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相続税調査の事前通知とは|通知内容・対応方法・当日までの準備を徹底解説

相続税_調査_事前通知

相続税の税務調査は、申告書提出から1〜2年後に「事前通知」の電話として突然やってきます。

令和5事務年度の実地調査8,556件のうち84.2%で申告漏れが指摘されており、通知を受けた際に慌てないための準備が不可欠です。

本記事では国税通則法第74条の9で定められた7つの通知事項・日程調整の方法・当日の準備・税理士ありなし別の対応まで、事前通知を受けてから調査終了まで時系列で解説します。

▼ この記事の3行まとめ

  • 相続税調査の事前通知は国税通則法第74条の9に基づく法的手続きで、7つの事項が告げられる
  • 通知後〜調査当日までに「申告書の再確認・通帳5年分の準備・税理士への連絡」の3点が最優先行動
  • 調査は原則として拒否できないが、合理的な理由があれば日程変更は認められる

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相続税の税務調査とは|実施確率・時期・任意調査と強制調査の違い

事前通知の内容や対応方法を理解するためには、まず相続税の税務調査がどのような制度で、どの程度の確率で来るのかを把握することが重要です。

調査の全体像を理解したうえで事前通知の内容を読むことで、適切な準備ができます。

令和5事務年度の実地調査8,556件・非違割合84.2%の実態

国税庁が公表している令和5事務年度の相続税調査の状況から、税務調査の実態を確認します。

項目令和5事務年度(2023年)
実地調査件数8,556件(前年度比104.4%)
非違があった件数・割合7,200件・84.2%
追徴税額(実地調査)735億円(前年度比109.8%)
追徴税額(簡易接触含む合計)857億円(過去最高)
申告漏れ財産の最多種類現金・預貯金等(全体の約29%)

実地調査を受けた方のうち、約84%で何らかの申告漏れ・誤りが指摘されているという高い割合が実態です。

相続税の申告は複雑で、申告した本人が気づいていない誤りが発見されるケースも多くあります。

事前通知を受けた時点で申告内容を再確認することが、修正申告額を最小化するうえで重要な行動です。

参照元:国税庁 令和5事務年度における相続税の調査等の状況

税務調査の2種類|任意調査と強制調査(査察)の違いと相続税での発生率

税務調査には「任意調査」と「強制調査(査察)」の2種類があります。

相続税の調査においてほぼすべてのケースに該当するのは任意調査です。

種類内容相続税での発生率
任意調査税務署員が納税者を訪問してヒアリング・書類確認を行う調査。事前通知が原則として行われるほぼすべての相続税調査がこれに該当
強制調査(査察)脱税の疑いが強い場合に裁判所の令状に基づいて強制的に実施。国税局査察部(マルサ)が担当極めてまれ(数億円規模の悪質な脱税案件)

任意調査は「任意」という言葉がついていますが、実際には正当な理由なく拒否や妨害をすると国税通則法第128条に基づき罰則の対象となる場合があります。

「任意調査なので断れる」という誤解は危険です。事前通知を受けたら原則として応じる必要があります。

事前通知が来るのはいつ頃か|申告後1〜2年・8〜12月が多い理由

相続税の税務調査は時期があります。

申告書提出から実際に調査が実施されるまでの期間と、調査が集中しやすい時期を把握しておくことで、心理的な準備ができます。

項目目安・理由
事前通知が来る時期申告書提出から1〜2年後が最多。申告書の審査・分析に時間がかかるため
調査が集中する季節8〜12月が多い。税務署の事務年度(7月〜翌6月)の前半に調査を集中させるため
事前通知から調査当日まで1〜3週間程度。日程調整の余地がある
申告書を提出しなかった場合申告期限(相続開始から10ヶ月後)から5〜7年以内に調査が来るケースがある

申告書を提出してから2〜3年が経過しても連絡がない場合は調査対象になっていない可能性が高くなります。

ただし故意の申告漏れや仮装・隠蔽がある場合は時効が7年に延長されるため、申告後も油断はできません。

事前通知の法的根拠と7つの通知事項|国税通則法第74条の9

税務調査の事前通知は、平成23年(2011年)の国税通則法改正によって法律上の義務として明確化されました。

通知で告げられる内容・税理士への連絡ルール・代理人がいる場合の手続きを正確に理解することが、適切な初動対応につながります。

国税通則法第74条の9とは|2012年新設・事前通知が義務化された経緯

平成23年の国税通則法改正以前は、税務調査の事前通知に明確な法的根拠がなく、税務署の慣行として行われていました。

改正により第74条の9が新設され、税務署長等が実地調査を行う前に納税者に対して事前通知することが法律上義務化されました。

項目内容
根拠法令国税通則法第74条の9(納税義務者に対する調査の事前通知等)
施行平成25年(2013年)1月1日
通知の方法原則として電話による口頭での通知(書面ではない)
通知の相手納税者本人、または税務代理権限証書を提出した税務代理人(税理士)

事前通知は電話で行われるため、通知の内容をメモしておくことが重要です。

税理士に申告を依頼していた場合は税理士の事務所に連絡が入ることが多いため、申告後も税理士との連絡手段を確保しておくことが推奨されます。

事前通知で告げられる7つの項目と確認すべきポイント

国税通則法第74条の9では、事前通知で告げるべき事項として以下の7項目が定められています。

通知を受けたときにこれらの項目を聞き取り、メモしておきましょう。

#通知事項確認すべきポイント
調査を開始する日時具体的な日時・曜日。変更を希望する場合はこの段階で申し出る
調査を行う場所自宅か税務署か。相続税調査は原則として被相続人の自宅(または相続人宅)で行われることが多い
調査の目的「相続税申告の内容確認」という趣旨が告げられる
調査の対象となる税目「相続税」と確認する。他の税目(所得税・贈与税)との複合調査になるケースもある
調査の対象となる期間被相続人の死亡日(相続開始日)が含まれる期間
調査の対象となる帳簿書類その他の物件どのような書類を準備すべきか確認する。通帳・不動産関係書類・保険証書など
その他調査の適正かつ円滑な実施に必要なもの調査を担当する税務職員の氏名・所属部署(国税調査官)を確認しメモしておく

