相続税の税理士費用はいくら?依頼が必要なケースと料金相場をわかりやすく解説

相続_税理士_料金

相続が発生すると、遺産分割や名義変更など、短期間で多くの手続きを進める必要があります。特に「相続税の申告を税理士に頼むべきか」「費用はいくらかかるのか」という点は、多くの方が不安を感じる部分です。

この記事では、税理士費用の相場、料金が変動する要因、費用を抑えるポイント、税理士への依頼が必要なケースや不要なケースなどを体系的に解説します。

相続の現場で迷いやすい「お金と判断」の不透明さを、できる限り明確に整理していきます。

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目次

相続税申告にかかる税理士費用の相場

相続税申告の税理士報酬は、案件の複雑さや作業量に応じて個別に設定されるのが一般的です。

そのため、ホームページや広告に記載されている「◯万円〜」という料金はあくまで目安であり、実際の費用は財産の内容や作業範囲によって変動します。ここでは、税理士報酬の相場、構造と仕組みを詳しく解説します。

1. 基本報酬(ベースとなる料金)

相続税申告の中心となる費用であり、財産評価・税額計算・申告書作成・提出書類の整備などの標準業務を包括しています。

▪ 設定の基準

多くの事務所では、「遺産総額」や「相続人の人数」を基準に報酬テーブルを設けています。

遺産総額基本報酬の目安(税抜)
〜3,000万円約20万円前後
3,000万〜5,000万円約30〜40万円
5,000万〜1億円約50〜70万円
1億円以上約80万円〜100万円以上

▪ 含まれる主な業務

  • 相続財産目録の作成
  • 相続税の計算および申告書作成
  • 相続人ごとの税額計算
  • 税務署への申告書提出

この基本報酬はあくまで標準的な申告を前提としており、特殊財産が多い場合や期限が迫っている場合には、後述の加算報酬が適用されます。

2. 加算報酬(追加作業に対する費用)

基本報酬に含まれない特殊な作業や追加の負担に対して発生する費用です。金額設定は事務所により異なりますが、主な加算項目は以下の通りです。

加算項目目安金額内容の例
土地評価(1件あたり)+5万〜10万円路線価・倍率方式・評価減の算定
非上場株式の評価(1社)+15万〜20万円決算書分析・財産評価基準による計算
相続人追加(1名)+2万〜3万円配分計算や書類作成
相続放棄対応+3万円前後分割調整と書類整備
期限間際の特急対応+5万〜10万円申告期限1か月以内など
税務調査・照会対応+10万〜30万円税務署立会い・意見書作成

加算報酬は、財産構成が複雑な場合や作業量が増加する場合に発生します。契約前に、どのような条件で加算されるのかを必ず確認しましょう。

▪ 加算が発生しやすいケース

  • 不動産を複数所有し、評価方法が異なる場合
  • 農地・借地権など評価が難しい資産を含む場合
  • 株式や事業用資産など特殊な財産を含む場合
  • 遺産分割協議が未確定で仮申告を行う必要がある場合
  • 税務署からの照会・修正要請が想定される場合

3. 実費・日当など(経費的要素)

税理士報酬とは別に、交通費・郵送費・書類発行費などの実費が発生する場合があります。また、税務署や金融機関への出張・立会いには日当が加算されることもあります。

▪ 実費・日当の例

  • 税務署・金融機関への出張:1回あたり5,000〜10,000円前後
  • 書類取得・郵送費:数千円程度
  • 戸籍謄本・評価証明書などの発行手数料

これらの費用は見積書に含まれないこともあるため、契約前に「実費が別途発生するかどうか」を確認しておくと安心です。

4. 報酬の支払い時期と方法

支払い時期は事務所によって異なりますが、主に以下の2パターンがあります。

  • 着手金+残金方式: 着手時に半額、申告完了時に残金を支払う形式。
  • 完了時一括方式: 申告完了後に全額を支払う形式。

高額報酬となる場合(100万円超など)は、分割払いやクレジットカード決済に対応している事務所もあります。契約時に支払い方法を確認しておきましょう。

5. 料金設定の考え方(事務所ごとの違い)

