


事業を始めたばかりの方ほど、この疑問にぶつかります。
顧問税理士とは、一定期間の顧問契約を結んで継続的に税務を任せる税理士のことですが、何をどこまでやってくれるのか、いくらかかるのか、自分に本当に必要なのかは、調べてもなかなか見えてきません。
この記事では、顧問税理士の定義と法律上の根拠、頼めること・頼めないこと、費用の決まり方、契約前に確認すべき項目、必要かどうかの判断基準までを、国税庁や財務省が公表しているデータをもとに解説します。
特定の事務所への誘導はありません。
顧問税理士という言葉は法律用語ではなく、契約の形を表す呼び方です。
ここではまず「税理士」との違い、税理士だけができる仕事、スポット契約との違い、似た名前の専門家との違いを整理し、最後に公的データで「どれくらいの事業者が税理士をつけているのか」を確認します。
税理士は国家資格の名前で、顧問税理士はその税理士と「顧問契約」を結んだ状態を指します。
資格の種類が違うわけではなく、同じ税理士でも、決算申告だけを単発で頼めば「スポット依頼先」、毎月や毎年の契約で継続的に関わってもらえば「顧問税理士」と呼ばれます。
顧問契約では、月額または年額の顧問料を支払う代わりに、日常的な税務相談や帳簿のチェック、決算・申告、税務調査への対応などを一体で任せられます。事業の数字を継続的に見てもらえるので、期末になって慌てて税理士を探す必要がなく、年間を通じた節税や資金繰りの相談ができる点が、単発依頼との一番の違いです。
言い換えると、顧問税理士がいるかどうかは「毎月見てくれる人がいるか」の違いであり、頼む相手の資格は変わりません。だからこそ、どんな契約内容にするかが顧問税理士の価値を決めることになります。
顧問税理士に任せる仕事の中心は、税理士法第2条で定められた3つの業務です。これらは税理士(または税理士法人)以外が報酬を得て行うことが禁じられている独占業務で、無資格者が代行すると税理士法違反になります。
この3つ以外の仕事、たとえば記帳代行や給与計算、経営の相談などは、税理士でなくても行えます。顧問契約には独占業務と非独占業務が混ざっているため、「税理士にしか頼めない部分」と「税理士に頼むと便利な部分」を分けて考えると、契約内容を比べやすくなります。
税務調査の場面でも、この区別は実務に直結します。国税庁のFAQでは、税務代理を依頼している税理士がいない場合に、記帳を手伝ってもらっている人を調査の現場に立ち会わせられるかという問いに対し、本人に代わって主張や陳述をする税務代理行為は税理士以外にはできない、という整理が示されています。
税理士への依頼方法は、大きく「顧問契約」と「スポット契約」の2つに分かれます。どちらが優れているかではなく、事業の状況によって合う形が違います。
| 比較項目 | 顧問契約 | スポット契約 |
|---|---|---|
| 契約期間 | 月単位・年単位で継続 | 決算申告など1回ごと |
| 費用の形 | 月額顧問料+決算料 | 1件ごとの報酬 |
| 税務相談 | 期間中は随時相談できる | 依頼した業務の範囲内 |
| 税務調査 | 事前通知の受け取りから立会いまで対応しやすい | 別途依頼が必要なことが多い |
| 節税・資金繰り | 年間を通じて設計できる | 期末時点での対応が中心 |
| 向いている事業者 | 取引量が多い、従業員がいる、融資や法人化を予定している | 取引が少なく帳簿を自分で付けられる |
スポット契約は費用を抑えやすい一方で、税理士が事業の状況を継続的に把握していないため、期中の判断ミスを後から指摘される形になりがちです。
顧問契約は固定費が発生しますが、「この経費は落ちるか」「役員報酬をいくらにするか」といった判断を、その都度相談しながら進められます。
創業直後で取引が少ないうちはスポット契約から始め、売上や従業員が増えた段階で顧問契約に切り替える、という進め方も珍しくありません。
どちらを選ぶかの目安は、後の「顧問税理士は必要?いらない?判断の目安」で整理します。
「顧問会計士」や「顧問社労士」という言葉を見かけて、顧問税理士と何が違うのか迷う方もいます。それぞれ根拠となる資格と、担当する業務の範囲が違います。
公認会計士は監査や財務諸表の信頼性を担保する専門家で、上場企業や大会社の会計監査が本来の仕事です。公認会計士は税理士登録をすれば税理士業務も行えるため、「顧問会計士」が実際には税理士として顧問契約をしているケースもあります。中小企業や個人事業主が税務を任せる相手としては、税理士登録の有無を確認すれば十分です。
社会保険労務士は、健康保険・厚生年金・雇用保険の手続きや、就業規則、労務トラブルの専門家です。従業員を雇うと社会保険の手続きが必要になりますが、これは税理士の業務ではなく社労士の領域に入ります。
給与計算は税理士・社労士のどちらにも頼めますが、年末調整の書類作成は税理士の業務とされているため、両者で分担する形が一般的です。
つまり、顧問税理士は「税金と会計」、顧問社労士は「人と社会保険」、顧問会計士は「監査と財務の信頼性」と覚えておくと、誰に何を相談すべきかが整理できます。
