「相続税の相談をしたいが、どこに行けばいいかわからない」「東京の土地はなぜか評価が高くて相続税が心配」──そう感じている方は多いはずです。東京は地価が全国トップクラスであるため、自宅の土地だけで基礎控除を超えてしまうケースが珍しくありません。
相続税の相談窓口には税理士・弁護士・銀行・相続診断士など複数の種類があり、それぞれ強みと弱みが異なります。どこに相談するかによって、支払う相続税の金額が数百万円変わることもあります。
本記事では、東京特有の相続事情をふまえたうえで、相談先の選び方から費用相場・区別の窓口情報まで一挙に解説します。
▼ この記事の3行まとめ
- 東京は路線価・マンション評価・底地が複雑で、相続税専門の税理士への相談が最重要
- 相談窓口は6種類あるが、節税・申告まで一貫して任せられるのは相続専門税理士だけ
- 複数の税理士に一括見積もりを取ることで、費用と品質の両方を最適化できる
東京で相続税の相談が特に必要なケース|地価・マンション・底地が絡む複雑事情

東京の相続は、他の都道府県と比べて相続税が発生しやすい構造になっています。その主な理由は地価の高さと不動産形態の複雑さです。
相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人数」で計算されます。相続人が3人であれば4,800万円が控除の上限ですが、東京23区内の自宅(戸建て)の土地評価額がこれを上回るケースは決して珍しくありません。
東京の相続税課税割合と典型資産パターン
東京国税局が公表する「令和5年分 相続税の申告状況」によると、全国の相続税課税割合は9.9%です。
これに対し、東京国税局管内(東京都・神奈川県・千葉県・山梨県)の課税割合は15.4%と全国の約1.5倍に達しています。
東京都区内に絞るとさらに高く、23区平均で20.3%になります。千代田区では48.4%に達しており、亡くなった方の約2人に1人が相続税の対象です。
また東京国税局管内の1人あたり課税価格は1億6,214万円で、全国平均の1億3,891万円を約2,300万円上回ります。財産規模の大きさも東京相続の大きな特徴です。
「うちは普通のサラリーマン家庭だから相続税は関係ない」という認識は東京では通用しません。
申告件数でみても、東京都は全国最多を継続して記録しています。令和3〜5年分の推移は以下のとおりです。
| 年分 | 東京都 申告件数 | 全国 申告件数 | 全国課税割合 |
|---|---|---|---|
| 令和3年(2021年) | 23,130件 | 134,275件 | 9.3% |
| 令和4年(2022年) | 26,008件 | 150,858件 | 9.6% |
| 令和5年(2023年) | 25,983件 | 155,740件 | 9.9% |
令和3年→令和4年は東京・全国ともに約12%の大幅増加でした。
令和5年は東京都がほぼ横ばい(前年比▲25件)である一方、全国は増加が続いています。
東京都の申告件数は全国155,740件のうち25,983件(約16.7%)を占め、全国6件に1件以上が東京都の相続です。
参照元:東京国税局 令和5年分 相続税の申告事績の概要、国税庁 令和3年分 相続税の申告事績の概要
東京で相続税が発生しやすい典型的な財産パターンは以下のとおりです。
| 財産パターン | 課税のポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| 自宅(戸建て)+預貯金 | 23区内の土地が基礎控除を超えやすい | 小規模宅地等の特例を適用できるか確認が必須 |
| 区分所有マンション+預貯金 | 2024年改正で評価額が大幅上昇 | 旧来の試算では節税できない可能性が高い |
| 賃貸アパート・マンション(収益物件) | 貸家建付地として評価減の余地あり | 空室率・建物の築年数によって評価が変わる |
| 底地・借地権が混在する土地 | 権利関係が複雑で評価が難しい | 相続専門税理士でないと見落としが生じやすい |
自宅の土地が1筆あるだけで基礎控除を超えるケースは東京では珍しくありません。相続税が発生するかどうかは、まず土地の路線価を確認することから始めましょう。
路線価が高い地域で自宅を相続する場合
国税庁が公表する路線価は、地域ごとの標準的な土地評価の基準となる数値です。東京都内では港区・渋谷区・新宿区・千代田区などで1平方メートルあたり数百万円台の路線価がつく地点もあります。
たとえば港区で路線価150万円/㎡の地点に面した100㎡の自宅があれば、土地の相続税評価額は1億5,000万円になります。建物の評価(固定資産税評価額ベース)を加えると、法定相続人3人の基礎控除4,800万円を大きく超えます。
自宅であれば小規模宅地等の特例(330㎡まで80%評価減)を活用できる可能性があります。しかし要件を満たしているか・どう申告するかは専門家でないと判断が難しいです。
参照元:国税庁 路線価等の評価方法
区分所有マンションを相続する場合(2024年改正に注意)
東京では相続財産にマンションが含まれるケースが多く、2024年1月以降の相続から評価方法が大きく変わりました。
従来、マンションの相続税評価額は市場価格の15〜20%程度になるケースもあり、節税効果が高い手法として広く利用されていました。しかし国税庁は評価乖離が大きいと判断し、2024年から「マンションの相続税評価の適正化」として新たな評価方法を導入しました。
新ルールでは乖離率が2.34倍を超えると自動的に補正が入り、評価額が引き上げられます。タワーマンションや都心の高層マンションを所有している場合は、旧来の想定より相続税が増える可能性があります。事前に評価シミュレーションを行うことが重要です。
底地・借地権が混在する土地を相続する場合
東京23区内には、土地の所有権(底地)と利用権(借地権)が分離している物件が多く存在します。被相続人が地主として借地を持っている場合、または借地上に建物を所有している場合、評価は非常に複雑になります。
底地の評価額は「自用地評価額×(1−借地権割合)」で計算されますが、東京の商業地では借地権割合が70〜80%に達する地点もあります。底地1,000㎡・路線価50万円/㎡であれば自用地評価5億円に対し、借地権割合80%地域では底地評価は1億円になります。