通知の電話では調査官が比較的速いペースで話す場合があります。

「少しお待ちください」と伝えてメモを取りながら確認することは問題ありません。不明な点は遠慮なく再確認しましょう。

参照元:国税通則法 第74条の9 納税義務者に対する調査の事前通知等

税理士がいる場合の通知ルール|代理人への連絡と税務代理権限証書の重要性

税理士に申告を依頼しており、税務代理権限証書を提出している場合、事前通知は税理士に対して行うことができます。

この場合、税理士が通知を受けて納税者に連絡する流れになります。

状況事前通知の流れ注意点
税務代理権限証書を提出している場合税理士に通知→税理士から相続人(納税者)に連絡申告後も税理士との連絡手段を確保しておく
税務代理権限証書がない場合(自己申告等)相続人(納税者)本人に直接通知税務署からの着信を無視しない
申告後に税理士を変更した場合最後に税務代理権限証書を提出した税理士に通知変更した場合は新しい税理士が証書を提出しているか確認

「申告はしてもらったが調査のことは自分で対応するつもり」という方でも、調査立会いを依頼できる税理士を通知後すぐに確保することが強く推奨されます。

調査立会いを依頼する税理士が決まっていない場合は、通知から調査当日まで1〜3週間しかないため、早急に動く必要があります。

事前通知なし(無予告調査)の要件と対処法

通常の税務調査は事前通知が原則ですが、一定の条件を満たす場合は通知なしで調査が実施されることがあります。

突然調査官が来たときに冷静に対応するためには、無予告調査の要件と初動対応を事前に理解しておくことが重要です。

無予告調査が実施される3つのケース|国税通則法第74条の10

国税通則法第74条の10では、事前通知の例外として「通知をすることにより調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合」は事前通知を省略できると定めています。

ケース内容
①証拠隠滅・財産隠匿のおそれがある場合通知することで現金・書類を隠す可能性があると税務署が判断した場合
②無申告または虚偽申告の疑いが強い場合申告内容と実際の財産状況に著しい乖離がある場合
③税務代理人への通知が困難な場合税理士が連絡不通・廃業等の理由で通知が届かない場合

一般的な相続税申告を正確に行っている場合、無予告調査が来ることは極めてまれです。

無予告調査は通常の任意調査の延長であり、査察(強制調査)とは異なるため、落ち着いた対応が求められます。

突然調査官が来たときの対応方法|拒否できるかどうかの法的判断

突然調査官が訪問した場合の対応手順を確認しておきましょう。

対応手順内容
① 身分確認をする調査官の身分証明書(税務職員証明書)・所属・氏名を確認する
② 税理士に連絡する「税理士に確認してから対応します」と伝え、すぐに税理士へ連絡する
③ その日の調査を延期する「本日の準備ができていないため、後日日程を設定していただけますか」と申し出る
④ 室内に入れる判断は慎重に今日すぐに対応する必要があるかを確認し、税理士と相談してから判断する

突然の訪問に対して「今日は無理です」と断ることは問題ありませんが、完全拒否・妨害は国税通則法第128条に基づき罰則対象となる場合があるため注意が必要です。

「準備のために日程を変更したい」という申し出は正当な理由として認められるため、まず税理士に連絡することを最優先にしましょう。

無予告調査と通常調査の見分け方と初動対応

突然の調査官訪問が無予告調査なのか、または別の連絡(お尋ね文書・電話)なのかを正確に把握することが重要です。

連絡の種類内容対応の方向性
事前通知(通常の流れ)電話で7項目が告げられ、日程調整を行うメモを取り、税理士に連絡して準備を開始する
無予告調査通知なしで調査官が自宅・会社等に直接訪問身分確認→税理士連絡→日程再調整を申し出る
お尋ね文書(簡易接触)税務署からの書面による質問状・回答用紙が郵送される内容を確認し、税理士に相談してから回答する
電話照会税務署から電話で特定の事項について照会がある記録を取り、即答せず税理士に相談してから回答する

「お尋ね文書」は実地調査(家に来る調査)ではなく書面での照会です。

お尋ね文書を無視すると実地調査に発展するリスクが高まるため、必ず期限内に回答することが重要です。

事前通知を受けたら最初の48時間でやること

事前通知の電話を受けた直後の行動が、その後の調査対応の質を大きく左右します。

通知から調査当日まで通常1〜3週間しかないため、48時間以内に優先順位の高い行動を完了させる必要があります。

何をどの順番で行うかを事前に把握しておくことで、落ち着いた初動対応が可能になります。

日程調整の方法|変更が認められる合理的な理由と交渉のポイント

事前通知の電話では調査の日時が提示されますが、都合が悪い場合は変更を申し出ることができます。

日程変更が認められる合理的な理由と、交渉のポイントを確認します。

変更が認められやすい理由認められにくい理由
税理士との調整が必要(税理士が別日程でないと立会い不可)「なんとなく都合が悪い」(理由が明確でない)
相続人が複数いて全員の日程調整が必要長期間(1ヶ月以上)の延期を求める
入院・療養中・やむを得ない健康上の理由繰り返し変更を申し出る
仕事上どうしても外せない業務が重なっている書類準備が間に合わないという理由だけ

「税理士の立会いを依頼したいため、税理士の都合が合う日程に変更したい」という理由は最も認められやすい理由です。

日程変更の申し出は「当日に電話をかけ直す」のではなく、通知を受けた当日か翌日中に税理士経由で行うのが適切です。

日程変更を電話で申し出る場合、以下のように伝えると伝わりやすいです。

「ご連絡いただきありがとうございます。調査に対応するため税理士に立会いを依頼したいのですが、税理士の都合を確認してから日程を決めてもよいでしょうか。○日以内にご連絡します」という形で伝えます。

