


相続税の非課税財産とは、相続税法12条が「課税価格に算入しない」と定めている財産のことです。
相続した財産のすべてに相続税がかかるわけではありません。墓地や仏壇、生命保険金の一定額などは、最初から課税の対象外です。
全部で8種類ありますが、実務で効いてくるのは墓地・仏壇などの祭祀財産と、生命保険金・死亡退職金の非課税枠の3つです。
生命保険金と死亡退職金には、それぞれ「500万円×法定相続人の数」の枠があります。相続人が3人なら、合わせて3,000万円が課税対象から外れます。
注意したいのは、非課税になるかどうかが「何を持っているか」ではなく「どう持っているか」で決まる点です。
同じ仏具でも、日常の礼拝に使っていれば非課税、投資の対象として持っていれば課税されます。
本記事では、8種類の一覧と判定の条件、課税に切り替わる境界のケース、非課税枠の計算方法、申告書の書き方までを解説します。
▼ この記事の3行まとめ

相続税の計算では、まず「何が課税対象になるか」を正確に把握する必要があります。「非課税財産」と似た言葉に「みなし相続財産の非課税枠」や「債務控除」がありますが、それぞれ意味が異なります。
混同すると申告書に誤りが生じるため、最初に整理しておきましょう。
そもそも申告が要るかどうかの判定は、下記の記事で解説しています。

非課税財産とは、相続や遺贈によって取得しても、相続税法上の規定により相続税の課税対象から除外される財産のことです。相続税法第12条に列挙されており、この条文に該当する財産は相続財産の総額に算入されません。非課税財産の代表例は以下の通りです。
相続税法12条が定める8種類
これらは「最初から課税対象に含まれない」財産であり、申告書に記載する必要がない財産です(ただしこの記事の例外あり)。
非課税財産は相続税法第12条に根拠があります。同条に列挙されていない財産は原則として課税対象となるため、判断が難しい財産は必ず税理士に確認することが重要です。
相続税の計算で混乱しやすい3つの概念を整理します。
| 概念 | 意味 | 代表例 | 申告書への記載 |
|---|---|---|---|
| 非課税財産 | そもそも課税対象にならない財産 | 墓地・仏壇・祭具 | 記載不要(例外あり) |
| みなし相続財産の非課税枠 | 課税対象だが一定額まで非課税になる | 生命保険金・死亡退職金 | 第9表・第10表に記載が必要 |
| 債務控除 | 相続財産から差し引けるマイナスの財産 | 借入金・未払い医療費・葬式費用 | 第13表に記載が必要 |
特に注意が必要なのは「生命保険金」と「死亡退職金」の扱いです。これらは「みなし相続財産」として原則課税対象ですが、「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額以下の部分は課税されません。
「生命保険金は非課税」という誤解が多いですが、正確には「非課税枠の範囲内は課税されない」です。非課税枠を超えた金額は課税対象になります。
原則として、非課税財産そのものは申告書に記載する必要はありません。ただし、以下の非課税財産については申告が必要です。
申告書への記載が要るもの・要らないもの
「非課税財産だから申告不要」と判断して申告を怠ると、非課税枠の適用が認められない場合があります。非課税枠を活用する場合は必ず申告が必要です。

相続税法第12条に定められた非課税財産は、大きく8種類に分けられます。
それぞれの判定条件と、申告時に注意すべきポイントを確認しましょう。
先に全体像を出します。実務で効いてくるのは上から3つで、残りは当てはまる家庭が限られます。
| 種類 | 対象 | 実務での出番 | 申告書への記載 |
|---|---|---|---|
| 1|祭祀財産 | 墓地・墓石・仏壇・仏具・神具 | 多い | 不要 |
| 2|生命保険金の非課税枠 | 500万円×法定相続人の数 | 非常に多い | 必要(第9表) |
| 3|死亡退職金の非課税枠 | 500万円×法定相続人の数 | 多い | 必要(第10表) |
| 4|寄付した財産 | 国・地方公共団体・特定の公益法人等への寄付 | まれ | 必要(第14表) |
| 5|公益事業用財産 | 宗教・慈善・学術の事業に使う財産 | まれ | 必要 |
| 6|心身障害者共済の給付金受給権 | 条例に基づく共済制度の給付金 | まれ | 不要 |
| 7|個人経営の幼稚園等の財産 | 相続人が経営を続けることが条件 | まれ | 必要 |
| 8|皇位とともに受けた物 | 三種の神器など | ほぼない | — |
表の見方:右端が分かれ目です。1と6は申告書に書かなくても非課税ですが、2・3・4は申告書に書かないと非課税枠が使えません。「非課税だから申告不要」と考えると、使えたはずの枠を落とします。
重要ポイント:3列目のとおり、ほとんどの相続で関係するのは上から3つです。4から8は、寄付をする・公益事業を営んでいる・幼稚園を経営しているといった事情がある家庭に限られます。
申告が不要になるケースは、下記の記事で解説しています。

