続開始前3年超〜7年以内)の贈与は、その合計額から総額100万円を控除できます。段階的な移行スケジュールや詳しい計算は、生前贈与全体の観点で確認するとわかりやすくなります。

この改正は、相続直前の駆け込み贈与による節税を抑える狙いがあります。裏を返せば、時間に余裕をもって計画的に贈与する人ほど、影響を受けにくいということです。

重要ポイント:2024年改正で生前贈与加算が3年から7年に延長(2031年完全移行)。相続税対策として贈与するなら早く始めることが重要です。

参照元:国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除

加算の対象期間と経過措置は、下記の記事で解説しています。

加算されない相手・精算課税110万円の活用

7年加算の対象は、相続や遺贈で財産を受け取る人への贈与です。子は通常、相続で財産を受け取るため加算の対象になりますが、孫(代襲相続人でない場合)への贈与は原則として加算されません。

また、2024年新設の相続時精算課税の年110万円基礎控除は、暦年課税と違って相続財産に加算されません。高齢で贈与期間が短い親が、確実に財産を子へ移したい場合に有効です。

たとえば高齢の親が暦年課税で子へ毎年110万円贈与しても、7年加算で戻される可能性があります。精算課税110万円を使えば、その分は確実に相続財産から外せます。

このように、7年加算の影響を抑える方法は複数あります。子への暦年贈与、孫への贈与、精算課税110万円を、家族構成に応じて組み合わせるのが賢い進め方です。

どの組み合わせが最も効果的かは、親の年齢・財産規模・相続人の構成で変わります。画一的な正解はなく、個別のシミュレーションが欠かせません。

重要ポイント:相続税対策では孫への贈与や精算課税110万円で7年加算を回避できます。子への暦年贈与だけに頼らない設計が有効です。

参照元:国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択

親から子への贈与税シミュレーション|金額別・税率別の計算例

親から子へ贈与した場合、実際にどれだけの贈与税がかかるのかを、具体的な金額でシミュレーションします。金額と子の年齢によって税額が変わります。いずれも一般的な条件による試算です。実際の税額は個別の状況で変わるため、目安として参照してください。

金額別・親から成人の子への贈与税額

18歳以上の子が親から贈与を受けた場合の特例税率で、金額別の贈与税額を試算します。基礎控除110万円を差し引いた額に課税されます。

贈与額 課税価格(−110万円) 贈与税額(特例税率)
300万円 190万円 19万円
500万円 390万円 48.5万円
1,000万円 890万円 177万円
2,000万円 1,890万円 585.5万円

表の見方:贈与額が大きくなるほど税率が上がり、税負担も重くなります。500万円で48.5万円、1,000万円で177万円が目安です。

計算ロジック:【前提】18歳以上の子・特例税率。500万円の場合「(500万円−110万円)×15%−10万円=48.5万円」。金額が上がるほど税率区分が上がります。

参照元:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

特例税率と一般税率の差

同じ金額でも、子が18歳以上(特例税率)か未成年(一般税率)かで税額が変わります。500万円と1,000万円のケースで比較します。

贈与額 特例税率(18歳以上) 一般税率(未成年)
500万円 48.5万円 53万円
1,000万円 177万円 231万円

重要ポイント:1,000万円の贈与では特例税率と一般税率で54万円の差が出ます。子が18歳以上になってからの贈与が有利です。

贈与額の分け方による贈与税の違い

同じ総額を渡す場合でも、一度にまとめて贈与するか、複数年に分けるかで贈与税額は大きく変わります。基礎控除110万円を毎年使えるためです。1,000万円を子に渡すケースで、一度に贈与した場合と、年200万円ずつ5年に分けた場合を比較します。

渡し方 各年の課税価格 贈与税の合計
1,000万円を一度に贈与 890万円 177万円
年200万円×5年に分けて贈与 各年90万円 45万円

表の見方:同じ1,000万円でも、5年に分けて贈与すると贈与税は177万円から45万円へ、132万円も軽くなります。

重要ポイント:急がない贈与なら、複数年に分けて基礎控除を毎年使うのが基本です。ただし毎年同額・同時期の贈与は定期贈与とみなされないよう注意が必要です。

計算ロジック:【前提】特例税率。年200万円は「(200万円−110万円)×10%=9万円」で5年分45万円。一度の1,000万円は177万円。分けるほど低い税率区分で済みます。