「拒否しているわけではなく、準備のために日程を調整したい」という姿勢を明確に示すことが、円滑な対応につながります。

なお変更後の日程も原則として1〜2週間以内の日付を提示することが無難です。

あまりに先の日付を希望すると「準備のための時間稼ぎ」と見なされるリスクがあります。

申告書・計算書類の再確認|通知後すぐに取り寄せるべき書類一覧

事前通知を受けたら、まず自分が提出した申告書の内容を確認する必要があります。

申告書のコピーを保管していない場合は税務署で取得できます。

確認すべき書類入手先優先度
相続税申告書(一式)のコピー税理士から受け取ったコピー・または税務署で閲覧申請最優先
遺産分割協議書作成時のコピーを保管しているはず最優先
財産の評価計算書税理士に作成してもらったもの最優先
被相続人名義の金融機関の通帳(直近5年分)各金融機関で取引履歴を取り寄せる(2〜3週間かかるため早めに依頼)
相続人名義の金融機関の通帳(直近5年分)同上(名義預金の確認のため)
生命保険証書・保険金計算書保険会社から取り寄せ
不動産の評価資料(固定資産税通知書・登記事項証明書)自宅保管のもの・または法務局

通帳の取り寄せは金融機関によって数週間かかることがあります。

事前通知を受けたら当日中に主要金融機関に取引履歴の請求を行うことが最優先行動です。

申告書を再確認した際に「申告漏れかもしれない財産」が見つかった場合は、すぐに税理士に相談しましょう。

申告書を再確認する際に特に注意して見るべき箇所を整理します。

申告書の確認箇所見るポイント
第1表(相続税の申告書)の財産総額財産の種類ごとの評価額が正確か。記憶と大きくずれていないか
第11表(相続税がかかる財産の明細)すべての口座・不動産・保険が漏れなく記載されているか
第15表(相続財産の種類別価額表)現金・預貯金の金額が実際の残高と一致しているか
第14表(純資産価額に加算される贈与の明細)生前贈与の加算対象期間(2024年改正後は7年)の贈与が反映されているか
小規模宅地等の特例の計算書特例を適用した土地の要件(同居・事業用など)を証明できるか

「何を申告したか自分でよく分からない」という方は、申告を担当した税理士に申告書の内容を改めて説明してもらうことが最も効率的です。

不安点を把握した状態で調査当日を迎えることが、当日の回答精度を高めることにつながります。

税理士に連絡する際に伝えるべき情報と調査立会いの依頼方法

事前通知を受けたら税理士への連絡が最重要行動の一つです。

申告を担当した税理士がいる場合はその税理士に、いない場合は新たに調査立会いができる税理士を探す必要があります。

税理士に伝える情報内容
事前通知を受けた日時・調査官の所属・氏名通知の際にメモしたものをそのまま伝える
調査の日時・場所(提示された日程)税理士の立会い可否を確認するために必要
調査の対象期間・税目相続税のみか、贈与税・所得税も含まれるか
申告内容で気になっていること・不安な点正直に伝えることで税理士の準備が充実する

申告を担当した税理士がいない場合(自分で申告した場合など)、調査立会いだけを依頼できる税理士を調査当日の1〜2週間前までに確保することが不可欠です。

調査立会いの経験が豊富な税理士と単純に申告実績が多い税理士は別物であるため、立会い実績を確認してから依頼することが重要です。

税理士への初回連絡から立会い依頼確定までの一般的なタイムラインを把握しておきましょう。

タイムライン行動所要時間の目安
Day 1(通知当日)申告担当税理士に連絡・立会い可否を確認する当日中
Day 1〜2申告担当税理士が立会い不可の場合、一括相談で複数の新規税理士に打診する1〜2日
Day 2〜5複数の税理士から初回相談・費用見積りを受ける2〜4日
Day 5〜7税理士を選定・正式に立会いを依頼・委任契約を締結する1〜2日
Day 7〜調査前日税理士とともに申告書の再確認・書類準備・当日の方針を打ち合わせる調査当日まで継続

「通知を受けてから税理士を探し始めると調査当日に間に合わない」という事態を防ぐため、通知の電話を受けたその日のうちに税理士への連絡を完了させることが最も重要です。

後回しにするほど選択肢が狭まるため、即日行動が原則です。

税務調査前に準備すべき書類・資料の完全チェックリスト

税務調査当日に調査官が確認したい資料が揃っていない場合、後日の再調査につながることがあります。

財産の種類ごとに必要な書類を整理しておくことで、調査をスムーズに進められます。

特に調査で最も指摘されやすい現金・預貯金・名義預金に関する書類の準備が重要です。

金融資産(預金通帳・証券・保険)の準備|5年分の取引履歴の取り寄せ

調査官が最も重点的に確認するのが金融資産です。

申告漏れ財産の約29%が現金・預貯金等という統計からも、この分野の準備が最優先です。

準備する資料範囲入手方法
被相続人名義のすべての金融機関の通帳・取引履歴最低5年分(できれば相続開始前10年分)各金融機関の窓口で取引履歴の開示請求
相続人全員名義の通帳・取引履歴最低5年分同上(名義預金の確認のため)
証券口座の残高証明・取引履歴相続開始日時点の残高・直近5年分の取引証券会社から取り寄せ
生命保険の保険証書・保険金計算書・受取通知書被相続人が契約者または被保険者のすべての保険各保険会社から取り寄せ
定期預金の証書・満期払戻しの記録過去5年分の満期・解約の記録各金融機関で確認

「そんな口座があるとは知らなかった」という状況を避けるため、被相続人が使っていた可能性のある金融機関を家族全員で洗い出すことが調査前の重要な準備です。

通帳の取り寄せには銀行によって数週間かかるため、事前通知を受けたその日のうちに各金融機関に請求を始めることが推奨されます。

不動産・その他財産の資料準備|評価計算書・登記事項証明書・賃貸契約

不動産は現金・預貯金に次いで申告漏れが指摘されやすい財産です。

不動産評価の計算根拠・利用状況・特例の適用要件を証明する資料を用意します。

準備する資料内容
相続した不動産の登記事項証明書相続前・相続後の権利関係を確認するために必要
固定資産税の課税通知書(直近3年分)評価額の推移を確認するため
小規模宅地等の特例の適用要件に関する書類同居証明・住民票・入居状況を証明する書類
賃貸物件の賃貸借契約書・賃料振込記録貸家建付地評価を適用した場合の実態証明
農地の場合は農業委員会の書類農地評価・農地特例の適用根拠