墓地・墓石・仏壇・仏具・神棚など、日常の礼拝に使っている財産は相続税がかかりません(相続税法12条1項2号)。「お墓を相続したら相続税がかかるのでは」と心配される方がいますが、礼拝や祭祀の目的で使っているものなら課税されません。
| 財産 | 判定 | 具体例 |
|---|---|---|
| 墓地・墓石 | 非課税 | 霊園の区画、墓石とその工作物 |
| 仏壇・仏具 | 日常礼拝用なら非課税 | 仏壇本体、位はい、りん、香炉 |
| 神棚・神具 | 日常礼拝用なら非課税 | 神棚、神鏡、御幣 |
| 庭内神し | 日常礼拝用なら非課税 | 敷地内の祠、その敷地(一体として使っている部分) |
| 骨とう的・美術的価値があるもの | 課税 | 文化財に指定された仏像、高額な蒔絵の仏壇 |
| 投資・商品として持っているもの | 課税 | 販売目的の在庫、値上がりを見込んで買った仏具 |
表の見方:上3つは「日常礼拝用」という条件つきです。下2つはその条件を外れるため課税されます。同じ仏具でも、どう持っているかで扱いが分かれます。
この線引きは通達に書かれています。
相続税法基本通達12-2(祭具等の範囲)
法第12条第1項第2号に規定する「これらに準ずるもの」とは、庭内神し、神たな、神体、神具、仏壇、位はい、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝の用に供しているものをいうのであるが、商品、骨とう品又は投資の対象として所有するものはこれに含まれないものとする。
参照元:国税庁 相続税法基本通達 〔墓所、霊びょう、祭具等関係〕
祭祀財産を誰が継ぐかは遺産分割の対象外です。被相続人が指定するか、慣習に従って決まります(民法897条)。
「純金の仏具を買えば相続税が減る」という話を聞くことがあります。純金製というだけで直ちに課税されるわけではありません。
通達が外しているのは「商品、骨とう品又は投資の対象として所有するもの」です。仏壇に納めて日常の礼拝に使っていれば、非課税財産として扱われます。
一方で、保管したままにしている、同じものを複数そろえている、相続が近い時期にまとめて買っているといった事情があると、投資の対象と見られやすくなります。
判定の基準と、買って得になるかどうかの試算は、下記の記事で解説しています。

生前に墓地や仏壇を買っておくと、その分だけ課税対象の現金が減ります。課税価格8,000万円・相続人が配偶者と子2人のケースで、300万円の墓地・仏壇を生前に買った場合を試算します。
| 課税価格 | 相続税の総額 | |
|---|---|---|
| 生前に買わなかった | 8,000万円 | 350万円 |
| 生前に300万円分を買った | 7,700万円 | 312万円 |
計算ロジック:基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万円です。購入額300万円がそのまま課税価格から外れるため、差は38万円になります。
重要ポイント:効果は購入額×相続税の限界税率どまりです。購入額そのものが戻るわけではありません。ローンを組んで買うと債務控除との関係も出るため、節税だけを目的にした購入は勧められません。
相続が発生したあとに買っても非課税にはなりません。被相続人が生前に取得していたことが条件です。
生前に買っても代金を払い終えていない場合、その未払い分は債務控除の対象になりません(相続税法13条3項)。
通常の借入金は債務控除で引けますが、非課税財産を取得するための債務は引けない仕組みです。非課税の財産と、それに対応する債務を両方引くと二重に引くことになるためです。
| 買い方 | 財産の扱い | 未払い分の扱い |
|---|---|---|
| 生前に現金で購入した | 非課税 | — |
| 生前に購入し、代金が未払い | 非課税 | 債務控除にできない |
| 相続開始後に購入した | 課税(現金のまま) | — |
重要ポイント:2行目が見落とされやすい形です。ローンで墓地を買って払い終える前に相続が起きると、財産は非課税だが借金も引けないため、節税にならないどころか手元の現金が減ります。
お墓や仏壇を用意するなら、生前に代金まで払い終えておくことです。
非課税財産と混同されやすいものに香典と弔慰金があります。この2つはそもそも相続財産に入りません。
| 受け取ったもの | 相続税 | 所得税・贈与税 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 香典 | かからない | かからない(社会通念上相当な範囲) | 相基通21の3-9 |
| 弔慰金(業務上の死亡) | 賞与の3年分まではかからない | — | 相基通3-20 |
| 弔慰金(業務外の死亡) | 賞与の半年分まではかからない | — | 同上 |
| 上の範囲を超える弔慰金 | 死亡退職金として扱う | — | 同上 |
| 葬儀の香典返し | — | — | 葬式費用に入らない |
表の見方:香典は相続財産に入らないので、申告書にも書きません。弔慰金は上限を超えた分だけ死亡退職金として扱います。
重要ポイント:最下行が見落としやすい部分です。葬式費用は債務控除できますが、香典返しの費用は控除できません。香典を受け取っていて課税されないのだから、その返礼も引けないという整理です。
通夜・告別式の費用や火葬料、お布施は葬式費用として控除できます。初七日や四十九日の法要にかかった費用は、葬式費用として控除できません。葬儀と同じ日に初七日を行った場合でも、区分できるなら法要の分は除きます。
医学上または裁判上の特別の処置にかかった費用も対象外です。一方で遺体や遺骨の運搬にかかった費用、遺体の捜索にかかった費用は控除できます。
墓地や墓石を買った代金、永代供養料は葬式費用ではありません。これらは非課税財産の取得にあたるため、債務控除の対象からも外れます。
重要ポイント:香典・弔慰金・葬式費用は、どれも非課税財産そのものではありません。それぞれ別の条文で扱いが決まっているため、「非課税財産の8種類」とは分けて考えてください。
参照元:国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
債務控除の対象になる債務は、下記の記事で解説しています。