「周りの経営者はみんな税理士をつけているのか」という疑問には、公的なデータで答えられます。
財務省が公表している国税庁の実績評価書には、申告書のうち税理士が関与した割合が税目別に示されています。
| 税目 | 税理士関与割合(令和6年度) |
|---|---|
| 法人税 | 89.8% |
| 相続税 | 86.5% |
| 所得税 | 20.4% |
法人税は約9割に税理士が関与しており、法人では「税理士に任せるのが前提」といえる水準です。
一方、所得税の申告は2割程度にとどまります。所得税の申告には給与所得者の還付申告や年金受給者の申告も含まれるため、個人事業主だけで見ればもう少し高くなると考えられますが、それでも多くの個人事業主が自力で申告している実態がうかがえます。
この数字は、顧問税理士が「必要か不要か」を考えるときの出発点になります。法人を設立するなら、ほとんどの同業者と同じように税理士を前提に動くのが現実的です。個人事業主であれば、事業規模や取引の複雑さに応じて、スポット依頼や自力申告も含めて選べる余地があります。
なお、税理士の登録者数は全国で82,682人(令和8年9月末時点)です。事務所の規模も得意分野もさまざまなので、「税理士をつける」と決めた後に「どの税理士に頼むか」を選ぶ作業が重要になります。
[参照元]税理士登録者数 – 日本税理士会連合会
顧問契約で頼める業務は、法律上の独占業務から、経理の実務、経営の相談まで幅があります。ただし、どこまでが顧問料に含まれるかは契約ごとに違います。
ここでは代表的な7つの業務を、「税理士にしかできないこと」「税理士に頼むと便利なこと」の区別がつくように解説します。
顧問税理士の仕事の土台になるのが、決算書の作成と各種申告です。法人であれば、事業年度が終わるごとに貸借対照表や損益計算書をまとめ、それをもとに法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税の申告書を作ります。
消費税の課税事業者であれば消費税申告書も必要です。個人事業主であれば、毎年3月15日までに所得税の確定申告を行い、課税事業者なら消費税の申告も行います。
これらの申告書を本人に代わって作成し、税務署に提出することは、税理士法第2条の「税務書類の作成」と「税務代理」にあたります。申告書の様式は税制改正のたびに変わり、記載の誤りは加算税や延滞税につながるため、継続的に事業を見ている顧問税理士がまとめて担当することで、期末の負担が大きく減ります。
顧問契約では月額の顧問料とは別に「決算料」や「申告料」が設定されていることが一般的です。年に1回の大きな作業なので、顧問料にどこまで含まれるのかは契約時に確認しておきたいポイントです。
事業をしていると、
といった判断に日常的に直面します。こうした個別の税務判断について相談に応じることが「税務相談」で、税理士の独占業務の一つです。
スポット契約では、期末に申告書を作る段階で初めて取引を見るため、「それは経費にできません」と後から言われることになります。顧問契約なら、取引が発生したタイミングで相談できるので、経費にするための証拠の残し方や、取引の形自体を見直す余地が生まれます。
相談の方法は、月次の面談のほか、メールやチャット、電話で随時受け付けている事務所が多くなっています。ただし、相談回数に上限がある契約や、面談が有料オプションになっている契約もあるため、相談のしやすさは契約内容によって差が出ます。
記帳とは、日々の売上や経費を帳簿に記録する作業です。記帳そのものは税理士の独占業務ではなく、自分で行うことも、記帳代行業者に頼むこともできます。顧問契約では、この記帳を税理士事務所が代行する「記帳代行込み」の契約と、自社で記帳したデータを税理士がチェックする「自計化」の契約に分かれます。
記帳代行込みの契約は、領収書や通帳のコピーを渡せば帳簿が出来上がるので手間がかかりません。その分、顧問料は高くなり、帳簿が完成するまでに1〜2か月のタイムラグが生じることもあります。自計化の契約は、クラウド会計ソフトなどで自社が入力し、税理士が月次で内容を確認する形で、顧問料を抑えやすく、数字をリアルタイムに近い形で把握できます。
どちらが合うかは、経理担当者がいるか、取引件数がどれくらいか、数字をどの頻度で見たいかによります。
仕訳数(取引の件数)が顧問料の算定基準になっている事務所も多いため、見積もりを取る際には年間の取引件数をおおまかに把握しておくと話が早く進みます。
顧問税理士がいると、期末の数か月前に「このままだと納税額はいくらになるか」という予測を立ててもらえます。この納税予測があるからこそ、決算前に設備投資をする、役員賞与の届出を出す、小規模企業共済や倒産防止共済への加入を検討する、といった節税の打ち手を期限内に実行できます。
節税策の多くは「期末までに実行していること」が条件になっており、申告の段階で気づいても間に合いません。年間を通じて数字を見ている顧問税理士だからこそ、タイミングを逃さずに提案できるのです。逆に、月次の数字を把握していないスポット契約では、構造的にこの役割を果たしにくくなります。