小規模宅地等の特例を適用した場合、同居実態や申告期限までの居住継続・保有継続を証明できる書類が必要です。

特例を適用したにも関わらず要件の証明書類がない場合は、特例が否認されるリスクがあるため事前に整理しておきましょう。

生前贈与・名義預金に関する資料|調査で最も指摘されやすいポイントの準備

税務調査で最も頻繁に指摘されるのが「名義預金」と「生前贈与の証拠不足」です。

これらは書類の有無が認定の分かれ目になるため、徹底的な資料準備が必要です。

指摘されやすいポイント必要な証拠書類
子・孫名義の預金が名義預金と認定されるリスク贈与契約書・贈与税申告書・通帳の実際の使用状況(受贈者本人が管理していることの証明)
生前贈与を相続財産への加算対象外として申告毎年の贈与契約書・贈与税申告書(110万円超の場合)・振込記録
教育資金・結婚子育て資金の贈与が適正かどうか金融機関の非課税申告書・領収書・使途の記録
相続時精算課税の申告漏れ精算課税選択届出書・贈与税申告書の控え

贈与契約書が毎年作成されており、受贈者本人が通帳・印鑑を管理していて自由に使える状態にあれば、名義預金として否認されるリスクは大幅に下がります。

書類がなければ事実があっても証明できないため、今から準備できるものは急いで整理しましょう。

書類がない贈与については、通帳の入出金記録・被相続人との関係性などで状況を整理し、税理士に相談することを推奨します。

調査当日に書類が揃わない場合の対処法|後日提出の手順と金融機関への急ぎ照会

通帳の開示請求や保険証書の取り寄せは時間がかかるため、調査当日に一部の書類が間に合わないケースがあります。

書類が揃わないこと自体は調査の妨害にはなりませんが、適切な対応を知っておくことが重要です。

状況対処法期限の目安
通帳の取引履歴が当日に間に合わない「○○銀行に開示請求中です。○日以内に郵送します」と調査官に伝える通常1〜2週間以内
保険証書・保険金計算書が見つからない保険会社に再発行・写しの送付を急ぎ依頼する。当日は「照会中」と伝える1〜2週間以内
登記事項証明書が手元にない法務局オンライン申請(登記・供託オンライン申請システム)で速達請求する3〜5営業日
贈与契約書が手元にない元の契約書を探す。見つからない場合は贈与の事実を証明できる振込記録を代替として準備する調査前日まで

調査当日に「書類がありません」と言い切るのではなく、「現在取り寄せ中のため○日以内に提出します」と具体的な期限を示して伝えることが重要です。

後日提出と伝えた書類は必ず期限内に税務署へ郵送します。

金融機関への急ぎの開示請求では「税務調査があるため至急必要」と伝えることで、対応が速くなることがあります。

金融機関の種類によって対応速度が異なるため、都市銀行・地方銀行・ゆうちょ銀行それぞれに同時に請求を入れることが効率的です。

税務調査当日の流れと調査官が確認する内容

税務調査当日の流れを事前に把握しておくことで、必要以上に緊張せず適切な対応ができます。

相続税調査の当日は午前・午後で内容が異なることが多く、所要時間は通常1日(5〜8時間程度)です。

当日の流れ・よく聞かれる質問・調査官が重点的に確認する財産を理解しておきましょう。

調査当日の時間の流れ|午前ヒアリング・午後実物確認・所要時間の目安

相続税の税務調査は通常、自宅(または相続人の居住場所)で行われます。

調査官は2〜3名でやってくることが多く、午前中は相続の経緯に関するヒアリングが中心です。

時間帯内容対応のポイント
調査開始(10時頃)調査官・税理士・相続人の自己紹介。調査の進め方の説明税理士が対応の主導権を持つ。相続人は必要に応じて発言する
午前(10時〜12時頃)相続の経緯・被相続人の生活歴・財産形成の経緯についてのヒアリング知っていることのみ答える。不明な点は「確認します」と伝える
昼食後(13時〜15時頃)通帳・書類・不動産評価書などの実物確認事前に準備した書類を提出。不足分は後日提出でよい
終盤(15時〜16時頃)調査官からの質問・確認事項の整理不明点は「税理士に確認して回答します」と伝える
終了時当日の調査終了の告知。追加確認が必要な場合は後日連絡の旨告知調査結果の連絡を待つ(通常数週間〜数ヶ月後)

調査開始時には調査官から「本日の進め方」として①ヒアリングの順序と②持参した書類の確認という2段階で進む旨が告げられることが多いです。

税理士が立会いしている場合は調査官への回答は税理士を通して行うか、税理士の同意のうえで相続人が直接回答するという方針を調査前に確認しておきましょう。

1日で調査が終わらない場合は後日再調査が実施されることがあります。

当日に書類が準備できていなかったものは「○日以内に郵送します」と伝えれば問題ありません。

相続の経緯・財産の把握経緯について聞かれる典型的な質問と答え方

午前中のヒアリングでは、相続の全体像を調査官が把握するための質問が多く出されます。

質問の趣旨を理解し、知っていることのみを冷静に答えることが基本です。

よく聞かれる質問ポイント
「被相続人はどのようなお仕事をされていましたか?」職業・勤務先・事業内容・退職の時期を答える。財産形成の背景を確認するための質問
「被相続人はどのように財産を管理されていましたか?」通帳・印鑑の管理者・投資状況を答える。名義預金の有無を確認するための質問
「被相続人から生前に贈与を受けたことはありますか?」贈与があった場合は正直に答える。申告済みの贈与は申告書を提示できれば問題ない
「相続財産の把握はどのようにされましたか?」遺言書の有無・財産リストの作成経緯・税理士との連携を答える
「自宅には現金はどの程度ありましたか?」申告した現金額と実態が異なる場合は危険。正確な把握をしていた場合は根拠を示せる

「知りません」「わかりません」という回答は不審に思われることもありますが、本当に知らない・わからないことを「確認して後日回答します」と伝えることは誠実な対応として受け入れられます。

その場で回答するより確認してから正確に回答することを優先しましょう。

一方で、答える必要がない範囲の質問(調査対象期間外の事項・申告とは無関係の事項)には「その点についてはどのような関係がありますか」と聞き返すことも適切な対応です。