参照元:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

なお、生前贈与を「相続税対策」として使う場合の節税シミュレーションや、暦年課税と相続時精算課税の使い分けは、生前贈与全体の観点で判断する必要があります。相続税まで含めた効果は、税理士に試算してもらうのが確実です。

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贈与税がかかる意外なケース|低額譲渡・借金肩代わり・名義預金

親から子への支援は、現金の贈与以外にも思わぬ形で贈与税がかかることがあります。知らずに行うと、あとから課税されてしまいます。ここでは、意外と見落としがちな課税ケースを解説します。事前に知っておけば、余計な税負担を避けられます。

不動産・株式を安く譲る(低額譲渡)

親が所有する不動産や株式を、時価より著しく低い価格で子に譲ると、時価と支払額の差額が贈与とみなされます。これを「低額譲渡」といいます。

たとえば時価3,000万円の土地を子に500万円で売ると、差額2,500万円が贈与とみなされ、贈与税の対象になります。「売買」の形にしても課税を免れません。

この場合、成人の子なら差額2,500万円に特例税率がかかり、贈与税は800万円を超えます。安く譲ったつもりが、かえって高い税負担を招くことになります。

低額譲渡は、親が子に自宅や賃貸物件を譲るときに起こりがちです。「相場より安く売れば税金がかからない」という誤解が、思わぬ課税につながります。売買を検討する際は、必ず時価を確認しましょう。

親子間で財産を移す際は、時価での取引が原則です。安く譲りたい場合は、贈与税や相続時精算課税など、正規の贈与の枠組みを使うほうが安全です。

なお、いくらまでなら「著しく低い」とされるかに、何割という明確な基準はありません。時価との差が大きいほど低額譲渡と判断されやすくなるため、不動産の売買では時価の根拠を残してください。

さらに見落とされがちなのが、親の不動産を無償で子名義に変更するケースです。対価を払わずに名義を移すと、その不動産の評価額全額が贈与とみなされます。

親子間では「とりあえず子名義にしておこう」と安易に名義変更しがちですが、これは高額な贈与税を招きます。不動産を子へ移す際は、贈与税や相続時精算課税を踏まえた計画が不可欠です。

注意:時価より著しく安い価格での売買や、無償の名義変更は贈与として課税されます。親子間の「格安売買」「安易な名義変更」は税務上通用しません。

借金の肩代わり・債務免除

親が子の借金や住宅ローンを肩代わりして返済した場合、その金額は子への贈与とみなされます。子が返済を免れて得をするためです。

また、親が子にお金を貸したものの、返済を求めず実質的に免除した場合も、免除した額が贈与になります。借用書がなく、利息や返済期限を定めていないと、贈与と認定されやすくなります。