同じ相続規模でも事務所ごとに報酬が異なる理由は、業務範囲や専門性の違いによるものです。代表的な違いは以下の通りです。

  • 業務範囲の広さ: 書類作成のみか、税務調査対応まで含むか
  • サポート体制: 専任担当制か、チーム制か
  • 専門性: 相続特化チームや経験豊富な税理士が在籍しているか
  • 効率化の度合い: オンライン対応や自動評価システムの有無

特に相続専門の事務所は、初回ヒアリング時に「財産構成シート」を用いて詳細見積もりを行うことが多く、正確な価格を提示する一方で、一般事務所よりやや高めの報酬設定になる傾向があります。

6. 契約時に確認しておくべきポイント

料金トラブルを防ぐために、契約前に以下の点を明確にしておくことが大切です。

  1. 基本報酬に含まれる業務内容
  2. 加算項目と加算額の基準(発生条件の明示)
  3. 実費や日当が別途請求されるかどうか
  4. 支払い時期・支払い方法の詳細
  5. 追加業務発生時の見積もり変更ルール

特に「見積もり金額が変わる条件」が曖昧な場合は、後から追加請求が発生しやすくなります。契約書または業務委託書に、報酬体系と加算条件を明文化してもらうことが重要です。

料金が変動する主な要因

相続税申告にかかる税理士費用は「一律料金」ではなく、財産の種類や相続人の状況、期限までの期間などによって大きく変動します。ここでは、料金が上下する代表的な要因を具体的に解説します。

1. 財産の種類と構成の複雑さ

税理士費用が最も変動しやすいのが、相続財産の中身です。単純に「遺産が多いほど高い」というよりも、評価が難しい財産をどれだけ含むかによって料金が大きく変わります。

▪ シンプルなケース

  • 預貯金・現金・少数の有価証券のみ
  • 不動産を保有していない
  • 特例や控除の適用が不要

このような場合は相続財産の評価が容易で、作業時間も短く済むため、費用を抑えやすくなります。

▪ 複雑なケース

  • 不動産が複数あり、土地の形状や用途が異なる
  • 農地・借地・私道・貸家建付地など評価減の検討が必要
  • 非上場株式や海外資産など、評価や資料収集が難しい財産を含む
  • 名義預金や生前贈与の確認が必要

こうしたケースでは、正確な評価のための調査や資料収集が増えるため、報酬が上がる傾向にあります。

2. 相続人の人数と関係性

相続人の数が多いほど、税理士が行う計算や書類作成の手間が増えます。各相続人への資料送付、同意書の作成、税額計算など、個別の対応が必要になるためです。

  • 相続人が少ない(1〜2人)→ 比較的単純で費用を抑えやすい
  • 相続人が多い(3人以上)→ 協議調整・確認作業が増加し、費用が上がる傾向

また、相続人間で意見が分かれている場合や分割協議が難航している場合も、調整やサポートに時間がかかり、追加費用が発生することがあります。

3. 申告期限までの残り期間

相続税申告の期限は相続開始から10か月以内です。期限が迫っているほど、税理士は短期間で評価・申告を行う必要があり、特急対応料金が加算されることがあります。

  • 期限まで6か月以上:通常料金
  • 期限まで3か月以内:特急対応(+10〜20%)の可能性
  • 期限まで1か月未満:緊急対応扱い(+30%前後)