税理士が立会いしている場合は、答えるべきかどうかの判断を税理士に確認してから回答する流れが推奨されます。

調査官が書類を要求した場合、その場で全部を見せる前に税理士に「この書類を提示してよいか」と確認する時間を取ることは問題ありません。

調査官が特に重点的に確認する財産|預金・不動産・保険・名義預金

調査官は申告書の内容すべてを均等に確認するわけではなく、申告漏れが発生しやすい財産を重点的に調査します。

確認される財産調査官が見るポイント
現金・預貯金被相続人名義・家族名義の口座数・残高・取引履歴。高額の入出金がないか
名義預金子・孫名義の口座の通帳・印鑑を誰が管理していたか。贈与契約書の有無
不動産評価額の計算方法・小規模宅地等の特例の要件充足状況・賃貸状況
生命保険申告した保険以外に被相続人が契約者・被保険者の保険がないか
生前贈与過去の贈与が申告されているか。贈与契約書・贈与税申告書の有無
有価証券・投資信託申告した証券口座以外に口座がないか。売却した株式の把握状況

調査官は相続開始前の数年間の資金移動も確認します。

「相続開始直前に大きな金額が引き出されている」場合は必ず理由を確認されるため、使途の記録を準備しておきましょう。

税務署は「KSKシステム(国税総合管理システム)」と呼ばれる内部システムを保有しており、被相続人の過去の申告情報・金融資産の概要を把握した状態で調査に来ます。

また金融機関への照会権限(国税通則法第74条の2)により、税務署は申告していない口座の存在を金融機関への照会によって独自に把握できることを理解しておく必要があります。

「申告していない口座があっても調査官が気づかないだろう」という認識は誤りで、調査官はすでに一定の情報を持った状態でヒアリングをしている場合があります。

調査終了後の手続き|更正決定・修正申告・不服申立ての選択

税務調査が終了すると、数週間〜数ヶ月後に調査結果の連絡が税理士または本人に届きます。

調査結果に応じて「是認」「修正申告」「更正決定」の3パターンに分かれ、それぞれ異なる対応が必要です。

結果に納得できない場合の不服申立て手続きも把握しておきましょう。

調査終了の3パターン|是認・修正申告・更正決定の違いと選択基準

調査結果には以下の3パターンがあります。

結果内容対応
是認(修正なし)申告内容に誤りがなかったと認定された状態。税額の変更なし特に手続き不要。調査終了
修正申告申告漏れや誤りが指摘され、納税者が自主的に申告内容を修正する手続き指摘内容を確認・検討し、修正申告書を提出。加算税・延滞税が発生する
更正決定納税者が修正申告に応じない場合に税務署が強制的に税額を変更する手続き異議申立て・審査請求等の不服申立てで争うことが可能

修正申告は「納税者の自発的な意思で行う」ため、後から不服を申し立てることが原則できません。

指摘内容に納得できない場合は修正申告に応じず、更正決定を受けて不服申立てを行う方法を税理士に相談することが重要です。

修正申告で発生するペナルティ|過少申告加算税・無申告加算税・延滞税の計算

修正申告または更正決定が行われた場合、本来の税額に加えてペナルティが発生します。

ペナルティの種類税率内容
過少申告加算税10%(追徴税額が50万円超の部分は15%)申告はしたが税額が少なかった場合
無申告加算税15%(300万円超の部分は20%)申告期限内に申告していなかった場合
重加算税35%(無申告は40%)仮装・隠蔽があった場合(意図的な申告漏れ)
延滞税年2.4〜8.7%(年度により異なる)本来の納付期限から修正申告日まで発生する

例えば申告漏れが500万円の場合、過少申告加算税は50万円×10%+450万円×15%=72.5万円の加算税が課されます。

意図的な隠蔽・偽装がなく単純な申告漏れであれば重加算税は課されないため、誠実な対応が加算税を軽減することにつながります。

調査結果に納得できない場合の不服申立て手続き|異議申立て・審査請求

更正決定の内容に不服がある場合、法律で定められた手続きで争うことができます。

手続き申立て先申立て期間
再調査の請求(旧:異議申立て)処分を行った税務署長処分を知った日の翌日から3ヶ月以内
審査請求国税不服審判所再調査の結果通知を受けた日の翌日から1ヶ月以内(または直接申立ても可)
行政訴訟(税務訴訟)地方裁判所審査請求の裁決を経た後

不服申立ての結果、認められれば追徴税額が減額または取り消しになります。

不服申立ては手続きが複雑で専門知識が必要なため、必ず税務訴訟・不服申立ての経験がある税理士または弁護士に相談してから進めることが重要です。

税務調査で指摘されやすい12のポイントと事前対策

事前通知を受けた時点で、調査官が何を確認しようとしているかを理解することで準備の精度が高まります。

指摘されやすいポイントに絞って申告書の内容を見直すことが、修正申告額を最小化するための準備です。

申告額が財産規模と比較して少ない・名義預金・生前贈与の申告漏れ

最も指摘されやすいポイント上位3つは、現金・預貯金の管理状況に関連するものです。

指摘されやすいポイント確認すべき内容
①申告財産の総額が被相続人の収入・生活水準と比較して少ない被相続人の職業・収入から見て財産が少なすぎないかを確認。不足分は申告漏れを疑われる
②名義預金(家族名義だが実質は被相続人の財産)の未申告家族全員名義の口座で被相続人が管理していたものがないか確認
③生前贈与の申告漏れ(相続前7年以内の加算)2024年改正後は7年以内の贈与が加算対象。贈与税申告を行っていない贈与がないか確認
④タンス預金(自宅保管の現金)の過少申告相続開始時点の自宅現金を正確に把握していなかった場合に指摘されやすい

被相続人が高収入だった・長年節約していたにもかかわらず財産が少ない場合、調査官は「財産が隠されているのではないか」という観点から徹底的に調査する傾向があります。

調査官が名義預金を確認する際には「通帳の名義人は誰か・印鑑は誰が保管していたか・実際に誰がそのお金を使っていたか」の3点を必ず聞きます。

例えば「子の名義の口座だが、通帳・印鑑は被相続人が保管していて、子が自由に引き出せる状態になかった」場合は名義預金と認定されるリスクが高くなります。

一方で「毎年100万円を振り込み、贈与契約書も作成、子自身が通帳・印鑑を管理して自由に使っていた」場合は、贈与の実態があると主張できる根拠が整っているため名義預金と認定されにくいです。

