法人税の節税対策には「損金を増やして課税所得を圧縮する方法」と「税額控除で法人税額を直接減らす方法」の2つのアプローチがあります。
しかし、節税対策にはその効果が「一時的に税の支払いを先送りするもの(繰延型)」と「恒久的に税負担を減らすもの(永久型)」の2種類があり、この区別を理解せずに対策を実行すると、翌期以降にかえって税負担が増えるケースもあります。
さらに、節税対策には「お金の支出を伴うもの」と「支出を伴わずに経理処理の見直しだけで効果が出るもの」があります。
手元資金を減らしてまで行う節税は本末転倒になりかねないため、自社の資金繰りに合った対策を選ぶことが重要です。
本記事では、法人税の節税対策18選を「繰延型/永久型」×「出費あり/出費なし」の2軸で分類し、各対策の年間節税効果の金額目安、実行タイミング、リスク・注意点を明示。さらに2026年度の最新税制改正を反映し、所得規模別のおすすめ節税パッケージも紹介します。
この記事の要点
- 法人税の節税は「繰延型(税の先送り)」と「永久型(恒久的な税削減)」の2種類を区別して実行する
- 各対策に節税効果の金額目安を明示。出費を伴う対策と伴わない対策を整理し、資金繰りに合った選択を
- 2026年度最新の税制改正を反映。少額減価償却資産の特例は40万円未満に引上げ、賃上げ促進税制は要件厳格化
法人税の節税対策の基本|2つのアプローチと2つのタイプ

節税の2つのアプローチ:「損金を増やす」と「税額控除を使う」
法人税の計算式は「課税所得×税率−税額控除=法人税額」です。この式から分かるとおり、法人税を減らすアプローチは2つあります。
①損金を増やして課税所得を圧縮する:経費(損金)を適正に計上することで課税所得を減らし、結果として法人税額が下がります。本記事の対策①〜⑮がこのアプローチです。
②税額控除で法人税額を直接減らす:課税所得はそのままで、計算された法人税額から一定額を差し引く方法です。本記事の対策⑯〜⑱がこのアプローチです。税額控除は法人税額そのものを減らすため、節税効果が非常に大きい点が特徴です。
繰延型と永久型の違い|税の先送りか、恒久的な削減か
繰延型は、今期の税負担を減らすものの、将来のいずれかの時点で同額の税負担が発生する節税対策です。
たとえば、経営セーフティ共済の掛金は全額損金になりますが、解約時には解約手当金が全額益金に算入されるため、トータルの税負担は変わりません。
繰延型は「税の先送り」であり、資金繰りの改善やキャッシュフローの調整に有効です。
永久型は、将来にわたって税負担が恒久的に減少する節税対策です。たとえば、賃上げ促進税制による税額控除は、控除した分だけ法人税が永久に減り、将来の反動はありません。永久型は「真の節税」であり、繰延型よりも優先的に検討すべきです。
「出費を伴う節税」と「出費を伴わない節税」の区別
節税対策にはお金の支出を伴うものと伴わないものがあります。
たとえば、決算賞与の支給は現金の支出を伴いますが、未払費用の漏れなき計上は経理処理の見直しだけで効果が出ます。出費を伴わない対策を先に実行し、その後に出費を伴う対策を検討するのが合理的な順序です。
節税と脱税・租税回避の違い
節税は税法で認められたルールの範囲内で税負担を軽減する合法的な行為です。脱税は所得の隠蔽や虚偽申告により税負担を不正に免れる違法行為です。
租税回避は形式的には合法でも、税法の趣旨に反する不自然な取引で税負担を免れる行為であり、税務署から否認されるリスクがあります。本記事で紹介する対策はすべて適法な節税です。
【一覧表】法人税の節税対策18選を繰延型/永久型×出費あり/なしで分類
全18対策の分類一覧表
| # | 対策名 | タイプ | 出費 | 節税効果の目安(年間) | 実行タイミング |
|---|---|---|---|---|---|
| ① | 不良資産・不良在庫の処分 | 永久型 | なし | 処分額×税率(数万〜数百万円) | 決算前 |
| ② | 未払費用・未払金の漏れなき計上 | 永久型 | なし | 計上額×税率(数万〜数十万円) | 決算前 |
| ③ | 欠損金の繰越控除(最大10年間) | 永久型 | なし | 繰越額×税率(数十万〜数千万円) | 確定申告時 |