借地権の評価・底地の売却・換地交渉など、東京特有の問題を扱った経験のある税理士への相談が不可欠です。
二次相続を見据えた配偶者への相続
配偶者が相続する場合、配偶者控除(法定相続分または1億6,000万円の多い方まで非課税)が使えるため一次相続の税額は抑えられます。しかし東京では財産総額が大きいため、配偶者が亡くなる二次相続では子に多額の相続税が課されるケースが頻繁に起きます。
一次相続でどの財産を誰が取得するかは、二次相続の税額に直結します。東京の資産規模では一次・二次合計の税額シミュレーションを必ず行うべきです。
相続税の相談窓口6種類を比較|税理士・弁護士・司法書士・行政書士・銀行・相続診断士の違い

相続に関する相談先は複数あります。窓口によって対応できる範囲が大きく異なります。「相続税の申告」まで一貫して任せられるのは税理士だけであり、他の専門家はそれぞれ担当できる業務に制限があります。
| 相談窓口 | 得意分野 | 相続税申告 | 費用目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 税理士 | 税務・節税・申告 | ◎ 対応可 | 遺産の0.5〜1.5%程度 | 土地評価の専門性に差がある |
| 弁護士 | 遺産分割協議・紛争解決 | × 代理不可 | 着手金10〜30万円+成功報酬 | 相続税申告は別途税理士が必要 |
| 司法書士 | 相続登記・不動産名義変更 | × 代理不可 | 登記1件あたり5〜15万円程度 | 税務申告は別途税理士が必要 |
| 行政書士 | 戸籍収集・遺産分割協議書作成 | × 代理不可 | 10〜30万円程度 | 税務・登記は別途専門家が必要 |
| 銀行・信託銀行 | 遺産整理・遺言執行 | △ 提携税理士へ紹介 | 遺産の0.5〜1.5%(最低100万円前後) | 費用が高め・税理士を自分で選べない |
| 相続診断士 | 相続全般のコンサルティング | × 代理不可 | 無料〜数万円 | 税務・法務の専門資格なし |
税理士に相談するメリット|申告から節税まで一貫対応
相続税の申告書を作成・提出できるのは税理士だけです。相続専門税理士に依頼すると、以下の業務を一貫して任せられます。
- 財産の洗い出しと評価(不動産・金融資産・保険・負債の網羅的な確認)
- 節税特例の適用判断(小規模宅地等の特例・配偶者控除・相続時精算課税等)
- 遺産分割の税負担シミュレーション(一次・二次相続を含む)
- 土地の路線価評価・各種補正・不動産鑑定士との連携
- 申告書の作成・提出(相続開始から10か月以内)
- 税務調査への対応(調査後のフォローアップ含む)
特に東京の場合は土地の評価が複雑であり、路線価・マンション・借地権の評価に精通した相続専門税理士を選ぶことが節税の鍵になります。
東京における節税効果の試算例
同じ財産でも税理士の評価スキルによって相続税が大きく変わります。以下は東京の典型的な相続ケースの試算です。
| 試算の条件 | 経験の浅い税理士 | 相続専門税理士 | 課税価格の差 |
|---|---|---|---|
| 世田谷区の自宅(100㎡・路線価80万円/㎡) | 路線価そのまま:8,000万円 | 不整形補正+小規模宅地特例:1,600万円 | ▲6,400万円 |
| 港区底地(借地権割合80%・自用地1億円) | 概算評価:2,500万円 | 借地権割合を精査:1,800万円 | ▲700万円 |
| 渋谷区マンション(2024年改正後) | 旧計算のまま:2,500万円(過少申告リスク) | 新ルール適用後の正確な評価:4,800万円 | 正確な申告で調査リスクを回避 |
相続税の最高税率は55%のため、課税価格1,000万円の差が最大550万円の税額差につながります。
土地評価1件の差だけで節税額が税理士費用を大きく上回るケースは東京では珍しくありません。
税理士への依頼フロー(STEP別)
| STEP | 内容 | 時期の目安 |
|---|---|---|
| STEP1|相談・見積もり | 相続の概要を伝えて費用見積もりを受ける(複数事務所で比較) | 相続発生後1〜2か月以内 |
| STEP2|正式契約 | 依頼する事務所を決定して委任契約を締結する | 相続発生後2〜3か月以内 |
| STEP3|財産調査・評価 | 不動産・金融資産・保険等の評価を行い相続税を試算する | 相続発生後3〜6か月 |
| STEP4|遺産分割協議 | 税額シミュレーションをもとに誰が何を相続するかを決める | 相続発生後4〜7か月 |
| STEP5|申告書作成・提出 | 申告書を完成させて税務署へ提出・相続税を納付する | 相続発生後9〜10か月以内 |
東京の相続では書類収集・土地評価に2〜3か月かかることが多いため、相続発生後1か月以内に税理士探しを始めることが理想です。
弁護士に相談すべきケース|遺産分割・紛争解決・相続放棄
相続人間で遺産分割の合意が取れない・遺言の内容に異議がある・特定の相続人が財産を隠している疑いがあるといった「争い」が生じている場合は、弁護士への相談が有効です。
弁護士が必要になる主なケースは以下のとおりです。
- 遺産分割協議が相続人間でまとまらない(遺産分割調停・審判への対応)
- 特定の相続人が遺産を独占している・隠している疑いがある
- 遺言の有効性に疑問がある(遺言無効確認訴訟)
- 相続放棄の申述を3か月以内に行う必要がある
- 遺留分の侵害を主張したい(遺留分侵害額請求)
ただし弁護士は税務申告の代理ができないため、遺産分割が解決したあとに別途税理士への相談が必要になります。弁護士と税理士の両方に依頼する場合は費用が重複します。
相続人間のトラブルは時間が経つほど複雑化する傾向があります。争いが起きそうな兆候があれば、遺産分割協議の早い段階から弁護士に相談することをすすめます。
銀行・信託銀行の遺産整理サービス|利便性と費用のトレードオフ
銀行や信託銀行は「遺産整理サービス」として、相続手続きをワンストップで代行してくれます。口座解約・不動産名義変更・遺言執行などをまとめて依頼できる利便性があります。
デメリットは費用の高さです。遺産総額の0.5〜1.5%が報酬となるケースが多く、最低報酬が100万円前後に設定されていることもあります。また税務申告は提携税理士に任せるため、節税に強い税理士を自分で選べません。
| 比較項目 | 銀行・信託銀行 | 相続専門税理士 |