直前依頼では資料の入手や評価作業が間に合わず、仮申告・修正申告が必要になるケースもあります。早めの相談が最も効果的なコスト削減策です。

4. 遺産分割協議の進捗状況

相続税の申告には、最終的な分割内容が確定している必要があります。遺産分割協議がまとまっていない場合は「未分割申告」となり、後日修正申告を行う必要があります。

この場合、再計算や再提出といった追加作業が発生し、報酬が上乗せされます。

  • 遺産分割がスムーズ → 標準料金で済む
  • 協議が未確定 → 修正・再申告対応分の費用が追加

また、協議書の作成支援や相続割合シミュレーションを依頼する場合も、オプションとして別途費用がかかる場合があります。

5. 税務調査・照会対応の有無

税務署からの照会や調査が行われた場合、税理士が立会いや説明を行うと別途報酬が発生します。これは通常の申告業務とは別枠として扱われます。

  • 照会対応:5万〜10万円程度
  • 税務調査立会い:10万〜30万円前後

相続税では、土地評価や名義預金の扱いを中心に税務署から確認が入ることが多く、リスクが高い案件ほどこの費用を見込んでおくと安心です。

6. 地域や事務所規模の違い

税理士報酬は地域ごとの物価や事務所規模によっても異なります。

  • 都市部(東京・大阪など): 人件費・家賃が高く、報酬も高め
  • 地方都市・郊外: 比較的リーズナブルな価格帯
  • 大手事務所: 専任体制や品質保証を含むためやや高め
  • 個人事務所: 柔軟かつ低価格に対応できる傾向

ただし、安い=質が低い、高い=質が高いとは限りません。説明の丁寧さと対応力を基準に選ぶことが大切です。

7. オプション業務の有無(包括的サポート)

事務所によっては、相続税申告以外の関連手続きをまとめてサポートする「包括型プラン」を提供していることもあります。これらを追加することで費用は上がります。

  • 遺産分割協議書の作成支援
  • 相続登記(司法書士との連携)
  • 二次相続のシミュレーション
  • 節税・贈与設計のアドバイス

単純な申告より費用は高くなりますが、将来を見据えたトータルサポートが受けられるというメリットがあります。

税理士費用が高く、または安くなる主な理由

相続税の税理士報酬には相場がありますが、同じ遺産規模でも事務所によって金額が大きく異なることがあります。この差は単なる「高い・安い」という話ではなく、業務内容・品質・リスク対応の深さなど、報酬に含まれる価値が異なるためです。

ここでは、費用が高くなるケースと安くなるケースの違いを詳しく解説します。

1. 費用が高くなる主な理由

(1)案件の難易度が高い

財産の構成が複雑な場合や、評価に専門的な判断が必要な場合は、税理士が投入する作業時間や調査工数が増えます。特に以下のようなケースでは報酬が上がる傾向があります。

  • 複数の不動産を所有しており、評価方法が異なる(路線価・倍率方式など)
  • 農地・借地権・私道など、評価が難しい土地を含む
  • 非上場株式や持分会社などの事業資産を保有している
  • 海外資産や外国口座など、情報収集に時間を要する

これらのケースでは、慎重な評価や税務署への説明資料の作成が求められるため、作業負担に比例して報酬も上昇します。

(2)税務調査を見越した丁寧な申告

相続税申告は税務署のチェックが厳しい分野です。経験豊富な税理士ほど、後の税務調査を見越して「書面添付」や「説明資料の整備」などを丁寧に行います。こうしたリスク回避型の申告は手間がかかるため費用が高くなる傾向があります。

ただし、その分税務調査のリスクを低減でき、税務署対応を任せられるなどの安心感があります。追加コストというより、リスク管理への投資と捉えると良いでしょう。

(3)サポート体制が手厚い

高額な報酬を設定する事務所の多くは、品質維持のために体制面にコストをかけています。

  • 担当税理士に加え、複数スタッフによるチェック体制
  • 定期的な進捗報告や書類提出サポート
  • 迅速なメール・電話対応
  • 専任担当制による継続サポート

このような人的サポートの厚みが費用に反映されており、「安心料」としての意味合いを持ちます。

(4)経験値・専門性が高い事務所

相続税専門の税理士や、年間の相続案件数が多い事務所は、評価精度や節税判断の的確さに強みがあります。以下のような特徴がある場合、報酬はやや高めに設定される傾向です。