いわゆる「ある時払いの催促なし」や「出世払い」といった曖昧な貸し借りは、税務署から贈与とみなされやすい典型例です。親子だからと口約束で済ませるのは危険です。

親子間の金銭の貸し借りは、借用書を作成し、利息・返済期限を定めて実際に返済することが重要です。形だけの貸し借りは贈与とみなされます。

返済は銀行振込で行い、記録を残すのが確実です。手渡しでの返済は証拠が残らず、実際に返済しているかを税務署に示せないためです。

注意:借金の肩代わりや返済免除は贈与です。親子間の貸し借りは借用書・利息・返済実績で「本当の貸借」だと示す必要があります。

親が保険料を払った生命保険金

親が保険料を負担していた生命保険で、子が満期保険金や解約返戻金を受け取ると、贈与税の対象になります。親が払ったお金が、実質的に子へ移るためです。

保険は契約者・被保険者・受取人の組み合わせによって、贈与税・相続税・所得税のいずれかがかかります。組み合わせを誤ると想定外の課税につながります。

たとえば契約者が親・被保険者も親・受取人が子なら相続税、契約者が親・被保険者が子・受取人も子なら贈与税の対象です。同じ保険でも設定次第で税目が変わります。

贈与税は相続税より税率が高いため、保険で財産を渡す場合は、相続税が使える組み合わせにするほうが有利なことが多くあります。契約前の確認が重要です。

重要ポイント:生命保険は契約者・被保険者・受取人の組み合わせで課税が変わります。親が保険料を払い子が受け取ると贈与税の対象です。

名義預金とみなされるケース

親が子名義の口座にお金を積み立てていても、実際には親が通帳・印鑑を管理し、子がその存在を知らなければ、贈与は成立していません。これを「名義預金」といいます。

名義預金は子の財産ではなく親の財産とみなされ、相続時に相続財産へ加算されます。せっかく子名義にしても、相続税の節税にはなりません。

名義預金は税務調査で最も指摘されやすい項目の一つです。過去の入金記録や資金の出どころまで調べられるため、形だけ子名義にしても見抜かれます。

名義預金を避けるには、子本人が口座を管理し、通帳・印鑑を保有し、贈与の事実を認識していることが必要です。贈与契約書と銀行振込で証拠を残すことも重要です。

特に、子がまだ幼いうちから親が積み立てているケースは注意が必要です。子が成人したら口座の存在を伝え、通帳や印鑑を子に渡して管理を移すことが、名義預金と区別される決め手になります。

注意:親が管理する子名義の口座は「名義預金」として相続財産に加算されます。子本人が管理する状態にしてください。

名義預金の判定基準と解消方法は、下記の記事で解説しています。

親から子への贈与で相続税を抑えるポイント|早く・複数人・値上がり財産

親から子への贈与を相続税対策として最大限活かすには、いくつかのポイントがあります。同じ財産でも、渡し方次第で節税効果が変わります。ここでは、早く始める・複数人に贈与する・値上がり財産を先に渡すという3つのポイントを解説します。

できるだけ早く贈与を始める

相続税対策としての生前贈与は、早く始めるほど効果的です。7年加算があるため、亡くなる7年より前に贈与した財産は相続財産に加算されず、確実に外せます。

たとえば親が65歳から贈与を始めて85歳で亡くなった場合、20年のうち7年より前の13年分は加算されません。80歳から始めると5年分すべてが加算対象になります。

早く始めれば、加算されない贈与を多く積み上げられます。健康で判断能力があるうちに贈与計画を立てることが、何より重要です。

また、早く始めるほど1年あたりの贈与額を抑えられ、贈与税の負担も軽くなります。同じ額を移すなら、長い期間に分散するほうが有利です。

さらに、認知症などで親の判断能力が低下すると、贈与契約そのものができなくなります。生前贈与という選択肢自体が使えなくなるため、元気なうちの着手が欠かせません。

重要ポイント:亡くなる7年より前の贈与は加算されず確実に相続財産から外せます。生前贈与は今すぐ始めるほど有利です。

子どもが複数いればそれぞれに贈与する

年110万円の基礎控除は、もらう人ごとに適用されます。子が複数いれば、それぞれに110万円ずつ贈与することで、非課税で移せる額が増えます。

たとえば子2人にそれぞれ110万円贈与すれば、年間220万円を非課税で移せます。さらに孫も加えれば、加算対象外で移せる額がさらに広がります。

贈与相手を増やすことは、非課税枠の活用と7年加算の回避の両面で効果があります。家族全体で贈与計画を考えることが節税につながります。

特に孫への贈与は、法定相続人でなければ7年加算の対象外になりやすく、相続を一世代飛ばして財産を移せる利点もあります。子・孫の両方を視野に入れると効果的です。

ただし、特定の子や孫に贈与が偏ると、相続時に他の相続人との間でトラブルになることもあります。公平性にも配慮した計画が望ましいです。

計算ロジック:基礎控除はもらう人ごと。子2人・孫2人へ110万円ずつなら年440万円を非課税で移転できます。人数が多いほど効果が拡大します。

きょうだいに偏る贈与は相続でもめやすい|特別受益と遺留分

贈与税の問題がなくても、特定の子への贈与は相続のときに遺産分割で問題になります。結婚や住宅資金などの援助は「特別受益」として、遺産の取り分の計算に足し戻されることがあるためです。