| ④ | 欠損金の繰り戻し還付 | 永久型 | なし | 前期法人税額の範囲内 | 確定申告時 |
| ⑤ | 貸倒損失・貸倒引当金の計上 | 永久型 | なし | 計上額×税率 | 決算前 |
| ⑥ | 役員報酬の最適化 | 永久型 | あり | 法人税と所得税のバランスで数十万円 | 期初(期首3ヶ月以内) |
| ⑦ | 決算賞与の支給 | 永久型 | あり | 支給額×税率(数十万〜数百万円) | 決算前 |
| ⑧ | 社宅制度の導入 | 永久型 | あり | 年間数十万〜100万円超 | 期中いつでも |
| ⑨ | 旅費日当の経費計上 | 永久型 | あり | 日当額×出張日数×税率 | 期中いつでも |
| ⑩ | 少額減価償却資産の特例 | 繰延型 | あり | 年間最大300万円×税率(約70万円) | 期中〜決算前 |
| ⑪ | 中小企業投資促進税制 | 繰延型/永久型 | あり | 取得額の7%(税額控除)or 30%(特別償却) | 期中 |
| ⑫ | 退職金制度の整備 | 永久型 | あり | 退職金額×税率(数十万〜数千万円) | 退職時 |
| ⑬ | 経営セーフティ共済 | 繰延型 | あり | 年間最大240万円×税率(約55万円) | 期中いつでも |
| ⑭ | 小規模企業共済 | 永久型 | あり | 年間最大84万円の所得控除(個人の節税) | 期中いつでも |
| ⑮ | 法人向け生命保険 | 繰延型 | あり | 保険料×損金算入割合×税率 | 期中いつでも |
| ⑯ | 賃上げ促進税制 | 永久型 | あり | 給与増加額の最大45%を税額控除 | 期中(賃上げ実施時) |
| ⑰ | 研究開発税制 | 永久型 | あり | 試験研究費の最大14%を税額控除 | 期中 |
| ⑱ | 企業版ふるさと納税 | 永久型 | あり | 寄附額の最大約9割を軽減 | 期中いつでも |
【出費なしで効果が出る節税対策】経理処理の見直し5選

まずはお金の支出を伴わずに、経理処理の見直しや資産の整理だけで効果が出る対策を5つ紹介します。これらは手元資金を減らさずに節税できるため、最優先で検討してください。
対策①:不良資産・不良在庫の処分(除却損・評価損の計上)
使っていない固定資産や売れ残りの在庫はありませんか?不要な固定資産を除却(廃棄)すれば除却損を、売却すれば売却損を損金に計上できます。
また、商品価値が下がった在庫は評価損として損金計上が可能です。帳簿上に眠っている不良資産を整理するだけで、課税所得を圧縮できます。
節税効果の目安:帳簿価額100万円の固定資産を除却→100万円×法人税率23.2%=約23万円の節税
実行タイミング:決算前がベスト。年度末に資産を棚卸しして不良資産を洗い出す
対策②:未払費用・未払金の漏れなき計上
当期中に発生した費用で、支払いが翌期になるもの(月末締め翌月払いのリース料、通信費、水道光熱費、当月分翌月払いの給与等)は、未払費用・未払金として当期の損金に計上できます。
これを漏らすと、本来計上できたはずの損金が翌期に回り、当期の課税所得が不必要に大きくなってしまいます。
節税効果の目安:未払計上漏れ50万円分を正しく計上→50万円×23.2%=約11.6万円の節税
実行タイミング:決算時に漏れがないかチェック
対策③:欠損金の繰越控除を最大限活用する(最大10年間)
過去の赤字(欠損金)は、翌期以降最大10年間にわたって繰り越し、将来の黒字の所得と相殺できます(参照:国税庁|No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除)。
青色申告が要件です。中小法人は所得の全額まで控除可能、大法人は所得の50%が控除限度です。
節税効果の目安:繰越欠損金500万円を当期の所得と相殺→500万円×23.2%=約116万円の節税
実行タイミング:確定申告時に適用(過去の赤字を確定申告書に反映)
対策④:欠損金の繰り戻し還付(前期の法人税を取り戻す)
当期が赤字になった場合、前期に納付した法人税の一部を取り戻すことができる制度です。
前期が黒字で法人税を納付しており、当期が赤字(欠損金が発生)の場合に適用できます。青色申告の中小法人等が対象です。
