相続税申告書の書き方|第9表から書く順番と記載例・コード表(令和8年分対応)

相続税_申告書_書き方

相続税の申告書は、第1表から第15表までの表と、その付表を組み合わせて作ります。すべての表を書くわけではなく、自分の相続に関係する表だけを選びます。

書く順番にもコツがあります。各人の税額をまとめる第1表は最後で、財産の明細を書く第9表から書き始めるのが基本です。

先に明細の表で財産と債務の金額を固め、その数字を第2表と第1表へ写して税額を出します。第1表から書き始めると、写す数字がないため途中で手が止まります。

様式は亡くなった年の分を使います。令和6年分から第11表が財産の種類別の付表1〜4に分かれ、令和8年分からは続柄や財産の種類をコードで書く欄が増えました。

古い記入例のまま書くと、欄の名前や書き方が合わずに書き直しになります。まず自分の相続に必要な表と、亡くなった年の様式を確かめることが出発点です。

本記事では、書く順番、必要な表の選び方、各表の書き方、令和8年分のコード表、1つの家族で第1表まで埋めた記載例、提出の方法を解説します。

▼ この記事の3行まとめ

  • 書く順番は「第9〜15表(財産の明細)→第2表・第1表(税額)→第4〜8表(控除)」で、第1表は最後に仕上げる
  • 必要なのは自分の相続に関係する表だけ。多くの相続は第1・2・11・13・15表に、該当する表を足して作る
  • 令和8年分の様式は、続柄・財産の細目・口座の種類などをコードで書く。コード表は国税庁の記載要領で確認する
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相続税申告書は「第9表から」書く|書く順番は3ステップ

相続税の申告書は、表の番号順には書きません。財産の明細(第9〜15表)→税額の計算(第2表・第1表)→控除(第4〜8表)の順に進め、第1表は最後に仕上げます。この順番を守るだけで、転記の手戻りがほとんどなくなります。

第1表から書かない理由|写す数字がまだないから

第1表は、各人の課税価格と納める相続税額をまとめる表です。欄の多くは「第11表から」「第13表から」のように、ほかの表で計算した数字を写す欄でできています。

元になる明細の表ができていないと、第1表はほとんどの欄が埋まりません。財産の明細を書く第9〜15表を先に作り、その合計を第1表へ写していく流れになります。

ただし、被相続人の氏名や亡くなった日、財産を取得した人の住所・生年月日といった基本事項は、最初に書いても構いません。数字の欄だけを後回しにします。

書く順番|3ステップの流れ

国税庁の「相続税の申告のしかた」も、明細の表から作る順番を示しています。大きく分けると次の3ステップです。

準備
土地の評価明細書や非上場株式の評価明細書など、財産の評価を先に済ませる。評価が終わっていない財産は、付表に金額を書けない

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STEP1
財産と債務の明細を書く(第9表・第10表→第11・11の2表の付表1→第11表の付表1〜4→第13表・第14表→第15表→第11表)

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STEP2
相続税の総額を出す(第1表の課税価格の欄→第2表→第1表のあん分割合と算出税額の欄)

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STEP3
控除と加算で納付額を決める(第4表〜第8表→第8の8表→第1表の納付税額の欄)

重要ポイント:小規模宅地等の特例の計算(第11・11の2表の付表1)は、第11表の付表より先に作ります。付表1の土地の価額には、特例で減額したあとの金額を書くためです。

様式は「亡くなった年分」を使う|令和6年分と令和8年分の変更点

申告書の様式は、被相続人が亡くなった年ごとに国税庁が公表しています。令和8年中に亡くなった人の申告には「令和8年分用」の様式を使います。申告書を作る年ではなく、亡くなった年で選びます。

亡くなった年 使う様式 主な変更点
令和5年以前 その年分用 第11表1枚に、すべての財産の明細を書く
令和6年・令和7年 令和6年分用・令和7年分用 第11表が「合計表」と財産の種類別の付表1〜4に分かれた
令和8年 令和8年分用 付表1〜4の形はそのままで、続柄・財産の細目・口座の種類などをコードで書く欄が増えた

表の見方:ネット上の記入例には、第11表が1枚だった頃のものや、コード欄がない令和7年分以前のものが多く残っています。参考にする記入例が、亡くなった年の様式と同じかを先に確かめてください。

参照元:国税庁 相続税の申告書等の様式一覧(令和8年分用)

自分に必要な表はどれ?|チェックリストで絞り込む

第1表から第15表まであっても、すべてを書く人はいません。多くの相続で使うのは第1・2・11・13・15表の5つです。そこに、自分の相続に当てはまる表を足していきます。

申告書の全体像|誰でも使う表と該当するときだけの表

表 内容 使う場面
第1表 各人の課税価格と納付税額をまとめる すべての申告
第2表 相続税の総額を計算する すべての申告
第4表・第4表の2 2割加算・暦年課税分の贈与税額控除 該当するとき
第5表 配偶者の税額軽減 配偶者が財産を取得するとき
第6表・第7表・第8表 未成年者・障害者控除、相次相続控除、外国税額控除 該当するとき
第8の8表 税額控除をまとめて第1表へ写す内訳書 控除があるとき
第9表・第10表 死亡保険金・死亡退職金と非課税枠 受け取ったとき
第11表と付表1〜4 財産の明細(付表)と合計表(第11表) すべての申告
第11の2表 相続時精算課税で贈与を受けた財産 精算課税を選んでいたとき
第11・11の2表の付表1 小規模宅地等の特例の計算 特例を使うとき
第13表 債務と葬式費用 ほぼすべての申告
第14表 加算する生前贈与など 加算する贈与があるとき
第15表 財産の種類別の集計 すべての申告