被相続人の死亡によって相続人が受け取る生命保険金(死亡保険金)は、「みなし相続財産」として相続税の課税対象になりますが、一定額まで非課税になります。非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数
受け取った保険金の合計額がこの非課税限度額以下であれば、相続税はかかりません。
| 法定相続人の数 | 非課税限度額 | 保険金2,000万円の場合の課税額 |
|---|---|---|
| 1人 | 500万円 | 1,500万円が課税対象 |
| 2人 | 1,000万円 | 1,000万円が課税対象 |
| 3人 | 1,500万円 | 500万円が課税対象 |
| 4人 | 2,000万円 | 0円(全額非課税) |
この非課税枠が適用されるのは「相続人が受け取った保険金」に限られます。受取人が相続人以外(孫・内縁の配偶者など)の場合は、この非課税枠は適用されません。
生命保険の受取人が誰であるかは、非課税枠適用の可否に直結します。受取人の設定を誤ると、非課税枠が使えず多額の相続税が発生することがあるため、保険証券の受取人欄を今すぐ確認することが必要です。
参照元:国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
被相続人の死亡によって支払われる退職手当金・功労金・弔慰金等も「みなし相続財産」として相続税の課税対象になりますが、生命保険金と同様に非課税枠があります。非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数
ただし、対象となるのは「被相続人の死亡後3年以内に支給額が確定したもの」に限られます。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象となる退職金 | 死亡退職金・功労金・弔慰金(役員退職金含む) |
| 支給確定のタイミング | 被相続人の死亡後3年以内に確定したもの |
| 3年を超えて確定したもの | 一時所得として所得税の課税対象(相続税は不課税) |
| 相続放棄した人が受け取った場合 | 非課税枠は使えない(課税対象) |
生命保険金の非課税枠と死亡退職金の非課税枠は、それぞれ独立して適用されます。両方を受け取った場合は、合計で最大「1,000万円×法定相続人の数」分が非課税になります。
生命保険と退職金を合わせると、法定相続人3人の場合は最大3,000万円まで非課税になります。この組み合わせが相続税対策として最も活用しやすい方法の一つです。
参照元:国税庁 No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金
相続または遺贈によって取得した財産を、相続税の申告期限(10か月)までに「国・地方公共団体・認定NPO法人等の特定の公益法人」に寄付した場合、その寄付財産は相続税の課税対象から除外されます。
| 寄付先 | 非課税の可否 |
|---|---|
| 国(政府) | 非課税 |
| 都道府県・市区町村 | 非課税 |
| 認定NPO法人 | 非課税 |
| 公益社団法人・公益財団法人 | 非課税(一定の要件あり) |
| 一般社団法人・任意団体 | 課税対象(要件を満たさない) |
| 政治団体・宗教法人 | 原則課税対象 |
重要なポイントは「申告期限(10か月)内に寄付を完了させること」です。申告期限を1日でも過ぎた場合、この非課税規定は適用されません。
寄付先が「特定の法人」の要件を満たしているかどうかは事前確認が必要です。要件を満たさない法人への寄付は課税対象になるため、寄付を決める前に必ず確認してください。
参照元:国税庁 No.4141 相続財産を公益法人などに寄附したとき
宗教・慈善・学術・その他の公益を目的とする事業を行う「一定の個人または法人」が相続・遺贈によって取得した財産で、その公益事業の用に供することが確実なものは非課税とされます。
この規定は一般の個人相続ではほとんど関係ありませんが、宗教法人・学校法人・社会福祉法人などが遺贈を受けた場合に適用されます。
| 対象となる主な法人 | 事業の要件 |
|---|---|
| 宗教法人 | 宗教活動・礼拝施設の運営等 |
| 学校法人 | 教育事業・奨学金事業等 |
| 社会福祉法人 | 介護施設・障害者施設の運営等 |
| 医療法人(一定のもの) | 非営利の医療事業 |
公益事業用財産の非課税は「確実に公益事業の用に供される」ことが条件です。取得後に事業以外の用途に使用した場合は、相続税が課税されることがあります。
都道府県が条例で定める「心身障害者扶養共済制度」に基づいて支給される給付金を受ける権利は、相続税の非課税財産です。
心身障害者扶養共済制度とは、障害のある人の親や保護者が毎月一定の掛金を納付することで、親や保護者が死亡・重度障害になった後も障害のある人に年金が支給される制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法 | 相続税法第12条第1項第4号 |
| 対象 | 都道府県の条例に基づく心身障害者扶養共済制度の受給権 |
| 非課税の理由 | 障害者の生活保障を目的とした制度のため |
心身障害者扶養共済制度の給付金受給権は、受給権者が相続税なしに引き継ぐことができます。障害のある家族がいる場合は、この制度の活用を検討することも生前対策の一つです。
被相続人が個人で幼稚園を経営していた場合、その事業用財産(土地・建物・設備など)のうち一定のものは、非課税財産とされています。ただし、この非課税の適用には厳格な条件があります。
| 適用要件 | 内容 |
|---|---|
| 相続後の経営継続 | 相続人が引き続き幼稚園を経営すること |
| 事業の種類 | 文部科学大臣の所轄を受けた幼稚園(認可外は対象外) |
| 財産の使用目的 | 幼稚園の事業の用に専ら供されている財産 |
| 停止した場合 | 相続後に事業を停止した場合は課税対象になる |
幼稚園事業の財産の非課税は「引き続き経営すること」が絶対条件です。相続後に廃園した場合は課税されるため、承継意思がある場合のみ適用を検討してください。
皇位と一緒に皇嗣(次の天皇となる人)が受け継ぐ「皇室経済法第7条に規定される物」は、相続税の非課税財産とされています。具体的には、三種の神器(剣・璽・鏡)などが該当します。
この規定は一般の相続には全く関係のないものですが、相続税法第12条第1項第1号に明記されています。皇嗣が受け取る物の非課税規定は、一般の相続人には適用されません。相続税法に列挙されているため参考として理解しておく程度で問題ありません。