節税効果の目安:前期の法人税額を上限として還付
実行タイミング:確定申告時に還付請求
対策⑤:貸倒損失・貸倒引当金の適切な計上
回収不能の売掛金や貸付金がある場合、貸倒損失として損金に計上できます。
また、中小法人は期末の売掛金等の5.5%を一括評価による貸倒引当金として損金算入できます。回収困難な債権を放置していると、課税所得だけが膨らんでしまいます。
節税効果の目安:売掛金1,000万円の5.5%=55万円の引当金計上→55万円×23.2%=約12.8万円の節税
実行タイミング:決算時に債権の回収可能性を精査
【出費を伴うが事業成長にもつながる節税対策】7選

次に、お金の支出は伴うものの、事業の成長や従業員の満足度向上にもつながる節税対策を7つ紹介します。
対策⑥:役員報酬の最適化(定期同額給与の活用)
法人の所得と役員個人の所得のバランスを調整することで、法人税と所得税のトータルの税負担を最小化できます。役員報酬は定期同額給与(毎月同額を支給)の要件を満たせば全額損金に算入されます。
ただし、報酬を増やすと個人の所得税・社会保険料が増えるため、最適なバランスポイントを税理士と一緒に計算してください。
節税効果の目安:法人税率と所得税率のバランスにより年間数十万円の差
実行タイミング:期首から3ヶ月以内に株主総会で決定。期中の変更は原則不可
注意点:株主総会議事録の作成・保管が必須。過大な役員報酬は損金不算入のリスク
対策⑦:決算賞与の支給(従業員のモチベーション向上にも)
決算で利益が出た場合、従業員に決算賞与を支給すると全額損金に算入できます。
決算日までに支給額を各人に通知し、決算日の翌日から1ヶ月以内に実際に支払うことが要件です。従業員のモチベーション向上と節税を同時に実現できます。
節税効果の目安:従業員10名に一律10万円支給=100万円×23.2%=約23万円の節税
実行タイミング:決算前(翌月1ヶ月以内に支給が必要)
注意点:通知要件と支給期限を厳守しないと損金不算入になる
対策⑧:社宅制度の導入(役員・従業員の住宅コスト軽減)
法人が賃貸物件を借り上げて役員や従業員に社宅として貸し出し、一定額以上の家賃を本人から徴収する場合、法人が負担する家賃と本人徴収額の差額を損金に算入できます。
役員・従業員は家賃補助を現物で受けられるため、双方にメリットがあります。
節税効果の目安:月額家賃15万円の物件で本人負担3万円の場合→年間(15万−3万)×12ヶ月=144万円の損金計上→約33万円の節税
実行タイミング:期中いつでも導入可能
対策⑨:旅費日当の経費計上(出張旅費規程の整備)
出張旅費規程を整備し、出張時の旅費日当を支給すると、法人は損金に算入でき、受け取る側は所得税が非課税になります。
個人事業主は事業主本人の旅費日当を経費にできませんが、法人であれば経営者自身の旅費日当も経費計上が可能です。
節税効果の目安:日当5,000円×月3回出張×12ヶ月=18万円→18万円×23.2%=約4.2万円の節税
実行タイミング:旅費規程の整備後、期中いつでも
対策⑩:少額減価償却資産の特例(2026年度から40万円未満に引上げ)
中小企業者等は、取得価額30万円未満(2026年度税制改正により40万円未満に引上げ予定)の減価償却資産を年間合計300万円まで全額損金に算入できます(参照:国税庁|No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)。
パソコンやオフィス家具の購入を決算前にまとめて行う方法が典型的です。
節税効果の目安:年間300万円を全額損金計上→300万円×23.2%=約70万円の節税
実行タイミング:期中〜決算前
注意点:繰延型の要素あり(本来数年で償却する資産を初年度に一括計上するため)
対策⑪:中小企業投資促進税制の活用(7%税額控除or30%特別償却)
中小企業者等が一定の機械装置や器具備品を取得した場合、取得価額の7%の税額控除または30%の特別償却が適用できます(参照:国税庁|No.5433 中小企業投資促進税制)。
税額控除を選べば永久型の節税、特別償却を選べば繰延型の節税になります。