表の見方:黄色の第11表と付表1〜4が、申告書の中心です。第1・2・11・13・15表を土台に、当てはまる表だけを足せば足ります。第3表(農業相続人)や第12表(農地の納税猶予)は、農地の納税猶予を受ける人だけが使います。

該当チェックリスト|当てはまれば表を足す

  • □ 死亡保険金を受け取った → 第9表
  • □ 死亡退職金を受け取った → 第10表
  • □ 自宅などの土地で小規模宅地等の特例を使う → 第11・11の2表の付表1
  • □ 相続開始前の加算期間に暦年贈与を受けた人がいる → 第14表(贈与税を払っていれば第4表の2も)
  • □ 相続時精算課税で贈与を受けていた → 第11の2表
  • □ 配偶者が財産を取得する → 第5表
  • □ 相続人に未成年者・障害者がいる → 第6表
  • □ 孫(代襲相続人を除く)や兄弟姉妹など、配偶者・子・親以外が財産を取得する → 第4表
  • □ 10年以内に前の相続があり、被相続人が相続税を納めていた → 第7表

重要ポイント:チェックが付いた表と、土台の5表をそろえれば必要な表は足ります。特例や控除を使う表は、出さないとその特例や控除が適用されません。

迷いやすい表の判定|出すか出さないか

【第9表】非課税枠の内側でも作る

保険金が「500万円×法定相続人の数」の非課税枠に収まっても、受け取っていれば第9表を作ります。非課税枠の計算そのものをこの表で行うためです。

【第5表】配偶者の税額が0円でも作る

配偶者の税額軽減は、申告書に第5表を付けて初めて適用されます。結果が0円になる場合こそ、この表が要ります。

【第4表の2】亡くなった年の贈与だけなら不要

亡くなった年に受けた贈与は贈与税がかからないため、贈与税額控除もありません。第14表で加算はしますが、第4表の2は作りません。

もう1つ迷いやすいのが、税額控除だけで0円になる場合です。未成年者控除・障害者控除・相次相続控除を引いて納める税額が0円になる人は、申告書を出す義務がありません。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例とは扱いが違います。

参照元:国税庁 No.4205 相続税の申告と納税

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ステップ1|財産・債務の明細を書く(第9〜15表)

最初のステップは、財産と債務の明細づくりです。ここで書いた金額がそのまま課税価格になるため、申告書の精度はこのステップで決まります。表ごとの書き方と、次の表へ写す数字を順に確認します。

第9表・第10表|保険金の非課税枠は受取額で按分する

死亡保険金は第9表、死亡退職金は第10表に書きます。上段に保険会社・受取日・受取金額・受取人を契約ごとに書き、下段で非課税金額と課税金額を計算します。

非課税枠は「1人500万円」を引くのではありません。非課税限度額の合計を、各相続人が受け取った金額の割合で分けます。

受取人 受け取った保険金 非課税金額(按分) 課税金額
配偶者 2,000万円 1,000万円 1,000万円
長男 1,000万円 500万円 500万円
合計 3,000万円 1,500万円 1,500万円

計算ロジック:法定相続人3人なら非課税限度額は500万円×3人=1,500万円です。配偶者は1,500万円×2,000万円÷3,000万円=1,000万円、長男は1,500万円×1,000万円÷3,000万円=500万円になります。

【第9表・第10表の注意点】

  • 相続を放棄した人や相続人以外が受け取った保険金は、上段には書くが、下段の非課税の計算には入れない
  • 入院給付金や個人年金の受給権は非課税枠の対象ではない。第9表でなく第11表の付表4に書く
  • 計算した課税金額は、第11表の付表4(生命保険金等は細目コード71、退職手当金等は74)へ写す
  • 死亡退職金は、亡くなってから3年以内に支給額が確定したものが相続税の対象

第11・11の2表の付表1|小規模宅地等の減額を先に計算する

自宅の土地などで小規模宅地等の特例を使う場合は、第11表の付表より先にこの表を作ります。特例を受ける宅地の所在地・面積・評価額と、取得した人を書きます。

表の上部には、特例の対象になりうる宅地を取得した人全員の氏名を書く同意の欄があります。どの宅地で特例を受けるかに全員が同意していないと、特例は使えません。

この表で計算した減額後の価額を、第11表の付表1の土地の価額欄へ写します。特例欄には、小規模宅地等の特例を表す番号「1」を書きます。

第11表の付表1〜4|財産の種類ごとに明細を書く

財産の明細は、種類ごとに4枚の付表へ分けて書きます。どの付表も、財産を取得した人を氏名でなく番号で書きます。誰が何番かは、あとで作る第11表(合計表)に書きます。

付表 書く財産 主な記入欄 第15表の転記先
付表1 土地・家屋等 細目コード・利用区分・所在場所・面積・単価又は倍数・持分割合・特例 土地は①〜⑤、家屋等は⑩
付表2 有価証券 細目コード・銘柄・金融機関等と支店のコード・数量・単価 ⑰〜㉑
付表3 現金・預貯金等 口座種別等コード・口座番号・金融機関等と支店のコード・価額 ㉓
付表4 事業用財産・家庭用財産・その他 細目コード・財産の名称等・数量・単価 ⑫〜⑮、㉔〜㉘

表の見方:付表1の土地は、路線価方式なら補正後の路線価を円単位で、倍率方式なら固定資産税評価額と倍率を書きます。家屋は固定資産税評価額に、自用家屋なら1.0、貸家なら0.7を掛けます。