「非課税のはず」と思って申告しなかったところ、税務調査で課税対象と指摘されるケースがあります。
特に判断が難しい「グレーゾーン」を事前に把握しておくことが重要です。
税務調査で何を見られるかは、下記の記事で解説しています。

仏壇・仏具が非課税になるのは「日常礼拝の用に供されているもの」に限られます。骨董的価値・美術的価値が高い仏具や、投資・収集目的で所有していた美術品は、たとえ外見が仏壇や仏具に見えても課税対象になります。
| 財産の性質 | 相続税の扱い | 具体例 |
|---|---|---|
| 日常礼拝用の仏壇・仏具 | 非課税 | 一般的な仏壇、りん、位牌など |
| 重要文化財の仏像 | 課税(骨董品として扱われる) | 鎌倉時代の仏像など |
| 高額な蒔絵仏壇(美術品的価値) | 課税の可能性あり(判断が必要) | 数百万円以上の蒔絵仏壇など |
| 骨董目的で収集した古い香炉 | 課税(投資目的のため) | 骨董品コレクションの一部として保管 |
境界が曖昧な場合は、取得価格・保管状況・使用実態などを総合的に判断します。高額な仏壇や美術的価値のある仏具を相続した場合は、「日常礼拝用かどうか」の判断が難しいケースがあります。判断に迷う場合は申告前に税理士に相談することが必要です。
生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人数)が適用されるのは、「相続人が受け取った保険金」に限られます。受取人が孫・内縁の配偶者・愛人・友人など「相続人以外の人」の場合、非課税枠は適用されません。
| 受取人の種類 | 非課税枠の適用 | 相続税の扱い |
|---|---|---|
| 配偶者(法定相続人) | 適用あり | 500万円×法定相続人数まで非課税 |
| 子(法定相続人) | 適用あり | 同上 |
| 孫(法定相続人でない場合) | 適用なし | 全額が課税対象(みなし相続財産) |
| 相続放棄した子 | 適用なし | 全額が課税対象(みなし相続財産) |
| 内縁の配偶者 | 適用なし | 全額が課税対象(みなし相続財産) |
また、相続放棄した相続人が保険金を受け取った場合も、非課税枠は適用されません。
「受取人を孫にすれば相続税を節税できる」と考えて受取人を孫に設定するケースがありますが、孫が法定相続人でない場合は非課税枠が使えず、かつ2割加算もかかるため節税効果が見込めません。受取人の設定は必ず税理士に確認してください。
相続財産を寄付することで非課税になるためには、寄付先が「国・地方公共団体・認定NPO法人・公益社団法人・公益財団法人等の特定の法人」でなければなりません。一般社団法人・任意団体・同窓会・業界団体・政治団体などへの寄付は、この非課税規定の対象外です。
| 寄付先の種類 | 非課税の適用 |
|---|---|
| 国・都道府県・市区町村 | 非課税 |
| 認定NPO法人 | 非課税 |
| 公益社団法人・公益財団法人 | 非課税(要件を満たす場合) |
| 一般社団法人・一般財団法人 | 課税対象 |
| 同窓会・PTAなど任意団体 | 課税対象 |
| 政治団体 | 課税対象 |
| 特定の宗教法人 | 個別判断が必要 |
寄付前に「特定の法人」の要件を満たしているかを確認し、申告期限(10か月)内に確実に寄付を完了させることが必要です。期限を過ぎると非課税規定は適用されません。
個人経営の幼稚園事業用財産の非課税は、相続人が「引き続き幼稚園事業を経営すること」が条件です。相続後に廃園・経営権の売却・業種転換などを行った場合は、当初から課税対象として扱われ、追加の相続税が発生します。
経営継続の意思がない場合は、この非課税規定の適用を検討すべきではありません。幼稚園財産の非課税を適用した後に経営を停止した場合、後から相続税が課税されるリスクがあります。経営継続の確実性を見極めてから申告書に反映することが重要です。