比べる点 特別受益(遺産分割) 遺留分(最低限の取り分)
何に効くか 遺産をどう分けるかの計算 他のきょうだいが最低限の取り分を請求できる
対象になる贈与 婚姻・養子縁組・生計の資本としての贈与 相続人への特別受益に当たる贈与は相続開始前10年以内のもの
期間の制限 なし(相続開始から10年を過ぎた遺産分割では主張できない) 相続開始前10年以内
親の意思で外せるか 持ち戻し免除の意思表示(遺言など)で外せる 外せない

表の見方:黄色の行が対策の分かれ目です。特別受益は親の意思で外せますが、遺留分は外せません。

重要ポイント:1人の子に住宅資金などを多く渡すなら、ほかの子にも配慮するか、遺言で持ち戻し免除の意思を示してください。偏りが大きいと遺留分の請求は残ります。

参照元:e-Gov法令検索 民法(第903条・第904条の3・第1044条)

将来値上がりしそうな財産から贈与する

将来値上がりが見込まれる財産は、早めに贈与するほど有利です。値上がり前の低い評価額で移せば、その後の値上がり分を相続財産から切り離せます。

特に相続時精算課税を使えば、贈与時の評価額で相続財産に加算されます。値上がりする株式や不動産を精算課税で贈与すれば、値上がり分の相続税を抑えられます。

逆に、値下がりが見込まれる財産を精算課税で贈与すると、高い評価額で加算されて損になります。財産の種類に応じた判断が必要です。

具体的には、成長企業の自社株や、開発が見込まれる地域の土地などが、値上がり財産の代表例です。こうした財産は早めに移すほど、値上がり分の相続税を回避できます。

ただし、どの財産が値上がりするかの予測は簡単ではありません。財産の評価と将来性の見極めには、専門家の知見を借りるのが確実です。

重要ポイント:値上がりしそうな財産は精算課税で早めに贈与すると、値上がり分の相続税を抑えられます。財産選びが重要です。

贈与を否認されないための注意点|贈与契約書・定期贈与・申告

親から子への贈与は、形式を誤ると税務署に否認され、思わぬ課税を受けることがあります。正しい形で贈与することが、節税を確実にする条件です。ここでは、贈与契約書の作成、定期贈与の回避、申告の重要性を解説します。

贈与契約書を作成する

贈与契約書は、贈与があった事実を証明する最も基本的な書類です。贈与者(親)と受贈者(子)の双方が署名・押印し、贈与の日付・金額・対象財産を明記します。

契約書がないと、名義預金や貸付とみなされたり、贈与の時期が争われたりします。特に親子間は口約束で済ませがちなため、書面で残すことが重要です。

未成年の子への贈与では、親権者が法定代理人として署名します。契約書は子本人が保管し、贈与の事実を認識していることが望ましいです。

贈与契約書に決まった書式はありませんが、最低限「誰が・誰に・いつ・何を・いくら贈与したか」を記載します。不動産の贈与では、確定日付を付けるとより証拠力が高まります。

契約書とあわせて、銀行振込で資金の移動記録を残すことも重要です。契約書の日付と振込日をそろえておくと、贈与の事実をより明確に証明できます。

作成した契約書は、贈与者と受贈者がそれぞれ保管します。相続が発生した際に、税務署へ贈与の事実を示す資料として役立つため、長期間の保管が必要です。

重要ポイント:贈与契約書は贈与のたびに作成し、日付・金額・双方の署名押印を明記します。親子間でも必ず書面で残してください。

定期贈与とみなされないために

定期贈与とは、「毎年100万円を10年間贈与する」と最初から総額を決めた贈与です。定期贈与とみなされると、初年度に総額に対する贈与税が課される場合があります。

毎年同じ日に同じ金額を贈与し続けると、「最初からまとまった額を贈与する約束だった」と判断されるリスクがあります。これを避けるには、毎年その都度、贈与契約書を作成し、金額や時期を変えることが有効です。贈与のたびに独立した契約であることを示しましょう。