重要ポイント:家族名義の預金のうち実質的に被相続人の財産と認められるものは、付表3に書き、備考欄に名義人を書きます。暗号資産は付表4に細目コード79で書きます。

付表1・付表3の書き方|欄ごとに書く内容

付表は欄が多く見えますが、財産1件を1行に書き、左から順に埋めていくだけです。とくに迷いやすい土地・家屋(付表1)と預貯金(付表3)の欄を整理します。

欄 付表1(土地・家屋) 付表3(預貯金)
細目コード・種別 宅地13・家屋等21など 普通預金12・定期預金14など
利用区分・口座番号 自用地(居住用)・貸家建付地・自用家屋・貸家など 口座番号(現金は空欄)
所在場所等 登記事項証明書のとおりの所在地 金融機関と支店のコードと名称(自宅の現金は自宅住所)
数量・単価 面積、補正後の路線価(円単位)または倍率 外貨預金だけ外貨残高と為替相場を書く
持分割合 共有していた場合だけ被相続人の持分 -
価額 単価×面積×持分、または固定資産税評価額×倍率×持分 亡くなった日の残高(定期預金は既経過利息を含める)
取得者の番号・価額 第11表で決めた番号と取得した金額 同左

重要ポイント:路線価図の路線価は千円単位ですが、付表には円単位で書きます。定期預金は残高に、亡くなった日までの利息(既経過利息)を加えた額が価額です。外貨は亡くなった日の対顧客電信買相場(TTB)で円に換えます。

土地の評価額の出し方と、暗号資産の評価は、下記の記事で解説しています。

第11表(合計表)|分割の状況と取得者の番号を書く

第11表は、付表1〜4の金額を人ごとに集計する合計表です。上段の「遺産の分割状況」に、全部分割は「1」、一部分割は「2」、全部未分割は「3」を書きます。

分割した日と、財産を取得した人の氏名・番号もここに書きます。付表で使った番号と、第11表の番号の対応がずれないよう確かめてください。

たとえば妻を1、長男を2、長女を3と決めたら、すべての付表の取得者の欄に同じ番号を書きます。番号を振る順番に決まりはありません。

遺産分割がまとまらず未分割で申告するときは、未分割の財産を付表の取得者欄に書きません。合計表の「未分割財産の価額」欄で、各人の法定相続分に応じた金額に割り振ります。

第13表|債務と葬式費用は負担した人の欄に書く

被相続人の借入金や未払いの税金・医療費と、葬式費用を書く表です。金額だけでなく「誰が負担したか」を書き、その人の課税価格から差し引きます。負担者を間違えると、別の人の課税価格が下がってしまいます。

区分 差し引ける 差し引けない
債務 借入金・未払いの医療費・未払いの固定資産税や住民税・準確定申告で納める所得税 団体信用生命保険で消える住宅ローン・墓地や仏壇の未払代金
葬式費用 通夜・告別式・火葬・納骨の費用、お布施・戒名料 香典返し・初七日や四十九日の法要・墓地の購入費

重要ポイント:差し引けるものを漏らすと相続税を払いすぎます。領収書が出ないお布施も、支払日・支払先・金額を記録しておけば記入できます。

債務の欄には、種類を「公租公課」「銀行借入金」「未払金」「買掛金」「その他の債務」に分けて、債権者と発生日、金額を書きます。

負担する人がまだ決まっていない債務は、表の下の「負担することが確定していない債務」の行に書きます。各人の負担額の合計を、第15表と第1表へ写します。

第14表・第11の2表|生前贈与を加算する期間を確かめる

財産を取得した人が被相続人から暦年課税で受けた贈与は、一定期間分を第14表に書いて加算します。加算する期間は亡くなった日で決まり、令和8年中に亡くなった場合は3年以内の贈与です。

亡くなった日 加算する暦年贈与
令和8年12月31日まで 亡くなる前3年以内の贈与
令和9年1月1日〜令和12年12月31日 令和6年1月1日から亡くなった日までの贈与
令和13年1月1日以後 亡くなる前7年以内の贈与(延びた4年分は合計100万円まで差し引く)

相続時精算課税で贈与を受けていた人は、第11の2表に受贈者ごとに書きます。令和6年以後の精算課税の贈与は、年110万円の基礎控除を引いた残りだけを加算します。

他の相続人が受けた贈与の内容が分からないときは、税務署に贈与税の申告内容の開示を請求できます(相続税法49条)。

参照元:国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)

第15表|種類別に集計して付表と突き合わせる

第15表は、付表1〜4・第11の2表・第13表・第14表の金額を、財産の種類と取得した人ごとに集計する表です。各人の課税価格は1,000円未満を切り捨てます。

第15表の財産の合計と、第11表の各人の取得財産の価額が一致するかを必ず確かめてください。合わない場合は、どこかの付表で転記漏れか二重計上が起きています。取得した人が2人以上いるときは、2人目からは第15表(続)に書きます。

令和8年分から変わった記入方法|コード表一覧

令和8年分の様式では、元号・続柄・財産の細目・口座の種類などを、決められた数字のコードで書きます。コードを空欄にしたり言葉で書いたりせず、表の番号を書き入れてください。以下は国税庁の記載要領(令和8年7月版)から抜き出したものです。

元号コードと続柄コード|第1表・第2表で使う

生年月日や亡くなった日の元号は、1明治・2大正・3昭和・4平成・5令和のコードで書きます。被相続人との続柄は、次の続柄コードで書きます。

コード 続柄 コード 続柄 コード 続柄
01 配偶者 21 長女 30 孫
11 長男 22 二女 41 父
12 二男 23 三女 42 母
13 三男 24 四女 51 祖父
14 四男 25 五女 52 祖母
15 五男 26 六女 61 兄
16 六男 27 七女 62 弟
17 七男 28 八女 63 姉
18 八男 29 九女 64 妹
19 九男 90 養子 10 子
99 その他