非課税財産の中で最も節税効果が大きく、かつ多くの方に関係するのが生命保険と死亡退職金の非課税枠です。
生命保険と相続税の関係は、下記の記事で解説しています。

この2つの非課税枠の計算方法と、最大限に活用するためのポイントを確認しましょう。
生命保険金と死亡退職金の非課税枠は、どちらも500万円×法定相続人の数です。
| 法定相続人の数 | 生命保険金の枠 | 死亡退職金の枠 | 合わせた枠 | (参考)基礎控除 |
|---|---|---|---|---|
| 1人 | 500万円 | 500万円 | 1,000万円 | 3,600万円 |
| 2人 | 1,000万円 | 1,000万円 | 2,000万円 | 4,200万円 |
| 3人 | 1,500万円 | 1,500万円 | 3,000万円 | 4,800万円 |
| 4人 | 2,000万円 | 2,000万円 | 4,000万円 | 5,400万円 |
| 5人 | 2,500万円 | 2,500万円 | 5,000万円 | 6,000万円 |
表の見方:保険と退職金は別枠なので、両方ある場合は4列目の額まで課税価格から外れます。
計算ロジック:法定相続人の数には相続放棄した人も含めます。養子は実子がいれば1人まで、いなければ2人までを数に入れます。基礎控除の人数の数え方と同じです。
相続放棄をした場合の扱いは、下記の記事で解説しています。

生命保険・死亡退職金ともに、非課税限度額の計算式は同じです。非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数「法定相続人の数」の数え方には以下のルールがあります。
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 相続放棄した人の扱い | 相続放棄しても法定相続人の数に含めてカウントする |
| 養子のカウント | 実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人まで |
| 代襲相続人 | 被相続人より先に亡くなった子に子(孫)がいる場合、その孫をカウント |
たとえば、法定相続人が配偶者・子2人(合計3人)のケースでは、生命保険の非課税枠は1,500万円、退職金の非課税枠も1,500万円、合計3,000万円まで非課税になります。
相続放棄した人も法定相続人の数に含まれます。子の一人が相続放棄しても、非課税枠の計算では法定相続人として数えるため、基礎控除・非課税枠ともに有利に働きます。
2つの枠はそれぞれ独立して当たるので、足して使えます。法定相続人3人で、生命保険金2,000万円・死亡退職金1,000万円を受け取った場合を表にします。
| 受け取った額 | 非課税枠 | 課税対象になる額 | |
|---|---|---|---|
| 生命保険金 | 2,000万円 | 1,500万円 | 500万円 |
| 死亡退職金 | 1,000万円 | 1,500万円 | 0円(全額が枠内) |
| 合計 | 3,000万円 | 3,000万円 | 500万円 |
表の見方:枠は合わせて3,000万円ありますが、課税対象に残るのは生命保険の超過分500万円だけです。
重要ポイント:退職金の枠が1,500万円余っていますが、この余りを生命保険に回すことはできません。枠は財産の種類ごとに別々に判定します。
計算ロジック:非課税枠は「500万円×法定相続人の数」です。相続人3人なら各1,500万円で、生命保険は2,000万円−1,500万円=500万円、退職金は1,000万円が枠内に収まるため0円になります。
どちらか一方に寄せるより、両方に分けて受け取れるようにしておくほうが枠を使い切れます。ただし死亡退職金は勤務先の規程で決まるもので、相続人側で額を調整できるものではありません。
参照元:国税庁 No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金
生命保険金の申告が要るかどうかは、下記の記事で解説しています。

生命保険金の非課税枠を使えるのは相続人が受け取った分だけです(相続税法12条1項6号)。
| 受取人 | 非課税枠 | 2割加算 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 配偶者 | 使える | なし | 枠のうえに配偶者の税額軽減も使える |
| 子(相続人) | 使える | なし | 枠を按分して使える |
| 孫(代襲相続人でない) | 使えない | あり | 全額が課税対象で、税額が1.2倍になる |
| 孫(代襲相続人) | 使える | なし | 相続人なので枠を使える |
| 相続放棄した子 | 使えない | なし | 保険金は受け取れるが枠は使えない |
| 内縁のパートナー | 使えない | あり | 相続人ではないため枠の対象外 |
表の見方:3行目と6行目が最も重い形です。枠が使えないうえに2割加算までかかります。
重要ポイント:相続放棄をしても保険金は受け取れますが、非課税枠は使えなくなります。ただし法定相続人の数には放棄した人も入るため、ほかの相続人の枠は減りません。
受取人を孫にすると節税になると聞くことがありますが、相続税の面では逆です。
誰が保険金を受け取るかで変わる税金は、下記の記事で解説しています。

参照元:国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
保険金や死亡退職金の扱いは、下記の記事で解説しています。

生命保険の非課税枠の使い方は、下記の記事で解説しています。

生命保険の非課税枠を最大限に活用するために、受取人の設定は慎重に行う必要があります。
| 受取人の設定 | 非課税枠 | 注意点 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 適用あり | 配偶者の税額軽減と組み合わせると更に有利 |
| 子(複数人) | 適用あり(各人が受け取った分の合計額で判定) | 受取人を分散することも可能 |
| 孫(法定相続人でない) | 適用なし | 全額課税+2割加算のリスクあり |
| 「法定相続人」と包括指定 | 適用あり | 相続発生時点の法定相続人全員が対象 |
受取人を「法定相続人」と包括的に指定すると、相続発生時点で生存している法定相続人全員が対象になります。具体的な氏名指定より柔軟に対応できるため、受取人設定の一つの選択肢です。