不動産評価の誤り・特例の要件を満たさない適用

不動産評価は計算が複雑なため、評価方法のミスや特例の要件確認不足が指摘されやすいポイントです。

指摘されやすいポイント確認すべき内容
⑤小規模宅地等の特例の要件不足同居実態の証明・申告期限までの居住継続・保有継続が証明できるか
⑥貸家建付地評価の賃貸割合の誤算空室があったにもかかわらず賃貸割合100%で申告していないか
⑦路線価の補正適用誤り補正率の適用要件を満たさない土地に補正を適用していないか
⑧2024年マンション評価改正への未対応2024年1月以降の相続で区分所有補正率を計算しているか

不動産評価の誤りは「税理士が計算したから大丈夫」とは言えず、税理士に再確認を依頼することが調査対応の一環として重要です。

小規模宅地等の特例の「同居実態」は調査官に厳しく確認されるポイントです。

「住民票は同じだが実態として別居していた」というケースでは特例が否認されるリスクがあります。

同居実態を証明できる書類(光熱費の使用状況・近隣住民の証言・郵便物の届け先など)を準備することが、指摘に対抗するための事前対策になります。

特例の適用が否認された場合、相続税額が数百万〜数千万円増加するケースもあるため、適用要件の証拠書類は申告時から5〜7年間保管しておくことが推奨されます。

生命保険・退職金・みなし相続財産の計上漏れ

みなし相続財産は見落としやすく、申告漏れとして指摘されるケースが多い項目です。

指摘されやすいポイント確認すべき内容
⑨生命保険の申告漏れ被相続人が契約者または被保険者の保険がすべて申告されているか
⑩死亡退職金の申告漏れ勤務先から支払われた退職金・弔慰金が申告に含まれているか
⑪個人年金・解約返戻金の申告漏れ受け取り前の個人年金保険・解約返戻金がある保険が申告されているか
⑫相続開始前3年(または7年)以内の贈与財産の加算漏れ2024年改正後の加算期間(7年)に対応しているか

「そんな保険があったとは知らなかった」という状況を避けるため、被相続人が加入していた可能性のある保険会社すべてに照会をかけることが申告漏れ防止の基本です。

調査通知を受けた段階で保険の確認に漏れがあることが判明した場合は、調査当日までに税理士に報告して対応策を決めておくことが重要です。

生命保険の申告漏れで最もよくあるパターンは「被相続人が契約者で、保険金の受取人が配偶者や子になっているが申告書に記載がない」というケースです。

保険証書は手元にあっても「相続財産にならないと思っていた」という勘違いで申告から漏れることがあります。

生命保険金は受取人固有の財産ですが、相続税の計算上は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。

非課税枠(500万円×法定相続人の数)を超えた金額が課税対象になることを改めて確認し、申告書に正確に反映されているかを確認しましょう。

税理士なしで税務調査に対応できるか|単独対応のリスクと費用比較

「申告は自分でした」「費用をかけたくない」という理由で税理士を立てずに税務調査に対応しようと考える方もいます。

単独対応のリスクと税理士立会いのメリット・費用の目安を正確に把握したうえで判断することが重要です。

費用と節税(または追徴税額の削減)のバランスを理解することが合理的な判断につながります。

税理士なし(単独)で調査に臨む場合のリスクと限界

税務調査は任意調査であっても、調査官との交渉・回答の範囲・資料の提示方法など専門的な判断が随所に求められます。

単独対応のリスク内容
不必要な情報の開示質問に対して答える必要がない情報まで開示してしまい、追加の指摘につながる
修正申告の範囲が過大になる交渉の余地があるにも関わらず、調査官の指摘を全て受け入れてしまう
名義預金の誤認定に対応できない贈与が成立していると主張できる根拠があっても、それを適切に説明できない
延滞税・加算税の軽減交渉ができない税理士であれば主張できる軽減事由を見逃してしまう

税務調査の経験を持つ調査官に対して、専門知識のない納税者が一人で対応することは本来払わなくてよい追徴税額を納めるリスクがあるため、立会いを依頼することが推奨されます。

単独対応で修正申告が過大になった実例のパターンとして、「名義預金と認定されるリスクがある贈与について、交渉の余地があったにもかかわらず全額認めてしまった」ケースがあります。

この場合、追徴税額は100〜300万円程度になることがあります。

税理士立会いの費用(20〜50万円程度)と比較して、立会いなしによる追徴税額の増加分の方が大きいケースが多く、費用対効果の観点から税理士立会いは「コスト削減」になるケースが多いことを理解したうえで判断することが重要です。

税理士が調査立会いを行う場合の費用相場と効果

調査立会いにかかる税理士費用と、立会いによって期待できる効果を比較します。

項目目安
申告担当税理士による立会い費用別途費用なし〜10万円程度(申告報酬に含まれるケースが多い)
申告後に新たに依頼する税理士の立会い費用20〜50万円程度(案件規模・内容による)
立会いによって回避できる追徴税額(目安)交渉の余地がある指摘で数十万〜数百万円の差が出るケースがある

申告を依頼した税理士に立会いを依頼することがコスト・効率ともに最善です。

ただし申告を担当した税理士が「申告内容に問題があった」と感じていると立会いに消極的になるケースもあります。

申告担当税理士が立会いを断った・または申告を自分でした場合は、すぐに別の税理士を探すことが最優先事項です。

費用対効果の簡易試算として、遺産総額別の立会い費用と修正申告回避効果の目安を確認します。

遺産総額税理士立会い費用の目安立会いで回避できる追徴税額の目安費用対効果
5,000万〜1億円20〜40万円50〜200万円立会いコストの2〜5倍の削減効果が期待できる
1億〜3億円30〜70万円100〜500万円立会いコストの3〜7倍の削減効果が期待できる
3億円超50〜150万円数百万〜数千万円財産構成次第では数十倍の効果になるケースがある