重要ポイント:「10 子」は長男〜九男・長女〜九女に当てはまらない子に使います。養子がほかの続柄にも当てはまるときは「90 養子」を選びます。

財産の細目コード|付表1・付表2・付表4

付表では、財産の種類ごとに細目コードを書きます。よく使うのは宅地13・家屋等21・上場株式などの48・家庭用財産61・生命保険金等71です。

付表 細目 コード
付表1 田・畑・宅地・山林・その他の土地 11・12・13・14・15
付表1 家屋等(家屋・構築物・配偶者居住権など) 21
付表2 特定同族会社の株式(配当還元方式/その他の方式) 46/47
付表2 上記以外の株式・出資(上場株式など) 48
付表2 公債・社債/証券投資信託・貸付信託の受益証券 44/45
付表4 減価償却資産/商品等/売掛金/その他の事業用財産 31/32/33/34
付表4 家庭用財産 61
付表4 生命保険金等/退職手当金等/立木 71/74/72
付表4 代償財産/金地金/生命保険契約に関する権利 75/76/77
付表4 損害保険契約に関する権利/暗号資産 78/79
付表4 同族法人への貸付金/それ以外への貸付金/配当期待権 80/81/82
付表4 その他(自動車・書画骨とう・未収家賃など) 73

表の見方:付表1の宅地は、細目コード13に加えて「自用地(居住用)」「貸家建付地」などの利用区分を言葉で書きます。家屋は「自用家屋」「貸家」の別と、構造・用途を書きます。

口座種別・金融機関・支店のコード|付表2・付表3

預貯金は口座の種類をコードで書き、預け先の金融機関と支店もコードで書きます。普通預金は12、定期預金は14、銀行は1、支店は2です。

区分 コード
口座種別等(付表3) 11 現金・12 普通預金・13 当座預金・14 定期預金・15 通常貯金・16 定額貯金・17 定期積金・18 金銭信託・99 その他
金融機関等(付表3) 1 銀行・2 金庫・3 組合・4 農協・5 漁協・6 上記以外
金融商品取引業者等(付表2) 1 銀行・2 金庫・3 組合・4 農協・6 証券・7 上記以外
支店等(付表2・3) 1 本店・2 支店・3 本所・4 支所・5 出張所・6 上記以外

重要ポイント:同じ「金融機関のコード」でも付表2と付表3で番号が違います。付表2では「証券」が6、付表3では「漁協」が5です。

特例番号|付表1・付表2・付表4の「特例」欄

付表の「特例」欄には、その財産に適用する特例の番号を書きます。自宅の土地に小規模宅地等の特例を使うなら「1」です。特例を使わない財産は空欄です。

番号 特例 使う付表
1 小規模宅地等の特例 付表1
2 特定計画山林の特例 付表1・付表4
3 特定土地等・特定株式等の特例 付表1・付表2
4 災害被害者に対する減免(災害減免法6条) 付表1・付表4
5 農地等の贈与者が死亡した場合の特例 付表1
6 個人の事業用資産の贈与者が死亡した場合の特例 付表1・付表2・付表4
7・8 非上場株式等の贈与者が死亡した場合の特例(一般・特例) 付表2

コードで迷いやすいケース|どの番号を書くか

コード表に名前がそのまま載っていない財産や続柄は、近い番号を探さずに決められた「その他」の番号を使います。迷ったときは言葉で補う欄があるので、コードと名称の両方を書いて特定できるようにします。

【迷いやすい例と書き方】

  • 孫が遺言で財産を受けた → 続柄30(孫)。孫を養子にしていた場合は90(養子)
  • ネット銀行の普通預金 → 口座種別12、金融機関1(銀行)、支店等コードは本店なら1・支店なら2
  • 投資信託(証券会社で管理)→ 付表2の細目45、金融商品取引業者等6(証券)
  • 準確定申告の還付金・未収家賃・貸付金 → 付表4。貸付金は相手により80か81、還付金や未収家賃は73(その他)
  • 定期積金・金銭信託以外の預け金 → 口座種別99にして、口座種別等の欄に具体的な種類を書く

細目ごとの第15表の転記先|集計する欄を間違えない

付表に書いた金額は、細目ごとに人ごとの合計を出して第15表へ写します。転記先の欄は細目コードで決まっているため、コードと一緒に覚えると迷いません。

細目(コード) 第15表の欄
田(11)・畑(12)・宅地(13)・山林(14)・その他の土地(15) ①・②・③・④・⑤
家屋等(21) ⑩
減価償却資産(31)・商品等(32)・売掛金(33)・その他の事業用財産(34) ⑫・⑬・⑭・⑮
特定同族会社の株式(46・47)・上記以外の株式(48) ⑰・⑱・⑲
公債・社債(44)・証券投資信託など(45) ⑳・㉑
現金・預貯金等(11〜18・99) ㉓
家庭用財産(61)・生命保険金等(71)・退職手当金等(74)・立木(72) ㉔・㉕・㉖・㉗
その他の財産(73・75〜82) ㉘

表の見方:未分割の財産があるときは、各相続人が相続分に応じて取得したとした金額も、同じ欄に写します。配偶者居住権とその敷地利用権は、通常の欄に加えて専用の欄にも写します。

参照元:国税庁 相続税の申告書等の様式一覧(令和8年分用)

ステップ2|相続税の総額を出す(第2表・第1表)

明細ができたら税額の計算です。相続税は、まず家族全体の総額を出し、それを実際の取得割合で各人に振り分けます。第1表と第2表を行き来しながら進めます。

第1表(上段)|被相続人と財産を取得した人を書く

第1表には、提出先の税務署、亡くなった日、被相続人の氏名・住所・職業、財産を取得した人の氏名・住所・生年月日・続柄・マイナンバーを書きます。年齢は亡くなった日時点の年齢です。