たとえばある年は100万円、別の年は120万円といったように金額に変化をつけたり、贈与の時期を年によって変えたりすると、定期贈与とみなされにくくなります。

ただし、これらはあくまで形式面の工夫です。実態として毎年独立して贈与の意思決定をしていることが本質であり、書類だけを整えればよいわけではありません。

重要ポイント:定期贈与を避けるには毎年その都度、契約書を作成し金額や時期を変えることが有効です。機械的な同額贈与は避けましょう。

申告が必要なケースと無申告のリスク

年110万円を超える贈与を受けた場合、子は翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告が必要です。特例を使う場合は、非課税でも申告が要件になっています。

申告を怠ると、無申告加算税や延滞税が課されます。無申告加算税は原則として税額の15%(一定額を超える部分は20%〜30%)、延滞税も別途かかります。

意図的に財産を隠した場合は、さらに重い重加算税(無申告なら40%、過去5年以内に同じ指摘を受けていれば50%)が課されることもあります。悪質と判断されると負担が一気に重くなるため、正直な申告が結局は得策です。

親子間の贈与でも、預金の流れや不動産登記から税務署に把握されます。「バレないだろう」という考えは危険で、正しく申告することが結果的に安全です。

注意:無申告には15%〜30%の無申告加算税と延滞税が課されます。親子間でも預金の流れから把握されるため、期限内の申告が必須です。

参照元:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

親から子への贈与が向いている人・専門家に相談すべきケース

親から子への贈与は、すべての家庭で同じように効果があるわけではありません。財産の内容や家族構成によって、最適な方法は変わります。ここでは、贈与が向いている人、専門家に相談すべきケース、自分で判断する場合との違いを解説します。

親から子への贈与が向いている人

親から子への贈与が特に向いているのは、相続財産が大きく相続税がかかりそうな家庭で、贈与できる期間を長く確保できる人です。時間をかけて計画的に贈与できます。

また、子や孫が複数いる家庭も、非課税枠を人数分活用できるため効果が大きくなります。住宅購入や結婚・子育てなど、特例を使える目的がある場合も有効です。

逆に、財産が基礎控除以下で相続税がかからない家庭では、無理に贈与税を払ってまで贈与する必要はありません。自分のケースで効果があるかの見極めが重要です。

また、老後資金に不安がある場合は、無理な贈与は禁物です。子への贈与を優先しすぎて、自分の生活費や医療・介護費が足りなくなっては本末転倒です。

生前贈与は「渡せる余裕がある財産」で行うのが原則です。まず自分の老後資金を確保したうえで、余剰分を計画的に贈与することが大切です。

老後資金と贈与のバランスは、寿命や医療・介護費の見通しによって変わります。無理のない範囲を見極めるうえでも、専門家への相談が役立ちます。

重要ポイント:贈与が向くのは相続税がかかりそうで・贈与相手が複数いて・期間を長く取れる家庭です。まず相続税の有無を確認しましょう。

専門家に相談すべきケース

次のようなケースでは、自己判断せず税理士に相談するのが安全です。判断を誤ると、余計な税負担や否認のリスクがあります。

【専門家に相談すべきケース】

ケース1:不動産や自社株など、評価が難しい財産を贈与したいケース2:相続時精算課税と暦年課税のどちらを選ぶか迷っているケース3:相続税対策として、贈与と他の対策を組み合わせたい

これらは制度が複雑に絡み合い、最適解が家庭ごとに異なります。専門家は複数のシナリオを試算し、最も有利な方法を提示できます。

また、贈与は一度実行すると後から取り消すのが難しいため、事前の設計が特に重要です。実行前に専門家の確認を受けることで、後悔のない贈与ができます。

重要ポイント:評価が難しい財産・制度選択・相続対策との組み合わせは、税理士への相談が確実です。

自分で判断する場合 vs 税理士に任せる場合

親から子への贈与は、非課税枠・特例・7年加算・意外な課税ケースなど、多くの要素が絡みます。自分で判断すると、節税機会の取りこぼしや否認リスクを見落としやすくなります。