あくまで目安であり、申告内容に問題がなければ立会い効果はゼロになる場合もあります。

ただし「問題がないかどうか」の判断自体が専門家でなければ難しいため、立会いを依頼するかどうかの判断も含めて税理士に相談することが最も合理的です。

申告後でも依頼できる|調査立会いだけを頼む税理士の選び方

申告は自分で行ったが調査立会いだけを依頼したい場合、税理士を選ぶ際のポイントを確認します。

選ぶポイント確認方法
相続税調査の立会い実績があるかホームページの実績・相談時に直接聞く
立会いのみの依頼を受け付けているか初回相談時に「申告は自分でした。立会いだけお願いしたい」と伝えて可否を確認
初回相談の対応スピードが速いか調査まで1〜3週間しかないため、連絡から相談完了までの時間を重視する
申告書の内容を短時間で把握できる経験があるか他の税理士が作成した申告書でも問題なく立会いできるかを確認する

調査立会いを依頼した税理士は当日の準備・書類確認・調査官との交渉すべてに関与します。

複数の税理士に一括で相談し、立会い実績・初回対応の速さ・費用を比較してから選定することが推奨されます。

緊急で税理士を探す場合の実践的な手順として、まず一括相談サービスに「調査立会いの緊急依頼」として複数社に同時打診する方法が最も効率的です。

1社ずつ問い合わせると時間がかかりすぎるため、複数社に同時打診して最初に対応してくれた税理士と初回相談を進めるという順序が推奨されます。

初回相談では「調査当日はいつか・申告書はどんな内容か・不安に思っていることは何か」を最初に伝えることで、税理士が準備にかかれる時間を最大化できます。

初回相談の印象が「この税理士なら安心して任せられるか」を判断する最も重要な指標になります。

相続税調査こそ一括相談・見積りで比較してから税理士を選ぶ

税務調査の対応は税理士の経験値・交渉力・申告内容の理解度によって結果が大きく変わります。

事前通知を受けた直後に慌てて1社だけに連絡するのではなく、一括相談で複数の税理士を比較してから依頼先を選ぶことが最善策です。

調査当日まで時間がないからこそ、早急に複数の税理士に同時に相談することが重要です。

一括相談・見積りが必要な理由|調査官への対応力と修正申告を回避できるかどうかは税理士の調査立会い経験に左右されるから

税務調査は申告書の提出とは全く異なる知識・交渉力・判断力が必要です。

申告実績が多い税理士と調査立会い経験が多い税理士は必ずしも一致しません。

立会い経験の差が生じる場面内容
名義預金の認定への対応贈与の成立を主張できる根拠の提示・交渉を適切に行えるかどうか
不動産評価の争点補正率適用の根拠を資料で説明し、調査官の誤認定を防げるかどうか
修正申告の範囲の交渉全指摘を受け入れず、交渉によって修正申告額を最小化できるかどうか
加算税の軽減主張重加算税が適用されないよう誠実な対応の事実を適切に主張できるかどうか

調査立会いの経験が少ない税理士に依頼すると、交渉の余地があるにもかかわらず全指摘を受け入れ、不必要な修正申告をしてしまうリスクがあります。

一括相談で「調査立会いの経験件数・最近の立会い実績」を複数社に確認することが、適切な税理士選びの第一歩です。

一括相談・見積りのメリット|相続税調査の立会い実績が豊富な税理士を複数社比較して見つけられる

一括相談・見積りサービスでは、財産の概要と調査の日程を入力するだけで複数の税理士から提案・見積りを受けられます。

調査立会いに特化した実績・対応の迅速さ・費用を比較して、最も信頼できる税理士を短時間で選べます。

比較できる観点内容
調査立会いの実績件数年間の立会い件数・相続税調査への対応実績を比較できる
初回対応のスピード時間がない中での問い合わせへの返答の速さを比較できる
立会い費用の透明性当日の費用・準備費用・修正申告費用を明示しているかを確認できる
専門分野の一致今回の調査で問題になりそうな財産(不動産・非上場株式等)への対応実績を確認できる

「申告後のフォローを何もしていない税理士」ではなく「調査対応のノウハウを持つ税理士」を比較で選べることが一括相談の最大のメリットです。

1社だけに相談・見積りをするリスク|調査立会い経験が少ない税理士に依頼し、不必要な修正申告を促されるリスク

近くの税理士・知り合いの税理士に任せるだけでは、調査立会いの経験が十分でないケースがあります。

1社のみに依頼する場合のリスク具体例
調査立会い経験不足による不必要な修正申告名義預金・贈与の認定について交渉の余地があるにもかかわらず、全額修正申告を受け入れる
申告担当税理士が立会いに消極的自分の申告内容に問題があったことを隠すため、積極的な立会いをしてくれない
費用の不透明立会い当日以外の準備・交渉・修正申告書作成費用が後から追加される
専門外の財産への対応不足非上場株式・海外資産など特殊財産を含む調査で適切な主張ができない

修正申告額が本来よりも大きくなった場合、その差額が数百万円になることもあります。

1社に依頼して結果に納得できなかった場合、やり直しがきかないケースもあるため、最初から複数社を比較して最も実績のある税理士を選ぶことが重要です。

見積り比較シミュレーション|報酬差と立会い効果の試算表

複数の税理士に見積りを依頼した際の報酬差と、立会い効果の差を比較します。

遺産総額の目安調査立会い費用の幅費用差の目安立会い有無による追徴税額の差(目安)
5,000万〜1億円15万〜40万円約25万円交渉効果で50万〜300万円の差が出るケースあり
1億〜3億円30万〜80万円約50万円交渉効果で100万〜500万円以上の差が出るケースあり
3億円超60万〜150万円約90万円複雑な財産構成では数百万〜数千万円の差が出るケースあり

立会い費用の差額より、立会い効果による追徴税額の差の方がはるかに大きいことがわかります。

費用の安さで選ぶより、調査立会いの経験と実績で選ぶことが結果的に最もコストを抑える選択になります。

一括相談・見積りの手順|STEP1〜STEP4

事前通知を受けてから税理士を選定するまでの手順を解説します。

調査当日まで1〜3週間しかないため、できるだけ早く行動を開始することが重要です。

STEP1|事前通知の内容を整理する(所要時間:30分程度)

通知の電話でメモした7項目(日時・場所・対象税目・期間・対象書類・調査官の氏名)を整理します。

申告書のコピー・遺産分割協議書・評価計算書の場所を確認し、手元に集めます。

整理する項目確認方法
調査の日時・場所通知時のメモ
申告書・評価計算書の場所税理士から受け取ったファイル・自分で申告した場合は提出書類のコピー
気になっている申告の不安点思い当たることをメモにまとめておく