|---|---|---|
| 費用目安(遺産2億円) | 100〜300万円(最低保証100万円前後) | 100〜300万円(事務所・内容次第) |
| 税理士の選択 | 提携税理士に限定(自分で選べない) | 自分で比較・選択可能 |
| 節税対策の期待値 | 土地評価の減額は期待しにくい | 専門性次第で数百万円の差が出ることも |
| 手続きの一括性 | ◎ 口座・登記・保険等をワンストップで対応 | △ 登記・口座手続きは別途対応が必要な場合も |
東京の高額資産相続では、銀行に任せることで節税機会を逃す可能性があります。利便性は高い一方で、費用と節税効果の両面から検討することが重要です。
司法書士に相談するケース|相続登記と2024年義務化への対応
司法書士は不動産の相続登記(名義変更)を専門とします。2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に登記をしないと10万円以下の過料が課されるようになりました。
東京は不動産を持つ人が多いため、この義務化の影響を受ける相続が非常に多いです。複数の不動産を相続する場合・土地と建物の名義が異なる場合・遠方の不動産が含まれる場合などは、司法書士への相談が有効です。
相続登記の義務化により、「とりあえず名義変更しなくてもいい」という先送りはできなくなりました。税理士への相談と並行して司法書士にも早めに連絡をとることをすすめます。
参照元:法務省 相続登記の申請義務化
行政書士に相談するケース|戸籍収集と遺産分割協議書の作成
行政書士は戸籍謄本・除籍謄本の収集代行や遺産分割協議書の作成を業務として行えます。相続人が多い・被相続人が転籍を繰り返していて戸籍収集が大変なケース、遺産分割協議書の書き方がわからないケースで依頼されることが多いです。
行政書士が担当できる業務は以下のとおりです。
- 出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍の収集代行
- 相続関係説明図(相続人関係図)の作成
- 遺産分割協議書の作成(相続人全員の合意内容を正式な書面にまとめる)
- 相続財産目録の作成補助
ただし行政書士は相続税の申告代理・法務局への登記申請・裁判所への申述は行えません。協議書作成後に、税理士による申告と司法書士による登記をそれぞれ別途依頼する流れになります。
費用は書類収集・協議書作成込みで10〜30万円程度が目安です。戸籍収集が数十通にのぼる複雑な相続では、行政書士への依頼が大幅な時間節約になります。
相続診断士に相談するケース|初期の整理と方向づけ
相続診断士は「相続についての一般的な知識提供」を主な業務とする民間資格保有者です。税務や法律の専門資格を持たないため、申告書の作成・法的手続きの代理は行えません。
相続診断士への相談が適しているのは以下のような場面です。
- 相続に関して何も知識がなく、まず概要を聞きたい
- 相続税が発生するかどうかのざっくりとした見当をつけたい
- 税理士・弁護士・司法書士のどこに相談すべきか整理したい
相続の全体像を把握したい・何から始めればいいかわからないという段階での初回相談には活用できます。ただし実際の手続きは別途専門家への依頼が必要です。
相続税の申告が必要と判断された場合は、速やかに相続専門税理士への相談に移行してください。
東京の相続税申告の特徴|路線価・マンション評価・底地の3つを把握する

東京は全国の中でも相続税申告割合が突出して高い地域です。東京国税局管内(東京都・神奈川県・千葉県・山梨県)では課税割合が全国平均を大きく上回ります。その背景には地価の高さと不動産の評価の複雑さがあります。
東京の路線価と土地評価の基礎知識
路線価とは国税庁が毎年7月に公表する、道路に接する土地1平方メートルあたりの価格です。相続税の土地評価はこの路線価を基準にして計算されます。
東京都の平均路線価は全国トップクラスです。2024年時点の東京の最高路線価は銀座中央通りの2,304万円/㎡(国税庁公表)で、39年連続の全国最高となっています。23区内であれば、住宅地でも数十万円/㎡台の路線価が珍しくありません。
土地評価額の計算式は「路線価×奥行価格補正率×その他の補正率×地積(㎡)」です。路線価が高いほど評価額が上がり、相続税も増加します。
参照元:国税庁 財産評価基本通達
路線価の減額補正|東京の住宅地で使える評価減の種類
路線価方式による土地評価は、単純に「路線価×地積」で計算するだけではありません。土地の形状・面する道路の条件・周囲の環境などに応じて各種の補正率が適用され、評価額を下げられるケースがあります。
東京23区の密集した住宅地では、間口が狭い・奥行きが長い・旗竿形(袋地)といった土地が多く、補正率が複数重なって評価額が大幅に下がるケースも珍しくありません。
| 補正の種類 | 適用される条件 | 評価減の目安 |
|---|---|---|
| 奥行価格補正 | 奥行が路線価ごとの基準より短い・または長すぎる場合 | 最大20〜30%程度の減額 |
| 間口狭小補正 | 間口が4m未満など特に狭い場合 | 最大35%程度の減額 |
| 不整形地補正 | 土地の形が整形でない(三角形・L字形など) | 最大40%程度の減額 |
| がけ地補正 | 土地の一部に急傾斜(がけ)がある場合 | 最大50%程度の減額 |
| 地積規模の大きな宅地 | 500㎡以上(東京23区では1,000㎡以上)の宅地 | 最大65%程度の減額 |
これらの補正を見落とすと、実際より高い評価額で申告してしまう可能性があります。東京の複雑な土地形状に精通した税理士であれば、補正の重複適用によって路線価の30〜50%まで評価を下げることも可能です。
2024年改正後のマンション評価|乖離率補正の仕組み
国税庁が2024年1月以降の相続・贈与から適用した新ルールでは、マンションの相続税評価額と市場価格の乖離率が一定以上になると補正が入ります。
具体的には「評価乖離率(市場価格÷相続税評価額)が2.34倍を超える物件」に対して、評価水準が60%になるよう補正係数を乗じます。これにより都心タワーマンションなど市場価格が高い物件の評価額は大幅に上昇します。