ただし、税理士によって節税提案への積極性には差があります。保守的に申告の正確さを優先する税理士もいれば、積極的に提案する税理士もいるため、どちらの姿勢を求めるかは契約前に確認したいところです。
税務調査が入ったとき、顧問税理士は事前通知の受け取りから、当日の立会い、調査官への説明、修正申告が必要になった場合の対応まで、納税者の代理として関わります。これは税理士法上の「税務代理」で、本人に代わって主張や陳述を行えるのは税理士だけです。
国税庁の公表資料によると、令和6事務年度の法人税等の実地調査は5万4千件で、追徴税額の総額は3,407億円と直近10年で最高となり、調査1件あたりの追徴税額は634万2千円でした。国税庁はAIを活用して調査の必要度が高い法人を抽出しており、申告内容に不自然な点がある法人ほど調査対象になりやすい仕組みが進んでいます。
[参照元]令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要|国税庁
調査の場で「なぜこの処理をしたのか」を説明できるのは、普段から帳簿を見ている税理士です。
スポット契約で申告だけを頼んでいた場合、調査時に改めて税理士を探して経緯を説明し直す必要があり、対応が後手に回りがちです。
税務調査の立会いが顧問料に含まれるのか、別途日当がかかるのかは契約によって異なるため、この点も確認しておきましょう。
従業員を雇うと、毎月の給与計算と源泉所得税の納付、年末調整、翌年1月の法定調書や給与支払報告書の提出が必要になります。年末調整の計算や源泉徴収票・法定調書の作成は税務書類の作成にあたるため、税理士の業務とされています。
給与計算そのものは税理士でなくても行えますが、年末調整とセットで顧問税理士に頼む事業者が多いのはこのためです。一方、社会保険や雇用保険の加入手続き、算定基礎届、労働保険の年度更新などは社会保険労務士の業務で、税理士は代行できません。
従業員が増えてくると、税理士と社労士の両方と顧問契約を結ぶか、両方の資格者が在籍する事務所に頼むかを検討することになります。
給与計算や年末調整は、顧問料に含まれていないことも多く、従業員1人あたりいくら、という料金設定になっている事務所が一般的です。
従業員を雇う予定があるなら、その時点で費用がどう変わるかを聞いておくと、後で慌てずに済みます。
顧問税理士は事業の数字を継続的に見ているため、融資の相談や資金繰りの見通しについても相談相手になります。
金融機関に融資を申し込む際には決算書や試算表、資金繰り表が必要になり、これらを税理士が整えることで審査がスムーズに進みやすくなります。創業融資や補助金の申請に際して、事業計画書の数値面を税理士が確認するケースも多くあります。
月次で試算表を作っていれば、「今月は売上が落ちているが、原因は単価か件数か」「このペースだと半年後に資金が足りなくなる」といった話を、数字をもとにできるようになります。経営者が一人で抱えがちな資金の不安を、第三者の視点で整理してもらえる点は、顧問契約ならではの価値です。
ただし、経営コンサルティングは税理士の独占業務ではなく、どこまで踏み込むかは税理士の方針と契約内容次第です。「申告は正確にやるが経営には口を出さない」という事務所もあれば、経営会議に同席するような事務所もあります。次の章では、こうした「できないこと」「やらないこと」の線引きを整理します。
顧問税理士に頼めることが多い一方で、法律上できないこと、契約上やらないことがあります。
ここを知らないと、「顧問税理士がいるのに手続きが止まっている」という事態になりかねません。他の士業との境界と、経営コンサルティングの扱いを確認しておきましょう。
これらは、社会保険労務士の独占業務とされています。顧問税理士は、これらの手続きを代行できません。
実務では、給与計算は税理士が担当し、社会保険の手続きは社労士が担当する、という分担がよく見られます。
税理士事務所の中には提携する社労士を紹介してくれるところや、社労士が同じグループに在籍しているところもあります。従業員を雇う予定があるなら、顧問契約の段階で「社会保険の手続きはどうするか」を聞いておくと安心です。
会社を設立するときの設立登記、役員の変更や本店移転の登記、増資の登記などは、司法書士の業務です。顧問税理士は、設立時の資本金の設定や決算期の選び方、役員報酬の設計について税務面から助言はできますが、登記申請そのものは代行できません。
「会社設立をまるごとサポート」とうたう税理士事務所もありますが、登記部分は提携の司法書士が担当する形が一般的です。設立時にどこまでが税理士の対応範囲で、どこからが司法書士の費用になるのかは、見積もりの段階で確認しておきたい点です。
取引先との契約トラブル、売掛金の回収、従業員との紛争などの法律問題は弁護士の業務で、税理士は代理人になれません。税務訴訟に限っては、税理士が弁護士とともに補佐人として法廷で陳述できる制度がありますが、これは税金に関する訴訟に限られます。
顧問税理士は事業の内情を把握しているため、「この問題は弁護士に相談したほうがいい」という判断の相談相手にはなります。ただし、法的な助言そのものを期待する相手ではないと理解しておきましょう。