財産を取得した人ごとに「取得財産の価額」(第11表)、「債務及び葬式費用の金額」(第13表)、加算する贈与(第14表)を写し、課税価格を出します。

欄 書く内容
提出先・提出日 被相続人の住所地を所轄する税務署名と、実際に出す日(作成中は空欄でよい)
相続開始年月日・生年月日 元号コード(令和は5、昭和は3)と年月日
年齢 亡くなった日時点の年齢
被相続人との続柄 続柄コード(配偶者01・長男11・長女21など)
取得原因 相続・遺贈・相続時精算課税に係る贈与のうち当てはまるもの
課税価格の計算 第11表・第11の2表・第13表・第14表から写し、1,000円未満を切り捨てる

表の見方:取得した人が2人以上いるときは、2人目からは第1表(続)に書きます。左側の合計欄には全員分を合計した金額を書き、第2表へ写します。

重要ポイント:第1表には、一緒に申告書を出す人だけを書きます。連名で出さない相続人の分も参考に書くときは、その人の欄の「参考記載」欄に「1」と書きます。その人は別に申告書を出す必要があります。

第2表|基礎控除を引いて相続税の総額を出す

  • 手順1:第1表の課税価格の合計額を写す
  • 手順2:基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を引き、課税遺産総額を出す
  • 手順3:課税遺産総額を法定相続分で分けたと仮定し、1,000円未満を切り捨てる
  • 手順4:様式の下にある速算表で各人の税額を出し、合計して相続税の総額にする(100円未満切捨て)

ここでは実際の分け方ではなく、法定相続分で分けたものとして計算します。そのため、分け方が変わっても家族全体の総額は変わりません。法定相続人の数は、相続を放棄した人も含めて数えます。養子は、実子がいれば1人まで、いなければ2人までです。

参照元:国税庁 No.4152 相続税の計算

第1表(中段)|あん分割合で各人に振り分ける

第2表の相続税の総額を第1表に写し、各人の「あん分割合」(各人の課税価格÷課税価格の合計額)を掛けて算出税額を出します。

あん分割合は小数で書き、全員の合計がちょうど1.00になるようにします。小数点以下2位未満の端数は、全員の合計が1.00になるように調整して構いません。

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ステップ3|控除・加算で納付額を決める(第4〜8表)

最後に、人ごとの事情に応じた加算と控除を反映します。当てはまる控除の表を出し忘れると、その控除は適用されません。

使う可能性のある加算・控除の表

表 内容 対象
第4表 2割加算 配偶者・子(代襲相続人を含む)・父母以外が取得したとき
第4表の2 暦年課税分の贈与税額控除 加算した贈与に贈与税を払っていた人
第5表 配偶者の税額軽減 配偶者(1億6,000万円か法定相続分の多い方まで税額なし)
第6表 未成年者控除・障害者控除 18歳未満の人・障害者
第7表 相次相続控除 10年以内に前の相続があった場合
第8表 外国税額控除など 国外の財産に外国で相続税がかかった人

表の見方:加算は第4表だけで、ほかは税額を減らす表です。もっとも効果が大きいのは黄色の第5表です。未成年者控除・障害者控除で引ききれない分は、扶養義務者の税額から引けます。

【第4表】2割加算の対象になる人・ならない人

対象になるのは、兄弟姉妹、甥・姪、遺言で財産を受けた孫など、配偶者・子・父母以外の人です。孫を養子にした場合(孫養子)も、代襲相続人でなければ対象になります。子が先に亡くなっていて孫が代わりに相続する代襲相続人は、2割加算の対象になりません。

【第6表】未成年者控除の計算

控除額は「18歳になるまでの年数×10万円」で、1年未満の端数は1年として数えます。たとえば15歳3か月なら、2年9か月を3年と数えて30万円です。障害者控除は「85歳になるまでの年数×10万円」(特別障害者は20万円)です。

第5表|配偶者の税額軽減は0円でも出す

配偶者が取得した財産は、1億6,000万円と法定相続分の多い方まで相続税がかかりません。この軽減は、第5表を付けた申告書を出して初めて適用されます。

計算には第1表の課税価格の合計と相続税の総額、第11表の配偶者の分割財産の価額を使います。未分割の財産は軽減の対象に入りません。

第8の8表を経由して第1表を仕上げる|100円未満は切り捨て

第4表の2から第8表までの控除額は、いったん第8の8表に人ごとにまとめ、その合計を第1表へ写します。控除が複数あるときに第1表へ直接書くと、転記の漏れが起きやすくなります。

各人の算出税額に2割加算を足し、控除を引いた額が納付税額です。納付税額は100円未満を切り捨てます。全員の納付税額を合計すれば第1表は完成です。

記載例|配偶者と子2人の相続で第1表まで埋める

ここまでの手順を、1つの家族の相続に当てはめます。付表のコード、表から表へ写す欄、各人の納付税額までを1つの流れで確認できます。数字はすべてこの前提で計算しています。

前提|財産と分け方

【前提】令和8年3月に夫が亡くなり、相続人は妻(続柄コード01)・長男(11)・長女(21)の3人です。遺産は分割済みで、妻は自宅に住み続けます。

特例を使う前の財産は9,450万円で、基礎控除4,800万円を超えるため申告が必要です。小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減を使い、生前贈与はない前提です。