STEP2|一括見積り・相談サービスに依頼する(所要時間:5分程度)

相続専門の税理士マッチングサービスに状況を入力します。

希望内容(税務調査立会い・申告内容の確認・修正申告書の作成など)を指定し、複数の税理士(目安3〜5社)への同時打診を依頼します。

フォーム入力する際は「財産の種類」「相続人の人数」などを可能な限り正確に伝えることが重要です。

STEP3|見積りと初回相談を受ける(所要時間:1〜5日)

各税理士から費用の見積り・対応可能な内容・調査立会いの実績の概要を受け取ります。

初回相談では申告内容の不安点を打ち明け、準備すべき書類と当日の対応方針を確認します。

確認ポイントなぜ重要か
相続税調査の立会い実績件数経験件数が多いほど調査対応力が高い
当日の対応方針(何を話し・何を見せるか)方針が明確な税理士かどうかを確認する
費用の内訳(準備・当日・修正申告)後から追加費用が発生しないか確認する

STEP4|税理士を選定・正式依頼する(所要時間:当日〜翌日)

立会い実績・対応方針・費用・初回相談の信頼感を総合評価して1社に決定します。

委任契約書の業務範囲(準備補助・当日立会い・修正申告対応の範囲)を確認してから署名します。

初回相談で確認すべきチェックリスト

  • □ 相続税調査の立会い実績件数(直近3年間の件数を具体的に確認)
  • □ 調査当日にどのような対応方針をとるか(資料の提示順序・答える範囲の指針)
  • □ 名義預金・生前贈与の指摘への対応経験・対応方針
  • □ 不動産評価・非上場株式評価の争点への対応力
  • □ 修正申告が必要になった場合の対応と費用
  • □ 不服申立てへの対応(審査請求・税務訴訟サポートの有無)
  • □ 調査当日の日程で立会いに来ることが可能か(スケジュール確認)

見積りで確認すべきチェックリスト

  • □ 立会い当日の費用(半日か全日かによる変動の有無)
  • □ 準備段階(書類確認・申告書レビュー)の費用
  • □ 修正申告書の作成費用(別途か含まれるか)
  • □ 調査が複数日にわたる場合の追加費用
  • □ 不服申立てが必要になった場合の費用の目安
  • □ 交通費・実費の扱い(含まれるか別途か)
  • □ 成功報酬型の費用体系があるか(追徴税額削減の場合の報酬体系)

よくある質問(FAQ)

Q. 相続税の税務調査の事前通知はいつ頃来ますか?

申告書提出から1〜2年後に来ることが最も多く、時期は8〜12月が集中します。

税務署の事務年度(7月〜翌6月)の前半に調査を集中させる傾向があるため、夏〜秋にかけて電話が来ることが多いです。

申告後3年以上経過しても来ない場合は調査対象になっていない可能性が高いですが、故意の申告漏れがある場合は7年まで時効が延長されます。

Q. 事前通知なしで調査官が来ることはありますか?

あります。国税通則法第74条の10の規定により、証拠隠滅や財産隠匿のおそれがある場合など、事前通知が調査の支障になると判断された場合は無予告調査が実施されます。

突然来た場合はまず身分証明書を確認し、税理士に連絡してから対応するかどうかを判断しましょう。

正当な申告をしている方に無予告調査が来ることは極めてまれです。

Q. 税務調査の日程を変更することはできますか?

合理的な理由があれば変更できます。「税理士の立会いのために日程調整が必要」「相続人の日程調整が必要」「入院・療養中」などは正当な理由として認められます。

ただし長期間の延期や繰り返しの変更申し出は認められにくくなるため、変更は1〜2週間程度の範囲で申し出ることが現実的です。

変更の申し出は税理士経由で行うのが適切です。

Q. 税務調査で指摘されやすい財産は何ですか?

最も指摘されやすいのは現金・預貯金等(申告漏れ財産の約29%を占める)です。

次いで名義預金・生前贈与の申告漏れ・不動産評価の誤り・生命保険の申告漏れが多い指摘事項です。

これらの財産について事前通知後に申告書を再確認し、不安な点は税理士に相談してから調査当日を迎えることが重要です。

Q. 調査結果に納得できない場合、争うことはできますか?

更正決定(税務署が一方的に税額変更した場合)に対しては、処分を知った日から3ヶ月以内に再調査の請求を行うことができます。

さらに不服があれば国税不服審判所への審査請求・行政訴訟(税務訴訟)へと進むことができます。

修正申告(自主的に申告を修正した場合)は後から争うことが原則できないため、指摘内容に納得できない場合は修正申告に応じず税理士に相談することが重要です。

まとめ|事前通知から調査終了まで安心して対応するために

事前通知の基本知識

  • 事前通知は国税通則法第74条の9に基づく法的手続きで、7つの事項が電話で告げられる
  • 令和5事務年度の実地調査8,556件のうち84.2%(7,200件)で申告漏れが指摘されている
  • 調査は申告後1〜2年・8〜12月が多い。無予告調査は通常の申告では極めてまれ

通知後48時間以内の優先行動

  • 通知内容(7項目)をメモし、税理士に連絡して調査立会いを依頼する
  • 主要金融機関に5年分の取引履歴の開示請求を当日中に行う
  • 申告書・遺産分割協議書・評価計算書を手元に集め、内容を再確認する

当日・調査後の行動方針

  • 知っていることのみ答え、不明な点は「確認して後日回答する」と伝える
  • 指摘された内容に納得できない場合は修正申告に応じず税理士に相談する
  • 調査立会いの経験が豊富な税理士を一括相談で比較してから選ぶ

今すぐ取るべき行動

  • 事前通知を受けた場合:当日中に税理士に連絡し、金融機関へ取引履歴の請求を開始する
  • まだ通知を受けていない場合:申告書の内容を再確認し、名義預金・生前贈与の証拠書類を整理しておく
  • 税理士に調査立会いを依頼したい場合:一括見積り・相談サービスで複数の税理士を比較してから選ぶ

※本記事は2026年6月時点の法令・税率に基づいて作成しています。税制改正や個別の事情によって内容が異なる場合があるため、申告前に税理士または税務署にご確認ください。

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