| 物件タイプ | 市場価格(目安) | 旧評価額(目安) | 新評価額(目安) | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 港区タワーマンション(30F・100㎡) | 2億円 | 約3,000万円 | 約1億2,000万円 | 評価額4倍に |
| 渋谷区低層マンション(5F・70㎡) | 8,000万円 | 約2,500万円 | 約4,800万円 | 評価額約2倍に |
| 郊外マンション(3F・80㎡) | 3,000万円 | 約1,800万円 | 約1,800万円(変わらず) | 乖離率2.34以下のため補正なし |
借地権・底地の評価方法|東京特有の複雑な権利関係
東京都内には昭和期から続く借地が多く残っています。地主(底地所有者)から土地を借りて建物を建てているケースや、その逆も含め、権利関係が複雑な物件が混在しています。
借地権の評価額は「自用地評価額×借地権割合」で計算されます。底地の評価額は「自用地評価額×(1−借地権割合)」です。東京の商業地では借地権割合が70〜90%に達する地点もあります。
借地権割合が80%の地域に面した自用地評価1億円の土地の場合、借地権評価は8,000万円・底地評価は2,000万円になります。底地だけを相続した場合でも2,000万円の評価となり、売却するには借地権者との交渉が必要なため換金性が低い点が問題です。
底地・借地権の相続は東京の税理士でも専門性が問われる分野です。相続前に評価の見通しと対策を立てることが重要になります。
小規模宅地等の特例と東京の自宅相続
小規模宅地等の特例は、自宅として使っていた土地(330㎡まで)の相続税評価額を80%減額できる制度です。東京の高地価エリアでは、この特例の有無で相続税額が数千万円変わることがあります。
たとえば路線価100万円/㎡の地点にある100㎡の自宅の場合、評価額は1億円です。特例を適用すると評価額が2,000万円まで下がります。法定相続人3人の基礎控除4,800万円以下となり、相続税がゼロになる可能性があります。
特例を適用するには「同居または生計同一の相続人が取得する」などの要件があります。要件の判断や申告書への記載を誤ると特例が使えなくなるため、専門税理士への確認が不可欠です。
参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
複数の税理士に一括相談・見積もりを取るべき理由|東京の相続は特に差が出る

税理士なら誰に頼んでも同じ結果になると思っている方は多いですが、これは誤解です。特に東京のように土地評価が複雑な地域では、税理士によって算出される相続税額が数百万円異なることがあります。
税理士によって相続税額が変わる理由|土地評価の差が数百万円に
相続税の申告において最も評価が難しいのが不動産(土地)です。同じ土地でも、路線価方式の適用・各種補正率の判断・不整形地・間口が狭い土地・高低差がある土地などでは、税理士によって評価額が数千万円単位で変わることがあります。
一般的に相続税専門の税理士は土地評価を低く抑える「減額要素」の知識が豊富です。一方、相続案件の経験が少ない税理士は路線価をそのまま適用してしまうことがあります。評価額の差が1,000万円あれば、相続税の差は最大で550万円(最高税率55%の場合)になります。
東京の相続では土地が財産の大部分を占めることが多く、土地評価の差が節税効果に直結します。税理士選びは慎重に行うべきです。
一括見積もりサービスの仕組みと使い方
相続税の一括見積もりサービスとは、1回の問い合わせで複数の税理士事務所から同時に費用の見積もりや相談の申し込みができるウェブサービスです。利用者側に費用はかかりません。
サービスの流れは概ね以下のとおりです。遺産の概要(不動産の有無・おおよその評価額・相続人の人数など)を入力フォームに記載して送信します。登録している税理士事務所から連絡が来るので、初回の相談や見積もりを比較して依頼先を決定します。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載税理士の審査基準 | 相続専門か・登録実績・口コミの有無 |
| 対応エリア | 東京23区・都内全域・全国対応など |
| 無料相談の有無 | 初回無料か・電話かオンラインか |
| 個人情報の取り扱い | プライバシーポリシーの確認 |
比較時に確認すべき3つのポイント|実績・土地評価・費用体系
複数の税理士を比較する際に確認すべき項目を3つに絞ります。1つ目は相続税申告の年間件数です。相続専門として年間100件以上扱っている事務所は実績が豊富で、特例の見落としリスクが低いです。
2つ目は土地評価の対応力です。路線価の補正・不整形地・マンション新評価ルールへの対応経験があるかを確認します。東京案件では特に重要です。「土地の評価は外部の不動産鑑定士に依頼する」と明言している事務所は信頼性が高いです。
3つ目は費用体系の透明性です。遺産総額の何%かという「定率制」が多いですが、加算費用(土地1筆あたりの加算・申告書の分量・複数相続人の場合の加算など)がどこまで見積もりに含まれているかを確認します。
一括相談の注意点|「安さだけ」で選ぶリスク
一括見積もりを取ると、費用の安い事務所に目が行きがちです。しかし相続税申告では「申告が終われば完了」ではなく、申告後に税務署から調査が入る可能性があります。
税務調査の対応は費用に含まれていないケースが多く、後から追加費用が発生することがあります。また土地評価を適切に行わずに高めの評価額で申告してしまうと、支払いすぎた相続税は原則として取り戻せません。
安さで選ぶより、土地評価の実績と税務調査対応の有無で選ぶことを優先してください。
初回無料相談で税理士の実力を見抜く質問リスト
初回無料相談では、以下の質問を用意しておくと税理士の専門性を見極めやすいです。回答が曖昧だったり「申告後に確認します」という返答が多い税理士には注意が必要です。
- □ 東京のマンション評価(2024年改正後)の実績はありますか?
- □ 借地権・底地が含まれる相続案件の対応経験はありますか?
- □ 土地の評価に不動産鑑定士を活用することはありますか?
- □ 小規模宅地等の特例の適用判断はどのように行いますか?
- □ 二次相続を見据えた遺産分割のアドバイスはしてもらえますか?
- □ 税務調査が入った場合の対応は費用に含まれていますか?
- □ 申告書提出後のサポートはありますか?