財産・債務 評価額 取得・負担した人
自宅の土地(200㎡) 4,000万円(特例後800万円) 妻
自宅の家屋 600万円 妻
上場株式 1,200万円 長男
定期預金 1,500万円 長男
普通預金 1,800万円 長女
家財一式 50万円 妻
死亡保険金 2,000万円(非課税後500万円) 妻
未払いの医療費・葬式費用 50万円・150万円 妻

計算ロジック:自宅の土地は小規模宅地等の特例で4,000万円×80%=3,200万円減り、800万円になります。保険金は非課税枠500万円×3人=1,500万円を引き、500万円が課税されます。

ステップ1の記載例|付表と第15表の書き方

表 書く内容(コード) 金額 写す先
第9表 妻の保険金2,000万円、非課税1,500万円 課税500万円 付表4
第11・11の2表の付表1 特定居住用宅地等200㎡を減額 800万円 付表1
付表1 宅地(13)自用地(居住用)特例1/家屋等(21)自用家屋 800万円/600万円 第15表③/⑩
付表2 上場株式(48)、証券会社(6)・支店(2) 1,200万円 第15表⑲
付表3 定期預金(14)・普通預金(12)、銀行(1)・支店(2) 1,500万円/1,800万円 第15表㉓
付表4 家庭用財産(61)・生命保険金等(71) 50万円/500万円 第15表㉔/㉕
第13表 未払医療費・葬式費用(負担者は妻) 200万円 第15表・第1表
第11表 分割状況「1」、取得者1妻・2長男・3長女 妻1,950万・長男2,700万・長女1,800万 第1表

表の見方:付表の金額を人ごとに合計したものが第11表の取得財産の価額です。妻は1,950万円から債務200万円を引いた1,750万円、長男2,700万円、長女1,800万円が課税価格です。

ステップ2・3の記載例|第2表から納付税額まで

項目 妻 長男 長女 合計
課税価格(第1表) 1,750万円 2,700万円 1,800万円 6,250万円
法定相続分に応ずる取得金額(第2表) 725万円 362.5万円 362.5万円 1,450万円
相続税の総額の基となる税額(第2表) 72.5万円 36.25万円 36.25万円 145万円
あん分割合(第1表) 0.28 0.43 0.29 1.00
算出税額(第1表) 40万6,000円 62万3,500円 42万500円 145万円
配偶者の税額軽減(第5表) 40万6,000円 - - 40万6,000円
納付税額(第1表) 0円 62万3,500円 42万500円 104万4,000円

計算ロジック:基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万円で、課税遺産総額は6,250万円−4,800万円=1,450万円です。法定相続分で分けた額はいずれも1,000万円以下なので税率10%で、総額は145万円になります。

重要ポイント:長男のあん分割合は2,700÷6,250=0.432、長女は0.288です。小数点以下2位で0.43と0.29に調整し、合計を1.00にそろえています。

計算ロジック:妻の税額軽減額は、145万円×1,750万円÷6,250万円=40万6,000円です。妻の算出税額と同じ額なので、妻の納付税額は0円になります。

0円申告の書き方|特例で税額がなくなるとき

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って納める税額が0円になる場合も、申告書を出します。表の作り方は通常の申告と同じで、第1表の納付税額の欄が0円になります。

【0円申告で出す主な書類】

  • 第1表・第2表・第11表と付表・第13表・第15表
  • 配偶者の税額軽減を使うなら第5表、小規模宅地等の特例を使うなら第11・11の2表の付表1
  • 戸籍の謄本、遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写しと相続人全員の印鑑証明書
  • 小規模宅地等の特例の区分に応じた書類(住民票の写しなど)

納める税額がないため、納付書は使いません。期限までに申告書を出せば、手続きは完了します。

0円になった理由 申告書 理由
財産が基礎控除以下(保険金の非課税枠を引いた後を含む) 不要 課税価格の合計が基礎控除を超えない
未成年者控除・障害者控除・相次相続控除で0円 不要 これらを引いた後の税額で申告義務を判定する
配偶者の税額軽減で0円 必要 申告書に第5表を付けて初めて適用される
小規模宅地等の特例で0円 必要 申告書に付表と書類を付けて初めて適用される

重要ポイント:特例で0円になるケースは申告書を出さないと特例が使えず、本来の税額がかかります。期限を過ぎてから出しても特例自体は使えますが、その分の延滞税や無申告加算税の問題が別に生じます。

記入の注意点|書き間違いと記入漏れを防ぐ

申告書には形式のルールと、内容で間違えやすい箇所があります。とくに名義預金の記入漏れと、遺産分割協議書との食い違いは、税務署から問い合わせを受ける原因になります。

形式のルール|筆記具・訂正・押印

  • 黒のボールペンで書く(鉛筆や消えるペンは使わない)
  • 第1表・第11表・第15表などは機械で読み取るため、折り曲げない
  • 数字は枠の中に1文字ずつ書き、3桁ごとのカンマは入れない
  • 訂正は二重線で消して正しい数字を書く(修正テープ・修正液は使わない)
  • 申告書への押印は令和3年4月以降不要。遺産分割協議書には実印と印鑑証明書が要る

重要ポイント:書き間違いが多い場合は、様式を印刷し直して書き直す方が確実です。機械で読み取る表は、訂正の跡が少ないほど読み取りの誤りが減ります。

名義預金・タンス預金の記入漏れ

家族名義でも、被相続人が資金を出して管理していた預金は被相続人の財産です。自宅に置いていた現金も同じで、どちらも付表3に書きます。

税務署は生前の収入と申告された財産を照らし合わせ、預貯金の申告漏れを重点的に調べます。令和6事務年度は実地調査9,512件のうち82.3%で申告漏れなどが見つかっています。