経営相談や経営計画の策定支援は、税理士の独占業務ではありません。つまり、顧問契約を結んでも、経営相談に応じる義務が自動的に発生するわけではなく、どこまで関わるかは税理士の方針と契約内容次第です。
実際には、月次決算をもとに経営の数字を解説してくれる税理士もいれば、申告業務に専念して経営には関与しない税理士もいます。顧問料が高めの事務所は経営支援に力を入れていることが多く、低価格の事務所は申告と相談に絞っていることが多い、という傾向はありますが、金額だけでは判断できません。
「経営の相談もしたい」のか「申告を正確にやってもらえれば十分」なのかは、顧問税理士を選ぶ前に自分の中で決めておくべき点です。
この希望が曖昧なまま契約すると、「何となく物足りない」「期待していたほど相談に乗ってくれない」という不満につながりやすくなります。
顧問税理士をつける意味は「申告を代わりにやってもらえる」だけではありません。継続的に関わってもらうからこそ得られる効果を、時間・リスク・節税・税務調査・融資の5つの観点で整理します。
経営者が経理や税務に使う時間は、売上を生みません。帳簿の入力、領収書の整理、税制改正の確認、申告書の作成を自分で行うと、年間で見ればかなりの時間になります。顧問税理士に任せることで、その時間を営業や商品開発、顧客対応に充てられます。
特に効果が大きいのは、決算期です。自力で決算をすると、不慣れな作業に数週間を取られ、しかも正しくできているか不安が残ります。顧問税理士がいれば、期中に数字が整っているため、決算は資料を渡して確認するだけで済むようになります。
「自分でやれば無料」と考えがちですが、経営者の時間には単価があります。顧問料と、自分で経理をした場合に失う時間の価値を比べると、事業が軌道に乗るほど顧問税理士に任せたほうが合理的になっていきます。
申告内容に誤りがあって税額が少なかった場合、本来の税金に加えて過少申告加算税や延滞税が課されます。申告自体を忘れると無申告加算税の対象になり、意図的な仮装・隠蔽と判断されれば重加算税というさらに重い負担になります。これらは本来払う必要のなかったお金です。
顧問税理士がいれば、経費の判断や売上の計上時期、消費税の区分といった間違いやすいポイントを期中に確認してもらえるため、申告段階での誤りが減ります。税制改正への対応も税理士側で追ってくれるので、「知らないうちに制度が変わっていた」という事態を避けやすくなります。
正確な申告は、税務署との無用なやり取りを減らすことにもつながります。申告内容に不備があると、税務署からの問い合わせや修正申告の要請が増え、そのたびに時間を取られます。最初から正しく申告しておくことが、結果的に一番手間のかからない方法です。
節税策の多くには期限があります。役員賞与を損金にするための届出、決算前の設備投資、共済制度への加入などは、期末までに手続きや支払いを済ませていることが条件です。申告書を作る段階で気づいても間に合いません。
顧問税理士がいると、期末の数か月前に納税額の予測が立ち、「この利益水準なら、この対策を取るとどれくらい税額が変わるか」を数字で比べられます。利益が出すぎそうなら投資を前倒しし、赤字になりそうなら無理な支出を止める、といった判断を期限内にできるのは、年間を通じて数字を見ている顧問税理士ならではの役割です。
ただし、節税は「払う税金を減らす」ことと「手元の現金を減らす」ことが表裏一体です。節税のために不要な支出をすれば、税金は減っても現金は減ります。顧問税理士には「節税になるか」だけでなく「資金繰りにどう影響するか」も含めて相談すると、無理のない対策になります。
税務調査への備えは、顧問契約の価値が最もわかりやすく表れる場面です。調査が入ると、事前通知の受け取り、当日の立会い、調査官からの質問への回答、指摘があった場合の修正申告まで、顧問税理士が代理として対応します。普段から帳簿を見ている税理士だからこそ、「なぜこの処理をしたのか」を即座に説明できます。
さらに、税理士法第33条の2に基づく「書面添付制度」を利用すると、税理士が申告書の作成過程や確認した内容を書面にして申告書に添付します。
この書面が添付された申告について税務調査を行う場合、税務署は原則として調査の前に税理士から意見を聴く機会を設けることになっており、意見聴取の段階で疑問が解消されれば実地調査に至らないこともあります。
財務省の公表資料によると、税理士が関与した法人税申告のうち書面添付が行われた割合は、令和6年度で10.2%にとどまります(所得税1.5%、相続税24.6%)。制度を使っている税理士は1割程度ということであり、書面添付に対応しているかどうかは、顧問税理士を選ぶ際の具体的な判断材料になります。
[参照元]令和6事務年度国税庁実績評価書:財務省
金融機関に融資を申し込むと、決算書や試算表、資金繰り表の提出を求められます。税理士が関与して作成した決算書は、自作のものに比べて数字の信頼性が高いと見られやすく、審査の土台になります。月次で試算表を作っている事業者は、「直近の業績」を求められたときにすぐ出せる点でも有利です。