節税効果の目安:1,000万円の機械装置を取得→7%の税額控除なら70万円の法人税削減
実行タイミング:設備投資のタイミングに合わせて期中に実行
対策⑫:退職金制度の整備(全額損金算入+分離課税)
役員・従業員に支給する退職金は全額損金に算入できます。受け取る側も退職所得控除と1/2課税により税負担が大幅に軽減されるため、法人・個人双方にとって税務上のメリットが大きい制度です。
中小企業退職金共済(中退共)を活用すれば、掛金を損金にしつつ退職金を計画的に準備できます。
節税効果の目安:退職金2,000万円を損金計上→2,000万円×23.2%=約464万円の節税
実行タイミング:退職時に支給(退職金規程は事前に整備)
【将来の備えと節税を両立する共済・保険の活用】3選

共済や保険は、将来のリスクに備えながら掛金を損金算入できる「守りの節税」です。ただし、解約時や保険金受取時に益金が発生する繰延型の性質が強い点に注意してください。
対策⑬:経営セーフティ共済(年間最大240万円を全額損金算入)
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、取引先の倒産に備えた制度ですが、掛金が全額損金算入できるため節税手段として広く活用されています。
月額5,000円〜20万円の範囲で自由に設定でき、年間最大240万円を損金にできます。掛金総額の上限は800万円です。
節税効果の目安:年間240万円の掛金→240万円×23.2%=約55.7万円の節税
実行タイミング:期中いつでも加入・変更可能
注意点(繰延型):解約時の解約手当金は全額益金に算入されるため、赤字の事業年度や退職金の支給時期に合わせて解約する「出口戦略」が必要。40ヶ月以上加入すれば掛金の100%が戻ります
対策⑭:小規模企業共済(経営者個人の節税+退職金準備)
小規模企業共済は、経営者個人の退職金準備のための制度です。掛金は月額1,000円〜7万円の範囲で設定でき、年間最大84万円が経営者個人の所得から全額所得控除されます。
法人の損金ではなく個人の所得控除である点に注意してください。法人で加入するのではなく、経営者個人が加入する制度です。
節税効果の目安:年間84万円の所得控除→所得税率33%の場合で約27.7万円の個人の節税
実行タイミング:期中いつでも加入可能
対策⑮:法人向け生命保険の活用と2019年以降の注意点
法人が契約者・受取人となる生命保険の保険料は、保険の種類によって全額または一部が損金に算入できます。
ただし、2019年の税制改正により、最高解約返戻率が50%超の保険は損金算入割合が制限されるようになりました。
節税目的だけで加入するとキャッシュアウトが大きくなるため、事業保障のニーズと併せて慎重に検討してください。
節税効果の目安:保険料×損金算入割合×法人税率(保険の種類により大きく異なる)
実行タイミング:期中いつでも加入可能
注意点(繰延型):解約返戻金や保険金受取時に益金が発生する。出口戦略が不可欠
【税額控除で法人税を直接減らす】3選

税額控除は、課税所得ではなく法人税額そのものを直接減らすため、永久型の節税効果が得られます。適用要件を満たす場合は最優先で活用してください。
対策⑯:賃上げ促進税制(最大45%の税額控除・2026年度の要件変更に注意)
前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税額から直接控除できる制度です。
中小企業は増加額の最大45%の税額控除が可能です。2024年度改正で5年間の繰越控除制度も導入されました。
ただし、2026年度からは適用要件が厳格化され、原則適用の場合の賃上げ率が3%→4%に、上乗せ適用は4%→5%・6%に引き上げられる予定です。最新の要件を確認のうえ活用してください。
節税効果の目安:給与増加額500万円×税額控除率45%=最大225万円の法人税削減
実行タイミング:賃上げ実施時(期中)。確定申告で税額控除を適用
対策⑰:研究開発税制(試験研究費の最大14%を税額控除)
法人が支出した試験研究費の一定割合を法人税額から控除できる制度です。