遺産分割協議書と申告書の取得者を突き合わせる

付表には、財産ごとに取得した人の番号と金額を書きます。協議書で長男が相続した土地を次男の番号で書くといったずれは、各人の税額を変えてしまいます。申告書を書くときは協議書を横に置き、財産ごとに取得者と金額を1つずつ照らし合わせてください。

書き終えたら6か所を突き合わせる

申告書は表どうしで数字がつながっているため、1か所の転記ミスがほかの表の数字までずらします。提出前に次の6か所を確かめてください。

確かめる箇所 一致すべき数字
第9表・第10表の課税金額 付表4の生命保険金等(71)・退職手当金等(74)の価額
第11・11の2表の付表1の減額後の価額 付表1の特例欄「1」を付けた宅地の価額
付表1〜4の取得財産の価額の合計 第11表の各人の取得財産の価額
第15表の財産の合計 第11表の各人の取得財産の価額
第13表の各人の負担額 第1表の債務及び葬式費用の金額
第1表のあん分割合 全員の合計がちょうど1.00

重要ポイント:合わない箇所があれば、その前の表に戻って転記を確かめます。とくに付表の取得者番号の付け間違いは、合計表と第15表の両方に影響します。

完成後|提出先・期限と提出前チェック

申告書ができたら提出です。提出先は被相続人の住所地の税務署、期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。

提出先と期限|相続人の住所地ではない

相続人がどこに住んでいても、提出先は被相続人の亡くなったときの住所地を所轄する税務署です。申告と納税の期限は同じで、期限が土日祝日なら翌日になります。

期限を過ぎると、無申告加算税(原則15%、税額50万円超の部分は20%、300万円超の部分は30%)と延滞税がかかります。ただし期限後でも、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は使えます。

被相続人に事業や不動産の所得などがあった場合は、相続税とは別に準確定申告(4か月以内)も必要です。

提出方法|窓口・郵送・e-Tax(控えに受付印は押されない)

方法 特徴
窓口・時間外収受箱 税務署に持参する。閉庁時間は時間外収受箱に入れられる
郵送 信書を送れる方法(第一種郵便・レターパックなど)で送る。宅配便は使えない。消印の日が提出日
e-Tax オンラインで送る。財産を取得した人の電子証明書が必要(税理士の代理送信を除く)

重要ポイント:令和7年1月から、申告書の控えに受付印は押されなくなりました。提出した事実は、税務署での申告書の閲覧や保有個人情報の開示請求で確かめられます。当分の間は、希望すれば受付日と税務署名を書いたリーフレットを窓口で受け取れます。

参照元:国税庁 令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて

提出前チェックリスト|出す前に確認する

  • □ 必要な表がそろっているか(該当チェックリストと照合)
  • □ 亡くなった年の様式を使い、コード欄が埋まっているか
  • □ 第15表の合計と第11表の取得財産の価額が一致しているか
  • □ 第1表のあん分割合の合計が1.00になっているか
  • □ 戸籍・遺産分割協議書の写し・印鑑証明書などの添付書類がそろっているか
  • □ マイナンバーの記載と本人確認書類の写しがあるか
  • □ 申告書一式のコピーを手元に残したか

重要ポイント:控えのコピーは、名義変更や後日の修正申告・更正の請求でも使います。受付印がないため、提出日と提出方法を自分で記録しておきましょう。

提出後に誤りに気づいたら|修正申告と更正の請求

税額が少なすぎたときは修正申告、多すぎたときは更正の請求で直します。税務署から調査の通知を受ける前に自分で修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。

修正申告書も同じ様式で作り、第1表の右上の欄に「1」を書いて修正申告であることを示します。異動の内容は左下の欄に書きます。更正の請求は、申告期限から5年以内です。

自分で書ける?|手書き・ソフト・税理士の判断の目安

申告書は自分で書けますが、土地の評価や特例の判断が入ると、書き方より「何をいくらで書くか」で税額が変わります。財産の中身で判断しましょう。

自分で書きやすいケース・税理士に頼むべきケース

判断の目安 自分で書きやすい 税理士に頼むべき
財産 預貯金・上場株式が中心 土地が複数・貸地・不整形地・非上場株式
特例 使わない、または配偶者の税額軽減だけ 小規模宅地等の特例・納税猶予
生前贈与 ない、または記録がそろっている 名義預金の判断や贈与が多い
遺産分割 まとまっている 未分割・相続人の関係が悪い

重要ポイント:国税庁の作成コーナーは相続税に対応していないため、作り方は手書き・民間ソフト・e-Taxのいずれかです。ソフトは計算と転記を自動化しますが、財産の見落としや評価の誤りまでは防げません。

途中まで自分・仕上げは税理士という分担

財産の洗い出しや預貯金の集計を自分で進め、土地の評価と申告書の仕上げだけを税理士に頼む方法もあります。資料をそろえてから相談すると、見積りと税額の試算が早く正確になります。依頼するかどうか迷う場合の考え方は、下記の記事でまとめています。

相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ
相続税の一括相談・見積りは相続税理士ナビ

相続税申告書の書き方の相談は相続税の対応実績がある税理士へ|一括相談・見積り

相続税の申告書は、書き方が正しくても「何をどう評価して書くか」で税額が変わります。相続税の対応実績がある税理士に絞り、一括相談・見積りで比べるのが確実です。

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

申告書の数字は、土地の評価や特例の判断の結果です。評価と特例の判断を誤ると、書き方が正しくても税額が数十万〜数百万円変わります。

【相続税の対応実績がある税理士に頼む理由】

  • 土地の評価で減額できる要素(不整形・間口・セットバックなど)を拾える
  • 小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を、要件を確かめたうえで最大限使える
  • 名義預金・生前贈与・みなし相続財産の漏れを申告前に洗い出せる
  • 令和8年分のコード記入や付表の転記を、様式どおりに仕上げられる
  • 書面添付制度を使い、税務調査を見据えた申告にできる