特に不動産や自社株を含む贈与では、財産の評価が税額を大きく左右します。評価を誤ると過大な税負担や、逆に過少申告による追徴のリスクがあります。

税理士に依頼すれば、評価から特例の適用、申告書の作成まで一貫して任せられます。手間と正確性の両面で、専門家に任せるメリットは大きいといえます。

項目 自分で判断する場合 税理士に任せる場合
特例の選択 使える特例を見逃しやすい 特例をフル活用して非課税枠を最大化
7年加算対策 加算対象を見落としやすい 加算されない設計を提案
否認リスク 名義預金・定期贈与を見落とす 否認されない形式を整える
結果 節税の取りこぼし・課税リスク 節税効果を最大化・安全

重要ポイント:親子間贈与の設計は税理士の提案で節税額が大きく変わる領域です。複雑化した2024年改正後は特に相談が有効です。

相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ
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親子間の贈与税の相談は相続税の対応実績がある税理士へ|一括相談・見積り

親から子への贈与は、選ぶ制度と始める時期で結果が大きく変わります。相続税の対応実績がある税理士なら、贈与税と相続税を通した最適な渡し方を試算できます。複数の税理士に一括で相談し、比較して選ぶのがおすすめです。

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

親子間の贈与は非課税の手段が複数あります。どれを組み合わせるかで税額が数百万円変わるため、自己判断では最適解を逃します。

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

  • 年110万円の基礎控除・生活費の非課税・各種特例を漏らさず組み合わせられる
  • 暦年課税と相続時精算課税のどちらが有利かを試算で判断できる
  • 7年加算を踏まえて、いつから始めるべきかを逆算できる
  • 名義預金・定期贈与・低額譲渡として課税されない形式を整えられる
  • 相続で渡す場合との損得を通して比較できる

たとえば1,000万円を一度に贈与すると贈与税は177万円ですが、年110万円ずつに分ければ贈与税は0円です。渡し方だけで177万円の差が出ます。

税理士を比較するときの3つの判定ポイント

相続税に対応している税理士でも、生前対策の設計力には差があります。見積りや初回相談で、次の3点を比べてみてください。「申告実績数・贈与と相続の両方を試算するか・2024年改正への対応」の3点で見分けられます。

判定ポイント1:相続税申告の実績数
年間の相続税申告の件数を確認します。「年間5件」と「年間100件以上」では、名義預金や低額譲渡の判断に差が出ます。→ 実績数が多い税理士のほうが、課税されない形を整えられると判定できます。

判定ポイント2:贈与と相続の両方を試算するか
「生前に贈与した場合」と「相続で渡した場合」を並べて示してくれるかを見ます。→ 両方を試算する税理士のほうが、家族全体で損しない案を出せると判定できます。

判定ポイント3:2024年改正への対応力
7年加算の経過措置と、相続時精算課税の年110万円基礎控除を踏まえた提案ができるかを確認します。→ 改正を織り込める税理士のほうが、今後も通用する計画を立てられると判定できます。

相談しないまま進めるリスク

形式や渡し方を誤ると、想定外の贈与税がかかります。名義預金と判断されると、これまでの贈与がすべて相続財産に戻されます。贈与は実行した時点で結果が確定します。具体的には次のようなリスクがあります。

相談せずに進めた場合のリスク

  • 通帳と印鑑を親が管理していて、名義預金として全額戻される
  • まとめて渡して高い税率の贈与税を払ってしまう
  • 不動産を安く譲り、差額に思わぬ贈与税がかかる
  • 始める時期が遅く、7年加算でほとんど加算対象になる
  • 非課税特例を使えたのに申告を忘れて課税される

これらの多くは、実行前の確認で防げます。相談は無料のことが多く、動くなら早いほど選択肢が広がります。

一括相談・見積りの手順|STEP1〜STEP4

実際に一括相談・見積りを利用する流れは、次の4ステップです。フォームの記入自体は5分ほどで終わります。贈与は早く始めるほど加算リスクを避けられます。渡す前の段階で相談してください。