見積もり書で確認すべき項目一覧|報酬体系の落とし穴
見積もり書を受け取ったら、以下の項目を一つずつ確認します。「総額いくら」だけを確認してはいけません。追加費用の条件を見落とすと、最終的な請求額が当初の見積もりの2倍になることもあります。
- □ 基本報酬の計算基準(遺産総額の何%か)
- □ 土地1筆あたりの加算費用(東京は複数筆になることが多い)
- □ 相続人1名追加ごとの加算費用
- □ 申告期限が迫っている場合の特急料金の有無
- □ 税務調査対応費用(含まれているか・別途請求か)
- □ 遺産分割協議書の作成費用(含まれているか)
- □ 相続税還付申告(更正の請求)に対応しているか
見積もり書に「土地の評価に別途費用がかかる場合があります」という文言がある場合は必ず上限金額を確認してください。
一括相談から依頼決定までの流れ|STEP別の手順
一括相談サービスを利用してから実際に依頼を決定するまでの流れを段階別に解説します。
| STEP | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| STEP1|問い合わせ | 一括相談・見積もりサイトに遺産の概要(財産の種類・おおよその額・相続人数)を入力して送信する | 詳細な金額は不要。「不動産あり・東京23区」の情報を必ず記載する |
| STEP2|税理士事務所から連絡が来る | 登録している複数の事務所から電話またはメールが届く | 2〜5事務所程度から連絡が来ることが多い。すぐ断らず全員と話す |
| STEP3|初回相談・見積もり依頼 | 各事務所と個別に面談(対面またはオンライン)を行い、見積もり書を受け取る | 上記の質問リストを持参して実力を確認する |
| STEP4|依頼するかを検討 | 複数の見積もり書を比較して費用・実績・対応力を総合評価する | 安さだけで判断しない。土地評価の実績と税務調査対応の有無を優先する |
| STEP5|依頼 or 終了 | 最も信頼できる事務所と正式に契約して依頼。納得できなければ別の税理士を探す | 申告期限(相続開始から10か月以内)を必ず確認して余裕を持って動く |
相見積もりを断る税理士は選ばない方がよい理由
一括見積もりサービスへの登録を嫌がったり、「他の事務所と比較しないで」と求めてくる税理士には注意が必要です。相見積もりを嫌がる背景には、価格競争への自信のなさや、他社との比較で不利になる点を隠したい意図が含まれている可能性があります。
信頼できる税理士は相見積もりを歓迎します。「他の事務所の見積もりを持ってきていただければ比較します」と言える事務所は、自分たちのサービスに自信を持っている証拠です。
複数の選択肢を比較することは依頼者の権利であり、優良な税理士はそれを尊重します。相見積もりを断る事務所は、この段階で候補から外すことをすすめます。
東京で相続税専門税理士を選ぶ5つのチェックポイント

東京の相続案件は不動産評価の複雑さから、「相続専門税理士」でも実力に差があります。以下の5つの視点で評価してください。
チェックポイント1|相続税申告の年間件数と実績
税理士全体の中で相続税申告を年間50件以上扱っている事務所は少数派です。件数が多いほど特例適用のパターン・土地評価の減額要素・申告書の整合性チェックなどのノウハウが蓄積されています。
「年間何件対応していますか?」と直接聞いてみましょう。明確に答えられる事務所は透明性があります。具体的な数値を出せない場合は経験が浅い可能性があります。
年間件数だけでなく、東京23区内での案件比率も確認するとより精度が上がります。地方農地の相続が中心の事務所では、都心不動産の評価ノウハウが少ないことがあります。
チェックポイント2|土地評価の専門性(不動産鑑定士との連携含む)
路線価方式だけでなく、不動産鑑定士による鑑定評価を活用して評価額を下げる手法があります。鑑定費用(30〜50万円程度)はかかりますが、評価額が大幅に下がれば節税効果の方が大きくなります。
「不動産鑑定士と連携して評価を下げた実績はありますか?」と確認します。連携実績がある事務所は土地評価を重視している証拠です。
土地評価の減額実績がある事務所では、鑑定費用を差し引いても節税額の方が大きくなるケースがほとんどです。鑑定士連携の有無は重要な判断基準になります。
チェックポイント3|東京23区内の案件対応経験
東京郊外と都心では路線価・マンション評価・底地の扱いが大きく異なります。相続案件を年間100件扱っていても、その多くが地方の農地相続では東京の都心案件に対応できない場合があります。
「東京23区内の相続案件、特にマンションや借地権の対応実績はどれくらいありますか?」と聞くことで、東京特化の経験を確認できます。2024年のマンション評価改正に関する説明がスムーズにできる事務所は、最新ルールへの対応力があると判断してよいです。
チェックポイント4|二次相続を含む長期シミュレーションの提供
一次相続の申告だけで完結させる事務所と、二次相続まで見据えた遺産分割のアドバイスを提供する事務所では、長期的な節税効果が大きく異なります。
東京の資産規模では一次相続で配偶者控除をフル活用すると、二次相続で子に多額の相続税が課されることがよくあります。「二次相続のシミュレーションも行ってもらえますか?」と確認します。
二次相続まで含めてシミュレーションを提供してくれる事務所は、単なる申告代行を超えた長期的な税務アドバイスができる証拠です。初回面談でこの質問をしてみることで、事務所の姿勢を確認できます。
チェックポイント5|税務調査対応と申告後サポートの体制
相続税の申告後、税務署から「お尋ね」や実地調査が来る可能性があります。国税庁が公表した「令和5事務年度 相続税の調査状況」によると、全国の実地調査件数は8,556件(前年比104.4%増)で3年連続の増加です。
東京国税局管内だけでも2,006件の実地調査が実施されており、調査を受けた申告のうち84.2%で申告漏れ等の指摘が入っています。4件中3件超で問題が発見される高い水準です。
調査対応を別途費用として請求する事務所がほとんどですが、一部の事務所では申告報酬に含んでいます。
税務調査対応が含まれているかどうかを事前に確認することは、予期せぬ追加費用を防ぐうえで非常に重要です。また申告後の還付申告(更正の請求)に対応しているかも確認しておくと安心です。