  • 非上場株式や複数不動産の評価実績が多い
  • 税務署対応の経験が豊富
  • 節税提案や特例適用に関する知識が深い

高い専門性は、結果的に申告ミスや税務調査リスクを減らすため、「安心と信頼の対価」としての意味を持ちます。

2. 費用が安くなる主な理由

(1)業務範囲を限定している

「申告書作成のみ」など、業務範囲を絞ることで報酬を抑える事務所もあります。相続財産が預金中心で単純な場合には、書類作成のみの低価格プランで十分なこともあります。

ただし、この場合は以下の点に注意が必要です。

  • 税務署からの問い合わせ対応が含まれていない場合が多い
  • 税務調査立会いや修正対応には別途料金が発生する

依頼時には、「どこまでが基本料金に含まれるか」を明確にしておきましょう。

(2)オンライン完結・効率化による低価格化

最近では、書類提出や打ち合わせをオンライン化し、AI評価システムなどで業務を効率化している事務所も増えています。

  • 書類のやり取りをすべてオンラインで完結
  • 評価作業を自動化し、工数を削減
  • チャットやメールのみで相談対応

これにより、事務コストを削減して報酬単価を下げることが可能になります。 ただし、対面での丁寧な説明を希望する場合には不向きなこともあります。

(3)大手事務所・ネット型事務所のスケールメリット

全国展開する大手税理士法人や、ネット完結型の事務所では、案件を大量に処理することで単価を抑えています。これにより、一般的な事務所より安価にサービスを提供できる場合があります。

一方で、以下のような制約が生じることもあります。

  • 担当者が途中で変わる可能性がある
  • 対応が画一的で、個別相談がしづらい
  • 追加相談や書類確認に別料金がかかる場合がある

コスト重視であれば魅力的ですが、個別対応を重視する場合は中小規模の専門事務所の方が適していることもあります。

3. 費用差の背景を理解するポイント

税理士費用の高低は「得か損か」ではなく、提供サービスの質・範囲・リスク対応の違いによるものです。同じ金額でも、提供内容がまったく異なるケースがあります。

例えば、同じ50万円の見積もりでも、以下のような違いが生じることがあります。

  • 不動産評価・節税提案まで含むフルサポート型
  • 単純な書類作成だけを行う限定型

重要なのは、「何に対して支払う金額なのか」を理解し、費用と内容のバランスを比較することです。

費用を抑えるためのポイント

税理士費用は一律ではなく、依頼者側の準備や判断次第で大きく変わります。ここでは、実務的かつ現実的にコストを抑えるための方法を解説します。

1. 早期に相談を始める

相続税申告の期限は相続開始から10か月以内です。しかし、財産の洗い出しや資料収集、評価作業には時間がかかるため、期限間際の依頼は「特急対応」として割増になるケースが多く見られます。

相続開始から3か月以内に税理士へ相談を始めると、スケジュールに余裕を持てるため、追加費用を防ぎやすくなります。

2. 書類・資料を自分で整理しておく

税理士の業務には、財産情報の確認や資料整理が多く含まれます。預金通帳や残高証明、不動産登記簿、保険証書などをあらかじめ準備しておくと、作業時間を短縮でき、その分費用を抑えられます。

特に以下の資料を事前に揃えておくと効果的です。

  • 各金融機関の預金残高証明書
  • 不動産の登記簿謄本・固定資産税評価証明書
  • 株式・投資信託の取引残高証明書
  • 生命保険の支払証明書
  • 被相続人の確定申告書の控え(あれば)