STEP1
財産と家族構成を整理する。財産の種類と概算額・子の人数と年齢・渡したい金額と使いみち・希望する時期をまとめる

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STEP2
一括見積り・相談サービスに依頼する。親子間の贈与・相続税の節税などの希望内容を明記し、相続税の対応実績がある税理士3〜5の事務所へ同時に打診する。不動産があれば所在地と広さも伝える(記入は5分程度)

⬇

STEP3
各税理士から「提案内容」「試算した贈与税額と相続税額」「報酬額」が記載された見積りが届く。贈与する場合と相続で渡す場合の比較を出してもらい、気になる事務所と初回相談を行う

⬇

STEP4
「提案内容の質」「説明の丁寧さ」「報酬の納得性」で最適な事務所を選び、正式に依頼する。最初の贈与を実行する前に方針を固める

重要ポイント:「まとめて渡す場合」と「毎年分けて渡す場合」の両方を試算してもらってください。同じ金額でも渡し方で税額が大きく変わります。

よくある質問(FAQ)

Q. 親から子への贈与は年間いくらまで非課税ですか?

暦年課税の基礎控除により、年110万円までは非課税で、申告も不要です。これは「もらう子1人あたり」の枠です。さらに生活費・教育費をその都度渡す分や、住宅取得等資金などの特例を使えば、110万円を超えても非課税で渡せます。

Q. 親が子の生活費や学費を出しても贈与税はかかりますか?

扶養義務にもとづき、通常必要な生活費や教育費をその都度渡す分には贈与税はかかりません。上限もありません。ただし、渡したお金を使わずに貯金や投資に回すと贈与税の対象になります。

Q. 親から子へ1,000万円贈与すると贈与税はいくらですか?

18歳以上の子への贈与なら特例税率が適用され、贈与税は177万円です。未成年の子の場合は一般税率で231万円となり、54万円の差が出ます。相続時精算課税を選べば2,500万円まで贈与税はかかりません。

Q. 親名義のまま子の口座に貯金しても大丈夫ですか?

親が通帳・印鑑を管理し、子が口座の存在を知らない場合は「名義預金」とみなされ、贈与は成立しません。相続時に親の財産として相続税がかかります。子本人が管理し、贈与契約書と振込で証拠を残すことが必要です。

Q. 生前贈与加算の7年ルールは親から子への贈与にも影響しますか?

影響します。子は通常、相続で財産を受け取るため、相続開始前7年以内(経過措置あり)の贈与は相続財産に加算されます。早く始めることや、加算対象外の孫への贈与、精算課税110万円の活用で影響を抑えられます。

まとめ|親子間の贈与税は110万円を超えた分にかかる

親子間の贈与税は、子が1年間にもらった合計が110万円を超えるとかかります。重要なポイントを整理します。

  • 110万円は父と母を合わせた、もらう子1人あたりの枠。超えた分に贈与税がかかる
  • 18歳以上の子への贈与は税率の低い特例税率。1,000万円なら贈与税は177万円
  • 仕送りや学費をその都度渡す分は、金額にかかわらず非課税
  • 車・借金の肩代わり・名義変更・格安売買など、現金以外でも贈与税がかかる
  • 住宅資金(2026年12月31日まで)・結婚子育て資金(2027年3月31日まで)・相続時精算課税で大きな額を非課税にできる
  • 2024年以後の贈与から、相続財産に足し戻す期間が7年へ順に延びる(7年分になるのは2031年1月1日以後の相続から)
  • 特定の子への偏った贈与は、特別受益や遺留分で相続のときに問題になる

今すぐ取るべき行動

  • 父母から子1人がもらう金額を合計し、110万円を超えるか確認する
  • 相続税がかかりそうなら、贈与する場合と相続で渡す場合を試算して比べる
  • 元気なうちに贈与を始め、贈与のたびに契約書と振込の記録を残す
  • 制度の組み合わせに迷ったら、相続税の対応実績がある税理士3〜5の事務所から見積りを取る

※本記事は2026年10月時点の法令・税率に基づいて作成しています。相続税法・贈与税の改正により取り扱いが変わる場合があります。最新の制度や個別の贈与計画については、国税庁の情報や相続税の対応実績がある税理士に必ずご確認ください。

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