創業融資では、事業計画書の数値の妥当性が問われます。売上計画や返済計画を税理士と一緒に組み立てておくと、金融機関からの質問にも根拠をもって答えられます。税理士が金融機関との面談に同席したり、認定経営革新等支援機関として融資制度の利用を支援したりするケースもあります。
もちろん、顧問税理士がいれば融資が通るわけではありません。しかし、融資を申し込む段階になってから慌てて書類をそろえるのと、日頃から数字が整っているのとでは、準備の手間も審査の印象も大きく違います。
メリットが多い一方で、顧問契約には固定費の負担や「期待と実態のズレ」という注意点があります。契約前に知っておくことで、ミスマッチを防げます。
顧問契約の最大のデメリットは、売上に関係なく毎月の顧問料が発生することです。創業直後や売上が不安定な時期には、月数万円の固定費が重く感じられます。決算料や年末調整、税務調査の立会いなどが別料金になっていれば、年間の総額は月額顧問料の12倍より大きくなります。
この負担を正しく評価するには、顧問料だけを見るのではなく、「自分で経理をした場合に失う時間」「申告ミスによる加算税のリスク」「期限内に実行できる節税の効果」と比べる必要があります。それでもなお負担が大きいと感じるなら、記帳を自社で行って顧問料を抑える、創業期はスポット契約から始める、といった選択肢があります。
顧問料は事業の経費(支払手数料や支払報酬料などの勘定科目で処理するのが一般的)になるため、全額が自己負担になるわけではありませんが、現金が出ていくことに変わりはありません。無理なく払い続けられる金額かどうかは、契約前に冷静に見ておくべき点です。
「顧問税理士をつけたから、お金まわりは全部任せられる」と考えると、後で食い違いが起きます。顧問契約で頼める業務は契約書で決まっており、記帳代行や給与計算、年末調整、税務調査の立会いが含まれていない契約もあります。
また、社会保険の手続きや登記、法律トラブルは、前の章で見たとおり税理士の業務ではありません。「顧問税理士がいるのに手続きが進んでいなかった」という事態は、この業務範囲の誤解から起こります。
契約前には、頼みたい業務を書き出し、どれが顧問料に含まれ、どれが別料金で、どれが対応外なのかを一つずつ確認しておきましょう。この確認を省くと、顧問料の安さに惹かれて契約した結果、必要な業務が全部オプション扱いで割高になる、ということも起こり得ます。
顧問契約の価値は「気軽に相談できること」にあります。質問への返事が遅い、説明が専門用語ばかりで理解できない、こちらの事業に関心を持ってくれない、といった相性の問題があると、相談しなくなり、申告だけを頼む関係に落ち着いてしまいます。それでは顧問料に見合う効果が得られません。
税理士にも得意分野があります。相続に強い税理士、飲食業や建設業などの業種に詳しい税理士、クラウド会計を前提に効率化している税理士など、さまざまです。自社の業種や規模、やり取りの方法(対面・オンライン・チャット)に合う税理士を選ぶことが、相性の問題を避ける近道です。
契約後に相性が合わないとわかった場合は、変更を検討する選択肢もあります。変更の進め方は後の章で解説しますが、最初の面談で「質問にどう答えてくれるか」「どんな顧問先が多いか」を確かめておくと、変更の手間を減らせます。
顧問税理士が必要かどうかは、事業の規模と内容によって変わります。「法人なら必要、個人事業主なら不要」と単純には言えませんが、判断の目安になるタイミングははっきりしています。
次のいずれかに当てはまると、税務の複雑さが一段上がり、顧問税理士の必要性が高まります。
[参照元]No.6501 納税義務の免除|国税庁
これらのタイミングは、税務の負担が「自分で調べながらできる範囲」を超える節目です。特に消費税と法人税は、所得税の確定申告とは難易度が違うため、該当した時点で顧問契約を検討する価値があります。
一方で、すべての個人事業主に顧問税理士が必要なわけではありません。次のような状況なら、スポット契約や自力申告でも十分に対応できます。
所得税申告の税理士関与割合が20.4%にとどまるのは、こうした小規模な事業者が多いことの表れでもあります。この段階では、確定申告だけを税理士にスポットで頼む、あるいは年に1回だけ相談する、という形で費用を抑えつつ専門家のチェックを受ける方法が現実的です。
ただし、「自力で申告できる」ことと「節税の機会を逃していない」ことは別です。青色申告特別控除や各種共済の活用など、知らずに見送っている制度がないかを、一度は税理士に確認してもらう価値はあります。
次の項目に当てはまる数が多いほど、顧問契約の必要性が高いと考えられます。
3つ以上当てはまるなら、顧問税理士に見積もりを取ってみる段階です。1〜2個なら、スポット契約で様子を見ながら、該当項目が増えた時点で顧問契約に切り替える進め方が無理のない選択になります。
顧問料は事務所によって大きく異なります。その理由は、税理士報酬に公的な基準がないからです。ここでは料金の仕組みと、金額を左右する要因を解説します。