3. 依頼範囲を明確にする

税理士のサービスには幅があり、「申告書作成のみ」か「税務調査対応まで」かで金額が変わります。見積もりを取る際は、以下を明確に確認しましょう。

  • どこまでを依頼するのか(業務範囲)
  • 何が基本報酬に含まれるのか
  • どの作業が加算対象となるのか

依頼範囲を絞り込むことで、不要な加算費用を防ぐことができます。

4. 複数の事務所で見積もりを取る

税理士報酬は自由化されているため、事務所ごとに料金設定が異なります。少なくとも2〜3社の見積もりを比較して相場を把握しましょう。

ただし、単に金額の安さだけで判断するのではなく、以下も併せて確認します。

  • 見積書の内訳や加算条件の明確さ
  • 対応スピードや説明の丁寧さ
  • 提案内容の具体性

5. 初回無料相談を活用する

多くの税理士事務所では初回相談を無料で実施しています。自分のケースが申告対象かどうかを判断するためにも、早い段階で無料相談を利用するのがおすすめです。

相談時には以下の情報を整理しておくと、見積もりがスムーズになります。

  • 相続人の人数
  • おおよその遺産総額
  • 財産の種類(預貯金・不動産・株式など)

税理士への依頼が推奨されるケース

相続税の申告は、条件によっては自力でも可能ですが、次のような状況では税理士の関与が強く推奨されます。

1. 基礎控除を超える可能性がある場合

相続税には「基礎控除」があり、3,000万円+600万円×法定相続人の数を超えると申告が必要になります。

不動産や生命保険、退職金、生前贈与などを含めると、想定よりも簡単にこの金額を上回ることがあります。控除を超えるかどうかを判断するためには、財産評価や名義確認など専門的な調査が必要です。

2. 不動産や非上場株式など評価が難しい財産を含む場合

不動産は「路線価」「倍率方式」などの評価方法を正しく選ばなければなりません。また、非上場株式は決算内容や資産価値を基に複雑な計算を要するため、専門知識が不可欠です。

3. 相続人が複数おり、意見が一致していない場合

相続人間での意見の相違があると、財産分割や評価を巡る争いに発展することがあります。税理士が第三者として関与することで、冷静かつ公平な立場から調整が進みやすくなります。

4. 申告期限が迫っている場合

相続税申告は相続開始から10か月以内に行う必要があります。期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税が課されることもあります。時間的余裕がない場合は、早期に税理士へ依頼するのが安全です。

税理士への依頼が不要なケース

すべての相続で税理士が必要になるわけではありません。以下のようなケースでは、必ずしも依頼しなくても対応できる可能性があります。

1. 遺産が基礎控除内に収まる場合

相続財産が明らかに基礎控除額を下回っている場合、申告の必要はありません。たとえば相続人が2人で、遺産総額が4,000万円未満であれば、多くのケースで申告不要です。

2. 財産構成が単純で、話し合いがスムーズな場合

預貯金のみで、相続人が少数、かつ分割協議が問題なく進む場合は、金融機関や行政書士のサポートで十分対応できることがあります。

3. 特例の適用により税額が0円になる見込みのケース

配偶者控除や小規模宅地の特例を適用して課税が発生しない見込みであれば、税理士への正式依頼ではなく、相談レベルで確認するだけでも十分な場合があります。

税理士選びで確認すべきポイント

相続税申告の正確さとスムーズさは、依頼する税理士の経験と姿勢によって大きく左右されます。信頼できる税理士を選ぶために、次の点を必ず確認しておきましょう。

1. 相続税申告の実績

税理士にも得意分野があります。法人税や所得税中心の事務所では、相続税に不慣れな場合もあります。相続案件の実績が豊富な事務所を選ぶことが重要です。

相談時に以下の質問をしてみましょう。

  • これまでどのくらいの相続税申告を担当されていますか?
  • 土地や非上場株式などの評価経験はありますか?