非課税財産を実際の相続でどう活用できるか、5つのパターンで節税効果を試算します。
財産の規模ごとの税額は、下記の記事で解説しています。

なお、すべて概算であり個別の事情によって異なります。
前提条件
前提条件
節税効果の計算
| 項目 | 対策前 | 対策後 |
|---|---|---|
| 課税対象の相続財産 | 5,000万円 | 4,400万円(600万円分が非課税化) |
| 基礎控除 | 3,600万円 | 3,600万円 |
| 課税遺産総額 | 1,400万円 | 800万円 |
| 相続税(概算) | 160万円 | 80万円 |
| 節税効果 | — | 約80万円の節税 |
墓地・仏壇への600万円の投資で、約80万円の相続税を節税できます。
「祭祀財産の購入は一石二鳥の節税対策」といわれる理由がここにあります。生前に購入することで課税財産が減り、かつ家族の供養の準備も整います。節税を考える際は早めに購入することが重要です。
前提条件
節税効果の計算
| 項目 | 対策前(現金4,200万円) | 対策後(現金3,700万円+保険500万円) |
|---|---|---|
| 課税対象の相続財産 | 4,200万円 | 3,700万円(保険金は非課税枠内) |
| 基礎控除 | 3,600万円 | 3,600万円 |
| 課税遺産総額 | 600万円 | 100万円 |
| 相続税(概算) | 60万円 | 10万円 |
| 節税効果 | — | 約50万円の節税 |
現金500万円を生命保険に変えるだけで、相続税を50万円節税できます。生命保険への加入は「現金を非課税財産に変換する最もシンプルな節税手段」です。高齢でも加入できる一時払い終身保険を活用することで、相続税対策を手軽に実施できます。
退職金と生命保険の非課税枠はそれぞれ独立しているので、両方を使えます。現金4,000万円・死亡退職金3,000万円・生命保険金2,000万円、相続人が配偶者と子2人のケースで試算します。
| 退職金 | 生命保険金 | 現金 | 課税価格 | 相続税の総額 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 両方の枠を使った | 1,500万円 | 500万円 | 4,000万円 | 6,000万円 | 120万円 |
| 枠がなかった場合 | 3,000万円 | 2,000万円 | 4,000万円 | 9,000万円 | 480万円 |
表の見方:退職金と生命保険それぞれに1,500万円の枠があるので、合わせて3,000万円が課税価格から外れます。相続税の総額は360万円変わります。
計算ロジック:非課税枠は「500万円×法定相続人の数」で、相続人3人なら1,500万円です。退職金3,000万円−1,500万円=1,500万円、保険金2,000万円−1,500万円=500万円が課税対象です。基礎控除は4,800万円です。
重要ポイント:2つの枠は合算されません。退職金の枠が余っても生命保険には回せません。退職金が枠を下回る場合、余った分は使い道がない点に注意してください。
参照元:国税庁 No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金
相続した財産を申告期限までに国・地方公共団体・特定の公益法人・認定NPO法人へ寄付すると、その分は課税価格に入りません。財産5,000万円・相続人が子1人のケースで試算します。基礎控除は3,600万円です。
| 寄付した額 | 課税価格 | 相続税 | |
|---|---|---|---|
| 寄付しない | — | 5,000万円 | 160万円 |
| 基礎控除を超える分を寄付 | 1,400万円 | 3,600万円 | 0万円 |
表の見方:基礎控除を超えている1,400万円を寄付すると課税価格が基礎控除と同額になり、相続税は0円です。
計算ロジック:基礎控除は3,000万円+600万円×1人=3,600万円です。課税価格5,000万円から1,400万円を引くと3,600万円になり、基礎控除以下なので税額は0円になります。
重要ポイント:財産そのものは手元に残りません。税を減らすために寄付するのは割に合いません。寄付する意思がもともとある場合に、その実行を申告期限内に置くという使い方です。
寄付で非課税にならないケース
寄付先が要件を満たすかは、先に確認してください。
参照元:国税庁 No.4141 相続財産を公益法人などに寄附したとき
前提条件
非課税枠・節税の積み重ね計算
| 対策の種類 | 節税効果(課税財産の減額) |
|---|---|
| 墓地・仏壇の生前購入(400万円) | 課税財産を400万円削減 |
| 退職金の非課税枠(500万円×2人) | 退職金2,000万円のうち1,000万円が非課税 |
| 生命保険の非課税枠(500万円×2人) | 生命保険1,500万円のうち1,000万円が非課税 |
課税財産の計算
対策なしの場合(8,500万円課税対象)
複数の非課税枠を組み合わせることで、約300万円の節税が実現します。複数の非課税枠を組み合わせる節税は、それぞれ単独で見ると小さな効果でも積み重ねると大きな節税になります。生前対策は早期に複数の手段を組み合わせることが重要です。

非課税財産に関連する申告書は、相続税申告書のどの表に記載するかが決まっています。
記載箇所を間違えると、非課税枠が正しく反映されないため注意が必要です。
申告書のどの表に何を書くかは、下記の記事で解説しています。