たとえば土地と自宅がある相続で、経験の浅い税理士は路線価×面積のまま評価して税額120万円とし、相続税の対応実績がある税理士は補正と特例を詰めて40万円にした、という80万円の差が生じることがあります。

見積りで比べる3つの判定ポイント

判定ポイント1:土地評価の減額を検討するか。路線価×面積で済ませず、現地調査や補正まで踏み込む事務所の方が、払いすぎを防げると判定できます。

判定ポイント2:特例の適用を根拠つきで示すか。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減の要件を確認したうえで提案する事務所の方が、税額を圧縮できると判定できます。

判定ポイント3:財産の漏れを確認する体制があるか。名義預金や生前贈与まで確認する事務所の方が、申告後に指摘を受けるリスクを減らせると判定できます。

報酬は遺産総額の0.5〜1%程度が目安です。相場だけで選ばず、税額まで含めた総額で比べてください。

相談しないまま進めるリスク

自分だけで申告書を作ると、誤りに気づく機会がありません。払いすぎた相続税は、自分から更正の請求をしない限り戻りません。

【相談しないまま進めた場合に起こりうること】

  • 土地の評価や特例の適用を誤り、相続税を払いすぎる
  • 名義預金や生前贈与の漏れで、過少申告加算税や延滞税がかかる
  • 財産を隠したと判断されると、重加算税が課される
  • 協議書と申告書の取得者がずれ、修正申告や分割のやり直しが必要になる
  • 税務調査の対応を自分だけで抱えることになる

一括相談・見積りの手順|STEP1〜STEP4

STEP1
相続の概要を整理する。被相続人の財産の内訳(不動産・預金・保険など)と概算額、相続人の構成と年齢、遺言の有無をまとめます

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STEP2
一括見積り・相談サービスに依頼する。「相続税申告・相続税の節税・準確定申告」など希望内容を明記し、相続税の対応実績がある税理士3〜5の事務所への同時打診を依頼します。不動産があれば所在地・広さも書き、財産の種類や相続人の人数はできるだけ正確に伝えます。フォーム入力は5分程度です

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STEP3
見積りと初回相談を受ける。各税理士から提案内容・試算相続税額・報酬額が届くので、気になる事務所と初回相談をします

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STEP4
税理士を選定・正式依頼する。提案内容の質・説明の丁寧さ・報酬の納得性で選び、相続開始から7か月以内に決めることを目安にします

相続税申告書の書き方に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 相続税の申告書はどの表から書けばいいですか?

第9表から第15表までの財産の明細から書き始めます。第1表は各表の数字をまとめる表なので最後に仕上げます。順番は「明細(第9〜15表)→税額(第2表・第1表)→控除(第4〜8表)」です。

Q2. 15表すべてを書く必要がありますか?

いいえ。多くの相続で使うのは第1・2・11・13・15表で、保険金があれば第9表、配偶者が取得すれば第5表のように、当てはまる表だけを足します。

Q3. 令和8年分の申告書のコードはどこで確認できますか?

国税庁の「相続税の申告書等の様式一覧(令和8年分用)」に、表ごとの記載要領が載っています。続柄は配偶者01・長男11・長女21、宅地は13、普通預金は12のように書きます。

Q4. 相続人が複数いる場合、申告書は別々に書きますか?

1通の申告書に連名で書き、まとめて出すのが一般的です。別々に出すこともでき、その場合は第1表に一緒に出す人だけを書きます。納税は各人がそれぞれ行います。

Q5. 申告書を出したあとに間違いに気づいたらどうしますか?

税額が少なすぎたなら修正申告、多すぎたなら申告期限から5年以内に更正の請求をします。税務署の調査の通知を受ける前に自分で修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。

まとめ|申告書は「必要な表を選び、第9表から順番に」書く

相続税の申告書は、表の番号順ではなく、財産の明細から書き始めます。必要な表だけを選び、亡くなった年の様式とコード表を確かめれば、手順どおりに埋めていけます。この記事で扱った内容を整理すると次のとおりです。

  • 書く順番は「第9〜15表(明細)→第2表・第1表(税額)→第4〜8表(控除)」で、第1表は最後
  • 多くの相続は第1・2・11・13・15表が土台。保険金・配偶者・小規模宅地などに当てはまれば表を足す
  • 令和6年分から第11表は合計表と付表1〜4に分かれ、令和8年分からは続柄や財産の細目をコードで書く
  • 付表の取得者は番号で書き、番号と氏名の対応は第11表に書く
  • 保険金の非課税枠は受取額で按分し、課税金額を付表4(コード71)へ写す
  • 第15表の合計と第11表の取得財産の価額を突き合わせ、あん分割合の合計を1.00にそろえる
  • 配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例で0円になっても申告書を出す
  • 令和7年1月から控えに受付印は押されない。提出日と方法は自分で記録する

今すぐ取るべき行動

  • 亡くなった年の「相続税の申告書等の様式一覧」から、様式と記載要領をダウンロードする
  • 該当チェックリストで、自分の相続に必要な表を洗い出す
  • 土地の評価明細書など、財産の評価を先に済ませる
  • 第9表と付表から明細を書き始め、第15表で合計を突き合わせる
  • 土地の評価や特例の判断に迷う場合は、相続税の対応実績がある税理士に一括相談・見積りを依頼する

※本記事は2026年10月時点の法令等に基づいています。相続税法の改正や様式の変更により内容が変わる場合があります。最新の制度と様式については国税庁のウェブサイトまたは税理士にご確認ください。

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