実績が多い税理士は、特殊な事案にも柔軟に対応できる傾向があります。

2. 料金体系の透明性

見積書の内訳に、基本報酬・加算条件・支払い時期が明確に記載されているかを確認します。
「後から追加請求された」というトラブルを防ぐためにも、契約前に料金体系の明確化は欠かせません。

見積時には、何が含まれていて何が加算対象なのかを具体的に質問しておくと安心です。

3. 説明の丁寧さ・対応スピード

相続税は初めての方が多く、専門用語が多い分、説明力が重要です。専門用語ばかりを並べず、わかりやすい言葉で説明してくれる税理士を選びましょう。

また、メールや電話へのレスポンスが早いかどうかも信頼性を測るポイントです。連絡の遅い税理士は、申告スケジュールにも影響します。

4. 契約内容の明確さ

依頼時は必ず契約書または業務委託書を交わしましょう。契約書には、以下の内容が記載されていることを確認します。

  • 業務範囲と報酬額
  • 支払い時期と方法
  • 納期(申告期限)
  • 解約時の扱い

口頭契約だけでは、後からのトラブル対応が難しくなります。書面での合意を徹底しましょう。

5. 相談しやすさ・相性

相続税申告は、短くても数か月〜半年以上の期間を要します。そのため、人柄や相性も非常に重要です。

質問しやすい雰囲気があるか、小さな疑問にも丁寧に対応してくれるかを確認しましょう。安心して任せられる税理士こそ、結果的に最良のパートナーになります。

相続の税理士費用は誰が負担するのか

相続税申告にかかる税理士費用は、相続財産そのものから自動的に支払われるものではありません。原則として、相続人全員の間で話し合いにより、どのように負担するかを決める必要があります。

基本的な考え方

  • 税理士費用は、相続人が個人的に負担すべき費用とされています。法的には「相続財産の経費」ではなく、申告業務を依頼した個人の支出にあたります。
  • ただし、相続税申告は相続人全員に関係するため、公平な負担方法を協議のうえで決定するのが一般的です。
  • 代表相続人が一時的に立て替え、後から精算するなど柔軟な対応も可能です。

相続財産から直接支払う場合の注意点

被相続人の預金から税理士費用を支払う場合は、銀行側で「遺産分割協議書」や「相続人全員の同意書」を求められることがあります。煩雑さを避けるため、代表者が立て替えて後から清算する方法が現実的です。

相続税申告の税理士費用の負担例

税理士費用の分担方法には法的な決まりはありませんが、実務上は次のようなパターンが一般的です。

1. 法定相続分に応じて負担するケース

各相続人が法定相続割合に応じて費用を分担する方法です。たとえば、配偶者1/2、子2人が各1/4ずつの場合、配偶者が50%、各子が25%ずつを負担します。公平性が高く、トラブルになりにくい方法です。

2. 代表相続人が一括で支払い、後から精算するケース

代表相続人が税理士費用を一時的に立て替え、申告完了後に他の相続人から按分分を受け取る方法です。スムーズですが、事前に合意書やメモを残すことが望まれます。

3. 特定の相続人が全額負担するケース

他の相続人が関与しない、あるいは相続放棄している場合などに、一人が全額を負担するケースです。ただし、他の相続人へ説明しておくことで誤解や後日の争いを防げます。

実務上のポイント

  • 税理士との契約時に支払者を明確にしておく
  • 費用分担が未確定なら、見積段階で「相談中」であることを伝える。
  • 将来的なトラブル防止のため、費用分担の覚書を作成しておくと安心です。

まとめ:相続税の申告は「早めの相談」が何よりの節約

相続税申告は、相続開始から10か月以内に行わなければなりません。期限を過ぎると延滞税や加算税が発生し、最終的に費用負担が増えるおそれがあります。

「自分のケースで申告が必要か」「どの程度の費用がかかるのか」を早い段階で把握することが、最も効率的な対策です。

費用だけでなく、説明の丁寧さや対応の誠実さなど、信頼できる税理士を選ぶことが安心して相続を終える第一歩となります。

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この記事を書いた人

本記事は相続税理士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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