かつては、税理士会の会則にもとづく「税理士報酬規定」があり、業務ごとの報酬の上限が定められていました。しかし、資格者団体が報酬基準を定めることは公正な競争を妨げるという規制緩和の流れを受け、2001年の税理士法改正で報酬規定は廃止され、2002年4月1日以降、税理士は自らの責任で報酬額を算定し請求することが原則になりました。
[参照元]釜山地方税務士会からの質問事項及び近畿税理士会の回答(近畿税理士会)
つまり、現在「相場」として語られる金額は、法律や税理士会が定めたものではなく、各事務所の料金設定の集まりにすぎません。同じ業務内容でも事務所によって金額が違うのは、この自由価格の仕組みによるものです。相場を一つの目安として使いつつ、「何が含まれていくらか」を事務所ごとに確認する姿勢が必要になります。
公的な統計はないため、以下は多くの税理士事務所が公開している料金表に共通して見られる水準をまとめた目安です。実際の金額は事務所と契約内容で変わります。
| 区分 | 月額顧問料の目安 | 決算・申告料の目安 |
|---|---|---|
| 個人事業主(売上1,000万円未満) | 1万〜2万円前後 | 顧問料の4〜6か月分 |
| 個人事業主(売上1,000万円以上) | 2万〜3万円前後 | 顧問料の4〜6か月分 |
| 法人(売上3,000万円未満) | 2万〜3万円前後 | 顧問料の4〜6か月分 |
| 法人(売上3,000万〜1億円) | 3万〜5万円前後 | 顧問料の4〜6か月分 |
| 法人(売上1億円以上) | 5万円以上、規模に応じて個別見積もり | 個別見積もり |
記帳代行を頼む場合は、上記に月5,000円〜数万円が加わることが一般的で、仕訳数に応じて変動します。年末調整や給与計算は従業員1人あたりの料金、税務調査の立会いは1日あたりの日当が別途設定されている事務所が多くなっています。
年間の総額で見ると、法人で月額顧問料3万円・決算料15万円・記帳代行なしの場合、年間51万円程度が一つのイメージです。この総額を、自分で経理をした場合の時間と、加算税や節税機会のリスクと比べて判断することになります。
顧問料の見積もりは、主に次の5つの要素で決まります。見積もりを取る前にこれらを把握しておくと、複数の事務所を同じ条件で比べられます。
自社で記帳し、面談をオンラインにし、業務範囲を申告と相談に絞ると、顧問料は抑えられます。逆に、記帳から給与計算、経営相談まで任せると高くなりますが、その分の手間が減ります。「安い事務所」と「高い事務所」の差は、多くの場合この依頼範囲と関わり方の差です。
顧問税理士に支払う報酬は、事業の必要経費・損金として処理できます。勘定科目は「支払手数料」または「支払報酬料」「顧問料」などを使うのが一般的で、どの科目を使うかに決まりはありませんが、一度決めたら継続して同じ科目を使います。
個人の税理士・税理士事務所に支払う報酬は、所得税の源泉徴収の対象になります。報酬を支払う側が源泉徴収義務者(従業員を雇って給与を支払っている事業者など)に該当する場合、報酬から源泉所得税を差し引いて納付する必要があります。税理士法人に支払う場合は源泉徴収の対象になりません。この処理は顧問税理士自身が案内してくれるのが通常ですが、仕組みとして知っておくと請求書の見方がわかります。
顧問税理士とのトラブルの多くは、「含まれていると思っていた業務が別料金だった」「やめたいのに解約できない」といった契約内容の確認不足から起こります。契約書にサインする前に、次の4点を押さえておきましょう。
まず確認すべきは、月額顧問料で何をしてもらえるのかです。事務所によって顧問料の範囲は大きく異なり、「税務相談と月次チェックのみ」という契約から、「記帳代行・給与計算・年末調整まで込み」という契約まであります。
確認したい項目を挙げると、次のようになります。
これらを一覧にして見積もりを依頼すると、複数の事務所を同じ条件で比べられます。「月額2万円」と「月額3万円」を比べたとき、後者に決算料や年末調整が含まれていれば、年間総額では逆転することも珍しくありません。
顧問契約は1年契約で自動更新される形が一般的です。解約する場合は「○か月前までに書面で通知」という条件がついていることが多く、この期間を過ぎると次の1年も契約が続くことになります。
契約書で確認すべきは、契約期間の長さ、自動更新の有無、解約の予告期間、途中解約した場合の違約金や残期間分の顧問料の扱い、決算期をまたいで解約した場合の決算料の精算方法です。特に「決算直前に解約すると、決算料は払うのに申告は新しい税理士に頼む」という事態は避けたいところなので、解約のタイミングと決算期の関係は事前に確認しておきましょう。
契約期間中であっても、相性が合わない、対応が遅いといった理由で変更を考えることはあります。その場合に無理なく動けるよう、解約条件は契約前に必ず読んでおくべき項目です。
税理士には、税理士法第38条で守秘義務が課されています。税理士業務に関して知り得た秘密を正当な理由なく他に漏らしたり、盗用したりすることは禁じられており、これは税理士でなくなった後も続きます。事業の売上や取引先、個人の資産状況を預けるうえで、この義務が法律で定められている点は安心材料になります。