税額控除率は試験研究費の増減に応じて変動し、最大14%(中小企業は最大17%)の控除が受けられます。控除限度額は法人税額の25%(一定の場合は上乗せあり)です。
節税効果の目安:試験研究費1,000万円×税額控除率10%=100万円の法人税削減
実行タイミング:期中(研究開発の支出時)。確定申告で適用
対策⑱:企業版ふるさと納税(寄附額の最大約9割を軽減)
企業版ふるさと納税は、地方自治体の地方創生プロジェクトに寄附した場合、法人税・法人住民税・法人事業税から寄附額の最大約9割が軽減される制度です。
実質的な自己負担は寄附額の約1割で済むため、地域貢献と節税を両立できます。寄附額の下限は10万円からです。
節税効果の目安:100万円の寄附→最大約90万円の税軽減(実質負担約10万円)
実行タイミング:期中いつでも寄附可能
【所得規模別】おすすめ節税パッケージ

自社の所得規模に合わせて、優先的に取り組むべき節税対策を整理します。
所得800万円以下の法人:まず取り組むべき5つの対策
所得800万円以下の法人は軽減税率15%が適用されるため、節税効果の金額は比較的小さくなりますが、資金繰りの改善が重要です。
まずは出費を伴わない対策を優先してください。
①未払費用の漏れなき計上 → ②不良資産の処分 → ③欠損金の繰越控除の活用 → ④役員報酬の最適化 → ⑤経営セーフティ共済の加入(余裕があれば)
所得800万〜3,000万円の法人:効果が大きい7つの対策
800万円超の所得には23.2%の税率が適用されるため、節税効果が大きくなります。出費を伴わない対策に加え、事業成長に直結する投資型の対策を組み合わせましょう。
①〜⑤の基本対策 + ⑥決算賞与の支給 → ⑦社宅制度の導入 → ⑧少額減価償却資産の特例 → ⑨経営セーフティ共済のフル活用(月額20万円) → ⑩賃上げ促進税制の活用 → ⑪中小企業投資促進税制の活用
所得3,000万円超の法人:税額控除・制度活用をフル活用
所得3,000万円超の法人は年間の法人税負担が大きいため、税額控除制度をフル活用して法人税額を直接減らすことが最も効果的です。
①〜⑪の全対策 + ⑫賃上げ促進税制の最大45%控除を狙う → ⑬研究開発税制(該当する場合) → ⑭企業版ふるさと納税 → ⑮退職金制度の整備 → ⑯法人向け生命保険(事業保障を兼ねて)
やってはいけない節税対策|リスクと注意点

過度な節税で手元資金を減らすのは本末転倒
「税金を減らすために経費を使う」発想で不要な支出を増やすと、節税額以上に手元資金が減少します。
たとえば100万円の不要な備品を購入して約23万円の節税ができても、手元資金は77万円減る計算です。必要な支出かどうかを先に判断し、必要な支出であれば節税メリットも享受するという順序が正しいアプローチです。
銀行融資への影響(利益圧縮→融資審査不利のリスク)
過度な節税で利益を圧縮すると、銀行の融資審査で不利になるリスクがあります。銀行は決算書の利益をベースに融資判断を行うため、利益が少ない法人は返済能力が低いと判断される可能性があります。
融資を受ける予定がある場合は、節税と適正な利益計上のバランスを考慮してください。
税務調査で否認されやすい節税対策のパターン
以下のパターンは税務調査で否認されるリスクが高いため注意が必要です。
- 過大な役員報酬:業務内容や法人の収益規模に見合わない高額な役員報酬は損金不算入と判断される可能性
- 実態のない経費:業務との関連性が証明できない飲食費や交際費、架空の外注費
- 決算賞与の要件不備:支給日までに全員へ個別通知していない、1ヶ月以内に支給していない
- 親族への不相当な給与:業務実態のない親族への給与支払い
繰延型の「出口」を考えずに実行するリスク
経営セーフティ共済や生命保険など繰延型の対策は、解約時や保険金受取時に益金が発生します。
「入口(掛金の損金算入)」だけ考えて加入し、「出口(解約時の益金)」を考えていなければ、解約した期に大きな税負担が発生します。
繰延型の対策を実行する際は、出口のタイミング(赤字の年度、退職金支給の年度など)を事前に計画してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 法人税の節税対策にはどんな方法がありますか?