過去に申告した内容が評価不足だったと後から判明した場合、更正の請求によって払いすぎた相続税の還付を受けられる可能性があります。過去5年以内の申告であれば請求できるため、現在の申告だけでなくこの対応力も評価に含めるとよいです。
相談前に準備すべき書類と情報|東京の相続で必要なもの一覧

税理士に相談する前に書類を揃えておくと、初回面談がスムーズに進み費用の見積もり精度も上がります。東京の相続では不動産関連の書類が特に重要です。
相続人関連の書類
- 被相続人の除籍謄本・戸籍謄本(出生から死亡まで)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票
- 相続人全員のマイナンバーが確認できる書類
不動産関連の書類(東京案件で特に重要)
- 不動産の登記事項証明書(法務局で取得)
- 固定資産税・都市計画税の課税明細書(毎年4〜6月に届く)
- 地積測量図・公図(法務局で取得)
- 借地権・底地がある場合は賃貸借契約書
- マンションの場合は管理組合からの書類・登記事項証明書
金融資産関連の書類
- 預金通帳(全金融機関・過去3〜5年分)
- 有価証券(株式・投資信託など)の残高証明書
- 生命保険の証書・支払通知書
- 死亡退職金の支払通知書
その他の書類
- 遺言書(公正証書遺言・自筆証書遺言)
- 被相続人が過去3年以内に贈与した財産に関する情報
- 相続時精算課税を利用した場合の申告書
- 債務・未払い費用の一覧(借入金・医療費等)
特に通帳は直近3〜5年分をすべて用意してください。税務調査では過去の入出金履歴が重点的に確認されます。名義預金(親の口座に実質的に子のお金が入っている場合など)の有無が問われます。
書類が揃わない場合の対処法
戸籍謄本が複数にわたる・通帳が見当たらないなど、書類収集に時間がかかるケースはよくあります。収集できていない状態で相談に行っても問題はありません。税理士が書類収集の方法・取得場所・優先順位を指示してくれます。
まず「被相続人の死亡時の財産の概要」だけでも把握して相談に行くことが大切です。固定資産税の課税明細書・預金通帳・生命保険証書など、手元にあるものから持参しましょう。
税理士報酬の費用相場|東京の相続・遺産規模別シミュレーション

税理士への依頼費用は事務所によって異なりますが、業界全体の目安は把握しておくべきです。東京の場合は遺産に高額不動産が含まれることが多く、費用が相対的に高くなる傾向があります。
基本報酬の計算方法
相続税申告の税理士報酬は「遺産総額の0.5〜1.5%」が目安です。遺産総額が1億円であれば50〜150万円、2億円であれば100〜300万円の範囲が一般的です。
ただしこれは基本報酬です。東京の不動産相続ではここに土地1筆あたりの加算(5〜10万円)・相続人1名追加の加算(5万円程度)・申告期限が迫っている場合の特急料金などが加わります。
| 遺産総額 | 基本報酬の目安 | 土地2筆ある場合の加算 | 合計目安 |
|---|---|---|---|
| 5,000万円 | 25〜75万円 | 10〜20万円 | 35〜95万円 |
| 1億円 | 50〜150万円 | 10〜20万円 | 60〜170万円 |
| 2億円 | 100〜300万円 | 10〜20万円 | 110〜320万円 |
| 5億円 | 250〜750万円 | 10〜20万円 | 260〜770万円 |
費用に関するよくある誤解|見積もり比較で注意すべきポイント
相続税申告の税理士費用について「遺産の1%だから○○万円」と単純計算している方は多いですが、実際の請求額とズレが生じることがよくあります。見積もり比較の際に特に注意すべき誤解を整理します。
誤解の1つ目は「税込・税抜の混同」です。見積もり書に記載された金額が税込か税抜かで、最終的な費用が10%違います。東京では遺産規模が大きいため、この差が数十万円になることもあります。
誤解の2つ目は「基本報酬だけで比較する」問題です。基本報酬が安くても、土地1筆ごとの加算・相続人1名追加のたびの加算・申告書のページ数に応じた加算が重なると、最終的な費用が基本報酬の2〜3倍になるケースがあります。
| よくある誤解 | 実態 | 確認すべきこと |
|---|---|---|
| 「遺産の1%=全部込みの費用」 | 土地加算・相続人加算・申告書作成料が別途かかる場合が多い | 加算費用の一覧と上限額を確認する |
| 「税理士に頼んだら還付もしてくれる」 | 還付申告(更正の請求)は別途費用になる事務所が多い | 更正の請求対応が含まれるか確認する |
| 「安い事務所=サービスが劣る」 | 規模のある事務所は効率化で安くできることがある | 安い理由を確認する(経験不足 vs 効率化) |
| 「税務調査対応も込み」 | ほとんどの事務所で税務調査は別途料金 | 調査対応の費用と範囲を必ず確認する |
見積もりを比較するときは「最終的にいくらかかるか」を確認することが最重要です。加算費用の上限額を明示しない事務所には、必ず質問してから判断してください。
費用を節約するための方法
同じ仕事内容でも複数の事務所から見積もりを取ることで10〜30%の費用差が出ることがあります。一括見積もりサービスを活用して比較することが最も効果的です。
また事前に書類を揃えて相談に臨むと、税理士の作業時間が減り費用が下がるケースがあります。通帳・不動産の登記証明書・固定資産税の課税明細書は初回面談前に用意しておくと良いです。
税理士費用は相続税の申告書に債務として計上でき、相続税額を若干下げる効果があります。節税の観点からも費用を把握しておくことが重要です。
費用対効果の考え方
「安い税理士に頼んで節税が甘くなる」と「高い税理士に頼んで費用が余分にかかる」のどちらが損かは、ケースによります。一般的には遺産総額が1億円を超えると、専門税理士に依頼することで節税効果が税理士費用を上回るケースが多いです。
たとえば土地評価の減額により相続税が300万円節税できたとすると、税理士費用が120万円だった場合でも180万円の純利益が出ます。費用だけを比べるのではなく、「その費用を払うことで得られる節税額」と比較することが合理的な判断です。
無料相談の落とし穴|東京で気をつけるべき3つのリスク

「初回無料相談」を提供している税理士事務所は多くありますが、無料相談にはいくつかの注意点があります。無料相談を活用する際は以下の点を意識してください。