[参照元]税理士法|e-Gov法令検索
一方で、税理士の責任範囲も確認しておきたい点です。税理士のミスで追徴税額が発生した場合の損害賠償の扱いや、税理士賠償責任保険への加入の有無は、契約書や事務所の案内で確認できます。また、納税者が提出した資料に誤りや漏れがあった場合の責任は納税者側にあるのが原則で、「税理士に任せているから自分は何も確認しなくてよい」という関係ではありません。申告書の内容は、最終的には納税者自身が確認して署名するものだと理解しておきましょう。
顧問契約の一般的な流れは、次のようになります。
初回面談は無料としている事務所が多く、ここで相性や対応の速さを確かめられます。面談の際には、「質問にどう答えてくれるか」「こちらの事業にどれだけ関心を持ってくれるか」を見ておくと、契約後のズレを減らせます。複数の事務所と面談して比べることも、まったく問題ありません。
全国に82,682人(令和8年9月末時点)の税理士がいる中で、自社に合う税理士をどう見つけるか。ここでは6つの判断軸と、具体的な探し方を解説します。
税理士にも得意分野があります。相続税に強い税理士、医療法人を多く担当している税理士、飲食業や建設業、IT業に詳しい税理士など、顧問先の構成によって経験の幅が変わります。自社と同じ業種・規模の顧問先が多い税理士であれば、業界特有の経費の扱いや、よくある税務上の論点を把握している可能性が高くなります。
初回面談で「同じ業種の顧問先はどれくらいありますか」「うちのような規模の会社で、よく出てくる税務上の問題は何ですか」と聞いてみると、経験の深さがわかります。質問に具体的に答えられる税理士は、その業種への理解があると判断できます。
顧問契約の価値は、相談のしやすさで決まります。メールへの返信が数日かかる、電話がつながらない、質問しても専門用語ばかりで結局わからない、という税理士では、顧問料を払っていても相談する気が失せてしまいます。
問い合わせ段階での返信速度は、契約後の対応速度の目安になります。初回面談で、わざと基本的な質問をしてみて、専門用語を使わずに説明してくれるかを確かめるのも一つの方法です。経営者が理解できる言葉で説明できる税理士は、知識を実務に落とし込む力があります。
クラウド会計ソフトを使う事業者が増え、税理士の関わり方も変わっています。銀行口座やクレジットカードと連携して自動で仕訳が作られる環境では、税理士の仕事は「入力」から「確認と判断」に移っています。この変化に対応している事務所は、月次の数字をリアルタイムに近い形で共有でき、顧問料も抑えやすい傾向があります。
一方で、紙の資料を郵送して翌々月に帳簿が戻ってくる、という事務所もまだあります。自社がどのソフトを使いたいか、月次の数字をいつまでに見たいかを伝え、対応できるかを確認しましょう。「使っているソフトは何でも対応できる」と言う事務所より、「このソフトなら効率的に運用できる」と明言する事務所のほうが、実際の運用がスムーズなこともあります。
税務調査への備えを重視するなら、書面添付制度への対応と、税務調査の立会い経験を確認しましょう。書面添付は、税理士が申告書の作成過程を書面で示す制度で、法人税申告での実施割合は10.2%(令和6年度)にとどまります。これを実施している税理士は、申告内容に責任を持つ姿勢の表れとも言えます。
税務調査の立会い経験については、「年間にどれくらい調査に立ち会っていますか」「調査でよく指摘される点は何ですか」と聞いてみると、経験の有無と対応の姿勢がわかります。調査の際に納税者の側に立って説明してくれる税理士か、調査官の指摘をそのまま受け入れる税理士かは、追徴税額に直接影響します。
「月額○円」とだけ書かれている事務所より、何が含まれて何が別料金かを明示している事務所のほうが、契約後のトラブルが少なくなります。料金表をウェブサイトで公開している、見積もりに業務ごとの内訳がある、オプション料金が明記されている、といった点は、料金の透明性の目安になります。
安さだけで選ぶと、必要な業務がすべてオプション扱いで割高になったり、相談回数に制限があったりすることがあります。逆に高いからよいとも限りません。自社が必要とする業務範囲で総額を比べ、そのうえで対応の質を判断するのが合理的な選び方です。
顧問税理士の探し方は、主に3つあります。
1つ目は、日本税理士会連合会が運営する「税理士情報検索サイト」です。登録されている税理士・税理士法人を地域や名前で検索でき、登録の有無を確認できます。無資格者が「税理士」を名乗っていないかを確かめる用途にも使えます。
2つ目は、知人の経営者や取引先、金融機関からの紹介です。実際に顧問契約をしている人の評価が聞けるため、相性や対応の質を事前に把握しやすい方法です。ただし、紹介者と自社では事業の規模や業種が違うこともあるので、紹介されたからといって比較せずに決めるのは避けたいところです。
3つ目は、民間の税理士紹介サービスや検索サービスです。希望条件を伝えると複数の候補を提案してもらえますが、サービスによっては紹介料が税理士側の負担となり、それが顧問料に反映される可能性もあります。利用する際は、どのような仕組みで紹介されているかを理解したうえで使いましょう。