大きく分けて「損金を増やして課税所得を圧縮する方法」と「税額控除で法人税額を直接減らす方法」の2つがあります。
具体的には、役員報酬の最適化、決算賞与の支給、経営セーフティ共済の活用、少額減価償却資産の特例、賃上げ促進税制の活用など、本記事では18種類の対策を紹介しています。
Q2. 決算前でも間に合う節税対策はありますか?
あります。不良資産の処分、未払費用の漏れなき計上、決算賞与の支給、少額減価償却資産の即時償却などは、決算直前でも実行可能な対策です。
ただし、決算賞与は「決算日までに全員へ通知+翌月1ヶ月以内に支給」の要件を満たす必要があります。
Q3. 繰延型と永久型の節税はどちらがよいですか?
永久型が優先です。永久型は恒久的に税負担が減るのに対し、繰延型は将来の税負担が増える「先送り」にすぎません。
ただし、繰延型も資金繰りの調整には有効であるため、目的に応じて使い分けてください。繰延型を使う場合は、解約時の益金対策(出口戦略)を事前に計画することが重要です。
Q4. 法人税の節税で手元にお金を残すにはどうすればよいですか?
まずは「出費を伴わない節税」(未払費用の計上、不良資産の処分、欠損金の活用など)を優先してください。
次に、事業に必要な支出(設備投資、従業員への賞与、社宅など)を行いつつ、それが同時に節税にもなるかを確認するのが合理的な順序です。「節税のために不要な出費をする」のは本末転倒です。
Q5. 経営セーフティ共済は節税に効果的ですか?
短期的には効果的です。年間最大240万円を全額損金算入できるため、法人税率23.2%で約55万円の節税になります。
ただし、解約時の解約手当金は全額益金に算入されるため「繰延型」です。出口戦略(赤字の年度や退職金支給の年度に解約する等)を計画したうえで活用してください。
まとめ|法人税対策は「繰延型/永久型」×「出費あり/なし」で整理し、自社に合った方法を選ぶ
法人税の節税対策は、やみくもに数をこなすのではなく、自社の所得規模と資金繰りに合った対策を選び、正しい順序で実行することが重要です。
最後に、法人税対策の実践手順を整理します。
ステップ1:出費を伴わない対策を最優先で実行する
未払費用の計上漏れの修正、不良資産・不良在庫の処分、欠損金の繰越控除の活用は、手元資金を減らさずに課税所得を圧縮できます。まずはこれらに取り組んでください。
ステップ2:事業に必要な支出が節税にもなるかを確認する
設備投資、従業員への賞与、社宅制度、出張旅費規程の整備など、事業成長や従業員満足度向上に必要な支出を行いつつ、それが同時に節税メリットも生むかを確認しましょう。
ステップ3:税額控除制度をフル活用する
賃上げ促進税制、研究開発税制、企業版ふるさと納税など、法人税額を直接減らす永久型の税額控除は最も効果が大きい対策です。適用要件を満たす場合は積極的に活用してください。
※本記事の情報は2026年3月時点のものです。税制は毎年改正される可能性があるため、具体的な節税対策にあたっては最新の情報を確認し、税理士にご相談ください。