生命保険金を受け取った場合は、相続税申告書の「第9表 生命保険金などの明細書」に記載します。
| 記載項目 | 内容 |
|---|---|
| 保険会社名・保険種類 | 保険証券に記載された内容 |
| 保険金の受取人 | 実際に受け取った相続人の氏名 |
| 受取金額 | 実際に受け取った金額 |
| 非課税金額 | 「500万円×法定相続人数」で計算した非課税枠内の金額 |
| 課税対象金額 | 受取金額から非課税金額を差し引いた金額 |
必要な添付書類
複数の生命保険から保険金を受け取った場合は、すべての保険を第9表に記載します。記載漏れがあると非課税枠が正しく計算されないため、保険証券を全て確認することが必要です。
死亡退職金を受け取った場合は、相続税申告書の「第10表 退職手当金などの明細書」に記載します。
| 記載項目 | 内容 |
|---|---|
| 支払者(会社名等) | 退職金を支払った会社・法人の名称 |
| 受取人 | 退職金を受け取った相続人の氏名 |
| 支給確定日 | 退職金の支給額が確定した日 |
| 受取金額 | 実際に受け取った退職金の金額 |
| 非課税金額 | 「500万円×法定相続人数」内の非課税額 |
必要な添付書類
死亡後3年を超えて支給が確定した退職金は相続税ではなく所得税の対象になります。支給確定の時期を必ず確認してから第10表に記載することが重要です。
相続財産を公益法人等に寄付して非課税を受ける場合は、相続税申告書の「第14表 純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額及び特定贈与財産価額の明細書」等に記載が必要です。
また、「相続財産の寄附に関する非課税申告書」(措置法第70条関係)を別途作成します。
必要な添付書類
寄付の非課税申告書は様式が複雑で、添付書類の収集にも時間がかかります。申告期限(10か月)内に確実に完了させるため、相続発生後は早めに税理士に相談することが必要です。

非課税財産に関連する申告ミスは、過少申告・過大申告の両方向で発生します。
申告漏れが税務署に把握される経路は、下記の記事で解説しています。

よくある注意点を3つ確認しておきましょう。
「非課税財産だから申告書に書かなくていい」と判断すると、大きなミスにつながります。生命保険の非課税枠・退職金の非課税枠・寄付の非課税規定は、いずれも申告書への記載が条件です。
| 非課税の種類 | 申告の要否 | 申告しなかった場合 |
|---|---|---|
| 墓地・仏壇(祭祀財産) | 原則不要 | 相続財産に含めなくてOK |
| 生命保険金の非課税枠 | 第9表への記載が必要 | 非課税枠が認められず全額課税になる |
| 死亡退職金の非課税枠 | 第10表への記載が必要 | 同上 |
| 公益法人への寄付 | 非課税申告書の提出が必要 | 課税対象となり相続税が発生 |
非課税枠を適用するためには申告が必須です。「非課税だから申告不要」という思い込みで申告を怠ると、本来使えた非課税枠が認められず、相続税を余分に支払うことになります。
公益法人への寄付による非課税は、「相続税の申告期限(被相続人が亡くなったことを知った翌日から10か月以内)までに寄付を完了させること」が条件です。申告期限内に寄付を完了するためのスケジュール目安は以下の通りです。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 相続発生直後(1か月以内) | 寄付先の法人が「特定の法人」要件を満たすか確認 |
| 2〜4か月目 | 寄付する財産・金額を決定。寄付先との交渉・合意 |
| 5〜8か月目 | 寄付の実行・受領証の取得 |
| 9〜10か月目 | 相続税申告書の作成・提出 |
申告期限の1日でも過ぎた場合、寄付の非課税規定は適用されません。寄付を検討している場合は、相続発生後すぐに手続きを開始することが必要です。
非課税財産の扱いを誤った場合、以下のようなペナルティが発生する場合があります。
| 誤りのパターン | 発生するリスク |
|---|---|
| 課税対象の財産を非課税として申告した | 過少申告→修正申告・過少申告加算税(10〜15%) |
| 生命保険金の非課税枠を過大に計上した | 過少申告→修正申告・追徴税額が発生 |
| 非課税枠の申告漏れで全額課税された | 本来使えた非課税枠分の相続税を余分に支払う |
| 要件を満たさない財産を非課税扱いした | 税務調査で指摘→本税+加算税+延滞税 |
非課税財産の判定ミスは申告後の税務調査でも指摘されます。特に骨董的価値のある仏具や、受取人設定が複雑な生命保険は判断が難しいため、申告前に税理士にチェックしてもらうことが重要です。