落とし穴1|無料相談で得た情報が不完全なケース
無料相談は通常30〜60分程度の限られた時間です。この時間内に東京の複雑な不動産を含む相続全体を把握することは難しく、税理士が提供できる情報は概算や方向性にとどまります。
「無料相談で税額がわかった」と思っても、それは粗い試算です。実際に申告書を作成する段階で評価が変わり、試算との差が大きくなることがあります。無料相談はあくまでも税理士との相性確認と情報収集の場と考えるべきです。
落とし穴2|無料相談後に即決を迫られるケース
無料相談で親切に対応してもらったあと、「今すぐ申告の依頼をしないと節税できません」といった圧力をかけてくる事務所があります。申告期限(相続開始から10か月以内)が迫っているときほど、このような圧力に弱くなりがちです。
信頼できる税理士は急がせません。相見積もりを取る時間は十分にあるはずです。無料相談の場で即決を求められたときは冷静に一度持ち帰ることをすすめます。
落とし穴3|市区町村・公的機関の無料相談の限界
東京都や各区の相談窓口(税務相談・法律相談)では無料の相談を受け付けています。しかし公的機関の相談は「一般的な制度の説明」が中心であり、個別の相続税額の試算・節税対策の提案・申告書の作成代行は行っていません。
公的機関の相談は「何から始めればいいかわからない」という初期段階には有益ですが、実際の申告に向けては早い段階で専門の税理士に相談に行くことが重要です。
相続税の相談すべきタイミング|10か月の期限から逆算する

相続税の申告期限は「相続の開始(被相続人の死亡)から10か月以内」です。この期限を過ぎると延滞税・無申告加算税が課されます。東京では財産の評価が複雑なため、早めに動くことが節税と申告の両方に有効です。
理想的な相談タイミング|相続発生後1〜3か月以内
相続が発生したら1〜3か月以内に税理士への相談を開始することをすすめます。この時期は葬儀・四十九日・相続人の確認などで忙しいですが、並行して動くことが重要です。
3か月以内に相続放棄の申述(家庭裁判所)を行う必要もあります。プラスの財産よりマイナスの財産(借金など)が多い可能性がある場合は、特に急いで確認が必要です。
| 時期 | やるべきこと | 期限 |
|---|---|---|
| 1か月以内 | 死亡届の提出・葬儀の完了・相続人の確認 | 死亡から7日以内(死亡届) |
| 2〜3か月以内 | 税理士への相談開始・財産の全体把握・相続放棄の検討 | 相続放棄は3か月以内 |
| 3〜4か月以内 | 遺産分割協議の開始・準確定申告(被相続人の所得税) | 準確定申告は4か月以内 |
| 5〜8か月以内 | 申告書の作成・土地評価の確定・遺産分割協議書の作成 | 申告期限10か月以内を見据える |
| 9〜10か月以内 | 申告書の最終確認・提出・相続税の納付 | 申告・納付ともに10か月以内 |
相談が遅れた場合のリスク
申告期限(10か月)を過ぎると、納付税額に加えて無申告加算税(15〜20%)と延滞税が課されます。遺産総額が2億円で相続税が1,000万円の場合、1か月超過しただけで150〜200万円以上の加算税が発生します。
相続が発生したら1か月以内に税理士探しを始めることを強くすすめます。東京の相続は書類収集・土地評価に時間がかかるため、早く動くほど余裕が生まれます。
生前相談のすすめ|相続発生前から動く重要性
相続税の相談は、相続が発生してからでなくても行えます。被相続人(将来的に亡くなる親・配偶者)が元気なうちに財産の状況を整理し、相続税の試算・生前贈与の活用・遺言書の作成などを検討しておくことで、相続発生後の手続きが大幅にスムーズになります。
東京の高額資産家庭では、生前の対策によって相続税を数千万円単位で節税できるケースがあります。主な生前対策の手法は以下のとおりです。
- 暦年贈与:年間110万円の非課税枠を活用して毎年財産を移転する。2024年から生前3年以内の贈与は相続財産に加算されるルールが7年に延長されたため、早期着手が重要
- 相続時精算課税:2,500万円の特別控除を使い、一括で財産を移転する。2024年から年間110万円の非課税枠が追加されて使いやすくなった
- 生命保険の活用:「500万円×法定相続人数」の非課税枠を活用して現金を生命保険に変換する
- 不動産の組み換え:更地を賃貸物件に変えることで評価額を下げる手法。東京の地価が高い土地では大きな節税効果が見込める
- 家族信託:認知症になった場合の財産管理を事前に設計する。相続発生後の争いを防ぐ効果もある
「まだ先の話」と思わず、親が元気な60〜70代のうちに一度専門家に相談することをすすめます。生前対策は時間をかけるほど効果が大きくなるため、早期着手が節税の鍵です。
東京23区別・相続税相談窓口ガイド|税務署・区役所・無料相談の活用法

東京23区内には相続に関する公的相談窓口が複数あります。それぞれの役割と使い方を把握して、適切な窓口を選んでください。
東京国税局・管轄税務署の一覧
相続税の申告書を提出する先は、被相続人の住所地を管轄する税務署です。東京23区内の主な税務署と管轄地域は以下のとおりです。
| 税務署名 | 主な管轄地域 |
|---|---|
| 麹町税務署 | 千代田区 |
| 神田税務署 | 千代田区(一部)・中央区(一部) |
| 日本橋税務署 | 中央区 |
| 芝税務署 | 港区(一部) |
| 麻布税務署 | 港区(一部) |
| 渋谷税務署 | 渋谷区 |
| 新宿税務署 | 新宿区 |
| 豊島税務署 | 豊島区 |
| 荒川税務署 | 荒川区・北区(一部) |
| 足立税務署 | 足立区 |
| 江戸川税務署 | 江戸川区 |
| 世田谷税務署 | 世田谷区(一部) |
| 目黒税務署 | 目黒区・品川区(一部) |
税務署では相続税の制度説明や申告書の書き方に関する一般的な案内を行っています。ただし節税アドバイスや遺産分割のシミュレーションは行っていません。また相談は予約制になっているケースが増えています。
各区の無料相談窓口|弁護士・税理士の派遣相談
東京23区の各区では定期的に「無料法律相談」「無料税務相談」を実施しています。区によって開催頻度・予約方法・対応分野が異なります。主な区の状況は以下のとおりです。
- 千代田区:毎月数回・弁護士相談(税務は別枠で実施)
- 新宿区:毎週・法律相談と税務相談を別日程で実施