どの方法で探す場合も、最終的には複数の事務所と面談して、業務範囲・料金・相性を比べて決めることをおすすめします。
一度契約した顧問税理士でも、変更は可能です。ただし、タイミングと手順を誤ると、申告の引き継ぎがうまくいかなかったり、余計な費用がかかったりします。
次のような状況が続いているなら、変更を検討する時期かもしれません。
「顧問料が高い」だけで変更すると、安くなった分だけ対応も薄くなることがあります。変更の理由が料金なのか、対応の質なのか、業務範囲なのかを整理してから動くと、次の税理士選びで同じ失敗を繰り返さずに済みます。
顧問税理士を変更する際の基本的な流れは、次のとおりです。
変更のタイミングとして最も自然なのは、決算・申告が終わった直後です。期の途中で変更すると、期中の処理を前の税理士が、決算を新しい税理士が担当する形になり、引き継ぎの負担が大きくなります。やむを得ず期中に変更する場合は、新しい税理士に期首からの帳簿を確認してもらう必要があるため、その分の費用がかかることも想定しておきましょう。
解約を伝える際は、感情的にならず、事務的に手続きを進めるのが無難です。資料の返却に協力してもらう必要があるため、関係をこじらせると引き継ぎが滞ります。「事業の方針が変わったため」など、角が立たない理由を伝えれば十分です。
法律上の制限はなく、複数の税理士と契約することは可能です。たとえば、通常の税務は地元の税理士に、相続や国際税務などの専門分野は別の税理士に、という使い分けをする事業者もいます。ただし、税務署への申告は一つの申告書で行うため、同じ税目について複数の税理士が重複して関与すると責任の所在が曖昧になります。役割分担を明確にしたうえで、通常は主担当となる税理士を一人決めておくのが現実的です。
法律上、法人の決算申告を自分で行うことは可能で、税理士への依頼は義務ではありません。ただし、法人税の申告書は別表と呼ばれる多数の様式で構成され、会計上の利益と税務上の所得の調整が必要になるため、所得税の確定申告に比べて難易度が高くなります。法人税申告の89.8%に税理士が関与しているというデータが示すとおり、実務上は税理士に頼むのが一般的です。自力で行う場合は、申告内容の誤りによる加算税のリスクを理解したうえで判断してください。
中小企業や個人事業主の税務を頼むなら、税理士(または税理士登録をしている公認会計士)になります。公認会計士の本来の業務は監査であり、税理士登録をしていなければ税務申告書の作成や税務相談はできません。「顧問会計士」を名乗る相手に税務を頼む場合は、税理士登録の有無を確認しましょう。会計監査が必要な大会社や上場準備中の企業であれば、公認会計士の関与が必要になります。
契約によって異なります。顧問料に含めている事務所もあれば、立会い1日あたりの日当を別途設定している事務所もあります。調査後に修正申告が必要になった場合の申告書作成料が別途かかることもあります。税務調査は数年に一度あるかないかの出来事ですが、発生したときの費用は小さくないため、契約前に確認しておくべき項目の一つです。
問題ありません。クラウド会計ソフトやオンライン会議、チャットツールが普及したことで、事務所の所在地と事業所が離れていても顧問業務は成り立ちます。税務調査の立会いのように現地対応が必要な場面でどう対応するか、交通費の扱いはどうなるかを確認しておけば、地域にこだわらず自社に合う税理士を選べます。ただし、対面での相談を重視するなら、訪問可能な距離の税理士を選ぶほうが満足度は高くなります。
あります。税理士法第38条により、税理士は業務上知り得た秘密を正当な理由なく漏らしたり盗用したりしてはならないと定められており、この義務は税理士をやめた後も続きます。違反した場合は懲戒処分や罰則の対象になります。事業の内情や個人の資産状況を安心して相談できる根拠として、この法律上の義務を知っておくとよいでしょう。
顧問税理士とは、顧問契約を結んで継続的に税務を任せる税理士のことです。税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士法で定められた独占業務で、法人税申告の89.8%に税理士が関与している一方、所得税申告では20.4%にとどまります。法人は「つけるのが前提」、個人事業主は「必要になった段階で」というのが実態です。
顧問税理士が必要かどうかは、法人化、課税売上高1,000万円超、従業員の雇用、融資、インボイス登録といった節目で判断できます。これらに該当しない小規模な個人事業主なら、スポット契約や自力申告でも対応できます。
顧問料は2002年の報酬規定廃止以降、事務所ごとの自由価格です。相場はあくまで目安であり、「何が含まれていくらか」を事務所ごとに確認する必要があります。契約前には、業務範囲と別料金、契約期間と解約条件、守秘義務と責任範囲を確認し、複数の事務所と面談して比べることをおすすめします。
顧問税理士は、契約した瞬間に効果が出るものではなく、相談しやすい関係を築いて初めて価値が生まれます。この記事の判断基準とチェックリストをもとに、自社に合う形で検討してみてください。