非課税財産は「当てはまるかどうか」を判定する仕事です。判定を1つ落とすだけで納める額が変わります。しかも落としたことに気づく機会がありません。税務調査で指摘されるのは課税漏れのほうで、使えたはずの枠を使わなかったことは誰も教えてくれないからです。
非課税財産の判定は、条文と通達を当てはめる作業です。「日常礼拝用か」「受取人は相続人か」で結論が変わります。
相続税の対応実績がある税理士に相談する理由
例を出します。課税価格6,000万円、相続人が配偶者と子2人のケースです。生命保険金2,000万円の非課税枠1,500万円を第9表に書き忘れると、課税価格は7,500万円になります。
| 課税価格 | 相続税の総額 | |
|---|---|---|
| 非課税枠を申告書に反映した | 6,000万円 | 120万円 |
| 第9表に書き忘れた | 7,500万円 | 288万円 |
書き忘れただけで168万円の差です。
計算ロジック:基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万円です。非課税枠1,500万円が課税価格に戻ると、相続税の総額は120万円から288万円に上がります。
参照元:国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
見積りを並べると報酬額が比べられますが、差が出るのは判定の根拠を示せるかどうかです。次の3点を各事務所に同じ質問で聞いて、答えを突き合わせてください。
判定ポイント1:非課税枠の洗い出しを何で確認するか
「使える非課税枠はどうやって確認しますか」と聞きます。A事務所は「保険証券を見ます」、B事務所は「保険証券に加えて、支払通知書と退職金の支給決定日、祭祀財産の有無まで確認します」という答えでした。
→ B事務所の方が、枠の取りこぼしが起きにくいと判定できます。
判定ポイント2:仏具の判定の根拠を言えるか
「高額な仏具があるのですが、非課税になりますか」と聞きます。A事務所は「たぶん大丈夫です」、B事務所は「相続税法基本通達12-2で、投資の対象として所有しているものは外れます。使用状況を確認させてください」という答えでした。
→ B事務所の方が、税務署に説明できる形で申告すると判定できます。
判定ポイント3:受取人の設定まで見るか
「生命保険の受取人が孫になっているのですが」と聞きます。A事務所は「そのまま申告します」、B事務所は「孫は相続人ではないので非課税枠が使えません。2割加算もかかります」と即答しました。
→ B事務所の方が、枠が消える形に気づけると判定できます。
非課税財産の判定は、間違えても税務署から連絡が来ないほうに倒れることがあります。
1つの事務所だけで、あるいは自分だけで進めたときに起きること
上の試算のとおり、枠を1つ落とすだけで168万円動きます。複数の事務所に同じ資料を渡せば、どこを見ているかの差が見えます。
重要ポイント:比べるのは報酬額だけではありません。「枠の洗い出しを何で確認するか」「仏具の判定の根拠を言えるか」「受取人の設定まで見るか」の3点を同じ質問で聞いてください。
申し込みから依頼先を決めるまでは、相続開始から7ヶ月以内に終えるのが目安です。
相続の概要を整理する
財産の種類と概算額、相続人の人数と続柄、遺言の有無を書き出します。生命保険と退職金は、保険会社名・金額・受取人まで控えておきます。
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一括相談・見積りサービスに依頼する
フォームに「相続税申告」などの希望内容を書き、複数の税理士(目安3〜5の事務所)への同時打診を依頼します。不動産があれば所在地と広さも記載します。
財産の種類と相続人の人数はできるだけ正確に伝えてください。記入自体は5分程度です。
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見積りと初回相談を受ける
各事務所から提案内容・試算した相続税額・報酬額が届きます。気になった事務所と初回相談を行い、非課税枠の洗い出し方を確認します。
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税理士を選定・正式依頼する
提案内容の質・説明の丁寧さ・報酬の納得性で選びます。相続開始から7ヶ月以内に決めておくと、申告期限までの段取りに余裕が残ります。
聞く順番より、同じ質問をすべての事務所に投げて答えを並べることが大事です。
初回相談で確認すること
見積書は総額が書面で出ているかを最優先で確かめてください。基本報酬だけ安く、加算報酬で膨らむ形が見分けにくい部分です。
見積書で確認すること
報酬の相場そのものを確かめたい場合は、下記の記事で解説しています。

相続税の対応実績をどう見分けるかは、下記の記事で解説しています。

はい。被相続人が生前に買って日常の礼拝に使っていた墓地・仏壇・仏具は、相続のときに非課税財産として扱われます。
ただし骨とう的な価値があるものや、投資の対象として持っていたものは課税されます(相続税法基本通達12-2)。
孫が法定相続人でない場合、生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人数)は適用されません。また、孫が受け取る場合は相続税の2割加算も発生します。孫を受取人にすることで節税になるとは限らないため、受取人設定は税理士に相談したうえで決めることを推奨します。
いいえ、2つの非課税枠は独立して適用されます。退職金の非課税枠「500万円×法定相続人数」と、生命保険金の非課税枠「500万円×法定相続人数」はそれぞれ別々に計算されます。法定相続人が3人の場合、合計で最大3,000万円まで非課税になります。
いいえ、条件があります。①申告期限(10か月)内に寄付を完了させること、②寄付先が国・地方公共団体・認定NPO法人等の「特定の法人」であることが条件です。一般社団法人・任意団体・政治団体への寄付は非課税になりません。寄付前に寄付先の要件を必ず確認してください。
墓地・仏壇・祭具などの祭祀財産は、原則として申告書に書く必要がありません。
一方で生命保険金(第9表)と死亡退職金(第10表)は、非課税枠を使うために申告書への記載が要ります。
非課税財産の8種類を正確に把握する
グレーゾーンと申告上の注意点
節税効果を最大化するための行動
今すぐ取るべき行動
※本記事は2026年6月時点の法令・税率に基づいて作成しています。税制は改正されることがありますので、申告前には必ず税理士または税務署へご確認ください。本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談に代わるものではありません。