- 渋谷区:月数回・相続に特化した相談日を設けているケースも
- 世田谷区:区内9か所の出張所でも相談受付
- 江東区・葛飾区・足立区:月1〜2回・予約制で実施
無料相談の枠は限られており、申告期限が迫っている場合は間に合わないことがあります。公的窓口は補完的に活用し、申告対応は専門税理士に任せることが重要です。
東京税理士会の税理士紹介制度
東京税理士会(東税)では税理士紹介制度を設けており、相談内容に合った税理士を紹介してもらえます。相続税の専門家を指定して紹介依頼することも可能です。
ただし紹介された税理士が必ずしも相続専門・東京の不動産に強いとは限りません。紹介後も実力の確認(前述のチェックポイント)は忘れずに行ってください。
法テラス・東京三弁護士会の無料相談活用法
法テラス(日本司法支援センター)は、収入・資産が一定以下の方を対象に弁護士・司法書士への無料法律相談を提供する公的機関です。弁護士費用の立替制度(民事法律扶助)も利用でき、相続人間でトラブルが発生しているが弁護士費用が払えないというケースに有効です。
東京三弁護士会(東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会)は、それぞれ独自の無料相談窓口を設けています。電話または面談で相続に関する法律問題を相談でき、初回は無料です。
相続税の計算・節税については対応できませんが、遺産分割の争いに発展しそうな場合は早期に相談することをすすめます。
| 窓口 | 対象者 | 相談内容 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 法テラス(民事法律扶助) | 収入・資産が一定以下の方 | 相続全般の法律相談・弁護士費用の立替 | 無料(費用立替制度あり) |
| 東京弁護士会・法律相談センター | 誰でも利用可 | 遺産分割・遺言・相続放棄など | 30分5,500円(初回無料の場合あり) |
| 東京税理士会・相続税相談室 | 誰でも利用可 | 相続税の計算・財産評価の基本的な質問 | 無料(30分程度・要予約) |
| 東京司法書士会・相談センター | 誰でも利用可 | 相続登記・遺産整理・後見制度 | 30分5,500円(無料相談日あり) |
公的窓口での無料相談は初期情報収集として有益ですが、相続税の節税や申告への対応は専門税理士でないと行えません。無料相談で全体像を把握したうえで、速やかに相続専門税理士への相談に移行することが最善の流れです。
相談窓口を使い分ける方法
各窓口の使い分けの目安は以下のとおりです。状況に合った窓口を選ぶことで時間と費用を効率化できます。
| 状況 | 適切な窓口 |
|---|---|
| 相続税が発生するかわからない・全体像を知りたい | 区役所の無料相談・税務署の案内窓口 |
| 遺産分割で相続人間のトラブルが起きている | 弁護士(法テラスの無料相談も活用可) |
| 相続税の申告が必要・節税したい | 相続専門税理士(一括見積もりで比較) |
| 不動産を含む複雑な相続・タワマン・借地権がある | 東京23区内の案件実績がある相続専門税理士 |
| 生前の相続対策・遺言書の作成 | 相続専門税理士または公証役場(遺言公証) |
よくある質問(FAQ)
Q. 東京の相続税は他の都道府県より高いのですか?
相続税の税率そのものは全国一律です。ただし東京は地価が高いため相続財産(特に不動産)の評価額が高くなりやすく、相続税額が高くなるケースが多いです。
2024年のマンション評価改正により、都心のマンションを保有している場合は特に税額が増える可能性があります。
Q. 無料相談だけで申告まで対応してもらえますか?
無料相談はあくまでも初期の情報収集・事務所との相性確認の場です。申告書の作成・提出には別途依頼契約が必要になります。無料相談で申告まで代行するサービスは存在しません。相談後に費用の見積もりを受け取り、正式に契約してから申告作業が始まります。
Q. 相続税の申告は税理士に頼まなくてもできますか?
法律上は本人が申告書を作成・提出することは可能です。ただし東京のように不動産評価が複雑な場合、適切な特例適用や評価減の判断を自分で行うことは非常に難しいです。
特例を見落として払いすぎた相続税は更正の請求で取り戻せる場合もありますが、申告後の手続きは手間がかかります。
Q. 相続税の申告期限を過ぎたらどうなりますか?
申告期限(相続開始から10か月以内)を過ぎると、無申告加算税(本税の15〜20%)と延滞税が課されます。また期限内に申告しなかった場合、配偶者控除や小規模宅地等の特例が適用できなくなる可能性があります。期限超過が見えてきたら、すぐに税理士に相談してください。
Q. 相続税の相談費用はどのくらいかかりますか?
初回相談は無料としている事務所が多いです。申告まで依頼する場合の費用は遺産総額の0.5〜1.5%が目安で、東京では土地の加算費用が加わることが多いです。
遺産総額1億円の場合は60〜170万円程度が相場となります。複数の事務所から見積もりを取って比較することをすすめます。
まとめ|東京の相続税相談は早期着手と複数比較が節税の鍵
東京の相続税相談の基本
- 東京は地価・マンション評価・底地の複雑さから、相続税が発生しやすく評価次第で税額が大きく変わる
- 2024年のマンション評価改正により、タワーマンション等の評価額が大幅上昇している
- 相談窓口は6種類あるが、節税・申告を一貫して任せられるのは相続専門税理士だけ
一括相談・比較のすすめ
- 土地評価の差によって相続税額が数百万円変わることがある
- 一括見積もりサービスで複数の事務所を比較することが最も費用対効果が高い
- 安さだけで選ばず、土地評価の実績と税務調査対応の有無を確認する
今すぐ取るべき行動
- 相続が発生したら1か月以内に税理士への相談を始める(10か月の申告期限から逆算する)
- 一括見積もりサービスに問い合わせて、少なくとも2〜3社の見積もりを比較する
- 初回相談時は「土地評価の実績・二次相続シミュレーション・税務調査対応」の3点を必ず確認する
※本記事は2026年6月時点の法令・税率・通達に基づいて作成しています。相続税の制度は改正されることがあるため、実際の申告にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。



